JP3293583B2 - Iii族窒化物半導体結晶層の成長方法およびiii族窒化物半導体結晶層を具備する半導体装置 - Google Patents

Iii族窒化物半導体結晶層の成長方法およびiii族窒化物半導体結晶層を具備する半導体装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相成長法により
珪素(Si)単結晶基板上に高品質のIII 族窒化物半導
体結晶層を形成するIII 族窒化物半導体結晶層の成長方
法と、該成長方法により形成されたIII 族窒化物半導体
結晶層を具備する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般式Alp Gaq Inr
(但し、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦1、p+q
+r=1)で表されるIII 族窒化物半導体層からなる結
晶層は、気相成長法により、サファイア(Al23
結晶)基板上に同じくIII 族窒化物半導体からなる緩衝
層を介して形成されていた。そして、サファイア基板上
に形成されたIII 族窒化物半導体結晶層を利用して、発
光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)
などの半導体装置が作製されていた。
【0003】例えば、特開平6−268259には、サ
ファイア基板上に形成されたIII 族窒化物半導体結晶層
を用いて製造されたLEDが記載されている。図2に、
サファイア基板201上に形成されたIII 族窒化物半導
体結晶層を用いて製造されたLEDの構造の例を示す。
図2で、202は窒化ガリウム(GaN)からなる緩衝
層、203はn形GaN層、204はn形Ga0.86Al
O.14Nからなるn型クラッド層、205はn形In0.01
Ga0.99Nからなる発光層、206はp形Ga0.86Al
0.14Nからなるp型クラッド層、207はp形GaNか
らなるコンタクト層、208はp形電極、209はn形
電極である。即ち、n形Ga0.86AlO.14Nからなるn
型クラッド層204や、n形In0. 01Ga0.99Nからな
る発光層205などのIII 族窒化物半導体結晶層は、サ
ファイア基板201上に例えば、GaNからなる緩衝層
202を介して形成されていた。また、n形電極209
は、表面からIII 族窒化物半導体結晶からなる層203
〜207の一部を削除して形成されていた。
【0004】上記の様に、サファイア基板上に形成され
たIII 族窒化物半導体結晶層を用いて製造されたLED
では、基板が絶縁性の材料であるために、少なくとも一
方の電極は、基板上に積層したIII 族窒化物半導体結晶
層の一部を削除して設ければならず、加工が困難で製品
の収率を下げる原因となっていた。
【0005】また、サファイアは硬く劈開性に乏しいた
め、半導体装置を作製する際、III族窒化物半導体結晶
層を積層した基板を方形の素子に分離する加工が困難で
あった。特に、サファイア基板上に形成されたIII 族窒
化物半導体結晶層を用いてLDを作製する場合には、劈
開面を利用して平行且つ滑らかな光共振面を素子の両端
に形成することが出来なかった。
【0006】珪素(Si)単結晶は、立方晶のダイヤモ
ンド構造を有する結晶である。従って、珪素単結晶を基
板としてその上にIII 族窒化物半導体結晶層を形成する
ことができれば、珪素単結晶の(011)方向の劈開性
を利用することにより、III 族窒化物半導体結晶層を積
層した基板を裁断し方形の個別素子に分離する加工が容
易になる。また、LDを作製する場合にも、劈開面を利
用して滑らかな光共振面が形成出来る。更に、導電性の
珪素単結晶を基板とすれば、該基板のIII 族窒化物半導
体結晶層を積層した面とは反対側の表面に電極を形成す
ることが出来るため、電極形成時にIII 族窒化物半導体
結晶層の一部を削除する加工を行う必要がなくなる。
【0007】このため最近では、珪素単結晶基板上に気
相成長法によりIII 族窒化物半導体結晶層を形成する技
術が研究されている。しかし、珪素単結晶とIII 族窒化
物半導体結晶の間には、格子定数の違いに基づく格子の
不整合性が存在する。例えば、珪素単結晶の格子定数は
5.431Åであり、立方晶の窒化ガリウム(Ga
N)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム
(InN)の格子定数はそれぞれ4.51Å、4.38
Å、4.98Åである。従って、珪素単結晶とGaN、
AlN、InNとの間には、珪素単結晶を基準にしてお
よそ8〜19%の格子定数の違いがある。このため、珪
素単結晶基板上に直接III 族窒化物半導体結晶層を成長
するのでは、高品質のIII 族窒化物半導体結晶層を形成
することが出来なかった。
【0008】そこで、珪素単結晶基板上にIII 族窒化物
半導体結晶層を成長する場合、珪素単結晶基板とIII 族
窒化物半導体結晶層との間に適当な緩衝層を挿入する技
術が研究されている。例えば、Electron.Le
tt.,33(23)(1997)、1986〜198
7頁には、アンチモン(Sb)ドープのn形珪素単結晶
基板上に、緩衝層として窒化アルミニウム(AlN)か
らなる層を介してIII 族窒化物半導体結晶層を形成した
青色LEDが記載されている。この先行例では、AlN
からなる緩衝層とその上に積層されるIII 族窒化物半導
体結晶層は、有機金属化学気相堆積(MOCVD)法に
より形成されている。
【0009】また特開平2−275682には、リン化
ガリウム(GaP)基板或いは炭化珪素(SiC)基板
上に、リン化硼素(BP)からなる緩衝層を介してIII
族窒化物半導体結晶層を成長する技術が示されており、
珪素単結晶基板を用いる場合でも、同様の技術を使うこ
とができると記載されている。閃亜鉛鉱(zinc−b
lend)型の結晶構造を有するBPの格子定数は4.
