JP3772816B2 - 窒化ガリウム結晶基板、その製造方法、窒化ガリウム系半導体素子および発光ダイオード - Google Patents

窒化ガリウム結晶基板、その製造方法、窒化ガリウム系半導体素子および発光ダイオード Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、珪素(Si)単結晶基板の表面上に形成した窒化ガリウム結晶層からなる窒化ガリウム結晶基板に係り、特に珪素単結晶基板の表面上にリン化硼素結晶層を介して形成した窒化ガリウム結晶層からなる窒化ガリウム結晶基板とその製造方法、及びそれを用いて作製した窒化ガリウム系半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)、窒化ガリウム・インジウム(GaInN)、窒化ガリウム・アルミニウム(GaAlN)等のIII族窒化物半導体からなる結晶層は、近紫外帯、青色帯或いは緑色帯の短波長光を放射する発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)を構成する機能層として利用されている。或いは、ショットキー(Schottky)接合型電界効果トランジスタ(MESFET)或いはヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)等の高周波電子デバイスを構成するに利用されている。
【0003】
従来より、窒化ガリウム系半導体素子を構成する積層構造体をなすIII族窒化物半導体結晶層は、もっぱらサファイア(α−Al23単結晶)或いは炭化珪素(SiC)単結晶を基板として、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法、ハイドライド(hydride)気相成長(VPE)法や分子線エピタキシャル(MBE)法等の気相成長手段に依り形成されている。しかしながら、例えば、サファイア(sapphire)と窒化ガリウムとの格子ミスマッチ度は、約14%と大である。このため、サファイア基板上に気相成長させた窒化ガリウム結晶層は、1×1010cm-2或いはそれ以上の密度で転位を含む結晶品質に劣る結晶層となる。
【0004】
このため、最近では、窒化ガリウムとの格子整合性に優れる結晶材料、例えば、窒化ガリウム単結晶を基板として窒化ガリウム結晶層が形成されている。基板として利用できる数十〜数百μmの厚さの窒化ガリウム単結晶を得る技術手段として、例えば、10ギガパスカル(単位:GPa)程度の高圧環境下に於いて、ガリウム(Ga)とアンモニア(NH3)とを化合させて窒化ガリウムを合成する高圧合成法が知れている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
また、サファイア基板の表面に気相成長させた窒化ガリウム結晶層を下地層とし、その上にハイドライド気相成長(hydride VPE)法に依り、数十μm程度の窒化ガリウムの厚膜を成長させた後、サファイア基板を除去し、残存させた窒化ガリウム結晶層を基板として利用する技術手段も開示されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0006】
【非特許文献1】
シルベスター ポロスキー(Sylwester Porowski)、「ジャーナル オブ クリスタル グロース(Journal ofCrystal Growth)」、オランダ、1998年、第189/190巻、p.153〜158
【非特許文献2】
ジェイ・エイ・フレイタス・ジュニア(J.A.FREITAS,JR)、外7名、「フィジカ ステイタス ソリディ(エイ)(physica status solidi(a))」、ドイツ、2001年、第188巻、第1号、p.457−461
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、窒化ガリウム単結晶基板を得るための従来技術、例えば、上記の高圧合成法で得られる窒化ガリウム単結晶の大きさは、現状に於いて数ミリメートル(mm)から数センチメーチル(cm)の小片である。従って、例えば、LEDを廉価で多量に製造するに寄与できない。また、サファイア基板の表面に気相成長させた窒化ガリウム結晶層を下地層とする従来のハイドライドVPE法で得られる窒化ガリウム単結晶基板は、格子不整合性の大きなサファイアを下地として成長させているため、ミスフィット(misfit)転位等の結晶欠陥が多量に含まれ、結晶品質の向上が望まれている。
【0008】
本発明は、これらの従来技術の欠点を克服すべく成されたもので、転位密度が低く結晶品質に優れ、且つ大口径の珪素(Si)単結晶を基板として利用し、その表面上に成膜した窒化ガリウム種結晶層を基として、その上に窒化ガリウム結晶層を形成し、結晶欠陥密度が小さく大面積の窒化ガリウム結晶基板を製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
