JP3290762B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3290762B2
JP3290762B2 JP16234793A JP16234793A JP3290762B2 JP 3290762 B2 JP3290762 B2 JP 3290762B2 JP 16234793 A JP16234793 A JP 16234793A JP 16234793 A JP16234793 A JP 16234793A JP 3290762 B2 JP3290762 B2 JP 3290762B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低線膨張率で寸法安定
性が優れ、耐衝撃性と剛性のバランスが優れた熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車は軽量化による燃費の向上
を目的として、自動車部品のプラスチック化が急速に進
み、インストルメントパネル、コンソールボックス、グ
ローブボックス、ハンドル、トリム等の内装部品や、モ
ール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガー
ド、サイドバンパー等の外装部品だけでなく、従来金属
であったバンパー、フェイシア、フェンダー、ドアパネ
ル及びボディーの一部等にまで、各種プラスチック材料
が用いられるようになった。
【0003】このような自動車部品に用いられるプラス
チックとしては、例えば、RIMウレタン、複合ポリプ
ロピレン、G/F強化ポリアミド等の無機物強化プラス
チック、及びPC/PBT、PPE/PA等のポリマー
アロイ材料などが挙げられる。これらの材料のうち、複
合ポリプロピレンは、例えばポリプロピレンに部分的に
架橋されたエチレン・プロピレン共重合ゴム及びオイル
等を配合したポリプロピレン系組成物が特開昭53−1
45857号、同54−16554号及び同57−13
5847号各公報などに記載されており、PPE/PA
のポリマーアロイは、例えばポリフェニレンエーテルと
ポリアミドの組合せに耐衝撃性改良材として極性基含有
化合物変性ゴム質を加えた組成物が特開昭56−497
53号公報に開示されており、更に耐低温衝撃性と剛性
のバランスを改良するため、変性ポリフェニレンエーテ
ル中間体とポリアミドと耐衝撃性改良材とからなる組成
物が特開平1−19664号公報に提案されている。
【0004】とりわけ、フェイシア、フェンダー及びド
アパネルに用いられる材料は、従来のプラスチック部品
と比較して更に高いレベルの性能が要求されるようにな
ってきた。例えば、耐衝撃性;衝突時のエネルギーを
変形することによって吸収し、その後回復する特性や、
低温時に延性的に衝撃破壊する特性。低温膨張率によ
る寸法安定性;塗装後のプラスチック成形品が高温環境
下における使用時に、塗料と素地のプラスチックとの熱
膨張の度合が異なるために、塗膜の剥離や塗装面に微細
な亀裂が生じ、外観や意匠性が悪化するケースがしばし
ばある。また、プラスチックの大型成形品を他の材質、
例えば木材、金属等の成形品と併用する場合、高温使用
環境下では熱膨張の度合が異なるために、寸法差やかみ
合い不良といった問題が生じているのが現状である。し
たがって、上記及びを満足させる材料技術、すなわ
ちプラスチックの耐衝撃強度の向上と高温における寸法
安定性向上(熱膨張係数の制御技術)の確立が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の自動車用プラス
チック材料では、高温における寸法精度(線膨張係数)
と高いレベルでの耐衝撃強度を両立させることは困難で
あった。これに対する一般的な対策の中で、例えばエラ
ストマーを高含量配合することにより、耐衝撃性が向上
することはよく知られているが、一方で高温における寸
法精度(線膨張係数)は悪くなる。そこで、エラストマ
ーを一定量にし、耐衝撃強度を向上させる手法として、
一般にモルホロジーの改良がある。これは、特殊なブレ
ンド技術又は配合技術の利用により異種の熱可塑性樹脂
間の相溶化能を高め、そのミクロな分散形態(ドメイン
−マトリックス構造)におけるドメイン粒径を微細化す
る方法であるが、高温における寸法精度(線膨張係数)
は改良されない。
【0006】また、寸法精度(線膨張係数)の改良には
無機フィラーの配合といった手法が考えられるが、この
場合には成形品が脆弱となりやすく、耐衝撃性レベルが
低下し、特に、低温での衝撃破壊形態が脆性に原因のあ
ることを示し、その用途は著しく限定されている。
【0007】そこで本発明は、上記欠点を改良し、高温
における寸法精度(線膨張係数)が優れ、かつ低温の耐
衝撃性と剛性のバランスが優れる樹脂組成物を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この問題を解決するため
に、本発明者らは曲げ弾性率の異なる熱可塑性樹脂及び
無機フィラーの分散状態と寸法安定性、特に線膨張率と
の関係につき、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂
の中でその熱可塑性樹脂より曲げ弾性率が小さい他の熱
可塑性樹脂が、粒子に分散する(ドメイン−マトリック
ス構造)のではなく、網目状、換言すればネットワーク
状に分散する形態を形成する場合、及び無機フィラー
が曲げ弾性率の小さい熱可塑性樹脂(b)中に存在する
のではなく、選択的に曲げ弾性率の大きい熱可塑性樹脂
(a)中に存在する場合に、従来の製品では予想されな
かった高い寸法安定性を有することを見出し、本発明を
完成した。
【0009】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂成分
(a)、成分(a)より曲げ弾性率が小さい熱可塑性樹
脂成分(b)及び無機フィラー(c)からなる樹脂組成
物において、成分(b)が成分(a)中でネットワーク
形態を形成し、かつ成分(c)が実質的に成分(a)中
に存在していることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物で
ある。
【0010】特に、一辺1μm の正方形内に存在する成
分(b)のネットワークで閉鎖された成分(a)の領域
数mが、式(I)で示すインデックスRの平均値を0.