538Åであり、格子定数が4.51Åの立方晶のGa
Nとは格子定数の違いが約0.6%と微小である。この
ため、珪素単結晶基板上に平坦な連続性のあるBPから
なる緩衝層が形成できれば、その上に結晶性の良いIII
族窒化物半導体結晶層を得ることが容易となると考えら
れる。ここで上記特開平2−275682では、BPか
らなる緩衝層とIII 族窒化物半導体結晶層は、ともにM
OCVD法により850〜1150℃或いは1200〜
1400℃の温度で形成されている。また、BPからな
る結晶層の他の気相成長方法としては、一般にハロゲン
化物気相成長法が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、珪素結晶とB
P結晶の格子定数はそれぞれ5.431Å及び4.53
8Åであるため、両者の格子定数の違いは16.5%と
大きい。このため実際には、珪素単結晶基板上へ直接8
50℃以上の高温でBP結晶層を成長するのでは、形成
されるBP結晶は平坦な連続性のある層とはならず、珪
素単結晶基板表面に四角錐状のBP結晶が島状に散在す
るものとなった。即ち、気相成長法により珪素単結晶基
板上に直接850℃以上の高温でBP結晶を成長し、そ
の上にIII 族窒化物半導体結晶層を成長する従来の技術
では、平坦な連続性のあるBPからなる緩衝層が形成で
きず、そのためその上に連続性のある品質のよいIII 族
窒化物半導体結晶層を成長できない問題があった。
【0011】また上記の従来技術では、珪素結晶とBP
結晶の格子定数の違いにより、珪素単結晶基板表面に成
長したBP結晶が容易に剥離する欠点があった。
【0012】本発明は、気相成長法により珪素単結晶基
板上に平坦で連続性のあるBPからなる緩衝層を形成す
る条件を明らかにし、珪素単結晶基板上に高品質のIII
族窒化物半導体結晶層を形成できるIII 族窒化物半導体
結晶層の成長方法を提供することを目的とする。
【0013】また本発明は、本発明の成長方法により形
成されたIII 族窒化物半導体結晶層を利用して、高性能
で作製が容易なLED等の半導体装置を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本願に記載の発明
は、珪素(Si)単結晶基板上に、200℃以上700
℃以下の温度で、気相成長法により、リン化硼素(組成
式:BP)からなる第1の緩衝層を成長する工程と、該
第1の緩衝層上に、750℃以上1200℃以下の温度
で、気相成長法により、リン化硼素からなる第2の緩衝
層を成長する工程と、該第2の緩衝層上に、気相成長法
により、一般式Alp Gaq Inr N(0≦p≦1、0
≦q≦1、0≦r≦1、p+q+r=1)で表されるII
I 族窒化物半導体からなる結晶層を成長する工程とを有
するIII 族窒化物半導体結晶層の成長方法である。
【0015】上記のIII 族窒化物半導体結晶層の成長方
法においては、前記第2の緩衝層を成長した後、アンモ
ニア(NH3 )またはヒドラジン(N24 )類を含む
雰囲気中で、該第2の緩衝層の表面のリン化硼素の一部
を窒化し、その後該第2の緩衝層上に、前記III 族窒化
物半導体結晶層を成長するのが望ましい。また、上記の
III 族窒化物半導体結晶層の成長方法においては、前記
第2の緩衝層上に接して、窒化ガリウム(GaN)から
なるIII 族窒化物半導体結晶層を成長することが望まし
い。
【0016】また、上記のIII 族窒化物半導体結晶層の
成長方法においては、前記第1の緩衝層を成長する温度
が、250℃以上550℃以下であることが更に好まし
い。また、前記第2の緩衝層を成長する温度が、850
℃以上1050℃以下であることが更に好ましい。
【0017】また、上記のIII 族窒化物半導体結晶層の
成長方法においては、前記第1の緩衝層および第2の緩
衝層の気相成長法が、ハロゲン化物気相成長法であり、
前記III 族窒化物半導体結晶層の気相成長法が有機金属
化学気相堆積法であることが好ましい。或いは、前記第
1の緩衝層および第2の緩衝層の気相成長法と前記III
族窒化物半導体結晶層の気相成長法とが、共に有機金属
化学気相堆積法であることが好ましい。
【0018】また、本願に記載の別の発明は、珪素単結
晶基板と、該基板上に設けられた多結晶のリン化硼素か
らなる第1の緩衝層と、該第1の緩衝層上に設けられた
リン化硼素の単結晶層からなる第2の緩衝層と、該第2
の緩衝層上に設けられたIII族窒化物半導体結晶層とを
具備するIII 族窒化物半導体結晶層を具備する半導体装
置である。
【0019】上記のIII 族窒化物半導体結晶層を具備す
る半導体装置においては、前記第2の緩衝層とその上に
接して設けられたIII 族窒化物半導体結晶層との界面近
傍に於いて、第2の緩衝層が窒素を含むリン化硼素から
なることが望ましい。また、上記のIII 族窒化物半導体
結晶層を具備する半導体装置においては、前記第2の緩
衝層上に接して設けられるIII 族窒化物半導体結晶層
が、窒化ガリウムからなることが望ましい。また、上記
のIII 族窒化物半導体結晶層を具備する半導体装置で
は、前記第1の緩衝層の厚さが、2nm乃至2μmの範
囲であることが望ましい。
