JP6564185B2 - レトルトソーセージの製造方法 - Google Patents

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本発明は、レトルトソーセージの製造方法に関し、より詳しくは、人工ケーシングからの剥離が容易であるレトルトソーセージの製造方法に関する。
通常ソーセージは、畜肉類等の原料を挽き、必要に応じて、調味料及び香辛料で調味し、さらに結着補強剤、酸化防止剤、保存料等を添加して、練り合わせたものをケーシング等に充填した後、燻煙し又は燻煙しないで、加熱又は乾燥することにより製造される。これらのソーセージは、通常チルド流通されるものであり、保存期間も短いものが多い。しかし、生活パターンの多様化、常温備蓄品の需要などにより、長期間保存可能なソーセージの開発も要請されている。
常温長期保存用ソーセージをはじめとする包装食品のレトルト殺菌においては、加熱殺菌を行う際の時間と温度により算出されるF値が4以上で行われるべきことが、厚生労働省の基準により定められている。しかし、レトルト釜内温度はリアルタイムで測定可能であるが、包装容器内温度を直接測定することは困難であり、釜内温度と包装食品の中心温度とにはずれが生じることが多いことから、殺菌が十分にできていない(不十分レトルト殺菌)という不都合が生じることがある。かかる不都合を防止するため、厚生労働省が定める基準よりも厳しい条件で殺菌処理が行われることが多い。そのため、製品からの離水が過剰に生じて歩留まりが低下し、肉汁が流出することにより食感の悪化が起きるおそれがある。
また、常温保存できるソーセージの製造においては、ケーシング自体が腐敗することがないよう人工ケーシングを用いられることが多いが、上述のとおり加圧加熱殺菌処理により、又は経時的に、ケーシングとソーセージ肉の間に離水や気泡が生じると、二次的に腐敗菌の増殖が誘発されるおそれがあることから、離水を減らし、ソーセージ肉とケーシングとの密着性を高める必要がある。しかしながら、密着性が高まれば高まるほど、ソーセージをケーシングから剥がそうとした場合に、多量のソーセージ肉がケーシングに付着してしまうという問題が生じる。
そのため、ソーセージ肉のケーシングからの剥離性を改良すべく、内側を被覆した管状のセルロース系食品ケーシングであって、内部被覆が、450〜800mg/mのレシチン、30〜300mg/mのポリ(テトラフルオロエチレン)を含んでなる食品ケーシング、及び、内部被覆がさらに500mg/mまでの、好ましくは100〜500mg/mの、油を含む、上記食品ケーシング(例えば、特許文献1参照)や、肉剥離性及び自動充填包装適性に優れる、塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、炭素原子数19〜25の脂肪酸成分とポリグリセリン成分とのエステル0.05〜1.5重量部を含有する樹脂組成物から形成された塩化ビニリデン系樹脂フィルム(例えば、特許文献2参照)や、充填包装された内容物の取り出し性がよいフィルムとして、ガスバリア性フィルムの両面にヒートシール性フィルムが積層されてなる熱収縮性積層フィルムであって、該熱収縮性積層フィルム全体のループステフネスが1.5gf/20mm以下である熱収縮性積層フィルム(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
一方、カラギーナンは、紅藻類から抽出及び精製することによって得ることができるアンヒドロガラクトース及びガラクトースの硫酸エステルを構成糖とする直鎖状の多糖類であって、硫酸基の位置と数によってカッパ(κ)、ラムダ(λ)、イオタ(ι)型(タイプ)等に大別される。
特開平07−069368号公報 特開2005−048109号公報 特開2003−159761号公報
本発明の課題は、レトルトソーセージの製造において、加圧加熱殺菌処理による離水率を低減することにより、ソーセージのジューシー感等の風味を維持し、また、ソーセージ肉の人工ケーシングへの密着性を維持する一方で、ソーセージ肉の人工ケーシングからの剥離を容易にするレトルトソーセージの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、ソーセージの原料の選択について試行錯誤を続けた結果、原料にカラギーナンを配合した場合に、F4又はF6以上の加圧加熱殺菌処理を行ったときにも、離水率が従来品よりも低く、かつケーシングからの剥離が非常に容易であるレトルトソーセージを作製できることを見いだし、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]ソーセージ製造用食肉配合原料を人工ケ−シングに充填して、加圧加熱殺菌処理し、該加圧加熱殺菌処理したソーセージを人工ケーシングから剥離することにより調製するレトルトソーセージの製造方法において、以下の工程を備えたことを特徴とする、ソーセージ肉の人工ケーシングへの密着性と、ソーセージ肉の人工ケーシングからの剥離性を改善した、レトルトソーセージの製造方法。