(1)珪素(Si)単結晶基板の表面に、硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を形成し、次いで該非晶質層上にリン化硼素(BP)結晶層を形成し、次いで該リン化硼素結晶層上に、750℃以上1200℃以下の温度に於いて、窒化ガリウム(GaN)種結晶層を気相成長させ、次いで該窒化ガリウム種結晶層上に窒化ガリウム結晶層を気相成長させ、その後、珪素単結晶基板、非晶質層、及びリン化硼素結晶層を除去して、窒化ガリウム結晶基板を製造することを特徴とする窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(2)上記非晶質層、リン化硼素結晶層、及び窒化ガリウム種結晶層を有機金属化学的気相堆積法(MOCVD法)に依り形成し、窒化ガリウム結晶層をハイドライド(hydride)気相成長法に依り形成することを特徴とする上記(1)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(3)硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を、250℃以上1200℃以下の温度で形成することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(4)リン化硼素(BP)結晶層を、750℃以上1200℃以下の温度で形成することを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(5)珪素単結晶基板の表面が{111}結晶面であることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(6)上記珪素単結晶基板は、窒化ガリウム結晶層を設ける表面とは反対の裏面に、溝が設けられていることを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(7)溝の深さを珪素単結晶基板の厚さの1/2〜1/3の範囲とすることを特徴とする上記(6)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
(8)非晶質層の厚さは1nm以上で50nm以下とすることを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。である。
【0010】
また本発明は、
(9)上記(1)ないし(8)のいずれか1項に記載の方法に依り製造された窒化ガリウム結晶基板。
(10)上記(9)に記載の窒化ガリウム結晶基板を備えていることを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
(11)窒化ガリウム結晶基板の表面に、オーミック電極が形成されていることを特徴とする上記(10)に記載の窒化ガリウム系半導体素子。
である。
【0011】
また本発明は、
(12)上記(1)ないし(8)のいずれか1項に記載の方法に依り製造された窒化ガリウム結晶基板上に、III族窒化物半導体からなる発光層を含む機能層が形成され、機能層の表面と窒化ガリウム結晶基板の裏面にそれぞれオーミック電極が形成されていることを特徴とする発光ダイオード。
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、窒化ガリウム結晶基板として用いるための厚膜の窒化ガリウム結晶層は、珪素単結晶基板上に成長させる。特に、{100}、{110}或いは{111}等の低いミラー(Miller)指数の結晶面を表面とする珪素単結晶基板上に成長させるのが望ましい。或いは、それらの結晶面より角度にして数度から十数度傾斜した、所謂、オフカット(off−cut)結晶面を表面とする珪素単結晶面上に成長させることも可能である。ダイヤモンド(diamond)構造型の単結晶であるが故に、珪素原子が最も密に充填されている{111}結晶面を表面とする珪素単結晶基板は特に、好ましく使用できる。珪素単結晶表面上に設ける層(上層)を構成する元素が珪素単結晶表面からその内部へ侵入、拡散するのを抑制して、珪素単結晶の規則的な結晶構造が乱雑となるのを防止するに効果を上げられるからである。また、上層との間で平坦な接合界面を形成するに優位となるからである。また、転位密度の低い珪素単結晶基板は、上層へ貫通して伝搬する転位を減ずるに有効である。特に、転位密度を102cm-2以下、更には10cm-2以下とする低転位密度の珪素単結晶基板は、貫通転位の密度の低い上層を得るに効果を奏する。
【0013】