【0020】さらに本願に記載の別の発明は、珪素単結
晶基板と、該基板上に設けられた多結晶のリン化硼素か
らなる第1の緩衝層と、該第1の緩衝層上に設けられた
リン化硼素の単結晶層からなる第2の緩衝層と、該第2
の緩衝層上に設けられたIII族窒化物半導体結晶層とを
具備する発光ダイオードからなるIII 族窒化物半導体結
晶層を具備する半導体装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者らは、気相成長法により
Si単結晶基板上にBPからなる緩衝層を介してIII 族
窒化物半導体結晶層を成長する場合、平坦な連続性のあ
るBPからなる緩衝層を形成するためには、まず多結晶
または非晶質のBPからなる第1の緩衝層を低温で成長
し、その後該第1の緩衝層上に、単結晶のBPからなる
第2の緩衝層を高温で成長する方法が好適であることを
見出した。
【0022】Si単結晶基板上に多結晶または非晶質の
BPからなる第1の緩衝層を気相成長法により形成する
のに好適な温度は、200℃以上700℃以下の温度で
ある。さらに好ましくは、250℃以上550℃以下の
温度である。200℃以上700℃以下、好ましくは2
50℃以上550℃以下の温度でSi単結晶基板上に堆
積されたBPからなる第1の緩衝層は、アズグローン
(as−grown)状態で、多結晶または非晶質から
なる。本発明者らの透過型電子顕微鏡(TEM)による
観察の結果では、上記の第1の緩衝層は、Si単結晶基
板との接合界面近傍の領域が主に多結晶から、またその
上層部が主に非晶質から構成されていると考えられる。
【0023】このように第1の緩衝層は、多結晶または
非晶質からなり、BPとSi結晶との格子定数の違いに
よる結晶の歪みをそれ自体が緩和するため、Si単結晶
基板上に均一に形成することができる。また、この第1
の緩衝層上に高温でBP結晶を成長すると平坦な連続性
のあるBPの単結晶層が形成できる。これは、第1の緩
衝層の上層部が、構成原子間の相互の結合力が弱く柔軟
な非晶質で構成されているため、Si単結晶基板と単結
晶のBPからなる第2の緩衝層との間の格子定数の違い
による歪みを緩和するのに有効に働くためであると考え
られる。また、上記の第1の緩衝層がSi単結晶基板と
第2の緩衝層との間の歪みを緩和するため、第2の緩衝
層がSi単結晶基板から剥離するのを防ぐことができ
る。
【0024】これに対して、700℃を越える温度でS
i単結晶基板上に直接成長させたBP結晶は、Si単結
晶基板表面に四角錐状のBP結晶が島状に散在する不連
続膜となる。このため、700℃以上で形成したBP層
は有効な緩衝層とはならない。さらに、第1の緩衝層の
成長温度を550℃以下に設定すれば、その上に平坦で
連続性のある第2の緩衝層を、基板表面全体に均一に再
現性良く形成することができる。これは、第1の緩衝層
の成長温度を550℃以下にすることにより、第1の緩
衝層内の多結晶または非晶質の状態のばらつきが小さく
なるためであると考えられるがくわしいことがわかって
いない。
【0025】また、第1の緩衝層の成長温度が200℃
未満の低温では、Si単結晶基板上にBPの多結晶また
は非晶質からなる層を形成できない。これは、200℃
未満の低温では、BP層の気相成長のための原料の反応
が十分に進まないことによると考えられる。これに対し
て、第1の緩衝層の成長温度を200℃以上、好ましく
は250℃以上とすることにより、多結晶または非晶質
からなる第1の緩衝層を安定して形成することができ
る。
【0026】第1の緩衝層の厚さは、2nm乃至2μm
の範囲であることが好ましい。第1の緩衝層の厚さが2
nm未満であると、第1の緩衝層の厚さのばらつきによ
りSi単結晶基板の表面全体を第1の緩衝層で充分に均
一に被覆できないという問題が生じる。また、第1の緩
衝層の厚さが2μm以上であると、表面に突起が発生す
るなど第1の緩衝層の表面状態が悪化し、平坦な第2の
緩衝層が得られなくなる。
【0027】20nmを越える厚さの第1の緩衝層にお
いては、トンネル(tunnel)効果による電流が流
れにくくなるため、適量の不純物をドーピングし導電形
を制御するのが好ましい。例えば、BPからなる第1の
緩衝層にSiをドーピングすれば、n形の層が得られ
る。また、マグネシウム(Mg)などの第II族元素をド
ーピングすれば、p形の第1の緩衝層が得られる。
【0028】本発明者らのTEMによる観察の結果で
は、上記の第1の緩衝層上に高温で第2の緩衝層を形成
した後では、第1の緩衝層は多結晶から構成されるよう
になる。これは、第2の緩衝層を形成する過程で第1の
緩衝層が高温に曝されるため、第1の緩衝層の非晶質が
多結晶に変換されることによると考えられる。
【0029】第1の緩衝層上には、750℃以上120
0℃以下の温度で気相成長法によりBPの単結晶層から
なる第2の緩衝層を積層する。上記の様に低温で成長し
た第1の緩衝層の上には、連続性のある平坦な第2の緩
衝層が成長できる。第2の緩衝層の層厚は、0.5〜5
μmの範囲とするのが好ましい。また、第2の緩衝層の
キャリア濃度は1×1017〜1×1019cm-3とするの
が好ましい。
【0030】BPからなる第2の緩衝層は、1200℃