(a)食肉材料が、畜肉、家禽肉又は家兎肉からなる食肉原料と副原料とカッパカラギーナン又はカッパカラギーナンを主体としたカラギーナンとからなるソーセージの原料を準備する工程;
(b)前記食肉原料に、前記副原料と前記カラギーナンとを、該食肉材料をソーセージ原料全体の50質量%以上の割合で、かつ、該カラギーナンをソーセージ原料100質量部に対して、1質量部〜4質量部の割合で配合して、配合原料を調製する工程;
(c)前記配合原料を人工ケーシングに充填して、充填未加熱ソーセージを調製する工程;
(d)前記充填未加熱ソーセージを加圧加熱殺菌処理し、前記人工ケーシングからの剥離が容易であるレトルトソーセージを調製する工程;
]加圧加熱殺菌処理が、F値が6以上である加圧加熱殺菌条件で行われることを特徴とする上記[1]に記載のレトルトソーセージの製造方法。
]加圧加熱殺菌処理による離水率が1%以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のレトルトソーセージの製造方法。
]レトルトソーセージが、ケーシングから引き抜いたソーセージの破断応力が110g/cm以上であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のソーセージの製造方法。
]レトルトソーセージが、ケーシングからソーセージを引き抜いた場合のケーシングへの肉の付着率が1%以下であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のレトルトソーセージの製造方法。
本発明によると、加圧加熱殺菌処理による離水率が非常に低いレトルトソーセージを製造することができ、かつ、かかるレトルトソーセージは、ソーセージ肉のケーシングからの剥離が容易になるという、先行技術と比較して顕著に有利な効果が奏される。
(ア)はカッパタイプのカラギーナン、(イ)はイオタタイプのカラギーナンの基本構造を示す図である。 各種レトルトソーセージの離水率を示すグラフである。 人工ケーシングから引き抜かれたソーセージの肉の付着率を示すグラフである。 人工ケーシングから引き抜かれたソーセージの破断応力を示すグラフである。
本発明のレトルトソーセージの製造方法としては、(a)食肉原料と副原料とカッパカラギーナン又はカッパカラギーナンを主体としたカラギーナンとからなるソーセージの原料を準備する工程;(b)前記食肉原料に、副原料とカラギーナンとを配合して、配合原料を調製する工程;(c)前記配合原料を人工ケーシングに充填して、充填未加熱ソーセージを調製する工程;(d)前記充填未加熱ソーセージを加圧加熱殺菌処理して、前記人工ケーシングから、ソーセージ肉を剥離することが容易であるレトルトソーセージを調製する工程;の各工程を備えた方法であれば特に制限されず、本発明におけるレトルトソーセージとは、前記人工ケーシングに充填後、加圧加熱殺菌処理を行ったソーセージをいう。
上記食肉原料としては、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉等の畜肉;鶏肉、合鴨肉、鴨肉等の家禽肉;家兎肉;タラ、イトヨリ、エソ、キンキ等の魚肉;などの食肉等を挙げることができ、一種又は二種以上の食肉を混合して用いることもでき、また、ミンチされたひき肉として用いられることが好ましい。これら食肉は、ソーセージ原料全体の50質量%以上、魚肉を含む場合は食肉全体の40質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10%質量以下である。
上記副原料としては、他の食材、調味料、香辛料、結着材料、着色料、他の原料から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
上記他の食材としては、タマネギ、トマト、オリーブ、パプリカ等を挙げることができ、これらはチョッピング処理やミンチ処理により、練り状物として適当な形態になるよう処理されることが好ましく、これらは、ソーセージに味や食感のバリエーションを持たせるために用いることができる。
