JP3275211B2 - 付加重合触媒の製造方法 - Google Patents

付加重合触媒の製造方法

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JP3275211B2 JP16522892A JP16522892A JP3275211B2 JP 3275211 B2 JP3275211 B2 JP 3275211B2 JP 16522892 A JP16522892 A JP 16522892A JP 16522892 A JP16522892 A JP 16522892A JP 3275211 B2 JP3275211 B2 JP 3275211B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、付加重合触媒の製造法
に関する。更に詳しくは、本発明は安価な酸化剤を使用
して、付加重合触媒に有用な金属配位錯体中の遷移金属
カチオンの酸化状態を上昇させる、このような製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】多数の金属配位錯体が、当業技術におい
て知られている。特に有用なのは、シクロペンタジエニ
ル及び置換シクロペンタジエニル基を含む、このような
錯体を包含する遷移金属錯体である。多くの場合、この
ような錯体は、触媒的に活性な系を作るために、アルミ
ノキサンのようなアルミニウム化合物との組合せにおい
て使用される。このような錯体は、金属カチオンの原子
価が始めの錯体に望まれる原子価より1つ小さい原子価
にある初期の錯体を形成し、そしてこの金属を銀または
鉛の化合物のような酸化剤を使用して、高い原子価に酸
化することによって製造することができる。然しなが
ら、不利なことに、この方法は望ましくない重金属夾雑
廃液流を生じ、この廃液流は廃棄しなければならない。
従って、重金属副生物を発生させない遷移金属錯体の製
造用の酸化法が提供されるならば、それは非常に望まし
いことである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、重金属副生
物を発生させない、遷移金属錯体の製造用の酸化法を提
供しようとするものである。本発明は、金属のまわりに
拘束幾何形状を含むように、金属が脱局在化置換π結合
部分に結合される金属配位錯体の製造に特に有用であ
る。好ましくは、金属は金属の他のリガンドを包含する
η結合及び架橋結合の双方によって、シクロペンタジ
エニル、置換シクロペンタジエニルまたは類似の基に結
合される。これらの錯体は、好ましくは有用な触媒性質
を持つ金属を含む。このような錯体は、1991年3月
13日発行のEP−A−416,815に記載されてい
る。このような錯体のカチオン誘導体は、1991年3
月20日発行のEP−A−418,044に記載されて
いる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、元素の
周期律表の第1〜10族、またはランタナイド系の金属
を含む金属配位錯体を、選ばれた錯体の金属を高い酸化
状態に酸化することによって製造する方法であって、使
用する酸化剤が有機ハライドであることを特徴とする方
法が提供される。
【0005】好ましい金属配位錯体は、元素の周期律表
の第3〜10族の金属、及び拘束誘引部分で置換された
非局在化π結合部分を含む。
【0006】本発明に使用しうる好ましい金属配位錯体
は、次式に相当する。
【化3】 Mは元素の周期律表の第3〜10族またはランタナイド
系列の金属であり;Cpはη結合様式でMに結合す
る置換シクロペンタジエニル基であり;Zはホウ素また
は元素の周期律表の第14族の一員を含み、任意に(即
ち所望により)硫黄または酸素を含み、そして20個ま
での非水素原子を含む部分であり、そして任意にCp
とZは一緒になって縮合環系を形成し;Xはそれぞれの
場合に独立に30個までの非水素原子を持つ、アニオン
性リガンド基または中性ルイス塩基リガンド基であり;
nはMの原子価に応じて、0,1,2,3または4であ
り;そしてYは窒素、リン、酸素または硫黄を含み、2
0個までの非水素原子を持つ、Z及びMに結合するアニ
オン性または非アニオン性のリガンドであり、任意にY
とZは一緒になって縮合環系を形成する。
【0007】従って、本発明は上記の式Iに相当する金
属配位錯体の製造方法を提供するものであり、その方法
は次の諸工程から成る。 A)式MXn+1 の金属化合物またはその配位付加物を、
非配位性の非極性溶媒中で次式
【化4】 (Lは元素の周期律表の第1族または第2族の金属であ
り、X”はブロモ、クロロまたはヨードであり、x及び
yは1または2であって、xとyの積は2に等しく、そ
してM、X、Cp*Z及びYは、前記定義の通りであ
る) に相当するジアニオン性の塩化合物と接触させ; B)工程A)の反応生成物を金属の酸化状態を上昇させ
