JP3268356B2 - チューブレスタイヤ用自転車スポークリム車輪 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リムとハブの間に
スポークを張った自転車スポークリム車輪に関し、特に
チューブレスタイヤを装着可能な自転車用スポークリム
車輪に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に自転車用スポークリム車輪は、タ
イヤを保持する環状のリムと、このリムの中心部に位置
して車輪などを保持するハブと、これらリムとハブとを
結合するスポークからなり、該スポークはハブのフラン
ジ部に穿設した取付孔にスポークを挿通し、このスポー
クの頭部を取付孔に係合すると共にねじ山を螺刻した端
部を、リムの周方向に沿って千鳥状に穿設されている透
孔にリムの外周側すなわちタイヤを載せる側から挿通し
たニップルで螺着し、該スポークに張力を付与してい
た。このため、リムの透孔は気密性が全く無く、さらに
リムの外周側にはニップルの頭部及びスポークの端部が
突出しているため、スポークリム車輪にはチューブレス
タイヤを作用することは不可能である。

【０００３】タイヤをチューブレスで使用しようとする
ものとしては、実開昭５０−１３４８５７号、実開昭５
０−１３４８５８号及び実開昭５１−１５６１４７号公
報に開示されている構造のものがある。これらの構造の
ものは、リムの内周側すなわちスポーク取付側の全周に
わたってスポーク取付用の舌片を周設し、この舌片にス
ポーク挿入用の透孔を穿設した構造である。しかし、こ
れらの構造は複雑であり、スポークの締付けも特殊とな
るため、スポークに張力を付与させる作業が面倒となっ
ている。

【０００４】一方、実公昭３５−２９４０１号及び実開
昭４８−６４９０３号公報に開示の構造のものがある。
これらのものは、リムの外周側に千鳥状に穿設されたス
ポークを挿通する透孔を閉塞するために、特別のシール
材による気密手段を採用するものである。しかしこれら
のシール材を使用しても、リムに装着したニップルの頭
部又はスポークの端部がシール材に当接するため、走行
時に受ける上下左右の複雑な振動により、ニップル頭部
又はスポークの端部がシール材を突き上げたり左右に動
かしたりして、シール材の破損、ズレ、剥離などの発生
により気密性を保持することが出来ない不都合が生じ
る。

【０００５】このような不都合を解消するために、特開
平７−１１２６０１号公報に開示の手段がある。この手
段は、リムに蟻ほぞ状の溝を設け、この溝にゴムバンド
を配設する一方、リムから内側に突き出る突部がタイヤ
のビード座すなわちビードシート部を形成し、タイヤビ
ードが溝に配設したゴムバンドの上面に一部が支持され
るようにリムのビードシート部から内側に延びてゴムバ
ンドを加圧して気密性を保持する構造となっている。こ
の公報の手段のものは、気密性を確保できる構造であ
る。しかし、タイヤビードが溝に設けたゴムバンドの上
面に一部支持されるような構造であるため、タイヤビー
ドを幅広としなくてはならない上に、タイヤをリムに嵌
合する際、ゴムバンドにより溝が埋まっており、さらに
上記のとおりタイヤビードが幅広であることと相まっ
て、タイヤ嵌合時に必要なビード先端が溝内に一時的な
落とし込みができないので、タイヤをリムに嵌着し難
く、又、厚みのあるゴムバンドが車輪の重量を増大する
不都合がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な課題を解決するものであって、ワイヤーオン型（いわ
ゆる「ＷＯ型」）のチューブレスタイヤ用の自転車スポ
ークリム車輪において、気密性を確実に保持でき、さら
に車輪全体が軽量化でき、かつタイヤのリムへの嵌着が
容易にできるようにすることであり、溝部すなわち凹溝
内のシール材の軽量化を図ると共にタイヤビードの凹溝
内への落とし込みを可能にする手段を講じることであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに講じた本発明の技術的手段を以下に説明すると、
（１）リムに隔壁を設け、該隔壁に形成のニップル孔を
テープ状のシール材で密着して気密化させ、（２）テー
プ状のシール材として、薄い柔軟性のある金属テープを
使用し、（３）チューブレスタイヤに空気を充填すると
きに、リムのビードシート部にタイヤビード部が載り易
いように隔壁に柔軟な発泡体を装着し、（４）リムのビ
ードシート部の形状を薄型（すなわち幅狭）タイヤビー
ドでもシールを容易にするため、リム耳部からハンプ部
にかけての形状を湾曲させてシール面積を拡大し、
（５）空気バルブは、弾性を有するゴム素材又は弾性を
プラスチック素材からなるパッキンを介して隔壁に圧接
して気密化し、（６）リム腹面の肉厚部に透孔を穿設
し、中空部にスポーク端部及びニップル頭部を収容す
る、ことである。なお、本発明における発泡体とは、ゴ
ム素材或いはプラスチック素材などからなる発泡体で、
弾性を有し圧縮しても復元力を有するものであり、好ま
しくはウレタン樹脂発泡体である。