上記調味料としては、食塩;酢;しょうゆ;砂糖、水あめ等の糖類;日本酒、ワイン等の酒類;植物油脂、ラード、魚油、DHA等の油脂類;チキンエキス、ビーフエキス、ポークエキス、ホタテエキス、酵母エキス、カツオエキス、オニオンエキス等のエキス類;グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、タンパク質加水分解物等の旨味成分;などの調味料を挙げることができ、上記香辛料としては、ガーリック、ホワイトペッパー、ブラックペッパー、レッドペッパー、ナツメグ、メース、オールスパイス、タイム、クローブ、カルダモン、ターメリック、ローリエ等、及びこれらの1種又は2種以上を混合したミックススパイスなどの香辛料を挙げることができる。
上記結着材料としては、デンプン、異種タンパク質を挙げることができる。上記デンプンとしては、タピオカデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、ウルチ種コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、サゴデンプン、緑豆デンプンや、これらのデンプンを加工した、油脂加工デンプン、アセチル化酸化デンプン、リン酸架橋デンプン等の加工デンプン類を挙げることができ、リン酸架橋タピオカデンプンや油脂加工タピオカデンプンを好適に例示することができる。上記異種タンパク質としては、全卵タンパク質、卵白タンパク質、卵黄タンパク質、カゼイン、乳清タンパク質単離物、乳清タンパク質濃縮物(WPC)等の動物性タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質等の植物性タンパク質を挙げることができる。これらの結着材料は、上記の食肉原料と副原料とカラギーナンとをなじませるために用いることができる。
上記着色料としては、コチニール色素、ラック色素、クチナシ色素、カラメル色素等通常食品に用いられている天然又は人工着色料を挙げることができる。
上記他の原料としては、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩製剤などの発色剤や、グルコマンナン、寒天、プルラン、カードラン、ジェランガム、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等の増粘多糖類や、増粘多糖類のゲル化機能を高めるための塩化カリウム等の塩類や、デキストリンや、酸化防止剤等を挙げることができる。
上記カッパカラギーナン又はイオタカラギーナンは、水溶性高分子の一種であり、β−D−ガラクトースと3、6アンヒドロ−α−D−ガラクトースが、β−1,4結合とα−1,3結合とを交互に繰り返して結合した直鎖状の硫酸化多糖類であるカラギーナンのうち、Eucheuma cottonii等のキリンサイ属の紅藻から精製されるカッパタイプのカラギーナン(カッパカラギーナン)、又は、Eucheuma spinosum等のキリンサイ属の紅藻から精製されるイオタタイプのカラギーナン(イオタカラギーナン)をいう。
前記工程(b)は、前記食肉原料と副原料とカッパカラギーナン又はカッパカラギーナンを主体としたカラギーナンとを配合する工程であり、かかる工程における、上記カッパカラギーナン又はカッパカラギーナンを主体としたカラギーナン(カッパカラギーナンイオタカラギーナン含有)の配合時期としては、充填前に食肉原料と、副原料と、該カラギーナンとが配合されて配合原料が調製されるのであれば特に制限されず、例えば、食肉原料の一部又は全部にカラギーナンを混合した後に、食肉原料と副原料とを配合することもでき、副原料の一部又は全部にカラギーナンを混合した後に、副原料と食肉原料とを配合することもでき、食肉原料と副原料が混合された後にカラギーナンを配合することもできる。具体的には、上記他の食材、調味料、香辛料、結着材料、着色料、他の原料の一種又は二種以上を添加物セットとし、かかる添加物セットを、カラギーナンとともに氷水に投入し、混合後、添加物セットとカラギーナンが混合された氷水を上記ミンチされたひき肉や残りの副原料に配合することにより上記配合原料を調製することもできる。なお、氷水と混合した添加物セットやカラギーナンを、ひき肉や残り肉に配合する場合、粉がダマにならないように十分に溶解してから行うことが望ましい。
上記カッパカラギーナン又はカッパカラギーナンを主体としたカラギーナンの上記ソーセージ原料100質量部に対する配合量としては、カラギーナン合計で、0.2〜4質量部、好ましくは0.5〜3質量部、より好ましくは1〜2.5質量部を挙げることができ、4質量部を超えると粘度が高くなりすぎるおそれがある。配合原料は、未加熱の状態で、充填機に均一に充填できる可塑性や、加圧加熱殺菌処理が均一に行われるような均一性や、カッパカラギーナンやイオタカラギーナンが有する水分保持性をソーセージ全体に付与するために、均一に混合された練り状物として調製されることが好ましい。
