JP3280536B2 - アクチュエータ - Google Patents

アクチュエータ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスプリングなしでコイル
電流に応じて位置を制御できるアクチュエータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、コイル電流に応じて位置を制御
するものとして、ロータリソレノイドがある。この種の
ロータリソレノイドは対向する磁極片の間に永久磁石か
らなる回転子を配設し、電流に応じて生じる起磁力源か
らの磁束を利用して回転子を回転させる基本構成を有し
ている。
【0003】この場合、回転子を任意の位置に制御する
ためには、回転子位置に比例した反力を発生するスプリ
ングを組合せることにより、コイル電流に応じた発生ト
ルクとスプリングの反力のバランスによって停止位置を
決めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置によれば
スプリング等のメカニカルな部品を必要とし、その結
果、振動及び作動摩耗等の信頼性の問題がある。本発明
は上記課題を解決するためになされたものであり、スプ
リングのようなメカニカルな部品を削減して、信頼性の
あるアクチュエータを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の[請求項1]に
係るアクチュエータは、少なくとも1つの副エアーギャ
ップを介して対向する2つの磁極片が主エアーギャップ
を形成し、前記主エアーギャップ内には半径方向に磁化
された可動子を配設して前記主エアーギャップ内を回転
する構成を有し、前記磁極片には通電方向によって磁束
の方向を変化する起磁力源を有する磁気回路に接続され
て閉磁路を形成したアクチュエータにおいて、前記磁気
回路には主エアーギャップ以外に少なくとも1つのエア
ーギャップを設けると共に、前記起磁力源は前記各エア
ーギャップ内に磁界を発生させるように構成した。
【0006】本発明の[請求項2]に係るアクチュエー
タは、1つの副エアーギャップを挟んで対向させて設け
た2つの湾曲した磁極片と、前記各磁極片による湾曲し
た内部空間に前記磁極片と一体になった突出片を設ける
ことにより、前記湾曲した磁極片と前記突出片との間に
湾曲した空間を形成して、この空間を主エアーギャップ
とし、前記主エアーギャップ内には駆動部と一体になっ
て移動する永久磁石からなる移動子を設けると共に、前
記永久磁石は移動子の移動方向に対して垂直方向に磁化
し、前記湾曲した磁極片には通電方向によって磁束の方
向を変化する起磁力源を有する磁気回路を接続すること
により閉磁路を形成したアクチュエータにおいて、前記
磁気回路には主エアーギャップ以外に少なくとも1つの
エアーギャップを設けて前記磁気回路を分離すると共
に、前記起磁力源は前記各エアーギャップ内に磁界を発
生させるように構成した。
【0007】本発明の[請求項3]に係るアクチュエー
タは、1つの副エアーギャップを挟んで対向させて設け
た2つの磁極片と、前記磁極片の他端に通電方向によっ
て磁束の方向を変化する起磁力源を有して長方形に折曲
した磁気回路を接続することにより全体形状が長方形の
磁気回路を形成し、前記長方形の磁気回路にて囲まれた
直線状の内部空間には永久磁石からなる移動子を配設す
ると共に、前記永久磁石は移動子の移動方向に対して垂
直方向に磁化されたアクチュエータにおいて、前記磁気
回路には主エアーギャップ以外に少なくとも1つのエア
ーギャップを設けて前記磁気回路を分離すると共に、前
記起磁力源は前記各エアーギャップ内に磁界を発生させ
るように構成した。
【0008】
【作用】本発明の[請求項1]に係るアクチュエータ
は、主エアーギャップ間に永久磁石からなる移動子を移
動自在に配設すると共に、主エアーギャップの両側に副
エアーギャップを設けている。したがって電磁コイルに
通電しないときは回転子のNから出た磁束は夫々両側に
ある磁極片を経由してS極に戻り、図1に示す位置に停
止し、安定な状態を保っている。電磁コイルに通電する
と、ここで発生する起磁力は磁路内にある磁気抵抗であ
るエアーギャップ及び副エアーギャップ内に蓄えられ、
これらのエネルギーを最小とする位置に移動子が停止す
る。そしてこの蓄えられたエネルギーが反力の源となっ
てスプリングと同様に機能する。
【0009】本発明の[請求項2]に係るアクチュエー
タは、主エアーギャップ内を駆動部材と共に永久磁石か
らなる移動子を移動させるものであって、基本的な動作
そのものは[請求項1]と同様である。又、副エアーギ
ャップ及び磁気抵抗部内に蓄えられた磁気エネルギーを
減少する方向での反力がスプリングとしての機能をはた
す。
【0010】本発明の[請求項3]に係るアクチュエー
タは、磁路を直線状とし、これによって囲まれた空間に
永久磁石からなる移動子を設けたものであり、基本的な
