JP2003128687A - 遷移金属化合物、それを用いたオレフィン重合用触媒およびポリオレフィンの製造方法 - Google Patents
遷移金属化合物、それを用いたオレフィン重合用触媒およびポリオレフィンの製造方法Info
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Abstract
合物と、有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合
物からなる触媒を用いて、オレフィンを重合する。 【化1】 (ここで、Mは周期表第10族から選ばれる遷移金属原
子である。R1は互いに同じでも異なっていてもよく、
水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数
1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。また、R1は
互いに結合して環を形成していてもよい。Xはハロゲン
原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜
20のケイ素含有炭化水素基を示す。Yは周期表第15
族または第16族の原子とリン原子が共有結合している
基を1つ以上有することを特徴とするフォスフィンを示
す。)
Description
それを用いたオレフィン重合用触媒およびポリオレフィ
ンの製造方法に関するものである。詳しくは、特定の構
造を有する遷移金属化合物と、それをオレフィン重合用
触媒の構成成分として用いることにより、ポリオレフィ
ンを効率よく製造する方法に関するものである。
触媒として用いることは不向きだと考えられていたが、
最近、後周期遷移金属錯体を構成成分とするオレフィン
重合に関する注目すべき検討が幾つか行われている。た
とえば、2座ジイミン配位子を持つニッケル錯体を触媒
の構成成分として用いてエチレンの重合を行うと、高い
活性で分岐を持つポリエチレンが生成することが開示さ
れている(WO96/23010)。また、フェノキシ
イミンニッケル錯体を触媒に用いてエチレンの重合を行
うと、高い活性でエチレン重合が進行することが報告さ
れている(Organometallics,17巻,
3149−3151ページ,1998年)。
不純物および重合成分に含まれる極性化合物に対して耐
性の高い触媒系の開発が望まれている。
の遷移金属化合物、およびポリオレフィンを効率よく製
造することが可能なオレフィン重合用触媒を提供するこ
と、並びにそれを用いたポリオレフィンの製造方法を提
供することにある。
達成するため、鋭意検討の結果、特定の構造を有する遷
移金属化合物をオレフィン重合用触媒の構成成分として
用い、これに有機アルミニウム化合物または有機ホウ素
化合物を組み合わせることで、ポリオレフィンを効率よ
く製造することが可能な新しい触媒系を見い出し、本発
明を完成するに到った。
有する周期表第10族の遷移金属化合物を提供するもの
である。また、特定のフォスフィンを有する遷移金属化
合物と有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物
からなるオレフィン重合用触媒を提供するものである。
さらに、本発明は、前記オレフィン重合用触媒を用いて
オレフィンの重合を行うことを特徴とするポリオレフィ
ンの製造方法を提供するものである。
遷移金属化合物の構造としては、下記一般式(1)
ニッケル原子やパラジウム原子などの周期表第10族か
ら選ばれる遷移金属原子である。R1は互いに同じでも
異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、
イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フ
ェニル基などの炭素数1〜20の炭化水素基、またはト
リメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基などの炭
素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。また、R
1は互いに結合して環を形成していてもよい。Xは塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メチ
ル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル
基、ベンジル基、フェニル基などの炭素数1〜20の炭
化水素基、またはトリメチルシリル基、トリメチルシリ
ルメチル基などの炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素
基を示す。Yは周期表第15族または第16族の原子と
リン原子が共有結合している基を1つ以上有することを
特徴とするフォスフィンを示しており、その好ましい構
造として、下記一般式(2) P(NR2 2)aR3 3-a (2) (ここで、R2は互いに同じでも異なっていてもよく、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチ
ル基、ベンジル基、フェニル基などの炭素数1〜20の
炭化水素基を示す。また、R2は互いに結合して環を形
成していてもよい。環を形成した場合、一般式(2)中
のNR2 2部位は、ピリジニル基、ピロリル基、ピロリジ
ニル基、ピペリジノ基などの窒素を含む複素環となる。
R3は互いに同じでも異なっていてもよく、メチル基、
エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベン
ジル基、フェニル基などの炭素数1〜20の炭化水素基
を示す。また、R3は互いに結合して環を形成していて
もよい。aは1〜3の整数を示す。)が挙げられる。
に特に限定はないが、例を挙げると、Ni(cod)2
のような0価ニッケル錯体とハロゲン化アリル化合物、
およびフォスフィンを反応させる方法や、ビス(π−ア
リルニッケルブロミド)とフォスフィンを反応させる方
法により合成することが可能である。Journalo
f Chemical Society,Dalton
Transactions,1994巻,1337−
1347ページ中に記載されている合成方法などが参考
となる。
合成方法を例に挙げると、たとえば、(η3−C3H5)
NiBr{P(NC4H8)3}の合成方法は、Ni(c
od) 2とフェニルブロミドを反応させた後、さらにP
(NC4H8)3を反応させる方法や、{(η3−C3H5)
NiBr}2とP(NC4H8)3を反応させる方法で該遷
移金属化合物を合成することが可能であるが、これらの
方法に限定されるものではない。
体的な例として、次に挙げる化合物を例示することがで
きるが、これらに限定されるものではない。
である(B)有機アルミニウム化合物とは、該遷移金属
化合物と作用もしくは反応することにより、オレフィン
を重合することが可能な重合活性種を形成し得る化合物
を示しており、その具体的な例として、下記構造で表さ
れる有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
素原子、またはメチル基、エチル基、イソプロピル基、
tert−ブチル基、ベンジル基、フェニル基などの炭
素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは塩素原子、臭素
原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を示す。) 好ましい化合物として、エチルアルミニウムジクロリ
ド、ジエチルアルミニウムクロリド、トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアル
ミニウム等を挙げることができる。
(5)で表されるアルキルアルミノキサンも(B)有機
アルミニウム化合物の例として挙げることができる。
原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基、ter
t−ブチル基などの炭素数1〜20の炭化水素基であ
る。また、qは2〜60の整数である。) 一般式(4)および/または(5)で表されるアルキル
アルミノキサンの具体的な例として、メチルアルミノキ
サン、エチルアルミノキサン、トリイソブチルアルミノ
キサン、tert−ブチルアルミノキサンやそれらの混
合物などを挙げることができる。なお、アルキルアルミ
ノキサンには少量のトリアルキルアルミニウム化合物が
含まれていてもよい。
成成分の一つである(C)有機ホウ素化合物とは、該遷
移金属化合物と作用もしくは反応することにより、オレ
フィンを重合することが可能な重合活性種を形成し得る
化合物を示しており、その具体的な例として、下記構造
で表される有機ホウ素化合物を挙げることができる。
チル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル
基、ベンジル基、フェニル基などの炭素数1〜20の炭
化水素基、またはペンタフルオロフェニル基、3,5−
ジ−トリフルオロメチルフェニル基などの炭素数6〜3
0のフッ素化された炭化水素基を示す。) 本発明における(A)成分と(B)成分の比に制限はな
いが、(B)成分が(3)式で表される有機アルミニウ
ム化合物である場合、(A)成分と(B)成分の金属原
子当たりのモル比が(A成分):(B成分)=100:
1〜1:100000にあり、特に1:1〜1:100
00の範囲であることが好ましい。また、(B)成分が
(4)式および/または(5)式で表されるアルキルア
ルミノキサンである場合、(A)成分と(B)成分の金
属原子当たりのモル比が(A成分):(B成分)=10
0:1〜1:1000000にあり、特に1:1〜1:
100000の範囲であることが好ましい。
成分の比にも制限はないが、(A)成分と(C)成分の
モル比が(A成分):(C成分)=100:1〜1:1
00000にあり、特に1:1〜1:10000の範囲
であることが好ましい。
からなるオレフィン重合用触媒を調製する方法に関して
制限はなく、調製の方法として、各成分に対して不活性
な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用
