JP3099760B2 - 不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品 - Google Patents

不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品

Info

Publication number
JP3099760B2
JP3099760B2 JP08339074A JP33907496A JP3099760B2 JP 3099760 B2 JP3099760 B2 JP 3099760B2 JP 08339074 A JP08339074 A JP 08339074A JP 33907496 A JP33907496 A JP 33907496A JP 3099760 B2 JP3099760 B2 JP 3099760B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrageenan
xerogel
opaque substance
weight
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08339074A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10165115A (ja
Inventor
正春 佐藤
健一 沢村
敏夫 藤本
文蔵 窪田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippi Inc
Original Assignee
Nippi Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippi Inc filed Critical Nippi Inc
Priority to JP08339074A priority Critical patent/JP3099760B2/ja
Publication of JPH10165115A publication Critical patent/JPH10165115A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3099760B2 publication Critical patent/JP3099760B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不透明物質を包含
させたカラギーナンキセロゲル粉末及びこれを含有せし
めた食品、特に、カラギーナンの添加が目立たない肉色
に近い色調を呈するハム・ソーセージ類に関する。
【0002】
【従来の技術】カラギーナンは、紅藻類海藻のツノマタ
族、スギノリ族等を原料とする天然糊料で、ゲル化、増
粘、分散、保水、乳化、懸濁性などの性質を有するの
で、インスタントゼリーやプディング、チョコレート牛
乳、アイスクリーム、シュークリーム等に添加されてい
る。また、タンパク質と結合して安定化させる性質があ
るので、ハム、ソーセージ、水産練り製品、プロセスチ
ーズなどに広く用いられている (平成4年3月25日同文
書院発行「総合食品事典 (第6版)」第184 頁 ∧カラ
ギーナン" の項参照) 。特に、ハム、焼き豚、ベーコン
等のハム類の製造において熱処理したさいの製品の歩留
および製品の保水性を向上するためにピックルにカラギ
ーナン製剤を溶解し、これを原料肉に注入し、塩漬し、
ケーシングに充填あるいは充填することなく、加熱処理
してハム類を製造している。このカラギーナン製剤は、
κ- カラギーナンを主成分とし、これにローカストビー
ンガム、キサンタンガム等のガム類及び塩化カリウム等
のアルカリ金属塩類を混合し、保水剤としてばかりでは
なく、増粘剤あるいはゲル化剤としても使用されてい
る。しかし、このようなカラギーナン製剤を使用するハ
ム類はその保水性は向上するが、ハム類の断面をみてみ
ると、カラギーナンの分散が不均一となっており、断面
のところどころに半透明なゲル状物の溜まりができ、商
品価値が低下する欠点があった。また、この欠点を改善
する目的で、卵白、乳化脂肪等の白濁生成物質を混合す
ることも行なわれているが、ハム類の断面に表われたカ
ラギーナンのゲルは半透明となり、前記半透明なゲル状
溜まりの生成を抑制することはできなかった。このこと
は、ハムばかりではなくソーセージ、その他の食品にお
いても見られ、その商品価値を低下せしめていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
カラギーナン製剤の添加がハム類その他の食品の商品価
値を低下させることに着目し、カラギーナン製剤による
食品の商品価値の低下を防止することを目的としてなさ
れたものである。本発明者らは、カラギーナンのゾルに
