JP3288796B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP3288796B2
JP3288796B2 JP08011793A JP8011793A JP3288796B2 JP 3288796 B2 JP3288796 B2 JP 3288796B2 JP 08011793 A JP08011793 A JP 08011793A JP 8011793 A JP8011793 A JP 8011793A JP 3288796 B2 JP3288796 B2 JP 3288796B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁膜としてオキシナ
イトライド膜(SiOx y 膜)を用いた半導体装置お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンピュータシステムの記憶
装置として磁気ディスク装置が広く用いられている。し
かし、磁気ディスク装置は、高度に精密な機械的駆動機
構を有するので衝撃に弱く、また、機械的に記録媒体に
アクセスするので高速なアクセスができない等の欠点が
あった。
【0003】そこで、近年、記憶装置として、EEPR
OM等の半導体記憶装置の開発が進められている。半導
体記憶装置は、機械的駆動部分を有しないので衝撃に強
く、高速アクセスが可能であるという長所を有してい
る。
【0004】ところで、EEPROMにおいては、メモ
リセル領域の電界効果型トランジスタのフローティング
ゲート中に電荷を蓄積することによりデータを保持して
いる。データの書き込みおよび消去は、上記電界効果型
トランジスタのトンネルゲート絶縁膜にファウラーノル
ドハイム(Fowler-Nordheim )トンネル電流(以下、た
んにトンネル電流という)を流して行なう。
【0005】このため、トンネルゲート絶縁膜として
は、トンネル電流によるデータの書き込みおよび消去の
繰り返しを行なっても、電流−電圧特性の変動が小さい
絶縁膜を用いる必要がある。また、フローティングゲー
トに蓄積された電荷の消失を防止するには、トンネルゲ
ート絶縁膜として、EEPROMの動作時にメモリセル
領域に印加される低電界(3〜5MV/cm)における
リーク電流が十分小さい絶縁膜を用いる必要がある。
【0006】この種のトンネルゲート絶縁膜としては、
オキシナイトライド膜が有効であることが知られてい
る。オキシナイトライド膜の形成方法としては、例え
ば、シリコン基板を純N2 O雰囲気中で酸化し、このシ
リコン基板の表面にオキシナイトライド膜を形成すると
いう方法が提案されている(G.Q.Lo et al:Symp.on VLS
ITechnol.)。
【0007】このような方法により形成されるオキシナ
イトライド膜は、酸化膜中の欠陥がオキシナイトライド
化により修復されため、熱酸化により形成される熱酸化
膜に比べて、トンネル電流に起因するトラップ密度や、
電流−電圧特性の変動が小さくなり、信頼性が向上す
る。更に、熱酸化膜に比べて、低電界(3〜5MV/c
m)におけるリーク電流が小さくなるという利点もあ
る。
【0008】しかしながら、熱酸化膜に比べて優れてい
るといっても、トンネル電流を繰り返すことによりオキ
シナイトライド膜中にトラップが発生するため、電流−
電圧特性の変動の問題を完全には解決できなかった。
【0009】電流−電圧特性の変動を十分に小さくでき
ないのは、シリコン基板を純N2 O中で酸化してオキシ
ナイトライド膜を形成するという上述した形成方法で
は、トンネルゲート絶縁膜とシリコン基板との界面(シ
リコン基板側界面)に、トラップの発生要因となる窒素
がパイルアップするからである。
【0010】また、このようにシリコン基板側界面に窒
素がパイルアップすると、オキシナイトライド膜中の窒
素の濃度分布が非対称、つまり、シリコン基板側界面の
窒素濃度のほうがゲート電極とトンネルゲート絶縁膜と
の界面(ゲート電極側界面)の窒素濃度よりも高くな
る。この結果、トンネルゲート絶縁膜中にキャリアをど
ちらの界面から注入するかによりトラップ等の発生の仕
方が異なり、特性および特性変動が非対称なものとな
る。
【0011】ところで、シリコン基板からシリコン窒化
膜に電子を注入する際のバリアハイトは約2eVであ
り、一方、シリコン基板から熱酸化膜に電子を注入する
際のバリアハイトは約3.2eVである。また、上述し
たように、上記形成方法によるオキシナイトライド膜
は、シリコン基板側界面のほうが窒素濃度が高い。この
ため、上記形成方法によるオキシナイトライド膜は、熱
酸化膜に比べて、低電界領域においてリーク電流(トン
ネル電流)が流れ易いものとなる。
【0012】したがって、このようなオキシナイトライ
ド膜をトンネルゲート絶縁膜として用いたEEPROM
でも、メモリセル領域に印加される低電界(3〜5MV
/cm)により、フローティングゲートに蓄えられた電
荷が消失するため、データ保持特性の劣化問題も完全に
は解決できていなかった。
【0013】ところで、オキシナイトライド膜の他の形
成方法としては、次のようなものがある。すなわち、熱
酸化等によりシリコン基板上にSiO2 膜を形成した
後、アンモニア(NH3 )やヒドラジン(N2 4 )等
の窒化性雰囲気中の熱処理により、オキシナイトライド
膜を形成する。このとき、オキシナイトライド膜は、シ
リコン基板とSiO2 膜との間に形成され、二層構造の
絶縁膜が形成される。これはN2 Oは本来は酸化性ガス
であって、シリコン基板の表面を酸化して窒素を含んだ
SiO2 膜、すなわち、オキシナイトライド膜を形成す
るが、その際、シリコン基板の表面にあらかじめ存在す
るSiO2 膜とは殆ど反応せずに直接シリコン基板と反
応するためである。