動作は[請求項1],[請求項2]と同様である。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して実施例を説明する。図
1は本発明の[請求項1]に係るアクチュエータの一実
施例の構成図である。図1において、はアクチュエー
タ本体であり、磁路2と両方の磁極片3−1,3−2と
の間には磁気抵抗部であるエアーギャップ4−1,4−
2が設けられる。
【0012】磁極片3−1と3−2との間には主エアー
ギャップが設けられ、前記主エアーギャップの両側に
は副エアーギャップ8−1,8−2が設けられる。主エ
アーギャップ内には永久磁石よりなる回転子6が配設さ
れ、シャフト7を介して回転する構成を有している。9
は電磁コイル(起磁力源)である。
【0013】次に作用について説明する。先ず、電磁コ
イル9が非通電の状態であれば、磁路2を通る磁束はな
く、回転子のN極からの磁束は磁極片3−1,3−2内
を図示のようにS極へ向って磁束の流れを形成してい
る。
【0014】この場合の磁束は、主エアーギャップを経
由しているため、回転子6の両側にある副エアーギャッ
プ8−1,8−2内の磁束は存在しない。即ち、この状
態が磁気的に最も安定しており、回転子6はこの位置で
停止する。
【0015】次に電磁コイルに通電すると、起磁力源9
からの磁束は磁路2,磁気抵抗部4−1,副エアーギャ
ップ8−1又は8−2,磁極片3−2,磁気抵抗部4−
2,磁路2の経路に流れる。したがってこの起磁力は磁
路内の磁気抵抗部であるエアーギャップ4−1,4−2
及び副エアーギャップ8−1,8−2内に磁気エネルギ
ーとして蓄えられる。したがって、これらのエネルギー
が最小となる位置に永久磁石からなる回転子6が回転し
て止まる。
【0016】このとき永久磁石からなる回転子の回転に
よるエネルギーも、前記エアーギャップ内に蓄積され
る。本実施例によれば、従来のロータリソレノイドがス
プリングに力学的エネルギーを蓄えて停止位置を決定し
ていたのに対して、エアーギャップに磁気的エネルギー
として蓄えることにより、スプリングの機能を達成す
る。なお、蓄えるエネルギーはエアーギャップの幅tと
磁路の断面積によって決定できる。
【0017】図2は本発明の[請求項2]に係るアクチ
ュエータの一実施例の構成図である。図2において、図
1と同一機能部分については同一符号を付す。本実施例
では磁極片3−1,3−2を円弧状にして中間部分に1
つの副エアーギャップ8を設けたものであり、前記磁極
片で囲まれた内部に突出片10を円弧状の曲率に合せて
設け、前記円弧状の磁極片3−1,3−2と突出片10
との間にできた空間5(主エアーギャップ)内を移動子
11を動かすようにしている。勿論、移動子11は図示
しない駆動部材と共に移動する。
【0018】次に作用について説明する。図2は電磁コ
イル9の電流が0の場合を示す。この場合は移動子11
からの磁束は図に示されるように流れて、副エアーギャ
ップ8内には流れない。この状態は安定状態であり、移
動子11はこの位置に停止する。
【0019】図3は移動子11に対して反力が作用する
ことを説明する図である。即ち、電磁コイル9の電流を
0とし、移動子11を図3の位置に移動した場合で説明
する。この場合は、移動子11からの磁束は図のように
副エアーギャップ8内を通り、ここに(副エアーギャッ
プ内に)磁気エネルギーを蓄える。したがって副エアー
ギャップ8内の磁気エネルギーが減少する方向(実線矢
印)へトルクが発生する。そしてこのトルクがスプリン
グと同等の機能を有している。
【0020】図4は電磁コイルの電流を所定値にした場
合を説明する図である。ここで電磁コイルの電流を所定
値にすると、副エアーギャップ8内を流れる磁束が磁気
抵抗であるエアーギャップ4側へ流れる。その結果、副
エアーギャップ8内の磁気エネルギーが0となって、安
定状態となる。本実施例によれば生産面で駆動軸の形状
が作りにくい問題があるが、移動子の移動範囲を広く設
定できる。
【0021】図5は変形例であって、エアーギャップに
代えて永久磁石12を図示極性に入れたものである。
又、図6は更に他の変形例をであり、エアーギャップに
代えて磁路13を細くし、実質的に磁気抵抗を大とした
ものである。図5の変形例によれば、電磁コイルの非通
電時に移動子のバランス位置が設定可能となる。永久磁
石自体が磁気抵抗の役割もはたす。又、図6の変形例に
よれば、連結磁路を一体として製造が可能である。
【0022】図7は本発明の[請求項3]に係るアクチ
ュエータの一実施例の構成図である。図7において、図
1と同一機能部分については同一符号を付した。本実施
例では全体構成を直動形にしたものである。したがって
磁極片3−1,3−2の間に副エアーギャップ8を1個
設け、電磁コイル9を設けた磁路2−1と磁極片3−1
との間に磁気抵抗部であるエアーギャップを介在させた
ものである。
【0023】次に作用について説明する。先ず、電磁コ
イル9に電流が流れていないとき、磁路は移動子11の
N極からS極へ磁極片3−1を介して形成される。この
