JP3248463B2 - インダクタ及びその製造方法 - Google Patents

インダクタ及びその製造方法

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JP3248463B2 JP24762597A JP24762597A JP3248463B2 JP 3248463 B2 JP3248463 B2 JP 3248463B2 JP 24762597 A JP24762597 A JP 24762597A JP 24762597 A JP24762597 A JP 24762597A JP 3248463 B2 JP3248463 B2 JP 3248463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、素子の内部にイン
ダクタンス素子として機能する導体(内部導体)を配設
してなるインダクタに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】表面実
装型のインダクタの一つに積層型インダクタがある。こ
の積層型インダクタは、例えば、図10(a),図10
(b)に示すように、素子(チップ状素子)51中に、複
数の内部導体52a(図10(b))が接続されることに
より形成される積層型のコイル52(図10(b))を配
設するとともに、コイル52の両端部と接続するように
外部電極53a,53b(図10(a))を配設すること
により形成されている。
【0003】ところで、このような積層型インダクタ
は、例えば、図10(b)に示すように、印刷工法により
所定のパターンの内部導体52aを付与したセラミック
グリーンシート54を複数枚積層し、各内部導体52a
をバイアホール55により接続してコイル52を形成
し、これを焼成した後、素子51の所定の位置に導電ペ
ーストを塗布、焼付けして、外部電極53a,53bを
配設することにより製造されている。
【0004】このような積層型インダクタにおいては、
上述のように、印刷工法によりコイルを構成する内部導
体を付与するようにしているので、内部導体52aの厚
みを大きくすることは困難であり(通常は20μmが上
限とされている)、内部導体(すなわちコイル)の電気
抵抗をある程度以下にまで低くすることができないとい
う問題点がある。
【0005】また、このような問題点を解消するものと
して、図11に示すように、セラミックからなる素子6
1中に、金属線(例えばAg線)をコイル状に成形した
内部導体62を配設するとともに、素子61に外部電極
63a,63bを配設したインダクタが提案されている
が、このインダクタにおいては、素子61を構成するセ
ラミックと内部導体62が密着しているため、焼成時の
両者の収縮差により、両者の間に応力が発生し、セラミ
ックに割れが生じたり、割れが発生しないまでも応力が
残留したりし、また、周囲環境や使用状態による温度変
化からも、セラミックと内部導体の間に収縮差が生じ、
応力が発生する。
【0006】そして、上記のようにしてインダクタに残
留する応力や、使用状態などから生じる応力は、インダ
クタの電気特性を劣化させるばかりでなく、応力の大き
さによってはセラミックに割れを生じさせ、また、応力
の印加、解放の繰り返しも、セラミックに割れを発生さ
せる原因となる。また、割れが生じると漏れ磁束も大き
くなり、さらに特性の劣化を招くことになる。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、内部導体の電気抵抗が小さく、かつ、素子を構成す
るセラミックなどの材料と内部導体との間に応力が発生
したり、チップ内部に割れを生じたりすることがなく、
所望の特性を実現することが可能で、しかも、信頼性の
高いインダクタ及びその製造方法を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明(請求項1)のインダクタは、内部にインダ
クタンス素子として機能する導体(内部導体)が配設さ
れたセラミック焼結体であるチップ状素子に、前記内部
導体と導通する外部電極が配設された構造を有するイン
ダクタであって前記チップ状素子が、磁性体セラミッ
ク又は誘電体セラミックを用いて形成されており、 前記
内部導体が、Ag,Cu,Ni及びこれらの合金のいず
れかからなる金属線を螺旋状に成形してなるコイルであ
り、かつ、前記コイルが、前記チップ状素子中にコイル
の軸心方向に連通するように配設された略筒状の樹脂中
に埋設され、コイルを構成する金属線の、コイルの軸心
方向において隣り合う部分が絶縁された状態で保持され
ていることを特徴としている。
【0009】内部導体として金属線を用いることによ