9以下とする形態の上記の熱可塑性樹脂組成物である。
【0011】
【数2】
【0012】ここで、本発明の主要事項である一方の熱
可塑性樹脂組成物中における他方の熱可塑性樹脂の分散
形態を確認する方法、及びRの算出方法について述べ
る。
【0013】まず、例えば射出成形品あるいは混練によ
り得られたペレットから一部を切り出し、RuO4 、O
sO4 染色を行った後、ウルトラミクロトーム(ライヘ
ルト社製ウルトラカットN)を用いて超薄切片を作成
し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM100C
X)で観察する。成分(b)の熱可塑性樹脂は染色によ
り黒く観察され、その存在状態を容易に観察することが
できる。更に観察した写真を画像処理解析装置(日本ア
ヴィオニクス社製スピカ2)により、成分(b)の熱可
塑性樹脂の分散状態を二値化し、一辺1μm の正方形内
に存在する、熱可塑性重合体(b)のネットワークによ
り閉鎖されている他成分樹脂の領域の数mを算出し、式
(I)によりRを計算する。この解析を成形品又はペレ
ットの代表的な場所10ヶ所以上好ましくは30ヶ以上
について行い、その平均値を求め、ネットワーク構造の
インデックスとする。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】<熱可塑性樹脂(a)>本発明で使用する
熱可塑性樹脂は、一般に加熱により、成形できる程度の
熱可塑性を有する合成樹脂であり、以下に具体例を示
す。
【0016】(a−1)飽和ポリエステル 本発明において用いる結晶性熱可塑性樹脂の例として飽
和ポリエステルがあげられ、種々のポリエステルが使用
可能である。
【0017】例えば、その1つとして、通常の方法に従
って、ジカルボン酸又はその低級アルキルエステル、酸
ハライド若しくは酸無水物誘導体と、グリコール又は2
価フェノールとを縮合させて製造する熱可塑性ポリエス
テルが挙げられる。
【0018】このポリエステルを製造するのに適した芳
香族又は脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、
イソフタル酸、p,p´−ジカルボキシジフェニルスル
ホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシ
フェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフェノキシ酪
酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,6−ナフタ
リンジカルボン酸又は2,7−ナフタリンジカルボン酸
等あるいはこれらのカルボン酸の混合物が挙げられる。
【0019】また飽和ポリエステルの製造に適する脂肪
族グリコールとしては、炭素数2〜12の直鎖アルキレ
ングリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール等が
例示される。また、芳香族グリコールとしては、p−キ
シリレングリコールが例示され、2価フェノールとして
は、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン又
はこれらの化合物のアルキル置換誘導体が挙げられる。
他の適当なグルコールとしては、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールも挙げられる。
【0020】他の好ましい飽和ポリエステルとして、ラ
クトンの開環重合によるポリエステルも挙げられる。例
えば、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクト
ン)等である。
【0021】また、更に他の好ましい飽和ポリエステル
として、溶融状態で液晶を形成するポリマー(Thermotr
opic Liquid Crystal Polymer: TLCP)としてのポリエス
テルがある。これらの区分に入るポリエステルとして
は、イーストマンコダック社のX7G、ダートコ社のザ
イダー(Xydar)、住友化学社のエコノール、セラニーズ
社のベクトラ等が代表的な製品である。
【0022】以上、挙げた飽和ポリエステルの中でも、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン
テレフタレート)(PCT)又は液晶性ポリエステル等
が本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な飽和ポリエステ
ルである。
【0023】ここで使用する飽和ポリエステルは、フェ
ノール/1,1,2,2−テトラクロルエタンの60/
40重量%混合液中、20℃で測定した固有粘度が0.
5〜5.0dl/gの範囲が好ましい。より好ましくは、
1.0〜4.0dl/g、とりわけ好ましくは2.0〜3.