るのに好適な反応条件下で、有機ハライドと接触させる
ことによって金属を高い酸化状態に酸化し;そして C)得られる生成物を回収する。
【0008】「非局在化π結合部分」なる用語は、その
π電子が金属に供与されて、結合を生成する不飽和有機
部分例えば芳香系の、エチレン性のまたはアセチレン性
の官能基を含む部分を意味する。例として、アルケン
−、アルケニル−、アルキン−、アルキニル−、アリル
−、ポリエン−、及びポリエニル−部分並びに不飽和環
状系が挙げられる。
【0009】「拘束幾何形状」なる用語は、金属原子が
該金属原子に究極的に共有結合する、延長構造を形成す
る置換シクロペンタジエニル基上の1種以上の置換分の
ために、活性金属の場により多く露出されることを意味
する。金属原子と置換シクロペンタジエニル基の構成原
子との間のそれぞれの結合は、均等である必要はないと
いうことが理解される。即ち、金属はπ結合部分に対称
的にまたは非対称的にπ結合することができる。好適な
置換シクロペンタジエニル基は、また多環系、例えばイ
ンデニル及びフルロレニル基をも含むことも理解され
る。
【0010】活性金属の場の幾何形成は、更に次のよう
に定義される。π結合部分の図心は、π結合部分を形成
する芳香族中心のそれぞれのX、Y及びZ座標の平均と
して定義しうる。π結合部分の図心と金属錯体のそれぞ
れの他のリガンドとの間の金属中心において形成される
角度θは、標準単一結晶のX線回析技術によって、容易
に計算することができる。これらの角度のそれぞれは、
拘束幾何形状金属錯体の分子構造に応じて増大すること
ができ、あるいは減少することもできる。角度θが拘束
誘引置換分が水素によって置換されている点でのみ相違
する、同様の匹敵する錯体の角度よりも小さい錯体は、
本発明の目的の拘束幾何形状を持つ。好ましくは、角度
θの1つ以上は、匹敵する錯体に比べて、少なくとも5
%以上、更に好ましくは7.5%だけ減少する。非常に
好ましくは、結合角度θの全ての平均値も、匹敵する錯
体の角度より小さい。最も好ましくは、拘束幾何形状を
持つ金属配位錯体は、環構造の形状にある、即ち拘束含
有置換基は金属を含む環系の部分である。
【0011】好ましくは、本発明によるモノシクロペン
タジエニル金属配位錯体は、最小の角度θが115°未
満、更に好ましくは110°未満、最も好ましくは10
5°未満であるような拘束幾何形状を持つ。
【0012】ここに使用する「活性化性共触媒とは、金
属含有錯体を付加重合触媒として、有効にすることので
きる、あるいはまた、触媒的に活性な種のイオン電荷を
均衡させうる、触媒の第2成分をいう。ここに使用する
上記の活性化用の共触媒の例として、Al−O結合を含
むアルミニウム化合物、例えばアルキルアルミノキサン
特にメチルアルミノキサン;アルミニウムアルキル;ア
ルミニウムハライド;アルミニウムアルキルハライド;
ルイス酸;アルミニウム塩;及び上記の混合物が挙げら
れる。
【0013】アルミノキサン型化合物の製造の特定の場
所は、US−A−4,542,119号及びUS−A−
5,015,749号に記載されている。後者の刊行物
には、再生性の水を含有する化合物、例えば水和したア
ルミナ、シリカまたは他の物質が記載されている。
【0014】「付加重合性モノマー」は、例えばエチレ
ン性不飽和モノマー、アセチレン性化合物、共役または
非共役ジエン、ポリエン及び一酸化炭素を包含する。好
ましいモノマーは、C2−10α−オレフィン特にエチ
レン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンを
包含する。他の好ましいモノマーは、スチレン、ハロー
またはアルキル−置換スチレン、ビニルクロライド、ア
クリロニトリル、メチルメタクリレート、テトラフルオ
ロエチレン、メタクリロニトリル、ビニリデンクロライ
ド、ビニルベンジシクロブタン、及び1,4−ヘキサジ
エンを包含する。
【0015】ここに使用する元素の周期律表及びその族
の全ては、族の命名にIUPACを使用するHandb
ook of Chemistry and Phys
ics、CRC Press、1987に記載の型が参
照される。
【0016】〔好ましい態様〕好ましい金属配位錯体
は、第4族またはランタナイド基材の錯体である。更に
好ましい化合物は、金属原子と環構造を形成する置換シ
クロペンタジエニル基である、脱局在化η結合基から
なるものである。好ましい脱局在化π結合部分は、置換
シクロペンタジエニル−、インデニル−及びフルオレニ
ル基、並びに金属原子と環構造を形成するそれらの飽和
誘導体である。(Mと環構造を形成する炭素原子以外
の)置換シクロペンタジエニル基中のそれぞれの炭素原
子は、非置換であってもよく、あるいはハイドロカルビ
ル基、置換ハイドロカルビル基(1つ以上の水素原子
が、ハロゲン原子で置換されている)、及びハイドロカ