り、内部導体の抵抗を十分に低下させることが可能にな
り、かつ、その形状をコイル状とすることにより、所望
のインダクタンスを得ることが可能になる。また、内部
導体は樹脂により被覆された(包まれた)状態でセラミ
ック焼結体であるチップ状素子中に保持されているの
で、内部導体の変形に起因して特性のバラツキを生じた
りすることを防止して、信頼性を向上させることが可能
になる。
【0010】また、チップ状素子の構成材料として、磁
性体セラミック又は誘電体セラミックを用いているの
、所望の特性を備えたインダクタることが可能に
なる
【0011】さらに、内部導体として、Ag,Cu,N
i及びこれらの合金のいずれかからなる線材を成形して
なるものを用いているので、電気抵抗が小さく、コイル
状の内部導体を確実に形成することが可能にな
【0012】また、内部導体をコイル状としているの
、十分なインダクタンスを得ることが可能になるとと
もに、内部導体を構成する金属線の、コイルの軸心方向
において隣り合う各部分が、コイルの軸心方向に連通す
るように配設された略筒状の樹脂中に、互いに絶縁され
た状態で保持されているので、内部導体の変形に起因し
て特性のバラツキを生じたりすることを防止して、信頼
性を向上させることが可能になる。また、コイル状の内
部導体の、軸心方向において隣り合う各部分(コイルピ
ッチ部分)が一体として略筒状の樹脂中に保持されるよ
うにしているので、コイルピッチ間の漏れ磁束を減らし
て特性を向上させることが可能になる。
【0013】また、本発明(請求項)のインダクタの
製造方法は、内部にインダクタンス素子として機能する
導体(内部導体)が配設されたセラミック焼結体である
チップ状素子に、前記内部導体と導通する外部電極が配
設された構造を有するインダクタの製造方法であって、
非直線状の金属線からなる内部導体を、焼成時に除去さ
れる被覆材料により被覆する工程と、被覆材料により被
覆された内部導体を成形用型に入れ、その周囲に素子構
成材料を充填することにより、所定の位置に内部導体が
配設された成形体(未焼成のチップ状素子)を形成する
工程と、前記未焼成のチップ状素子を焼成して前記被覆
材料を除去することにより、内部導体の周囲に空隙を形
成する工程と、前記空隙中に樹脂を充填する工程と、前
記樹脂を硬化させる工程とを具備することを特徴として
いる。
【0014】本発明(請求項)のインダクタの製造方
法は、非直線状の金属線からなる内部導体を被覆材料に
より被覆し、これを成形用型に入れ、その周囲に素子構
成材料を充填して成形体(未焼成のチップ状素子)を形
成し、これを焼成して被覆材料を除去することにより、
内部導体の周囲に樹脂が充填される空隙を形成した後、
この空隙中に樹脂を充填して硬化させるようにしている
ので、チップ状素子の内部に非直線状の導体(内部導
体)が配設された構造を有するインダクタを効率よく製
造することができる。なお、焼成工程で被覆材料が除去
され、内部導体の周囲に、後の工程で樹脂が充填される
ことになる空隙が形成されるため、焼成時に内部導体と
セラミックなどの素子構成材料の間に応力が生じて、内
部クラックなどが発生することを確実に防止できるよう
になる。
【0015】また、本発明(請求項)のインダクタの
製造方法は、請求項1記載のインダクタの製造方法であ
って、コイル状の金属線からなる内部導体を、焼成時に
除去される被覆材料により、コイルの軸心方向において
隣り合う各部分を一体として被覆する工程と、被覆材料
により被覆されたコイル状の内部導体を成形用型に入
れ、その周囲に素子構成材料を充填することにより、所
定の位置に内部導体が配設された成形体(未焼成のチッ
プ状素子)を形成する工程と、前記未焼成のチップ状素
子を焼成して被覆材料を除去することにより、コイル状
の内部導体の周囲に、コイルの軸心方向に連通し、コイ
ルの軸心方向において隣り合う各部分が一体として収容
される略筒状の空隙を形成する工程と、前記空隙中に樹
脂を充填する工程と、前記樹脂を硬化させる工程とを具
備することを特徴としている。
【0016】本発明(請求項)のインダクタの製造方
法は、コイル状の金属線からなる内部導体を、被覆材料
により、コイルの軸心方向において隣り合う各部分を一
体として被覆し、これを成形用型に入れ、その周囲に素
子構成材料を充填することにより、所定の位置に内部導
体が配設された成形体(未焼成のチップ状素子)を形成
し、この未焼成のチップ状素子を焼成して被覆材料を除
去することにより、コイル状の内部導体の周囲に、コイ
ルの軸心方向に連通し、コイルの軸心方向において隣り
合う各部分が一体として収容される略筒状の空隙を形成
し、この空隙中に樹脂を充填して硬化させるようにして
いるので、本発明(請求項)のインダクタを効率よく