アンドープ(undope)のもの或いは不純物をドーピングしたもののいずれの珪素単結晶も基板として使用できる。高抵抗の基板でも、或いはn形またはp形の伝導形を呈する導電性の基板でも珪素単結晶基板として使用できる。珪素単結晶基板の厚さは数百μm程度とするのが適する。所望する窒化ガリウム結晶層の層厚に応じて珪素単結晶基板の厚さは適宣、選択できる。しかし、上層の成膜時に於ける、上層との熱膨張率の差異に起因する珪素単結晶基板の「反り」を抑制するには、直径50mmの珪素単結晶基板では、大凡、250μm〜400μmの厚さとするのが好適である。直径100mmの珪素単結晶基板では、約400μm〜約700μmの厚さとするのが適する。
【0014】
また、珪素単結晶基板の「反り」を抑制するには、窒化ガリウム結晶層を設ける表面とは反対の基板の裏面に溝を設けるのが効果的である。例えば、{111}結晶面を表面とする珪素単結晶基板({111}−珪素単結晶基板)の裏面に、珪素単結晶の劈開方向である<110>結晶方位に平行に溝を配置するのが効果的である。溝は例えば、一般的なダイス法、或いはフッ化水素酸を含む混酸に依る選択エッチング法等に依り形成できる。溝の深さは珪素単結晶基板の厚さの1/2〜1/3の範囲とするのが望ましい。例えば、直径を2インチ(inch)とし厚さを360μmとする珪素単結晶基板に設ける溝の深さは、120μm〜180μmとするのが適する。溝を形成して、珪素単結晶に不連続な部位を設けることにより、熱膨張率の差異に因る熱歪が吸収されるため、厚膜の窒化ガリウム結晶層等に亀裂(crack)が発生するのを防止するに貢献でき、また、転位密度の少ない窒化ガリウム結晶層を得るに寄与できる。
【0015】
本発明では、窒化ガリウム結晶層を珪素単結晶基板に直接、接合させて成長させることはしない。珪素単結晶表面に窒化ガリウム結晶層を成長させるに際し、本発明では、珪素単結晶と窒化ガリウム結晶層との中間に硼素とリンとを含む非晶質層及びリン化硼素結晶層を設ける。この硼素とリンとを含む非晶質層は、硼素とリンとを構成元素として含むリン化硼素系材料から構成できる。リン化硼素系材料には、例えばBαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)、BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)等がある。より具体的には、単量体のリン化硼素(BP)、リン化硼素・ガリウム(BαGaγP:0<α≦1、0≦γ<1)、または、窒化リン化硼素(BP1- δδ:0≦δ<1)、窒化砒化硼素(BαAs1- δδ)等の複数のV族元素を含む混晶を例示できる。
【0016】
リン化硼素系材料からなる非晶質層は、例えば、三塩化硼素(BCl3)や三塩化リン(PCl3)を出発原料とするハロゲン(halogen)法により気相成長できる。また、ボラン(BH3)またはジボラン(B26)とホスフィン(PH3)等を原料とするハイドライド法、並びに分子線エピタキシャル法で気相成長できる。また、有機硼素化合物とリンの水素化合物を原料とする有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法に依り気相成長できる。特に、MOCVD法はトリエチル硼素((C253B)等の易分解性の物質を硼素源としているため、低温で非晶質層を気相成長させるに有利な成長手段となる。
【0017】
非晶質層の成長を妨害する酸化珪素膜或いは窒化珪素膜を、珪素単結晶基板の表面に形成させないために、非晶質層は酸素や窒素を多量に含まない雰囲気中で成長させる。例えば、水素(H2)雰囲気中或いは水素とアルゴン(Ar)等の単原子不活性ガスとの混合雰囲気中で成長させるのが好適である。非晶質層は、例えば、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)反応系常圧(略大気圧)或いは減圧MOCVD法に依り、珪素単結晶基板の温度を250℃以上で1200℃以下として成長させる。750℃を超える高温では硼素とリンとを含む多結晶層が形成され易い傾向にあるが、この様な高温領域の成長では、硼素源に対しリン源の供給量、所謂、V/III比率を低くすると非晶質層を形成できる。例えば、上記の反応系を利用するMOCVD法にあって、V/III比率(=PH3/(C253B供給濃度比率)を0.2〜50の低比率とすると、上記の高温領域でも非晶質層を安定して形成できる。非晶質層の厚さは、珪素単結晶の表面を充分に一様に被覆するに足る1nm以上で50nm以下とするのが好ましい。更に、5nm〜20nmの層厚とするのが好適である。非晶質層の層厚は、成長領域への硼素源の供給時間を調整して制御する。非晶質層の膜厚は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)に依る断面TEM技法等で実測できる。また、TEMを利用した非晶質層からの電子線回折像はハロー(halo)パターンとなる。
