JP3268475B2 - 感熱転写記録材料及び感熱転写記録方法 - Google Patents

感熱転写記録材料及び感熱転写記録方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱転写記録材料及び感
熱転写記録方法に関し、更に詳しくは高濃度で画像安定
性が良好な画像を得るための感熱転写記録材料、及びこ
の感熱転写記録材料を用いて効率的に画像安定性の良好
な画像を記録することができる感熱転写記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、カラーハードコピーを得る方法と
して、インクジェット、電子写真、感熱転写、ハロゲン
化銀感光材料等によりカラー画像記録技術が検討されて
いる。
【0003】これらのうち、特に感熱転写材料は、操作
や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が
可能なこと、更にランニングコストが安いこと等の利点
を有している。
【0004】ところで、熱転写方式の感熱転写記録にお
いては、感熱転写材料に用いられる色素が重要である。
得られた画像の安定性、特に定着性や耐光性を改良する
目的でキレート化可能な熱拡散性色素(以下キレート色
素と記す)を用いる感熱転写材料及び画像形成方法が提
案されており、例えば特開昭59-78893号、同59-109349
号、同60-2398号等に記載されている。
【0005】キレート色素を用いた感熱転写材料による
シアン色素画像形成方法及びシアン画像用キレート色素
としては例えば特開平4-62094号、同4-158092号に記載
されている。上記特許で開示されたキレート色素を用い
て形成された画像は耐光性や定着性に優れているが、感
熱転写材料の感度や材料自体の保存性の点では十分に満
足するものではなく更に改良が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情を
改良するためになされたものである。すなわち本発明の
課題は、定着性や耐光性等の画像保存性に優れた画像を
得る為の感熱転写記録材料及び該感熱転写記録材料を用
いた感熱転写記録方法の提供にある。
【0007】別の課題はインクシートの保存性が良好で
且つ高感度記録が可能な感熱転写記録材料及び該感熱転
写記録材料を用いた感熱転写記録方法の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成によ
り達成される。
【0009】1.支持体上にR1又はR2が異なる2種以
上の一般式(1)で表される色素を含有する感熱転写層
を有することを特徴とする感熱転写記録材料。
【0010】一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】式中、R1は置換基を有していても良いア
ルキル基を表し、R2は水素原子又は置換基を表す。
【0013】2.前記1に記載のR1又はR2が異なる2
種以上の一般式(1)で表される色素を含む感熱転写層
を支持体上に有する感熱転写記録材料に受像材料を重
ね、前記感熱転写記録材料を画像情報に応じて加熱し、
前記色素と金属イオン含有化合物との反応により形成さ
れるキレート色素によって画像を形成することを特徴と
する感熱転写記録方法。
【0014】以下、本発明を更に詳述する。
【0015】本発明の一般式(1)においてR1は置換
基を有していても良いアルキル基を表すが好ましくは炭
素数1〜8個のアルキル基であり、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘ
キシル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が
挙げられる。
【0016】置換基としては色素の熱拡散性を抑制しな
い基が選択できるが、例えばアルコキシ基(メトキシ基
等)、アリール基(フェニル基等)、チオアルコキシ基
(チオメトキシ基)、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素
原子)が挙げられる。R2は水素原子又は置換基を表す
が、置換基としてはアルキル基(例えばメチル基、エチ
ル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ
基)、アミノ基(アルキル置換アミノ基を含む)、ハロ
ゲン原子(例えば塩素原子、フッ素原子)が挙げられ
る。特に好ましい置換基としてはアルキル基である。
【0017】本発明の感熱転写記録材料は、前記一般式
(1)で表される色素を2種以上含有する感熱転写層を
支持体上に設けてなる。前記感熱転写層における2種以
上の色素の含有量は、支持体1m2当り0.05〜10gが好ま
しい。
【0018】2種以上含有する場合の色素の含有率は任
意に選択されるが、2種含有する場合には2種の比率は