【0014】上記窒化性雰囲気のガスとして、アンモニ
ア(NH3 )や、ヒドラジン(N24 )のように水素
を含む窒化物のガスを用いると、水素を含むオキシナイ
トライド膜が形成されてしまう。水素を含むオキシナイ
トライド膜は、高電界領域においてトラップが発生し易
い。このため、高電界領域のおけるトラップの増加を抑
制するには、N2 O等の水素を含まない窒化性雰囲気で
熱処理を行なうことが必要である。
【0015】一般に、オキシナイトライド膜が通常のS
iO2 膜よりゲート絶縁材料として高品質であるのは、
同膜中に窒素が含まれることによって正孔のトラップ準
位が増加し、この増加した正孔のトラップ準位により、
高電界やホットキャリアなどの電気的ストレスに対し
て、SiO2 膜中に発生する電子捕獲による負電荷が相
殺される結果、全体として特性変動が抑制されるからで
ある。
【0016】このようなオキシナイトライド膜の特性に
よって、トンネルゲート絶縁膜としてオキシナイトライ
ド膜を用いたEEPROMは、トンネルゲート絶縁膜と
して通常のSiO2 膜を用いたEEPROMに比べて、
書き込み/読み出し時における電流ストレス耐性(高電
界ストレス耐性)が高いものとなる。
【0017】しかし、窒素の含有量が多くなり、正孔の
トラップ準位が増加し過ぎると特性劣化が生じるので、
オキシナイトライド膜中の窒素量や窒素濃度分布は適正
に制御されなければならない。上述したN2 Oは、特性
的に見て好ましい条件の窒素量と窒素濃度分布が比較的
容易に得られることが知られている。
【0018】ところで、N2 Oを用いたオキシナイトラ
イド膜の形成方法においては、アンモニア窒化の場合に
頻繁に用いられるRTAなどの熱処理方法を用いること
ができない。これはRTAのように、いわゆる、コール
ドウォール・プロセスでは、N2 Oが高温で熱分解する
際に生ずるNOが熱処理炉内の低温部分で冷却されてN
2 に変化し、加熱に用いている赤外線が上記NO2
吸収されしまうからである。すなわち、NO2 の発生
は、加熱に当たって光によるエネルギーの授受を本質的
に必要とするコールドウォール・プロセスにおいては、
温度不均一を招く原因となる。
【0019】このような熱処理炉内でのNO2 の発生や
温度不均一は、通常の電気炉のように、略熱平衡状態で
加熱を行なう、いわゆる、ホットウォール・プロセスで
は起こらない。このため、N2 Oを用いたオキシナイト
ライド膜の形成方法にあっては、シリコン基板の加熱方
法として、ホットウォール方式のプロセスを用いること
が不可欠である。
【0020】したがって、水素を含まない高品質なオキ
シナイトライド膜を形成するためには、通常の電気炉の
ように略熱平衡状態で加熱を行なうホットウォール・プ
ロセスを用いたN2 Oによる窒化を行なう必要がある
(Hyunsang Hwang et al.,Appl.Phys.Lett.57,1010(199
0)、W.Ting et al.,Appl.Phys.Lett.57,2808(1990))。
【0021】上述したように、オキシナイトライド膜中
の窒素は、高電界やホットキャリアなどに電気的ストレ
スに対して正孔の捕獲による正電荷を増加させる。これ
ら正電荷は、通常は、SiO2 膜中の電子捕獲による負
電荷を相殺して膜特性を向上させることに寄与するが、
このことは逆に、シリコン基板側界面での窒素濃度の増
加がすると、ストレス条件によってはむしろ界面準位を
増加させる原因となり得ることを意味している。このよ
うな不都合に対しては、上述したオキシナイトライド膜
からなる絶縁膜がシリコン基板に直接接した二重構造の
ものであること明らかに好ましくない構造である。
【0022】また、このような二重構造の絶縁膜をトン
ネルゲート絶縁膜として用いると、窒素の濃度分布が非
対称なので、トンネル電流の方向によって非対称な特性
を示してしまう。例えば、高電界での電流ストレスを電
流値一定の条件で印加した時の電圧変動を調べると、シ
リコン基板側から電子を注入した場合のほうが逆の場合
に比べて変動が大きくなる。これは電流ストレスによっ
て生成されるトンネルゲート絶縁膜中の正孔のトラップ
準位が窒素濃度の分布に対応してシリコン基板側で多く
なっているためである。
【0023】シリコン基板に直接オキシナイトライド膜
を形成した場合にも、上述したように非対称についての
問題があるが、こちらのほうが2重構造の場合に比べ
て、問題の程度としては軽い。このため、非対称の問題
の観点からは、シリコン基板に直接オキシナイトライド
膜を形成するほうが好ましい。
【0024】ところで、通常、シリコン基板の表面には
必ず自然酸化膜と呼ばれる2nm程度の薄い酸化膜が存
在しているため、シリコン基板上に酸化膜が無い状態で
オキシナイトライド膜を形成するためには、まず、自然
酸化膜を除去しなければならない。しかし、自然酸化膜
の除去を行なうと面荒れが生じたりして(H.Fukuda et
al.,Extended Abstract of the 22nd Conference on So
lid State Devices and Materials,159(1990) )、電気
的特性が劣化するという問題が生じる。
【0025】また、シリコン基板を直接N2 Oによって
オキシナイトライド化したつもりでも、多くの場合、実
際には自然酸化膜などの酸化膜を通してシリコンをオキ
シナイトライド化している。例えば、上述した文献(Hy
unsang Hwang et al.,Appl.Phys.Lett.57,1010(1990))
に示された分析結果における表面側での窒素濃度の減少
は、明らかにN2 Oによるオキシナイトライド膜形成前
にSi基板表面にあらかじめ酸化膜が形成されていたこ
とを示している。
【0026】このように、電気的特性の安定化のために
は、むしろ、シリコン基板の表面には、N2 Oによるオ