5dl/gである。固有粘度が0.5dl/g未満であると、耐
衝撃性が不足し、5.0dl/g以上では、成形性に難があ
る。
【0024】(a−2)ポリアミド 結晶性熱可塑性樹脂の例としてポリアミドが挙げられ、
本発明において使用するポリアミドは、ポリマー主鎖に
−CO−NH−結合を有し、加熱溶融できるものであ
る。その代表的なものとしては、ナイロン4、ナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン12、
ナイロン6,10等が挙げられ、その他、公知の芳香族
ジアミン、芳香族ジカルボン酸等のモノマー成分を含む
低結晶性及び非晶性のポリアミド等も用いることができ
る。
【0025】好ましいポリアミドは、ナイロン6又はナ
イロン6,6であり、中でもナイロン6が特に好まし
い。
【0026】本発明で使用するポリアミドは、相対粘度
が2.0〜8.0(25℃の98%濃硫酸中で測定)で
あるものが好ましい。
【0027】(a−3)ポリオレフィン 熱可塑性樹脂の例としてポリオレフィンが挙げられ、本
発明において使用するポリオレフィンは、エチレン、プ
ロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、
3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプ
テン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合
体、これらα−オレフィン同士のランダム又はブロック
共重合体、これらのα−オレフィンの過半重量と他の不
飽和単量体とのランダム、グラフト又はブロック等の共
重合体、これらのオレフィン系重合体に酸化、ハロゲン
化、スルホン化等の処理を施したものであり、少なくと
も部分的にポリオレフィンに由来する結晶性を示すもの
である。これらは、単独又は2種以上を併用してもよ
い。
【0028】ここで他の不飽和単量体の例としては;ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、無水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アル
キルマレイン酸イミド等の不飽和カルボン酸又はその誘
導体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;ス
チレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニ
ルトリメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ジシ
クロペンタジエン、4−エチリデン−2−ノルボルネン
等の非共役ジエンなどが挙げられる。
【0029】ポリオレフィンは既知の方法による重合又
は変性等により得られるが、市販のものから適宜選んで
用いてもよい。
【0030】これらの中でも、プロピレン、ブテン−
1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1の
単独重合体又はこれらの過半重量含む共重合体が好まし
く、中でも特に結晶性プロピレン系重合体、すなわち結
晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−α−オ
レフィンブロック若しくはランダム共重合体、これらの
結晶性プロピレン重合体とα−オレフィン系ゴムすなわ
ちゴム状の複数のα−オレフィンよりなる共重合体又は
複数のα−オレフィンと非共役ジエンとの混合物が、機
械的物性バランスの点で好ましい。
【0031】これらの結晶性プロピレン系重合体又はこ
れらとα−オレフィン系ゴムを含む混合物のメルトフロ
ーレイト(MFR)(230℃、荷重2.16kg)は
0.01〜250g /10分の範囲が好ましく、0.0
5〜150g /10分の範囲がより好ましく、とりわけ
0.1〜50g /10分の範囲が好ましい。MFRの値
がこれより低い範囲では成形加工性に難点が生じ、これ
より高い範囲では機械的物性バランスのレベルが低く好
ましくない。
【0032】これらの中には、より高分子量のものを、
ラジカル発生剤、例えば有機過酸化物等の存在下で加熱
処理により分子量を変化させて、このMFRの範囲とな
ったものも含まれる。
【0033】(a−4)ポリフェニレンエーテル 本発明で使用する熱可塑性樹脂の例としてポリフェニレ
ンエーテルが挙げられ、このものは一般式(II)
【0034】
【化1】
【0035】(式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級
若しくは第二級アルキル基、アリール基、アミノアルキ
ル基、ハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化
水素オキシ基を表し、Q2 は各々水素原子、ハロゲン原
子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基、ハ
ロ炭化水素基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキ
シ基を表し、nは10以上の整数を表す)
【0036】で示される構造を有する単独重合体又は共
重合体である。Q1 及びQ2 の第一級アルキル基の好適
な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、
n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、n−ヘキ
シル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−若しくは4
−メチルペンチル又はヘプチルである。第二級アルキル
基の好適な例は、イソプロピル、sec −ブチル又は1−
エチルプロピルである。多くの場合、Q1 はアルキル基
又はフェニル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であ
り、Q2 は水素原子である。
【0037】好適なポリフェニレンエーテルの単独重合
体としては、例えば、2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル単位からなるものである。好適な共重合
体としては、上記単位と2,3,6−トリメチル−1,
4−フェニレンエーテル単位との組合せからなるランダ
ム共重合体である。多くの好適な単独重合体又はランダ
ム共重合体が、特許及び文献に記載されている。例え
ば、分子量、溶融粘度及び/又は耐衝撃強度等の特性を
改良する分子構成部分を含むポリフェニレンエーテル
も、また好適である。
【0038】ここで使用するポリフェニレンエーテル
は、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度が0.
