JP3284107B2 - 加圧加熱ソーセージ及びその製造方法 - Google Patents

加圧加熱ソーセージ及びその製造方法

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敬子 村上
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペクチンゲル又は
アルギン酸ゲルを配合した加圧加熱ソーセージ及びその
製造方法に関する。本発明により得られる加圧加熱ソー
セージは、従来の加圧加熱ソーセージに比較して、褐変
度合いが低く、風味が良好なものである。
【0002】
【従来の技術】通常ソーセージ(クックドソーセージの
ことでボロニアソーセージ、フランクフルトソーセー
ジ、ウィンナーソーセージを指す)は、原料の畜肉類を
塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉したものに、臓器や魚
肉、鯨肉を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉し又はすり
つぶしたものを必要により加え、調味料及び香辛料で調
味し、結着補強剤、酸化防止剤、保存料等を必要により
添加して、練り合わせたものをケーシング等に充填した
後、くん煙し又はくん煙しないで、加熱しあるいは乾燥
して製造される。
【0003】上記の工程で製造されたソーセージは、チ
ルド流通されるものであり、保存期間も短いものであ
る。そこで、チルド販売が不可能な店舗で取り扱うため
に、あるいは保存料を使用せずに常温保存・常温流通の
可能なソーセージを得るために120℃4分間以上の加圧
加熱殺菌が行われている。
【0004】しかしながら、加圧加熱処理して得られる
加圧加熱ソーセージでは、ソーセージの褐変度合いが高
まり、そのために、チルド流通のソーセージに比べて風
味が低下するという問題があった。
【0005】そのため、褐変度合いを低下させ、良好な
風味の加圧加熱ソーセージを得るための技術が求められ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、加圧
加熱殺菌による褐変は、ソーセージの風味の低下を引き
起こし、品質上問題となる。そこで、本発明者らは、こ
の褐変を抑制できる加圧加熱ソーセージの製造方法を検
討した結果、ペクチンゲル又はアルギン酸ゲルを添加し
て加圧加熱ソーセージを製造することにより、上記の問
題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、褐変度合いが低く、ソーセ
ージ本来の風味の残った加圧加熱ソーセージ及びその製
造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、ペクチンゲ
ル又はアルギン酸ゲルを調製し、このゲルを、畜肉、澱
粉、粗ゼラチン、植物性蛋白、食塩、糖類等の原材料と
混練した後、通常の加圧加熱ソーセージの製造工程に従
って、気密性容器に充填し、加圧加熱殺菌して加圧加熱
ソーセージを製造する。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】ペクチンゲルを用いる場合は、水に対して
0.5〜5.0 重量%のペクチンと0.02〜0.2 重量%のカル
シウム剤を分散させ、80℃に加熱した後、攪拌しながら
80℃で5分間保持した後、この溶液を冷却してゲル化さ
せる。また、アルギン酸ゲルを用いる場合は、水に対し
て0.5 〜5.0 重量%のアルギン酸ナトリウム等のアルギ
ン酸塩と0.2 〜2.0 重量%のカルシウム剤を分散させ、
80℃に加熱した後、攪拌しながら80℃で5分間保持した
後、この溶液を冷却してゲル化させる。なお、アルギン
酸塩は、通常用いられるものであれば、いずれの塩であ
ってもよい。この時、カルシウム剤としては、乳酸カル
シウム、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、グルコン酸
カルシウム、塩化カルシウム等が利用できる。
【0010】次に、原料肉をチョッパーにて細かくひ
く。細切りした原料肉はサイレントカッターにてその他
副原料及び準備しておいたゲル10〜20重量%とよく練り
合わせる。この生地をケーシングに詰め、又は成形し、
そのまま又は湯槽にいれクッキング処理する。その後、
気密性容器に入れ加圧加熱処理を行う。
【0011】このようにして、製品あたりペクチン0.05
〜0.5 重量%及びカルシウム剤0.002 〜0.02重量%の配
合となるように調製したペクチンゲル、又は、アルギン
酸塩0.05〜0.5 重量%及びカルシウム剤0.02〜0.2 重量
%の配合となるように調製したアルギン酸ゲルを含有す
る加圧加熱ソーセージを製造する。
【0012】このようにして得られた加圧加熱ソーセー
ジは、従来の加圧加熱ソーセージに比べ褐変度合いが低
く、風味良好なものとなる。
【0013】この場合、ペクチンゲル又はアルギン酸ゲ
ルの添加率が上記より低い場合は、褐変度合いが低減せ
ず風味は改良されないし、又、ペクチンゲル又はアルギ
ン酸ゲルの添加率が高い場合は、肉の風味が損なわれ
る。
【0014】
【実施例1】水 200gにペクチン1.0 g、乳酸カルシウ
ム0.04gを分散させ、80℃に加熱した後、攪拌しながら
80℃で5分間保持した後、流水中で冷却してゲル化させ