キシナイトライド膜の成膜に対して安定なSiO2 膜を
シリコン基板上に形成しておくことが好ましい。
【0027】図14は、シリコン基板51に形成された
MOS構造素子の活性領域と素子分離領域との境界部分
を示す図である。図中、53はゲート電極を示してお
り、このゲート電極53はフィールド酸化膜54とゲー
ト絶縁膜としてのオキシナイトライド膜52とにまたが
って形成されている。
【0028】素子の微細化に伴って、フィールド酸化膜
54とオキシナイトライド膜52との境界領域55で
は、ゲート絶縁膜の薄膜化が進み、上下電極(ゲート電
極53,シリコン基板51)は凸形状となる。このた
め、シリコン基板51とゲート電極53との間に一定電
圧を印加した場合、境界領域55のオキシナイトライド
膜52には他の領域よりも高い電界が発生する。
【0029】すなわち、オキシナイトライド膜52の採
用により電荷トラップや界面準位に起因する動作特性の
経時変動の抑制は可能となったが、高電界印加時に発生
する境界部分の電界集中に起因するリーク電流の増加や
ゲート絶縁膜の真性破壊寿命の短縮という問題までは解
決できなかった。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、トンネル
ゲート絶縁膜としてのオキシナイトライド膜は、熱酸化
膜に比べて、トンネル電流に起因するトラップ密度や、
電流−電圧特性の変動が小さいという利点を有してい
る。
【0031】しかしながら、従来のオキシナイトライド
膜からなるトンネルゲート絶縁膜の形成方法では、窒素
の濃度分布が非対称なものが形成され、リーク電流(ト
ンネル電流)が流れ易くなり、データ保持特性が劣化す
るという問題があった。
【0032】また、MOS構造素子のゲート絶縁膜とし
てオキシナイトライド膜を用いることにより、電荷トラ
ップや界面準位に起因する動作特性の経時変動を抑制で
きるようになったが、活性領域と素子分離領域との境界
領域に発生する電界集中に起因するリーク電流の増加や
ゲート絶縁膜の真性破壊寿命の短縮という問題までは解
決できなかった。
【0033】
【0034】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、素子の微細化が進んで
も活性領域内のオキシナイトライド膜からなる絶縁膜と
素子分離用絶縁膜との境界領域に発生する電界集中に起
因する問題を解決できる半導体装置を提供することにあ
る。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【課題を解決するための手段】 上記目的を 達成するため
に、本発明の半導体装置(請求項)は、シリコン基板
に形成された素子分離用の第1の絶縁膜と、前記シリコ
ン基板の素子形成領域に形成され、シリコンと酸素と窒
素とからなり、前記第1の絶縁膜との境界部における前
記窒素の濃度が他の部分のそれよりも高い第2の絶縁膜
と、前記第2の絶縁膜上から前記第1の絶縁膜上にまた
がって形成された導電膜とを備えていることを特徴とす
る。
【0040】
【0041】
【0042】
【作用】発明の半導体装置(請求項)では、窒素密
度が高い絶縁膜と絶縁特性が改善されるという知見に基
づき、素子形成領域のシリコンと酸素と窒素とからなる
第2の絶縁膜中の窒素の濃度分布を、前記素子分離用の
第1の絶縁膜との境界における窒素濃度が他の部分のそ
れよりも高いものとしている。このため、素子の微細化
が進み、上記境界における第2の絶縁膜の膜厚が薄くな
っても、電界集中に起因するリーク電流等の問題を防止
し得る半導体装置が得られる。
【0043】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。
【0044】図1,図2は、本発明の第1の実施例に係
るEEPROMのメモリセル用の電界効果型トランジス
タの製造工程断面図である。
【0045】まず、図1(a)に示すように、p型シリ
コン基板1上に通常の素子分離工程により素子分離用絶
縁膜2を形成する。
【0046】次に図1(b)に示すように、通常の拡散
炉にて、例えば、800℃,O2 (HCl 10%)雰
囲気中で、素子分離用絶縁膜2で区分された素子形成領
域に厚さ3nmの熱酸化膜3を形成する。
【0047】次に図1(c)に示すように、通常の拡散
炉にて、例えば、1000℃,N2O雰囲気中で、シリ
コン基板1と熱酸化膜3との間に厚さ4nmのオキシナ
イトライド膜4を形成する。
【0048】次に図1(d)に示すように、通常の拡散
炉にて、例えば、900℃,O2 雰囲気で、シリコン基
板1と熱酸化膜4との間に厚さ3nmの熱酸化膜5を形
成する。この結果、熱酸化膜3,オキシナイトライド膜
4,熱酸化膜5の三層構造のトンネルゲート絶縁膜が得
られる。ここで、トンネルゲート絶縁膜の膜厚は15n
m以下であることが望ましい。
【0049】なお、図1(b)(c)(d)の熱酸化膜
3,オキシナイトライド膜4および熱酸化膜5の形成工
程において、同一の拡散炉でガス雰囲気(O2 ,N
2 O)を連続的に切り替え、熱酸化膜3,オキシナイト
ライド膜4,熱酸化膜5の順の連続成膜を行なっても良
い。
【0050】また、図1(c)のオキシナイトライド膜
4の形成工程において、ガス雰囲気をN2 OとO2 との
混合ガスを用いてもよい。更に、図4(b),(d)の
熱酸化膜3,5の形成工程において、N2 OとO2 との
混合ガス雰囲気中で酸化を行ない、0.1原子%以下の
窒素を含む酸化膜としても良い。
【0051】次に図2(a)に示すように、通常のCV
D法を用いてフローティングゲートとなる厚さ200n
mの第1の多結晶シリコン膜6を全面に堆積した後、こ
の第1の多結晶シリコン膜6中にリンを1020cm-3
散させる。
【0052】次に拡散炉にて、例えば、1000℃,O
