JP3275135B2 - 印刷機の版クランプ装置 - Google Patents

印刷機の版クランプ装置

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JP3275135B2
JP3275135B2 JP12008497A JP12008497A JP3275135B2 JP 3275135 B2 JP3275135 B2 JP 3275135B2 JP 12008497 A JP12008497 A JP 12008497A JP 12008497 A JP12008497 A JP 12008497A JP 3275135 B2 JP3275135 B2 JP 3275135B2
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茂寿 斎藤
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株式会社篠原鉄工所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷機の版クランプ装
置に関し、特に、版端を折り曲げ加工せずに済む版クラ
ンプ装置に関する。
【0002】
【発明の背景】オフセット印刷機にあっては、版胴の外
周に刷版が巻回、張設され、この版刷にインキ及び湿し
水を供給してイメージが形成され、形成されたイメージ
は、ブランケット胴を経由して、圧胴との間でシートに
加圧転写される。
【0003】刷版を版胴に取り付けるため、胴溝中に版
クランプ装置が1対の版先くわえユニット及び版尻くわ
えユニットとして設けられる。
【0004】版取付作業の容易さ及び確実さからする
と、版尻を折り曲げ加工する方が望ましいが、このよう
な付加的作業を合理化するために、版端を折り曲げ加工
することなしに、刷版を確実に取り付けることのできる
版クランプ装置が要求されている。
【0005】
【従来の技術】特開平6−23955号公報及び特開平
6−134972号公報にも、版端を折り曲げることを
要しない版クランプ装置が開示されているが、いずれの
技術も、版尻を版クランプ装置に迎え入れるための構造
が複雑を極め、かつ、版端を迎え入れ、咬持し、引張す
るための諸機構の駆動系統に多種の部材を要し、しかも
複雑である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題に鑑みてなされ、簡易な構成と単純な作動により、版
端の折り曲げ加工なしに、刷版を確実に版胴に取り付け
ることのできる版クランプ装置を得ることを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そしてこのために、本発
明に係る版クランプ装置は、クランプベース(5)と結
合する第1の回転中心(8)及びクランププレート
(6)と結合する第2の回転中心(9)を有するアーム
(7)と、このアーム(7)の旋回移動とクランププレ
ート(6)の起伏及びクランプベース(5)のスライド
を生起させるカム面を一体に具備したカムシャフト(1
8)と、を有することを特徴とする。
【0008】
【作用】複数の回転中心(8)、(9)を有するアーム
(7)によって支承されたクランププレート(6)は、
大きく後退した姿勢で版端を制約なしに迎え入れ、この
後、3種のカム面を一体に具備したカムシャフト(1
8)の回動のみにより、アーム(7)の旋回移動→クラ
ンププレート(6)及びクランプベース(5)による版
くわえ→クランプベース(5)の移動による版の引張が
順次に行なわれる。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
き詳細に説明する。図1は、本発明に係る版クランプ装
置を備えた版胴の断面説明図、図2は、同平面図、図3
から図6までは、版クランプ装置の構成及び作動を説明
するための断面図である。
【0010】図1の矢印方向に回転する版胴の胴軸方向
(図1の紙面に垂直の方向であり、図2の左右方向であ
る。)に胴溝(1)が切り欠いて形成されており、この
胴溝(1)中に、1対の版先くわえユニット(2)及び
版尻くわえユニット(3)が設けられている。そして、
これらのユニット(2)、(3)によって刷版(4)が
咬持及び引張されて、版胴の外周に密着して取り付けら
れる。
【0011】これらのユニット(2)、(3)のうち、
版先くわえユニット(2)は、主として版端を固定的に
咬持する役割を果たし、本発明とは直接的に関係しな
い。一方、版尻くわえユニット(3)は、版端を咬持す
るとともに引張して、刷版(4)を版胴の外周に密着さ
せる。本発明は、専らこの版尻くわえユニット(4)に
関係している。
【0012】版尻くわえユニット(3)のクランプベー
ス(5)は、胴軸方向に伸びる長尺の基体であり、例え
ばその下面の突条及び胴溝(1)の基底のくぼみ溝(図
示しない。)等の公知の組合わせにより、割線方向に滑
動可能とされている。ここに割線方向とは、図3以下の
左右方向、言い換えると、胴溝(1)の基底に沿い、胴
軸方向と直交する方向を言う。
【0013】クランププレート(6)は、クランプベー
ス(5)に対して起伏して、その先端部分により刷版
(4)の端部を咬持/解放することを主要な役割とする
が、その支持は、両側に結合されたアーム(7)によっ
ている。すなわち、アーム(7)は、その一端において
クランプベース(5)と回転自在に結合する第1の回転
中心(8)を有するとともに、他端においては、クラン
ププレート(6)の側部と回転自在に結合する第2の回
転中心(9)を有している。
【0014】そして、図3に示すように、アーム(7)
は、第1の板ばね(10)によって大きく後退させられ
ており、また、クランププレート(6)も、第2の板ば
ね(11)によって大きく開口されている。
【0015】版尻くわえユニット(3)を割線方向にス
ライドさせて刷版(4)を引張/弛緩させる前提とし
て、クランプベース(5)は2種類のスプリング部材
(12)、(13)により付勢されている。まず、スプ
リング部材(12)は、クランプベース(5)を溝壁
(14)の方向、言い換えると、刷版(4)の引張を緩
める方向に付勢している。
【0016】また、クランプベース(5)の複数の個所
に、押動ピン(15)、フランジ部材(16)、スプリ
ング部材(13)及び輪節部材(17)の組合わせによ
る版張手段が嵌入、配設されている。押動ピン(15)
は、クランプベース(5)にフリーに挿嵌されており、
また、この押動ピン(15)に対接するフランジ部材
(16)には、スプリング部材(13)が係設されてい
る。そして、フランジ部材(16)の左端は、断面H字
状の輪節部材(17)の中心にフリーに挿通されてい
る。この輪節部材(17)は、その一側でスプリング部
材(13)を受け止めつつ、クランプベース(5)中に
嵌入するとともに、他端は溝壁(14)に当接してい
る。
【0017】版張手段の押動ピン(15)はクランプベ
ース(5)と一体にされたカムシャフト(18)のカム
面に当接しており、このカムシャフト(18)が手動又
は自動で回動されて後述の通りの刷版(4)の引張/弛
緩がなされるが、カムシャフト(18)はこれにとどま
らず、アーム(7)の旋回移動及びクランププレート
(6)の起伏にも関与している。
【0018】すなわち、カムシャフト(18)は、押動
ピン(15)の先端が当接するテンション用カム面(1
9)のみならず、第1の回転中心(8)に基づいて旋回
されるアーム(7)が当接するアーム用カム面(20)
及びアーム(7)の第2の回転中心(2)に基づいて起
伏されるクランププレート(6)の底面が当接するプレ
ート用カム面(21)の3種のカムプロフィールをその
長手方向の各所に分散して一体に具備しているのであ
る。これらのカムプロフィールは、作動説明図である図
3から図6までにその位相が並行して図示されている。
なお、クランプベース(5)と一体のカムシャフト(1
8)を適宜の工具により手動で、または、モータ等によ
り印刷機のサイドフレーム側から自動で回動させる技術
は、既に確立されている。
【0019】次に、作用について説明すると、図3の状
態は、アーム(7)及びクランププレート(6)が大き
く開かれ、かつ、クランプベース(5)も、その端部が
溝壁(14)と当接した弛緩状態である。すなわち、ア
ーム(7)は、第1の板ばね(10)によって大きく後
退させられており、また、クランププレート(6)も第
2の板ばね(11)によって大きく開口されているので
あり、更に、クランプベース(5)も、版張手段のスプ
リング部材(13)が事実上きいていないので、弛緩の
ためのスプリング部材(12)により溝壁(14)に押
し付けられているのである。
【0020】この状態で、版端がストレートのままの刷
版(4)の版尻が制約なしに迎え入れられる。なお、版
尻をクランプベース(5)の上面に押し当て、ならしつ
けるために、適宜の版押し具(22)又は版押しローラ
がエアシリンダ等によって作動されるが、このような押
し当て手段も、既に十分に公知である。
【0021】次に、カムシャフト(18)が約30度回
動され、これと並行して、カム位相も図4に示す通り変
化すると、アーム用カム面(20)により、アーム
(7)が第1の板ばね(10)に抗しつつ第1の回転中
心(8)を基準にして大きく旋回され、また、同時にク
ランププレート(6)も、その底面がプレート用カム面
(21)に押し上げられて、第2の板ばね(11)に抗
して、アーム(7)の第2の回転中心(9)を基準にし
て倒伏され始める。
【0022】そして、カムシャフト(18)が更に約1
0度回動されると、クランププレート(6)が完全に倒
伏されて、クランプベース(5)との間で版尻をくわえ
る(図5)。
【0023】版尻がくわえられた状態でカムシャフト
(18)が更に約40度回動されると、図6に示すよう
に、クランプベース(5)が溝壁(14)から離れて刷
版(4)が引張される。すなわち、テンション用カム面
(19)の作用により、版張手段の押動ピン(15)が
図面の方向に押動され、スプリング部材(13)が圧縮
されることになるが、その反力が弛緩用のスプリング部
材(12)に打ち勝ち、クランプベース(5)全体を右
方向にスライドさせ、これにより、刷版(4)が引張さ
れるのである。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る版クランプ装置によれば、
第1の回転中心を基準にして大きく旋回移動されるアー
ムの第2の回転中心によってクランププレートが支持さ
れているので、ストレートの刷版を何等の制約なしに迎
え入れることができる。また、3種のカム面を一体に有
するカムシャフトによって、全ての作動を行なえるの
で、構造も極めて簡易なものとすることができるという
有意義な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る版クランプ装置を備えた版胴の断
面説明図である。
【図2】図1に示した版胴の右半分の平面図である。
【図3】版クランプ装置の構成及び作動を説明するため
の断面図であり、アーム及びクランププレートが開か
れ、かつ、刷版も弛緩した状態を示している。
【図4】同じく、アームが閉じられた状態を示す断面図
である。
【図5】クランププレートが閉じられた状態を示す断面
図である。
【図6】刷版が引張された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 胴溝 2 版先くわえユニット 3 版尻くわえユニット 4 刷版 5 クランプベース 6 クランププレート 7 アーム 8 第1の回転中心 9 第2の回転中心 18 カムシャフト 19 テンション用カム面 20 アーム用カム面 21 プレート用カム面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 版胴の胴溝(1)中に、1対の版先くわ
    えユニット(2)と版尻くわえユニット(3)とが配設
    され、該版尻くわえユニット(3)は、版胴の割線方向
    にスライド可能なクランプベース(5)と、該クランプ
    ベース(5)に対して起伏可能に結合されたクランププ
    レート(6)とを有し、該クランププレート(6)を起
    伏させることによって版端を咬持/解放し、また、前記
    クランプベース(5)をスライドさせることによって刷
    版(4)の引張/弛緩を行なう形式の印刷機の版クラン
    プ装置において、前記クランプベース(5)と結合する
    第1の回転中心(8)及び前記クランププレート(6)
    と結合する第2の回転中心(9)を有するアーム(7)
    と、該アーム(7)の旋回移動とクランププレート
    (6)の起伏及びクランプベース(5)のスライドを生
    起させるカム面を一体に具備したカムシャフト(18)
    と、を有することを特徴とする印刷機の版クランプ装
    置。
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