以上で成長するとBP結晶の一部が組成式B132 など
で表記されるリン化硼素多量体に変態する場合がある。
132 は菱面体構造の六方晶結晶であり、1200℃
以下で成長される立方晶BP結晶とは、格子定数を異に
する。1200℃以上で成長した第2の緩衝層中では、
リン化硼素多量体からなる結晶がBPの単結晶層中に形
状の大きな介在物として混在するようになる傾向があ
り、これを核として突起が発達するため、第2の緩衝層
の表面の平坦性は損なわれやすい。従って、第2の緩衝
層は1200℃以下の温度で成長するのが好ましい。特
に第2の緩衝層を1050℃以下の温度で成長すると、
連続性のある平坦な第2の緩衝層が再現性よく成長でき
る。
【0031】また、第2の緩衝層の成長温度を750℃
以下とすると、均一な単結晶層からなる第2の緩衝層が
得られず、第2の緩衝層の一部にBPの多結晶または非
晶質が混在する傾向がある。これは、成長温度が低いた
めに第2の緩衝層の成長時にBPの結晶化のためのエネ
ルギーが十分に得られないためだと考えられる。このた
め、第2の緩衝層の成長温度は750℃以上、好ましく
は850℃以上とするのが良い。
【0032】BPからなる第1の緩衝層及び第2の緩衝
層は、ハロゲン化物(halide)気相成長(VP
E)法や水素化物(hydride)気相成長(VP
E)法、あるいは有機金属化学気相堆積(MOCVD)
法などの気相成長方法により形成できる。このうち、ハ
ロゲン化物VPE法では、三塩化硼素(BCl3 )や三
塩化リン(PCl3 )等の高純度に精製された化学品が
原料として利用できるため、純度的に優れる緩衝層がも
たらされるという利点がある。特に、炭素不純物の濃度
が低い高純度のBP結晶層が得られる。また、ハロゲン
化物VPE法でBPからなる第1の緩衝層および第2の
緩衝層を成長すると、第1及び第2の緩衝層を同一反応
装置に於いて継続して形成できる利点もある。
【0033】また、MOCVD法は大面積の領域に亘り
均一に薄膜を成長できるため、MOCVD法でBPから
なる第1の緩衝層および第2の緩衝層を成長すると、S
i単結晶基板上に均一な層厚の緩衝層が得られる利点が
ある。また、第1及び第2の緩衝層を同一反応装置に於
いて継続して形成することができる。MOCVD法で
は、硼素原料としてトリメチル硼素((CH33
B)、トリエチル硼素((C253 B)などの有機
硼素化合物、或いはボラン(BH3)やジボラン(B2
6 )などの硼素の水素化物を利用できる。リン原料に
は、ホスフィン(PH3 )などが利用できる。
【0034】上記のようにして形成した第2の緩衝層上
に、気相成長法により、一般式Alp Gaq Inr
(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦1、p+q+r=
1)で表されるIII 族窒化物半導体から成る結晶層を成
長すると、高品質のIII 族窒化物半導体結晶層を形成で
きる。
【0035】この場合、III 族窒化物半導体から成る結
晶層を、表面のBPの一部を窒化した第2の緩衝層上に
積層すると、さらに結晶性に優れるIII 族窒化物半導体
結晶層が成長できる。第2の緩衝層の表面のBPの窒化
は、上記のようにして第2の緩衝層を成長したSi単結
晶基板を、窒素化合物を含む雰囲気内で熱処理すること
により行うことができる。特に、アンモニア(NH3
またはヒドラジン(N24 )類を含む雰囲気内で70
0℃以上1200℃以下の温度に保持して、窒素を第2
の緩衝層の表面より結晶中に導入することで行うのが好
ましい。なお、ヒドラジン類(N24 )とは、ヒドラ
ジンやジメチルヒドラジン((CH3222 )な
どのヒドラジンの誘導体を指す。
【0036】第2の緩衝層の表面のBPの窒化は、第2
の緩衝層を構成するBPが上記の窒化処理中にB132
等のリン化多量体に変態するのを回避するため、105
0℃以下の温度で行うのが特に望ましい。ジメチルヒド
ラジンは、アンモニアに比較すればより低温で窒素を放
出するため、1050℃以下で窒化処理を行うのに特に
有効な材料となる。
【0037】第2の緩衝層の表面のBPを窒化すること
により、第2の緩衝層の表面近傍の領域には窒素(N)
を含むBPが形成される。この窒素を含むBPの組成
を、以下ではBP1-XX (0<X<1)で表示したと
きの窒素組成比Xで表すことにする。第2の緩衝層の表
面のBPを窒化する目的は、第2の緩衝層とその上に接
して設けられたIII 族窒化物半導体結晶層との格子定数
が、両者の界面において一致するようにするためであ
る。すなわち、第2の緩衝層の表面のBPの組成を、X
が0.03以上0.17以下の範囲とすれば、その上に
接して形成されるIII 族窒化物半導体結晶層を立方晶の
Alb Ga1-b N(0≦b≦1)とした場合に、両者の
格子定数を界面で一致させることができる。特に、第2
の緩衝層の表面のBPの組成をXが0.03とすれば、
第2の緩衝層の表面の格子定数は立方晶の閃亜鉛鉱型の
GaNと一致する。このように第2の緩衝層上に成長す
るIII 族窒化物半導体と第2の緩衝層の格子定数が界面
において一致すれば、第2の緩衝層上に成長するIII 族
窒化物半導体結晶層は、ミスフィット転位等の結晶欠陥