ルビル置換メタロイド(メタロイドは、元素の周期律表
の第14族から選ばれる)から成る群から選ばれた、同
一のまたは異なった基で置換されていてもよい。また、
2個以上のこのような置換基が一緒になって、縮合環を
形成していてもよい。シクロペンタジエニル基中の少な
くとも1個の水素原子が置換されていてもよい、好適な
ハイドロカルビル及び置換ハイドロカルビル基は1〜2
0個の炭素原子を含み、例として直鎖または枝分かれ鎖
のアルキル基、環状炭化水素基、アルキル置換環状炭化
水素基、芳香族基、及びアルキル置換芳香族基が挙げら
れる。好ましい有機メタロイドとして、ハイドロカルビ
ル基のそれぞれが、1〜20個の炭素原子を含む第14
族元素のモノ−、ジ−、及びトリ−置換有機メタロイド
基が挙げられる。更に具体的には、好適な有機メタロイ
ドとしてトリメチルシリル、トリエチルシリル、エチル
ジメチルシリル、メチルジエチルシリル、フェニルジメ
チルシリル、メチルジフェニルシリル、トリフェニルシ
リル、トリフェニルゲルミル、及びトリフェニルゲルミ
ルが挙げられる。
【0017】前述の式Iにおいて、好適なアニオン性リ
ガンド基Xの例は、ハイドライド、ハロ、アルキル、シ
リル、ゲルミル、アリール、アミド、アリールオキシ、
アルコキシ、ホスフィン、サルファイド、アセチル、疑
似ハライド例えばシアノ、アジド、及びアセチルアセト
ネートまたはそれらの組合せから成る群から選ばれる。
【0018】非常に好ましい金属配位錯体は、次式に相
当する。
【化5】 R’はそれぞれの場合、独立に水素、アルキル、シリ
ル、ゲルミル、シアノ、ハロ、及び20個までの非水素
原子を持つそれらの組合せから成る群から選ばれるか、
あるいは2個以上のR’が一緒になって環系を形成
し、;Xはそれぞれの場合、独立にハイドライド、ハ
ロ、アルキル、アリール、シリル、ゲルミル、アリール
オキシ、アルコキシ、アミド、シリルオキシ、中性ルイ
ス塩基、及び20価までの非水素原子を持つそれらの組
合せから成る群から選ばれ;Yは−O−、−S−、−N
−、−PR−、または中性の2価の電子供与体(
【化6】 から成る群から選ばれる)であり;Mは前記定義の通り
であり;そしてZは
【化7】 である。但し、Rはそれぞれの場合、独立に水素、ア
ルキル、シリル、ハロゲン化アメキル、ハロゲン化アリ
ール基、及び20個までの非水素原子を持つそれらの組
合せから成る群から選ばれるか、あるいはY、Zまたは
YとZと両者からの2個以上のRは、一緒になって縮
合環系を形成する。
【0019】式I及び次の式は、触媒の環状構造を示す
のに対して、Yが中性の2電子供与リガンドである時、
MとYとの間の結合は、より正確には配位共有結合と呼
ぶことに注目すべきである。また、錯体はダイマーまた
は高級オリゴマーとして実存しうることにも注目すべき
である。更に詳しくは、R’、ZまたはRの少なくと
も1つは、電子供与性部分である。即ち、非常に好まし
くはYは−N(R””)−または−P(R””)−に相
当する基を含む、窒素またはリンである。但し、R””
はC1−10アルキルまたはアリールである。即ち、非
常に好ましくはYはアミドまたはホスフィド基である。
【0020】最も高度に好ましい錯体は、次式に相当す
るアミドシラン、またはアミドアルカンジイルシランで
ある。
【化8】 Mは、シクロペンタジエニル基にη結合様式で結合す
るチタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり;
R’はそれぞれの場合、独立にシリル、アルキル、アリ
ール、及びそれらの組合せであり、10個までの炭素原
子またはケイ素原子を持つ;Eはケイ素または炭素であ
り;Xはそれぞれの場合、独立にハイドライド、ハロ、
または10個までの炭素原子を持つアルキル、アリー
ル、アリールオキシ、またはアルコキシであり;そして
mは1または2である。
【0021】最も好ましい錯体は、チタンまたはジルコ
ニウムの錯体である。上記の最も高度に好ましい金属配
位化合物として、アミド基のR’がメチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(異性体を含
む)、ノルボニル、ベンジル、またはフェニルであり;
シクロペンタジエニル基のR’がそれぞれの場合に、独
立に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、(異性体を含む)、ノルボルニル、ベン
ジル、またはフェニルであり;そしてXがそれぞれの場
合、独立にクロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(異性体を含
む)、ノルボニル、ベンジル、またはフェニルである化
合物が挙げられる。
【0022】具体的な化合物として次のものが挙げられ
る。(t−ブチルアミド)・ジメチル(テトラメチル−