【0018】
硼素とリンとを含む非晶質層上には、単量体のリン化硼素結晶層を堆積する。リン化硼素結晶層も非晶質層の場合と同様の成長手段に依り成長させるのが簡便である。成長温度としては、B132等の多量体のリン化硼素結晶の発生を抑止できる1200℃以下が適する。また、単結晶のリン化硼素結晶層を得るには、珪素単結晶の温度を750℃以上として成長させるのが適する。ところで、珪素単結晶の格子定数は0.543nmであり、立方晶閃亜鉛鉱型のリン化硼素単結晶の格子定数は0.454nmである。従って、珪素とリン化硼素との格子ミスマッチ度は約16.5%と大きい。ここで上記の非晶質層は、この大きな格子ミスマッチを緩和して、ミスフィット転位等の結晶欠陥密度の低い良質のリン化硼素結晶層をもたらす作用を有する。非晶質層とリン化硼素結晶層の各々は異なる成長手段で形成できるが、非晶質層を形成したのと同一の成長設備を使用して、非晶質層の成長に引き続き、同一の成長手段でリン化硼素結晶層を成長させる手段が簡便にリン化硼素結晶層を得るに最も有効となる。
【0019】
リン化硼素結晶層の層厚は数十nmから数千nmとする。概して、3000nm未満とするのが好適である。導電性を付与する不純物を添加(doping)しつつ成長させても構わない。n形の伝導を付与できる不純物には、元素周期律の第IV族元素である珪素(Si)或いは第VI族の硫黄(S)やセレン(Se)を例示できる。p形不純物には、第II族のベリリウム(Be)等がある。また、リン化硼素結晶層はアンドープ層であっても構わない。不純物を故意に添加しなくとも、成長温度如何に依ってアンドープでp形のリン化硼素結晶層を得ることができる。約1000℃未満の成長温度では、n形の伝導を呈するアンドープのリン化硼素結晶層が得られる。これらアンドープのリン化硼素結晶層を下地層とすれば、上層の窒化ガリウム結晶層への不純物の拡散、侵入を抑制するに効果を上げられる。窒化ガリウム結晶層の内部の不純物の濃度は、例えば、2次イオン質量分析法(SIMS)等の分析手段に依り定量できる。
【0020】
リン化硼素結晶層上には、窒化ガリウム種結晶層を成長させる。窒化ガリウム種結晶層は、その上に厚膜の窒化ガリウム結晶層を成長を促進させるための種(seed)結晶の役目を果たす層である。窒化ガリウム種結晶層の成長手段には、例えば、昇華(sublimation)法、ハイドライド法或いはMOCVD法等の気相成長法がある。特に、MOCVD法は、数nm〜数百nm程度の比較的薄い層厚が適する窒化ガリウム種結晶層を成長させるに有利である。MOCVD法の成長速度は例えば、ハイドライド法に比較して一般に遅いため、空洞(void)等の少ない緻密な種結晶層を形成するに好適である。また、リン化硼素単結晶の{110}結晶面の間隔は約0.320nmであり、六方晶ウルツ鉱(Wurtzite)結晶型の窒化ガリウム単結晶のa軸格子定数と略合致する。従って、MOCVD法を利用すれば、{110}結晶面が表面に交差しているリン化硼素結晶層の{100}−結晶面、{110}−結晶面、或いは{111}−結晶面上に、特に緻密な{0001}−窒化ガリウム種結晶層を効率的に堆積できる。MOCVD法による窒化ガリウム種結晶層の成長は、750℃以上1200℃以下の温度で行うのが、配向性の揃った単結晶の窒化ガリウム結晶層を安定して得るために好ましい。
【0021】
窒化ガリウム種結晶層上には、窒化ガリウム結晶層を堆積する。種結晶層に、同種(homo)接合させて窒化ガリウム結晶層を設ける構成とすることに依り、亀裂の無い窒化ガリウム結晶層を得ることができる。また、転位密度の少ない窒化ガリウム結晶層が得られる。厚膜の窒化ガリウム結晶層を成長させるには、毎時数μmから数十μmの大きな成長速度を確保できるハイドライド気相成長法を好適に利用できる。ハイドライド気相成長法に依り窒化ガリウム結晶層を成長させるに際し、窒素源にはアンモニア(NH3)やジメチルヒドラジン((CH3222)等を使用できる。アンモニア(NH3)を窒素源とするハイドライド法にあって、窒化ガリウム結晶層を気相成長させるに好適な温度は約950℃〜約1150℃の範囲である。より低温の約800℃〜約1000℃での窒化ガリウム結晶層の成長には、熱分解し易い非対称な分子構造のジメチルヒドラジンを窒素源とするのが適する。立方晶(cubic)の窒化ガリウム結晶層を得るには、ジメチルヒドラジン等の易熱分解性の含窒素化合物を窒素源とする比較的に低温での気相成長法が適する。
【0022】