9/1〜1/9であることが好ましい。本発明の色素を
2種以上併用すると驚くべきことに感熱転写材料の保存
性が改良されると共に、色素を単独で用いた場合に比べ
て感度(転写濃度)も向上する。本発明の色素の具体例
としては以下の色素が挙げられる。
【0019】一般式(1)
【0020】
【化3】
【0021】前記感熱転写層は、前記色素の二種以上を
バインダーと共に溶剤中に溶解することによって、或い
は溶媒中に微粒子状に分散させることによって感熱転写
層形成用インク液を調製し、該インクを支持体上に塗布
して適宜に乾燥することにより形成することができる。
感熱転写層の厚さは乾燥膜厚で0.1〜10μmが好ましい。
【0022】前記バインダーとしてはアクリル樹脂、メ
タクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアセタール、ニトロセルロース、エチル
セルロース等の溶剤可溶性ポリマーが好ましい。
【0023】これらのバインダーは、一種又は二種以上
を有機溶媒に溶解して用いるだけでなく、ラテックス分
散の形で使用してもよい。バインダーの使用量として
は、支持体1m2当り0.1〜20gが好ましい。
【0024】前記有機溶媒としては、アルコール類(例
えばエタノール、プロパノール)、セルソルブ類(例え
ばメチルセルソルブ)、芳香族類(例えばトルエン、キ
シレン)、エステル類(例えば酢酸エステル)、ケトン
類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エーテル
類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が挙げ
られる。
【0025】前記支持体としては、寸法安定性がよく、
記録の際感熱ヘッド等の加熱に耐えるものであればよい
が、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネー
トのような耐熱性のプラスチックフィルムが好ましく用
いられる。支持体の厚さは、2〜30μmが好ましく、ま
た支持体にはバインダーとの接着性の改良や色素の支持
体への転写、染着を防止する目的で選択されたポリマー
からなる下引き層を有することが好ましい。
【0026】更に支持体の裏面(感熱転写層と反対側)
には、ヘッドが支持体に粘着するのを防止する目的でス
リッピング層を有してもよい。
【0027】本発明の感熱転写記録材料は、後述する受
像材料に普通紙の如く受像層を特に設けていないものを
用いる目的で、感熱転写層上又は感熱転写層が塗設され
てなる支持体上の別層に特開昭59-106997号に記載され
ているような熱溶融性化合物を含有する熱溶融性層を有
していてもよい。この熱溶融性化合物としては、65〜15
0℃の温度で溶融する無色又は白色の化合物が好ましく
用いられ、例えばカルナバロウ、蜜ロウ、カンデリンワ
ックス等のワックス類が挙げられる。
【0028】なおこれらの熱溶融性層には、例えばポリ
ビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリエステ
ル、酢酸ビニル等のポリマーが含有されていても良い。
【0029】本発明の感熱転写記録材料をフルカラー画
像記録が可能な感熱転写記録材料に適用するには、本発
明に係わるシアン色素を含有するシアン感熱転写層、マ
ゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ色
素を含有するマゼンタ感熱転写層、イエロー画像を形成
することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエ
ロー感熱転写層の合計3層を支持体上の同一表面上に順
次繰り返して塗設することが好ましい。
【0030】また、必要に応じて他に黒色画像形成物質
を含む感熱転写層の合計4層が同一表面上に順次に繰り
返して塗設されていても良い。
【0031】本発明の感熱転写記録方法においては、前
記感熱転写記録材料の感熱転写層と受像材料とを重ね合
わせてから、画像情報に応じた熱を感熱転写記録材料に
与え、メタルソースと本発明の色素との反応により形成
されるキレート色素による画像を受像材料上に形成させ
る。
【0032】メタルソースは受像材料中に存在させても
良いし、感熱転写材料上に設けた熱溶融性層中に存在さ
せても良い。
【0033】上記感熱転写記録方法を図面で説明する
と、図1(a)において、支持体1と受像層2からなる
受像材料3の受像層中にメタルソースを存在させたと
き、支持体4と感熱転写層5からなる感熱転写材料6の
感熱転写層中の前記色素は、例えばサーマルヘッド7の
発熱抵抗体8からの熱によって受像材料3に拡散移行
し、受像層2においてメタルソースと反応してキレート
色素画像を形成する。
【0034】また、図1(b)において、感熱転写層5
上に設けた熱溶融性層9中にメタルソースを存在させた