製造することができるようになる。なお、この請求項
のインダクタの製造方法においても、上記請求項の場
合と同様に、焼成工程で被覆材料が除去され、内部導体
の周囲に空隙が形成されるため、焼成時に内部導体とセ
ラミックなどの素子構成材料の間に応力が生じて、内部
クラックなどの発生を確実に防止することができるよう
になる。
【0017】また、本発明(請求項)のインダクタの
製造方法は、前記被覆材料として、焼成時に分解、燃焼
して除去される樹脂系材料、又は、焼成時に溶融して除
去される低融点金属材料のいずれかを用いることを特徴
としている。
【0018】被覆材料として、焼成時に分解、燃焼して
除去される樹脂系材料(例えば、エナメル樹脂など)、
又は、焼成時に溶融して除去される低融点金属材料(例
えば、はんだ、スズ、ビスマスなど)を用いた場合、こ
れらの被覆材料を焼成時に確実に除去して内部導体の周
囲に所望の空隙を形成することが可能になり、この空隙
中に樹脂を充填して硬化させることにより、本発明(請
求項1)のインダクタをはじめ、チップ状素子の内部に
非直線状の導体(内部導体)が配設された構造を有する
インダクタを効率よく製造することができるようにな
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示し
て、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0020】図1はこの実施形態のインダクタを構成す
る素子(チップ状素子)の正面断面図、図2はその側面
断面図、図3はこの実施形態のインダクタを示す斜視図
である。このインダクタは、図3などに示すように、セ
ラミックからなる素子(チップ状素子)1中に、金属線
をコイル状に成形した内部導体2を配設するとともに、
素子1の両端側に内部導体2と導通する外部電極3a,
3bを配設することにより形成されている。
【0021】また、このインダクタにおいて、素子1中
には、コイル状の内部導体(コイル)2を取り囲むよう
に、略筒状(円筒状)の樹脂4が配設されており、コイ
ル2の軸心方向において隣り合う各部分(コイルピッチ
部分)2aが、一体としてこの略筒状の樹脂4中に保持
されている。
【0022】なお、素子1を構成するセラミックとして
は、Ni-Cu-Znフェライトなどの磁性体セラミック
や、チタン酸バリウムなどの誘電体セラミックなどを用
いることが可能である。なお、本発明のインダクタに用
いるのに好ましいセラミックはこれに限られるものでは
なく、その他にも、MgO−Al−SiO系,
MgO−SiO系,Al−SiO系,MgO
−Al系セラミックなどの種々のセラミックを用
いることが可能である。
【0023】さらに、内部導体2としては、抵抗値が低
いAg,Cu,Ni及びこれらの合金のいずれかからな
る線材を用いることが好ましく、また、インダクタの特
性に応じて、線径が50〜400μmのものを用いるこ
とが好ましい。また、空隙に充填する樹脂4としては、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの種々
の樹脂材料を用いることが可能である。
【0024】次に、上記インダクタの製造方法について
説明する。まず、金属線(この実施形態ではAg線)を
成形して、図4に示すように、コイル2を形成する。次
に、このコイル2を、図5に示すように、樹脂系の被覆
材料(この実施形態ではエナメルペイント)5でコーテ
ィングする。このとき、コイル2はその軸心方向におい
て隣り合う各部分(コイルピッチ部分)2aの主要部が
一体として被覆材料5でコーティングされるとともに、
コイルの内側には略筒状(円柱状)の中空部14が形成
されている。なお、コイルの形などによっては、中空部
14を形成しないようにしてもよい。また、場合によっ
ては、金属線に被覆材料を被覆した後、これをコイル状
に成形することも可能である。
【0025】なお、被覆材料5をコーティングする際の
厚み(コート厚み)は素子1を構成するセラミックの焼
成時の収縮率など考慮して決定することが望ましい。例
えば、セラミックの焼成時の収縮率が20%の場合、コ
ート厚みを、コイル2を構成する金属線の直径の20%
程度とすることにより、焼成時の割れの発生を効率よく
抑えることができる。例えば、Ag線の直径が200μ
mで、周囲に成型するセラミックの収縮率が1.2の場
合、コート厚みを35μm程度とすることにより、焼成
時の割れの発生を抑制することが可能になる。
【0026】それから、図6に示すように、被覆材料5
をコーティングしたコイル2を成形用型6に入れ、コイ
ル2の周囲に、素子構成材料であるセラミック原料7を
充填して成形する。なお、この実施形態では、セラミッ
クを成形する方法として、セラミック原料粉体とエポキ