窒化ガリウム種結晶層に接合させて設ける窒化ガリウム結晶層の層厚は、珪素単結晶基板と窒化ガリウム結晶層との熱膨張率との差異に因り、珪素単結晶基板に然したる「反り」を発生させない層厚未満に留めておく。例えば、窒化ガリウム結晶層の層厚は、直径50mmの珪素単結晶基板にあっては、約80μm以上で約450μm以下とするのが望ましい。また、直径100mmの珪素単結晶基板上のリン化硼素結晶層上の窒化ガリウム結晶層では、約300μm以上で約700μm以下とするのが望ましい。窒化ガリウム結晶層の層厚は、ハイドライドVPE法に依る気相成長では、成長時間を制御することに依って調整できる。所望する導電率或いは抵抗率の窒化ガリウム結晶層を得るには、成長時に導電性を付与する不純物を添加(doping)する。例えば、調整された量の珪素(Si)を添加してn形の伝導性の窒化ガリウム結晶層を成長させる。窒化ガリウム結晶層のキャリア濃度や抵抗率等は、一般的なホール(Hall)効果測定法や電解C−V(容量−電圧)法等に依り測定できる。
【0023】
窒化ガリウム結晶層の堆積を成長させた後、珪素単結晶基板を例えば、湿式エッチング手段で除去する。珪素単結晶をエッチングで除去するには、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液を好適に利用できる。フッ化水素酸(HF)−硝酸(HNO3)混合液に依る珪素単結晶の概略のエッチング速度は公知例より知れる。また、ドライ(dry)エッチング手段等に依り除去する。例えば、三塩化硼素(BCl3)などのハロゲン化物を使用するプラズマ(plasma)エッチング手段に依り除去できる。または、ダイヤモンド(diamond)、炭化珪素(SiC)、窒化硼素(BN)或いは酸化物からなる高硬度の砥粒を使用して機械的な研磨に依り研削して除去できる。基板の珪素単結晶と共に、その上層として堆積した非晶質層やリン化硼素結晶層を併せて除去しても構わない。硼素とリンとを含む非晶質及びリン化硼素結晶層は化学的な安定性が高いため、化学薬品に依る湿式エッチング手段よりも、プラズマエッチング手段や研削手段を利用して除去するのが便宜である。
【0024】
本発明により作製した窒化ガリウム結晶層を基板として利用すれば、電気的特性に優れる化合物半導体素子を形成できる。例えば、窒化ガリウム結晶層からなる導電性の基板の裏面に一方の極性のオーミック(Ohmic)電極を設け、表面上の、発光部を備えた積層構造体の構成層上に他方の極性のオーミック電極を配置してLED或いはLDを構成できる。また、高抵抗である窒化ガリウム結晶を基板として利用して、例えば、当該基板表面上に堆積された窒化ガリウム・インジウム混晶層(GaXIn1-XN:0≦X≦1)を電子走行層とする電界効果型トランジスタ(FET)を形成できる。硼素とリンとを含む緩衝層とリン化硼素結晶層とを介在させて設けた本発明に係わる窒化ガリウム結晶層は、転位密度が小さい等の結晶性に優れている。このため、本発明に記載の方法に依り形成した窒化ガリウム結晶層を基板として利用すれば、局所的な耐圧不良の少ないLED等の発光素子、或いは暗電流(dark current)が低減されたアバランシェ(avalanche)型またはPIN接合型受光素子を形成するに貢献できる。また、ショットキー(Schottky)型ゲート(gate)電極の漏洩(leak)電流を抑制するに効果を挙げられ、ゲートピンチオフ(gatepinch−off)特性に優れ、高い相互コンダクタンス(所謂、gm)のショットキー接合型FETを形成するに有利となる。
【0025】
【作用】
珪素単結晶基板と窒化ガリウム結晶層との中間に設ける、硼素とリンとを含む非晶質層は、上層として設けるリン化硼素結晶層及び窒化ガリウム結晶層と珪素単結晶基板との格子ミスマッチを緩和して、転位等の結晶欠陥の少ない窒化ガリウム結晶層をもたらす作用を有する。
【0026】
裏面側に溝を設けた珪素単結晶基板は、窒化ガリウム結晶層を含む上層の「反り」、亀裂を防止して、転位密度の小さい窒化ガリウム結晶層をもたらす作用を有する。
【0027】
【実施例】
(第1実施例)
珪素(Si)単結晶基板上に、硼素とリンとを含む非晶質層と単量体のリン化硼素結晶層とを介して成長させた窒化ガリウム種結晶層を種(seed)結晶として、さらにその上に厚膜の窒化ガリウム結晶層を成長させて、窒化ガリウム結晶基板を製造した実施例に基づき、本発明の内容を具体的に説明する。
【0028】
図1に、窒化ガリウム結晶基板を製造するための積層体10の断面構造を模式的に示す。基板101には、硼素(B)を添加したp形である、直径2インチの{111}−珪素単結晶を用いた。この珪素単結晶基板の室温での比抵抗(抵抗率)は約1×10-3オーム・センチメートル(Ω・cm)であった。また、表面が鏡面(mirror)に研磨され、裏面が粗研磨状態(as−lapping)である珪素単結晶基板の厚さは350μmであった。
【0029】
珪素単結晶基板101の{111}−表面上には、常圧(略大気圧)有機金属気相成長(MOCVD)手段を利用して、硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層102を堆積した。非晶質層102は、トリエチル硼素((C253B)を硼素源とし、また、ホスフィン(PH3)をリン源として、450℃で堆積した。MOCVD反応系への単位時間に於ける硼素源に対するリン源の供給比率(PH3/(C253B濃度比率、すなわちV/III比率)は、約30に設定した。非晶質層102の層厚は5nmとした。