【０００８】すなわち、上記課題を解決するための本発
明の手段は、請求項１の発明では、リム内周側２のスポ
ーク取付壁４とリム外周側３の隔壁５と左右のリム側壁
６とリム側壁６からリム外周側３に立設する左右の耳部
７からなり、リム外周側３の隔壁５とリム側壁６と内周
側２のスポーク取付壁４で囲まれる内部領域を中空部８
に形成し、リム外周側３の隔壁５は左右の耳部立上り部
９からリム中心１０方向へほぼ水平に延在するビートシ
ート部１１とビートシート部１１のリム中心１０寄りの
ハンプ部１２からスポーク取付壁４側に凹入する凹溝１
３をリム中心対称に有し、凹溝１３にリム円周方向に等
間隔に複数のニップル孔２０を形成し、かつニップル孔
２０に対応するスポーク取付壁４にニップル２１及びス
ポーク端部２８を挿通するスポーク取付孔２３を形成
し、凹溝１３のニップル孔２０を介してニップル頭部２
６を中空部８内のスポーク取付壁４に取付け、さらに、
チューブレスタイヤ３７への空気注入用のバルブ２９の
バルブヘッド３２を凹溝１３の隔壁５上に配してバルブ
ボディー３３をスポーク取付壁４に形成のバルブ孔３１
に挿通してナット３６を締めてなるワイヤーオン型のチ
ューブレスタイヤ用の自転車スポークリム車輪におい
て、凹溝１３の隔壁５にテープ状のシール材２４を貼着
してニップル孔２０を密閉し、ほぼ凹溝底部１５の幅で
かつ凹溝１３の高さの帯板状の発泡体２５を凹溝１３の
テープ状のシール材２４上に貼着し、かつバルブヘッド
３２と凹溝１３のバルブ孔３０の周壁間にパッキン３４
を配してバルブヘッド３２を凹溝１３の隔壁５に圧接し
てバルブ孔３０を気密にシールしたことを特徴とするチ
ューブレスタイヤ用の自転車スポークリム車輪である。

【０００９】請求項２の発明では、請求項１の手段にお
ける記載のチューブレスタイヤ用の自転車スポークリム
車輪において、ビードシート部１１の形状をリム耳部７
からハンプ部１２にかけてスポーク取付壁４側に湾入さ
せてタイヤビード部３８のシール面積を拡大したことを
特徴するチューブレスタイヤ用の自転車スポークリム車
輪である。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１〜図６
にしたがって説明する。図１は本発明に係るリムを示す
断面図である。図２は中空部にニップル及びスポーク端
部を取り付け、シール材及び発泡体でシールしたリムの
断面図ある。図３はシール材及び発泡体でシールしビー
ドシートにタイヤビードを嵌着したリムの断面図であ
る。図４はリムにバルブを取付ける状態を説明する断面
図である。図５はリムにバルブを取付けシールした状態
を示す断面図である。図６はリムとシール材と発泡体の
組合わせを説明する斜視図である。

