JP3283606B2 - オルガノポリシロキサン及びこれを含有するエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

オルガノポリシロキサン及びこれを含有するエポキシ樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光ダイオード、フォ
トダイオード等の光半導体の封止剤、電子部品用の接着
剤、シール剤等、又は、自動車、航空機用の構造材ある
いはそれらの接着剤等として有用な樹脂組成物及びそれ
を調製する為のシリコーン変性エポキシ樹脂に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、光半導体装置は、発光ダイオー
ド、フォトダイオード等の光半導体素子を酸無水物硬化
剤を含有するエポキシ樹脂組成物によって樹脂封止する
ことにより構成されている。しかしながら、封止樹脂と
素子、リード、リードフレームとの線膨張係数が相違す
ると、樹脂封止に際して、上記封止用エポキシ樹脂組成
物が硬化温度から室温に冷却される過程で収縮に基づく
かなりの内部応力が発生する。この内部応力により封止
樹脂や配線の損傷が生じ、光半導体装置の信頼性が低下
する現象が生じる。内部応力の低減のために、エポキシ
樹脂をゴム変性することが考えられている。しかし、こ
のようにゴム変性すると、封止樹脂が黄色に着色するた
め光半導体装置の発光、受光特性が著しく阻害されるよ
うになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、エポキ
シ樹脂をゴム変性することは、実用上不可能であるの
で、シリコーン樹脂を用いてエポキシ樹脂を変性し、内
部応力を低下させることも検討されている。しかし、シ
リコーン樹脂はエポキシ樹脂との相溶性が悪いため、そ
の変性のためには、エポキシ基と反応しうる反応基を持
ったシリコーン樹脂とエポキシ樹脂とを反応させ、エポ
キシ樹脂をシリコーン変性する必要がある。
【0004】両末端にアミノ基を持つオルガノポリシロ
キサンでエポキシ樹脂を変性する試みもなされている
が、この変性物は経時的に不安定で、次第に増粘する。
また、この変性物を含む樹脂組成物の硬化物は耐熱性が
劣っており、黄変しやすい。
【0005】本発明は、上述の欠点が改善されたエポキ
シ樹脂組成物の提供、特に、信頼性が高く、しかも発
光、受光特性に優れた光半導体装置を製造するための樹
脂組成物及びそれを調製する為のシリコーン変性エポキ
シ樹脂の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、その硬化物
の内部応力が小さく、しかも無色透明性に優れたエポキ
シ樹脂組成物、特に封止樹脂用組成物を得るため、種々
のシリコーン変性エポキシ樹脂を検討したところ、分子
中に1個のエポキシ基と1個のエチレン性二重結合を持
つ化合物と、SiH基含有オルガノポリシロキサンとの
反応によって得られるシリコーン変性エポキシ樹脂を組
成物の一成分として使用することにより、上記の目的が
達成されることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、 (1) 式(1)で示されるオルガノポリシロキサン
【0008】
【化4】
【0009】(R1 は水素原子、置換若しくは非置換の
1価の炭化水素基、
【0010】
【化5】
【0011】又は
【0012】
【化6】
【0013】を、R2 、R3 は各々独立に水素原子又は
置換若しくは非置換の炭化水素基を、R4 は水素原子、
メチル基又はフェニル基をそれぞれ表す。又m、nは0
又はm+nが500以下である正の整数を表す。但しR
1 のうち少なくとも1ケは式(2)又は式(3)の置換
基を表すものとする。) (2) 前項(1) に記載の式(1)においてR2 及び/又
はR3 が水素原子、メチル基、フェニル基又はビニル基
である前項(1) に記載のオルガノポリシロキサン (3) 下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴
とするエポキシ樹脂組成物 (A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 (C)前記(1)〜(2)に記載のオルガノポリシロキ
サン (4) (B)硬化剤が酸無水物である前記(3) に記載の
エポキシ樹脂組成物 (5) (A)エポキシ樹脂が、液状ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂、液状脂環式エポキシ樹脂の少なくとも1つ
である前記 (3)〜(4) に記載のエポキシ樹脂組成物 (6) エポキシ樹脂組成物が電子部品用である前記 (3)
〜(5) のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物 (7) 電子部品が光半導体装置である前記(6) のエポキ
シ樹脂組成物を提供する。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】上記の(A)、(B)及び(C)成分を含
有する本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることによっ
て内部応力が小さく、透明な硬化物が得られる。
【0016】(A)成分となるエポキシ樹脂は、1分子
中に少なくとも1個のエポキシ基を有する従来公知の物
であって、無色ないし極く淡色の透明なものが好まし
い。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、含複素環エポキシ樹脂、水添ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、芳香族、脂肪族もしくは脂
環式カルボン酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、
