JP3247172B2 - 食品添加用炭酸カルシウム分散体の製造方法、及び該分散体を添加してなる食品組成物 - Google Patents

食品添加用炭酸カルシウム分散体の製造方法、及び該分散体を添加してなる食品組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品添加用炭酸カルシ
ウム分散体の製造方法に関し、更に詳しくは、特に牛
乳、ジュース類等の食品に添加してカルシウムを強化す
るのに有効に利用される食品添加用炭酸カルシウムにお
いて、水、牛乳、ジュース類等液中での分散安定性の良
好な食品添加用炭酸カルシウム分散体の製造方法、及び
該炭酸カルシウム分散体を添加調製した食品組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、カルシウム摂取量の不足が指摘さ
れており、この傾向は育ち盛りの子供及び老人において
顕著である。このカルシウム摂取量の不足を解消するた
め、カルシウム強化食品が販売されるようになってきて
おり、一般的にカルシウムの含有量が多いとされている
牛乳においても、さらにカルシウムを添加してカルシウ
ム強化牛乳として提供することが試みられ、その他ジュ
ース類においてもカルシウム強化した商品が多数販売さ
れ始めている。
【0003】例えば、牛乳にカルシウムを強化するため
の従来の方法の多くは、水溶性の有機酸カルシウム形態
のカルシウムを牛乳に添加するものであって、炭酸カル
シウムのような水不溶性の無機塩形態のカルシウムを牛
乳に添加する方法はあまり提案されていない。これは、
炭酸カルシウムは比重が2.7と高く、牛乳中へ分散さ
せた場合短時間で沈澱するため、また牛乳に高濃度で添
加し、安定状態に保持することが困難であるからであ
る。
【0004】最近、牛乳に炭酸カルシウムを分散させる
方法として、結晶セルロースを同時的に添加してその網
目構造により炭酸カルシウム粒子を支持させる方法(特
開昭56−117753号)、及びスラリー状炭酸カル
シウムもしくはスラリー状炭酸カルシウムにHLB10
以上の親水性乳化剤を添加したものに超音波を照射し、
炭酸カルシウムの分散性を改良する方法(特開昭64−
69513号)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、結晶セルロー
スを添加する方法では、牛乳の粘度が高くなるので食感
上好ましくない。また、特開昭64−69513号の方
法は、スラリー状炭酸カルシウムもしくはスラリー状炭
酸カルシウムにHLB10以上の親水性乳化剤を添加し
た炭酸カルシウムスラリーを、超音波分散機を用いて分
散させる方法が提供されているが、超音波を用いるこの
方法は、経済的に不利であるばかりでなく、超音波分散
機の性格上炭酸カルシウムの分散によるスラリー粘度の
上昇がある場合、一定以上の分散性を有する炭酸カルシ
ウムを得ることができないという欠点を有しており、ま
た炭酸カルシウムの分散状態と親水性乳化剤の添加割合
に関する報告はなされていない。即ち、炭酸カルシウム
は一般的に、水酸化カルシウムの水懸濁液(石灰乳)に
炭酸ガスを反応させる炭酸ガス法により、通常固形分と
して5〜20重量%のスラリー状炭酸カルシウムとして
調製され、このようにして調製される炭酸カルシウム
は、炭酸カルシウム本来の凝集力により大きな凝集体を
形成しているため、これら従来の調製方法で調製された
炭酸カルシウムを食品添加用として分散させるには、多
大な分散時間、分散経費を必要とし、且つ充分分散した
食品添加用炭酸カルシウムは得られなかった。
【0006】炭酸カルシウム粉体の液中分散性改良に関
する報告はほとんどなく、炭酸カルシウムの分散に関し
ては例えば、特開昭59−69425には、炭酸ガス法
により炭酸カルシウムを調製する炭酸化工程において、
ストロンチウム塩又はバリウム塩を少量添加することに
よる、分散性良好な合成炭酸カルシウムの製造方法が提
案されている。この方法によれば、良好な分散性を有す
る合成炭酸カルシウムは調製し得るものの、該方法で得
られる炭酸カルシウム中には、炭酸化工程で添加したス
トロンチウム塩又はバリウム塩が混在しており、これら
ストロンチウム塩又はバリウム塩を経済的に有利な条件
で除去することが困難であるため、このような炭酸カル
シウムは例えば食品用途への利用はできず、炭酸カルシ
ウムの用途が限定されるため、好ましい分散方法とは言
えない。
【0007】最近、牛乳、ジュース類液体食品の長期間
保存可能な容器、保存方法の進歩に伴い、該食品を販売
店、自動販売機、家庭内の大型冷蔵庫等において長期間
保存するケースが増加しており、これらの液体食品にカ
ルシウム強化の目的で添加されている炭酸カルシウム
は、その食品中における分散状態が極めて良好でない場
合、長期間の液体食品の保存の間に食品容器底部に沈殿
してしまい、牛乳、ジュース類液体食品を飲用する際、
その沈澱物が飲用者に不快感、不清潔感を与えることが
多くなっている。従って、現在カルシウム強化の目的で
従来技術で調製された炭酸カルシウムを添加し市販され
ている液体食品類は、炭酸カルシウムの食品中における
分散安定期間が短いため、炭酸カルシウムの添加量は極