い、混合する方法などを挙げることができる。また、こ
れらの成分を反応させる順番に関しても制限はなく、こ
の処理を行う温度、処理時間も制限はない。また、各成
分を2種以上用いてオレフィン重合用触媒を調製するこ
とも可能である。
すなわちスラリー重合、気相重合、高圧重合、溶液重
合、塊状重合のいずれにも使用できる。本発明において
重合とは単独重合のみならず共重合も意味し、これら重
合により得られるポリオレフィンは、単独重合体のみな
らず共重合体も含む意味で用いられる。
でも液相でも行うことができ、特に気相で行う場合に
は、粒子形状の整ったポリオレフィンを効率よく安定的
に生産することができる。また、重合を液相で行う場
合、用いる溶媒は、一般に用いられている有機溶媒であ
ればいずれでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、
キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げら
れ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキ
センなどのオレフィンそれ自身を溶媒として用いること
もできる。
プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、
1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン、スチ
レンおよびスチレン誘導体、ブタジエン、1,4−ヘキ
サジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシク
ロペンタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、
7−メチル−1,6−オクタジエン等の共役および非共
役ジエン、シクロブテン等の環状オレフィン等が挙げら
れる。また、フッ素化したオレフィンも重合に用いるこ
とができる。さらにまた、エチレンとプロピレンとスチ
レン、エチレンと1−ヘキセンとスチレン、エチレンと
プロピレンとエチリデンノルボルネンのように、3種以
上の成分を混合して重合することもできる。また、特定
の条件下では、上記オレフィン類とアクリル酸メチルや
酢酸ビニルなどの極性基を有するオレフィンとの共重合
を行うことも可能である。
造する上で、重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー
濃度などの重合条件について特に制限はないが、重合温
度は−100〜300℃、重合時間は10秒〜20時
間、重合圧力は常圧〜3000kg/cm2Gの範囲で
行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて
分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ
式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可
能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うこ
とも可能である。また、重合終了後に得られるポリオレ
フィンは、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収
され、乾燥して得ることができる。
明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるもの
ではない。遷移金属化合物の合成は、すべての操作を窒
素雰囲気下で行った。遷移金属化合物の調製に用いた溶
媒は、すべて公知の方法で脱水、脱酸素を行ったものを
用いた。
2(0.20g,0.56mmol)のトルエン(20
mL)溶液に、P(NC4H8)3のトルエン溶液(1.
0mol/L,1.1mL,1.1mmol)を加え、
ゆっくり室温まで昇温した後、そのまま終夜攪拌した。
減圧下で溶媒を留去した後、残さをヘキサンで洗浄後、
減圧下で乾燥を行うことで黄土色の固体として表題化合
物を得た(0.25g)。
(brs,2H,C3H5),4.14(brs,1H,
C3H5),3.11(brs,12H,Py−H),
2.70(brs,2H,C3H5),1.59(br
s,12H,Py−H) 実施例2 (η3−C3H5)NiBr{P(NC4H8)2(tert
−Bu)}の合成 −78℃に冷却した{(η3−C3H5)NiBr}
2(0.18g,0.50mmol)のトルエン(10
mL)溶液に、P(NC4H8)2(tert−Bu)の
トルエン溶液(1.0mol/L,1.0mL,1.0
mmol)を加え、ゆっくり室温まで昇温した後、その
まま終夜攪拌した。減圧下で溶媒を留去した後、残さを
ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥を行うことで濃赤色の
固体として表題化合物を得た(0.23g)。
(1H,brs,C3H5),4.20(1H,brs,
C3H5),3.04(brs,8H,Py−H),2.
