JP2003026937A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2003026937A
JP2003026937A JP2001219626A JP2001219626A JP2003026937A JP 2003026937 A JP2003026937 A JP 2003026937A JP 2001219626 A JP2001219626 A JP 2001219626A JP 2001219626 A JP2001219626 A JP 2001219626A JP 2003026937 A JP2003026937 A JP 2003026937A
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acid
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JP2001219626A
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Kiyoji Takagi
喜代次 高木
Mitsuru Nakamura
充 中村
Mitsuji Iwaki
光地 岩木
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 寸法安定性、耐衝撃性と剛性のバランスに優
れ、かつ、導電性や帯電防止性などの電気的性質にも優
れた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【構成】 熱可塑性樹脂{(A)成分}、(A)成分より曲げ
弾性率が小さい熱可塑性樹脂{(B)成分}、および、導電
性物質{(C)成分}からなる熱可塑性樹脂組成物におい
て、(B)成分が(A)成分中でネットワーク形態を形成し、
かつ、(C)成分が実質的に(B)成分中に存在することを特
徴とする。 【効果】 上記目的が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関する。さらに詳しくは、寸法安定性(寸法精度、
低線膨張率などと同じ意味である)、耐衝撃性と剛性の
バランスに優れ、かつ導電性や帯電防止性などの電気的
性質に優れた熱可塑性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車は軽量化による燃費の向上
を目的として自動車部品の樹脂化が急速に進んでいる。
すなわち、インストルメンタルパネル、コンソールボッ
クス、グローブボックス、ステアリングホイール(ハン
ドル)、トリムなどの内装部品、モール、ランプハウジ
ング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパー
などの外装部品のほか、従来金属製で製造されていたバ
ンパー、ファイシヤ、フェンダー、ドアパネルおよびボ
ディーなども、各種の樹脂材料で製造されるようになっ
た。
【0003】このような自動車部品に用いられる樹脂材
料としては、例えば、RIM(Reaction Injection Mold
ing)・ウレタン、複合ポリプロピレン、ガラス繊維強化
ポリアミドなどの無機物強化プラスチック、ポリカーボ
ネート(PC)とポリブチレンテレフタレート(PB
T)とのブレンド物(アロイと呼称されることもあ
る)、ポリフェニレンエーテル(PPE)とポリアミド
(PA)とのブレンド物などが挙げられる。
【0004】これらの樹脂材料のうち、複合ポリプロピ
レンは、例えば、ポリプロピレンに部分的に架橋された
エチレン・プロピロン共重合ゴム、およびオイルなどを
配合したポリプロピレン系樹脂組成物に関するものが、
特開昭53−145857号公報、特開昭54−165
54号公報、特開昭57−135847号公報などに記
載されている方法により製造される。PPEとPAとの
ブレンド物は、例えばPPEとPAの組合せに、耐衝撃
性改良材として極性基含有化合物で変性したゴム状物質
を配合した樹脂組成物(特開昭56−49753号公報
参照)や、さらに耐低温衝撃性と剛性のバランスを改良
するため、変性PPE中間体とPAと耐衝撃性改良材と
からなる組成物(特開平1−19664号公報参照)な
どが提案されている。
【0005】自動車部品の中でも、フェイシア、フェン
ダーおよびドアパネルに用いられる樹脂材料は、従来の
樹脂製部品と比較して、例えば次のようなさらに高いレ
ベルの性能が要求されるようになってきた。(1)耐衝撃
特性:衝突時のエネルギーを変形することによって吸収
し、その後回復する特性や、低温時の衝撃破壊が延性を
示す特性、(2)寸法安定性(低線膨張率):塗装後の樹脂
成形品が高温環境化において使用される際に、塗膜の剥
離や塗装面に微細な亀裂が生じ、外観や意匠性が悪化す
る。また樹脂製の大型成形品を他の材料、例えば木材、
金属などの成形品と併用する場合、寸法差や噛み合い不
良という問題が生じる。これらはいずれも、樹脂成形品
と他の材料とに線膨張率に差があることが原因である。
(3)導電性:樹脂成形品の表面に静電塗装法によって塗
装する際には、樹脂パネルに電気を流し、それと反対の
電荷を付与した塗料を吹き付けるので、樹脂パネルは導
電性であることが要求される。
【0006】従来の自動車部品製造用の樹脂材料では、
高温における寸法安定性、優れた耐衝撃強度、静電塗装
が可能な優れた導電性などの総ての特性を付与すること
は困難であった。これら要求される特性の中の耐衝撃強
度は、例えばエラストマーを多量配合することにより向
上させることができるが、高温における寸法安定性が悪
化する。そこで、エラストマーの配合量を少ない量に抑
制して衝撃強度を向上させる方法として、一般にモルホ
ロジー的な改良法がある。
【0007】これは、特殊なブレンド技術または配合技
術を採用することにより、異種の熱可塑性樹脂間の相溶
化能力を高め、そのミクロな分散形態(ドメイン・マト
リックス構造)におけるドメイン粒径を微細化する方法
であるが、得られる成形品の高温下における寸法安定性
は改良されない。寸法安定性を改良するには、無機質補
強材を配合する手法が考えられるが、この場合には成形
品が脆弱となりやすく、耐衝撃性が低下し、特に、低温
での耐衝撃性が極端に低下し、その用途は著しく限定さ
れる。
【0008】さらに、導電性を付与した材料が検討さ
れ、特開平2−201811号公報には、PPEとPA
とのブレンド物のミクロ形態が海−島構造を形成し、P
Aよりなる海相にカーボンブラックを選択的に含有さ
せ、少量のカーボンブラックによって導電性を向上でき
ると記載しているが、本発明者らの実験によれば、導電