炭酸カルシウム、粉乳、でん粉、セルロースあるいは乳
化脂肪のような光を乱反射させることのできる不透明物
質、特に白色不透明物質を加え、乾燥粉砕して得られる
カラギーナンキセロゲル粉末をピックルに混合し、原料
肉に加えてハムを製造すると、カラギーナンが肉中に分
散してもカラギーナンが白濁し、切断面に光沢のある透
明あるいは半透明なゼリー状の斑点や層が形成されるこ
とがなく、カラギーナンの不均一な分散が目立たなくな
り、その部分がむしろ白く不透明な部分として脂肪又は
肉質の一部に見えることを見出して、本発明をなすに至
った。
【0004】すなわち、本発明の課題は、不透明物質を
包含させた新規なカラギーナンキセロゲル粉末を提供す
ることにある。また、本発明の課題は、この不透明物質
包含カラギーナンキセロゲル粉末を食品、特にハム、ソ
ーセージに添加してもカラギーナンの不均一な分散に基
づく、光沢のある透明あるいは半透明なゲル状の溜まり
が食品断面において目立たず、白く不透明な脂肪又は肉
質の一部として見え、商品価値の高い食品、特にハム、
ソーセージ類を提供することにある。さらに、本発明の
課題は、このような不透明物質包含カラギーナンキセロ
ゲル粉末の製造法及びこれを含有した食品、特にハム、
ソーセージ類の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するためになされたものであって、カラギーナ
ンキセロゲル中に不透明物質が分散されて包含されてい
る不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末に関す
る。このような不透明物質包含カラギーナンキセロゲル
粉末は、カラギーナンゾルに不透明物質を加えて不透明
化乃至白濁させ、これをゲル化させ、脱水乾燥し、粉砕
して得ることができるものであって、これに水を加えて
ゲル化させたとき不透明物質がカラギーナンゲルから分
離することがなく、両者が一体となって挙動するもので
ある。
【0006】また、本発明は、このような不透明物質包
含カラギーナンキセロゲル粉末の製造方法に関する。本
発明の不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末の製
造方法には次のような方法がある。 (1) 不透明物質とカラギーナン粉末とを水に加え、加温
してカラギーナンのゾルを形成し、得られたゾルを冷却
してゲルを得、次いでこのゲルを破砕、脱水後乾燥して
キセロゲルとし、次いでこのキセロゲルを粉砕すること
よりなる不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末の
製造方法。 (2) カラギーナン原藻の抽出、粗濾過または精製濾過の
段階で得られるカラギーナンゾルに、不透明物質を加え
て混合し、これを冷却してゲルとし、次いでこのゲルを
破砕、脱水後乾燥してキセロゲルを得、このキセロゲル
を粉砕することよりなる不透明物質包含カラギーナンキ
セロゲル粉末の製造方法。 (3) カラギーナン粉末に、不透明物質を加えて混合し、
これに水を加えて混練してペースト乃至スラリー状と
し、これを加熱溶融した後、冷却してゴム状の塊とし、
これを切削後乾燥したキセロゲルを得、次いでこのキセ
ロゲルを粉砕することよりなる不透明物質包含カラギー
ナンキセロゲル粉末の製造方法。
【0007】さらに、本発明は、前記不透明物質包含カ
ラギーナンキセロゲル粉末を含有せしめた食品、特にハ
ム、ソーセージ類に関する。さらに本発明は、前記不透
明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末をピックルに混
合してこれを原料肉に注入し、塩漬を行い、以下常法に
従ってハム類を製造することよりなるカラギーナンのゲ
ル化による透明な斑点又は層の形成がなく断面が肉色に
近い色調を呈するハム類の製造方法に関する。
【0008】本発明における不透明物質は、カラギーナ
ンのゾルを不透明化乃至白濁化し、かつ食品添加物とし
て使用できるものであればどのようなものでも用いるこ
とができる。例えば、セルロース微粉末、デンプン、
小麦粉、タルク、ケイソウ土、第二リン酸カルシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、牛乳、粉
乳、マーガリンの乳化液、牛脂の乳化液、豚脂の乳化
液あるいはこれら〜を組合せた混合物等が用いら
れる。これらの不透明物質の使用量は、食品中、例えば
ハム、ソーセージ中においてカラギーナンの透明ゼリー
状の斑点又は層を認められることとならない量使用され
る。通常は、カラギーナン1重量部に対し、0.2〜1 重
量部が用いられる。
【0009】本発明で使用するカラギーナンはκタイプ
カラギーナンを主体とするものが好適である。従来カラ
ギーナン精製品の製造においては原藻の熱水抽出液を濾
過によってできるだけ透明なゾルとし、これからエタノ