【００１１】本発明の実施の形態におけるワイヤーオン
（ＷＯ）型チューブレスタイヤ３７を装着すなわち嵌着
可能なリム１は図１に示す断面形状のリングからなる。
図１に示すリム１の断面において、チューブレスタイヤ
３７が装着される側をリム外周側３、ハブがある側をリ
ム内周側２とすると、リム断面形状はリム内周側２のス
ポーク取付壁４とリム外周側３の隔壁５と左右のリム側
壁６、６とリム側壁６からリム外周側３に立設する左右
の耳部７、７からなる。これらのリム外周側３の隔壁５
と左右のリム側壁６、６と内周側２のスポーク取付壁４
で囲まれる内部領域は中空部８を形成している。リム外
周側３の隔壁５は、耳部立上り部９からリム中心１０の
方向へほぼ水平に延びるビートシート部１１とビートシ
ート部１１のリム中心１０寄りの端部であるハンプ部１
２から斜め下方のリム側壁６側に上記中空部８の高さの
半ばまで低下する凹溝側壁１４となり、次いで水平方向
にリム中心１０方向に延びる凹溝底部１５となり、リム
中心１０で中心対称の隔壁５を構成している。すなわ
ち、隔壁５のリム中心１０には凹溝底部１５の横幅がリ
ム横幅のほぼ１／３である凹溝１３を形成してビートシ
ート部１１と凹溝底部１５は段差がついて隔壁５を形成
している。換言すると図１において、リムの断面形状
は、リム外周側３のビードシート部１１とその左右両端
のリム側壁６、６とリム内周側２のスポーク取付壁４か
らなるほぼコ字状部１７をリム断面で左右に対称配置し
ている。そしてリム外周側３のビードシート部１１に続
いて凹入する凹溝１３をリム中心１０に有し、凹溝１３
の下方に中空部８で隔てられてリム内周側２のスポーク
取付壁４が形成されている。一方、左右のリム側壁６、
６は上方に延び、タイヤビード部３８が嵌合される耳部
７、７に形成されている。

【００１２】ビードシート部１１は、ＷＯ型チューブレ
スタイヤ３９をリム１に装着し空気を入れるときに、チ
ューブレスタイヤ３９のビードワイヤー３９の入ったタ
イヤビード部３８が載る部分である。このビードシート
部１１は上面が円弧を描いてスポーク取付壁４側にやや
湾入している。ビードシート部１１のリム中心１０寄り
の端部はハンプ部１２で、このハンプ部１２から凹入し
て凹溝１３がリム中心１０の位置にリム１の円周方向に
形成されている。この凹溝１３のやや傾斜した凹溝側壁
１４の上端でもあるハンプ部１２はリム外周側３に向か
ってやや突出しており、このやや突出したハンプ部１２
はビードシート部１１に載ったチューブレスタイヤ３７
のタイヤビード部３８が凹溝１３内へ脱落することを防
止する作用を有している。

【００１３】リム１の左右の耳部７、７の下部のリム側
壁６、６の下端の間にはリム内周側２にやや膨出する円
弧を描いてスポーク取付壁４が形成されている。このス
ポーク取付壁４の腹面１８の中央部は、取付けるスポー
ク２２の張力に抗するために肉厚部１９に形成されてい
る。図１のリム１ではリム内部の中空部８に向けて肉厚
部１９が形成されている。この実施の形態とは異なり、
この肉厚部１９を腹面１８からハブ方向に突出させて設
けることも可能である。