2 雰囲気で熱処理することにより、第1の多結晶シリコ
ン膜6の一部を熱酸化膜に変え、続いて、通常のCVD
法を用いてシリコン窒化膜(不図示)を全面に堆積す
る。この後、拡散炉中で上記シリコン窒化膜を酸化する
ことにより、厚さ20nmのONO膜7を形成する。
【0053】次にコントロールゲートとなる厚さ400
nmの第2の多結晶シリコン膜8を通常のCVD法を用
いて全面に堆積した後、この第2の多結晶シリコン膜8
中にリンを1021cm-3拡散させる。次いで通常のPE
P工程を用いて第2の多結晶シリコン膜8上にゲート電
極用のレジストパターン9を形成する。
【0054】次に図2(b)に示すように、レジストパ
ターン9をマスクとして、第2の多結晶シリコン膜8,
ONO膜7,第1の多結晶シリコン膜6を異方性エッチ
ングする。
【0055】次に図2(c)に示すように、レジストパ
ターン9を剥離した後、通常のイオン注入工程によりソ
ース・ドレイン領域10を形成する。以下、通常の配
線,層間絶縁膜膜,保護膜の形成工程を経て電界効果型
トランジスタが完成する。
【0056】図3は、本実施例の方法に従って電界効果
型トランジスタを作成したときのトンネルゲート絶縁膜
中の窒素の濃度分布を示す図であり、横軸はゲート電極
界面からの距離、縦軸は対数表示での窒素の原子%濃度
(任意単位)を示している。
【0057】図3(a)は、熱酸化膜5を形成しなかっ
た場合のトンネルゲート絶縁膜(熱酸化膜3,オキシナ
イトライド膜4)中の窒素の濃度分布を示す図である。
図中、X1は熱酸化膜3とオキシナイトライド膜4との
界面を示し、X2はオキシナイトライド膜4とシリコン
基板1との界面を示している。この図3(a)から窒素
はN2 O雰囲気中で酸化された領域、つまり、シリコン
基板側のオキシナイトライド膜4に多く分布しているこ
とが分かる。
【0058】図3(b)は、熱酸化膜5を形成した場合
のトンネルゲート絶縁膜(熱酸化膜3,オキシナイトラ
イド膜4,熱酸化膜5)中の窒素の濃度分布を示す図で
ある。図中、X2はオキシナイトライド膜4と熱酸化膜
5との界面を示し、X3aは熱酸化膜5とシリコン基板
1との界面を示している。この図3(b)から窒素は界
面X1と界面X2との間に多く分布し、シリコン基板側
およびゲート電極側で少ないことが分かる。これは図1
(d)の工程でのO2 雰囲気中での酸化により、窒素を
含んだ領域の窒素濃度が下がるからである。
【0059】図3(b)のような窒素濃度分布を有する
トンネルゲート絶縁膜を用いるに際し、界面X1と界面
X2との間の窒素濃度を必要十分なものとすれば、膜中
の欠陥部分を窒素により修復・強化できるため、トンネ
ルゲート絶縁膜に繰り返しトンネル電流を流すことによ
り発生するトラップの発生を抑制できる。
【0060】また、窒素濃度を高かくすれば、熱酸化膜
だけのトンネルゲート絶縁膜の場合に比べて、誘電率を
高くできる。これにより実膜厚を増加でき、トンネルゲ
ート絶縁膜に繰り返しトンネル電流を流すことにより発
生する低電界領域でのトンネル電流の増加を抑制するこ
とができる。
【0061】また、本実施例のトンネルゲート絶縁膜中
の窒素の濃度分布は、膜厚方向に対して対称になってい
るので、キャリアをゲート電極側もしくはシリコン基板
側から注入するかによる特性および特性変動の非対称性
を是正することができる。
【0062】なお、本発明等の研究によれば、窒素のピ
ーク濃度が10原子%以上の場合には、トンネルゲート
絶縁膜中にSi3 4 が形成され、電子トラップが発生
し易いことが分かった。したがって、トンネルゲート絶
縁膜の中央部の窒素のピーク濃度は少なくとも10原子
%以下にしなければならない。
【0063】更に、ピーク濃度が0.5原子%未満の場
合には、トンネルゲート絶縁膜をオキシナイトライド化
した効果が著しく低下することが分かった。したがっ
て、トンネルゲート絶縁膜の中央部の窒素のピーク濃度
は0.5原子%以上でなければならい。
【0064】また、本実施例の場合、シリコン基板側界
面X1およびゲート電極側界面X2の窒素濃度がともに
低いので、ゲート電極側およびシリコン基板側からトン
ネルゲート絶縁膜中にキャリアを注入する際のバリアハ
イトの低下を極めて低く抑えることができ、低電界領域
でのトンネル電流の増大を抑制できる。
【0065】このように、トンネルゲート絶縁膜の中部
部分に窒素濃度が高い領域を設け、ゲート電極とトンネ
ルゲート絶縁膜との界面からキャリアのトンネル距離の
領域およびトンネルゲート絶縁膜とシリコン基板との界
面からキャリアのトンネル距離の領域にわたって窒素濃
度の低い領域を設けることにより、トラップの発生が抑
制され、トンネルゲート絶縁膜の信頼性を向上させるこ
とができ、且つ低電界でのトンネル電流の増大を抑制す
ることができた。
【0066】次にゲート電極側およびシリコン基板側の
窒素濃度を低くしたことによりトラップの発生を抑制で
きることについて更に説明する。
【0067】図4は、シリコン基板上に厚さ20nmの
熱酸化膜を形成し、1000℃の純N2 O雰囲気中で、
上記熱酸化膜を100分間酸化して得られたゲート絶縁
膜のSIMS分析による酸素および窒素プロファイルを
示す図である。この図4から窒素はシリコン基板とゲー
ト絶縁膜との界面付近にパイルアップし、シリコン基板
と反対側のゲート絶縁膜の表面では窒素濃度が十分低く
なっていることが分かる。
【0068】図5は、ゲート絶縁膜として熱酸化膜(以
下、ゲート熱酸化膜という)を用いた電界効果トランジ
スタと、ゲート絶縁膜として熱酸化膜を形成した後に、
1000℃の純N2 O雰囲気中で熱処理して得られたオ
キシナイトライド膜(ゲートオキシナイトライド膜)を
用いた電界トランジスタとにそれぞれトンネル電流を流
し、注入電荷密度が10C/cm2 に達したときのキャ