【0030】
非晶質層102上には、上記と同一のMOCVD手段に依りリン化硼素(BP)結晶層103を堆積させた。リン化硼素結晶層103は、トリエチル硼素((C253B)を硼素源とし、また、ホスフィン(PH3)をリン源として、1050℃で堆積した。硼素源に対するリン源の供給比率(V/III比率)は、約1300に設定した。キャリアガスとして用いた水素ガスの流量は16リットル/分とした。リン化硼素結晶層103の層厚は5×10-5cm(=500nm)とした。不純物を故意に添加しない、所謂、アンドープ(undope)状態で形成したリン化硼素結晶層103はp形の伝導を呈した。そのキャリア濃度は室温で約2×1019cm-3であった。
【0031】
リン化硼素結晶層103上には、MOCVD手段に依り、窒化ガリウム(GaN)種結晶層104を堆積させた。窒化ガリウム種結晶層104は、トリメチルガリウム((CH33Ga)をガリウム源とし、また、アンモニア(NH3)を窒素源として、1050℃で堆積した。ガリウム源に対する窒素源の供給比率(V/III比率)は、約1.2×104に設定した。キャリアガスとして用いた水素ガスの流量は16リットル/分とした。後のハイドライドVPE手段に依り、厚膜の窒化ガリウム結晶層を堆積する際の種(seed)結晶とするための窒化ガリウム種結晶層104の層厚は320nmとした。不純物を故意に添加しない、所謂、アンドープ(undope)状態で形成した。窒化ガリウム種結晶層104の堆積を終了した後、珪素単結晶基板101を室温近傍の温度に冷却し、MOCVD装置より外部へ取り出した。
【0032】
電子線回折法に依る解析から、リン化硼素結晶層103は、閃亜鉛鉱型のリン化硼素結晶の{111}結晶面から構成されているのが示された。また、断面TEM技法に依る観察では、リン化硼素結晶層103の内部には、珪素単結晶基板101とリン化硼素結晶層103との格子不整合に起因するミスフィット転位は殆ど視認されなかった。一方で、リン化硼素の(111)結晶方位に沿った積層欠陥(stacking faults)または{111}結晶面を双晶面とする双晶(twinning)の存在が認められた。これより、積層欠陥がミスフィット転位を吸収する作用を呈するため、ミスフィット転位が視認されないと想到された。また、窒化ガリウム種結晶層104は、リン化硼素結晶層103の{111}表面に交差する{110}結晶面の格子間隔と略同等の格子定数を有する(0001)結晶面から構成されるものとなっていた。
【0033】
窒化ガリウム種結晶層104上には、ガリウム(Ga)/アンモニア(NH3)/水素(H2)反応系ハイドライドVPE手段により、窒化ガリウム(GaN)結晶層105を堆積した。窒化ガリウム結晶層105は、1050℃で堆積した。窒化ガリウム結晶層105の層厚が約155μmに到達した時点で堆積を終了させた。その後、約550℃の温度迄、アンモニアを反応系内に流通しつつ、窒化ガリウム結晶層105を積層した基板の温度を降下させた。室温近傍の温度迄、冷却した後、{111}−珪素単結晶基板101/非晶質層102/{111}−リン化硼素結晶層103/(0001)−窒化ガリウム種結晶層104/窒化ガリウム結晶層105からなる積層体10をハイドライドVPE装置より外部へ取り出した。電子線回折法に依れば、窒化ガリウム結晶層105は、(0001)方向に配列した六方晶のウルツ鉱型の結晶層であった。珪素単結晶基板101にリンと硼素とを含む非晶質層102を介して、リン化硼素結晶層103を設ける構成としたため、珪素単結晶基板101からのリン化硼素結晶層103の剥離は認められなかった。また、リン化硼素結晶層103との窒化ガリウム種結晶層104との密着性も良好であった。
【0034】
その後、積層体10の基板をなす珪素単結晶基板101を酸で溶解した。珪素単結晶基板101は,フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液でエッチングして除去した。その後、超純水により洗浄して、非晶質層102と、リン化硼素結晶層103と、窒化ガリウム種結晶層104および窒化ガリウム結晶層105を残存させた。次に、非晶質層102及びリン化硼素結晶層103をダイアモンド(diamond)砥粒を使用して機械的に研磨して除去した。窒化ガリウム結晶層105の表面は、酸化セリウムの細粒で鏡面に研磨した。研磨により、窒化ガリウム結晶層105の表層部の深さ約5μmの領域を研削した。その後、フッ化水素酸と硝酸との混合液を用いて洗浄した。これより、ホール(Hall)効果測定法で測定されるキャリア濃度を約8×1017cm-3とする厚さが約150μmのn形窒化ガリウム単結晶基板を製造した。