前記(c)前記配合原料を人工ケーシングに充填して、充填未加熱ソーセージを調製する工程における、充填未加熱ソーセージを調製する方法としては、上記配合原料を、充填機を用いることにより、加圧加熱殺菌処理に適した充填ソーセージを調製する方法であれば特に制限されず、上記充填機の具体例としては、連続充填機を例示することができる。
前記(c)前記配合原料を人工ケーシングに充填して、充填未加熱ソーセージを調製する工程における配合原料としては、上記(b)工程にて調製された配合原料の他、かかる配合原料を一晩又は二晩静置したもの;ボールカッター、サイレントカッター、ミンスマスター等のカッティング装置によりさらに細かく粉砕する処理(細切処理)を行ったもの;及び/又はさらに脱気処理を行ったものを含めることができる。
上記人工ケーシングとしては、レトルトソーセージの製造のために加圧加熱殺菌処理をした場合に、無味、無臭で安全性(必要に応じて日本の食品衛生法、FDA等における安全性を参照。)に適合し、耐熱性や防湿性や酸素遮断性に優れ、また、突刺や圧力に対して耐性がある材質からなるケーシングであることが好ましく、具体的には、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等のケーシングや、ナイロンケーシング、セルロースケーシングなどのソーセージ用ケーシングを挙げることができる。
前記(d)充填未加熱ソーセージを加圧加熱殺菌処理し、前記人工ケーシングからの剥離が容易であるレトルトソーセージを調製する工程における、加圧加熱殺菌処理としては、日本の厚生労働省が定めているF値4又はそれ以上の条件にて殺菌する処理を挙げることができる。上記F値は、レトルト殺菌の条件を設定する指標として日本の食品業界で一般的に使用されている指標であり、レトルト殺菌食品の規格基準について、pHが5.5を超え、かつ水分活性が0.94を超える食品をレトルト殺菌する場合の条件として、特に缶詰や真空パックなどの嫌気性状態で繁殖し、またヒトにおける致死率も高い、ボツリヌス菌の耐熱性芽胞を死滅させることができる条件をもとに定められており、具体的には、以下の計算式によって求めることができる(東京都立食品技術センターだよりNo.15 平成24年9月参照)。
上記F値4である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて4分間、122℃にて3.3分間、125℃にて1.8分間等の条件を例示することができ;F値6である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて6分間、125℃にて2.8分間等の条件を例示することができ;F値8である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて8分間、125℃にて3.7分間等の条件を例示することができ;F値10である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて10分間、125℃にて4.6分間等の条件を例示することができ;F値12である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて12分間、125℃にて5.6分間等の条件を例示することができ;F値14である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて14分間等の条件を例示することができ;F値15である場合の加圧加熱殺菌処理の条件としては、121℃にて15分間等の条件を例示することができるが、具体的には、例えば、平均124℃で8分程度処理することでF15の値を得ることができる。不十分レトルト殺菌を防止するためのF値としては、6以上であることが好ましい。
上記加圧加熱殺菌処理を行う装置としては、F値4以上の条件で加圧加熱殺菌処理することができる装置であれば特に制限されず、また、装置内の温度や圧力のばらつきが少ない装置が好ましい。加圧加熱殺菌の方式としては、熱水スプレー式、熱水貯湯式、蒸気式等を挙げることができる。
前記(d)工程において調製されたレトルトソーセージが、人工ケーシングからの剥離が容易であると判断する方法としては、加圧加熱殺菌処理が終了後、ヒトの手で数十秒間かけて、折れないように丁寧に慎重に人工ケーシングを剥がすことにより、人工ケーシングから引き抜いたソーセージを調製し、以下の式2に基づいてソーセージ肉の付着率として算出した場合、ソーセージ肉の付着率が1%以下、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下であるときに、レトルトソーセージは、人工ケーシングからの剥離が容易であると判断する方法を挙げることができる。なお、ここで数十秒間とは、10〜30秒間、好ましくは15〜25秒間を表すこともある。