ールによって沈殿回収するか或いは冷却ゲル化し、この
ゲルをプレス脱水することによってカラギーナン濃度を
高めた後、乾燥、粉砕することによって透明なカラギー
ナンキセロゲルを得るのが普通であった。又、カラギー
ナン粗製品においては精製工程の重要な部分である抽
出、濾過の操作を省き、繊維組織等の不溶解分がそのま
ま残った状態でカラギーナンとして使用されている。こ
のような粗製のカラギーナンでは使用時にこれらが浮遊
又は凝集して相応に半透明か不透明のゾル又はゲルにな
る。しかしこのような粗製のカラギーナンを用いても食
品の断面は依然として不自然な外観を与える。本発明で
はこのようなカラギーナンのいずれをも原料として用い
ることができる。
【0010】市販のカラギーナン製品(精製品又は粗製
品)には、上記従来のカラギーナン単独のカラギーナン
原末と、それに各種の用途、目的に応じて副材料粉末
(例えばローカストビーンガム等の増粘多糖類、塩化カ
リウム等の無機塩類、グルコース、サッカロース等の甘
味増量剤又はその他の添加剤)を単に混合、均一化した
カラギーナン製剤とがある。この後者の製剤の副材料粉
末として多量の不透明物質を混合することができる。し
かし、このカラギーナン製剤を使用したピックルを白濁
させて製造したハムは前記したようにハムの断面になお
透明なゼリー部分が認められカラギーナン溜まりの外観
を改善することはできない。一方、本発明は、上記のよ
うな単なる各配合材料の機械的な混合粉体ではなく、多
量の不透明物質がカラギーナンゲルの中に均一に分散さ
れて包含されたキセロゲル粉末にかかるものである。こ
の粉末は、食品製造工程中でカラギーナンゲルと不透明
物質とが同一の挙動を示し常に両者が共存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を記載
する。カラギーナン原末および不透明物質の使用量は、
例えば、カラギーナン原末1重量部に対して白色不透明
物質 0.2〜1重量部が適当である。0.2 重量部以下では
目的の白濁効果乃至不透明化効果が不十分であり、1重
量部以上ではカラギーナンの相対量の不足からゲル化や
保水の効果が発揮されないからである。カラギーナンの
例えば、 0.5〜2%溶液に不透明物質を加えて70〜75℃
の白濁ゾルとし、これを冷却して白濁ゲルを得る。次い
で肉挽機のような破砕手段を用いて破砕し、プレス脱水
した後、乾燥して白色のキセロゲルを得、次いで粉砕
後、篩別等の粒径を整える手段を用いて 100〜300 メッ
シュの微粉末を得る。又、本発明においてカラギーナン
原藻の抽出、濾過段階で得られるカラギーナンゾルを使
用する場合も、カラギーナンと不透明物質との使用割合
は前記と同様の割合で用いられる。
【0012】又、本発明における他の製造法としてカラ
ギーナン粉末に不透明物質を加えて混合し、これに水を
加えて混練してペースト状乃至スラリー状として、マイ
クロ波等により加熱溶融した後、冷却してゴム状の塊を
得、次いでこれを切削し、乾燥してもキセロゲルの 100
〜300 メッシュ微粉末を得ることができる。これらの方
法により得たカラギーナンキセロゲル粉末は敢えて過度
に不透明にしたカラギーナンとなる。そして、その1%
ゾル濃度の白濁度は市販牛乳の水による20〜200倍
希釈相当である。これに比べると不溶解分がそのまま残
った上述のカラギーナン粗製品のそれは不透明といって
も数百倍希釈相当に過ぎず、本発明にかかる不透明物質
包含カラギーナンキセロゲル粉末と全く異なる。
【0013】また、この不透明物質含有カラギーナンキ
セロゲル粉末の製造工程のいずれかの工程においてある
いは得られた粉末に塩化カリウム、塩化ナトリウム等の
食用可能なアルカリ金属塩を加えるとカラギーナンのゲ
ル化能を高めることができるのでその添加が望ましい。
これらのアルカリ金属塩の使用量は10〜15%程度が望ま
しい。さらに、血色素、その他の着色料を混合して製品
の色調を肉色により近づけてもよい。また、従来のカラ
ギーナン製剤のように増粘多糖類、甘味料等を添加して
もよい。
【0014】このようにして得られた不透明物質包含カ
ラギーナンキセロゲル粉末を食品、特にハム、ソーセー
ジ製造において原料肉に含有させるには、不透明物質包
含カラギーナンキセロゲル粉末をピックルに混合し、ハ
ム原料肉に注入するとよい。注入には、ピックルインジ
ェクターを用い、そこに付設されている多数の注射針か
らピックルを原料肉に連続的に注入し、マッサージマシ
ンあるいはタンブリングマシンで処理してピックルを原
料肉に早く均一に浸透させて塩漬を行なうとよい。塩漬
処理した原料肉は、ケーシングに充填するかあるいは充
填することなく、燻煙処理及びボイル等の加熱処理を行
ない、冷却し包装してボンレスハム、ロースハム等のハ
ム類を製造することができる。また、プレスハムの場合