く少量に制限される必要があり、また一般消費者が購入
後1〜2日の間に必ず食用に供するような液体食品に制
限される必要があるという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭酸カル
シウムの液体食品中における長期間安定性の良好な食品
添加用炭酸カルシウムを調製する方法、及び該分散体を
添加した食品組成物に関し鋭意検討の結果、特定の方法
で調製した含水炭酸カルシウムを基材とし、特定の方法
により調製する、食品添加用炭酸カルシウム分散体中の
炭酸カルシウムの分散度に応じた特定の且つ特定量の親
水性乳化剤を用いることにより、容易に長期間分散性の
良好な食品添加用炭酸カルシウム分散体が得られること
を見いだし、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明の第1は、下記(ア)の方法
により調製される含水炭酸カルシウムを基材とし、下記
(イ)、(ウ)、(エ)の何れかの方法、もしくは、下
記(イ)、(ウ)、(エ)を併用する方法により調製さ
れる食品添加用炭酸カルシウム分散体の製造方法におい
て、該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度
分布における重量(体積)平均径P(μm)と、炭酸カ
ルシウム100重量部に対するHLBが10以上の親水
性乳化剤の添加量Q(重量部)が、下記(a)の関係を
満足することを特徴とする、食品添加用炭酸カルシウム
の製造方法:(a)Q≧(1.87/P)+6.17 (ア)石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸化反応して得られ
る炭酸カルシウムの水懸濁液の調製工程において、炭酸
化反応終了して調製されたpH値Xの炭酸カルシウムの水
懸濁液を攪拌、及び/又は湿式粉砕、及び/又は静置
し、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式
(a)及び(b)を満たすpH値Yに上昇せしめた後、水
懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアル
カリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カ
ルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式(c)を満たす
pH値Zに調整して含水炭酸カルシウム粉体を調製する。 Y≧8.6 ・・・(a) 10(Y+2) /10X ≧125 ・・・(b) 10(Z+2) /10Y ≦80 ・・・(c) 但し、X、Yは同一温度条件下でのpHである。pH値Z
は、Zが8.6未満の場合、Zは8.6として計算。 (イ)上記(ア)の方法により調製される含水炭酸カル
シウムに、HLBが10以上の親水性乳化剤の添加処理
する。 (ウ)上記(ア)の方法により調製される含水炭酸カル
シウムに、HLBが10以上の親水性乳化剤の添加処理
した後、得られる炭酸カルシウムと親水性乳化剤と水の
混合物を、粉砕機及び/又は分散機を用いて粉砕及び/
又は分散処理する。 (エ)上記(ア)の方法により調製される含水炭酸カル
シウムを、粉砕機及び/又は分散機を用いて粉砕及び/
又は分散処理した後、HLBが10以上の親水性乳化剤
を添加処理する。本発明の第2は、前述の方法により得
られる食品添加用炭酸カルシウム分散体を添加してなる
食品組成物をそれぞれ内容とするものである。
【0010】本発明の原料となる炭酸カルシウム粉体を
調製する方法において、石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸
化する方法に関しては特に制限はなく、石灰乳中に炭酸
ガスを導通する方法、炭酸ガス中に石灰乳を噴霧する方
法等、常法の方法によればよい。また、炭酸化反応条件
に関しても、所望の炭酸カルシウムの粒子径に応じ、石
灰乳濃度、石灰乳温度、炭酸ガス濃度、炭酸ガス導通
量、石灰乳噴霧速度、石灰乳噴霧液滴径等の反応条件を
任意に選択し炭酸化反応を開始すればよく、炭酸化開始
後炭酸化反応系内のpHが任意の時点で、好ましくは1
1.0以下に達した任意の時点で、より好ましくは1
0.0以下に達した任意の時点で炭酸化反応を終了すれ
ばよい。
【0011】次に、炭酸化反応終了後、得られる炭酸カ
ルシウムの水懸濁液を攪拌及び/又は静置し、炭酸カル
シウム粒子間に存在するアルカリ物質を溶出させ、該炭
酸カルシウムの水懸濁液のpHを上記(a)及び(b)を
満たすpH値Yに上昇せしめればよく、好ましくはX及び
Yは下記(d)、(e)、より好ましくは(f)、
(g)を満たすpH値Yに上昇せしめればよい。 Y≧10.0 ・・・(d) 10(Y+2) /10X ≧200 ・・・(e) Y≧10.5 ・・・(f) 10(Y+2) /10X ≧250 ・・・(g)
【0012】攪拌及び/又は静置により、該炭酸カルシ
ウムの水懸濁液のpHが8.6未満の場合、アルカリ物質
除去等の本発明の方法を実施しても、分散性の良好な炭
酸カルシウム粉体は得られないため、該水懸濁液を湿式