2〜0.8dl/gであるものが好ましい。更に好ましく
は、固有粘度が0.2〜0.5dl/gのものであり、とり
わけ好ましくは、固有粘度が0.25〜0.4dl/gのも
のである。
【0039】固有粘度が0.2dl/g未満では組成物の耐
衝撃性が不足し、0.8dl/g超過では組成物の成形性と
成形品の外観に難が生じる。
【0040】(a−5)ポリカーボネート 熱可塑性樹脂の例としてポリカーボネート(PC)が挙
げられ、本発明において用いるポリカーボネートとして
は、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネー
ト、脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられる。
そのうちでも、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ア
ルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エーテル系、ビ
ス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフィド又はス
ルホキサイド系等のビスフェノール類からなる芳香族ポ
リカーボネートが好ましい。また必要に応じてハロゲン
で置換されたビスフェノール類からなるポリカーボネー
トを用いることができる。
【0041】なお、使用するポリカーボネートの分子量
には何ら制限はないが一般的には1万以上、好ましくは
2万〜4万のものである。
【0042】上記以外の熱可塑性樹脂(a)の例とし
て、ポリアセタール(POM)、フッ素樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン、ABS樹脂、芳香族ポリサルホ
ン、芳香族ポリエーテルサルホン、ケイ素樹脂、ポリ塩
化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリ(アルキル)アク
リレート等が挙げられるが、好ましくは飽和ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンエー
テル、ポリカーボネート等が挙げられ、より好ましくは
飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンであ
る。
【0043】これら熱可塑性樹脂(a)の曲げ弾性率
は、1,000kg/cm2(JIS K7203)以上であ
るものが好ましく、より好ましくは3,000kg/cm2
上であり、特に好ましくは5,000kg/cm2以上であ
る。
【0044】本発明に使用する熱可塑性樹脂(a)は、
均一に混合するものは2種類以上併用してもよい。
【0045】<成分(a)より曲げ弾性率が小さい熱可
塑性樹脂(b)>本発明で使用する熱可塑性樹脂(b)
は、成分(a)より曲げ弾性率が小さく、好ましくは成
分(a)と成分(b)の曲げ弾性率の比(Ma /Mb)が
5以上であり、特に好ましくはMa /Mb が20以上で
ある。
【0046】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂
(b)はゴム状重合体が好ましく、例えば芳香族ビニル
化合物重合体ブロックAと共役ジエン重合体ブロックB
とからなるブロック共重合体の水素添加物が挙げられ、
そのブロック共重合体の水素添加物は、芳香族ビニル化
合物に由来する連鎖ブロックAと共役ジエンに由来する
連鎖ブロックBを各々少なくとも1個有する構造を持
つ、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
のブロックB脂肪族不飽和結合が水素化により減少した
ブロック共重合体である。ブロックA及びBの配列は、
線状構造をなすもの、あるいは分岐構造(ラジカルテレ
ブロック)をなすものを含む。また、これらの構造のう
ちの一部に芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダ
ム共重合体部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよ
い。これらのうちで線状構造をなすものが好ましく、ジ
ブロック構造をなすものがより好ましい。
【0047】芳香族ビニル化合物として、好ましくはス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニル
キシレンであり、より好ましくはスチレンである。
【0048】共役ジエンとしては、好ましくは1,3−
ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンである。
【0049】芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック
共重合体の水素添加物における芳香族ビニル化合物に由
来する繰返し単位の占める割合は、10〜80重量%の
範囲が好ましく、15〜60重量%の範囲がより好まし
い。
【0050】これらブロック共重合体における脂肪族連
鎖部分のうち、共役ジエンに由来し、水素添加されずに
残存している不飽和結合の割合は、20%以下が好まし
く、10%以下がより好ましい。また、芳香族ビニル化
合物に由来する芳香族性不飽和結合の約25%以下が水
素添加されていてもよい。
【0051】これらの水素添加ブロック共重合体は、そ
れらの分子量の目安として、25℃におけるトルエン溶