【００１４】図２に見られるように、リム内周側２のス
ポーク取付壁４の腹面１８にはリム円周方向に適宜等間
隔のピッチでニップル２１を介してスポーク２２を挿入
するための透孔からなるスポーク取付孔２３が穿設され
ている。さらにリム外周側３の隔壁５に形成の凹溝１３
の凹溝底部１５にはニップル２１を挿通するための透孔
からなるニップル孔２０が穿設されている。本実施の形
態ではリム外周側３の隔壁５に形成の凹溝１３の凹溝底
部１５及びスポーク取付壁４の腹面１８に穿設のこれら
の透孔を同軸上に配し、これらニップル孔２０及びスポ
ーク取付孔２３の透孔が１組になってニップル２１及び
スポーク２２に対応している。このため、この１組のこ
れらのニップル孔２０及びスポーク取付孔２３の透孔の
軸線はハブから張設するスポーク２２の傾斜度合いに適
合するように傾斜している。そして１組のニップル孔２
０及びスポーク取付孔２３の透孔の大きさは、リム外周
側３の隔壁５に形成の凹溝１３の凹溝底部１５のニップ
ル孔２０ではその径はニップル頭部２６の径より大き
く、リム内周側２のスポーク取付壁４の腹面１８のスポ
ーク取付け孔２３ではその径はニップル頭部２６の径よ
り小さく、かつニップル軸部２７の径より大きいものと
する。したがって、リム１にニップル２１を取付ける場
合は、ニップル２１を凹溝１３の凹溝底部１５に穿設し
たニップル孔２０の方からスポーク取付壁の腹面に穿設
したスポーク取付孔２３に落とし込み挿着する。この結
果、ニップル頭部２６は中空部８内でスポーク取付壁４
の腹面１８に穿設されたスポーク取付孔２３の周壁上に
載ることとなる。したがってスポーク取付時には、ニッ
プル頭部２６とスポーク２２の端部２８はリム外周側３
の隔壁５及びスポーク取付壁４の間の中空部８に収容さ
れていることとなる。

【００１５】ニップル頭部２６を中空部８に挿通した凹
溝１３の凹溝底部１５のリム外周側３には、アルミ箔あ
るいはステンレス箔からなる凹溝底部１５の溝幅よりや
や幅広の金属テープのシール材２４により接着剤により
貼着シールして凹溝底部１５のニップル孔２０を塞いで
密閉し、さらに凹溝底部１５から側方にはみ出したシー
ル材２４の側部を左右の凹溝側壁１４、１４に貼着す
る。上記ではシール材２４は金属であるが、金属の他に
高硬度エラストマーが使用できる。もちろん上記のシー
ル材２４は、タイヤ内圧でニップル孔２０に沈み込むこ
となく、ガスバリア性の高い材料を使用し、その肉厚は
２ｍｍ以下が好ましい。それは、タイヤ嵌合時のタイヤ
ビード部３８の先端の凹溝１３内への落とし込み、及
び、重量に影響するために薄い方が好ましい。

【００１６】さらに凹溝底部１５のテープ状のシール材
２４の上面にはウレタンやゴムなどからなるほぼ凹溝１
３の深さすなわち高さ相当の厚さを有し、かつ凹溝１３
の溝幅を有する弾性で柔軟な帯板状の発泡体２５を接着
剤により貼着する。発泡体２５の幅は凹溝１３の溝幅、
すなわち凹溝側壁１４、１４の上端間の溝幅の９割以上
を覆うものとし、高さはハンプ部１２の高さから、すな
わち凹溝側壁１４の上端から２ｍｍ以上低くしなく、か
つ発泡体２５は連続気泡を有するものとする。発泡体２
５の幅が凹溝１３の溝幅の９割以下であったり、ハンプ
部１２の高さから２ｍｍ以上低いと、タイヤ嵌合時にタ
イヤビード部３８と発泡体２５の間の隙間が大きく、空
気を入れる時にビードシート部１１にタイヤビード部３
８が載りにくい。また発泡体２５が連続気泡でなく、独
立気泡を多く有する場合、リム１にチューブレスタイヤ
３８を嵌合する際、発泡体２５の沈み込みが少なく、す
なわち発泡体２５がつぶれにくく、嵌合が容易でない。

【００１７】図３に見られるように、リム１の耳部７内
に嵌着されたチューブレスタイヤ３７のやや狭幅のタイ
ヤビード部３８は内部にビードワイヤ３９を内部に有し
て外方及び下方に円弧状に膨出しており、この膨出した
タイヤビード部３８はリム１の隔壁５の円弧状に湾入し
たビードシート部１１に載置されている。

