JP3427169B2 - 共用型版クランプ装置 - Google Patents

共用型版クランプ装置

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茂寿 斎藤
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株式会社篠原鉄工所
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  • Supply, Installation And Extraction Of Printed Sheets Or Plates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、印刷機の版クランプ装
置に関し、特に、PS版のみならず紙版にも使用できる
共用型版クランプ装置に関する。 【0002】 【発明の背景】オフセット印刷機にあっては、版胴の外
周に刷版が巻回、張設され、この刷版にインキ及び湿し
水を供給してイメージが形成され、形成されたイメージ
は、ブランケット胴を経由して、圧胴との間でシートに
加圧転写される。 【0003】刷版としては、アルミニウム基材のPS版
が常態的に使用されている。このPS版は、金属製薄板
がベースであるので、耐張性に優れており、従って、刷
版を版胴に張設する版クランプ装置によって引張力が加
えられても、変形を生じにくく、版胴に装着し易い。 【0004】ところで、近時は、耐水加工紙を基材とし
た紙版も、版材コスト及び製版コストが安いというメリ
ットに支えられて、使用されることが多くなってきてい
る。しかしながら、この紙版は、耐張性が非常に劣り、
伸び易く、従って、版クランプ装置によって版胴に装着
する際に格別の注意が必要となる。 【0005】 【従来の技術】特開平3−61044号公報にあって
は、実際の印刷には使用撓い、いわばダミーのPS版の
上に紙版を糊付し、この結合体を版クランプ装置に装着
する技術が開示されている。また、特開平8−1507
00号公報にあっては、ダミーのPS版上に紙版を糊付
するとともに、紙版の後端を位置決めピン及びコロによ
って定置する技術が開示されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た技術はいずれも、紙版に付加的な加工を施したり、ま
た、糊付等の面倒な手間を要し、結局、迅速さが要求さ
れる版クランプ作業に多大な工数を費消することとなっ
ていた。 【0007】本発明は、上記した問題に鑑みてなされ、
紙版を装着する際にも格別の手間を要することなく、簡
便、かつ、迅速に版クランプ作業を行なうことができる
共用型版クランプ装置を得ることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】そしてこのために、本発
明に係る共用型版クランプ装置は、胴溝(1)の長手方
向に複数のスライド手段(10)が版尻くわえユニット
(3)のために設けられ、かつ、これらのスライド手段
(10)が1本のカムシャフト(17)に設けられた複
数個のカム体(19a、19b)と係合しており、これ
らのカム体(19a、19b)は、PS版用/紙版用の
それぞれのカム面を、カムシャフト(17)の異なる回
動方向について有していることを特徴とする。 【0009】 【作用】PS版を装着する場合、カムシャフト(17)
の回動により、全ての(または絶対的に多数の)スライ
ド手段(10)がPS版用のカム面によって作動され
て、版尻くわえユニット(3)がPS版の版尻を引張
し、版胴の外周にPS版を密着させる。 【0010】これに対し、紙版を装着する場合には、カ
ムシャフト(17)は前記と反対の方向に回動され、紙
版用のカム面は一部の(小数の)スライド手段(10)
にしか働きかけず、従って、版尻くわえユニット(3)
に生起される紙版への引張力も非常に弱いものとなり、
紙版のたるみを解消する程度のものに押さえられる。 【0011】 【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
き詳細に説明する。図1は、本発明に係る共用型版クラ
ンプ装置を備えた版胴の断面説明図、図2は、図1の矢
印II方向から視た右半分の平面図、図3は、図2のI
II−III線断面図、そして図4は、同じくIV−I
V線断面図である。 【0012】図1の矢印方向に回転する版胴の胴軸方向