液粘度の値が30,000〜10cP(濃度15重量%)
の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは10,0
00〜30cPである。30,000cPより大きい値の範
囲では最終組成物の成形加工性に難点を生じ、また10
cPより小さい値の範囲では、最終組成物の機械的強度レ
ベルが低く好ましくない。
【0052】更に、本発明で使用するゴム状重合体とし
て、ポリオレフィン系共重合体が挙げられ、好ましくは
エチレン−プロピレン共重合体系ゴムであり、具体的に
は、エチレンとプロピレンを主成分とする無定形ランダ
ム共重合体、特に非共役ジエンを共重合させたものであ
る。この場合の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタ
ジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、
メチルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンなどが用いられる。
【0053】これらエチレン−プロピレン共重合体系ゴ
ムは、塩化バナジウム、バナジウムオキシクロリドなど
のバナジウム化合物とトリエチルアルミニウムセスキク
ロリドなどの有機アルミニウム化合物とからなるバナジ
ウム系触媒を用いて重合させることによって製造された
ものが代表的である。この様な触媒系によって製造され
た共重合体ゴムは、一般にランダム性の良好なものであ
る。
【0054】また、これらのエラストマーにマレイン
酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸、
イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステル、無水イタ
コン酸、フマル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸;エ
ンド−ビシクロ〔2.2.1〕−5−ヘプテン−2,3
−ジカルボン酸若しくはこれらの誘導体などの脂環式カ
ルボン酸;グリシジル基と(メタ)アクリレート基を同
一分子内に持つ化合物;グリシジルオキシ基とアクリル
アミド基を同一分子内に持つ化合物;脂環式エポキシ基
を有する不飽和単量体;及びブチルグリシジルマレート
等の含エポキシ化合物をパーオキサイド、電離放射線、
紫外線などを利用してグラフト重合したものを使用して
もよい。
【0055】これらの熱可塑性樹脂(b)の曲げ弾性率
は、10,000kg/cm2(JISK 7203)以下で
あるものが好ましい。更に好ましくは8,000kg/cm2
以下であり、特に好ましくは6,000kg/cm2以下であ
る。
【0056】本発明に使用される熱可塑性樹脂(b)は
1種類若しくは2種類以上を併用してもよい。
【0057】<無機フィラー(c)>本発明に用いる無
機フィラー(c)は、平均粒径が5μm 以下、好ましく
は4μm 以下、とりわけ2.5μm 以下のものが好まし
い。ここでいう平均粒径とは、電子顕微鏡の観察によっ
て測定される一次粒子の平均最大粒子径である。無機フ
ィラーの形状は、球状、立法形状、粒状、針状、板状、
繊維状など種々あり、いずれも使用可能であるが、なか
でも板状のものが剛性と耐衝撃性の物性バランスと寸法
安定性の向上の効果から好ましい。
【0058】このような無機フィラー(c)として、周
期律表第I族〜VIII族中の金属元素(例えばFe、N
a、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti)
又はケイ素元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫
酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各
種粘度鉱物、その他があり、具体的には例えば酸化チタ
ン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウ
ム、酸化鉄、アルミナ、チタン酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、
亜硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレーワラスト
ナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、けい砂、けい
石、石英粉、しらす、けいそう土、ホワイトカーボン、
鉄粉、アルミニウム粉等を挙げることができ、これらは
複数種併用しても差しつかえない。なかでも板状である
ことから、平均粒径が5μm 以下のタルク、マイカ、カ
オリンクレー、けいそう土等が好ましい。
【0059】これらの無機フィラー(C)は、無処理の
まま用いてもよいが、樹脂との親和性又は界面結合力を
高める目的で無機表面処理剤、すなわち高級脂肪酸若し
くはそのエステル、塩等の誘導体(例えばステアリン
酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニ
ウム、ステアリン酸アミド、ステアリン酸エチルエステ
ル、ステアリン酸メチルエステル、オレイン酸カルシウ
ム、オレイン酸アミド、オレイン酸エチルエステル、パ
ルミチン酸カルシウム、パルミチン酸アミド、パルミチ
ン酸エチルエステル等);カップリング剤(例えばビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン等);チタンカップリング剤(例えばイソプロピ