密度の少ない良好な結晶となる。このようなIII 族窒化
物半導体結晶層を用いれば、高性能のLED等の半導体
装置を作製することができる。
【0038】第2の緩衝層の表面近傍の窒化された領域
の厚さは、10nm程度あるいはそれ以上で充分であ
る。窒化された領域の厚さは、上記の窒化処理において
処理温度が高い程、また処理時間が延長される程増加す
る。しかし、窒化された領域の厚さが数μmを越えるよ
うな窒化処理は、第2の緩衝層の表面の平担性を失わ
せ、その上に成長するIII 族窒化物半導体結晶層の結晶
性も損なう悪影響を及ぼす。窒化された領域の厚さは、
2次イオン質量分析法(SIMS)やオージエ(Aug
er)電子分析法(AES)等に依る窒素原子の深さ方
向の分布状況から測定できる。
【0039】表面近傍において窒素を含む第2の緩衝層
は、BP結晶の成長時に窒素原料を添加して第2の緩衝
層を成長しても形成することができる。例えば、三塩化
硼素と三塩化リンとを用いるハロゲン化物VPE法によ
る第2の緩衝層の成長に於いて、ジメチルヒドラジンを
成長の終わりの段階で添加すれば、表面近傍において窒
素を含む第2の緩衝層を形成できる。
【0040】第2の緩衝層上に成長するIII 族窒化物半
導体からなる結晶層は、ハロゲン化物VPE法、水素化
物VPE法または分子線エピタキシー(MBE)法で成
長できる。しかし、ハロゲン化物VPE法による約10
00℃を越える温度でのIII 族窒化物半導体結晶層の成
長では、塩化物或いは臭化物からなる原料の熱分解で発
生するハロゲン化物による腐食、浸食作用により、表面
の平坦性に優れるIII 族窒化物半導体結晶層が得られ難
い欠点がある。また、成長のために充分な高い蒸気圧の
Alのハロゲン化合物が無いため、AlGaN等のAl
を含むIII 族窒化物半導体結晶層を成長できない欠点が
ある。また、水素化物VPE法は、III 族金属とV族元
素の水素化物とを原料とする気相成長法であるが、やは
り成長に都合の良い蒸気圧を有するAlの原料がないた
め、Alを含むIII 族窒化物半導体結晶層を成長できな
い欠点がある。また、MBE法は高真空、高温環境下で
成長を行うため、III 族窒化物半導体結晶層が昇華によ
り損失しやすい問題がある。
【0041】これに対してMOCVD法は、III 族窒化
物半導体結晶層の成長方法として好適に利用できる。M
OCVD法によるIII 族窒化物半導体結晶層の成長にお
いては、原料として例えばIII 族元素のトリアルキル
(tri−alkyl)化合物とV族元素の水素化物を
用いる。MOCVD法に依れば、ホスフィン(PH3
などのリン原料を含む雰囲気を簡単に構成でき、成長の
際の高温環境下に於けるBPからなる第2の緩衝層の表
面の平滑性の劣化を防止できる。さらにMOCVD法に
依れば、大気圧或いは僅かに加圧された環境下でも結晶
層の成長が可能であるため、GaNやより昇華性の高い
GaInN混晶の昇華による損失が抑制され、第2の緩
衝層上に連続性のあるIII 族窒化物半導体結晶層が形成
できる。また、減圧MOCVD法でIII 族窒化物半導体
結晶層を成長する場合、トリメチルアルミニウム((C
33 Al)などのAl原料やアンモニアなどの窒素
原料の熱分解効率が上がるため、大気圧におけるMOC
VD法の場合よりも低温でIII 族窒化物半導体結晶層を
成長できる利点がある。低温で成長出来れば、昇華によ
る損失がより抑制されるため、連続性のあるIII 族窒化
物半導体層がさらに容易に得られる。特に、ヒドラジン
類を窒素原料とするMOCVD法では、ヒドラジン類の
易分解性により、第2の緩衝層を成長するのと同程度の
温度範囲でIII 族窒化物半導体結晶層を成長できる。そ
のため基板の温度を変更せずに、第2の緩衝層の上に続
いてIII 族窒化物半導体結晶層を成長できる利点があ
る。またMOCVD法を用いたIII 族窒化物半導体結晶
層の成長では、III 族窒化物半導体について代表的なp
形不純物であるマグネシウム(Mg)が簡単にドーピン
グでき、ハロゲン化物VPE法或いは水素化物VPE法
に比べて容易にMgをドープしたIII 族窒化物半導体結
晶層が得られる利点がある。
【0042】上記のようにして形成したIII 族窒化物半
導体結晶層を利用すれば、高性能のLED等の半導体装
置を作製することができる。例えば、第2の緩衝層の上
に第1導電形のIII 族窒化物半導体結晶層からなる第1
のクラッド層、III 族窒化物半導体結晶層からなる発光
層、第2導電形のIII 族窒化物半導体結晶層からなる第
2のクラッド層を順次積層し、ダブルヘテロ構造の発光
部を形成すれば、LEDの製造に用いられるエピタキシ
ャルウェハが作製できる。第1のクラッド層または第2
のクラッド層は、AlGaNから作製できる。また、発
光層はGaInNから作製できる。上記のように、本発
明の方法でSi単結晶基板上にBPからなる第1および
第2の緩衝層を介して形成した、AlGaNからなる第
1のクラッド層または第2のクラッド層、あるいはGa
InNからなる発光層などのIII 族窒化物半導体結晶層
は、結晶性に優れ高品質であるため、このエピタキシャ
ルウェハから作製されるLEDは、高出力の特性の良い
ものとなる。
