JP3272564B2 - 自動空気洗浄装置付粉粒体搬送用スクリューコンベア - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】食料品粉粒・化学品粉粒・薬品粉
粒等の各種粉体を搬送するスクリューコンベアに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】粉体状の原料として製造されている物に
は、グラニュー糖，ブドウ糖，脱脂粉乳，澱粉，米ヌ
カ，香辛料，セメント，フライアッシュ，カーボンブラ
ック，塩，洗剤，小麦，米，メイズ，大豆，モルト，珪
砂，酸化アルミナ，酸化チタン，炭酸カルシュウム，微
粉炭，石灰，ソーダ灰，食品ミックス粉，小麦ミックス
粉，スープ粉末，石油化学粉末，薬品，顔料，配合肥
料，フェノール樹脂，ポリエチレン樹脂，ＡＢＣ樹脂，
ＰＶＣパウダー，ポリプロピレン粉末，粉体塗料等と多
数あり、これらは粉体原料または粉体材料として製品の
製造会社に供給されている。これらの各種粉体原料は、
製造会社で製造された後、袋やプラスチックコンテナに
充填されて市場に供給されるのが一般的である。そこ
で、中小の工場では、貨車やトラックで搬入された原材
料の袋やプラスチックコンテナをそのまま開いて使用し
ているが、これが、大規模な工場になると使用量も膨大
であり、また、運搬投入作業も重労働となるため、労働
環境を改善する目的で粉体原料の自動搬送の技術が既に
実用化されている。この粉体原料の自動搬送化の技術
は、ローリー車から原料をエアー搬送で貯蔵タンクに貯
蔵し、更に、ブロワーを使用して貯蔵タンクから常用タ
ンクにエアー搬送したり、各ラインに粉粒体搬送用スク
リューコンベアを介装させて各種粉粒体処理機器やミキ
サーの上部にある一時貯蔵タンクに輸送するようにして
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術の内、各種粉粒体を機械搬送する粉粒体搬送用スクリ
ューコンベアは、円筒形のケーシングの内部をスクリュ
ーコンベアの回転羽根が回転しながら各種粉粒体を搬送
する構造になっているため、スクリューコンベアの回転
羽根の先端とケーシングの内径部との間に間隙が形成さ
れている。それ故に、この間隙部分に搬送処理運転中の
各種粉粒体が付着して残留することが頻繁に発生する
が、この際にケーシングの内径部に残留した粉粒体が食
料品の場合などに、残留した粉粒体が腐食して雑菌や害
虫が発生することがある。このような現象が発生する
と、搬送処理運転中の食料品の粉粒体に残留した変質粉
粒物が混入することがあり、粉粒体の品質を低下させる
のみならず、衛生上も極めて好ましくないことになって
しまう。また、ケーシングの内壁面に付着した粉粒体が
堆積すると、内径部のスクリューコンベアの羽根の先端
とのクリアランスが狭くなって、最悪の場合、スクリュ
ーコンベアの羽根の先端が当たって搬送運転が停止して
しまうことがある。このようなトラブルが発生すると、
従来のこの種の装置では、一旦搬送運転を停止し、水洗
浄することが行われているが、この水洗浄作業を行うた
めには、スクリューコンベアに接続されている他の装置
を全て取り外して作業員が洗浄作業を行うため、非常に
手間のかかる作業となるばかりか、ケーシングの水洗浄
処理を終えても、内部が完全に乾燥するまで、接続する
他の処理機械も含めて運転できないため、稼働率が低下
して経済的に大きなダメージを受けることになるといっ
たプラント全体にとって致命的な問題があった。そこ
で、本発明はこれらの問題点を解決するために成された
もので、粉粒体の搬送運転中にケーシングの内壁面に付
着した粉粒体を、装置を分解したり人的な作業に一切頼
ることなく自動的に空気洗浄することのできる自動空気
洗浄装置付粉粒体搬送用スクリューコンベアの提供を目
的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に成された請求項１記載の発明は、長尺筒状のケーシン
グと、当該ケーシングの所定の位置に開口形成し、各種
粉粒体を投下する粉粒体供給口と、上記ケーシングの内
径部の長手方向に、回転可能に前記ケーシングに軸着し
た、回転軸と羽根とを備えたスクリューコンベアと、上
記ケーシングの所定の位置に開口形成し、上記スクリュ
ーコンベアで搬送された上記各種粉粒体を排出する粉粒
体排出口と、上記スクリューコンベアを回転駆動するモ
ーターと、を備え、上記スクリューコンベアの回転軸を
中空構造にすると共に、該回転軸の外径部には、該回転
軸の内部まで貫通したスリットを多数形成し、前記スク
リューコンベアの回転により前記粉粒体供給口に供給さ
れた粉粒体を前記粉粒体排出口に搬送し、前記スクリュ
ーコンベアを回転させながら前記回転軸の内部に高圧エ
アーを供給し、該高圧エアーを前記スリットを通して上
記ケーシングの内部に竜巻状に吹き出させ、上記ケーシ
ングの内部を前記回転軸のスリットから放出された高圧
エアーを吸引処理するフィルターで空気洗浄してなるこ
とを特徴とする自動空気洗浄装置付粉粒体搬送用スクリ
ューコンベアである。請求項２記載の発明は、上記回転
軸の端部には、外部からの駆動信号に応じて高圧エアー
を放出する電磁弁と、当該電磁弁に高圧エアーを供給す
る高圧エアー蓄圧タンクと、当該高圧エアー蓄圧タンク
に高圧エアーを供給するコンプレッサーとを備えたこと
を特徴とする請求項１記載の自動空気洗浄装置付粉粒体
搬送用スクリューコンベアである。