ルトリイソスチアロイルチタネート、イソプロピルトリ
ラウリルミリスチルチタネート、イソプロピルイソステ
アロイルジメタクリルチタネート、イソプロピルトリジ
イソオクチルホスフェートチタネート等)が使用でき
る。
【0060】また、本発明で用いる無機フィラーはガラ
ス繊維でもよく、平均直径が15μm 以下のものが好ま
しく、更に1〜10μm のものが物性バランス(耐熱剛
性、衝撃強度)をより一層高める点並びに成形反り変形
・再加熱反り変形をより一層低減化させる点で好まし
い。
【0061】また該ガラス繊維の長さは特定されるもの
でないが、ロービング供給、1〜8mm程度のチョップド
ストランド等も好ましい。この場合の集束本数は通常1
00〜5,000本が好ましい。また、混練後の長さが
平均0.1mm以上に得られるならば、いわゆるミルドフ
ァイバー、ガラスパウダーと称せられるストランドの粉
砕品でも良く、また、連続単繊維系のスライバー上のも
のでもよい。原料ガラスの組成は、無アルカリのものが
好ましく、例の一つにEガラスがある。
【0062】ガラス繊維の平均値径が15μm を超える
と、機械的強度の向上度が小さくなり、成形反り量が大
きくなり好ましくない。ここで、平均直径は電子顕微鏡
などにより観察したものであり、平均とは数平均を示
す。
【0063】ここで集束剤は通常、フィルム成形剤、界
面活性剤、柔軟剤、帯電防止剤、潤滑剤等より構成され
るが、表面処理剤のみでもよい。
【0064】これらの、ガラス繊維を用いる際には、樹
脂との親和性あるいは界面結合力を高める目的で、種々
のカップリング剤を使用することができる。
【0065】カップリング剤としては通常はシラン系、
クローム系、チタン系等のカップリング剤等を含む。中
でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の
エポキシシラン;ビニルトリクロロシラン;γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン等のシラ
ン系カップリング剤を含むものが好ましい。この際、非
イオン、陽イオン又は陰イオン型等各種の界面活性剤や
脂肪酸、金属石鹸、各種樹脂などの分散剤による処理を
合わせて行うことが、機械的強度及び混練性の向上の点
で好ましい。
【0066】<構成成分の組成比>以上述べた成分
(a)〜(c)の組成比は、成分(a)、(b)及び
(c)の合計重量を100重量%として、下記のとおり
である。
【0067】成分(a)は5〜80重量%であり、好ま
しくは7〜75重量%、より好ましくは10〜65重量
%である。成分(a)が5重量%未満では寸法安定性
(線膨張率)及び剛性が不満足であり、80重量%超過
では寸法安定性(線膨張率)及び耐衝撃強度が不満足と
なる。
【0068】成分(b)は5〜80重量%であり、好ま
しくは10〜70重量%、より好ましくは15〜50重
量%である。成分(b)が5重量%未満では寸法安定性
(線膨張率)及び剛性が不満足であり、80重量%超過
では寸法安定性(線膨張率)及び耐衝撃強度が不満足と
なる。
【0069】成分(c)は2〜40重量%であり、好ま
しくは5〜35重量%、より好ましくは、8〜25重量
%である。成分(c)が2重量%未満では寸法安定性が
不満足であり、40重量%超過では耐衝撃強度が不満足
となる。
【0070】<熱可塑性樹脂組成物の形態>本発明の熱
可塑性樹脂組成物の形態は、成分(b)がネットワーク
状で存在し、電子顕微鏡で観察した写真を画像処理する
ことにより、一辺1μm の正方形内に存在する該ネット
ワークで閉鎖された成分(a)のマトリックス領域の数
mを計測し、式(I)
【0071】
【数3】
【0072】で計算されるRの平均値が0.9以下であ
るインデックスを与える形態を有するものであり、Rの
平均値は好ましくは0.85以下、より好ましくは0.
80以下である。
【0073】更に、成分(c)は、実質的に成分(a)
中に存在することが必須であり、好ましくは成分(c)
の80%以上が、より好ましくは95%以上が、成分
(a)中に存在する。成分(c)が成分(a)以外に存
在する場合は、寸法安定性及び剛性が不満足になる。
【0074】<成分(a)と成分(b)の溶融せん断粘
度比>成分(a)と成分(b)の溶融せん断粘度比はい
ずれの値をとっても差しつかえないが、好ましくは成分
(b)/成分(a)の溶融せん断粘度比が1.0未満で
あり、より好ましくは0.9以下であり、更に好ましく
は0.85以下であり、特に好ましくは0.8以下であ
る。
【0075】なお、ここでいう溶融せん断粘度とはJI
S K 7210の参考試験として記載されている方
法、すなわち、溶融した樹脂を一定速度で毛細管から押
出したときのせん断粘度(ずり粘度)のことであり、具
体的測定装置としては、高架式フローテスター(インス
トロン・キャピラリー・レオメーター)がある。この装
置を用いて、例えばシリンダー温度を280℃、ノズル
径を1mm、ノズル長さを10mmに設定し、押出し速度を
変化させて測定することができる。なお、ここでの溶融
せん断粘度はせん断速度50〜300sec-1 の値を採用
した。
【0076】<付加的成分>本発明による熱可塑性樹脂
組成物には、他の付加的成分を添加することができる。
例えば、異なる熱可塑性樹脂同士を相溶させる相溶化
剤、また熱可塑性樹脂に周知の酸化防止剤、耐候性改良