シ樹脂と硬化剤を混合してなる泥しょうを、内部導体
(コイル)を入れた型に流し込んで硬化させるゲルキャ
スティング法を用いた。なお、セラミックの成形方法と
しては、その他にも、セラミック原料粉体と熱硬化性樹
脂とを混合した混合物を内部導体(コイル)を入れた型
に充填して加熱硬化させる樹脂硬化法、セラミック原料
粉体とエポキシ樹脂と硬化剤を混合してなる泥しょう
を、内部導体(コイル)を入れた型に流し込んで硬化さ
せるゲルキャスティング法、石膏鋳型に成形した内部導
体(コイル)を入れ、スラリーを流し込んで脱水する鋳
込成形法などを用いることが可能である。
【0027】次に、得られた成形体(未焼成のチップ状
素子)を熱処理して、コイルにコーティングされた被覆
材料5を分解、燃焼させて除去することにより、図7に
示すように、セラミックを焼結させるとともに、チップ
状素子1の内部に略筒状の空隙4aを形成する。
【0028】それから、このチップ状素子1を、例えば
真空中でエポキシ樹脂材料中に浸漬した後、引き上げ、
加熱してエポキシ樹脂を硬化させることにより、図1,
2に示すようなチップ状素子1が得られる。
【0029】このチップ状素子1においては、図1及び
図2に示すように、内部導体(コイル)2を取り囲むよ
うに形成された略筒状の空隙4a(図7)中に樹脂4が
充填されており、コイル2の軸心方向において隣り合う
各部分(コイルピッチ部分)2aは、一体として樹脂4
中に保持されている。
【0030】それから、このチップ状素子1の所定の位
置(この実施形態では、コイル2の両端部が露出した両
端面を含む位置)に、例えば、導電ペーストを塗布、焼
付けすることにより外部電極3a,3b(図3)を形成
する。このようにして、図3に示すインダクタが得られ
る。
【0031】この実施形態のインダクタ(実施例1)
は、上述のように、内部導体であるコイル2の周囲に設
けられた略筒状の空隙4aに樹脂4が充填され、コイル
2の軸心方向において隣り合う各部分(コイルピッチ部
分)2aが一体として樹脂4中に保持されているため、
コイル2の変形に起因して特性のバラツキを生じたりす
ることを防止して、信頼性を向上させることが可能にな
る。
【0032】また、樹脂4は、素子構成材料であるセラ
ミックに比べて剛性が小さいため、周囲環境や使用状態
による温度変化が生じた場合にも、内部導体に大きな応
力が生じることを防止して特性のバラツキを抑制するこ
とが可能になる。
【0033】また、コイル2の、軸心方向において隣り
合う各部分(コイルピッチ部分)2aが一体として樹脂
4中に保持されているので、コイルピッチ間の漏れ磁束
を減少させて特性を向上させることが可能になる。その
結果、所望の特性を有し、かつ信頼性の高いインダクタ
を得ることが可能になる。
【0034】なお、本発明の他の実施形態にかかるイン
ダクタ(実施例2)を図8に示す。このインダクタは、
図9に示すように、コイル2の周囲にのみ空隙4aを形
成するとともに、空隙4aに樹脂4を充填することによ
り、図1〜図3及び図7に示すインダクタの製造方法に
準じて製造することができる。この実施例2のインダク
タにおいても、上記実施例1のインダクタとほぼ同様の
効果が得られる。
【0035】なお、上記実施形態では、内部導体がコイ
ルである場合について説明したが、本発明は、コイル以
外の非直線状の種々の形状の内部導体を用いたインダク
タを製造する場合に適用することが可能であり、その
場合にも上記実施形態と同様の効果を得ることが可能で
ある。
【0036】また、上記実施形態では、被覆材料として
樹脂系材料であるエナメル樹脂を用いた場合について説
明したが、被覆材料はこれに限られるものではなく、焼
成時に分解、燃焼などにより除去される種々の樹脂系材
料を用いることが可能である。また、被覆材料は、樹脂
系材料に限られるものではなく、はんだ、スズ、ビスマ
スなどの種々の低融点金属材料を用いることも可能であ
る。また、上記実施形態では、空隙部に充填する樹脂と
して、エポキシ樹脂を用いた場合について説明したが、
エポキシ樹脂に限らず、アクリル樹脂、ウレタン樹脂な
どの樹脂を用いることが可能である。
【0037】本発明は、さらにその他の点においても上
記実施形態に限定されるものではなく、素子の形状、外
部電極の形状や配設位置、被覆材料のコーティング方
法、空隙部への樹脂の充填方法などに関し、発明の要旨
の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可
能である。
【0038】
【発明の効果】上述のように、本発明(請求項1)のイ
ンダクタは、内部導体として金属線が用いられているた
め、内部導体の抵抗を低下させることが可能になり、ま
た、内部導体がコイル状であるため、十分なインダクタ