は、塩漬処理した原料肉をミキシングし、ケーシングに
充填し、燻煙、及びボイルを行ない、冷却し包装して製
造することができる。またベーコン類あるいは焼き豚に
ついても同様に塩漬処理終了後、燻煙処理その他の加熱
処理し、包装してベーコン類あるいは焼き豚を製造する
ことができる。これらのハム類、ベーコン類あるいは焼
き豚の製造法は、通常行なわれているこれらの食品の製
造法及び製造条件をそのまま適用することができる。本
発明におけるハム類としては、ハム、例えば、ロースハ
ム、ボンレスハム、プレスハムあるいは焼き豚、ベーコ
ン等を例示することができる。白濁カラギーナン粉末
は、ピックル99〜95重量部に対し、1〜5重量部の割合
で混合し、全体で原料肉に対し15〜100 重量%程度添加
することが望ましい。また、ソーセージを製造するさい
は、その原料の添加工程において不透明物質包含カラギ
ーナンキセロゲル粉末を直接添加するとよい。このよう
にして添加したカラギーナン粉末はソーセージの加熱又
は燻煙工程において加熱によりゲルとなり、冷却工程に
おいて不透明ゲルを形成する。その添加量は、原料肉に
対して0.2〜2.0 重量%が適当である。さらに、本発明
は従来カラギーナンを添加していた他の食品においても
従来のカラギーナンの代わりに添加することができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げてさらに具体的
に説明する。
【実施例1】市販牛乳 150重量部に水 850重量部、塩化
カリウム7重量部、精製カラギーナン15重量部を加えて
攪拌し、分散する。加熱して70〜75℃のカラギーナンの
白濁溶液とし、冷却して白濁ゲルを得る。これを肉挽機
で破砕し、加圧脱水して約 180重量部にした後,風乾し
て白いキセロゲルを得、更に微粉砕、篩分して 100〜30
0 メッシュの不透明物質包含カラギナンキセロゲル微粉
末24重量部を得た。
【0016】
【実施例2】塩化カリウムの 0.4%水溶液 1,000重量部
に精製カラギーナン15重量部と不透明物質としてセルロ
ース微粉末15重量部を加えて攪拌し、分散する。加熱し
て70〜75℃のカラギーナンの白濁液とし、冷却して白濁
ゲルを得る。これを肉挽機で破砕して、加圧脱水して約
200重量部にした後、風乾して白いキセロゲルを得、更
に微粉砕、篩分して 100〜300 メッシュの不透明物質包
含カラギーナンキセロゲル微粉末30重量部を得た。
【0017】
【実施例3】カラギーナン原末4重量部とコロイド性炭
酸カルシウム4重量部との混合物に80℃の熱湯92重量部
を加え、攪拌混合してカラギーナンの溶解及び炭酸カル
シウムの分散を行い白濁カラギーナンゾルを得た。この
白濁カラギーナンゾルが熱いうちに噴霧乾燥し、50〜10
0 メッシュ程度の粒子に粉砕して不透明物質包含カラギ
ーナンキセロゲル粉末を得た。
【0018】
【実施例4】実施例3のコロイド性炭酸カルシウムに代
えて脱脂粉乳を4重量部加え、実施例1と同様の方法で
不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末を得た。
【0019】
【実施例5】カラギーナン原末4重量部に80℃の熱湯92
重量部を加え、カラギーナンゾルを形成した。このカラ
ギーナンゾルがまだ熱いうちにコロイド性炭酸カルシウ
ム4重量部を混合し、炭酸カルシウムを均一に分散さ
せ、冷却ゲル化して白濁カラギーナンゲルを得た。これ
をプレス脱水し、50〜100 メッシュ程度の粒子に粉砕し
て不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末を得た。
【0020】
【実施例6】カラギーナン 100重量部、炭酸カルシウム
30重量部に水 500重量部を加えて混練した。マイクロ波
により80〜85℃にして溶融した後、冷却してゴム状の塊
を得た。これを切削し、風乾して白いキセロゲルを得、
更に微粉砕、篩分して 100〜300 メッシュの不透明物質
包含カラギーナンキセロゲル微粉末 130重量部を得た。
【0021】
【実施例7】実施例2で得られたキセロゲル微粉末2重
量部を4%食塩水を主とする所定のピックル98重量部に
加えて攪拌・分散し、マルチニードルインジェクターで
肉 100重量部に60重量部注入した。肉を減圧タンブラー
に入れ、減圧・脱気してタンブリングの後、肉をラミネ
ートしたケーシングに充填し、真空パックした。ケーシ
ングを型に入れ、内部温度が72℃になるまで75℃で加熱
した。水で急冷の後、5℃で保管して 160重量部のハム
製品を得た。この製品の切断面には透明なゲル部分が認
められなかった。比較対照として、本発明の不透明物質
包含カラギーナンキセロゲル粉末の代わりに、単に普通
のカラギーナン粉末とセルロース微粉末とを1:1で混
合して得た実施例2の不透明物質包含カラギーナンキセ
ロゲル粉末と同一成分割合のカラギーナン製剤を使用し