【００１８】図４に見られるように、チューブレスタイ
ヤ３７に空気を注入するバルブ２９は、空気注入口３５
を中心に有するバルブヘッド３２と、このバルブヘッド
３２の下側にバルブヘッド３２の下面より大きい面部を
有する弾性を有するゴム素材又は弾性を有するプラスチ
ック素材から形成の板状体からなるパッキン３４を挿嵌
しており、かつ外周面に螺刻したねじ山を有する軸状の
バルブボディー３３からなり、バルブボディーのねじ山
にスポーク取付壁４をリム内周側から締めつけるための
ナット３６が螺合される。

【００１９】このバルブ２９はゴム素材又はプラスチッ
ク素材のパッキン３４を介在してナット３６により密閉
状態でスポーク取付壁４側から締めつけることにより凹
溝１３に内設され、バルブボディー３３は凹溝底部１５
に穿設のバルブ孔３０及びこのバルブ孔３０に同軸にス
ポーク取付壁４の腹面１８に穿設のバルブ孔３１に貫通
され、リム１のリング中心のハブに向かって突出してい
る。さらにパッキン３４はリム外周側３の隔壁５の凹溝
１３の断面形状と同一の形状に形成されており、その中
心にバルブボディー３３が通る孔が貫通されている。

【００２０】以上の構成よりなるチューブレスタイヤ用
自転車スポークリム車輪を製造するには、先ず、リム１
の断面形状を有する軽合金性の長尺押出し材からなるリ
ム素材をロールによりリム１の耳部７、隔壁５、腹面１
８の形状を維持しながらリング状に曲成して、ビードシ
ート部１１に沿う周縁長さを基準にして車輪としての一
定長さに切断し、その切断端面を突き合わせて溶接して
エンドレスのリング状のリム１とする。

【００２１】次に、各スポーク２２の頭部をハブのスポ
ーク取付孔に挿通して係合する。そして挿通したスポー
ク２２の綾取りを実施し、各スポーク２２の端部２８に
螺刻されているねじ部をリムの腹面１８に穿設したスポ
ーク取付孔２３の内側に対向して臨ませ、ニップル２１
のニップル軸部２７を隔壁５の凹溝１３内の凹溝底部１
５に穿設しているニップル孔２０にリム外周側３の側か
ら挿入して、ニップル頭部２６を中空部８内に落とし込
み、ニップル軸部２７をスポーク取付孔２３から突出さ
せ、このニップル軸部２７に各スポーク２２の端部２８
のねじ部を仮止めする。さらにリム１を反転させて同様
の作業を行い、残っているスポーク２２のねじ部をニッ
プル軸部２７に仮止めする。

【００２２】次に上記した仮止め状態のスポーク２２と
ニップルを本締めしてスポーク締めを完成する。次に、
図４に示すように、凹溝１３のバルブ孔３０からスポー
ク取付壁４の腹面１８のバルブ孔３１にパッキン３４を
挿通したバルブボディー３３を通し、バルブヘッド３２
をバルブ孔３０の周縁の凹溝底部１５側に押しつけてパ
ッキン３４を凹溝底部１５に挟み込み、次いで腹面１８
に突出したバルブボディー３３にナット３６を螺合し
て、腹面１８にねじ締めしてバルブヘッド３２を凹溝底
部１５側に押圧してパッキン３４で凹溝１３のバルブ孔
３０を密閉して、図５に示すようにバルブ孔３０のシー
ルを終了する。次いで、図６に示すように、このバルブ
２９のパッキン３４のリム１のリング円周方向の左右の
両縁を起点及び終点として、リング円周に形成の凹溝１
３に凹溝底部１５の幅よりやや広幅の金属製の例えばア
ルミ箔からなるテープ状のシール材２４を凹溝底部１５
からその両側の凹溝側壁１４、１４にわたる凹溝１３の
全周域に接着剤により貼着して、凹溝底部１５に等間隔
に形成の全てのニップル孔２０を密閉する。さらにこの
貼着した凹溝１３のシール材２４の上面に凹溝底部１５
の幅を有し、凹溝１３の深さを有する帯板状の発泡体２
５、例えばウレタン発泡体を接着剤により貼着し、リム
のリング全周のニップル孔２０の閉塞による密閉は完成
する。