た。
【0015】鶏肉 440g、牛肉 200gをチョッパー(6mm
径) で細切りしたものに油脂 144g、食塩17g、砂糖14
g、澱粉48g、上記のゲル96gを添加し、サイレントカ
ッターにて2分間カッテイングを行った。この生地をソ
ーセージ状に成形し、レトルト耐性のある気密容器に充
填した。そして、中心部の温度を 120℃とし、これを4
分間殺菌した。
【0016】
【実施例2】水 200gにペクチン5.0 g、乳酸カルシウ
ム 0.2gを分散させ、80℃に加熱した後、攪拌しながら
80℃で5分間保持した後、流水中で冷却してゲル化させ
た。
【0017】鶏肉 440g、牛肉 200gをチョッパー(6mm
径) で細切りしたものに油脂 144g、食塩17g、砂糖14
g、澱粉48g、上記のゲル 216gを添加し、サイレント
カッターにて2分間カッテイングを行った。この生地を
ソーセージ状に成形し、レトルト耐性のある気密容器に
充填した。そして、中心部の温度を 120℃とし、これを
4分間殺菌した。
【0018】
【実施例3】水 200gにアルギン酸ナトリウム1.0 g、
乳酸カルシウム 0.4 gを分散させ、80℃に加熱した
後、攪拌しながら80℃で5分間保持した後、流水中で冷
却してゲル化させた。
【0019】鶏肉 440g、牛肉 200gをチョッパー(6mm
径) で細切りしたものに油脂 144g、食塩17g、砂糖14
g、澱粉48g、上記のゲル96gを添加し、サイレントカ
ッターにて2分間カッテイングを行った。この生地をソ
ーセージ状に成形し、レトルト耐性のある気密容器に充
填した。そして、中心部の温度を 120℃とし、これを4
分間殺菌した。
【0020】
【実施例4】水 200gにアルギン酸ナトリウム 5.0g、
乳酸カルシウム 2.0gを分散させ、80℃に加熱した後、
攪拌しながら80℃で5分間保持した後、流水中で冷却し
てゲル化させた。
【0021】鶏肉 440g、牛肉 200gをチョッパー(6mm
径) で細切りしたものに油脂 144g、食塩17g、砂糖14
g、澱粉48g、上記のゲル 216gを添加し、サイレント
カッターにて2分間カッテイングを行った。この生地を
ソーセージ状に成形し、レトルト耐性のある気密容器に
充填した。そして、中心部の温度を 120℃とし、これを
4分間殺菌した。
【0022】
【比較例】鶏肉 440g、牛肉 200gをチョッパー(6mm
径) で細切りしたものに油脂 144g、食塩17g、砂糖14
g、澱粉48g、水 140gを添加し、サイレントカッター
にて2分間カッテイングを行った。この生地をソーセー
ジ状に成形し、レトルト耐性のある気密容器に充填し
た。そして、中心部の温度を 120℃とし、これを4分間
殺菌した。
【0023】
【試験例】実施例1〜4及び比較例で得られたソーセー
ジについて、10名の専門パネラーにより風味及び外観の
官能評価を実施した。官能評価は5点法とし、各パネラ
ーの評価点の平均値を求めた。
【0024】風味の評価点と講評は、次の通りである。 5点 肉の風味が生きていて良好 4点 やや肉の風味が弱い 3点 フラット 2点 やや褐変していてスコーチドである 1点 褐変していてにがい
【0025】また、外観の評価点と講評は、次の通りで
ある。 5点 肉の色が残っている 4点 やや茶色がかっている 3点 表面に焼き色がつく 2点 中心部がやや褐変している 1点 中まで茶色く褐変している
【0026】結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から明らかなように、本発明のソーセ
ージは、ペクチンゲル又はアルギン酸ゲル無添加のソー
セージと比較して、味、外観が明らかに改善されている
ことが認められた。
【0029】
【発明の効果】本発明の製造法により、褐変度合いの低
い風味の良好な加圧加熱ソーセージが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−9735(JP,A) 露木英男編著「食品加工学」共立出版 株式会社発行(1994年)p.55−57 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/317

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチンゲル又はアルギン酸ゲルを含有
    し、気密性容器で加圧加熱したことを特徴とする褐変度
    合いが低く風味の良好な加圧加熱ソーセージ。
  2. 【請求項2】 製品あたりペクチン0.05〜0.5重
    量%及びカルシウム剤0.002〜0.02重量%の配
    合となるように調製したペクチンゲル、又は、アルギン
    酸塩0.05〜0.5重量%及びカルシウム剤0.02
    〜0.2重量%の配合となるように調製したアルギン酸
    ゲルを、他の原材料と混練した後、気密性容器に充填
    し、加圧加熱殺菌処理することを特徴とする褐変度合い
    が低く風味の良好な加圧加熱ソーセージの製造方法。
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露木英男編著「食品加工学」共立出版株式会社発行(1994年)p.55−57

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