剤、造核剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、流動性
改良剤等を使用できる。場合によっては有機過酸化物を
添加してもよい。有機・無機充填剤、補強剤、特にガラ
ス繊維、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カ
リウム、炭酸カルシウム、シリカ等の添加は、剛性、耐
熱性、寸法精度等の向上に有効である。実用のために各
種着色剤及びそれらの分散剤なども周知のものが使用で
きる。
【0077】<組成物の製造及び成形法>本発明の熱可
塑性樹脂組成物を得るための製造法は、特に限定される
ものではなく、例えば溶融混合法又は溶液混合法等が使
用できる。溶融混合の代表的な方法としては、熱可塑性
樹脂について一般に実用されている溶融混練機の使用が
挙げられる。例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロー
ル、バンバリーミキサー等である。
【0078】また、溶液混合法としては、各成分を適当
な溶媒に溶解、あるいは懸濁状態で混合する方法等があ
る。
【0079】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法
は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について
一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、中空
成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層
成形、プレス成形等の各種成形法が適用できる。
【0080】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、更に具体的
に説明する。なお、以下で部は重量によるものとする。
【0081】実施例1〜7 使用した各成分は次のとおりである。 成分(a): (a−1)飽和ポリエステル:ポリブチレンテレフタレ
ート(鐘紡社製、商品名:PBT128)、曲げ弾性率
(JIS K 7203):25,000kg/cm2) (a−2)ポリアミド:ポリアミド6(鐘紡社製、商品
名:MC161、JIS K 6810準拠による相対
粘度6.8、曲げ弾性率(JIS K 7203):2
7,000kg/cm2) (a−3)ポリオレフィン:プロピレン−エチレンブロ
ック共重合体(三菱油化社製、商品名:BC8DQ、J
IS K 7210によるMFR:1.2g /10分、
赤外線分光分析によるエチレン含量:5.5重量%、曲
げ弾性率(JIS K 7203):8,000kg/c
m2) (a−4)ポリフェニレンエーテル:ポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)(日本ポリエー
テル社試作品、30℃におけるクロロホルム中で測定し
た固有粘度0.30dl/g、曲げ弾性率(JIS K 7
203):26,000kg/cm2
【0082】成分(b): (b−1)SEBS:芳香族ビニル−共役ジエンブロッ
ク共重合体の水素添加物(シェル化学社製、クレートン
G1652、曲げ弾性率(JIS K 7203):
2,000kg/cm2) (b−2)変性SEBS1:芳香族ビニル−共役ジエン
ブロック共重合体の水素添加物(b−1)100部、不
飽和極性化合物としてエポキシ化アクリルアミド化合物
(鐘淵化学工業社製、商品名:カネカAXE)5部、
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼン(化薬ヌーリー社製、パーカドックス14)0.
1部とをスーパーミキサーにて充分混合撹拌し、これを
二軸型押出機(TEX44)を用いて、設定温度180
℃、スクリュー回転数200rpm で溶融混練し、樹脂組
成物とした後、ペレット化した。このペレットをアセト
ンで洗浄した後、減圧乾燥して変性樹脂を得た。この変
性樹脂の赤外線吸収スペクトル測定により、不飽和極性
化合物のグラフト重合量は1.6重量%であった。また
曲げ弾性率(JIS K 7203)は2,000kg/c
m2であった。 (b−3)変性SEBS2:無水マレイン酸変性芳香族
ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(シ
ェル化学社製、クレートンG1901X、曲げ弾性率
(JIS K 7203):1,500kg/cm2) (b−4):変性EPR:無水マレイン酸変性エチレン
−プロピレンゴム(日本合成ゴム社製、T7711S
P、無水マレイン酸含有量0.5〜1重量%、曲げ弾性
率(JIS K 7203):700kg/cm2
【0083】成分(c): (c−1)タルク:富士タルク社製、KT−300、平
均粒径:1.5μm (c−2)チタン酸カリウム:大塚化学社製、ティスモ
D102 (c−3)クレー:キンセイマテック社製、KT−17
0、平均粒径:0.6μm
【0084】あらかじめ成分(a)及び(c)を、表1
に示した配合比で二軸型押出機(日本製鋼所社製TEX
44)を用いて、設定温度230℃、スクリュー回転数
250rpm で、溶融混練し、ペレット化した。次いで、
このペレットと残りの成分(b)とを表1に示した配合
比で、スーパーミキサーにて充分混合撹拌し、これを上
記二軸型押出機を用いて、設定温度230℃、スクリュ
ー回転数350rpm 、ベント脱気600mmHgで、溶融混
練し、樹脂組成物とした後、ペレット化した。