性は改良されるが、成形加工性が大幅に低下することが
分かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
状況にあって、上記欠点を改良し、成形加工性を低下さ
せず、高温における寸法安定性が優れ、低温における耐
衝撃性が優れ、同時に優れた導電性を発揮する熱可塑性
樹脂組成物を提供することを目的として、鋭意検討の結
果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の目
的は、次のとおりである。 1.高温における寸法安定性が優れた熱可塑性樹脂組成
物を提供すること。 2.低温における耐衝撃性が優れた熱可塑性樹脂組成物
を提供すること。 3.優れた導電性を発揮する熱可塑性樹脂組成物を提供
すること。
【0010】
【題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、熱可塑性樹脂{(A)成分}、(A)成分よ
り曲げ弾性率が小さい熱可塑性樹脂{(B)成分}および導
電性材料{(C)成分}からなる樹脂組成物において、(B)
成分が(A)成分中でネットワーク形態を形成し、かつ、
(C)成分が実質的に(B)成分中に存在することを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、相互に不均一に混
合する熱可塑性樹脂{以下、(A)成分と略称する}と、
(A)成分より曲げ弾性率が小さい熱可塑性樹脂組成物
{以下、(B)成分と略称する}とを組み合わせ、一方の
熱可塑性樹脂の中で他方の熱可塑性樹脂が粒子状に分散
した海−島構造にするのではなく、一方の熱可塑性樹脂
{(A)成分}の中で、他方の熱可塑性樹脂{(B)成分}にネ
ットワーク形態を形成させ、導電性材料{以下、(C)成
分と略称する}を実質的に(B)成分中に存在させる。
【0012】本発明において(A)成分は、曲げ弾性率の
高い熱可塑性樹脂であり、具体的には、飽和ポリエスエ
ル類、ポリアミド類、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボ
ネートなどが挙げられる。(A)成分は、一種類でも二種
類以上の混合物であってもよい。(A)成分は、好ましく
は結晶性の熱可塑性樹脂である。本発明において結晶性
熱可塑性樹脂とは、示差走査熱量測定装置、例えば、パ
ーキン・エルマー(PERKIN-ELMER)社製DSC−IIを用い
て測定される融解熱が、1カロリー/グラム以上のもの
と定義する。結晶性熱可塑性樹脂は、明確な結晶構造ま
たは結晶化可能な分子構造を有する非ガラス様特性のも
のであり、測定可能な融解熱を有し、明確な融点を示す
ものである。融点および融解熱は、示差走査熱量測定装
置を用いて、融解熱は、1分間当り10℃の昇温速度
で、試料を予測される融点以上の温度に加熱し、次に試
料を1分間当たり10℃の速度で降温し、20℃まで冷
却し、そのまま約1分問放置した後、再び1分間当り1
0℃の速度で加熱昇温することにより測定することがで
きる。融解熱は、昇温と降温のサイクルで測定した値
が、実験誤差範囲内で一定値となるものを採用する。
【0013】(A)成分としての飽和ポリエステルとは、
ジカルボン酸類、その低級アルキルエステル類、酸ハラ
イド類または酸無水物誘導体と、グリコール類または二
価フェノール類とを縮合させて製造する熱可塑性ポリエ
ステルをいう。ジカルボン酸類は、芳香族ジカルボン酸
または脂肪族ジカルボン酸のいずれでもよい。具体的に
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、p,p′−ジカルボキシジフ
ェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−
カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフ
ェノキシ酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,
6−ナフタリンジカルボン酸または2,7−ナフタリン
ジカルボン酸、またはこれらのカルボン酸の混合物が挙
げられる。
【0014】グリコール類は、脂肪族グリコール類また
は芳香族グリコール類のいずれでもよい。脂肪族グリコ
ール類としては、炭素数が2〜12個の直鎖アルキレン
グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロ
ピレングリコール、1,4−ブテングリコール、1,6
−ヘキセングリコール、1,12−ドデカメチレングリ
コールなどが挙げられる。また、芳香族グリコ−ル類と
しては、p−キシリレングリコールが挙げられ、二価フ
ェノ一ル類としては、ピロカテコール、レゾルシノ一
ル、ヒドロキノンまたはこれら化合物のアルキル置換誘
導体が挙げられる。他の適当なグルコ−ルとしては、
1,4−シクロヘキサンジメタノ一ルも挙げられる。
【0015】他の好ましいポリエステルとしては、ラク
トンの開環重合によるポリエステルも挙げられる。例え
ば、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)
などである。さらに他の好ましいポリエステルとして
は、溶融状態で液晶を形成するポリマー(Thermotropic
Liquid Crystal Polymer;TLCP)としての液晶ポリエステ
ルが挙げられる。これら範疇に入り現在市販されている
液晶ポリエステルとしては、イーストマンコダッタ社の
X7G、ダートコ社のXyday(ザイダー)、住友化
学社のエコノ一ル、セラニーズ社のベクトラなどが挙げ
られる。
【0016】上に挙げた飽和ポリエステルの中でも(A)
成分として好ましいのは、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリナフタレンテレフタレート(PEN)、ポリ(1,
4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PC
T)、または液晶性ポリエステルなどである。
【0017】上に挙げた飽和ポリエステルの粘度は、フ
ェノールと1,1,2,2−テトラクロルエタンとを重
量比で60対40(重量%)の混合液中、20℃で測定
した固有粘度が0.5〜5.0dl/gの範囲が好ましい。
固有粘度が0.5dl/g未満であると、耐衝撃性が不足
し、5.0dl/g以上では成形性に難があり、いずれも好
ましくない。上記固有粘度の範囲では1.0〜4.0dl
/gが好ましく、中でも特に好ましいのは2.0〜3.5
dl/gである。
【0018】(A)成分としてのポリアミド類は、ポリマ