ンスを得ることが可能になる。また、内部導体は樹脂に
より被覆された(包まれた)状態でセラミック焼結体で
あるチップ状素子中に保持されているので、内部導体の
変形に起因して特性のバラツキを生じたりすることを防
止して、信頼性を向上させることができる。
【0039】また、チップ状素子の構成材料として、磁
性体セラミック又は誘電体セラミックを用いるようにし
ているので、特性の良好なインダクタが確実に得られる
ようになり、本発明を実効あらしめることができる。
【0040】また、内部導体として、Ag,Cu,Ni
及びこれらの合金のいずれかからなる線材を成形してな
るものを用いているので、電気抵抗が小さく、コイル状
内部導体を確実に得ることが可能になる。
【0041】また、内部導体をコイル状の形状とし、か
つ、コイルを構成する金属線の、コイルの軸心方向にお
いて隣り合う各部分を、コイルの軸心方向に連通するよ
うに配設された略筒状の樹脂中に保持させるようにし
いるので、空隙が形成されることがなく、内部導体が変
形してインダクタンスのバラツキを生じたり、コイルの
途中でコイルどうしが短絡したりすることを防止して、
信頼性を向上させることが可能になる。また、コイル状
の内部導体の、軸心方向において隣り合う各部分(コイ
ルピッチ部分)が一体として略筒状の樹脂中に保持され
るようにしているので、コイルピッチ間の漏れ磁束を減
らして特性を向上させることができる。
【0042】また、本発明(請求項)のインダクタの
製造方法は、非直線状の金属線からなる内部導体を被覆
材料により被覆し、これを成形用型に入れ、その周囲に
素子構成材料を充填して成形体(未焼成のチップ状素
子)を形成し、これを焼成して被覆材料を除去すること
により、内部導体の周囲に樹脂が充填される空隙を形成
した後、この空隙中に樹脂を充填して硬化させるように
しているので、チップ状素子の内部に非直線状の導体
(内部導体)が配設された構造を有するインダクタを効
率よく製造することができる。なお、焼成工程で被覆材
料が除去され、内部導体の周囲に、後の工程で樹脂が充
填されることになる空隙が形成されるため、焼成時に内
部導体とセラミックなどの素子構成材料の間に応力が生
じて内部クラックなどが発生することを確実に防止し、
信頼性を向上させることができる。
【0043】また、本発明(請求項)のインダクタの
製造方法は、コイル状の金属線からなる内部導体を、被
覆材料により、コイルの軸心方向において隣り合う各部
分を一体として被覆し、これを成形用型に入れ、その周
囲に素子構成材料を充填することにより、所定の位置に
内部導体が配設された成形体(未焼成のチップ状素子)
を形成し、この未焼成のチップ状素子を焼成して被覆材
料を除去することにより、コイル状の内部導体の周囲
に、コイルの軸心方向において隣り合う各部分が一体と
して収容される略筒状の空隙を形成し、この空隙中に樹
脂を充填して硬化させるようにしているので、上記構成
を有する本発明(請求項)のインダクタを効率よく製
造することができるようになる。なお、この請求項
インダクタの製造方法においても、上記請求項のイン
ダクタの製造方法の場合と同様に、焼成工程で被覆材料
が除去され、内部導体の周囲に、後の工程で樹脂が充填
されることになる空隙が形成されるため、焼成時に内部
導体とセラミックなどの素子構成材料の間に応力が生じ
て内部クラックなどが発生することを確実に防止し、信
頼性を向上させることができる。
【0044】また、本発明(請求項)のインダクタの
製造方法のように、被覆材料として、焼成時に分解、燃
焼して除去される樹脂系材料、又は、焼成時に溶融して
除去される低融点金属材料を用いた場合、これらの被覆
材料を焼成時に確実に除去して内部導体の周囲に所望の
空隙を形成することができるようになり、この空隙中に
樹脂を充填して硬化させることにより、本発明(請求項
1)のインダクタをはじめ、チップ状素子の内部に非直
線状の導体(内部導体)が配設された構造を有するイン
ダクタを効率よく製造することができるようになり、
発明をより実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインダクタを構成
する素子(チップ状素子)の正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるインダクタを構成
する素子(チップ状素子)の側面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるインダクタを示す
斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるインダクタの製造
方法の一工程で形成したコイル(内部導体)を示す図で