【0043】また、上記のようなエピタキシャルウェハ
は、Si単結晶基板を用いているため、Si単結晶の劈
開性を利用することにより、エピタキシャルウェハを裁
断して方形の個別素子に分離する加工が容易になる。さ
らに、上記のようなエピタキシャルウェハは導電性のS
i単結晶を基板とするため、該基板のIII 族窒化物半導
体結晶層を積層した面とは反対側の表面に電極を形成す
ることができ、LEDの電極形成時にIII 族窒化物半導
体結晶層の一部を削除する加工を行う必要がなくなる。
すなわち、本発明の成長方法により形成されたIII 族窒
化物半導体結晶層を利用すれば、LED等の半導体装置
の作製が容易となる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 (第1の実施例)本第1の実施例では、LEDを作製し
た。作製したLEDを図1に示す。図1に示すLED
は、以下の手順で作製した。
【0045】基板101には、リン(P)をドーピング
したn形で、面方位を(001)方向から2°オフ(o
ff)した方向とするSi単結晶を用いた。緩衝層の成
長は、ハロゲン化物VPE法で行った。Si単結晶基板
101は、第1の緩衝層102を成長するに先立ち、成
長装置内の水素雰囲気中で約1000℃に於いて5分間
保持し、表面の清浄化を施した。
【0046】Si単結晶基板101上には、まずBPか
らなる第1の緩衝層102を成長した。アンドープでn
形のBPからなる第1の緩衝層102は、三塩化硼素
(BCl3 )と三塩化リン(PCl3 )を原料として用
い、水素を雰囲気ガスとするハロゲン化物VPE法によ
り、380℃で成長した。本発明者らのTEMによる観
察の結果、成長した第1の緩衝層102は、基板101
との接合界面101aの近傍領域が立方晶のBPの多結
晶からなり、その上方の領域がBPの非晶質から構成さ
れていた。第1の緩衝層102の厚さはおよそ20nm
であり、BPの多結晶からなる領域の厚さは、約3nm
であった。
【0047】第1の緩衝層102の成長を、成長装置へ
のBCl3 の供給を停止して終了した後、380℃で5
分間PCl3 を供給しながら保持し、第1の緩衝層10
2の表面をリンが富裕となる状態とした。その後、PC
3 と水素との混合雰囲気内で基板の温度を890℃に
昇温し、ハロゲン化物VPE法により、モノシランをS
i不純物原料に用いて、SiをドーピングしたBPの単
結晶層から成るn形の第2の緩衝層103を成長した。
成長した第2の緩衝層103の層厚は2μmで、キャリ
ア濃度は約1×1018cm-3であった。また第2の緩衝
層は、表面の平坦な連続性のある層となった。また、一
般的なX線回折分析法によれば、第2の緩衝層103の
内部にはB132 多量体結晶はほとんど検出されなかっ
た。またSIMS分析に依れば、第1及び第2の緩衝層
102、103は、炭素(C)濃度が5×1016cm-3
以下である高純度の結晶層であった。さらに、第2の緩
衝層103の成長後にTEMにより第1の緩衝層102
の内部を観察した結果、as−grown状態で存在し
た非晶質は多結晶に変換されていて、第1の緩衝層は多
結晶のBPから構成されていた。
【0048】その後、上記の第2の緩衝層103を成長
した基板を、890℃においてジメチルヒドラジンと水
素から成る混合雰囲気中に10分間曝し、表面を窒化し
た。その結果、表面近傍の第2の緩衝層103は、組成
をBP0.970.03とする窒素を含むBPとなった。窒化
された領域の厚さは、SIMS分析に依る窒素原子のの
分布から、第2の緩衝層103の表面より約0.5μm
の範囲となった。
【0049】第2の緩衝層103上には、水素とアルゴ
ンの混合ガスを雰囲気ガスとする大気圧でのMOCVD
法により、III 族窒化物半導体結晶層を成長した。すな
わち、トリメチルガリウム((CH33 Ga)とジメ
チルヒドラジンを原料に用いて、まず第2の緩衝層10
3上に接して、Siをドープしたn形窒化ガリウム(G
aN)からなる下部クラッド層104を890℃で積層
した。下部クラッド層104の層厚は約1.5μmであ
り、キャリア濃度は1.0×1018cm-3であった。ま
た、第2の緩衝層103の表面の組成をBP0.970.03
としたため、第2の緩衝層とその上に接して設けられた
GaNからなる下部クラッド層104の格子定数が両者
の界面において一致し、結晶性の良い下部クラッド層1
04が得られた。
【0050】下部クラッド層104上には、さらにトリ
メチルインジウム((CH33 In)をIn原料とし
て加えて、890℃でアンドープのn形の窒化ガリウム
・インジウム(Ga0.88In0.12N)からなる発光層1
05を成長した。発光層105の厚さは0.1μmであ
り、キャリア濃度は2.1×1018cm-3であった。さ
らに発光層105上には、トリメチルガリウム、トリメ
チルアルミニウム((CH33 Al)とジメチルヒド
ラジンを原料に用い、シクロペンタジエニルマグネシウ
ムを不純物原料として用いて、890℃でマグネシウム
(Mg)をドープしたp形の窒化アルミニウム・ガリウ
ム(Al0.10Ga0.90N)からなる上部クラッド層10
6を成長した。上部クラッド層106の層厚は0.1μ