ー主鎖に−CO−NH−結合を有し、加熱溶融できるも
のをいう。その代表的なものとしては、ポリアミド−
4、ポリアミド−6、ポリアミド−6・6、ポリアミド
−4・6、ポリアミド−12、ポリアミド−6・10な
どが挙げられ、その他、公知の芳香族ジアミン、芳香族
ジカルボン酸などの単量体成分を含む低結晶性および非
晶性のポリアミドなどが挙げられる。好ましいポリアミ
ドは、ポリアミド6、またはポリアミド6・6、中でも
ポリアミド−6が特に好ましい。
【0019】上記ポリアミド類は、温度25℃、98%
濃硫酸中で測定した相対粘度が2.0〜8.0の範囲の
ものが好ましい。相対粘度が2.0未満であると機械的
強度が劣り、8.0を越えると成形性が劣り、いずれも
好ましくない。
【0020】(A)成分としてのポリオレフィン樹脂は、
α−オレフィンの単独重合、α−オレフィン同士のラン
ダムまたはブロック共重合体、α−オレフィンを主成分
とし、α−オレフィンと共重合可能な他の不飽和単量体
とのランダム、グラフトまたはブロック共重合体、これ
らのオレフィン系重合体に酸化、ハロゲン化、スルホン
化などの処理を施したものであり、少なくとも部分的に
ポリオレフィンに由来する結晶性を示すものであり、結
晶化度は20%以上をいう。これらは、単独でも2種以
上の混合物であってもよい。
【0021】α−オレフィンとしては、エチレン、プロ
ピレン、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、3
−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテ
ン−1、オクテン−1などが挙げられ、α−オレフィン
と共重合可能な他の不飽和単量体としては、アクリル
酸、メ夕クリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、無
水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマ
レイン酸イミド等ノ不飽和カルボン酸またはその誘導体
類;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;
スチレン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物
類;ビニルトリメチルメトキシシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシ
ラン類;ジシクロペンタジエン、4−エチルデン−2−
ノルボルネンなどの非共役ジエン類が挙げられる。
【0022】ポリオレフィン樹脂は、従来から知られて
いる方法による重合、または変性などにより得られる
が、市販されている製品群から適時選ぶこともできる。
ポリオレフィン樹脂の中では、プロピレン、ブテン−
1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1の
単独重合体またはこれらを主成分とする共重合体が好ま
しく、中でも特に結晶性プロピレン系重合体、すなわち
結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−α−
オレフィンブロックまたはランダム共重合体、これらの
結晶性プロピレン重合体とα−オレフィン系ゴム、すな
わちゴム状の複数のα−オレフィンよりなる共重合体ま
たは複数のα−オレフィンと非共役ジエンとの混合物
が、機械的物性バランスの点で好ましい。
【0023】上記の結晶性プロピレン系重合体、または
これらとα−オレフィン系ゴムを含む混合物は、温度2
30℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフロ
ーレイト(MFR)は、0.01〜250g/10分の範
囲が好ましい。MFRの値が0.01g/10分より低い
範囲では成形加工性が劣り、250g/10分より高い範
囲では機械的物性バランスのレベルが低く、いずれも好
ましくない。上記MFRの範囲では0.05〜150g/
10分がより好ましく、中でも0.1〜50g/10分の
範囲が特に好ましい。これらの中には、高分子量のもの
をラジカル発生剤、例えば有機過酸化物等の存在下で熱
処理により分子量を変化させて、MFRを上記範囲に調
節したものも含まれる。
【0024】本発明においてポリフェニレンスルフィド
とは、下記の式[I]で表される繰り返し単位を主構成要
素として含む、結晶性の単独重合体または共重合体をい
う。
【0025】
【化1】
【0026】ポリフェニレンスルフィドの製造法として
は、p−ジクロロベンゼンを硫黄、と炭酸ソーダの存在
下に重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウム、水
硫化ナトリウムと水酸化ナトリウム、または硫化水素と
水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、p−クロ
ロチオフェノールを自己縮合させる方法などが挙げられ
る。ポリフェニレンスルフィドは、上記式[I]で示され
る繰り返し単位からなる単独重合体、または、これを主
構成成分(80モル%以上)とし、他の繰り返し単位の
一種または二種以上を20モル%以下の割合で含む共重
合体が挙げられる。
【0027】本発明においてポリフェニレンエーテルと
は、下記の式[II]で表される構造を有する化合物の単独
重合体または共重合体をいう。
【0028】
【化2】
【0029】式[II]において、Q1およびQ2の第一級ア
ルキル基の好適な例は、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、n−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、
2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2,3−ジメチ
ルブチル基、2−,3−,4−メチルペンチル基または
ヘプチル基である。第二級アルキル基の好適な例は、イ
ソプロピル基、sec-ブチル基または1−エチルプロピル
基である。多くの場合、Q1はアルキル基またはフェニ
ル基、特に炭素数が1〜4個のアルキル基であり、Q2
は水素原子である。
【0030】好適なポリフェニレンエーテルの単独重合
体は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル
単位からなるものであり、好適な共重合体としては、上
記単位と2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン
エーテル単位との組み合わせからなるランダム重合体が
挙げられる。ポリフェニレンエーテルは、クロロホルム
中、30℃で測定した固有粘度が0.2〜0.8dl/gの
範囲のものが好ましい。固有粘度が0.2dl/g未満であ
ると、樹脂組成物の耐衝撃性が劣り、0.8dl/gを越え
ると成形性が劣り、いずれも好ましくない。固有粘度は
上記範囲で好ましいのは0.2〜0.7dl/gであり、中
でも特に好ましいのは、0.25〜0.6dl/gである。
【0031】本発明においてポリカーボネートとは、芳
香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香
族−脂肪族ポリカーボネートなどをいう。中でも好まし
い芳香族ポリカーボネートは、芳香族ヒドロキシ化合物
またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン
または炭酸のジエステルと反応させることによって得ら
れる、分岐していてもよい熱可塑性の芳香族ポリカーボ
ネート重合体、または共重合体である。芳香族ポリカー
ボネートの製法は、特に制限されるものではなく、従来
から知られているホスゲン法(界面重合法)または溶融
法(エステル交換法)などによって製造することができ
る。
【0032】芳香族ポリカーボネートの分子量は、溶媒
としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定さ
れた溶液粘度から換算した粘度平均分子量で13,00
0〜30,000の範囲のものが好ましい。粘度平均分
子量が13,000未満であると、樹脂組成物から得ら
れる成形品の機械的強度が劣り、30,000を超える
と樹脂組成物の成形性が悪く、いずれも好ましくない。
粘度平均分子量のより好ましい範囲は、15,000〜
27,000である。
【0033】上記以外の(A)成分の熱可塑性樹脂の例と
して、ポリアセタ−ル樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテル
エーテルケトンなどが挙げられる。ポリアセタ−ル樹脂
は、−CH2O−で表される繰り返し単位を主構成要素
として含む、結晶性の単独重合体または共重合体をい
う。単独重合体の場合、繰り返し単位は1000個以上
のものが好ましい。
【0034】フッ素樹脂は、分子内に炭素−フッ素結合
を有する熱可塑性樹脂をいい、ポリオレフィンの水素原
子のうち、総てまたは大部分がフッ素原子によって置換
された構造を有している。実用的なフッ素樹脂として
は、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレ
ン、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレンと六フッ
化プロピレンとの共重合体などが挙げられる。
【0035】ポリエーテルエーテルケトンは、下記の式
[III]で表される構造を有する結晶性の樹脂をいう。
【0036】
【化3】
【0037】(A)成分としての熱可塑性樹脂は、上に例
示したものが好適であるが、中でも好ましいのは、飽和
ポリエステル、ポリアミド類、ポリオレフィン樹脂であ
り、特に好ましいのは飽和ポリエステル、ポリアミド類
である。これら(A)成分は、一種類でも二種類以上の混
合物であってもよい。
【0038】本発明において(B)成分は、(A)成分より曲
げ弾性率が小さい熱可塑性樹脂をいう。具体的には、ゴ
ム状重合体であり、ASTM D882に準拠して測定
した引張弾性率が、5,000kg/cm2以下のものが好
ましい。
【0039】(B)成分はとしてのゴム状重合体しては、
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体(b
1)、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体
の水素添加物(b2)、ポリオレフィン系ゴム状共重合体(b
3)などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0040】ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック
共重合体(b1)を構成するビニル芳香族化合物として、好
ましくはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルス
チレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどであり、
中でも好ましいのは、スチレンである。共役ジエンとし
て、好ましくは1,3−ブタジエン、2−メチル−1,
3−ブタジエンである。
【0041】ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック
共重合体(b1)は、ビニル芳香族化合物重合体ブロックA
と共役ジエン化合物重合体Bとからなる。ブロックAお
よびブロックBの配列は、線状構造のもの、または分岐
構造(ラジカルテレブロック)のもののいずれでもよ
い。ブロックAおよびブロックBの一部に、ビニル芳香
族化合物と共役ジエンとのランダム共重合に由来するラ
ンダム鎖を含んでいてもよい。ブロック共重合体の配列
は、線状構造のものが好ましく、ジブロック構造のもの
がより好ましい。ブロック共重合体(b1)において、ビニ
ル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合
は、10〜80重量%の範囲が好ましく、15〜60重
量%の範囲が特に好ましい。
【0042】ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック
共重合体の水素添加物(b2)は、上記ブロック共重合体の
ブロックAの芳香族性不飽和結合と、ブロックBの不飽
和基の一部に水素を添加し、不飽和基を少なくしたブロ
ック共重合体である。ビニル芳香族化合物に由来する芳
香族性不飽和結合の約25%以下が水素添加されていて
もよく、ブロック共重合体の共役ジエンブロックBの脂
肪族鎖部分のうち、水素添加されずに残存している不飽
和結合の割合は、20%以下が好ましく、10%以下が
より好ましい。
【0043】ポリオレフィン共重合体系ゴム(b3)は、エ
チレン・プロピレン共重合体系ゴム、エチレン・ブテン
共重合体系ゴム、エチレン・ブテンを主成分とする無定
形ランダム共重合体ゴム、これらに非共役ジエンを共重
合させたものなどが挙げられる。非共役ジエンとして
は、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シ