パシタのフラットバンド電圧の変化ΔVFBを示す図であ
る。
【0069】図5(a)に示すように、ゲート電極が負
の条件、すなわち、ゲート電極からシリコン基板へ電子
を注入した場合には、ゲート熱酸化膜(図中の三角印)
はフラットバンド電圧が大きく変動することが分かる。
これはゲート熱酸化膜とシリコン基板との界面に正電荷
が発生していることを示している。
【0070】一方、ゲート電極が正の条件の場合には、
図5(b)に示すように、フラットバンド電圧の変動は
小さくなっている。しかしながら、これはゲート電極と
ゲート熱酸化膜との界面付近にトラップされた正電荷
と、ゲート熱酸化膜中にトラップされた負電荷との両電
荷が存在するために変化が小さく見えているのであっ
て、正電荷はゲート電極とゲート熱酸化膜と界面付近に
トラップされている。このことは、ゲート電極とゲート
熱酸化膜との界面付近の正電荷をトラップから放出させ
るベく低電界でゲート電極から電子を注入するとフラッ
トバンド電圧が更に大きく正の方向に変動したことによ
り確かめられた。
【0071】一方、ゲートオキシナイトライド膜(図中
の丸印)の場合には、図5(a)に示すように、ゲート
電極が正の条件、つまり、シリコン基板側から電子を注
入した場合には、フラットバンド電圧の変化ΔVFBが極
めて小さくなっている。また、ゲート熱酸化膜の場合と
同様に低電界でゲート電極から電子注入を行なっても、
フラットバンド電圧は変化せず、ゲート電極とゲートオ
キシナイトライド膜との界面に正電荷が発生していない
ことが分かった。
【0072】一方、ゲート電極が負の条件、つまりゲー
ト電極側から電子を注入した場合には、図5(b)に示
すように、フラットバンド電圧が大きく負方向に変化
し、ゲートオキシナイトライド膜とシリコン基板との界
面近傍に正電荷がトラップされていることが分かる。ま
た、この正電荷の発生量は純N2 O雰囲気中での熱処理
時間が長いほど多くなっている。
【0073】これは以下のメカニズムによる。一般に、
ゲート絶縁膜中に電子を注入した際には陽極側でホット
な正孔が発生する。この発生したホットな正孔は界面か
ら3nmの領域にトラップされることが知られている。
ゲート電極が正の場合には、ゲート電極側から電子が注
入されてシリコン基板側が陽極になり、ゲート絶縁膜と
シリコン基板との界面付近でホットな正孔が発生する。
【0074】ここで、ゲート絶縁膜が熱酸化膜の場合に
は、正孔のトラップの潜在的要因がゲート絶縁膜のゲー
ト電極およびシリコン基板の両界面に存在し、そこにホ
ットになった正孔が捕獲されるため、どちらの界面から
電子を注入した際にも正孔が陽極側で捕獲される。
【0075】一方、オキシナイトライド膜の場合には、
過剰に窒素が正孔のトラップの潜在的要因となる。この
ため、ゲート電極側から電子を注入した場合にのみゲー
ト絶縁膜とシリコン基板と界面に正孔が捕獲される。ま
た、この正孔のトラップの潜在的要因はN2 O雰囲気で
処理する時間が長い程、つまり、ゲート絶縁膜とシリコ
ン基板との界面における窒素濃度が高い程大きくなって
捕獲された正電荷量が増加する。このため、オキシナイ
トライド膜においては、ゲート絶縁膜とシリコン基板と
の界面の過剰な窒素を排除することにより正電荷の捕獲
を抑制することができる。
【0076】ゲート絶縁膜の界面領域に捕獲された正電
荷は、その領域を陰極として用いてトンネル電流を流す
際にその電流−電圧特性を著しく大きく変動させる。こ
れはゲート絶縁膜中に捕獲された電荷がゲート絶縁膜中
の電界を変動させるためである。
【0077】図6は、トンネル電流の酸化膜中の電界依
存性を示す図である。図中、横軸は酸化膜中の電界E0X
を示し、縦軸はトンネル電流JFNを示している。なお、
バリアハイトは3.2eV、電子の有効質量/自由電子
の質量は0.42である。この図6から、トラップの発
生による酸化膜中の電界の変化に伴って、ゲート絶縁膜
に流れるトンネル電流JFNが大きく変化することが分か
る。
【0078】このため、EEPROMのようにゲート絶
縁膜中にトンネル電流を流して動作させるデバイスを設
計通り正常に動作させるには、トンネル電流が安定して
いることが必要である。
【0079】繰り返しトンネル電流を流した際に変化す
るトンネル電流の変動率を動作電流10MV/cmにお
いて50%以内に制御するためには、図6より電界の変
動を0.14MV/cm以内に抑制しなければならな
い。そのためには、正電荷のトラップ量を3×1011
-2以下に抑制しなければならない。実験によりゲート
絶縁膜界面(ゲート絶縁膜とシリコン基板との界面,ゲ
ート絶縁膜とゲート電極との界面)から3nm以内の領
域のゲート絶縁膜の窒素濃度が0.1原子%以下であれ
ば、過剰窒素によるトラップの発生量を3×1011cm
-2以下に抑制できることが分かった。
【0080】次に本発明の第2の実施例に係るEEPR
OMのメモリセル用の電界効果型トランジスタの製造方
法を説明する。なお、基本プロセスは第1の実施例のそ
れと同様なので、図1を参照しながら説明する。
【0081】まず、図1(a)に示すように、シリコン
基板1の表面に素子分離用絶縁膜2を形成した後、シリ
コン基板1をNを含まないO2 等の酸化性ガスで満たさ
れたホットウォール方式の熱処理炉の導入して、図1
(b)に示すように、熱酸化によりシリコン基板1の素
子領域にトンネルゲート絶縁膜としての熱酸化膜(Si
2 膜)3(第1の絶縁膜)を形成する。
【0082】ここで、通常の熱酸化膜に対してオキシナ
イトライド膜が最も有効と見なされるのは、EEPRO
Mのトンネルゲート絶縁膜への応用のように全体として
の絶縁膜の厚さが10nm程度の薄膜の場合であるか
ら、このときのSiO2 膜3の厚さはせいぜい2から4
nm程度に抑えなければはならない。この条件を満足し
さえすれば、酸化方法はドライ酸化、塩酸酸化或いは水
