JP3264351B2 - 防水コネクタ用ゴム栓 - Google Patents

防水コネクタ用ゴム栓

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JP3264351B2 JP14540994A JP14540994A JP3264351B2 JP 3264351 B2 JP3264351 B2 JP 3264351B2 JP 14540994 A JP14540994 A JP 14540994A JP 14540994 A JP14540994 A JP 14540994A JP 3264351 B2 JP3264351 B2 JP 3264351B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、端子金具に圧着され、
その端子金具が挿入されたキャビティ内への水の浸入を
防止する防水コネクタ用ゴム栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のゴム栓としては、実開昭60−
71082号公報に開示されているものがある。これ
は、図5及び図6に示すように、電線14が貫通可能な
筒形をなし、外周に周方向の突条12が形成された防水
部11と端子金具15に圧着される圧着部13とを連ね
て形成したものである。かかるゴム栓1の圧着部13に
は端子金具15の後端のバレル16が外嵌されて圧着さ
れる。端子金具15に接続した電線14はゴム栓1内を
貫通して延出し、ゴム栓1の内周は電線14の外周に水
密状態で密着している。この電線14及び端子金具15
と共にゴム栓1をキャビティ(図示せず)に押し込むよ
うにして挿入すると、ゴム栓1の突条12がキャビティ
の内周に水密状態に密着し、ゴム栓1の内周と電線14
との密着及びゴム栓1の外周とキャビティとの密着によ
り、キャビティ内への水の浸入が防止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかるゴム栓1を端子
金具15に圧着する作業は、端子金具15に接続される
前の電線14の接続端14aをゴム栓1に貫通させ、そ
の後に、その電線14の接続端14aを端子金具15の
電線圧着部17に圧着すると共に、ゴム栓1の圧着部1
3を端子金具15のバレル16に圧着させるという手順
で行われる。この作業において、ゴム栓1に電線14を
貫通させる際には、ゴム栓1の圧着部13が防水部11
よりも電線14の接続端部14a側に位置するような向
きになっていなければならない。したがって、ゴム栓1
を電線14の貫通位置に供給する際には、圧着部13が
上記のような位置になるようにゴム栓1の向きを揃える
必要がある。このため、電線14をゴム栓1に貫通させ
る作業を手作業で行う場合には、作業者が貫通作業に先
だってゴム栓1の向きを揃えるという煩わしい作業を行
わなければならないために作業性が低下するという問題
がある。また、電線14をゴム栓1に貫通する作業が自
動化されている場合には、ゴム栓1を所定の貫通位置に
供給するためのパーツフィーダ(図示せず)にゴム栓1
の向きを揃えるための機構を設ける必要があり、その結
果、パーツフィーダの構造が複雑になってコスト高を招
くという問題がある。
【0004】このような問題を解決するための対策とし
ては、圧着部を、防水部の一方の端部だけでなく、両方
の端部に対称的に形成し、これによってゴム栓に方向性
を持たせないようにし、ゴム栓の向きを揃える必要性の
ために生じていた上記の不具合を解決する、ということ
が考えられる。しかし、このようにすると、圧着部が防
水部の一方の端部だけに形成されていたゴム栓に比べる
と、他方の端部に形成される圧着部の分だけゴム栓の全
体の長さが長くなるという問題が新たに生じることにな
る。
【0005】本願発明は上記事情に鑑みてなされたもの
であり、ゴム栓に電線を貫通させる際にゴム栓の向きを
揃えなくても済むようにしながら、ゴム栓の全体の長さ
が長くなるのを極力抑えることができるようにすること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は、電線が貫通可能な筒形をな
し、端子金具が挿入されるキャビティの内周に密着する
突条を外周に有する防水部と、この防水部よりも小さな
外径寸法を有して前記端子金具に圧着される圧着部とを
連ねて形成してなる防水コネクタ用ゴム栓であって、前
記防水部の両端には一対の前記圧着部が対称的に形成さ
れ、その両圧着部の防水部とは反対側の端部の外周に
は、前記突条とほぼ同じ外径寸法を有して、前記端子金
具に対して抜け不能状態に係止すると共に前記キャビテ
ィの内周に密着する防水鍔が形成されている構成とし
た。
【0007】
【作用】本発明においては、防水部の両端の一対の圧着
部が対称的に形成されているから、ゴム栓に電線を貫通
させるときに両圧着部のうちのどちらが端部側に位置し
ても良い。従って、ゴム栓をパーツフィーダによって供
給する際には、従来のように圧着部が防水部に対して決
められた側に位置するように向きを揃えるという必要は
ない。また、ゴム栓がキャビティに嵌入された状態にお
いては、端子金具に圧着されていない側の防水鍔が、キ
ャビティの内周に密着するため、防水部の突条と共に防
水機能を発揮する。さらに、電線にゴム栓への貫通方向
と交差する方向の曲げ力が作用すると、キャビティの開
口端側にまず圧着部に設けられた防水鍔が位置し、その
防水鍔がキャビティの内周に密着しているから、電線か
らの曲げ力はこの防水鍔によって支えられる。そして、
その奥方に位置する防水部との間には圧着部が存在する
ため、防水鍔が電線からの曲げ力を受けて圧縮変形され
たとしても、その変形は圧着部が変形することによって
吸収され、防水部にはほとんど伝わらない。このため、
防水部の突条が過剰に圧縮されることを防止でき、突条
の外周とキャビティの内周面との間に隙間ができてしま
うことがなくなる。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、防水部の両方の端部に
一対の圧着部を対称的に設けたから、ゴム栓を電線の貫
通位置に供給するに際しては、圧着部が防水部に対して
決められた側に位置するようにゴム栓の向きを揃えると
いう必要がない。これにより、電線をゴム栓に貫通させ
る作業を手作業で行う場合には、作業者が貫通作業に先
だってゴム栓の向きを揃えるという煩わしい作業を行う
必要がなくなって作業性を向上させることができる。電
線をゴム栓に貫通する作業が自動化されている場合に
は、ゴム栓を所定の貫通装置に供給するためのパーツフ
ィーダにゴム栓の向きを揃えるための機構を設ける必要
がなくなってその構造を簡素化することができ、パーツ
フィーダのコスト低減を図ることができる。また、端子
金具に圧着されない側の圧着部の防水鍔による防水効果
が防水部の突条による防水効果に付加されるため、ゴム
栓全体として高い防水機能を発揮させることが可能にな
るという効果がある。しかも、電線に曲げ力が作用して
も、キャビティの開口側に位置する防水鍔によって防水
部の突条が過剰に圧縮されるのを防止して、その突条と
キャビティの内周面との間を水密な圧接状態に維持する
ことができるようになっているから、防水性を高く維持
することができる。さらに、端子金具に圧着されない側
の圧着部の防水鍔はゴム栓全体の防水機能のうちの一部
を負担していて、その防水鍔が負担する分だけ防水部の
突条に要求される防水機能が軽減されるようになってい
るから、その分だけ防水部の長さを短くすることができ
る。よって、圧着部を防水部の両側に設けたことによる
長さの増大は、防水鍔のない圧着部を単に付加しただけ
のゴム栓に比べると小さくて済み、ゴム栓全体としての
長さを最小に抑えることができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図1乃
至図4を参照して説明する。本実施例のゴム栓2は、電
線3を貫通させる貫通孔21を有していてその軸方向と
直交する断面形状が円筒形をなしており、1つの防水部
22と2つの圧着部24,24とから構成されている。
防水部22の外周には、全周に亘る円周方向の突条23
が軸方向に適当間隔を明けて2条形成されている。この
突条23の外径寸法は、後述するキャビティ5の内径よ
りも少し大きく設定されており、ゴム栓2がキャビティ
5に嵌入されると、突条23が弾性撓みを生じてその弾
性復元力によりキャビティ5の内周面に強く密着し、そ
の密着力によって突条23とキャビティ5との間が水密
状態となるようになっている。かかる防水部22は、そ
の軸方向において対称的な形状をなしている。
【0010】圧着部24,24は、防水部22の軸方向
における両方の端部から外側へ連続するように一体成形
によって一対形成されている。圧着部24の外径寸法は
防水部22の外径寸法よりも小さく、この圧着部24の
外周には端子金具4の後端のゴム栓用バレル42がカシ
メ付けにより圧着されるようになっている。圧着部24
の防水部22とは反対側、即ち、軸方向における外側の
端部の外周には、全周に亘る円周方向の防水鍔25が形
成されている。この防水鍔25の外径寸法は防水部22
の突条23の外径寸法とほぼ同じとなっている。したが
って、ゴム栓2がキャビティ5に嵌入されると、突条2
3と同様に、防水鍔25が弾性撓みを生じてその弾性復
元力によりキャビティ5の内周面に強く密着し、その密
着力によって防水鍔25とキャビティ5との間が水密状
態となるようになっている。かかる両圧着部24,24
は、その外径寸法と軸方向の長さ寸法、及び、防水鍔2
5,25の断面形状と寸法が全て同一であり、軸方向に
おいて防水部22に関して対称的な形状となっている。
【0011】上述のように、本実施例のゴム栓2は、軸
方向において対称的な防水部22の両端に一対の圧着部
24,24を対称的に連ねて形成した構成になるため、
全体としても軸方向において対称的であって方向性のな
い形状をなしている。
【0012】次に、本実施例の作用について説明する。
ゴム栓2は、電線3を貫通させる作業が行われる所定の
貫通作業工程に供給され、同位置においてゴム栓2の貫
通孔21に電線3の端部が水密状態に貫通される。この
後、ゴム栓2と電線3は所定の圧着機に供給され、端子
金具4のワイヤバレル41が電線3の被覆を剥いた芯線
31に圧着されると共に、端子金具4のワイヤバレル4
1よりも更に後方のゴム栓用バレル42が、電線3の接
続端3aが突出している側の圧着部24に圧着される。
これにより、ゴム栓2と電線3と端子金具4とが一体に
組み付けられる。この状態においては、端子金具4のゴ
ム栓用バレル42が防水鍔25に係止することにより、
ゴム栓2の端子金具4からのズレや抜けが防止される。
なお、ゴム栓用バレル42はキャビティ5の内周面と干
渉しないようにゴム栓2の最大外径よりも小径となって
いるために、端子金具4に圧着されている側の圧着部2
4の防水鍔25はゴム栓用バレル42によって押し潰さ
れた状態となり、したがって、この防水鍔25は後述す
るような防水手段としては機能しない。
【0013】このようにして組み付けたものを端子金具
4を先に向けてキャビティ5内に嵌入すると、図3に示
すように、防水部22の両突条23,23がキャビティ
5の内周面に弾性撓みを生じつつ水密状態に密着すると
共に、キャビティ5の嵌入口51に近い側に位置する圧
着部24の防水鍔25が、突条23と同様に、キャビテ
ィ5の内周面に弾性撓みを生じつつ水密状態に密着す
る。これにより、キャビティ5の外側から端子金具4の
挿入されている空間内への水の浸入が防止される。
【0014】本実施例のゴム栓2は、防水部22の両端
に一対の圧着部24,24を対称的に連ねて形成するこ
とにより軸方向において方向性をもたない形状をなして
いるから、ゴム栓2に電線3を貫通させる作業を行うの
に際しては、2つの圧着部24,24のうちのどちら側
から電線3を貫通させても爾後の端子金具4の圧着作業
及びキャビティ5内での防水機能に支障を来すことはな
い。したがって、ゴム栓2を所定の貫通作業工程に供給
するときには、ゴム栓2の軸方向の向きに傾きやズレが
なければ良く、2つの圧着部24,24が防水部22の
いずれの側に位置するかについては考慮する必要がな
い。よって、ゴム栓2を貫通作業位置に供給するための
パーツフィーダ(図示せず)には、圧着部が防水部の一
方の端部のみに形成されていた従来のゴム栓を供給する
ためのパーツフィーダとは異なり、圧着部24,24と
防水部22の位置関係が軸方向において一定となるよう
にゴム栓2の向きを揃えるための機構を設ける必要がな
い。したがって、パーツフィーダの構造は簡素化されて
おり、そのコストも低く抑えられている。なお、ゴム栓
2に電線3を貫通させる作業が手作業によって行われる
場合には、貫通に先だってゴム栓2の向きを揃えるとい
う煩わしい作業が不要となるため、作業者の負担が軽減
されると共に作業効率が向上する。
【0015】同じく本実施例のゴム栓2では、防水鍔2
5が端子金具4に対する抜止めに加えて、キャビティの