クロオクタジエン、メチルノルボルネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0044】上記のポリオレフィン共重合体系ゴム(b3)
は、原料の単量体を、塩化バナジウム、バナジウムオキ
シクロリドなどのバナジュウム化合物と、トリエチルア
ルミニウムセスキクロリドなどの有機アルミニウム化合
物とからなるバナジュウム系触媒を用い、重合させるこ
とによって製造することができる。このよう様な触媒系
によって製造されたエチレン・プロピレン共重合体系ゴ
ムは、一般に、ランダム性が良好なものであり、結晶性
はほとんど示さず、結晶化度は0〜20%の範囲とな
る。
【0045】上記のポリオレフィン共重合体系ゴム(b3)
は、他の不飽和化合物をグラフト重合させて変性させた
ものであってもよい。変性用に使用される他の不飽和化
合物としては、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエス
テル、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノメ
チルエステル、無水イタコン酸、フマル酸などのα,β
−不飽和ジカルボン酸、エンド−ビシクロ[2,2,
1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、もしくは
これらの誘導体などの脂環式カルボン酸、またはグリシ
ジル基と(メタ)アクリレート基とを同一分子内に有す
る化合物、グリシジルオキシ基とアクリルアミド基を同
一分子内に持つ化合物、脂環式エポキシ基を有する不飽
和単量体、およびブチルグリシジルマレートなどの含エ
ポキシ化合物が挙げられる。これら他の不飽和化合物を
グラフト重合させるには、パーオキサイドを使用する方
法、電離放射線を照射する方法、紫外線を照射する方法
などのいずれかによることができる。
【0046】ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック
共重合体の水素添加物(b2)は、その分子量の目安として
のトルエン溶液粘度(温度25℃、濃度15重量%)の
値が30000〜10cpsの範囲にあるものが好まし
い。この溶液粘度が30000cpsより大きいと、樹脂
組成物の成形性が劣り、また10cpsより小さいと、樹
脂組成物の機械的強度が低下し、いずれも好ましくな
い。溶液粘度のより好ましい範囲は、10000〜30
cpsである。
【0047】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、相互
に不均一混合する前記(A)成分と上記(B)成分とを組み合
わせるが、(A)成分と(B)成分とは相溶性があることが好
ましい。本発明で相溶性とは、これら二種類の樹脂成分
が相互に親和性を有し、混合物を形成する性質をいう。
(B)成分を例えばグラフト、ブロック化反応により化学
的に親和性を高め、分散させる際の方法を選ぶことによ
り、物理的に分散した相の界面特性を変えることができ
る。
【0048】(A)成分と(B)成分とは、その溶融剪断粘度
比は特に制限されるものではないが、(A)成分の溶融剪
断粘度を[A]、(B)成分の溶融剪断粘度を[B]とするとき
両者の比{[A]/[B]}比が、1.0未満が好ましく、より
好ましくは0.9以下、中でも特に好ましくは0.85
以下である。なお、本発明で溶融剪断粘度とは、JIS
K7210の参考試験として記載されている方法、すな
わち、溶融した樹脂を一定速度で毛細管から押出した時
の剪断粘度(ずり粘度)をいう。具体的には、高架式フ
ローテスター(インストロン・キャピラロ−・レオメー
ター)を用い、例えば、シリンダ−温度280℃、ノズ
ル径1mm、ノズル長さ10mmに設定し、押出し速度を変
化させて測定することができる。溶融剪断粘度は剪断速
度は、例えば、50〜300sec-1の値とする。
【0049】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物に含まれ
る(C)成分は、導電性材料である。導電性材料として
は、導電性カーボンブラック、中空炭素フィブリル、カ
ーボンファイバ−の粉砕物、銅、ニッケル、亜鉛などの
金属粉、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆した
無機または有機化合物、イオン性や非イオン性などの有
機界面活性剤、ポリエチレングリコール単位やイオン性
官能基を持った高分子帯電防止剤などが挙げられる。中
でも導電性カーボンブラック、中空炭素フィブリルが好
適である。
【0050】導電性材料として好ましい導電性カーボン
ブラックは、ペイントなどに着色目的で加える顔料用カ
ーボンブラックとは違って、微細な粒子が連なった形態
をしているもので、ケッチェンブラックとして市販され
ている。
【0051】導電性材料として好ましい中空炭素フィブ
リルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な
多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各
層と中空領域とが、フィブリルの円柱軸の周囲に実質的
に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルで
ある。さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原
子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2〜20nm、
フィブリルの外径が3.5〜70nm、アスペクト比5以
上のものが好ましい。フィブリル外径が3.5nm末満で
は樹脂中ヘの分散性に劣り、70nmを越えると得られる
樹脂組成物の導電性が不十分であり、いずれも好ましく
ない。また、アスペクト比か5未満では、得られる樹脂
組成物の導電性が不満足である。
【0052】上記物性の中空炭素フィブリルは、特表昭
62−500943号や米国特許第4,663,230
号明細書に詳しく記載されている。その製法は、上記特
許公報や米国特許明細書に記載されているように、例え
ば、アルミナを支持体とする鉄、コバルト、ニッケル含
有粒子などの遷移金属含有粒子を、一酸化炭素、炭化水
素などの炭素含有ガスと、850〜1200℃の高温で
接触させ、熱分解により生じた炭素を、遷移金属含有粒
子を起点として繊維状に成長させる方法か挙げられる。
このような中空炭素フィブリルは、ハイペリオン・カタ
リシス社よりグラファイト・フィブリルという商品名で