粉砕機を用いて解砕し、そのpHを8.6以上にすればよ
い。また、10(Y+2) /10X が125未満の場合、本
発明の以降の操作を行っても、本発明の目的である分散
性良好な炭酸カルシウム粉体を得ることはできない。
【0013】次に、上記(a)及び(b)を満たすpH値
Yに上昇させた炭酸カルシウムの水懸濁液中に存在する
アルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積
当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液
のpHを、前述の(c)を満たすpH値Zに調整すればよ
く、好ましくはpH値Zは下記(h)、より好ましくは
(i)を満たすpH値Zに調整すればよい。pH値Zを8.
6未満にする場合のみ、Z=8.6として計算した値を
採用する。 10(Z+2) /10Y ≦70 ・・・(h) 10(Z+2) /10Y ≦60 ・・・(i) 10(Z+2) /10Y が80を越える場合、水懸濁液中に
存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の
単位体積当たりの濃度を低下させることが充分ではな
く、分散性良好な炭酸カルシウムを得ることはできな
い。本発明における、炭酸カルシウムの水懸濁液中に存
在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単
位体積当たりの濃度を低下させる方法については特に制
限はないが、本発明の炭酸カルシウムが食品添加用途で
あるため、炭酸カルシウム以外の不純物が可能な限り混
入しない方法が好ましく、その好ましい方法として以下
に示す、、の方法を例示できる。これら、、
の方法は、単独で採用しても組み合わせて採用しても
問題なく、これらの方法により炭酸カルシウムの水懸濁
液のpH値Zを前述の(c)を満たす値に調整することに
より、本発明の原料として良好な分散性を有する炭酸カ
ルシウム粉体を、容易にかつ経済的に有利な範囲で調製
することが可能となる。pH値Yに上昇せしめた炭酸カ
ルシウムの水懸濁液に、炭酸ガス含有ガスを反応せし
め、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方
法。pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液
に大量の水を加え希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液の
pHをZに調整する方法。pH値Yに上昇せしめた炭酸カ
ルシウムの水懸濁液を脱水し、得られる含水ケーキ又は
高濃度炭酸カルシウムの水懸濁液に水を加えて希釈し、
再度炭酸カルシウムの水懸濁液を調製し、該水懸濁液の
pHをZに調整する方法。
【0014】炭酸カルシウム粒子間に存在するアルカリ
物質の溶出に関する関数である10(Y+2) /10X の計
算値については、採用した全方法の合計値から算出され
ればよい。仮に本発明の原料となる炭酸カルシウムの分
散体を調製するにあたり、上記の方法を2回、さらに
の方法を1回採用し、それぞれの10(Y+2) /10X
の計算値が、の方法の1回目が50、の方法の2回
目が100、の方法が150である場合、この方法の
10(Y+2) /10X は、各々合計の300とすればよ
い。また、炭酸カルシウムの水懸濁液中に存在するアル
カリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当た
りの濃度を低下させる方法、例えば上記、、等の
方法を単独で複数回、又は組み合わせた方法で複数回行
った場合の10(Z+2) /10Y の値は、各々単独の方法
による値を算出し、それら方法の最小値を採用する。仮
に本発明の原料となる炭酸カルシウムの粉体を調製する
にあたり、上記の方法を2回、の方法を1回、の
方法を1回採用し、それぞれの10(Z+2) /10Y の計
算値が、の方法の1回目が100、の方法の2回目
が80、の方法が20、の方法が60である場合、
この方法の10(Y+2) /10X は、の方法の数値の2
0とすればよい。
【0015】例えば本発明の炭酸カルシウムを調製する
にあたり、石灰乳に炭酸ガスを反応させ炭酸化反応を行
ない、pH10で炭酸化反応を停止させ、得られる炭酸カ
ルシウムの水懸濁液のpHを攪拌等の方法で11に上昇せ
しめ、その後、上記、、等の方法を用い、該水懸
濁液のpHを10.3に低下させる場合、Xは10、Yは
11、Zは10.3として計算する。また、さらに上記
pHが10.3の水懸濁液を、再度攪拌等の方法でそのpH
を10.8に上昇させ、さらに再度上記、、等の
方法を用い、該水懸濁液のpHを8.0に低下させる場
合、Xは10.3、Yは10.8、Zは8.0となる
が、X、Y、Zに二つの数字が存在し混同するため、最
初のX、Y、ZをX1、Y1、Z1とし、後の操作の
X、Y、ZをX2、Y2、Z2と表示し、X1=10、
Y1=11、Z1=10.3、X2=10.3、Y2=
10.8、Z2=8として計算すれば良い。
【0016】本発明に用いる含水炭酸カルシウムは、前
述の方法により調製される炭酸カルシウム水懸濁液をそ