η−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライ
ド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η
−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロ
ライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(−η−シク
ロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−
ブチルアミド)−ジメチル(テトラメチル−η−シク
ロペンタジエニル)シランチタンジメチル、(t−ブチ
ルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニ
ル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シク
ロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジク
ロライド、(メチルアミド)(テトラメチル−η−シ
クロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニ
ウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチル−
η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル
チタンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル
−η−シクロペンタジエニル)−メチレン−チタンジ
クロライド、(テトラ−ブチルアミド)ジベンジル−
(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン
ジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル
(インデニル)シランチタンジクロライド、及び(フェ
ニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η−シク
ロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
【0023】これらの錯体は、金属試剤と非局在介π結
合部分の第1族金属誘導体、またはグリニア誘導体を溶
媒中で接触させ、そして塩副生物を分離することによっ
て製造される。金属錯体の製造に使用するのに好適な溶
媒は、脂肪族または芳香族の液体、例えばシクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ペン
タン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及びそれら
の混合物である。
【0024】次いで、有機ハライドを使用して、錯体の
金属の酸化状態を上昇させる。酸化は、錯体と有機ハラ
イドを任意に溶媒の存在下で、単に接触させることによ
って達成される。好ましくは、不活性溶媒特テトラヒド
ロフランを使用し、温度は−90〜150℃、好ましく
は0〜100℃、更に好ましくは25〜60℃である。
【0025】多数の有機ハライドが、本発明による酸化
のために使用することができる。例として、メチルクロ
ライド、メチレンクロライド、クロロホルム、4塩化炭
素、1,1,1−トリクロロエチレン、テトラクロロエ
チレン、1−クロロプロパン、1−クロロデカン、ベン
ジルクロライド、クロロベンゼンが挙げられ、好適な溶
媒に溶かしたポリビニルクロライドの溶液させあげるこ
とができる。所望ならば、対応する臭素または沃素含有
の有機ハライドを使用することもできる。好ましい有機
ハライドは、1〜10個塩素原子を持つC1−12アル
キルクロライド類である。特に好ましい有機ハライド
は、メチルクロライド、メチレンクロライド、クロロホ
ルム及び4塩化炭素である。
【0026】酸化に使用する有機ハライドの量は、好適
には酸化すべき金属化合物の各モルのハロゲン含量を基
準にして、少なくとも1当量である。大過剰の有機ハラ
イドも悪影響なしに使用することができる。有機ハライ
ドの好ましい比は、(ハロゲン含量基準の当量:金属モ
ル化合物の比として)1:1〜10,000:1、好ま
しくは1:1〜100:1、最も好ましくは1:1〜
1.5:1である。
【0027】式MXn+1に相当する本発明方法に使用
される金属化合物の取扱いを助けるために、当業技術に
周知の技術により好適な配位剤の作用によって、その固
体付加物をまず生成させるのが有利である。例えば、4
塩化チタンは、取扱いの困難な煙霧性液体であるのに対
して、TiClと、エーテル、3級アミン、3級ホス
フィン、または他の塩基性非プロトン性化合物との付加