【0085】上記の樹脂組成物のペレットから、インラ
インスクリュー式射出成形機(東芝機械製作所社製IS
−90B型)を用い、シリンダー温度280℃、金型冷
却温度80℃にて射出成形を行い、試験片を作成した。
【0086】なお、射出成形に際しては、その直前まで
減圧乾燥器を用い、0.1mmHg、80℃の条件で48時
間乾燥を行った。また、射出成形された試験片は、成形
直後にデシケータに入れ、23℃にて4〜6日間静置し
た後、下記の方法に従って評価試験を行い結果を表1に
示した。
【0087】(1)分散形態(Rの算出方法) 射出成形品又は混練により得られたペレットから試料と
して一部を切り出し、RuO4 、OsO4 染色を行った
後、ウルトラミクロトーム(ライヘルト社製ウルトラカ
ットN)を用いて超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡
(日本電子社製JEM100CX)で観察する。成分
(b)は染色により黒く観察され、その存在状態を観察
することができる。更に観察した写真を画像処理解析装
置(日本アヴィオニクス社製スピカ2)により、熱可塑
性樹脂の分散状態を二値化し、一辺1μm の正方形内に
存在する、成分(b)のネットワークにより閉鎖されて
いるマトリックス領域(a)の数mを算出し、式(I)
によりRを計算する。この解析を成形品又はペレットの
代表的な場所について行い、その平均値を求め、ネット
ワーク構造のインデックスとした。また、上記方法によ
り成分(c)の存在場所も観察する。
【0088】(2)溶融せん断粘度比(成分(b)/成
分(a)) JIS K 7210の参考試験として記載されている
方法に準じ、インストロン・キャピラリー・レオメータ
ーを用い各成分の溶融せん断粘度を測定した。
【0089】(3)三点曲げ弾性率 ISO R178−1974 Procedure12(JIS
K 7203)に準じインストロン試験機を用い測定し
た。
【0090】(4)アイゾット衝撃強度 ISO R180−1969(JIS K 7110)
ノッチ付アイゾット衝撃強度に準じ、アイゾット衝撃試
験機(東洋精機製作所社製)を用いて測定した。
【0091】(5)線膨張係数 ASTM D696に準じて線膨張係数を測定。ただし
測定温度範囲は23〜80℃。
【0092】(6)熱変形温度 HDTテスター(東洋精機製作所社製)を用いて、JI
S K 7207に準じて4.6kg荷重で評価した。
【0093】
【表1】
【0094】実施例1で得られた組成物について、7,
500倍の透過型電子顕微鏡写真を図1に示した。染色
により成分(b)(ここでは変性SEBS)が繊維状の
ネットワーク構造を形成していることがわかる。変性S
EBSで閉鎖された成分(a)(ポリブチレンテレフタ
レート)の領域数mは18であり、R値は0.49であ
る。成分(c)(タルク)は、成分(a)中に存在して
いる。
【0095】比較例1 表1に示した各成分を同表に示した配合比で、実施例1
〜7と同様に行った。結果を表1に示す。
【0096】比較例2 表1に示す配合比で成分(a)〜(c)をスーパーミキ
サーにて同時に混合撹拌した以外は、実施例1〜7と同
様に行った。結果を表1に示す。
【0097】比較例2で得られた組成物について、7,
500倍の透過型電子顕微鏡写真を図2に示した。成分
(c)は白く観察され、成分(b)中に存在しているこ
とがわかる。
【0098】
【発明の効果】上記評価試験の結果から、成分(a)よ
り曲げ弾性率が小さい成分(b)が成分(a)中でネッ
トワーク形態を有し、かつ成分(c)が実質的に成分
(a)中に存在する本発明の熱可塑性樹脂組成物は、寸
法安定性(低線膨張率)及び剛性と耐衝撃性バランスが
優れていることがわかる。したがって、その用途は広
く、工業的に有用な材料となりうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた組成物の繊維状粒子構造を
示す透過型電子顕微鏡写真(7,500倍)である。
【図2】比較例2で得られた組成物の繊維状粒子構造を
示す透過型電子顕微鏡写真(7,500倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−92668(JP,A) 特開 昭63−128076(JP,A) 特開 昭53−124559(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂成分(a)、成分(a)よ
    り曲げ弾性率が小さいゴム状重合体(b)、及び無機フ
    ィラー(c)からなる樹脂組成物であって、成分
    (a)、(b)及び(c)の合計100重量%に対し
    て、成分(a)5〜80重量%、成分(b)5〜80重
    量%、及び成分(c)2〜40重量%であり、成分
    (b)が成分(a)中でネットワーク形態を形成し、 一辺1μmの正方形内に存在する成分(b)のネットワ
    ークで閉鎖された成分(a)の領域数をmとし、式
    (I): 【数1】 で示すインデックスRの平均値が0.9以下であり、 JIS K 7210に記載の方法による、成分(b)
    と成分(a)との溶融せん断粘度比が、1.0未満であ
    り、かつ成分(c)の80%以上が成分(a)中に存在
    することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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