(図1の紙面に垂直の方向であり、図2の左右方向であ
る。)に胴溝(1)が切り欠いて形成されており、この
胴溝(1)中に、1対の版先くわえユニット(2)及び
版尻くわえユニット(3)が設けられている。そして、
これらのユニット(2)、(3)によって刷版(4)が
咬持及び引張されて、版胴の外周に密着して取り付けら
れる。 【0013】これらのユニット(2)、(3)のうち、
版先くわえユニット(2)は、主として版端を固定的に
咬持する役割を果たし、本発明とは直接的に関係しな
い。一方、版尻くわえユニット(3)は、版端を咬持す
るとともに、刷版(4)を引張して版胴の外周に密着さ
せる。本発明は、専らこの版尻くわえユニット(3)に
関係している。 【0014】版尻くわえユニット(3)のクランプベー
ス(5)は、胴軸方向に伸びる長尺の基体であり、例え
ばその下面の突条及び胴溝(1)の基底のくぼみ溝(図
示しない。)等の公知の組合わせにより、割線方向に滑
動可能とされている。ここに割線方向とは、図3以下の
左右方向、言い換えると、胴溝(1)の基底に沿い、胴
溝(1)の方向と直交する方向を言う。 【0015】クランププレート(6)は、それ自身にお
ける半球状の座ぐり穴(7)とこの座ぐり穴(7)に呼
応する半球状の頭部を有するボルト(8)等の公知の組
合わせにより、クランプベース(5)上に起伏可能に結
合されており、棒状カム(9)を図示しない工具によっ
て回動させると、クランプベース(5)に対して起伏し
て、刷版(4)の端部を咬持/解放する。 【0016】版尻くわえユニット(3)のクランプベー
ス(5)を割線方向にスライドさせて刷版(4)を引張
/弛緩させるスライド手段(10)は、多種多様のもの
が既に知られており、図示のものは一例に過ぎない。ま
ず、スライド機能の前提として、スプリング部材(1
1)は、クランプベース(5)を溝壁(12)の方向、
言い換えると、刷版(4)を弛緩させる方向に常時付勢
している。また、クランプベース(5)の長手方向の複
数の個所(図2に示したものでは、版胴の右半分だけで
4個所であるから、全体では、都合8個所ということに
なる。)に、押動ピン(13)、フランジ部材(1
4)、スプリング部材(15)及び輪節部材(16)の
組合わせによるスライド手段(10)が嵌入、配設され
ている。 【0017】押動ピン(13)は、クランプベース
(5)にフリーに挿嵌されており、また、この押動ピン
(13)の一端が当接するフランジ部材(14)には、
スプリング部材(15)が係設されている。そして、フ
ランジ部材(14)の右端は、断面H字状の輪節部材
(16)の中心にフリーに挿通されている。この輪節部
材(16)は、その一側でスプリング部材(15)を受
け止めつつ、クランプベース(5)中に嵌入するととも
に、他端は溝壁(12)に当接している。 【0018】クランプベース(5)と平行に、1本のカ
ムシャフト(17)が胴溝(1)の長手方向に設けら
れ、このカムシャフト(17)は、支架部材(18)に
よってクランプベース(5)と一体に結合されている。
そして、前記したスライド手段(10)の全ての押動ピ
ン(13)は、1本のカムシャフト(17)に固結され
た複数個のカム体(19a、19b)と係合している。 【0019】これら複数個のカム体(19a、19b)
のカム面は、2種類に区別される。一つは、図3、そし
て図5及び図7に示すもの(19a)で、カムシャフト
(17)の時計方向/反時計方向のおのおのの場合に押
動ピン(13)に対して機能するタイプのものである。
他方、図4、そして図6及び図8に示すカム体(19
b)のカム面は、カムシャフト(17)の時計方向の回
動の場合には押動ピン(13)に対して機能するもの
の、反時計方向の回動の場合には、事実上機能しない。
そして、カムシャフト(17)の時計方向/反時計方向
のおのおのの場合に機能する前者タイプのカム体(19
a)は、III−III線断面(図3等)のものだけ
で、他のカム体(19b)(IV−IV線断面及び断面
図示しないもの。)は全て、反時計方向の回動の場合に
は事実上機能しないタイプである。従って、前者のカム
体(19a)(両方向機能型)は、版胴全体で2個、他
の6個は全て1方向機能型である。なお、符号(20)
は、カムシャフト(17)を回動させる工具を挿入する
ための工具穴を示す。 【0020】次に、作用について説明すると、図3及び
図4に示すように、刷版(4)の後端は、クランプベー