素燃焼酸化、或いはこれらの適当な組み合わせのいずれ
の方法でも良い。
【0083】図7は、この工程段階におけるトンネルゲ
ート絶縁膜(SiO2 膜3)のSIMS分析によるプロ
ファイルを示す図である。図7に示すように、この工程
段階のトンネルゲート絶縁膜は窒素を含んでいないこと
を確認できた。
【0084】次に上記熱処理炉中の酸化性ガスを一酸化
二窒素と置換し、熱酸化によりSiO2 膜3とシリコン
基板1との間に窒素を一定濃度含む熱酸化膜、つまり、
オキシナイトライド膜4(第2の絶縁膜)を形成する。
なお、熱酸化膜3の場合と同様な理由によって、オキシ
ナイトライド膜3の厚さは2から6nm程度であること
が好ましい。
【0085】図8は、この工程段階におけるトンネルゲ
ート絶縁膜(熱酸化膜3,オキシナイトライド膜4)の
SIMS分析による酸素および窒素プロファイルを示す
図である。図8に示すように、この工程段階のトンネル
ゲート絶縁膜の窒素は、シリコン基板1との界面側で高
く、シリコン基板1と反対側の表面で低いことを確認で
きた。
【0086】次に、上記熱処理炉中の一酸化二窒素をN
を含まないO2 等の酸化性ガスと置換し、熱酸化により
オキシナイトライド膜4とシリコン基板1との間に熱酸
化膜(SiO2 膜)5(第3の絶縁膜)を形成する。こ
こで、最終的に得られるトンネルゲート絶縁膜の電気特
性を対称なものとするには、トンネルゲート絶縁膜の構
造自体が対称にする必要があるから、このSiO2 膜5
の厚さは、先に形成したSiO2 膜3の厚さと同じとす
る。また、酸化方法についても熱酸化膜3の場合と同様
に、ドライ酸化、塩酸酸化或いは水素燃焼酸化、或いは
これらの適当な組み合わせのいずれの方法でも良い。
【0087】図9は、最終的に得られたトンネルゲート
絶縁膜(熱酸化膜3,オキシナイトライド膜4,熱酸化
膜)のSIMS分析による酸素および窒素プロファイル
を示す図である。図9に示すように、最終的に得られた
トンネルゲート絶縁膜の窒素の濃度分布は、膜厚方向に
対して対称になっていることを確認できた。
【0088】この後、先の実施例と同様に、ゲート電
極、ソース・ドレイン領域を形成して電界効果型MOS
トランジスタが完成する。
【0089】表1,表2には、それぞれ、本実施例の方
法により得られたトンネルゲート絶縁膜に、100mA
/cm2 の電流密度で10秒間定電流の電流ストレスを
加えた場合のゲート電圧の変化ΔVG ,上記電流ストレ
スを加える前後のフラットバンド電圧の変化ΔVFBが示
されている。比較のため、SiO2 膜5が無い場合、S
iO2 膜3だけの場合のゲート電圧の変化ΔVG 、フラ
ットバンド電圧の変化ΔVFBも示してある。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】 これら表1,表2によれば、本実施例のトンネルゲート
絶縁膜は、SiO2 膜5を形成しない従来の二層構造の
トンネルゲート絶縁膜に比べて、特性の対称性が向上し
ていることがわかる。また、表2から本実施例のトンネ
ルゲート絶縁膜の場合の方が、従来のものに比べて、フ
ラットバンド電圧の変化ΔVFBが小さくなっていること
が分かり、これは界面準位密度が小さくなっていること
を示している。以上述べたように、本実施例の方法でも
先の実施例の同構造のトンネルゲート絶縁膜が得られの
で、先の実施例と同様な効果が得られる。
【0092】更に、本実施例の方法では、同一の熱処理
炉内で三つのトンネルゲート絶縁膜(SiO2 膜3,オ
キシナイトライド膜4,SiO2 膜5)を連続形成して
いるので、三つのトンネルゲート絶縁膜をそれぞれ異な
る熱処理炉で形成する場合に比べて、熱処理炉にシリコ
ン基板1を出し入れするのに要する時間だけ、形成工程
時間を短縮化できる。
【0093】すなわち、通常の熱処理では、シリコン基
板が熱処理炉内に挿入されて所定の温度に到達するまで
およびシリコン基板を冷却しながら熱処理炉外に引き出
すまでにそれぞれ1時間程度の時間を要する。このた
め、三つのトンネルゲート絶縁膜をそれぞれ異なる熱処
理炉で形成する場合に、昇降温だけで少なくとも6時間
程度の時間を要してしまう。
【0094】しかしながら、本実施例の方法は、上述し
たように、トンネルゲート絶縁膜を形成するための熱処
理を同一の熱処理炉の中で行なっているので、シリコン
基板1の出し入れに要する時間が省くことができる。な
お、同一の熱処理炉で熱処理を行なう場合、熱処理用の
ガスを置換する必要があるが、この置換時間は、シリコ
ン基板1の出し入れに要する時間に比べて十分短いの
で、置換時間によって工程時間の短縮化が損なわれるこ
とはない。
【0095】また、各トンネルゲート絶縁膜の形成工程
における熱処理温度はそれぞれ独立に制御しなくてはな
らないから、シリコン基板1を同一の熱処理炉内に入れ
たまま必要に応じて昇降温を行なうことになるが、この
昇降温に要する時間を上記熱処理用のガスの置換に当て
れば、更に工程を効率的にすることができる。
【0096】ここで、能率良く成膜を行なうには、各ト
ンネルゲート絶縁膜の形成工程間の昇降温を通常のバッ
チ処理型の熱処理炉に見られる毎分10℃程度よりも早
くすることが効果的である。この昇降温速度について
は、上述したように、熱処理用のガスの置換時間もある
ので、適正な大きさが求められるが、各熱処理工程の処
理時間が10分程度であれば、昇降温に要する時間がこ
れより少なくとも一桁程度小さくなることが条件と考え
られる。昇降温する温度幅はせいぜい500℃以内であ
るから、上記条件は昇降温速度がほぼ毎分50℃程度以
上であれば満足することができる。このような昇降温速
度を実現することは、熱処理炉の断熱材を通常よりも減
らすなどの工夫によって実現できる。
【0097】なお、本実施例では三つの全てのトンネル