【0035】
断面TEM技法に依る観察では、リン化硼素結晶層103と接合していた窒化ガリウム種結晶層104の転位密度は、{111}−リン化硼素結晶層103の表面に交差する{110}結晶面と(0001)−窒化ガリウム種結晶層104のa軸格子定数との合致に起因して、約2×105cm-2と低密度であった。また、窒化ガリウム結晶層105の転位密度は、窒化ガリウム種結晶層104と同程度に低減されており、従来の無い低い転位密度の窒化ガリウム結晶基板を製造できた。
【0036】
(第2実施例)
本第2実施例では、熱応力に因る歪を緩和するための溝を裏面に設けた珪素単結晶基板を用いて、その上に堆積した窒化ガリウム結晶層から窒化ガリウム結晶基板を製造する場合を例にして本発明を具体的に説明する。
【0037】
リン(P)を添加したn形の{111}−珪素単結晶基板の裏面に設けた溝の構成を図2に模式的に示す。珪素単結晶基板の直径は2インチで、厚さは350μmであった。溝106の垂直断面は先端部106aをV字型としたもので、溝の横幅106bは約4×10-3cmとした。また、溝106の深さは約140μmとし、隣り合う溝の間隔106cは約0.5cmとした。溝106は、図2に示す如く、珪素単結晶基板の[1.−1.0]結晶方位及びそれに垂直な[−1.−1.0]方向の沿って格子状に等間隔(=0.5cm)で規則的に設けた。
【0038】
溝106を設けた珪素単結晶基板の裏面とは反対側の表面に、第1実施例に記載したのと同一の条件で、非晶質層、リン化硼素結晶層、窒化ガリウム種結晶層、及び窒化ガリウム結晶層を順次堆積した。光干渉法を利用して測定したアズ・グローン状態での「反り」は、ワープ(warp)にして約2×10-3cmであった。一方、第1実施例に記載の積層体のas−grown状態での「反り」(warp)は約4×10-3cmとより大であったことから、珪素単結晶の裏面に熱応力を緩和するための溝を設けることに依り、「反り」が抑制され得るのが示された。次に、溝を設けた珪素単結晶基板をフッ化水素酸を含む混酸で溶解し、第1実施例と同じく、他のリン化硼素結晶層を研削して除去して、厚膜の窒化ガリウム結晶層から「反り」の少ない窒化ガリウム結晶基板を製造した。その結果、ホール(Hall)効果測定法で測定されるキャリア濃度を約8×1017cm-3とする厚さが約150μmのn形窒化ガリウム単結晶基板が得られた。転位密度は約1×105cm-2と第1実施例の場合より更に低減されていた。
【0039】
(第3実施例)
第2実施例と同様の方法で作製したn形の窒化ガリウム結晶基板107上に、次の(1)〜(4)項に記載の材料からなる各機能層をMOCVD法で気相成長させて、LED用途の積層構造体11を形成した。
(1)珪素(Si)ドープのn形窒化ガリウムからなる下部クラッド層108、
(2)Siドープのn形窒化ガリウム・インジウム(Ga0.80In0.20N)からなる発光層109、
(3)アンドープでn形の単量体のリン化硼素からなる蒸発防止層110、及び
(4)マグネシウム(Mg)ドープのp形窒化ガリウム層からなる上部クラッド層111。
下部クラッド層108をなすn形GaN層のキャリア濃度は約2×1018cm-3で、層厚(=t)は約320nmとした。発光層109はキャリア濃度が約9×1017cm-3で層厚が約180nmのn形のGa0.80In0.20N層から構成した。蒸発防止層110はキャリア濃度が約7×1017cm-3で層厚が約12nmのn形のBP層とした。また、上部クラッド層111をなすp形GaN層は、キャリア濃度が約5×1017cm-3で層厚が80nmとした。
【0040】
積層構造体11の最表層の上部クラッド層111の中央部に、直径を約1.4×10-2cmとするオーミック(Ohmic)性のp形オーミック電極112を配置した。p形オーミック電極112は、上部クラッド層111に接触する側を酸化ニッケルとしたNiO/金(Au)重層構造から構成した。また、n形窒化ガリウム結晶基板107の裏面の略全面には、n形のオーミック電極113を形成した。n形のオーミック電極113は、基板107に接する側をアルミニウム(Al)としたAl/チタン(Ti)/金(Au)の3層構造から構成した。次に、一辺を約3.5×10-2cmとする正方形のチップに裁断し、図3の断面模式図に示すpn接合型ダブルヘテロ(DH)構造の発光部を有するLED12を形成した。
【0041】
p形オーミック電極112及びn形オーミック電極113の間に順方向に20ミリアンペア(mA)の順方向電流を通流し、LED12を発光させた。得られた発光特性を以下に纏める。
(a)発光波長 440nm
(b)発光スペクトル半値幅(FWHM) 0.3エレクトロンボルト(eV)
(c)発光強度(チップ状態) 1.7×10-2ワット(W)