本発明において製造されるレトルトソーセージの物性は、人工ケーシングから引き抜いたソーセージについての離水率、破断応力、官能評価等によってもさらに評価されることができる。
本発明のレトルトソーセージにおいて、加圧加熱殺菌処理による離水率としては、1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.7%以下がさらに好ましい。
上記離水率の算出方法としては、以下の式3により算出することができる。
なお、W5は、以下の式4で表すことができる
本発明における上記人工ケーシングから引き抜いたソーセージの破断応力としては、直径1.3cmのソーセージにおいて、ケーシング剥け及び食感がより良好となる点で、110g/cm以上が好ましく、120g/cm以上がより好ましく、130g/cm以上がさらに好ましい。
上記破断応力の算出方法としては、レオメーターを用いて、算出する方法を挙げることができる。具体的には、人工ケーシングから引き抜いたレトルトソーセージを輪切りし、輪切したソーセージの断面に対して垂直に、プランジャーを、荷重をかけながらソーセージに突き刺して、ソーセージが破断するときの荷重(力)を最大荷重F(g)として、以下の式5に基づいて破断応力を算出することができる。レオメーターとしては、サン科学社製レオメーター(型番CR−500DX)を例示することができ、破断応力の測定をするためのプランジャーとしては、円柱型のプランジャーを例示することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[実施例1]
従来のレトルトソーセージに配合されていた、異種タンパクとして従来配合されていた卵白やカゼインや大豆タンパク質の代わりにカラギーナンを配合することにより、離水率を検討した。充填未加熱ソーセージの加圧加熱殺菌処理は、製品中心が121℃になるようにF値が6となるような条件と、F値が12となるような条件で行った。表1に配合内容と離水率を示す。
ここにおいて、異種タンパク質としてB−1では大豆タンパク質が、B−2では卵白タンパク質が、B−3ではカゼインナトリウムが用いられている。異種タンパク質の代わりにカラギーナンとして、B−4とB−10ではカラギーナン製剤Bを使用し、B−5〜B−9ではカラギーナン製剤Aを使用した。2種類のカラギーナン製剤は、共にカッパカラギーナンを主体とし、ローカストビーンガムとKClとデキストリンの配合比率が異なる。なお、カラギーナン製剤Aは、カラギーナン85%、ローカストビーンガム2%、KCl4%、デキストリン9%であり、カラギーナン製剤Bは、カラギーナン85%、ローカストビーンガム7%、KCl7%、デキストリン1%を含有する。
デンプンとして、B−1〜B−5では、タピオカ由来のリン酸架橋澱粉(加工澱粉A)を用い、B−6からB−10までは、同じタピオカ由来のリン酸架橋澱粉(加工澱粉B,D,E)と油脂加工処理したリン酸架橋澱粉(加工澱粉C)を用いた。表1から、これら加工澱粉の差異というよりも、カラギーナンの有無が離水率に大きく影響することがわかる。
(結果)
表1及び図2から明らかなとおり、卵白やカゼインや大豆タンパク質の代わりにカラギーナンを配合することにより、カラギーナン製剤A及びBの2タイプとも大豆タンパク質、卵白タンパク質、カゼインナトリウムと比較し、離水率が激減した。卵白やカゼインや大豆タンパク質を配合した場合の離水率は、F値6での加圧加熱殺菌処理においては、4.463〜5.682であり、F値12での加圧加熱殺菌処理においては、4.727〜5.667であった。一方、異種タンパク質の代わりにカラギーナンを配合した場合の離水率は、F値6での加圧加熱殺菌処理においては、0.285〜0.629であり、F値12での加圧加熱殺菌処理においては、0.287〜0.578であり、顕著に減少した値を示した。また、例えばカゼインを配合した場合、F値6での離水率と比較してF値12での離水率は20%近く増加するのに対し、カラギーナンを配合した場合は、F値が大きくなった場合にも離水率の増加率は、それほど大きくならなかった。この結果に基づき、カラギーナンをレトルトソーセージに配合して検討を続けることとした。
[実施例2]
食肉原料として、豚ひき肉40g、豚脂肪10g、鶏ムネ肉10gを、5mmのプレートサイズのグラインダーを用いてひき肉とした。食塩1.6g、グルタミン酸ナトリウム0.3g、亜硝酸塩製剤0.1g、重合リン酸塩0.3g、香辛料(類)0.4g、調味料製剤0.6g、水あめ4g、酸化防止剤0.05g、天然着色料0.03g、砂糖1g、タピオカリン酸架橋デンプン9gを添加物セットとした。カッパカラギーナン2.5gは、上記添加物セットとともに25gの氷水に投入され、混合後、添加物セットとカッパカラギーナンが混合された氷水を上記ひき肉に投入、混合することにより、配合原料を合計104.88g調製した。カラギーナンを原料として使用せず、代わりに大豆タンパク質を2.5g配合したものをコントロールとした。