【０００５】

【作用】請求項１、２記載の発明によれば、まず、スク
リューコンベアの回転軸をモーターで回転駆動させる。
次に、コンプレッサーを駆動して高圧エアー蓄圧タンク
内に高圧エアーを充満させ、この状態から電磁弁に駆動
信号を出力する。すると、電磁弁が開状態になり、高圧
エアー蓄圧タンクから加圧供給されている高圧エアー
は、一気にスクリューコンベアの回転軸の内径部に流れ
込み、回転軸のスリットから外側に吹き出すことになる
が、この時スクリューコンベアの回転軸は回転している
ので、スリットから放出された高圧エアーはケーシング
の内部で螺旋状の竜巻流となり、ケーシングの底部に落
ち込んだ粉粒体を巻き上げてスクリューコンベアで搬送
しやすくすると共にケーシングの側部内壁や上部内壁に
付着した粉粒体を空気洗浄することになる。

【０００６】

【実施例】本発明の自動空気洗浄装置付粉粒体搬送用ス
クリューコンベアを適用した実施例について、図面に基
づき説明する。図１は本発明を適用した実施例であるス
クリューコンベアの全体を表した正面図、図２は本実施
例のスクリューコンベアの内部構造を表した一部破断部
分拡大図、図３は本実施例のスクリューコンベアの内部
構造を表した部分拡大説明図である。本実施例のスクリ
ューコンベアは、図１に示す如く、円形断面を持つ長尺
筒状の本体ケーシング１の左右両端部に軸受２ａ，２ｂ
を取付け、この両端部の軸受２ａ，２ｂを介して本体ケ
ーシング１の内部には、図２に示した如く、外径方向に
左巻羽根３を連続的に螺旋状に突設させた回転軸４が回
転可能に軸着されている。この内、軸受２ｂの外側に
は、フレーム５を介しギヤードモーター６が接続されて
いて、このギヤードモーター６を駆動することにより回
転軸４が回転して左巻羽根３を図面右側から左側方向に
螺旋状に送り、スクリューコンベアの運転を開始するよ
うになっている。一方、回転軸４は、図２，図３に示し
た如く、自重によるたわみを最小にするために内部が中
空のパイプ構造になっていて、その両端部に軸受用のシ
ャフト７ａ，７ｂ（丸棒を加工したもの。）が差し込ま
れている。そして、この軸受用のシャフト７ａ，７ｂの
先端部が本体ケーシング１の左右両端部の軸受２ａ，２
ｂで回転可能に保持されている。更に、連続して螺旋状
に突設されている左巻羽根３の羽根と羽根との間の回転
軸４の外径面には、左巻羽根３の羽根の傾斜と平行にな
るように０．２ｍｍ〜０．４ｍｍの幅の短尺状のスリッ
ト８が回転軸４の内径部の空洞部分まで貫通するように
複数形成されている。尚、スリット８は回転軸４の外径
面に対抗させて２箇所形成され、丁度各羽根のピッチ毎
に１８０度回転するようになっている。また更に、中空
構造の回転軸４の一端に差し込まれた軸受用のシャフト
７ｂは、図３に示した如く、その中心部に貫通穴Ｋを形
成して、回転軸４に差し込まれた一端を回転軸４の空洞
部分に連通させると共に他端は軸受２ｂに備えられたロ
ータリーワンタッチ管継手９に接続されている。そし
て、このロータリーワンタッチ管継手９に、ダイヤフラ
ム電磁弁１０、高圧エアー蓄圧タンク１１及びコンプレ
ッサー１２が接続されている。尚、図１に示した１３は
各種粉粒体を投下する粉粒体供給口、１４は回転軸４の
スリット８から放出された高圧エアーを吸引処理するフ
ィルター、１５は負圧をかけるサクションダクト、１６
は点検ハッチ、１７は工場設置用取付台座、１８は本体
ケーシング１のジョイント、１９はスクリューコンベア
で搬送された各種粉粒体が排出される粉粒体排出口であ
る。