mであり、キャリア濃度は4.1×1017cm-3であっ
た。
【0051】上記のようにして第2の緩衝層103上に
順次積層した、立方晶のIII 族窒化物半導体結晶からな
る下部クラッド層104、発光層105、上部クラッド
層106から、pn接合を有するダブルヘテロ構造の発
光部を構成した。さらに上部クラッド層106上には、
Mgをドープしたp形のGaNからなるコンタクト層1
07を成長した。コンタクト層107の厚さは0.1μ
mであり、キャリア濃度は8×1017cm-3であった。
以上により、LEDの製造に用いられるエピタキシャル
ウェハの作製を終了した。
【0052】成長装置から上記のエピタキシャルウェハ
を取り出した後、該エピタキシャルウェハを用いて以下
のようにしてLEDを作製した。コンタクト層107上
には、金(Au)からなるp形のオーミック電極108
を形成した。一方、アルミニウム−アンチモン合金から
なるn形のオーミック電極109は、Si単結晶基板に
導電性があるためIII 族窒化物半導体結晶層の一部を削
除して形成する必要がなく、基板101の裏側の全面に
形成した。その後、電極を形成したエピタキシャルウェ
ハを、Si単結晶基板の互いに直交する(011)方向
の劈開性を利用して、一辺を約300μmとする正方形
のチップ(chip)に分離し、LEDを作製した。S
i単結晶基板が(011)結晶方向に劈開性を有するた
めに、エピタキシャルウェハをチップに分離する操作は
容易であり、作製されたチップの形状もほとんどが良好
であった。
【0053】上記のようにして作製したLEDの電気特
性および発光特性を調べた。上記のLEDに順方向電流
を20ミリアンペア(mA)流すと、中心波長を約43
0nmとする青色の発光が得られた。発光スペクトルの
半値幅は約20nmで、単色性に優れていた。LEDの
チップに樹脂モールド(mold)を施し、ランプ状に
したLEDの発光出力は、順方向電流20mAの場合に
約1.2カンデラ(cd)と優れたものであった。ま
た、順方向に20mAの電流を流す際の順方向電圧は
2.8ボルト(V)、、逆方向に10μAの電流を流す
際の逆方向電圧は20V以上であり、良好な整流特性を
示した。以上のような優れたLED特性は、本発明によ
り高品質のIII 族窒化物半導体結晶層が形成できたため
であると考えられる。
【0054】(第2の実施例)本第2の実施例では、第
1の実施例と同様のLEDを作製する際、第1の緩衝層
および第2の緩衝層をMOCVD法で成長した。その他
の製造方法は、第1の実施例と同じとした。また作製し
たLEDの構造は、図1に示すものである。本実施例2
のLEDは、以下の手順で作製した。
【0055】Si単結晶基板101と、第1の緩衝層を
成長するまでの清浄化の操作は第1の実施例と同じとし
た。Si単結晶基板101上には、ジボラン(B2
6 )とホスフィン(PH3 )を原料として用い、水素
(H2 )を雰囲気ガスとする減圧のMOCVD法によ
り、第1の緩衝層102および第2の緩衝層103を成
長した。すなわち、まずSi単結晶基板101の表面上
に、減圧のMOCVD法により410℃で第1の緩衝層
102を成長した。第1の緩衝層102の層厚は約15
nmであった。また第1の緩衝層102は、基板101
との接合界面101a近傍の幅約2nmの領域がas−
grown状態で多結晶からなり、その上方の領域が非
晶質から構成されていた。第1の緩衝層102はMOC
VD法を利用して成長されたため、その層厚が直径4イ
ンチのSi単結晶基板101の面内のほとんどの箇所で
15nm±1nmの範囲に収まる均一なものとなった。
【0056】第1の緩衝層102の成長終了後、MOC
VD法の成長装置内に水素ガスとホスフィンガスを流通
しつつつ、基板101の温度を930℃に上昇させ、続
いて第1の緩衝層102上に第2の緩衝層103を成長
した。第2の緩衝層103の成長の際、PH3 とB2
6 との供給比率は約120とした。第2の緩衝層103
は立方晶のBP単結晶層からなり、X線回折分析法では
132 はほとんど検出されなかった。また、第2の緩
衝層203の成長後にTEMにより第1の緩衝層102
の内部を観察した結果、as−grown状態で存在し
た非晶質は、多結晶に変換されていた。
【0057】第2の緩衝層103上には、第1の実施例
と同様に立方晶のIII 族窒化物半導体結晶からなる下部
クラッド層104、発光層105、上部クラッド層10
6およびコンタクト層107を成長した。また、上記の
ようにして作製したエピタキシャルウェハは、やはり第
1の実施例と同様に、p形のオーミック電極108とn
形のオーミック電極109を形成した後、一辺を約30
0μmとする正方形のチップ(chip)に分離し、L
EDを作製した得られたLEDからは、順方向電流を2
0mA流した場合、中心波長を455nmとする青色の
発光が得られた。また、発光スペクトルの半値幅は約2
2nmであった。また、LEDのチップに樹脂モールド
を施し、ランプ状にしたLEDの発光出力は、順方向電
流20mAの場合に約1カンデラ(cd)であった。
【0058】(比較例)本比較例では、LEDを作製す
る際Si単結晶基板上に第1の緩衝層を設けず、実施例