のまま用いてもよいし、脱水機あるいは濃縮機を用いて
炭酸カルシウム固形分濃度の高い含水炭酸カルシウムと
して用いてもよい。炭酸カルシウムの粒子径に関して
は、その窒素吸着法(BET法)による比表面積が2〜
100m2/gが好ましく使用でき、6〜60m2/gがさ
らに好ましい。
【0017】次に、前述の含水炭酸カルシウムを用いて
本発明の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製するの
であるが、その調製方法は前述の(イ)、(ウ)、
(エ)に示す3種類の方法に大別されるが、何れの方法
を採用しても良く、また(イ)、(ウ)、(エ)の方法
を併用しても差し支えない。
【0018】上記(イ)、(ウ)、(エ)の方法におい
て、本発明の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製す
るに不可欠の要件は、該食品添加用炭酸カルシウム分散
体の炭酸カルシウムの粒度分布における重量(体積)平
均径P(μm)と、炭酸カルシウム100重量部に対す
るHLBが10以上の親水性乳化剤の添加量(重量部)
Qが、下記(j)の要件を具備することであり、かなり
長期間の保存分散安定性を要求される食品用途には
(k)の要件を具備することが好ましく、より好ましく
は(l)の要件を具備することである。 (j) Q≧(1.87/P)+6.17 (k) Q≧(1.87/P)+7.67 (l) Q≧(1.87/P)+9.17 Q<(1.87/P)+6.17の場合、炭酸カルシウ
ムが安定に分散存在する炭酸カルシウム分散体を調製す
ることが困難であり、たとえ炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径を非常に微細に調製したと
しても、これらの炭酸カルシウムスラリーを牛乳、ジュ
ース等の食品に添加使用した場合、食品中の炭酸カルシ
ウムの経時安定性が悪く、著しい場合には、24時間以
内に食品容器底部に凝集し沈降する。
【0019】炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウム
の粒度分布における重量(体積)平均径に関しては特別
の限定はないが、比較的粘度の低い牛乳、ジュース類食
品の用途には0.3μm未満が好ましく、また牛乳への
応用に関しては、平均径が小さくなりすぎると炭酸カル
シウムの溶解性が増大し、牛乳中のタンパク質等を凝集
させる傾向が発生し易くなるため、0.04μm以上が
好ましい。
【0020】本発明の方法において使用する粉砕機、分
散機については特別の制限はないが、粉砕機としてはダ
イノーミル、サンドミル、コボールミル等の湿式粉砕
機、超音波分散機、3本ロールミル等のロールミルが好
ましく使用でき、特に良好な分散体を必要とする用途に
は、上記湿式粉砕機を以下に例示する特定の条件で粉砕
するのがより好ましい。 湿式粉砕条件 下記、を共に具備する粉砕条件であること。 Q ≦ 1000P/27+88000/9 ・・・ 2 ≦ P ≦ 100 ・・・ 但し Q = A×B×C1.3 ×D×E/100×F1.6 ×
(100−D) P: 湿式粉砕する炭酸カルシウム粉体の窒素吸着法
(BET法)による比表面積(m2/g) A: 湿式粉砕機に用いるメディアの充填量であり、湿
式粉砕機の粉砕室(ベッセル容器)容積中に占めるメデ
ィアの容積量(体積%) B: 湿式粉砕機に用いるメディアの真比重 C: 湿式粉砕機のディスク又はローターの周辺速度
(m/秒) D: 湿式粉砕する炭酸カルシウムの水懸濁液の炭酸カ
ルシウム固形分濃度(%) E: 湿式粉砕する炭酸カルシウムの水懸濁液の、湿式
粉砕機の粉砕室中に滞留する時間(分) F: 湿式粉砕機に用いるメディアの粒子径(mm)
【0021】本発明における食品添加用炭酸カルシウム
分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布における重量平均
径は、下記の要領で測定計算されたものである。 測定機種 : 島津製作所製 SA−CP3 試料の調製: 65℃に加温した食品添加用炭酸カルシ
ウム分散体を、下記25℃の溶媒中に滴下し、粒度分布
測定試料とする。 溶媒 : イオン交換水にポリアクリル酸ソーダ
0.004重量%溶解させた水溶液 予備分散 : SKディスパーザー(セイシン企業製)
を用い、超音波分散100秒 測定温度 : 27.5℃±2.5℃
【0022】本発明で使用される親水性乳化剤は、食品
添加物規格に適合するHLBが10以上の親水性乳化剤
であればよく、脂肪酸多価アルコールエステル、中でも
HLB15以上のショ糖脂肪酸エステルを好ましく使用
できる。この親水性乳化剤は、水又は湯に溶解させて使
用するのが好ましく、特にショ糖脂肪酸エステルは60
〜70℃の温水に溶解後、冷却せしめ30℃以下の温度
で使用するのが好ましい。
【0023】本発明の方法により調製される食品添加用
炭酸カルシウムを用いて、食品、例えばカルシウム強化
牛乳を調製する方法に関しては、本発明の方法により調
製される炭酸カルシウムスラリーを牛乳に直接添加して
強力に攪拌し、牛乳中に炭酸カルシウムを分散させるだ