【０００７】ここで、上記構成からなる本実施例のスク
リューコンベアの作用・効果について説明する。まず、
図示しない制御盤からフレーム５に取り付けられている
ギヤードモーター６に電圧を供給すると共にコンプレッ
サー１２に駆動信号を出力する。すると、ギヤードモー
ター６が始動してスクリューコンベアの回転軸４を駆動
することになり、スクリューコンベアは螺旋状に突設さ
れている左巻羽根３の羽根の部分をギヤードモーター６
側からフィルター１４側方向に移送する様に回転する。
そこで、搬送しようとする各種粉粒体を図１に示した粉
粒体供給口１３から投下すれば、スクリューコンベアの
螺旋状に突設されている左巻羽根３の送り作用で粉粒体
供給口１３から投下された各種粉粒体はフィルター１４
側方向に順次搬送されることになる。そこで、スクリュ
ーコンベアの運転と併用して、ダイヤフラム電磁弁１０
を開状態にすれば、高圧エアー蓄圧タンク１１の内部に
加圧充満されている高圧エアーは、ダイヤフラム電磁弁
１０の解放によって、ロータリーワンタッチ管継手９及
び軸受用のシャフト７ｂを介して回転軸４の空洞部に高
速流入して各スリット８から本体ケーシング１の内部に
吹き出すことになるが、この際に、回転軸４は回転して
いるため、各スリット８から噴出される高圧エアーは本
体ケーシング１の内部で螺旋状の高圧流体となり、スク
リューコンベアの螺旋状に突設されている左巻羽根３の
形状に沿って竜巻流を発生させ、この竜巻流が本体ケー
シング１のギヤードモーター６側からフィルター１４側
方向に流れることになる。この作用により、スクリュ
ーコンベアの搬送運転中の各種粉粒体は本体ケーシング
１の底部に残留することなく効率的に搬送することが可
能になる。各種粉粒体を搬送運転中のスクリューコン
ベアの本体ケーシング１の内部、特に、側部内壁面と上
部内壁面の粉粒体が付着しやすい部分を粉粒体の搬送と
同時にエアー洗浄するので、本体ケーシング１の内部か
らスクリューコンベアの螺旋状に突設されている左巻羽
根３の羽根の部分まで付着物のないクリーンな状態を常
時保つことが可能になる。スクリューコンベアで搬送
される各種粉粒体は、竜巻状の高圧エアーで流動化され
て搬送されるため、定量供給や定量排出が促進される。
スクリューコンベアで搬送される各種粉粒体が複数の
粉粒体を混合した混合粉粒体の場合、搬送する際に混合
物の分離を防止すると共に混合状態を向上させることが
可能になる。と言った数々の効果が、人為的なメインテ
ナンス作業に頼ることなく無人で自動的運転するだけで
得られるようになった。これにより、本実施例のスクリ
ューコンベアは、各種粉粒体を搬送する従来のスクリュ
ーコンベア装置の極めて大きな問題点、即ち、各種粉粒
体を搬送する上で必然的に発生する装置内部での粉粒体
の付着による汚れと、付着した粉粒体の腐食による内部
汚染の問題を一挙に解決して、経済性と衛生面を飛躍的
に向上させるのみならず職場環境や労働環境の改善にも
役立つ画期的な装置である。尚、上記実施例では、回転
軸４の外径方向に左巻羽根３を連続的に螺旋状に突設さ
せた一般的なスクリューコンベアに適用した例について
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
例えば、回転軸４から螺旋状の左巻羽根３を取り払った
回転軸４だけの構造としても上記実施例と同様の作用・
効果が得られる。