物をまず作成させることができる。生成する固体は、よ
り容易に取り扱うことができる。好ましい配位性付加物
は、テトラヒドロフランである。
【0028】金属錯体の製造に使用される反応は、不均
一に、または均一に行うことができる。即ち、種々の試
剤または生成物は、溶媒混合物に実質的に可溶である必
要はない。一般的に、反応試剤は不活性雰囲気下に数分
から数日の期間、行われる。所望ならば、攪拌を使用す
ることもできる。
【0029】本発明により使用するのに好適な触媒は、
金属配位性化合物と活性化用共触媒化合物とを任意の順
序で、且つ任意の好適な方法で混合することによって製
造される。好ましくは、配位性化合物と共触媒との比
は、モル基準で1:0.1〜1:10,000である。
触媒系は、その諸成分を重合系に直接に加え、且つ好適
な溶媒または希釈剤(モノマーを含む)を重合系に使用
して、その場合で生成しうることも勿論理解される。好
適な溶媒として、トルエン、エチルベンゼン、C
5−10アルカン、及びそれらの混合物が挙げられる。
若干の場合には、触媒は溶液から分離して、使用前に不
活性雰囲気下に保持することができる。触媒の諸成分
は、水分及び酸素に敏感であり、窒素、アルゴン、ヘリ
ウムのような不活性雰囲気中で、または真空下に取扱い
及び輸送を行うべきである。
【0030】本発明方法の触媒を使用する重合法は、チ
グラー・ナッタ型またはカミンスキイ・シン型の重合の
周知の技術により行われる。即ち、モノマーと触媒は、
−30℃〜25℃の温度で、減圧、昇圧または大気圧下
で接触させる。重合は不活性雰囲気(窒素、アルゴン、
水素またはエチレンのようなブランケットガスでありう
る)のもとで、または真空下で行われる。従来技術で既
に知られているように、鎖停止による分子量制御に水素
を付加的に使用することもできる。触媒は、そのままで
使用することができ、あるいはアルミナ、MgCl
たはシリカのような好適な担体に担持させて、不均一担
体付き触媒にすることもできる。所望ならば、触媒を使
用することもできる。好適な溶媒として、トルエン、エ
チルベンゼン及び過剰のビニリデン芳香族またはオレフ
ィンモノマーが挙げられる。反応は、パーフルオロ化炭
化水素または類似の液体を使用して、懸濁液中でガス相
中で即ち流動床反応器を使用して、あるいは固相粉末重
合で、溶液または懸濁条件下で行うこともできる。本発
明の触媒と助触媒の接触有効量は、ポリマーの生成を成
功裡にもたらす量である。そのような量は、当業者によ
る日常の実験を介して、容易に決定することができる。
触媒と共触媒の好ましい量は、1×1010:1〜10
0:1、好ましくは1×10:1〜500:1、最も
好ましくは1×10:1〜1000:1の付加重合性
モノマー:触媒の当量比を与えるに十分な量である。共
触媒は、一般に10,000:1〜0.1:1、好まし
くは1,000:1〜1:1の共触媒:触媒の当量比を
与える量で使用される。
【0031】触媒は、重合過程以前に、及び重合過程中
に種々の変形を受けるかまたは中間種を形成しうること
が理解されるべきである。即ち、他の前駆体も本発明の
範囲を逸脱することなしに、ここに意図されるのと同じ
触媒種を多分達成しうる。
【0032】得られるポリマー生成物は、濾過または他
の好適な技術によって回収される。添加剤及び助剤を本
発明のポリマーに配合して、望ましい特性を与えること
もできる。好適な助剤として顔料、UV安定剤、酸化防
止剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、感光剤及びそれらの混合
物を挙げることができる。
【0033】好ましくはこのようなポリマーは、13,
000以上の更に好ましくは20,000以上の、最も
好ましくは30,000以上のMwを持つ。また、好ま
しくはこのようなポリマーは、ASTM D−1238
方法A、条件Eで測定して125未満の、更に好ましく
は0.01〜100の、最も好ましくは0.1〜10の
メルトインデックス(I)を持つ。
【0034】本発明による重合以前に、モノマー及び溶
媒は所望ならば、真空蒸留によって及び/またはモレキ
ュラーシーブ、シリカ、またはアルミナとの接触によっ
て精製して、不純物を除去することができる。また、反
応性ブランキング剤、例えばトリアルキルアルミニウム
化合物、アルカリ金属及び金属合金特にNa/Kを使用
して、不純物を除去することもできる。このような重合
反応の好ましい操作条件は、大気圧〜1000気圧の圧
力及び30℃〜200℃の温度である。それぞれのモノ
マーの自動重合温度より高い温度における重合は、フリ
ーラジカル重合から生ずる、少量のホモポリマー重合生
成物を含むことがある。
【0035】〔実施例〕本発明を以上のように述べてき
たが、次の実施例により本発明を更に具体的に説明す
る。これらの実施例は例示であって、本発明を限定する