た。対照カラギーナン製剤2重量部を上記と同一条件で
ピックルに加えてハムを製造した。このハムの切断面に
は小さいカラギーナンの透明ゲル塊が散見された。
【0022】
【実施例8】実施例6で得られた不透明物質包含カラギ
ーナンキセロゲル微粉末2重量部を使用して、実施例7
と同様にしてハムを製造し、 160重量部のハム製品を得
た。この製品の切断面には透明なゲル部分が認められな
かった。比較対照として、実施例6の不透明物質包含カ
ラギーナンキセロゲル微粉末の代わりに、単に普通のカ
ラギーナン粉末と炭酸カルシウム粉末とを3:1で混合
して得た実施例6のカラギーナン粉末と同一成分割合の
カラギーナン製剤を使用した。対照カラギーナン製剤2
重量部を上記と同一条件でピックルに加えてハムを得
た。このハムの切断面にはガラギーナンの小さい透明ゲ
ル塊と層とが多数認められた。
【0023】
【実施例9】水90.76 重量部に食塩 4.0重量部、発色剤
0.03重量部、トリポリリン酸ソーダ1.0 重量部、ACS
0.2重量部、色素0.01重量部よりなる塩漬剤及び実施例
3〜5のいずれかで得られた不透明物質包含カラギーナ
ンキセロゲル粉末を4重量部を溶解してピックルを調製
した。このピックルをインジェクターを用い豚ロース肉
100重量部に対し60重量部に注入した。
【0024】このようにして不透明物質包含カラギーナ
ンキセロゲル粉末が注入された豚肉は、マッサージマシ
ンでマッサージ処理しながら10℃で一夜放置し、豚肉を
発色させた。このようにして塩漬処理した豚肉をケーシ
ングに充填し、80℃(中心温度74℃) で90分間熱処理
し、冷却してロースハムを製造した。また、対照として
本実施例の不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末
の代わりに、カラギーナン原末2重量部およびコロイド
性炭酸カルシウム2重量部あるいは脱脂粉乳2重量部を
混ぜたピックルを調製して本実施例と同様の方法でロー
スハムを製造した。
【0025】本実施例で得られたロースハムと対照のロ
ースハムとを対比すると、本発明の不透明物質包含カラ
ギーナンキセロゲル粉末を用いたいずれもが、対照にく
らべてカラギーナンの白濁により、カラギーナンの分散
不良が目立たないものとなった。その結果、製品断面に
ゲル状のカラギーナンの溜まりができても、ハムは肉色
に近い美しい色調のものとなった。
【0026】なお、本発明の不透明物質包含カラギーナ
ン粉末を用いたハム類は、その断面にメチレンブルーの
水溶性液を滴下すると、不透明物質包含カラギーナンキ
セロゲル粉末が入っている個所が赤紫に染まるので、不
透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末を用いないも
のと区別することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明によるとカラギーナンの加熱溶解
時に不透明物質(白濁生成物質)を加え乾燥粉砕あるい
はゲル化後プレス脱水及び粉砕することによって不透明
物質包含カラギーナンキセロゲル粉末を得ることができ
る。このような不透明物質包含カラギーナンキセロゲル
粉末は、ハム類製造時にピックルに混合し、原料肉に注
入すると不透明物質が製造工程中カラギーナンと共存し
て、得られるハム類中でカラギーナンが不透明化し、ハ
ム類製品に光沢のない不透明なゲルを作る。従って、こ
のハム類の切断面では光沢や透明なゼラチンゼリー状の
カラギーナンゲル斑点や層の溜まりが見られなくなり、
カラギーナンの肉中での分散不良が目立たなくなる。そ
の結果、ハム類の商品価値を落とすことなく、肉質や加
熱時の肉質の保水性を向上させることができる。さら
に、色調変化が少なく肉色に近いハム類を製造すること
ができ、ピックルの注入量を多くし、見た目には美味し
そうで食生活の健康志向にかなう低脂肪、低カロリーの
ハム類を得ることができ、ハム類のコストダウンをはか
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 敏夫 東京都足立区千住緑町1−1−1 株式 会社ニッピ内 (72)発明者 窪田 文蔵 東京都足立区千住緑町1−1−1 株式 会社ニッピ内 (56)参考文献 特開 平2−245162(JP,A) 特開 平8−51956(JP,A) 特開 昭56−95901(JP,A) 特開 昭47−23549(JP,A) 特開 平5−260927(JP,A) 特開 平4−356170(JP,A) 特開 昭56−29948(JP,A) 特開 昭60−62961(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/05 - 1/09 A23L 1/31 - 1/322 JICSTファイル(JOIS)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラギーナンキセロゲル中に、カラギー