(d)順方向電圧(順方向電流20mA時) 3.2ボルト(V)
(e)逆方向電圧(逆方向電流10μA時) 12V
特に、約1×105cm-2と転位密度の低いGaN結晶基板を用いたために、局所的な耐圧不良(local breakdown)は殆ど無く、安定して良好な整流性が発揮され、順方向電圧、逆方向電圧にバラツキのない均一なLEDが基板の全面から得られた。
【0042】
【発明の効果】
珪素単結晶基板上に設けた非晶質層、リン化硼素結晶層、窒化ガリウム種結晶層を介して成長させた厚膜の窒化ガリウム結晶層を利用すれば、転位密度が小さい結晶性の良好な窒化ガリウム単結晶基板を製造するに効果が上げられる。
【0043】
また、低転位密度の窒化ガリウム結晶基板を利用すれば、耐圧不良の少ない安定した整流性を呈する窒化ガリウム系LEDをもたらすに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る積層体の断面模式図である。
【図2】 第2実施例に係る裏面に溝を設けた珪素単結晶基板の断面模式図である。
【図3】第3実施例に係るLEDの断面模式図である。
【符号の説明】
10 積層体
11 LED用途積層構造体
12 LED
101 珪素単結晶基板
102 非晶質層
103 リン化硼素結晶層
104 窒化ガリウム種結晶層
105 窒化ガリウム結晶層
106 溝
106a 溝の先端部
106b 溝の横幅
106c 隣り合う溝の間隔
107 窒化ガリウム結晶基板
108 n形窒化ガリウム下部クラッド層
109 n形窒化ガリウム・インジウム発光層
110 n形リン化硼素蒸発防止層
111 p形窒化ガリウム上部クラッド層
112 p形オーミック電極
113 n形オーミック電極

Claims (11)

  1. 裏面に溝を設けた珪素(Si)単結晶基板の表面に、硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を形成し、次いで該非晶質層上にリン化硼素(BP)結晶層を形成し、次いで該リン化硼素結晶層上に、750℃以上1200℃以下の温度に於いて、窒化ガリウム(GaN)種結晶層を気相成長させ、次いで該窒化ガリウム種結晶層上に窒化ガリウム結晶層を気相成長させ、その後、珪素単結晶基板、非晶質層、及びリン化硼素結晶層を除去して、窒化ガリウム結晶基板を製造することを特徴とする窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  2. 上記非晶質層、リン化硼素結晶層、及び窒化ガリウム種結晶層を有機金属化学的気相堆積法(MOCVD法)に依り形成し、窒化ガリウム結晶層をハイドライド(hydride)気相成長法に依り形成することを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  3. 硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を、250℃以上1200℃以下の温度で形成することを特徴とする請求項1または2に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  4. リン化硼素(BP)結晶層を、750℃以上1200℃以下の温度で形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  5. 珪素単結晶基板の表面が{111}結晶面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  6. 溝の深さを珪素単結晶基板の厚さの1/2〜1/3の範囲とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  7. 非晶質層の厚さは1nm以上で50nm以下とすることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法に依り製造された窒化ガリウム結晶基板。
  9. 請求項に記載の窒化ガリウム結晶基板を備えていることを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
  10. 窒化ガリウム結晶基板の表面に、オーミック電極が形成されていることを特徴とする請求項に記載の窒化ガリウム系半導体素子。
  11. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法に依り製造された窒化ガリウム結晶基板上に、III族窒化物半導体からなる発光層を含む機能層が形成され、機能層の表面と窒化ガリウム結晶基板の裏面にそれぞれオーミック電極が形成されていることを特徴とする発光ダイオード。
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