ものと解すべきではない。他に特別の記載のない限り、
部及び%は重量基準である。
【0036】実施例1 (t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η
シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド ((Me)SiMetTBu)TiCl ドライボックス中で、ジエチルエーテル中の2.0Mイ
ソプロピルマグネシウムの40mlを100mlのフラ
スコに注入した。エーテルを減圧下で除去して無色油を
残した。4:1(容量)のテトラヒドロフラン(TH
F)混合物を加え、次いで0.97gの(t−ブチルア
ミノ)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)
シランを加えた。この溶液を還流加熱した。8〜10分
後に、白色沈澱が生成し始めた。合計27時間の還流後
に、溶液を冷却し、揮発性物質を減圧除去した。白色固
体残渣をペンタン中でスラリ化し、濾過してMe
SiMeN−tBuMgCl(THF)の白色粉
末(1.23g、62%収率)を得た。ドライボックス
中で、0.10gのTiCl(THF)を40ml
のTHFに懸濁させ、0.138gの固体Me
iMeN−tBuMgCl(THF)を加え
た。色調が、淡青色から深紫色に変化した。これは、錯
体(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η
−シクロペンタジエニル)シランチタンクロライドの生
成を示すものである。5分間の攪拌後に、テトラヒドロ
フラン中のメチレンクロライドの1.56M溶液の0.
17mlを加えた。色調は、輝黄色に変化した。数分後
にTHFを減圧除去した。生成物をペンタン抽出によっ
て回収した。収率は、70%であった。生成物の固定
は、
【化9】 によって(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル
−η−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロラ
イドとして確認された。δ1.922(s)、1.98
6(s)、1.414(s)、0.414(s)。
【0037】スチレン/エチレンの重合 トルエン中のMAOの10%溶液1.65mlを、ステ
ンレス鋼ショットタンク中で、45mlのトルエン及び
50mlのスチレンと混合することによって、スチレン
/エチレン混合物の重合を行った。第2のショットタン
ク中のトルエン2.5mlに、(t−ブチルアミド)ジ
メチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)
シランチタンジクロライドを加えた。両方のショットタ
ンクを密封し、グローブボックスから除き、そして60
0mlのステンレス鋼圧力容器に取り付けた。圧力容器
を真空にし、アルゴンでパージした。スチレン/トルエ
ン/MAO溶液を上記の圧力容器に加えて、攪拌しなが
らエチレンを加えて620kPa(90psig)に
し、89℃に加温した。この時点で触媒を加え、圧力を
1275kPa(185psig)に上昇させ、124
0〜1275kPa(180〜185psig)の間に
調節した。発熱により温度は、95℃に上昇した。温度
を90℃に低下させ、次いで反応の残余の期間90〜9
2℃に調節した。1.0時間後に、エチレンの供給を止
めた。反応物を大気に排気し、30℃に冷却し、この時
点でメタノールを加えた。生成物を集め、メタノールで
抽出し、そして残存溶媒を減圧下に120℃で除去し
た。9.02gの物質を得た。この物質の13C NM
R分析は、この物質がポリスチレンによるピークを含ま
ないスチレン(モル基準で15.2%)とエチレンとの
ランダムコポリマーであることを示した。
【0038】オレフィン重合 混合Cアルカン溶媒中のトリエチルアルミニウムの1
M溶液5mlと、トルエン中の(t−ブチルアミド)ジ
メチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)
シランチタンジクロライドの0.01M溶液0.5ml
を、ステンレス鋼(ss)ショットタンク中で混合する
ことによって、エチレンを重合させた。次いで混合アル
カン溶媒(エクソン・ケミカルから入手しうる商標名I
soparE)の2lを含む3lSS圧力容器に、31
00kPa(450psig)のエチレン圧力下150
℃で、チタン触媒とトリエチルアルミニウム共触媒を加
えた。反応温度を150℃に10分間保った。エチレン
圧力を一定に保った。マス・フローメータは、15.7
gのエチレン吸収を示した。次いでポリマー溶液を圧力
容器から除き、エチレンを乾燥後に回収し、90℃で一
夜減圧乾燥した。収量は、15.7gであった。
【0039】実施例2 ドライボックス中で、0.20gのTiCl(TH