けで充分である。また還元乳では、本発明の方法により
調製される炭酸カルシウムスラリーを、60℃程度の温
度で溶解したバター又はバターオイルに加えて高速攪拌
して分散させ、次いで、これに還元脱脂乳あるいは脱脂
乳を加え、均質化すればよい。これらの方法で調製した
カルシウム強化牛乳は、クラリファイヤーで除去される
炭酸カルシウムの量は、従来の方法で調製された炭酸カ
ルシウムを添加した場合に比べて、大幅に減少する。即
ち、本発明の方法により調製される食品添加用炭酸カル
シウムを添加した牛乳、ジュース類中には、炭酸カルシ
ウムが極めて安定に保持されている。また、本発明の方
法で調製した炭酸カルシウムは分散性が良好であるた
め、牛乳等に添加する際の攪拌時間が少なくてすみ、し
たがって、バター中で長時間攪拌した場合に見られるよ
うな炭酸カルシウムの凝集は起こらない。
【0024】本発明の炭酸カルシウム分散体は、上記用
途以外に、クリーム、ヨーグルト、コーヒー、紅茶、ウ
ーロン茶等の液体食品、ワイン、酒等のアルコール飲料
等にカルシウム強化の目的で使用することができる。ま
た本発明の炭酸カルシウム分散体は、乳酸カルシウム、
塩化カルシウム等の水可溶性カルシウム塩、及び燐酸カ
ルシウム等の水不溶性カルシウム塩と併用しても何等さ
しつかえない。
【0025】
【実施例】以下に実施例、比較例を示し本発明をより詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。 実施例1 比重1.045で温度が10℃の石灰乳10000リッ
ターに、炭酸ガス濃度27重量%の炉ガス(以下炭酸ガ
スと略記する)を24m3/minの流速で導通し炭酸化反応
を行い、25℃におけるpHが9.2(X1)の炭酸カル
シウムの水懸濁液を得た。次に該炭酸カルシウム水懸濁
液を45℃で12時間攪拌し、系内の25℃におけるpH
が11.6(Y1)であることを確認後、該炭酸カルシ
ウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導通して系内の25℃に
おけるpHを10.0(Z1、X2)に調製した。その後
炭酸カルシウム水懸濁液を45℃で12時間攪拌して、
水懸濁液のpHを11.3(Y2)に調整後、再度炭酸ガ
スを導通して系内の25℃におけるpHを7.0(Z2)
に低下せしめた。得られた炭酸カルシウムの窒素吸着法
による比表面積は23m2/gであった。次に、前述の希
釈水懸濁液をロータリー濃縮機を用い脱水して炭酸カル
シウム固形分濃度が22重量%のケーキ状含水炭酸カル
シウムを得、調製された含水炭酸カルシウム中の炭酸カ
ルシウム100重量部に対し、HLBが16のショ糖ス
テアリン酸エステルを16重量部添加し強力に攪拌混合
することにより、炭酸カルシウム固形分濃度が10重量
%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。該炭
酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布にお
ける重量(体積)平均径は0.28μmであった。な
お、ショ糖ステアリン酸エステルはあらかじめ65℃の
温水に溶解後20℃に冷却し、添加した。上記製造方法
を表1にまとめて示す。
【0026】実施例2 実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行ない調製した、
pHが9.2(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を12時
間放置し、系内の25℃におけるpHが11.7(Y)で
あることを確認後、該炭酸カルシウム水懸濁液に該水懸
濁液の容積の4倍の水を添加し希釈した。その後希釈水
懸濁液を25℃で攪拌したところ、25℃におけるpHを
11.1(Z)であった。得られた炭酸カルシウムの窒
素吸着法による比表面積は25m2/gであった。次に、
前述の希釈水懸濁液をフィルタープレスを用い脱水して
炭酸カルシウム固形分濃度が64重量%のケーキ状含水
炭酸カルシウムを得、調製された含水炭酸カルシウム中
の炭酸カルシウム100重量部に対し、HLBが16の
ショ糖ステアリン酸エステルを16重量部添加し強力に
攪拌混合することにより、炭酸カルシウム固形分濃度が
10重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製し
た。該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度
分布における重量(体積)平均径は0.29μmであっ
た。なお、ショ糖ステアリン酸エステルはあらかじめ6
5℃の温水に溶解後20℃に冷却し、添加した。上記製
造方法を表1にまとめて示す。
【0027】実施例3 実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行い調製した、pH
が9.2(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を40℃で
12時間放置し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃にお
けるpHが11.8(Y1)に達した時点でフィルタープ
レスを用いて脱水し、炭酸カルシウム固形分濃度が48
重量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに
再度水を加えて攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁
液と同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸
カルシウム水懸濁液のpHは11.5(Z1、Y2)であ
った。この炭酸カルシウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導
通し、炭酸カルシウム水懸濁液のpHを7.0(Z2)に
低下せしめた。得られた炭酸カルシウムの窒素吸着法に
よる比表面積は28m2/gであった。次に、前述の希釈
水懸濁液をロータリ濃縮機を用い脱水して炭酸カルシウ
ム固形分濃度が23%の含水炭酸カルシウムを得、調製
された含水炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重
量部に対し、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステ
ルを18重量部添加し強力に攪拌混合することにより、
炭酸カルシウム固形分濃度が10重量%の食品添加用炭
酸カルシウム分散体を調製した。該炭酸カルシウム分散
体中の炭酸カルシウムの粒度分布における重量(体積)
平均径は0.22μmであった。なお、ショ糖ステアリ
ン酸エステルはあらかじめ65℃の温水に溶解後20℃
に冷却し、添加した。上記製造方法を表1にまとめて示
す。
【0028】実施例4 実施例3と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が2
3重量%の含水炭酸カルシウムを得、調製された含水炭
酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に対し、
HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルを22重量
部添加し強力に攪拌混合した後、超音波ホモジナイザー
(1200W、15kHz )を用い1分間超音波分散を行
い、炭酸カルシウム固形分濃度が10重量%の食品添加
用炭酸カルシウム分散体を調製した。該炭酸カルシウム
分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布における重量(体
積)平均径は0.15μmであった。なお、ショ糖ステ
アリン酸エステルはあらかじめ65℃の温水に溶解後2
0℃に冷却し、添加した。上記製造方法を表1にまとめ
て示す。
【0029】実施例5 実施例3と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が2
3重量%の含水炭酸カルシウムを得、該含水炭酸カルシ
ウムをダイノーミルKDパイロット型を用いて湿式粉砕
を行い、粉砕調製された含水炭酸カルシウム中の炭酸カ
ルシウム100重量部に対し、HLBが16のショ糖ス
テアリン酸エステルを25重量部添加し強力に攪拌混合
し、炭酸カルシウム固形分濃度が10重量%の食品添加
用炭酸カルシウム分散体を調製した。該炭酸カルシウム
分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布における重量(体
積)平均径は0.12μmであった。なお、ショ糖ステ
アリン酸エステルはあらかじめ65℃の温水に溶解後2
0℃に冷却し、添加した。上記製造方法を表2にまとめ
て示す。
【0030】実施例6 含水炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に
対する、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルの
添加量を16.2重量部に変更することを除き、他は実
施例3と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が10
重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。
該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径は0.22μmであった。
上記製造方法を表2にまとめて示す。
【0031】実施例7 含水炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に
対する、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルの
添加量を14.8重量部に変更することを除き、他は実
施例3と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が10
重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。