とき、支持体4と感熱転写層5と熱溶融性層9とからな
る感熱転写記録材料10の感熱転写層5中の色素は、例え
ばサーマルヘッド7の発熱抵抗体8からの熱によって熱
溶融性層9に拡散移行し、そこでメタルソースと反応し
てキレート色素を形成し、このキレート色素を含む熱溶
融性層が凝集破壊もしくは界面剥離によって受像材料3
に移行して画像が形成される。
【0035】前記メタルソースは金属イオンの無機又は
有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の塩及
び錯体が好ましい。
【0036】金属としては、周期律表の第I〜VIII族に
属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl,
Co,Cr,Cu,Fe,Mg,Mn,Mo,Ni,Sn,Ti及びZnが好ま
しく、特にNi,Cu,Cr,Co及びZnが好ましい。
【0037】メタルソースの具体例としては、Ni2+,Cu
2+,Cr2+,Co2+及びZn2+と酢酸やステアリン酸等の脂肪
族の塩、或いは安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボ
ン酸の塩等が挙げられる。
【0038】また、下記一般式(2)で表される錯体は
特に好ましく用いることができる。 一般式(2) [M(Q1)l(Q2)m(Q3)n]P+(Y-)P 但し、上記式中、Mは金属イオン、好ましくはNi2+,Cu
2+,Cr2+,Co2+,Zn2+を表す。Q1,Q2,Q3は各々M
で表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表
し、互いに同じであっても異なっていても良い。
【0039】これらの配位化合物としては、例えばキレ
ート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物
から選択することができる。
【0040】Yは有機アニオン基を表し、具体的にはテ
トラフェニルホウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホ
ン酸アニオン等を挙げることができる。lは1、2又は
3の整数を表し、mは1、2又は0を表し、nは1又は
0を表すが、これらは前記一般式で表される錯体が4座
配位か、6座配位かによって決定されるか、或いは
1,Q2,Q3の配位子の数によって決定される。Pは
0、1又は2を表す。
【0041】P=0はQで表される配位化合物がアニオ
ン性化合物であり、Qで表されるアニオン性化合物とM
で表される金属カチオンとが電気的に中和された状態で
あることを意味する。
【0042】アニオン性化合物としては下記一般式
(3)で表される化合物が好ましい。
【0043】
【化4】
【0044】R3、R5は各々同じであっても異なってい
ても良いアルキル基又はアリール基を表し、R5はアル
キル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカル
ボニル基を表す。
【0045】メタルソースの添加量は、通常、受像材料
又は熱溶融性層に対し、0.5〜20g/m2が好ましく、1
〜15g/m2がより好ましい。
【0046】なお、本発明で用いられる前記受像材料
は、一般に紙、プラスチックフィルム、又は紙−プラス
チックフィルム複合体を支持体としてその上に受像層と
してポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニ
ルと他のモノマー(例えば酢酸ビニル等)との共重合樹
脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポ
リカーボネート等の一種又は二種以上のポリマー層を形
成してなる。
【0047】また受像材料は受像層の上層に融着防止を
目的として保護層を設けてもよく、更に支持体と受像層
の間に接着や断熱或いはクッション効果を目的として中
間層を設けても良い。また、上記支持体そのものを受像
材料にすることもある。
【0048】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0049】実施例1 −インクの調製− 下記の原料を混合して本発明に係わる色素を含有する均
一な溶液のインクを得た。
【0050】色素の溶解性は良好であり、インク化適性
も良好であった。
【0051】 熱拡散性色素D−1 1.8g 熱拡散性色素D−2 1.8g ポリビニルブチラール樹脂(BL−1,積水化学工業製) 6.0g メチルエチルケトン 200ml −感熱転写記録材料の作成− 上記インクを、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレー
トベース上にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が0.