市販されており、容易に入手することができる。
【0053】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、前
記三成分のほか、例えば、異なる熱可塑性樹脂同士を相
溶させる相溶化剤のほか、熱可塑性樹脂用の各種の樹脂
添加剤を添加することができる。樹脂添加剤としては、
着色剤、酸化防止剤、耐侯性改良剤、造核剤、難燃剤、
耐衝撃改良剤、可塑剤、流動性改良剤などが挙げられ
る。有機・無機充填剤、補強剤、特にガラス繊維、マイ
カ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸
カルシウム、シリカなどの添加は、樹脂組成物の剛性、
耐熱性、寸法精度などの向上に有効である。
【0054】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を調製す
るには、まず、(1)(A)成分、(B)成分、(C)成分、さらに
要すれば樹脂添加剤を所定量秤量して混合し、得られた
混合物を溶融・混練する方法、(2)まず(B)成分に(C)成
分を配合した混合物とし、(A)成分とさらに要すれば樹
脂添加剤を所定量秤量して混合し、得られた混合物を溶
融・混練する方法、などによることができる。
【0055】本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための
製造法は、特に限定されるものではなく、例えば溶融混
合法と溶液混合法がある。溶融混合の代表的な方法とし
て、熱可塑性樹脂について一般に実用されている溶融混
練機の使用があげられる。例えば、一軸押出機、多軸押
出機、ロール、バンバリーミキサー等がある。また、溶
液混合法として、各成分を適当な溶媒に溶解、または懸
濁状態で混合する方法などが挙げられる。
【0056】熱可塑性樹脂は、(A)成分、(B)成分および
(C)成分の三成分によって構成するが、三成分の合計量
を100重量%とした場合、(A)成分を5〜95重量
%、(B)成分を95〜5重量%、(C)成分を0.5〜10
重量%とするのが好ましい。(A)成分が5重量%末満
で、(B)成分が95重量%を越えた場合、および、(A)成
分が95重量%を越え、(B)成分が5重量量%末満であ
る場合には、樹脂組成物から得られる成形品の寸法安定
性および剛性が不満足であり、いずれも好ましくない。
(C)成分が0.5重量%未満であると、導電性および帯
電防止性が不十分であり、10重量%を越えると耐衝撃
強度および成形性が劣り、好ましくない。上記範囲の中
でも好ましいのは、(A)成分15〜90重量%、(B)成分
85〜10重量%であり、特に好ましいのは(A)成分4
0〜80重量%、(B)成分60〜20重量%である。
【0057】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、(B)
成分が(A)成分中でネットワークの形態で存在する。ネ
ットワークの形態は、例えば、成形品または溶融・混練
により得られたペレットから小片を切り出し、その表面
をRuO4(酸化ルテニウム)またはOsO4(酸化オス
ミウム)によって染色する。小片からウルトラミクロト
ーム(ライヘルト社製、ウルトラカットN)を用いて超
薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、J
EM100CX)によって、黒く染色された熱可塑性樹
脂を容易に観察することができる。本発明においてネッ
トワークの形態とは、(A)成分のマトリックスの中に、
(B)成分がネットワークを形成している形態をいう。(C)
成分は、実質的に(B)成分中に存在する。(C)成分が実質
的に(B)成分中に存在することにより、樹脂組成物から
得られる成形品の導電性および帯電防止性を向上させ
る。(C)成分の好ましくは80%以上、特に好ましくは
95%以上を、(B)成分中に存在させる。
【0058】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、電子
顕微鏡で観察した写真を画像処理することにより、一辺
が1μmの正方形内に存在する(B)成分のネットワーク
で閉鎖されたマトリックス領域数mを計測し、次式[A]
で計算されるインデックスRの平均が、好ましくは0.
95以下である形態を有する。インデックスRの平均が
0.95を越えると、樹脂組成物から得られる成形品の
導電性および帯電防止性が低下し、好ましくない。Rの
平均は、より好ましくは0.85以下、最も好ましくは
0.8以下である。
【0059】
【数2】
【0060】ここで、mの算出方法について述べる。上
記の電子顕微鏡で観察される写真につき、画像処理解析
装置(日本アビィオニクス社製、スピカ2)により、熱
可塑性樹脂の分散状態を二値化し、一辺が1μmの正方
形内に存在する(B)成分のネットワークで閉鎖されてい
るマトリックスの領域数mを算出し、式[A]によりRを
計算する。この解析を成形品またはペレットの代表的な
場所について行い、その平均値を求め、ネットワーク構
造のインデックスRとする。インデックスRは、主とし
て、(A)成分と(B)成分との溶融剪断粘度比、および(A)
成分と(B)成分との量比を適宜選択することにより調節
することができる。
【0061】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、導電
性、剛性および耐衝撃性などに優れているので、静電塗
装が適用される自動車部品の製造用の材料として好適で
ある。これら部品を製造する際には、従来から知られて
いる熱可塑性樹脂の成形法によることができる。成形法
としては、例えば、射出成形法、中空成形法、押出成形
法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形
法、圧縮成形法などが挙げられる。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、詳しく説明
するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下に記載
の例に限定されるものではない。以下に記載の例におい
て、使用した各成分の略号、物性などの詳細はつぎのと
おりである。なお、以下に記載の例において、配合量は
重量部を意味し、得られた樹脂組成物についての評価試
験は、下記の方法で行った。
【0063】(A)成分: (a-1)PBT:温度30℃で、フェノ−ルとテトラクロ
ロエタンとを重量比で対1の混合溶媒中で測定した固有
粘度が、1.1dl/gのポリブチレンテレフタレートであ