絶縁膜を同一熱所理炉内で連続形成したが、三つのトン
ネル絶縁膜の二つを連続形成しても、従来よりも工程時
間を短縮化することができる。
【0098】また、本実施例では、熱処理をバッチ式で
行なう場合を前提として説明してきたが、熱処理を枚葉
式で行なっても良い。この場合、一時に加熱されるシリ
コン基板の熱容量が小さい分、昇降温速度を大きくし易
く、同時に熱処理炉の容積が小さい分、熱処理用ガスの
置換時間が短くなるため、各熱処理工程間の昇降温時間
を更に短縮することができる。
【0099】図10は、本発明の第3の実施例に係る電
界効果型トランジスタの製造方法を示す工程断面図であ
る。
【0100】まず、図10(a)に示すように、(10
0)面を主表面とするp型シリコン基板11の表面上
に、[110]方向に平行または垂直にパターニングを
行ない、周知の選択酸化法により厚さ50nmのフィー
ルド酸化膜12を形成する。このとき、長さ300nm
程度のバーズビーク12aが形成された。
【0101】次に図10(b)に示すように、NH4
溶液を用いてフィールド酸化膜12の表面を100nm
程度エッチングし、バーズビーク領域のシリコン基板1
1の表面を露出させ、この領域のシリコン基板11の露
出面の面方位を(100)面と異なったものとする。こ
のとき、フィールド酸化膜12に接する部分のシリコン
基板11の表面が(100)面からの偏角が55°程度
となるように、フィールド酸化膜12のエッチング量を
制御する。
【0102】このようなエッチングを行なったのは、後
述するように、後工程で形成するゲート絶縁膜とフィー
ルド酸化膜12との境界領域におけるゲート絶縁膜の窒
素濃度を他の領域よりも高くし、絶縁特性を改善するた
めである。
【0103】次に図10(c)に示すように、シリコン
基板11をN2 O雰囲気で1000℃、30分間アニー
ルし、シリコン基板11の表面にオキシナイトライド膜
13を形成する。
【0104】図11は、シリコン基板11の(100)
面からの偏角θと窒化酸化により形成されるオキシナイ
トライド膜の相対膜厚((100)面上の膜厚の値を1
00とする)との関係を示す図である。
【0105】この図11からシリコン基板11をN2
雰囲気で窒化酸化する場合の成膜速度は、シリコン基板
面の(100)面からの偏角θで異なることが分かる。
本実施例の場合、偏角が55°程度なので、フィールド
酸化膜12との境界領域14におけるオキシナイトライ
ド膜13の膜厚は、他の領域(活性領域中央部分)のそ
れより15%程度厚いものとなる。なお、本実施例では
偏角を55°程度に選んだが他の値であっても良い。
【0106】また、断面TEMによりオキシナイトライ
ド膜13を観察したところ、境界領域14のオキシナイ
トライド膜13の膜厚は7.1nmであり、一方、境界
領域14から200nm以上離れた活性領域15(素子
形成領域)のオキシナイトライド膜13の膜厚は6.1
nmであった。
【0107】次に塩化水素ガスを10%含んだ酸素雰囲
気で850℃、10分間の酸化を行なうことにより、図
10(d)に示すように、オキシナイトライド膜からな
るゲート絶縁膜16が完成する。
【0108】このゲート絶縁膜16を断面TEM観察お
よびEDX測定により評価したところ、境界領域14の
ゲート絶縁膜16の膜厚および窒素含有量はそれぞれ
8.5nmおよび1.1%であり、一方、境界領域14
から200nm以上離れた活性領域15の膜厚および窒
素含有量はそれぞれ9nmおよび0.9%であることを
確認した。
【0109】図12は、オキシナイトライド膜の絶縁特
性の窒素濃度依存性を示す図で、具体的には、100m
A/cm2 のトンネル電流が流れる高電界ストレスを5
秒間印加した後のリーク電流Jleakの、高電界ストレス
印加前のリーク電流Jo (=1μA/cm2 )に対する
比を、シリコン窒化酸化膜の実効膜厚Teff に対してプ
ロットした結果を示している。
【0110】この図11から実効膜厚Teff が一定の場
合、オキシナイトライド膜中の窒素含有率[N]が高い
ほど、高電界印加後に生じるリーク電流Jleakを小さく
なることが分かる。これは、膜中の歪んだ結合(Strain
ed bond )や酸素空孔(oxygen vacancy)等の不完全な
結合が窒素の導入により修復され、高電界印加時に生じ
る結合欠陥箇所が低減化されるからだと考えられる。
【0111】したがって、本実施例のゲート絶縁膜16
によれば、フィールド酸化膜12との境界領域14にお
ける窒素濃度が高くなっているので、境界領域14の実
効膜厚は厚いものとなり、実効電界を下げられる。この
ため、素子の微細化により境界領域14のゲート絶縁膜
16が薄膜化しても、高電界印加後に生じるリーク電流
の増加、真性破壊寿命の短命による信頼性低下は抑制さ
れる。
【0112】なお、MOS構造素子の活性領域全体にわ
たって、ゲート絶縁膜16中の窒素濃度を増加させてし
まうと、膜中の電荷トラップ準位密度が増加し、フラッ
トバンド電圧のシフト量が増加するという不都合が生じ
る。したがって、窒素濃度を増加させる部分は、フィー
ルド酸化膜12との境界付近の部分までに限るべきであ
る。また、この部分の窒素濃度の下限は特にないが、そ
の効果が顕著に現われるためには、活性領域中央部分よ
り10%以上高いことが望ましい。
【0113】次に図10(e)に示すように、減圧CV
D法を用いて全面にゲート電極となる厚さ300nmの
多結晶シリコン膜を堆積した後、オキシ塩化リンを用い
てこの多結晶シリコン膜にリンをドープし、続いて、こ
のリンがドープされた多結晶シリコン膜をパターニング
してゲート電極17を形成する。以下、通常のソース・
ドレイン領域の形成工程等を経て電界効果型トランジス
タが完成する。
【0114】かくして本実施例によれば、ゲート絶縁膜