    ナン1重量部に対し0.2 〜1重量部の不透明物質が分散
    されて包含されている不透明物質包含カラギーナンキセ
    ロゲル粉末。
  2. 【請求項2】 カラギーナンゾルに、カラギーナン1重
    量部に対し0.2 〜1重量部の不透明物質を加えて不透明
    化乃至白濁させ、これをゲル化し、脱水乾燥して得るこ
    とのできる、不透明物質が分散されて包含されている不
    透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末。
  3. 【請求項3】 カラギーナン1重量部に対し0.2 〜1重
    量部の不透明物質とカラギーナン粉末とを水に加え、加
    温してカラギーナンのゾルとし、得られたゾルを冷却し
    てゲルを得、次いでこのゲルを破砕、脱水後乾燥してキ
    セロゲルを得、次いで当該キセロゲルを粉砕することを
    特徴とする不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 カラギーナン原藻の抽出、粗濾過または
    精製濾過の段階で得られるカラギーナンゾルに、カラギ
    ーナン1重量部に対し0.2 〜1重量部の不透明物質を加
    えて混合し、これを冷却してゲルを得、このゲルを破
    砕、脱水後乾燥してキセロゲルを得、次いでこのキセロ
    ゲルを粉砕することを特徴とする不透明物質包含カラギ
    ーナンキセロゲル粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 カラギーナン粉末に、カラギーナン1重
    量部に対し0.2 〜1重量部の不透明物質を加えて混合
    し、これに水を加え混練してペースト状乃至スラリー状
    とし、これを加熱溶融した後、冷却してゴム状の塊を
    得、次いでこれを切削後乾燥してキセロゲルを得、次い
    でこのキセロゲルを粉砕することを特徴とする不透明物
    質包含カラギーナンキセロゲル粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の不透明物質包含
    カラギーナンキセロゲル粉末を含有せしめてなる食品。
  7. 【請求項7】 食品がハムあるいはソーセージ類である
    請求項6記載の食品。
  8. 【請求項8】 ハム類がハム、ベーコン、プレスハムあ
    るいは焼き豚である請求項7記載の食品。
  9. 【請求項9】 ピックルに、請求項1または2記載の不
    透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末を混合し、こ
    れを原料肉に注入し、塩漬を行うことを特徴とするカラ
    ギーナンのゲル化による透明な斑点又は層の形成がなく
    断面が肉色に近い色調を呈するハム類の製造法。
JP08339074A 1996-12-04 1996-12-04 不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品 Expired - Fee Related JP3099760B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08339074A JP3099760B2 (ja) 1996-12-04 1996-12-04 不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08339074A JP3099760B2 (ja) 1996-12-04 1996-12-04 不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10165115A JPH10165115A (ja) 1998-06-23
JP3099760B2 true JP3099760B2 (ja) 2000-10-16

Family

ID=18324017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08339074A Expired - Fee Related JP3099760B2 (ja) 1996-12-04 1996-12-04 不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3099760B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6685978B1 (en) 2000-04-04 2004-02-03 Cp Kelco Aps Gelled and gellable compositions for food products