スピロ環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0017】特に、液状ビスフェノールF型エポキシ樹
脂、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状脂環式
エポキシ樹脂が望ましい。
【0018】(B)成分となる硬化剤としては、無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ
無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水
フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ピロメリッ
ト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、無水トリメリット酸等の酸無水物が挙げられる。
【0019】また、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビス
プロピルアミン(ジプロピレントリアミン)、ビス(ヘ
キサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノ
メチルヘキサン等のポリアミン、トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノ
プロピルアミン等のポリメチレンジアミン、メンセンジ
アミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3
−メチルシクロヘキシル)メタン、n−アミノエチルピ
ペラジン等の脂環式ポリアミン、メタキシリレンジアミ
ン等の芳香環を含む脂肪族アミン、メタフェニレンジア
ミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニル
スルホン、芳香族ジアミン共融混合物等の芳香族第一ア
ミンが挙げられる。
【0020】(C)成分を製造するときに使用されるS
iH基含有オルガノポリシロキサンとしては、下記の構
造式(1)′で表されるものが好ましい。
【0021】
【化7】
【0022】(式中、m+nは3〜500の整数、nは
0〜50の整数を表わし、R1 はH又は
【0023】
【化8】
【0024】であって、R2 、R3 、R4 は炭素数2以
下のアルキル基、フェニル基または置換フェニル基であ
り、相互に同じであっても、異なっていてもよい。) 上記の構造式(1)′において、m+nが3未満では内
部応力の低下に効果が十分でなく、500を越えると相
溶性が悪くなり、硬化物が白濁してしまう傾向にある。
このm+nは8から300の範囲が好ましく、特に、1
0から150の範囲が好ましい。R2 、R3 、R4 は好
ましくはメチル基、あるいは非置換フェニル基であり、
相互に同じであっても、異なっていてもよい。
【0025】(C)成分の他方の原料化合物である分子
中に1個のエポキシ基と1個のエチレン性二重結合を持
つ化合物としては、(5)式で表される化合物群が挙げ
られる。そのなかでも、2−アリルフェニルグリシジル
エーテル、2−アリルビフェニルグリシジルエーテル、
アリルナフチルグリシジルエーテルなどが好ましい。
【0026】
【化4】
【0027】エポキシ樹脂への溶解性の点で、(C)成
分中のフェニル基の濃度は、該(C)成分100g中、
0.15モル以上であることが好ましい。
【0028】(C)成分は、例えば触媒の存在下、
(2)式の化合物に(1)式の化合物を滴下することに
より製造される。反応温度は10〜200℃、好ましく
は30〜150℃、特に好ましくは、60〜130℃で
ある。反応は無溶媒下でも進行するが、溶媒を使用して
も良い。溶媒として、メチルイソブチルケトン、トルエ
ン、キシレン、酢酸ブチル等が使用される。触媒として
塩化白金酸を2−エチルヘキサノールに2重量%溶解し
た溶液を使用する。触媒溶液の量は、(1)式の化合物
と(2)式の化合物の総量に対し50〜5000 ppm、
好ましくは、100〜1000 ppmである。触媒は塩化
白金酸以外にも、有機過酸化物などが使用される。滴下
時間は、0.1〜20時間、好ましくは、0.5〜3時
間である。(2)式の化合物/(1)式の化合物のモル
比は1.0〜1.1が好ましい。反応時間は0.5〜2
0時間、好ましくは、1〜10時間である。
【0029】成分(A)、(B)、(C)の好ましい重
量の比率は、 A/C=(0〜5000)/100、 (A+C)/B=(50〜200)/100 であり、特に好ましい比率は、 A/C=(0〜1000)/100、 (A+C)/B=(80〜150)/100である。
【0030】A/Cが5000/100を越えると、内
部応力の低下が少なくなり、光半導体の輝度劣化が生じ
得る。(A+C)/Bが50/100未満の場合、耐湿
性が低下し、200/100を越えると、耐熱性が低下
する。
【0031】この発明に用いるエポキシ樹脂組成物に
は、上記(A)〜(C)成分以外に、必要に応じて、硬
化促進剤、染料、変性剤、変色防止剤等の従来公知の添
加剤を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹
脂組成物は(A)、(B)、(C)の各成分及び上記し
たような添加剤を前記したような割合に混合することに
よって得られる。
【0032】本発明のエポキシ樹脂組成物を用いての光
半導体素子の封止は、特に限定されることなく、通常の
注型等の公知のモールド方法により行うことができる。
【0033】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、オルガノポリシ
ロキサンで変性したエポキシ樹脂を含有しているため、
これを封止剤として用いて得られる光半導体装置は、封
止樹脂硬化物の内部応力が小さいので半導体素子の特性
低下が生じず、極めて信頼性が高い。且つ、透明性が高
いため発光、受光特性に優れている。
【0034】また、内部応力の低下により金属に対する
接着性が向上しているため、光半導体の樹脂封止以外に