【００２３】次に、チューブレスタイヤ３７を上記の密
閉が完成したリム１に嵌め、チューブレスタイヤ３７の
片側のタイヤビード部３８を発泡体２５に載置し、他方
側のタイヤビード部３８も発泡体２５に載置しておく。
両タイヤビード部３８、３８は発泡体２５を凹溝底部１
５に押圧するが、発泡体２５の復元力によりタイヤビー
ド部３８、３８は凹溝１３の凹溝側壁１４、１４の上方
に位置されることとなる。この状態で、最後にバルブ２
９の空気注入口３５からチューブレスタイヤ３７に空気
をいれることによりチューブレスタイヤ３７内の空気圧
を高圧にし、この高圧に高まることにより自動的にチュ
ーブレスタイヤ３７のタイヤビード部３８、３８が膨張
により横方向に張り、ビードシート部１１、１１に載り
上がり、チューブレスタイヤ用自転車スポークリム車輪
が完成する。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のチューブ
レスタイヤ用自転車スポークリム車輪は、リム外周側の
隔壁とリム側壁とリム内周側のスポーク取付壁で囲む領
域を中空部とし、隔壁の中心部に凹入する凹溝を形成
し、隔壁を２段構造とし上段のビートシート部をやや湾
入させてその端部のハンプ部をややリム外周側に突出さ
せ、凹溝底部に金属箔などのテープ状のシール材を貼
り、そのシール材上にさらにウレタンフォームなどの弾
性を有し柔軟な帯板状の発泡体を貼着しているので、 （１）自転車スポークリム車輪にそのままチューブレス
タイヤを組付けることができる。 （２）リム外周側に突出するスポーク端部及びニップル
頭部を中空部内に位置させることとなり、これらがシー
ル材に当接しないため、シール材の破損、ズレ、剥離が
引き起こされることなく、気密性が確実に保持できる。 （３）凹溝内に貼着したシール材の上面に発泡体をさら
に貼着しているため、チューブレスタイヤの嵌着時にシ
ール材にタイヤビード部が直接当接することがないの
で、タイヤビード部によるシール材の破損が防止されて
おり、気密性が確保できる。 （４）発泡体が弾性があり伸縮自在で復元力があるの
で、チューブレスタイヤのリムへの嵌着作業時に、最初
に一方の片側のタイヤビード部を凹溝に落ち込ませた場
合に、発泡体は押圧されて縮小してこのタイヤビード部
を凹溝底部近辺まで沈み込ませることができるため、他
方のタイヤビード部をリムに嵌合することが極めて容易
となり、タイヤ嵌着の作業性が良好である。 （５）リムへのチューブレスタイヤの嵌着作業時に両方
のタイヤビード部を凹溝内の発泡体に載置した場合、発
泡体の復元力によりタイヤビード部が凹溝側壁の上端近
傍まで持ち上げられることとなるため、この状態に嵌着
したチューブレスタイヤにバルブより空気を充填すると
タイヤビード部はリム外周側の隔壁の耳部に連なるビー
ドシート部に載り易く、タイヤの嵌着は完全となる。 （６）ビードシート部を円弧状の湾入した形状にするこ
とによりビードシート部とタイヤビード部の接触面積す
なわちシール面積を拡大しているので、薄型すなわち幅
狭のタイヤビード部を有するチューブレスタイヤでも気
密性が十分に確保できるため車輪全体の軽量化が可能に
なる。 （７）シール材に薄い金属テープを使用し、この薄い金
属テープのシール材を保護すること及び上記のとおりタ
イヤビード部の嵌着を容易にするために軽量の発泡体を
車両全体の軽量化が可能となる。などの優れた効果を本
発明は奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るリムを示す断面図である。