ある。
【図5】本発明の一実施形態にかかるインダクタの製造
方法の一工程でコイルに被覆材料をコーティングした状
態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるインダクタの製造
方法の一工程でセラミックを成形する状態を示す図であ
る。
【図7】本発明の一実施形態にかかるインダクタの製造
方法の一工程でセラミックを焼成した状態を示す正面断
面図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかるインダクタを構
成する素子(チップ状素子)の正面断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態にかかるインダクタの製
造方法の一工程でセラミックを焼成した状態を示す正面
断面図である。
【図10】(a)は従来の積層型インダクタを示す斜視
図、(b)はその要部を示す分解斜視図である。
【図11】従来の他のインダクタを示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子(チップ状素子) 2 内部導体(コイル) 2a コイルピッチ部分 3a,3b 外部電極 4 樹脂 4a 空隙 5 被覆材料 6 成形用型 7 セラミック原料 14 中空部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 17/06 C04B 35/64 H01F 27/29 H01F 41/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部にインダクタンス素子として機能する
    導体(内部導体)が配設されたセラミック焼結体である
    チップ状素子に、前記内部導体と導通する外部電極が配
    設された構造を有するインダクタであって前記チップ状素子が、磁性体セラミック又は誘電体セラ
    ミックを用いて形成されており、 前記内部導体が、Ag,Cu,Ni及びこれらの合金の
    いずれかからなる金属線を螺旋状に成形してなるコイル
    であり、かつ、 前記コイルが、前記チップ状素子中にコイルの軸心方向
    に連通するように配設された略筒状の樹脂中に埋設さ
    れ、コイルを構成する金属線の、コイルの軸心方向にお
    いて隣り合う部分が絶縁された状態で保持されているこ
    を特徴とするインダクタ。
  2. 【請求項2】内部にインダクタンス素子として機能する
    導体(内部導体)が配設されたセラミック焼結体である
    チップ状素子に、前記内部導体と導通する外部電極が配
    設された構造を有するインダクタの製造方法であって、 非直線状の金属線からなる内部導体を、焼成時に除去さ
    れる被覆材料により被覆する工程と、 被覆材料により被覆された内部導体を成形用型に入れ、
    その周囲に素子構成材料を充填することにより、所定の
    位置に内部導体が配設された成形体(未焼成のチップ状
    素子)を形成する工程と、 前記未焼成のチップ状素子を焼成して前記被覆材料を除
    去することにより、内部導体の周囲に空隙を形成する工
    程と、 前記空隙中に樹脂を充填する工程と、 前記樹脂を硬化させる工程とを具備することを特徴とす
    るインダクタの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のインダクタの製造方法であ
    って、 コイル状の金属線からなる内部導体を、焼成時に除去さ
    れる被覆材料により、コイルの軸心方向において隣り合
    う各部分を一体として被覆する工程と、 被覆材料により被覆されたコイル状の内部導体を成形用
    型に入れ、その周囲に素子構成材料を充填することによ
    り、所定の位置に内部導体が配設された成形体(未焼成
    のチップ状素子)を形成する工程と、 前記未焼成のチップ状素子を焼成して被覆材料を除去す
    ることにより、コイル状の内部導体の周囲に、コイルの
    軸心方向に連通し、コイルの軸心方向において隣り合う
    各部分を一体として収容する略筒状の空隙を形成する工
    程と、 前記空隙中に樹脂を充填する工程と、 前記樹脂を硬化させる工程とを具備することを特徴とす
    るインダクタの製造方法。
  4. 【請求項4】前記被覆材料として、焼成時に分解、燃焼
    して除去される樹脂系材料、又は、焼成時に溶融して除
    去される低融点金属材料のいずれかを用いることを特徴
    とする請求項又は記載のインダクタの製造方法。
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