る。 (a-2)PA6:温度23℃で、98%硫酸中で測定し
た、相対粘度が2.5dl/gのポリアミド6である。 (a-3)ポリオレフィン:JIS K7210によるMF
R1.2g/10分、赤外線分光分析によるエチレン含量
5.5重量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体
である。 (a-4)PPE:温度30℃で、クロロホルム中で測定し
た固有粘度[η]が0.30dl/gのポリ(2,6−ジメ
チルー1,4−フエニレン)エーテルである。
【0064】(B)成分: (b-1)(C)成分添加SEBS:市販されているビニル芳香
族−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(シェル
社製、商品名:クレートンG1652)36重量部、
(C)成分のカーボンブラック2重量部をスーパーミキサ
ーによって十分混合撹拌し、これを二軸型押出機(日本
製鋼社製、型式:TEX30XCT)を使用し、シリン
ダー設定温度250℃、スクリュー回転数200rpmの
混練条件下で溶融混練してペレット化し、減圧乾燥した
ものである。
【0065】(b-2)(C)成分添加変性SEBS:市販され
ているビニル芳香族一共役ジエンブロック共重合体の水
素添添加(上に同じ)100部、(C)成分のカーボンブ
ラック2重量部、不飽和極性化合物としてエポキシ化ア
クリルアミド化合物(鐘淵化学工業社製、商品名:カネ
カAXE)5部、1,3−ビス−(t−ブチルパ−オキ
シ−イソプロピル)−ベンゼン(化薬ヌーリー社製、商
品名:パーカドックス14)0.1部とを、スーパーミ
キサーによって十分混合撹拌し、これを二軸型押出機
(上に同じ)を使用し、シリンダー設定温度180℃、
スクリュー回転数200rpmの混練条件下で溶融混練し
てペレット化した。このペレットをアセトンで洗浄した
後、減圧乾燥して得た変性樹脂である。この変性樹脂に
つき、赤外吸収スペクトル法で測定したところ、不飽和
極性化合物のグラフト含量は、1.4重量%であった。
【0066】(b-3)(C)成分添加変性SEBS:市販され
ているビニル芳香族−共役ジエンブロック共重合体の水
素添加物(上に同じ)100部、(C)成分のカーボンブ
ラック2重量部、不飽和極性化合物として市販の無水マ
レイン酸2部、1,3−ビス−(t−ブチルパ−オキシ
ーイソプロピル)−ベンゼン(上に同じ)0.1部とを
ス−パ−ミキサーによって十分混合撹拌し、これを二軸
型押出機(上に同じ)を使用し、シリンダー設定温度1
80℃、スクリュー回転数200rpmの混練条件下で溶
融混練しペレット化した。このペレットをアセトンで洗
浄した後、減圧乾燥して得た変性樹脂である。この変性
樹脂につき、赤外吸収スペクトル法で測定したところ、
不飽和極性化合物のグラフト含量は、0.6重量%であ
った。
【0067】(b-4)変性SEBS:市販されているビニ
ル芳香族一共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
(シェル社製、商品名:クレートンG1652)であ
る。 (b-5)変性SEBS:市販されているビニル芳香族一共
役ジエンブロック共重合体の水素添加物(シェル社製、
商品名:クレートンG1652)100部、不飽和極性
化合物として市販の無水マレイン酸2部、1,3−ビス
−(t−ブチルパ−オキシ−イソプロピル)−ベンゼン
(化薬ヌーリー社製、商品名:パーカドックス14)
0.1部とをスーパ−ミキサーにて十分混合撹拌し、こ
れを日本製鋼(N製TEX44XCT二軸型押出機を用
いて、設定温度180℃、スクリユ−回転数200rpm
の混練条件下で溶融混練し、組成物とした後にペレット
化した。このペレットをアセトンで洗浄した後、減圧乾
燥して得た変性樹脂である。この変性樹脂につき、赤外
吸収スペクトル法で測定したところ、不飽和極性化合物
のグラフト含量は、0.8重量%であった。
【0068】(C)成分: (c-1)カーボンブラック:導電性カーボンブラック(ラ
イオン製、ケェッチェンブラック600JD)である。 (c-2)PSBN:外径15nm、内径5nm、長さ100〜
10,000nmの中空炭素フィブリルを20重量%と、
ポリスチレン80重量%とよりなるマスターバッチ(ハ
イペリオン・カタリシス社製、商品名:PS/20B
N)である。
【0069】(c-3)PABN:外径15nm、内径5nm、
長さ100〜10,000nmの中空炭素フィブリルを2
0重量%と、ポリアミド6を80重量%とよりなるマス
ターバッチ(ハイペリオン・カタリシス社製、商品名:
PA/20BN)である。 (c-4)PBTBN:外径15nm、内径5nm、長さ100
〜10,000nmの中空炭素フィブリルを20重量%、
ポリブチレンテレフタレートを80重量%とよりなるマ
スターバッチ(ハイペリオン・カタリシス社製、商品
名:PBT/20BN)である。
【0070】(1)溶融剪断粘度比{(B)成分の粘度[B]/
(A)成分の粘度[A]}:JIS K7210の参考試験と
して記載されている方法に準拠し、インストロン・キャ
ピラリー・レオメーターを使用して各成分の溶融剪断粘
度を測定し、測定値から算出する方法。 (2)ネットワーク分散形態(R):上に記載の方法に準拠
して、インデックスRを算出した。 (3)導電性物質の存在部位:電子顕微鏡によって観察す
る方法。 (4)MFR(単位:g/10分):JIS K7210に準拠
し、温度280℃、荷重5kgとして測定する方法。
【0071】(5)曲げ弾性率(単位:MPa):ISO R1
78−1974 Procedure12(JIS K7203)
に準拠し、じインストロン試験機を使用して測定する方
法。 (6)耐衝撃強度(単位:J/m):ISO R180−196
9(JIS K7110)ノッチ付アイゾット衝撃強度
に準拠し、東洋精機製作所製アイゾット衝撃試験機を用
いて測定した。
【0072】(7)線膨張係数{単位:×10-5(1/
℃)}:ASTM D696に準拠し測定する方法。ただ
し、測定温度範囲は23〜80℃として。 (8)導電性(単位:Ωcm):射出成形機(東芝社製品、形
式:IS−150、型締め力150T)を使用し、シリ
ンダー温度280℃、金型温度80℃の条件下で平板
(幅150mm×長さ150mm×厚さ3mm)を作成した。
この平板の長さ方向(成形時の樹脂の流れ方向)の両端
に銀ペーストを全面塗布し、室温で乾燥後に、テスター
で抵抗値(RL)を測定し、体積抵抗R=RL×AL/
L(ALは断面積、Lは長さである)から体積固有抗値
Rを計算する方法。
【0073】[実施例1〜実施例5]まず、(B)成分と
(C)成分とを、表−1に示した割合で秤量し、スーパー