8g/m2になるように塗布乾燥し、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム上に感熱転写層を形成してなる感熱転
写記録材料−1を作成した。
【0052】なお、上記ポリエチレンテレフタレートベ
ースの裏面には、スティキング防止層としてシリコン変
性ウレタン樹脂(SP−2105:大日精化製)を含むニト
ロセルロース層が設けられている。
【0053】−受像材料の作成− 紙の両面にポリエチレンをラミネートした支持体(片側
のポリエチレン層に白色顔料(TiO2)と青味剤を含む)
の上に、受像層としてエステル変性シリコン(付き量0.
1g/m2)、及び下記メタルソース(付き量3.5g/m2
を含むポリ塩化ビニル樹脂(付き量5g/m2)になるよ
うに塗布し、受像材料を得た。
【0054】メタルソース:
【0055】
【化5】
【0056】−感熱転写記録方法− 前記感熱転写記録材料と受像材料とを重ね、感熱ヘッド
を感熱転写記録材料の裏面からあてて、下記の記録条件
で画像記録を行なったところ、階調性の優れたシアン画
像−1が得られた。
【0057】(記録条件)主走査、副走査の記録密度:
8ドット/mm 記録電力:0.6W/ドット 加熱時間:20msecから0.2msecの間で段階的に加熱時間
を調整。
【0058】得られた画像−1の評価(最大濃度、)及
びインクシート保存性の評価を下記の方法で行なった。
【0059】(評価方法) 最大濃度の評価:X−rit310TRにより画像の最大反射
濃度(通常、印加時間が最大の部分)を測定した インクシート保存性評価:インクシートを50℃、相対湿
度80%の状態で1週間保存した後、画像記録を行い、画
像濃度(最大反射濃度)測定及び目視による色素の析出
評価を行った(実施例2〜7、比較例1〜7)。
【0060】実施例1における色素を表1に記載の色素
に代えたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写記録
材料を作成し、同様の条件で画像記録を行なうと共に保
存性の評価を実施した。これらの画像及びインクシート
について実施例1と同様の評価を行なった。
【0061】評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】上記実施例及び比較例が示す通り、本発明
の感熱転写材料では比較材料に比べて保存による感度低
下や色素の析出がなく、しかも色素単独で用いる場合よ
りも高濃度な画像を得ることが出来る。
【0064】
【発明の効果】本発明による感熱転写記録材料及び該感
熱転写記録材料を用いた感熱転写記録方法は、定着性や
耐光性等の画像保存性に優れた画像を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である感熱転写記録方法を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 受像層 3 受像材料 4 支持体 5 感熱転写層 6 感熱転写材料 7 サーマルヘッド 8 発熱抵抗体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−2398(JP,A) 特開 平5−96868(JP,A) 特開 平5−50771(JP,A) 特開 平5−4460(JP,A) 特開 平4−344290(JP,A) 特開 平4−158092(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にR1又はR2が異なる2種以上
    の一般式(1)で表される色素を含有する感熱転写層を
    有することを特徴とする感熱転写記録材料。 一般式(1) 【化1】 式中、R1は置換基を有していても良いアルキル基を表
    し、R2は水素原子又は置換基を表す。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のR1又はR2が異なる2
    種以上の一般式(1)で表される色素を含む感熱転写層
    を支持体上に有する感熱転写記録材料に受像材料を重
    ね、前記感熱転写記録材料を画像情報に応じて加熱し、
    前記色素と金属イオン含有化合物との反応により形成さ
    れるキレート色素によって画像を形成することを特徴と
    する感熱転写記録方法。
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