1と同様のSi単結晶基板上に890℃で直接、第1の
実施例に記載のハロゲン化物VPE法を利用して、BP
からなる緩衝層を約2μmの層厚となる様に堆積した。
しかし、このようにSi単結晶基板上に高温で直接BP
結晶を堆積した場合、Si単結晶基板の表面には2μm
程度の大きさの四角錐状のBP結晶が島状に散在するの
みで、連続したBPからなる緩衝層は得られなかった。
そのため、正常なLEDを構成できるようなIII 族窒化
物半導体結晶層は、形成できなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明のIII 族窒化物半導体結晶層の成
長方法によれば、珪素単結晶基板上に高品質のIII 族窒
化物半導体結晶層を形成できる。また、上記の成長方法
で作製したIII 族窒化物半導体結晶層を用いれば、高性
能で作製が容易なLED等の半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例または第2の実施例に係
わるLEDの断面図。
【図2】従来のLEDの断面図。
【符号の説明】
101 Si単結晶基板 101a 接合界面 102 第1の緩衝層 103 第2の緩衝層 104 下部クラッド層 105 発光層 106 上部クラッド層 107 コンタクト層 108 p形のオーミック電極 109 n形のオーミック電極 201 サファイア基板 202 緩衝層 203 n形GaN層 204 n形クラッド層 205 発光層 206 p形クラッド層 207 コンタクト層 208 p形電極 209 n形電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−346001(JP,A) 特開 昭52−64873(JP,A) 特開 平3−34551(JP,A) 特開 平2−184021(JP,A) 特開 平5−117086(JP,A) 特開 平5−283744(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205 H01L 33/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪素(Si)単結晶基板上に、200℃
    以上700℃以下の温度で、気相成長法により、リン化
    硼素(組成式:BP)からなる第1の緩衝層を成長する
    工程と、該第1の緩衝層上に、750℃以上1200℃
    以下の温度で、気相成長法により、リン化硼素からなる
    第2の緩衝層を成長する工程と、該第2の緩衝層上に、
    気相成長法により、一般式AlpGaqInrN(0≦p
    ≦1、0≦q≦1、0≦r≦1、p+q+r=1)で表
    されるIII族窒化物半導体からなる結晶層を成長する
    工程とを有するIII族窒化物半導体結晶層の成長方法
    に於いて、前記第2の緩衝層を成長した後、アンモニア
    (NH 3 )またはヒドラジン(N 2 4 )類を含む雰囲気
    中で、該第2の緩衝層の表面のリン化硼素の一部を窒化
    し、その後該第2の緩衝層上に、前記III族窒化物半
    導体からなる結晶層を成長させることを特徴とするII
    I族窒化物半導体結晶層の成長方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の緩衝層の表面に接して、窒化
    ガリウム(GaN)からなるIII族窒化物半導体結晶
    層を成長することを特徴とする請求項1に記載のIII
    族窒化物半導体結晶層の成長方法。
  3. 【請求項3】 珪素単結晶基板と、該基板上に設けられ
    た多結晶のリン化硼素からなる第1の緩衝層と、該第1
    の緩衝層上に設けられた、表面のリン化硼素の一部が窒
    化されたリン化硼素の単結晶層からなる第2の緩衝層
    と、該第2の緩衝層の表面上に設けられたIII族窒化
    物半導体結晶層とを具備する半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の緩衝層とその表面上に接して
    設けられたIII族窒化物半導体層との界面近傍に於い
    て、第2の緩衝層が窒素を含むリン化硼素からなること
    を特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記第2の緩衝層の表面上に接して設け
    られるIII族窒化物半導体結晶層が、窒化ガリウムか
    らなることを特徴とする請求項3または4に記載の半
    体装置。
  6. 【請求項6】 珪素単結晶基板と、該基板上に設けられ
    た多結晶のリン化硼素からなる第1の緩衝層と、該第1
    の緩衝層上に設けられた、表面のリン化硼素の一部が窒
    化されたリン化硼素の単結晶層からなる第2の緩衝層
    と、該第2の緩衝層の表面上に設けられたIII族窒化
    物半導体結晶層とを具備する発光ダイオードからなる
    求項3ないし5に記載の半導体装置。
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