ミキサーによって十分混合して混合物を得た。次いで、
この混合物を、二軸押出機(日本製鋼社製、型式:TE
X44XCT)を使用して、シリンダー設定温度280
℃、スクリュ−回転数350rpmの混練条件下で溶融混
練し、ペレットとした。つぎに、このペレットと(A)成
分とを、表−1に示した割合で秤量し、スーパーミキサ
ーによって十分混合して三成分の混合物を得た。次い
で、この混合物を、二軸押出機(日本製鋼社製、型式:
TEX44XCT)を使用して、シリンダー設定温度2
80℃、スクリュ−回転数350rpmの混練条件下で溶
融混練し、樹脂組成物のペレットとした。
【0074】上記ペレットから、射出成形機(住友ネス
タール社製、型締め力75T)を使用し、シリンダー設
定温度280℃、金型温度80℃の条件下で試験片を作
成した。なお、ペレットから試験片を作成するに際して
は、作成の直前まで減圧乾燥器を使用し、ペレットを
0.1mmHg、80℃の条件で48時間減圧乾燥した。
また、作成した試験片は、作成直後にデシケータに入
れ、23℃において4〜6日間静置した後、評価試験に
供した。評価結果を、表−1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】[比較例1〜比較例2]表−2に示した割
合で秤量し、(C)成分を(A)成分中に配合したことほか
は、実施例におけると同様の手順で三成分の混合物と
し、ペレットとし、試験片を作成し、評価試験を行っ
た。評価結果を、表−2に示した。
【0077】[比較例3]表−2に示した割合で秤量
し、(C)成分を配合しなかったほかは、実施例2におけ
ると同様の手順で二成分の混合物とし、ペレットとし、
試験片を作成し、評価試験を行った。評価結果を、表−
2に示した。
【0078】[比較例4]表−2に示した割合で秤量
し、実施例におけると同様の手順で混合物とし、ペレッ
トとし、試験片を作成し、評価試験を行った。評価結果
を、表−2に示した。
【0079】
【表2】
【0080】表−1および表−2から、つぎのことが分
かる。 (1)相互に不均一混合する(A)成分と(B)成分において、
(B)成分が(A)成分中でネットワーク形態を呈し、かつ
(C)成分が実質的に(B)成分に存在する実施例の樹脂組成
物は、寸法特性(低線膨張率)、耐衝撃性と導電性に優
れている(実施例1〜実施例5参照)。 (2)これに対して(C)成分が(A)成分に存在する比較例1
および比較例2の樹脂組成物は、流動性と耐衝撃性に劣
る。 (3)また、導電性物質を配合しない比較例3の樹脂組成
物は、導電性に劣る。 (4)さらに、(B)成分が(A)成分中でネットワーク形態を
呈さない比較例4の樹脂組成物は、耐衝撃性、寸法安定
性および導電性に劣る。
【0081】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、流動性に優れ
ている。 2.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物から得られる成形
品は、寸法特性(低線膨張率)、耐衝撃性および導電性
に優れている。 3.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、流動性に優
れ、寸法特性、剛性と耐衝撃性および導電性の総てにお
いて優れているので、これらの特性が要求される製品製
造用の材料として、広範囲に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 充 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 岩木 光地 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J002 AA01W AA01X BB00W BB02W BB05X BB11W BB15X BB17W BD12W BD14W BD15W BD16W BP01X BP02W BP03W CB00W CF03W CF05W CF06W CF07W CF08W CF19W CG00W CH07W CH09W CL00W CL01W CL03W CN01W DA016 DA036 DA076 DA086 DA106 FA046 FA056 FA086 FB076 FD010 FD116 GN00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂{(A)成分}、(A)成分より
    曲げ弾性率が小さい熱可塑性樹脂{(B)成分}および導電
    性材料{(C)成分}からなる樹脂組成物において、(B)成
    分が(A)成分中でネットワーク形態を形成し、かつ、(C)
    成分が実質的に(B)成分中に存在することを特徴とする
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)成分が(A)成分中でネットワーク形態
    を形成し、1μm角内に存在するネットワーク形態で閉
    鎖された熱可塑性樹脂領域の数をmとし、式[A]で表さ
    れるインデックスRの平均が0.95以下である形態を
    有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。 【数1】
  3. 【請求項3】 (A)成分が結晶性の熱可塑性樹脂であ
    り、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィ
    ン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂からなる群
    から選ばれる1種または2種の組み合わせである、請求
    項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)成分がゴム状重合体である、請求項
    1ないし請求項3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 (A)成分5〜95重量%、(B)成分5〜9
    5重量%、(C)成分0.1〜10重量%である、請求項
    1ないし請求項4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 (C)成分の70重量%以上が(B)成分相に
    存在する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
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