JP2007185148A (ja) * 2006-01-13 2007-07-26 Sunnyhealth Co Ltd 食感改良剤、畜肉または魚肉加工品

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5629948A (en) * 1979-08-15 1981-03-25 Takao Morita Apparatus for producing good quality edible meat from fat of animal and vegetable
JPS5695901A (en) * 1979-12-28 1981-08-03 Masayuki Matsumoto Preparation of carrageenan by gelation with aqueous salt solution
JPS6062961A (ja) * 1983-09-14 1985-04-11 Osaka Kanetetsu Shokuhin Kk ハム風ねり製品の製造法
JPH02245162A (ja) * 1989-03-17 1990-09-28 Chiba Seifun Kk ピックル剤組成物
JPH04356170A (ja) * 1991-02-07 1992-12-09 Snow Brand Food Co Ltd 低カロリーハムの製造法
JP2885566B2 (ja) * 1992-03-19 1999-04-26 オルガノ株式会社 食肉加工用ピックル液組成物および食肉加工製品の製造方法
JPH0851956A (ja) * 1994-08-09 1996-02-27 Asahi Chem Ind Co Ltd 食肉加工用ピックル液及び食肉加工製品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10165115A (ja) 1998-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6270830B1 (en) Stabilizer for meat products and meat product composition
RU2223676C2 (ru) Способ производства ветчинно-рубленых консервов из гидробионтов
US5490993A (en) Method of preparing a proteinaceous food product containing a melt spun matrix and product thereof
SU301939A1 (ru) Способ приготовлени пищевых продуктов
JP3400591B2 (ja) 魚蓄肉用リン酸塩代替用組成物および食肉加工品の処理方法
JPH08502894A (ja) 肉製品
JP3099760B2 (ja) 不透明物質包含カラギーナンキセロゲル粉末及びそれを含有する食品
JP7108073B2 (ja) 魚介類加工食品
JPH1146723A (ja) 肉製品用の安定剤及び肉製品組成物
JP2702233B2 (ja) 魚畜肉練製品および魚畜肉練製品用組成物
US2060160A (en) Art of sausage manufacture
JPH07213259A (ja) 加工食品用品質改良剤
JP2789505B2 (ja) 低カロリー食品素材及びこれを用いた低カロリー食品
JPH0369502B2 (ja)
JP3284107B2 (ja) 加圧加熱ソーセージ及びその製造方法
JPS6043100B2 (ja) ゲル状食品の製造法
JPH06237737A (ja) 肉製品用素材、その製造法及び肉製品
RU2703179C1 (ru) Способ производства желированного продукта из макруруса
JPS63254962A (ja) 低カロリ−食肉製品及びその製造方法
DE1692066A1 (de) Verfahren zur Behandlung von Fleisch
JPH0499453A (ja) こんにゃくクラッシュ、こんにゃくペーストおよびこんにゃくパウダーの製造方法
RU2178652C1 (ru) Способ приготовления желейной заливки с ароматом копчения
JPH0372856A (ja) マンナンゼリーを用いた食品加工方法
JPS594979B2 (ja) 新食品素材の製造法
WO1988000798A1 (en) Composite poultry product

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees