JP3250122B2 - 加熱蒸散装置における薬液蒸散体 - Google Patents

加熱蒸散装置における薬液蒸散体

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JP3250122B2
JP3250122B2 JP07667393A JP7667393A JP3250122B2 JP 3250122 B2 JP3250122 B2 JP 3250122B2 JP 07667393 A JP07667393 A JP 07667393A JP 7667393 A JP7667393 A JP 7667393A JP 3250122 B2 JP3250122 B2 JP 3250122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボトル内に収容された
殺虫、殺菌、消臭、芳香等の薬液中に吸液芯の一部を浸
漬して該芯に薬液を吸液すると共に、該芯の上部をその
周囲に配設した発熱体によって加熱することにより吸液
された薬液を蒸散させる方式の加熱蒸散装置における薬
液蒸散体に関する。
【0002】
【従来の技術】薬液中に吸液芯の一部を浸漬することに
より該芯に薬液を吸液すると共に、該芯の上部を加熱す
ることにより吸液された薬液を蒸散させる方式の加熱蒸
散方式は公知である。この方式に用いられる加熱蒸散装
置の基本的構成は、図23に示す如くであり、薬液10
が収容されたボトル1内に、その開口部5に固定される
中栓2を介して多孔質乃至微多孔質の吸液芯15を固
定、浸漬し、このように吸液芯15、ボトル1、中栓2
より成る薬液蒸散体を、装置本体16の上部に環状に配
設されたリング状もしくは複数の分割片状の発熱体17
の中央開口部に中栓2から突出している吸液芯15の上
端部が配置されるように、装置本体16内の所定位置に
載置される。そして、発熱体17によって吸液芯15の
上端部を70〜140℃程度に加熱することにより、吸
液芯15に吸液された薬液10を、装置本体16上部に
配設された通気孔18を通して蒸散させるものである。
【0003】そして、上記多孔質吸液芯としては、一般
にクレー、タルク、カオリン、パーライト、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、岩綿、ケイソウ土、石膏、ベ
ントナイト、グラスファイバー、シリカ、アルミナ、シ
リカアルミナ、木粉、活性炭、セルロース、パルプ、リ
ンター、高分子樹脂等の無機粉末及び/又は有機粉末を
デンプン、CMC等の糊剤で固着成形したものが用いら
れる。このような吸液芯15は、微多孔質のものであっ
て吸液特性も比較的良好な範囲にある。
【0004】しかしながら、上記のような吸液芯15を
用いた場合、加熱時に発熱体17からの輻射熱によりボ
トル1内部に熱膨張が生じ、ボトル1内の内圧が高ま
り、その結果、この内外圧差のために薬液10が吸液芯
15中を押し上げられ、液漏れを発生するという問題が
ある。更に、静置時においても、気候の変化、特に気圧
変化時において液漏れが発生し易く、低気圧が近づくと
上記と同様に内圧が高い状態となり、液漏れが生じ易く
なるという問題がある。
【0005】又、これらの吸液芯15は成形するあたり
に、単一体で長さが長くなる為、成形性が悪く製造コス
トが高価となる。又、中栓2との嵌合、ボトル1への装
着時等に吸液芯15が折れ易いという欠点を有してい
た。
【0006】このような問題を解決すべく、例えば、実
公昭45−14913号公報には、図24に示すような
凹状の中栓2が提案されており、吸液芯と接する底部中
央口の口縁19に通気用の切欠20又は小孔を設け、底
部中央口に吸液芯を挿着した後ボトルの開口部に嵌挿さ
せるものである。
【0007】一方、実公平1−37422号公報には図
23に示すような中栓2が提案されている。この中栓2
は、蓋部中央開口から下方に筒状部21を垂設し、該筒
状部21に通気孔22を設けたものである。
【0008】又、実願平4−43085号では、図25
乃至図32に示すような、薬液を収納するボトル1と、
ボトル1の上部に冠着する中栓2と、中栓2の中心に上
下方向に保持される上部吸液芯3と、上部吸液芯3の下
端部あるいはこれと中栓2の下端部とに結合しボトル1
内に収納される下部吸液芯4とから成る薬液蒸散体を提
案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記図24に示す実公
昭45−14913号公報に提案されているような凹状
の中栓2を有した薬液蒸散体の場合、中栓2の底部中央
口の口縁19に通気用の切欠20が設けられているた
め、ボトル内が大気と連通状態にあり、前記したような
加熱によるボトル内圧上昇に伴なう液漏れの問題は解消
される。しかしながら、逆に上記切欠20があるため
に、ボトルが転倒したり、誤って逆さにしたりした時に
内部の薬液がこぼれるという問題がある。また、吸液芯
は中栓2の底部中央口の口縁19の部分でのみ狭持され
るため、吸液芯上部の前後左右のぶれが大きく、安定し
て固定できず、しかも薬液蒸散体を装置本体に設置する
ときやその他の取扱い時に、吸液芯の上部が器具内面に
接触し易く、芯固定部が折損あるいはガタが生じ易く、
外力により底部中央口の口縁19に接する吸液芯15に
力が集中し吸液芯も折れ易いという問題があった。
【0010】一方図23に示す実公平1−37422号
公報に提案されているような中栓2を有した薬液蒸散体
の場合、下方に垂設した筒状部21に通気孔22が設け
られていることにより、ある程度のボトル1内外の通気
が得られ、外気温度等の変化に起因する液漏れが防止で
きる。しかしながら、吸液芯15が保持されている部分
の長さは、単一の吸液芯15の全長に対し、その割合が
低いので、吸液芯15の前後左右のぶれが生じやすくな
り、この薬液蒸散体を装置本体16に設置するときやそ
の他の取扱い時に、吸液芯15の上部が器具内面等に接
触して吸液芯15が折れ易い問題があった。
【0011】以上のような問題点を解決するためには吸
液芯15の強度を極めて高くすることも考えられるが、
強度を高くすると、吸液芯15内部に薬液10による目
詰りが発生したり、吸液芯15の上端側への薬液10の
吸い上げ量が減少したりする等により、加熱蒸散装置に
おいて薬液10を安定して蒸散することができないとい
う問題があった。
【0012】又、図25乃至図32に示す実願平4−4
3085号で提案した上部吸液芯3と下部吸液芯4を有
した構造の薬液蒸散体の場合、図25乃至図27及び図
29の如く、下部吸液芯4を上部吸液芯3の下端部に結
合する構成においては、仮に上部吸液芯3が中栓2のガ
イド部及び下部吸液芯4より抜けて外れた時、薬液10
が外部に漏れるという問題があり、図28及び図30乃
至図32の如く下部吸液芯4が上部吸液芯3の下端部及
び中栓2の下端部に結合する構成においては、下部吸液
芯4へ結合に供する凹凸部分が設定されるため形状が複
雑となる。
【0013】かつ図28及び図31乃至図32の構成に
おいては、上部吸液芯3へも結合に供する凹凸部分が設
定されるため形状が更に複雑となり、上部吸液芯3の成
形性が悪くなる、あるいは相互の嵌着時において嵌着部
の破損が起こり易くなり、特に上部吸液芯3に設定した
凹凸部分が破損し易く、破損した場合、破損の状態によ
っては、下部吸液芯4から上部吸液芯3への薬液10の
吸い上げ量が減少、更には停止したりする等により、加
熱蒸散装置において薬液10を安定して蒸散することが
できなくなるという問題が残る。
【0014】又、実願平4−43085号の如く上部吸
液芯3と下部吸液芯4とを凹凸部等により相互に嵌合さ
せ一体化した構成のものに対し、上部吸液芯3と下部吸
液芯4とを直接嵌合させない場合の例として、図33に
示すような面積が略等しい上部吸液芯3の下面と下部吸
液芯4の上面とを中栓2を介して結合させた構成も考え
られる。
【0015】この場合、簡素な構造で相互の結合も簡単
にできるが、上部吸液芯3と下部吸液芯4とが均一に密
着することは難しく、部分接触あるいは近接しての結合
となり、この際に生じた接触あるいは近接部分の微小な
隙間に加熱蒸散使用時において空気層が形成された場
合、該空気層は直接的にボトル内外の空気と触れること
ができないため蒸散中に気泡状を呈したまま残り、これ
により下部吸液芯4の重力方向に抗しての薬液10の上
昇、即ち下部吸液芯4から上部吸液芯3への薬液10の
吸い上げ量が減少、あるいは下部吸液芯4の上端におい
て薬液10の吸い上げが阻害される場合があり、特に製
造時のバラツキ等により上部吸液芯と下部吸液芯との間
に広い隙間ができた状態で該吸液芯が中栓に結合された
場合、薬液を安定して蒸散させることができなくなる場
合があった。このため、下部吸液芯4の組成や嵌合方法
に工夫や精度が必要となり、管理が複雑であった。
【0016】本発明は、これらの課題を解消し、長期間
にわたって安定して薬液を蒸散できる加熱蒸散装置にお
ける薬液蒸散体を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、加熱蒸散装置における薬液蒸散体を、薬液を
収納し、かつ上部に開口部を有するボトルと、該開口部
に装着し、かつ中心部に筒状となるガイド部を有する中
栓と、該ガイド部に保持され、ガイド部より上端部が突
出する上部吸液芯と、該上部吸液芯の下端部に接触ない
しは近接して該ガイド部に装着し、ボトル内に収納され
る下部吸液芯とにより構成したことで、上部吸液芯を安
定して保持することができ、薬液蒸散体を装置本体に組
み込む際に、上部吸液芯、下部吸液芯の破損等をなく
し、組み込み作業も容易に行えるようにする。
【0018】更に、ボトル内の空気が加熱される上部吸
液芯へ直接触れるような間隙を中栓と下部吸液芯との嵌
合により設定できるような構造とすることにより、外気
温度等の変化に起因する液漏れを防止すると共に、加熱
蒸散使用時において、中栓により保持された上部吸液芯
と下部吸液芯との接触あるいは近接部分の微小な隙間に
下部吸液芯から上部吸液芯への薬液移行を防げる空気層
が形成されることを防止することにより、下部吸液芯か
ら上部吸液芯への薬液の吸い上げ量の減少を防止し、更
に上部吸液芯、下部吸液芯における目詰りを減少するこ
とで、薬液を安定して蒸散させることができる。
【0019】
【作 用】本発明によれば、ボトル内に収容された殺
虫、殺菌、消臭、芳香等の薬液中にボトル上部の開口部
に冠着する中栓の中心に上下方向に保持された多孔質吸
液芯の一部を浸漬して薬液を吸液すると共に、該芯の上
部を加熱することにより吸液された薬液を蒸散させる方
式の加熱蒸散装置における薬液蒸散体に関し、該吸液芯
を従来好適に用いられてきた強度性あるいは耐熱性に優
れた単一体吸液芯を組み込んだ構成を異にし、前述単一
体の下部を短くした上部吸液芯及びその下方に位置し短
くした部分に充当する吸液性の優れた多孔質の下部吸液
芯から成る二重構造とし、加熱部となる該芯と中栓との
嵌合を全長の長い単一体吸液芯の場合よりも短い上部吸
液芯とすることで、より強固かつ該芯の前後左右のぶれ
を小さくするとともに、二重構造とした上部吸液芯と下
部吸液芯とが強固に嵌着し一体化されていなくとも、相
互が中栓に内挿されることにより保持されて接触あるい
は近接している場合において、ボトル内の空気が加熱さ
れる上部吸液芯へ直接的に触れる間隙を中栓と下部吸液
芯との嵌合において設定できるような構造とすることに
より、加熱蒸散使用時における下部吸液芯から上部吸液
芯への薬液移行が円滑に行なわれ、安定した薬液蒸散を
行うことができる。
【0020】本発明で用いる薬液蒸散体は、薬液を収納
し、かつ上部に開口部を有するボトルと、該開口部に装
着し、かつ中心部に筒状となるガイド部を有する中栓相
当部と、該ガイド部に保持され、ガイド部より上端部が
突出する上部吸液芯と、該上部吸液芯の下端部に接触な
いしは近接して該ガイド部に装着しボトル内に収納され
る下部吸液芯とにより構成され、更にガイド部と下部吸
液芯との間にはボトル内と上部吸液芯とが直接連通する
ことにより通気を得るため、1箇所ないしはそれ以上の
間隙が設けられたものである。
【0021】以上のような構成によりボトル内に収納さ
れた薬液がまず下部吸液芯に吸液され、下部吸液芯と接
触ないし近接している上部吸液芯に吸い上げられる。そ
して上部吸液芯の上端部において、所定の加熱蒸散装置
の発熱体により加熱された薬液が安定して蒸散される。
【0022】薬液として本発明で用いられる殺虫剤は、
従来より用いられている各種蒸散性殺虫剤を用いること
ができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメイト系殺虫
剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に
安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用
いられ、例えばアレスリン、dl・d−T80−アレス
リン、d・d−T80−アレスリン、d・d−T80−
プラレトリン、フタルスリン、d−T80−レスメトリ
ン、d−T80−フラメトリン、ペルメトリン、フェノ
トリン、フェンバレレート、シペルメトリン、シフェノ
トリン、エムペントリン、テラレスリン、エトフェンプ
ロクス等従来公知の各種ピレスロイド系殺虫剤を用いる
ことができる。又、その使用目的に応じて、殺菌剤、防
カビ剤、消臭剤、忌避剤、香料等従来より用いられれて
いる蒸散性薬剤の溶液も使用でき、例えば殺菌・防カビ
剤としては、0−フェニルフェノール、イソプロピルメ
チルフェノール、2−クロロ−4−フェニルフェノー
ル、チモール等、香料としては、シトロネロール、オイ
ゲノール、メントール、リナロール等である。
【0023】又、本発明における上部吸液芯としては、
無機粉末及び/又は有機粉末の1種以上をバインダーと
共に押出成形し、乾燥したものや、無機粉末及び/又は
有機粉末の1種以上にバインダーを添加したものを圧縮
成形したものや、無機粉末及び/又は有機粉末の1種以
上をバインダーと共に成形したものを焼成したものや、
繊維状物質として、マット状に成型する等の手法が挙げ
られる。上部吸液芯の基材としての無機物質及び/又は
有機物質としては、種々のものを用いることができ、例
えばクレー、タルク、カオリン、ケイソウ土、石膏、パ
ーライト、ベントナイト、酸性白土、火山岩、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素、リン酸カルシウ
ム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウ
ム、乳酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグ
ネシウム、コロイダルシリカ、乳糖、白糖、デンプン、
CMC、MC、ヒドロキシプロピルスターチ、水酸化ア
ルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウ
ム、グラスファイバー、岩綿、セピオライト、粘土、コ
ークス、黒鉛、木粉、セルロース、パルプ、リンター、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルフ
ァイト、ポリアミド等の高分子樹脂等を例示できるが、
当然のことながらこれに限定されるものではない。
【0024】バインダーとしては、CMC、MCやヒド
ロキシエチルセルロース等の各種セルロース誘導体、ゼ
ラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール(PV
A)、デンプン及びその誘導体、プルラン、カゼイン及
びその誘導体、アルギン酸及びその誘導体、カードラ
ン、寒天、カラギーナン、ジュランガム、サクシノグル
カン、ファーセレラン、カラヤガム、アカシヤガム、タ
マリンドガム、アクリルアミド系重合物、トラガントゴ
ム、デキストラン、アルブミン、大豆タンパク質、ポリ
ビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ニゲラン、ルテ
ィン酸、リンマンナン、レバン、ペクチン、ポリビニル
ピロリドン、コラーゲン、ポリビニルメタクリレート、
コンドロイチン硫酸ナトリウム等の各種増粘剤や水溶性
高分子、ポリフェニレンサンファイト(PPS)、ポリ
ビニルブチラール(PVB)、アクリル系樹脂、ポリア
ミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン
(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、フ
ェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、タール、
ピッチ、ウレタン、ワックス、ワックスエマルジョン、
コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウ
ム、水ガラス、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウ
ム、リン酸水素カルシウム等のリン酸塩等が例示できる
が、特にこれらに限定されるものではない。以上のよう
な材料により強度性の優れた上部吸液芯を提供すること
ができる。
【0025】下部吸液芯としては、ガラス、ロックウー
ル、リンター、パルプ、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リオレフィン、アクリル等の無機有機の繊維、繊維棒状
成形物、および多孔質成形物等を用いることができる。
形状の自由度、製造性、強度等を考慮すると、多孔質成
形物が好ましい。多孔質成形物としては、圧縮成形、打
錠成形、焼結成形等により製造することができ、より好
ましくは、焼結成形であり、金属、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル系
共重合物、エチレン酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、
ポリ弗化ビニリデン等の粉体を主体として、焼結するこ
とができ、中栓との嵌合に対応した形状に成形すること
ができる。以上のような材料により吸液性の優れた下部
吸液芯を提供することができる。
【0026】本発明の薬液蒸散体の態様としては、以下
のような種々の態様を例示することができるが、これら
に限定されるものではない。 中栓に嵌合した上部吸液芯とボトル内とが連通する間
隙が、切欠を設けた下部吸液芯に中栓を嵌合させて得ら
れる構造とした薬液蒸散体。 中栓に嵌合した上部吸液芯とボトル内とが連通する間
隙が外側へ拡開した溝を下方に設けた中栓に下部吸液芯
を嵌合させて得られる構造とした薬液蒸散体。 中栓に嵌合した上部吸液芯とボトル内とが連通する間
隙が下方にスリットを設けた中栓に下部吸液芯を嵌合さ
せて得られる構造とした薬液蒸散体。
【0027】前記間隙の形状は溝、スリットに限らず、
穴等を下部吸液芯に設けることもできる。又、これらの
各態様において、上部吸液芯と下部吸液芯とは、双方あ
るいはどちらか一方に設けられた凹凸等の部分により嵌
合され一体化された構造となっていても何ら差し支えな
い。
【0028】
【実 施 例】以下、本発明の薬液蒸散体の各種態様に
ついての実施例を具体的に説明する。図1は本発明に係
わる薬液蒸散体の一実施例である。薬液蒸散体は、薬液
10を収納し、かつ上部に開口部5を有するボトル1
と、該開口部5に装着し、かつ中心部に上下方向に円筒
状となるガイド部8を有する中栓2と、該ガイド部8に
保持され、ガイド部8より上端部が突出する円柱状の上
部吸液芯3と、該上部吸液芯3の下端部に接触ないし近
接して該ガイド部8に装着しボトル1の内部に垂下して
収納され、かつガイド部8と嵌合する上部吸液芯3と同
径の円板部24及び該円板部24の下部に垂下する棒状
部26、更に前記円板部24の一部にはガイド部8と
合することにより、その嵌合部分に、上部吸液芯3に連
通する通気のための間隙を形成するための円形縁切欠部
29を設けた、円板部24のみ外方に拡径した段付き円
柱状の下部吸液芯4とから成る。なお、間隙部付近の断
面は図2の如くとなる。
【0029】前記開口部5の外周には、上端より中栓嵌
合部6と螺合部7とが設けられている。そして、この螺
合部7には使用前図示しないキャップ螺合することでボ
トル1を密封しており、使用時にはこのキャップを取り
外して使用するようになっている。中栓2はボトル1の
中栓嵌合部6に外嵌するようになると共に、ガイド部8
の内径は使用する上部吸液芯3の外径及び下部吸液芯4
の円板部24の外径と略等しくなっている。
【0030】又、該ガイド部8の内周面には、上端より
上下方向に所定寸法の溝部9を設けて、上部吸液芯3と
の嵌合を容易にすると共に、ボトル1の内外圧差を減ら
すようにし、内外圧差による液漏れを防止する。なお、
一部に該ガイド部8の内外を連通するスリットを有して
いる。溝部9は転倒時の液漏れを防止するため、ガイド
部8の上端側と下端側が直接連通しないように形成され
ている。
【0031】以上のような構成によりボトル1内に収納
された薬液10が、まず下部吸液芯4に吸液され、下部
吸液芯4と結合している上部吸液芯3に吸い上げられ
る。そして、上部吸液芯3の上端部において、図示しな
い加熱蒸散装置の発熱体により加熱され薬液10が蒸散
される。
【0032】図3は、上部吸液芯3と下部吸液芯4とを
中栓2のガイド部8の内部において嵌合した場合の例で
ある。上部吸液芯3は、前記実施例と同様の円柱状であ
るが、下端部に上方へ向かう穴部23を形成しており、
又、下部吸液芯4は、図1に示した実施例に準じて通気
間隙形成のための円形縁切欠部29を設けた上部吸液芯
3と同径の円板部24と、該円板部24の上部に上部吸
液芯3の下端部に形成した穴部23に嵌合する突起部2
5を形成しており、上部吸液芯3の穴部23と下部吸液
芯4の突起部25とが嵌合するような構造となってい
る。
【0033】図4も上部吸液芯3と下部吸液芯4との嵌
合例である。上部吸液芯3の下端に設けられた下方に向
かう突起部11と、下部吸液芯4の円板部24の上部に
設けられた下方へ向かう穴部12とが嵌合する構造とな
り、通気間隙形成に関しては図1に示した実施例に準じ
ている。
【0034】又、図1に示した実施例に対し、図5に示
すように下部吸液芯4の円板部24を両端に設けて下部
吸液芯4を上下反転可能とすることもできる。
【0035】又、図5に示す実施例においては、中栓2
の円筒状のガイド部8の上端側にテーパ部27を形成す
るようになっている。
【0036】なお、通気のための間隙は1個設ける場合
に限られず、円板部24に円形縁切欠部29を複数個設
けることにより増やすこともでき、その大きさ、形状等
も任意でよい。
【0037】図6乃至図9に円形縁切欠部29を設けた
円板部24の断面図を例示する。但し、下部吸液芯4に
膨潤性の材料を用いる場合、下部吸液芯4が吸液した
後、下部吸液芯4の体積が横方向、縦方向それぞれに増
加するので、中栓2のガイド部8との嵌合部が強固に嵌
合するが、体積増加分で間隙が埋まらない範囲で円形縁
切欠部29の数、大きさ、形状を設定する必要がある。
更に、下部吸液芯4の円板部24に設ける円形縁切欠部
29は、下部吸液芯4が中栓2のガイド部8から容易に
外れることのないように数、大きさ、形状を設定する必
要があり、必要以上に円形縁切欠部29を設けることは
好ましくない。
【0038】図10は、本発明の他の実施例である。上
部吸液芯3の形状および該上部吸液芯3が中栓2のガイ
ド部8の上方に保持されること、更に該ガイド部8の下
方に保持される下部吸液芯4とからなることは前記実施
例と同様であるが、下部吸液芯4の円板部24と嵌合す
る中栓2のガイド部8の下方には、該円板部24との嵌
合において上部吸液芯3に連通する通気のため間隙を形
成させるための芯嵌合溝部30を設けるている。この溝
部付近の断面は図11の如くなっている。
【0039】従って、前記実施例とは、下部吸液芯4の
円板部24の円板縁切欠部29が設けられていないこと
において異なる。なお、通気のための間隙は1個設ける
場合に限らず、前記実施例と同様に芯嵌合溝部30を複
数個設けることにより増やすあるいは大きくする等もで
きる。
【0040】又、本実施例においては、中栓2の円筒状
のガイド部8の上端側のみ上部吸液芯3の外径よりも外
方へ若干大きく拡径しており、かつ拡径した該ガイド部
8の上端側の内周面に拡径した幅に相当する上部吸液芯
3保持用の突条保持部32を形成した構造となっている
点でも前記実施例と異なる。
【0041】図12は、他の態様を示す実施例である。
基本構成は前記各実施例と同様であるが、下部吸液芯4
の円板部24と中栓2のガイド部8との嵌合において上
部吸液芯3に連通する通気のための間隙を形成させるた
め中栓2の該ガイド部8の下方側面にサイドスリット3
1を設けている。なお、図13はサイドスリット付近の
断面図である。
【0042】通気のための間隙は1個設ける場合に限ら
れず、サイドスリット31を複数個設けることにより増
やすこともでき、又、中栓2のガイド部8と下部吸液芯
4の円板部24との嵌合力を著しく低下させない範囲で
該サイドスリット31の数、位置、大きさを任意に設定
して使用することができる。これは、前記各実施例にお
ける円板縁切欠部29、芯嵌合溝部30を設ける場合に
おいても同様であり、更に、円板縁切欠部29、芯嵌合
溝部30およびサイドスリット31設けた各実施例を組
み合わせて用いることもでき、この場合においても数、
位置、大きさを任意に設定することにより薬液蒸散体の
吸液芯として使用できる。
【0043】又、図14は、更に他の態様を示す実施例
である。下部吸液芯4の円板部24は、前記実施例より
も高さ方向、すなわち上部吸液芯3の方向へ長くなって
おり、該円板部24の端面には、上部吸液芯3に接触あ
るいは近接した側から垂下する方向へ円形縁溝部33が
設けられており、該円形縁溝部33と中栓2のガイド部
8とが嵌合することにより上部吸液芯3に連通する通気
のための間隙が形成されると共に、円板部24に設けら
れた円形縁溝部33の対面には、嵌合時に中栓2のガイ
ド部8の下面に突き当たる円形縁突起部34を設けてい
る。該円形縁突起部34は、中栓2のガイド部8の下面
の位置で常に係止するため、ガイド部8と円板部24と
が常に一定の位置に嵌合するようになる。円形縁溝部3
3及び円形縁突起部34を設けた下部吸液芯4の円板部
24の断面は図15の如くなる。
【0044】本実施例においては、円形縁突起部34
は、外方に向かう凸状の突起を1箇所ないしそれ以上設
ける等、数、大きさ、形状は任意とすることができる。
【0045】なお、上部吸液芯3とボトル内とを連通さ
せて通気を保つ構成としては、図16に示すように中栓
2の下方に垂設した筒状部21に通気孔22を設ける構
成があり、図16においては、吸液芯が上部吸液芯3と
下部吸液芯4とからなる二重構造で、かつ中栓2のガイ
ド部8の側面に上部吸液芯3に連通する通気孔22を1
個設けた構成となっている。通気孔22の大きさ、位
置、数は上部吸液芯3に連通する範囲で任意とすること
ができる。但し、本構成の場合、通気孔22を介して上
部吸液芯3とボトル内とで空気の流通があり、上部吸液
芯3と下部吸液芯4とが接触あるいは近接した部分に加
熱蒸散使用時において空気層が形成されるのを防ぐこと
はできるが、この部分はボトル内の空気と直接的に触れ
ておらず、直接的な通気が得られないことから、下部吸
液芯4から上部吸液芯3へ向かう通気が前記実施例の場
合よりも減少し、薬液の吸い上げ状態において前記実施
例と若干の差異が生じる場合がある。しかし、本実施例
とした場合においても下部吸液芯4から上部吸液芯3へ
の薬液の吸い上げは十分にあり、薬液蒸散体として使用
できるものである。
【0046】図17は、本発明の全く別の構成を示す実
施例である。上部吸液芯3の形状及び該上部吸液芯3が
中栓2のガイド部8の上方に保持されることは前記実施
例と同様であり、下部吸液芯4を円板部24のない円柱
の棒状とすると共に、中栓2のガイド部8の下端開口部
を、円柱状の下部吸液芯と径が略等しい嵌挿孔35、及
び上部吸液芯3とボトル1内が連通されるような連通孔
36が設けられた形の中実断面としている。当然、嵌挿
孔35には下部吸液芯4が嵌挿する構造となる。該ガイ
ド部8の下端開口部の中実断面は図18の如くなってお
り、本実施例の場合、連通孔36は4箇所に設けられて
いる。連通孔36の形、大きさ、数は任意でよい。ま
た、下部吸液芯4は円柱状に限らず多角形状等任意であ
る。更に、嵌挿孔35の形状も、下部吸液芯4に合った
任意の形状とすることができる。
【0047】図19は、図17に示した前記実施例と上
部吸液芯3と下部吸液芯4とが直接嵌合する点において
異なる他の実施例であり、上部吸液芯3の下端に設けら
れた穴部23と下部吸液芯4の上端に設けられた突起部
25とが嵌挿する構造となっている。なお、下部吸液芯
4には該ガイド部8の下端開口部の中実部に引っ掛かる
ような円板部24が設けられている。該円板部24の径
は、上部吸液芯3あるいは中栓2のガイド部8の径より
小さくなっており、下部吸液芯4がガイド部8の下端開
口部の中実断面に設けられた嵌挿孔35に嵌合された
時、円板部24の側面とガイド部8の内側面との間に間
隙ができるような構造となっている。但し、本実施例の
場合、下部吸液芯4の中栓2への嵌合は該中栓2の上側
からしかできない。
【0048】しかし、実際には、円板部24を設けなく
ても何ら差し支えなく、この場合、下部吸液芯4の突起
部25の径が円柱部分より大きくならなければ、中栓2
への嵌合は上側からでも下側からでもできることにな
る。
【0049】以上の実施例の如く、上部吸液芯3の中栓
2への嵌合は上側からの方が挿入長が小さくなる分好ま
しいが、下部吸液芯4の中栓2への嵌合は、その構造に
よって上側からあるいは下側からと、任意とすることが
できる。
【0050】以下、試験例を示して本発明について具体
的に説明する。 試験例1 上部吸液芯として、特開昭63−24841公報の表1
の組成No.2に示した配合比の如く、石膏、クレー、
ケイソウ土、CMCからなる処方の成分について、水又
は熱水と練合し、押し出し成形機にて成形し、乾燥後、
直径7.0mm、長さ30mmで、かつ空隙率が30〜
40%となるようにサンプルを作製した。
【0051】又、下部吸液芯として、ポリエチレン粉末
を図20に示す形状のように焼結成形し、円板部24の
直径7.0mm、高さ3.0mm、該円板部24から延
伸した部分の直径を3.0mm、全長を43mmとする
と共に、成形後、図21に示す形状のように円板部24
の側面に円板縁切欠部29を設けるようにせん断加工を
施し、円板縁切欠部29の幅Wを1.0mmとしたサン
プルを作製した。なお、下部吸液芯の焼結成形は、ポリ
エチレン粉を充填したアルミ製の専用金型で、150℃
の加熱炉で30分処理後、常温にて30分徐冷すること
により行った。
【0052】更に、上部吸液芯と下部吸液芯とを中栓に
嵌挿させると共に、嵌挿させた吸液芯を図1に示す薬液
蒸散体にセットした。この時、中栓に嵌挿させた上部吸
液芯と下部吸液芯との空間高さを0.6mm、0.4m
m、0.2mm、空間なし(接触)としてこれらをそれ
ぞれ試験品No.1〜4とした。
【0053】別に、下部吸液芯の円板縁切欠部のない図
33に示す薬液蒸散体も作製し、中栓に嵌挿させた上部
吸液芯と下部吸液芯との空間高さを0.6mm、0.4
mm、0.2mmとして、これらをそれぞれ比較品N
o.1〜3とした。
【0054】試験品No.1〜4および比較品No.1
〜3薬液蒸散体において用いるボトル内の薬液は、殺虫
剤d・d−T80−プラレトリンを0.67W/V%含
有する炭素数14〜17の混合脂肪族飽和炭化水素溶液
約50mlとした。
【0055】以上の如く作製した薬液蒸散体を、図23
に示す加熱蒸散装置にセットし、発熱体に通電して上記
上部吸液芯の上側面部を120℃となるように加熱し、
各加熱時間当たりの薬液蒸散量を測定した。その結果を
表1に示す。なお、蒸散量は、単位時間経過に伴う薬液
量の減少をもって表した。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示す結果から明らかなように、試験
品1〜4の如く下部吸液芯4の円板部24に円板縁切欠
部29を設けて上部吸液芯3とボトル内とを直接的に連
通させた構造とした吸液芯を組み込んだ薬液蒸散体で
は、400hrの長期に亘る加熱使用において安定した
薬液蒸散が得られた。
【0058】逆に、比較品1〜3の如く上部吸液芯3と
ボトル1内部とが直接的に連通されていない場合におい
ては、加熱蒸散開始後50hr経過する迄で上部吸液芯
3の加熱部が乾き、薬液10の吸い上げが止まり、多量
の薬液10をボトル1内に残して蒸散が中断した。加熱
蒸散使用時の50hr迄に蒸散した薬液10は、加熱蒸
散使用前に既に上部吸液芯3に吸液していた量にほぼ同
じで、その後加熱を続けても下部吸液芯4から上部吸液
芯3へ殆ど薬液10が吸い上がらなかった。加熱を中断
すると再び下部吸液芯3から上部吸液芯4への薬液10
の吸い上げが見られたが、この状態で再度加熱しても薬
液10の吸い上げは止まり蒸散が中断した。
【0059】但し、上部吸液芯3と下部吸液芯4とが、
相方あるいはどちらか一方に設けられた凹凸等の部分に
より嵌合され一体化された構造となっている場合は、比
較品1〜3同様に上部吸液芯3とボトル1の内部とが直
接的に連通されていなくとも、試験品1〜4同様に長期
間安定した薬液蒸散が得られることが分かっており、加
熱蒸散使用時における下部吸液芯4から上部吸液芯3へ
の薬液供給を維持させる条件の1つとして、下部吸液芯
4の頂面の位置が上部吸液芯3の底面の位置よりも上に
位置するように相互が嵌合されていることが挙げられ
る。従って、試験品1〜4の吸液芯構成において、上部
吸液芯3と下部吸液芯4とが嵌合され一体化された構造
となっていても何ら差し支えなく、この場合においても
安定した薬液蒸散が得られることが分かっている。
【0060】上部吸液芯と下部吸液芯との嵌合において
間隙を設けた場合にも薬液が上部吸液芯に吸液される原
因としては、主として、下部吸液芯の上端に薬液が一定
の厚みで溜まることと、中栓の内壁を介した薬液の表面
張力による内壁へ伝わる薬液の高さによることが考えら
れる。このため、間隙の必要最小厚みは薬液の粘度や表
面張力により決まり、更には嵌合部分の形状により決ま
ってくる。試験品に上げているような炭化水素系溶剤を
用い、中栓内部が滑面の場合、間隙が0〜0.6mm程
度が好ましい。
【0061】又、平滑な上部吸液芯下面と、同じく平滑
な下部吸液芯上面とを接触させて中栓へ嵌合する構造の
場合、下部吸液芯から上部吸液芯への薬液の移行は双方
の接触面において行われるが、中栓内での相互吸液芯の
接触が均一でない場合、例えば、上部吸液芯あるいは下
部吸液芯が製造時のバラツキ等により接触面の平滑性が
十分に保たれていない場合、更には中栓への該吸液芯嵌
合時にぶれが生じる等で嵌合方法に問題がある場合、加
熱蒸散使用時において下部吸液芯から上部吸液芯への薬
液の移行が不安定となることが考えられ、この場合、双
方の吸液芯、特に下部吸液芯の組成に工夫が必要となる
と共に、薬液として使用する溶剤にも吸液の安定性を決
める要素があり、その管理が難しくなる。
【0062】試験例2 上部吸液芯として、試験例1と同様の成分および製法で
直径7.0mm、長さ30mmのサンプルを作製した。
又、下部吸液芯として、図20に示す形状の焼結成形体
を、試験例1と同様に円板部24の直径7.0mm、高
さ3.0mm、該円板部24から延伸した部分の直径を
3.0mm、全長43mmに成形すると共に、成形後図
22に示す形状の如く円板部24の側面に円板縁切欠部
29を対面した2箇所に設けるようにせん断加工を施
し、それぞれの円板縁切欠部29の幅Wを1.0mmと
したサンプルを作製した。
【0063】以下、試験例1同様に、図1に示す薬液蒸
散体にセットした。この時、中栓に嵌挿させた上部吸液
芯と下部吸液芯との空間高さを0.6mm、0.4m
m、0.2mm、空間なし(接触)として、これらをそ
れぞれ試験品No.5〜8とした。
【0064】別に、下部吸液芯の円形縁切欠部29を幅
0.5mmとして1箇所設け、更に上部吸液芯と下部吸
液芯との嵌挿部の空間高さを0.6mm、0.4mm、
0.2mm、なし(接触)としたものを作製し、これら
をそれぞれ試験品No.9〜12とした。
【0065】試験品No.5〜12の薬液蒸散体におい
て用いるボトル1内の薬液10、加熱蒸散装置、および
上部吸液芯の加熱温度は試験例1と同様とした。その結
果を表2に示す。なお蒸散量は単位時間経過に伴う薬液
量の減少をもって表わした。
【0066】
【表2】
【0067】表2に示す結果の通り、1mm幅の円形縁
切欠部29を2箇所設けた場合、また0.5mm幅の円
形縁切欠部29を1箇所とした場合の薬液蒸散体で、4
00hrの長期に亘る加熱使用において安定した薬液蒸
散が得られた。しかし、上部吸液芯と下部吸液芯との嵌
挿部の空間高さをさらに広くとった薬液蒸散体では、炭
化水素系溶剤を薬液とする場合においては、400hr
の長期に亘って薬液蒸散が維持しない場合があることが
分かっている。
【0068】従って、上部吸液芯と下部吸液芯との嵌挿
においては、加熱蒸散時の薬液を考慮した場合、当然こ
れらを密着させることが好ましいが、密着できないまで
も、試験品、つまり炭化水素系溶剤を薬液とする場合に
関しての試験例から、空間距離を0〜0.6mm程度と
するのが好ましいことが分かる。
【0069】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、上部吸液
芯を安定して保持することができ、薬液蒸散体を装置本
体に組み込む際に、上部吸液芯、下部吸液芯の破損等を
なくし、組み込み作業も容易に行える。また、外気温度
等の変化に起因する液漏れを防止できる。また、加熱蒸
散使用時において中栓により保持された上部吸液芯と下
部吸液芯との接触あるいは近接部分の微小な隙間は、中
栓と上部吸液芯の嵌挿部分の間隙でボトル内に連通する
ので、前述の隙間に下部吸液芯から上部吸液芯への薬液
移行を妨げる空気層が形成されることがない。したがっ
て、下部吸液芯から上部吸液芯への薬液の吸い上げ量の
減少を防止し、さらに上部吸液芯、下部吸液芯における
目詰りを減少することで、薬液を長期間に亘って安定し
て蒸散させることができる。請求項2に係る発明によれ
ば、上部吸液芯を安定して保持することができ、薬液蒸
散体を装置本体に組み込む際に、上部吸液芯、下部吸液
芯の破損等をなくし、組み込み作業も容易に行える。ま
た、外気温度等の変化に起因する液漏れを防止できる。
また、加熱蒸散使用時において中栓により保持された上
部吸液芯と下部吸液芯との嵌合部分の微小な隙間は、中
栓と上部吸液芯の嵌挿部分の間隙でボトル内に連通する
ので、前述の隙間に下部吸液芯から上部吸液芯への薬液
移行を妨げる空気層が形成されることがない。したがっ
て、下部吸液芯から上部吸液芯への薬液の吸い上げ量の
減少を防止し、さらに上部吸液芯、下部吸液芯における
目詰りを減少することで、薬液を長期間に亘って安定し
て蒸散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における試験品No.1〜No.12で
の実施例を示す薬液蒸散体の断面図。
【図2】図1に示す薬剤蒸散体のA−A断面図。
【図3】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す断
面図。
【図4】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す断
面図。
【図5】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す断
面図。
【図6】本発明の薬液蒸散体の下部吸液芯の円形縁切欠
部の例を示す断面図。
【図7】本発明の薬液蒸散体の下部吸液芯の円形縁切欠
部の例を示す断面図。
【図8】本発明の薬液蒸散体の下部吸液芯の円形縁切欠
部の例を示す断面図。
【図9】本発明の薬液蒸散体の下部吸液芯の円形縁切欠
部の例を示す断面図。
【図10】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す
断面図。
【図11】図10に示す薬液蒸散体のB−B断面図。
【図12】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す
断面図。
【図13】図12に示す薬液蒸散体のC−C断面図。
【図14】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す
断面図。
【図15】図14に示す薬液蒸散体のD−D断面図。
【図16】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す
断面図。
【図17】本発明の薬液蒸散体のさらに他の構成を示す
断面図。
【図18】図17に示す薬液蒸散体のE−E断面図。
【図19】本発明の薬液蒸散体のさらに他の例を示す断
面図。
【図20】本発明の薬液蒸散体に用いる下部吸液芯。
【図21】本発明の薬液蒸散体に用いる円形縁切欠部を
設けた下部吸液芯。
【図22】本発明の薬液蒸散体に用いる2箇所の円形縁
切欠部を設けた下部吸液芯。
【図23】従来の加熱蒸散装置の断面図。
【図24】従来の中栓の斜視図。
【図25】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図26】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図27】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図28】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図29】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図30】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図31】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図32】従来の薬液蒸散体の断面図。
【図33】本発明における比較品No.1〜No.3で
の実施例を示す薬液蒸散体の断面図。
【符号の説明】
1…ボトル、2…中栓、3…上部吸液芯、4…下部吸液
芯、5…開口部、6…中栓嵌合部、7…螺合部、8…ガ
イド部、9…溝部、10…薬液、11…突起部、12…
穴部、13…第1拡開部、14…第2拡開部、15…吸
液芯、16…装置本体、17…発熱体、18…通気孔、
19…口縁、20…切欠、21…筒状部、22…通気
孔、23…穴部、24…円板部、25…突起部、26…
棒状部、27…テーパ部、28…環状突起部、29…円
板縁切欠部、30…芯嵌合溝部、31…サイドスリッ
ト、32…突条保持部、33…円形縁溝部、34…円形
縁突起部、35…嵌挿孔、36…連通孔。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボトル内に収容された薬液中にボトル上
    部の開口部に冠着する中栓相当部によって上下方向に保
    持された吸液芯の一部を浸漬して薬液を吸液すると共
    に、該吸液芯の上部を発熱体によって加熱することによ
    り吸液された薬液を蒸散させる方式の加熱蒸散装置にお
    ける薬液蒸散体において、 前記吸液芯を加熱部に相当する上部吸液芯薬液浸漬
    吸い上げ部に相当する下部吸液芯から成る二重構造と
    し、 前記上部吸液芯の下部を中栓に嵌挿し、その嵌挿部分で
    ボトル内がボトル外に連通しないようにし、 前記下部吸液芯の上部を中栓に嵌挿し、その下部吸液芯
    の上部と前記部吸液芯の下部を近接または密接して連
    接させ、 前記中栓と下部吸液芯との嵌合部分に、前記上部吸液芯
    の下部をボトル内に連通させる間隙を設けたことを特徴
    とする加熱蒸散装置における薬液蒸散体。
  2. 【請求項2】 ボトル内に収容された薬液中に、ボトル
    上部の開口部に冠着する中栓相当部によって上下方向に
    保持された吸液芯の一部を浸漬して薬液を吸液すると共
    に、該吸液芯の上部を発熱体によって加熱することによ
    り吸液された薬液を蒸散させる方式の加熱蒸散装置にお
    ける薬液蒸散体において、 前記吸液芯を加熱部に相当する上部吸液芯薬液浸漬
    吸い上げ部に相当する下部吸液芯を備え、かつ上部吸
    液芯の下部と下部吸液芯の上部とが双方あるいはどちら
    か一方に設けられた凹凸等の部分により嵌合し一体化さ
    れた二重構造とし、 前記上部吸液芯の下部を中栓に嵌挿し、その嵌挿部分で
    ボトル内がボトル外に連通しないようにし、 前記下部吸液芯の上部を中栓に嵌挿し、その中栓と下部
    吸液芯の嵌合部分に、前記上部吸液芯の下部をボトル内
    に連通させる間隙を設けたことを特徴とする加熱蒸散装
    置における薬液蒸散体。
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