場合、副エアーギャップ8には磁束は流れず、前記図1
の場合と同様に安定状態であり、したがって移動子11
はこの位置に停止している。
【0024】移動子11を矢印方向に移動させるために
は、電磁コイル9に電流を流す。この場合、移動子11
が所定位置にて停止することを図8によって説明する。
ここでは、電磁コイル9の電流を0とし、移動子11を
外力にて図示位置に動かした場合を考える。
【0025】この状態では磁極片3−2を介して副エア
ーギャップ8及びエアーギャップ4を介して図示のよう
に磁束が流れる。この時、副エアーギャップ8に蓄えら
れたエネルギーは、これを減らす方向、即ち、移動子1
1を左側に戻そうとする反力として働く。つまりこの反
力がスプリングの作用として動作する。
【0026】更に電磁コイル電流を所定値にすると、図
9に示されるように副エアーギャップ8を流れる磁束が
全てエアーギャップ4側を流れる。その結果、副エアー
ギャップ8内の磁気エネルギーが0となって安定状態と
なる。
【0027】以上、図7,図8,図9による説明はいか
にして反力ができてスプリングとしての作用を発生する
かを説明したが、いずれにしても移動子11を移動させ
るには、あくまでも電磁コイル9に電流を流して作動さ
せることは当然のことである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば磁
気回路中にエアーギャップを設けるのみで、スプリング
のようなメカニカルな部品を削減できる、信頼性のある
アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアクチュエータの一実施例の構成
図。
【図2】本発明によるアクチュエータの他の実施例の構
成図。
【図3】図2の動作説明図。
【図4】図2の動作説明図。
【図5】図2の変形例図。
【図6】図2の変形例図。
【図7】本発明の他の実施例の構成図。
【図8】図7の動作説明図。
【図9】図7の動作説明図。
【符号の説明】 アクチュエータ本体 2,2−1 磁路 3,3−1,3−2 磁極片 4,4−1,4−2 磁気抵抗部 主エアーギャップ 6 移動子(回転子) 7 シャフト 8,8−1,8−2 副エアーギャップ 9 電磁コイル 10 突出片 11 移動子 12 永久磁石

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの副エアーギャップを介
    して対向する2つの磁極片が主エアーギャップを形成
    し、前記主エアーギャップ内には半径方向に磁化された
    可動子を配設して前記主エアーギャップ内を回転する構
    成を有し、前記磁極片には通電方向によって磁束の方向
    を変化する起磁力源を有する磁気回路に接続されて閉磁
    路を形成したアクチュエータにおいて、前記磁気回路に
    は主エアーギャップ以外に少なくとも1つのエアーギャ
    ップを設けると共に、前記起磁力源は前記各エアーギャ
    ップ内に磁界を発生させることを特徴とするアクチュエ
    ータ。
  2. 【請求項2】 1つの副エアーギャップを挟んで対向さ
    せて設けた2つの湾曲した磁極片前記各磁極片によ
    る湾曲した内部空間に前記磁極片と一体になった突出片
    を設けることにより、前記湾曲した磁極片と前記突出片
    との間に湾曲した空間を形成して、この空間を主エアー
    ギャップとし、前記主エアーギャップ内には駆動部と一
    体になって移動する永久磁石からなる移動子を設けると
    共に、前記永久磁石は移動子の移動方向に対して垂直方
    向に磁化し、前記湾曲した磁極片には通電方向によって
    磁束の方向を変化する起磁力源を有する磁気回路を接続
    することにより閉磁路を形成したアクチュエータにおい
    て、前記磁気回路には主エアーギャップ以外に少なくと
    も1つのエアーギャップを設けて前記磁気回路を分離す
    ると共に、前記起磁力源は前記各エアーギャップ内に磁
    界を発生させることを特徴とするアクチュエータ。
  3. 【請求項3】 1つの副エアーギャップを挟んで対向さ
    せて設けた2つの磁極片と、前記磁極片の他端に通電方
    向によって磁束の方向を変化する起磁力源を有して長方
    形に折曲した磁気回路を接続することにより全体形状が
    長方形の磁気回路を形成し、前記長方形の磁気回路にて
    囲まれた直線状の内部空間には永久磁石からなる移動子
    を配設すると共に、前記永久磁石は移動子の移動方向に
    対して垂直方向に磁化されたアクチュエータにおいて、
    前記磁気回路には主エアーギャップ以外に少なくとも1
    つのエアーギャップを設けて前記磁気回路を分離すると
    共に、前記起磁力源は前記各エアーギャップ内に磁界を
    発生させることを特徴とするアクチュエータ。
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