上記配合原料は、一晩5℃にて静置後、ボールカッターを用いて、3000rpmにて約10分間の条件にて粉砕処理を行った。その後、粉砕された配合原料は、ミキサーにて脱気後、充填機(Vemag社製)を用いて内径約1.3cmのPVDC主体のケーシングに13g/本毎に充填を行い、直径約1.3cm、長さ10cmの充填未加熱ソーセージを100個調製した。
上記充填未加熱ソーセージは、加圧加熱殺菌処理は、レトルト釜(神垣鉄工所製)を用いて行い、釜内の温度が120℃以上となってから、製品中心温度121℃にて6分間殺菌し、レトルトソーセージを調製した。かかる調製されたレトルトソーセージは、レトルト釜内にて約35℃程度になるまで冷却された。その後、冷暗所にて放冷処理がなされたレトルトソーセージについて、検品評価と分析などを行った。
(肉の付着率)
上記放冷処理がなされたレトルトソーセージは、ヒトの手で10〜30秒間かけて、折れないように丁寧に慎重に人工ケーシングを剥がし、人工ケーシングから引き抜かれたソーセージを調製した。ケーシングの内面に残ったソーセージ肉質量と最初に詰めた肉質量から、上記式2にしたがい、肉の付着率を算出した。結果を以下の表2及び図3に示す。
(結果)
表2及び図3からも明らかなとおり、コントロールにおける肉の付着率は1.63%だったのに対し、上記ケーシングから引き抜いたソーセージの場合、肉の付着率は0.28%と顕著に減少し、食材の無駄や、ケーシングに付着した肉を取り除く等の手間を省くことや、食感の点で非常に良好な結果が出た。
(破断応力)
上記ケーシングから引き抜いたソーセージの破断応力を調査した。室温下、上記ケーシングから引き抜いたソーセージを、1.5cm間隔に輪切りし、レオメーター(サン科学社製CR−500DX)を用い、直径5mm円柱型のプランジャーを、速度60mm/secで突き刺して測定した。上記式5を用いて破断応力を算出した結果を以下の表3及び図4に示す。
(結果)
表3及び図4から明らかなとおり、本発明におけるケーシングから引き抜いたソーセージの破断応力は、コントロールの約1.39倍の値を示し、弾力性が向上したことが示された。
(官能試験)
本発明のレトルトソーセージの製造方法により製造されたソーセージ肉について、ケーシング剥けの良さと、試食しての風味と食感について官能試験を行った。非常に良好な風味や食感であるとの評価を得た。また、離水を認めることができなかった。

Claims (5)

  1. ソーセージ製造用食肉配合原料を人工ケ−シングに充填して、加圧加熱殺菌処理し、該加圧加熱殺菌処理したソーセージを人工ケーシングから剥離することにより調製するレトルトソーセージの製造方法において、以下の工程を備えたことを特徴とする、ソーセージ肉の人工ケーシングへの密着性と、ソーセージ肉の人工ケーシングからの剥離性を改善した、レトルトソーセージの製造方法。
    (a)食肉材料が、畜肉、家禽肉又は家兎肉からなる食肉原料と副原料とカッパカラギーナン又はカッパカラギーナンを主体としたカラギーナンとからなるソーセージの原料を準備する工程;
    (b)前記食肉原料に、前記副原料と前記カラギーナンとを、該食肉材料をソーセージ原料全体の50質量%以上の割合で、かつ、該カラギーナンをソーセージ原料100質量部に対して、1質量部〜4質量部の割合で配合して、配合原料を調製する工程;
    (c)前記配合原料を人工ケーシングに充填して、充填未加熱ソーセージを調製する工程;
    (d)前記充填未加熱ソーセージを加圧加熱殺菌処理し、前記人工ケーシングからの剥離が容易であるレトルトソーセージを調製する工程;
  2. 加圧加熱殺菌処理が、F値が6以上である加圧加熱殺菌条件で行われることを特徴とする請求項1に記載のレトルトソーセージの製造方法。
  3. 加圧加熱殺菌処理による離水率が1%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレトルトソーセージの製造方法。
  4. レトルトソーセージが、ケーシングから引き抜いたソーセージの破断応力が110g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のソーセージの製造方法。
  5. レトルトソーセージが、ケーシングからソーセージを引き抜いた場合のケーシングへの肉の付着率が1%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレトルトソーセージの製造方法。
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