ス(5)とクランププレート(6)との間に挿入され、
棒状カム(9)の回動によりクランププレート(6)が
到伏されてしっかりとくわえられる。この時、クランプ
ベース(5)は、専らスプリング部材(11)の弾性力
により、溝壁(12)方向に押し戻されている。 【0021】刷版(4)がPS版の場合、図5及び図6
に示すように、カムシャフト(17)が時計方向に回動
されると、前記した2種類のカム体(19a、19b)
のカム面は共にスライド手段(10)の押動ピン(1
3)を溝壁(12)方向に押す。この時、合計8本のス
プリング部材(15)は、フランジ部材(14)と輪節
部材(16)との間で圧縮されるので、カム体(19
a、19b)及び溝壁(12)に反力を加えて、スプリ
ング部材(11)の付勢力に抗してクランプベース
(5)全体を溝壁(12)とは反対の方向に移動させ、
これにより、PS版が強力に引張される。 【0022】一方、刷版(4)が紙版の場合には、図7
及び図8に示すように、カムシャフト(17)は反時計
方向に回動される。この時、両方向機能型のカム体(1
9a)(図7に示す。)はスライド手段(10)の押動
ピン(13)に機能するものの、1方向機能型のカム体
(19b)(図8に示す。)は何等機能しない。両方向
機能型のカム体(19a)は、前記した通り、版胴全体
で2個にしか過ぎず、これに対応する2個のスライド手
段(10)のスプリング部材(15)の弾性力によるク
ランプベース(5)の引張力は僅かなものであり、紙版
のたるみを取り除いて版胴の外周に位置固定する程度の
ものにしか過ぎず、従って、紙版が破損することはな
い。また、紙版に加えられる引張力を加減することは、
両方向機能型のカム体(19a)の個数を増減したり、
カム面の形状を変形したり、ひいては呼応するスライド
手段(10)のスプリング部材(15)の弾性力を加減
する等、様々な設計上の工夫により容易に達成できる。
本発明の要旨は、カムシャフト(17)の回動方向をP
S版用と紙版用とに分け、紙版の場合には、スライド手
段(10)の機能個数を減少させて、極めて僅かな引張
力しか発生しないようにしたことにある。 【0023】 【発明の効果】本発明に係る共用型版クランプ装置によ
れば、特に紙版の場合に引張力を減少できるので、オペ
レータがカムシャフトの回動方向を変えるだけで、PS
版/紙版を簡便、かつ、迅速にクランプできるという有
意義な効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る共用型版クランプ装置を備えた版
胴の断面説明図である。 【図2】図1の矢印II方向から視た右半分の平面図で
ある。 【図3】図2のIII−III線断面図である。 【図4】同じくIV−IV線断面図である。 【図5】PS版の場合のIII−III線断面図であ
る。 【図6】同じくIV−IV線断面図である。 【図7】紙版の場合のIII−III線断面図である。 【図8】同じくIV−IV線断面図である。 【符号の説明】 1 胴溝 2 版先くわえユニット 3 版尻くわえユニット 4 刷版 5 クランプベース 6 クランププレート 10 スライド手段 11 スプリング部材 12 溝壁 13 押動ピン 14 フランジ部材 15 スプリング部材 16 輪節部材 17 カムシャフト 19a カム体(両方向機能型) 19b カム体(1方向機能型)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 版胴の胴溝(1)中に、1対の版先くわ
    えユニット(2)と版尻くわえユニット(3)とが配設
    され、これらのうち少なくとも版尻くわえユニット
    (3)は胴溝(1)の割線方向にスライド可能とされ、
    刷版(4)を引張/弛緩させる型式の版クランプ装置に
    おいて、前記胴溝(1)の長手方向に複数のスライド手
    段(10)が前記版尻くわえユニット(3)のために設
    けられ、かつ、これらのスライド手段(10)が1本の
    カムシャフト(17)に設けられた複数個のカム体(1
    9a、19b)と係合しており、PS版/紙版それぞれ
    の場合におけるカムシャフト(17)の異なる回動方向
    について、紙版の場合にはカム体(19a、19b)の
    機能個数を減少させたことを特徴とする共用型版クラン
    プ装置。
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