【０００８】

【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の自動空
気洗浄装置付粉粒体搬送用スクリューコンベアによれ
ば、スクリューコンベアの搬送運転中の各種粉粒体はケ
ーシングの底部に残留することなく効率的に搬送するこ
とが可能になる。また、各種粉粒体を搬送運転中のスク
リューコンベアのケーシングの内部、特に、側部内壁面
と上部内壁面の粉粒体が付着しやすい部分を粉粒体の搬
送と同時にエアー洗浄するので、ケーシングの内部から
スクリューコンベアの羽根の部分まで付着物のないクリ
ーンな状態を常時保つことが可能になる。更に、スクリ
ューコンベアで搬送される各種粉粒体は、竜巻状のエア
ーで流動化されて搬送されるため、定量供給や定量排出
が促進される。また更に、スクリューコンベアで搬送さ
れる各種粉粒体が複数の粉粒体を混合した混合粉粒体の
場合、搬送する際に混合物の分離を防止すると共に混合
状態を向上させることが可能になる。と言った数々の効
果を得ることに成功した。これにより、本発明の自動空
気洗浄装置付粉粒体搬送用スクリューコンベアは、各種
粉粒体を搬送する従来のスクリューコンベア装置の極め
て大きな問題点、即ち、各種粉粒体を搬送する上で必然
的に発生する装置内部での粉粒体の付着による汚れと、
付着した粉粒体の腐食による内部汚染の問題を一挙に解
決して、経済性と衛生性を飛躍的に向上させるのみなら
ず職場環境や労働環境の改善にも役立つ画期的な発明で
あり、産業界は基より社会全体に与える恩恵は計り知れ
ないものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自動空気洗浄装置付粉粒体搬送用スク
リューコンベアを適用した実施例であるスクリューコン
ベアの全体を表した正面図である。

【図２】本実施例のスクリューコンベアの内部構造を表
した一部破断部分拡大図である。

【図３】本実施例のスクリューコンベアの内部構造を表
した部分拡大説明図である。

【符号の説明】

１ 本体ケーシング ２ａ，２ｂ 軸受 ３ 左巻羽根 ４ 回転軸 ５ フレーム ６ ギヤードモーター ７ａ，７ｂ 軸受用のシャフト ８ スリット ９ ロータリーワンタッチ管継手 １０ ダイヤフラム電磁弁 １１ 高圧エアー蓄圧タンク １２ コンプレッサー １３ 粉粒体供給口 １４ フィルター １５ サクションダクト １６ 点検ハッチ １７ 工場設置用取付台座 １８ ジョイント １９ 粉粒体排出口

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺筒状のケーシングと、当該ケーシン
   グの所定の位置に開口形成し、各種粉粒体を投下する粉
   粒体供給口と、上記ケーシングの内径部の長手方向に、
   回転可能に前記ケーシングに軸着した、回転軸と羽根と
   を備えたスクリューコンベアと、上記ケーシングの所定
   の位置に開口形成し、上記スクリューコンベアで搬送さ
   れた上記各種粉粒体を排出する粉粒体排出口と、上記ス
   クリューコンベアを回転駆動するモーターと、を備え、 上記スクリューコンベアの回転軸を中空構造にすると共
   に、該回転軸の外径部には、該回転軸の内部まで貫通し
   たスリットを多数形成し、 前記スクリューコンベアの回転により前記粉粒体供給口
   に供給された粉粒体を前記粉粒体排出口に搬送し、前記
   スクリューコンベアを回転させながら前記回転軸の内部
   に高圧エアーを供給し、該高圧エアーを前記スリットを
   通して上記ケーシングの内部に竜巻状に吹き出させ、上
   記ケーシングの内部を前記回転軸のスリットから放出さ
   れた高圧エアーを吸引処理するフィルターで空気洗浄し
   てなることを特徴とする自動空気洗浄装置付粉粒体搬送
   用スクリューコンベア。
2. 【請求項２】 上記回転軸の端部には、外部からの駆動
   信号に応じて高圧エアーを放出する電磁弁と、当該電磁
   弁に高圧エアーを供給する高圧エアー蓄圧タンクと、当
   該高圧エアー蓄圧タンクに高圧エアーを供給するコンプ
   レッサーとを備えたことを特徴とする請求項１記載の自
   動空気洗浄装置付粉粒体搬送用スクリューコンベア。