73(brs,1H,C3H5),2.62(brs,1
H,C3H5),1.72(brs,8H,Py−H),
1.27(s,9H,tert−Bu) 実施例3 50mLのシュレンク管中で、実施例1で得た(η3−
C3H5)NiBr{P(NC4H8)3}(61.4m
g,146μmol)のトルエン(13.0mL)溶液
に、EtAlCl2のヘキサン溶液(0.90mol/
L,1.6mL,1.46mmol)を加えることで触
媒溶液Aの調製を行った。
ルエン(30mL)および触媒溶液A(10mL,10
0μmol)を加え、10kg/cm2Gのエチレン圧
になるようにエチレンを連続的に供給しながら室温で2
0分間、さらにエチレンの供給を切って10分間重合を
行った。反応混合物をエタノール(100mL)/塩酸
(5mL)に加えた後、析出した固体をエタノール/塩
酸で洗浄後、減圧下、80℃で8時間乾燥を行うことで
1.23gのポリマーを得た。
C3H5)NiBr{P(NC4H8)2(tert−B
u)}(80.1mg,196μmol)のトルエン
(17.4mL)溶液に、EtAlCl2のヘキサン溶
液(0.90mol/L,2.2mL,1.96mmo
l)を加えることで触媒溶液B(10mL,100μm
ol)の調製を行った。
ルエン(30mL)および触媒溶液Bを加え、10kg
/cm2Gのエチレン圧になるようにエチレンを連続的
に供給しながら室温で20分間、さらにエチレンの供給
を切って10分間重合を行った。反応混合物をエタノー
ル(100mL)/塩酸(5mL)に加えた後、析出し
た固体をエタノール/塩酸で洗浄後、減圧下、80℃で
8時間乾燥を行うことで0.14gのポリマーを得た。
mL)、実施例4と同様の方法で調製した触媒溶液B
(10mL,100μmol)、およびPMAO(2.
85mol/Lトルエン溶液,0.35mL,1.0m
mol)を加え、10kg/cm2Gのエチレン圧にな
るようにエチレンを連続的に供給しながら室温で20分
間、さらにエチレンの供給を切って10分間重合を行っ
た。反応混合物をエタノール(100mL)/塩酸(5
mL)に加えた後、析出した固体をエタノール/塩酸で
洗浄後、減圧下、80℃で8時間乾燥を行うことで3.
96gのポリマーを得た。
るオレフィン重合用触媒は、オレフィン重合に対して極
めて有効であり、本触媒をオレフィン重合用触媒として
用いることで、ポリオレフィンを効率よく製造すること
が可能である。
Claims (5)
- 【請求項1】下記一般式(1)で表される遷移金属化合
物。 【化1】 (ここで、Mは周期表第10族から選ばれる遷移金属原
子である。R1は互いに同じでも異なっていてもよく、
水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数
1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。また、R1は
互いに結合して環を形成していてもよい。Xはハロゲン
原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または炭素数1〜
20のケイ素含有炭化水素基を示す。Yは周期表第15
族または第16族の原子とリン原子が共有結合している
基を1つ以上有することを特徴とするフォスフィンを示
す。) - 【請求項2】一般式(1)中のフォスフィンYが、下記
一般式(2) P(NR2 2)aR3 3-a (2) (ここで、R2は互いに同じでも異なっていてもよく、
炭素数1〜20の炭化水素基を示す。また、R2は互い
に結合して環を形成していてもよい。R3は互いに同じ
でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基
を示す。また、R3は互いに結合して環を形成していて
もよい。aは1〜3の整数を示す。)で表される置換基
であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合
物。 - 【請求項3】(A)請求項1または2で表される遷移金
属化合物と(B)有機アルミニウム化合物を構成成分と
するオレフィン重合用触媒。 - 【請求項4】(A)請求項1または2で表される遷移金
属化合物と(C)有機ホウ素化合物を構成成分とするオ
レフィン重合用触媒。 - 【請求項5】請求項3ないし4に記載のオレフィン重合
用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うことを特徴と
するポリオレフィンの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001326165A JP4337293B2 (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 遷移金属化合物、それを用いたオレフィン重合用触媒およびポリオレフィンの製造方法 |
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JP2015151345A (ja) * | 2014-02-12 | 2015-08-24 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | ニッケル錯体化合物、触媒組成物、及び有機ケイ素化合物の製造方法 |
-
2001
- 2001-10-24 JP JP2001326165A patent/JP4337293B2/ja not_active Expired - Fee Related
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