内周に密着することにより防水手段として機能するよう
になっており、防水部22の2つの突条23,23によ
る防水機能と、端子金具4に圧着されていない外側の防
水鍔25による防水機能とが協動して防水効果が発揮さ
れるようになっている。したがって、防水鍔を備えずに
防水部に形成した突条だけで防水を行うゴム栓と比較す
ると、本実施例のゴム栓2では、防水鍔25による防水
効果が防水部22の2条の突条23,23による防水効
果に加味されるため、高い防水性能が得られている。
【0016】また、外側の圧着部24の防水鍔25は、
ゴム栓2の全体が発揮する防水機能のうちの一部を負担
していることから、防水部22の突条23に要求される
防水機能は防水鍔25が負担する分だけ軽減されている
ことになる。したがって、圧着部に防水鍔を設けずに防
水部の突条のみによって本実施例のゴム栓2と同等の防
水機能を発揮するゴム栓と比較すると、本実施例のゴム
栓2は、防水鍔25によって負担が軽減された分の突条
が防水部22から除かれて、その除かれることになった
突条の分だけ防水部22の長さが短くなっていることに
なる。よって、防水鍔の形成されていない圧着部を単に
突成しただけのゴム栓に比べると、本実施例のゴム栓2
は全体の長さが短くなっている。
【0017】さらに、本実施例のゴム栓2では防水部2
2よりもキャビティ5の開口側に防水鍔25が存在して
いるため、キャビティ5の外部に延出している電線3に
ゴム栓2への貫通方向と交差する方向の曲げ力が作用し
たときには、その電線3からの曲げ力はこの防水鍔25
によって支えられることになる。そして、その防水鍔2
5とこれよりも奥側に位置する防水部22との間には筒
状をなす圧着部24が存在するため、防水鍔25が電線
3からの曲げ力を受けて弾性的に圧縮変形したとして
も、その防水鍔25の変形は圧着部24が弾性的に変形
を生じることによって吸収され、防水部22にはほとん
ど伝わらない。このため、防水部22が過剰に圧縮され
ることが防止され、防水部22の突条23の外周とキャ
ビティ5の内周面との間に隙間ができてしまうというこ
とはない。したがって、図4に示すように、突条23の
外周とキャビティ5の内周面との間は水密な圧接状態に
維持され、高い防水性を維持することができる。
【0018】<他の実施例>本発明は上記記述及び図面
によって説明した実施例に限定されるものではなく、例
えば次のような実施態様も本発明に含まれる。
【0019】(1)上記実施例では、防水部22の突条
23の数が2条である場合について説明したが、本発明
によれば、突条の数は1条でも、3条以上でもよい。
【0020】(2)上記実施例では、圧着部24の防水
鍔25を1つだけ形成した場合について説明したが、本
発明は、1つの圧着部に2以上の防水鍔を形成すること
も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかるゴム栓の斜視図
【図2】ゴム栓の断面図
【図3】ゴム栓に端子金具を圧着してキャビティに嵌入
した状態の断面図
【図4】図3において電線に引張力が作用した状態をあ
らわす断面図
【図5】従来のゴム栓の斜視図
【図6】従来のゴム栓に端子金具を圧着した状態の断面
【符号の説明】
2…ゴム栓 3…電線 4…端子金具 5…キャビティ 22…防水部 23…突条 24…圧着部 25…防水鍔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 13/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線が貫通可能な筒形をなし、端子金具
    が挿入されるキャビティの内周に密着する突条を外周に
    有する防水部と、この防水部よりも小さな外径寸法を有
    して前記端子金具に圧着される圧着部とを連ねて形成し
    てなる防水コネクタ用ゴム栓であって、 前記防水部の両端には一対の前記圧着部が対称的に形成
    され、その両圧着部の防水部とは反対側の端部の外周に
    は、前記突条とほぼ同じ外径寸法を有して、前記端子金
    具に対して抜け不能状態に係止すると共に前記キャビテ
    ィの内周に密着する防水鍔が形成されていることを特徴
    とする防水コネクタ用ゴム栓。
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