【図２】中空部にニップル及びスポーク端部を取り付
け、シール材及び発泡体でシールしたリムの断面図あ
る。

【図３】シール材及び発泡体でシールしビードシートに
タイヤビードを嵌着したリムの断面図である。

【図４】リムにバルブを取付ける状態を説明する断面図
である。

【図５】リムにバルブを取付けシールした状態を示す断
面図である。

【図６】リムとシール材と発泡体の組合わせを説明する
斜視図である。

【符号の説明】

１ リム ２ リム内周側 ３
リム外周側 ４ スポーク取付壁 ５ 隔壁 ６
リム側壁 ７ 耳部 ８ 中空部 ９
耳部立上り部 １０ リム中心 １１ ビートシート部 １２
ハンプ部 １３ 凹溝 １４ 凹溝側壁 １５
凹溝底部 １６ 凹溝側壁下端 １７ コ字状部 １８
腹面 １９ 肉厚部 ２０ ニップル孔 ２１
ニップル ２２ スポーク ２３ スポーク取付孔 ２４
シール材 ２５ 発泡体 ２６ ニップル頭部 ２７
ニップル軸部 ２８ 端部 ２９ バルブ ３０
バルブ孔 ３１ バルブ孔 ３２ バルブヘッド ３３
バルブボデー ３４ パッキン ３５ 空気注入口 ３６
ナット ３７ チューブレスタイヤ ３８ タイヤビード
部 ３９ ビードワイヤ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見座田 修一 岐阜県揖斐郡池田町本郷680番地 イノ アックエラストマー株式会社内 (72)発明者 常国 冬広 宮城県栗原郡若柳町字川北東若柳123番 地 株式会社東北イノアック内 (72)発明者 橋本 正城 大阪市西淀川区竹島１丁目１番59号 新 家工業株式会社 関西工場内 (72)発明者 赤穂 泰生 大阪市西淀川区竹島１丁目１番59号 新 家工業株式会社 関西工場内 (56)参考文献 特開 平７−112601（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−250309（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−45102（ＪＰ，Ｕ) 登録実用新案3025849（ＪＰ，Ｕ) 特表 平５−501237（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60B 1/02 B60B 21/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リム内周側２のスポーク取付壁４とリム
   外周側３の隔壁５と左右のリム側壁６とリム側壁６から
   リム外周側３に立設する左右の耳部７からなり、リム外
   周側３の隔壁５とリム側壁６と内周側２のスポーク取付
   壁４で囲まれる内部領域を中空部８に形成し、リム外周
   側３の隔壁５は左右の耳部立上り部９からリム中心１０
   方向へほぼ水平に延在するビートシート部１１とビート
   シート部１１のリム中心１０寄りのハンプ部１２からス
   ポーク取付壁４側に凹入する凹溝１３をリム中心対称に
   有し、凹溝１３にリム円周方向に等間隔に複数のニップ
   ル孔２０を形成し、かつニップル孔２０に対応するスポ
   ーク取付壁４にニップル２１及びスポーク端部２８を挿
   通するスポーク取付孔２３を形成し、凹溝１３のニップ
   ル孔２０を介してニップル頭部２６を中空部８内のスポ
   ーク取付壁４に取付け、さらに、チューブレスタイヤ３
   ７への空気注入用のバルブ２９のバルブヘッド３２を凹
   溝１３の隔壁５上に配してバルブボディー３３をスポー
   ク取付壁４に形成のバルブ孔３１に挿通してナット３６
   を締めてなるワイヤーオン型のチューブレスタイヤ用の
   自転車スポークリム車輪において、凹溝１３の隔壁５に
   テープ状のシール材２４を貼着してニップル孔２０を密
   閉し、ほぼ凹溝底部１５の幅でかつ凹溝１３の高さの帯
   板状の発泡体２５を凹溝１３のテープ状のシール材２４
   上に貼着し、かつバルブヘッド３２と凹溝１３のバルブ
   孔３０の周壁間にパッキン３４を配してバルブヘッド３
   ２を凹溝１３の隔壁５に圧接してバルブ孔３０を気密に
   シールしたことを特徴とするチューブレスタイヤ用の自
   転車スポークリム車輪。
2. 【請求項２】 請求項１記載のチューブレスタイヤ用の
   自転車スポークリム車輪において、ビードシート部１１
   の形状をリム耳部７からハンプ部１２にかけてスポーク
   取付壁４側に湾入させてタイヤビード部３８のシール面
   積を拡大したことを特徴するチューブレスタイヤ用の自
   転車スポークリム車輪。