16のうちフィールド酸化膜12に接する部分の窒素含
有率を選択的に増加させることにより、活性領域中央部
分の電荷トラップ準位密度の増加を招くこと無く、フィ
ールド酸化膜12に接する部分で生じるリーク電流量の
増加や、真性破壊寿命の短命などを防止でき、もって、
信頼性の高いMOS型半導体装置を得ることができる。
【0115】なお、本実施例では、オキシナイトライド
膜を形成するためにN2 Oガスを用いたが、他の窒化酸
化性ガス、例えば、NH3 ガスを用いても良い。
【0116】また、本実施例では、LOCOS素子分離
の場合について説明したが、本発明は、埋込み素子分離
の場合にも適用できる。
【0117】すなわち、図13(a)に示すように、埋
込み素子分離の場合、ゲート絶縁膜16は埋込み素子分
離層18との境界領域19で薄膜化するが、図13
(b)に示すように、(100)面を主表面とするシリ
コン基板11を用いて埋込み素子分離を行なうと、境界
領域19の基板表面は(110)面が露出するため、N
2O,NH3 等のガスを用いて基板表面を窒化すること
により、境界領域19の窒素量を増加できる。したがっ
て、基板表面に窒素を導入した後に、酸化を行なえば、
埋込み素子分離層18との境界領域において窒素濃度が
高いオキシナイトライド膜からなるゲート絶縁膜16が
得られる。
【0118】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。例えば、上記実施例では、絶縁膜とし
て、ゲート絶縁膜の場合について説明したが、本発明は
他の種類の絶縁膜にも適用できる。
【0119】その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で、種々変形して実施できる。
【0120】
【0121】
【発明の効果】 以上詳説しように 本発明によれば、素子
分離用絶縁膜との境界部分で窒素濃度が相対的に高いゲ
ート絶縁膜を用いているので、境界部分での絶縁特性が
改善され、素子の微細化が進んでも境界部分でのリーク
電流等に起因する信頼性の低下を防止し得る半導体装置
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る電界効果型トラン
ジスタの前半の製造工程断面図。
【図2】本発明の第1の実施例に係る電界効果型トラン
ジスタの後半の製造工程断面図。
【図3】本実施例の第1の実施例に係る電界効果型トラ
ンジスタのトンネルゲート絶縁膜中の窒素の濃度分布を
示す図。
【図4】熱酸化膜をN2 O雰囲気中で酸化して得られた
ゲート絶縁膜の窒素プロファイルを示す図。
【図5】熱酸化膜のフラットバンド電圧の変化とオキシ
ナイトライド膜のフラットバンド電圧の変化との違いを
示す。
【図6】トンネル電流の酸化膜中の電界依存性を示す
図。
【図7】トンネルゲート絶縁膜(SiO2 膜)中の酸素
および窒素プロファイルを示す図。
【図8】トンネルゲート絶縁膜(SiO2 /オキシナイ
トライド)中の酸素および窒素プロファイルを示す図。
【図9】トンネルゲート絶縁膜(SiO2 /オキシナイ
トライド/SiO2 )中の酸素および窒素プロファイル
を示す図。
【図10】本発明の第3の実施例に係る電界効果型トラ
ンジスタの製造方法を示す工程断面図。
【図11】シリコン基板の(100)面からの偏角と窒
化酸化により形成されるオキシナイトライド膜の相対膜
厚との関係を示す図。
【図12】リーク電流と窒素濃度と実効膜厚との関係を
示す図。
【図13】第3の実施例の製造方法の変形例を説明する
ための図。
【図14】従来の問題点を説明するための図。
【符号の説明】
1…シリコン基板、2…素子分離用絶縁膜、3…熱酸化
膜(第1の絶縁膜)、4…オキシナイトライド膜(第2
の絶縁膜)、5…熱酸化膜(第3の絶縁膜)、6…第1
の多結晶シリコン膜、7…ONO膜、8…第2の多結晶
シリコン膜、9…レジストパターン、10…ソース・ド
レイン領域、11…シリコン基板、12…フィールド酸
化膜、13…オキシナイトライド膜、14…境界領域、
15…活性領域、16…ゲート絶縁膜、17…ゲート電
極、18…埋込み素子分離層、19…境界領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山部 紀久夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 百瀬 寿代 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 小野 瑞城 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 赤坂 泰志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平5−36991(JP,A) 特開 平3−257828(JP,A) 特開 平3−108873(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/8247 H01L 21/318 H01L 29/78 H01L 29/788 H01L 29/792

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン基板に形成された素子分離用の第
    1の絶縁膜と、 前記シリコン基板の素子形成領域に形成され、シリコン
    と酸素と窒素とからなり、前記第1の絶縁膜との境界部
    における前記窒素の濃度が他の部分のそれよりも高い第
    2の絶縁膜と、 前記第2の絶縁膜上から前記第1の絶縁膜上にまたがっ
    て形成された導電膜とを具備してなることを特徴とする
    半導体装置。
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