F)を40mlのTHF中に懸濁させた。0.277
gの固体MeSiMeN−tBuMgCl
(THF)を加えた。色調は、淡青色から深紫色に
変化した。5分間の攪拌後に、テトラヒドロフラン中の
メチレンクロライドの1.56M溶液の0.17mlを
加えた。色調は、1時間にわたって輝黄色に変化した。
THFを減圧除去した。生成物をペンタン中の抽出によ
って回収した。輝黄色の(t−ブチルアミド)ジメチル
(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン
チタンジクロライドの収率は、0.144g、72.4
%であった。
【0040】実施例3 ドライボックス中で、0.384gのTiCl(TH
F)を40mlのTHF中に懸濁させた。0.513
gの固体MeSiMeN−tBuMgCl
(THF)を加えた。色調は、淡青色から深紫色に変
化した。5分間の攪拌後に、0.1mlの四塩化炭素を
加えた。色調は、直ちに輝黄色に変化した。10分間の
攪拌後に、THFを真空除去した。輝黄色の(t−ブチ
ルアミド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペン
タジエニル)シランチタンジクロライドの収率は、0.
266g、69.6%であった。
【0041】実施例4 不活性雰囲気のグローブボックス中で、100mlのフ
ラスコに0.100gのTiCl(THF)と20
mlのTHFを加えた。生成スラリに固体の(MgCl
)(Me)SiMeNtBu)(C
(0.124g)を加え、追加の10mlのTHFを
使用して、固体を反応フラスコに洗い流した。混合物を
5分間攪拌し、次いで1当量のデシルクロライド(0.
048g)を加えた。次いで反応物を1.75h攪拌し
た。THFを減圧除去し、生成物をペンタンを使用して
抽出し、濾過した。ペンタンも減圧除去し、生成物を減
圧下に乾燥した。生成物((Me)SiMe
tBu)TiClの同定をH NMR分析によって
確認した。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−139504(JP,A) 特開 平3−163088(JP,A) 特開 平3−188092(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/28 C07F 7/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 (Mは元素の周期律表の第3〜10族または、ランタナ
    イド系列の金属であり; Cp* は、Mにη5 結合様式でπ−結合する置換シクロ
    ペンタジエニル基であり; Zはホウ素または元素の周期律表の第14族の一員を含
    み、そして任意に硫黄または酸素を含み、そして20個
    以下の非水素原子を持つ部分であり、そして任意にCp
    * とZは一緒になって縮合環系を形成し; Xはそれぞれの場合、独立に30個以下の非水素原子を
    持つアニオン性リガンド基または中性ルイス塩基リガン
    ド基であり: nはMの原子価に応じて、0,1,2,3または4であ
    り;そしてYは窒素、リン、酸素または硫黄を含み、そ
    して20個以下の非水素原子を持つ、Z及びMに結合す
    るアニオン性または非アニオン性のリガンド基であり、
    任意にY及びZは、一緒になって縮合環系を形成する) に相当する金属配位錯体の製造方法であって、次の諸工
    程即ち、 (A)式MXn+1 の金属化合物またはその配位付加物を
    次式に相当する、ジアニオン性塩化合物と非配位性非極
    性溶媒中で接触させ、 【化2】 (Lは元素の周期律表の第1族または第2族の金属であ
    り、X”はブロモ、クロロまたはヨードであり、x及び
    yは1または2であって、xとyの積は2に等しく、そ
    してM、X、Cp*Z及びYは、前記定義のとおりで
    ある): (B)生成する錯体を金属の酸化状態を上昇させるに好
    適な反応条件下に、有機ハライドと接触させ;そして (C)生成する生成物を回収する: 諸工程から成ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 金属Mが、チタンまたはジルコニウムで
    ある請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 有機ハライドが、1〜10個の塩素原子
    を持つ、C1−12アルキルクロライドである請求項1
    の方法。
  4. 【請求項4】 有機ハライドが、メチルクロライド、メ
    チレンクロライド、クロロホルムまたは4塩化炭素であ
    る請求項3の方法。
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