も、電子部品用の接着剤やシール剤、自動車、航空機用
の構造材、接着剤等の用途に適用できる。
【0035】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例1〜4は参考例であり、実施例5、
6、11及び12は本願発明に該当し、実施例7〜10
は比較例としての意義を有する。
【0036】実施例1(参考例) 還流冷却器、温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた4口
フラスコに、2−アリルフェニルグリシジルエーテル5
0gとメチルイソブチルケトン100ccを入れ、撹拌下
に加熱して溶解した。この溶液に、2重量%の塩化白金
酸の2−エチルヘキサノール溶液0.05gを加えた。
その後、約120℃で溶剤を還流させながら、約1時間
かけて水が留去しないことを確認後、100℃に冷却
し、下記の構造式で表されるHS1 85gを、反応器
に約1時間かけて滴下した。さらに3時間反応後、室温
まで冷却した。3回水洗して触媒を除去後、溶剤を留去
してシリコーン変性エポキシ樹脂SE1 130gを得
た。
【0037】
【化10】
【0038】実施例2(参考例) 実施例1と同じようにして、下記の構造式で表されるS
iH基含有オルガノポリシロキサンHS2 110gよ
り、シリコーン変性エポキシ樹脂SE2 150gを得
た。
【0039】
【化11】
【0040】実施例3(参考例) 実施例1と同じようにして、下記の構造式で表されるS
iH基含有オルガノポリシロキサンHS3 400gよ
り、シリコーン変性エポキシ樹脂SE3 430gを得
た。
【0041】
【化12】
【0042】実施例4(参考例) 実施例1と同じようにして、下記の構造式で表されるS
iH基含有オルガノポリシロキサンHS4 700gよ
り、シリコーン変性エポキシ樹脂SE4 720gを得
た。
【0043】
【化13】
【0044】実施例5 実施例4と同じようにして、2−アリルフェニルグリシ
ジルエーテルの代わりに下記の構造式で表されるアリル
エポキシ化合物AE5 70gを用いて、シリコーン変
性エポキシ樹脂SE5 740gを得た。
【0045】
【化14】
【0046】実施例6 実施例1と同じようにして、2−アリルフェニルグリシ
ジルエーテルの代わりに下記の構造式で表されるアリル
エポキシ化合物AE6 63gを用いて、シリコーン変
性エポキシ樹脂SE6 730gを得た。
【0047】
【化15】
【0048】実施例7(比較例) 下記の構造式で表される脂環式エポキシ樹脂100部、
【0049】
【化16】
【0050】実施例1で得たSE1 50部に、4−メ
チルヘキサヒドロ無水フタル酸100部と2−エチル−
4−メチルイミダゾール0.4部を添加混合して、エポ
キシ樹脂組成物を得た。次に、この樹脂組成物を用い
て、発光ダイオードを注型により樹脂封止し、120
℃、16時間加熱硬化して光半導体装置を作成した。
【0051】得られた光半導体装置は無色透明であり、
通電劣化(Ip=25mA、20℃、30時間)の測定を
行ったところ、輝度の低下は認められなかった。
【0052】また、スチールリング法で内部応力を測定
したところ、32kg/cm2 (25℃)であった。
【0053】 実施例8〜12(実施例11及び12以外は比較例) 実施例7と同様にして行った結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】上記の表から明らかなように、本発明のエ
ポキシ樹脂組成物は内部応力が少なく、輝度劣化の生じ
ない優れた光半導体装置を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−69528(JP,A) 特開 平2−290(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 77/00 - 77/62

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示されるオルガノポリシロキ
    サン。 【化1】 (Rは水素原子、置換若しくは非置換の1価の炭化水
    素基、 【化2】 又は 【化3】 を、R、Rは各々独立に水素原子又は置換若しくは
    非置換の1価の炭化水素基を、Rはフェニル基又はベ
    ンジル基をそれぞれ表す。又m、nは0又はm+nが5
    00以下である正の整数を表す。但しRのうち少なく
    とも1ケは式(2)又は式(3)の置換基を表すものと
    する。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の式(1)においてR
    及び/又はRが水素原子、メチル基、フェニル基又は
    ビニル基である請求項1に記載のオルガノポリシロキサ
    ン。
  3. 【請求項3】 下記の(A)〜(C)成分を含有するこ
    とを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 (A)エポキシ樹脂。 (B)硬化剤。 (C)請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサ
    ン。
  4. 【請求項4】 (B)硬化剤が酸無水物である請求項3
    に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (A)エポキシ樹脂が、液状ビスフェノ
    ール型エポキシ樹脂、液状脂環式エポキシ樹脂の少なく
    とも1つである請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂組成物が電子部品用である
    請求項3〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 電子部品が光半導体装置である請求項6
    のエポキシ樹脂組成物。
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