該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径は0.22μmであった。
上記製造方法を表2にまとめて示す。
【0032】比較例1 含水炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に
対する、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルの
添加量を12.5重量部に変更することを除き、他は実
施例1と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が10
重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。
該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径は0.28μmであった。
上記製造方法を表2にまとめて示す。
【0033】比較例2 含水炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に
対する、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルの
添加量を12.4重量部に変更することを除き、他は実
施例2と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が10
重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。
該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径は0.29μmであった。
上記製造方法を表3にまとめて示す。
【0034】比較例3 含水炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に
対する、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルの
添加量を18.4重量部に変更することを除き、他は実
施例4と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が10
重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。
該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径は0.15μmであった。
上記製造方法を表3にまとめて示す。
【0035】比較例4 比重1.045で温度が10℃の石灰乳10000リッ
ターに、炭酸ガス濃度27重量%の炭酸ガスを24m3
min の流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃における
pHがpH6.8(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得
た。得られた炭酸カルシウムの窒素吸着法による比表面
積は23m2/gであった。次に、前述の炭酸カルシウム
の水懸濁液をロータリー濃縮機を用い脱水して炭酸カル
シウム固形分濃度が22重量%のケーキ状含水炭酸カル
シウムを得、調製された含水炭酸カルシウム中の炭酸カ
ルシウム100重量部に対し、HLBが16のショ糖ス
テアリン酸エステルを16重量部添加し強力に攪拌混合
することにより、炭酸カルシウム固形分濃度が10重量
%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。該炭
酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布にお
ける重量(体積)平均径は2.89μmであった。な
お、ショ糖ステアリン酸エステルはあらかじめ65℃の
温水に溶解後20℃に冷却し、添加した。上記製造方法
を表3にまとめて示す。
【0036】比較例5 実施例1のpH9.2(X)の炭酸カルシウム水懸濁液を
5分間放置し、系内の25℃におけるpHが9.5(Y)
であること確認後、該炭酸カルシウム水懸濁液に再度炭
酸ガスを導通し、系内の25℃におけるpHを6.5
(Z)に低下せしめた。得られた炭酸カルシウムの窒素
吸着法による比表面積は23m2/gであった。次に、前
述の炭酸カルシウムの水懸濁液をロータリー濃縮機を用
い脱水して炭酸カルシウム固形分濃度が22重量%のケ
ーキ状含水炭酸カルシウムを得、調製された含水炭酸カ
ルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に対し、HL
Bが16のショ糖ステアリン酸エステルを16重量部添
加し強力に攪拌混合することにより、炭酸カルシウム固
形分濃度が10重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散
体を調製した。該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシ
ウムの粒度分布における重量(体積)平均径は1.75
μmであった。なお、ショ糖ステアリン酸エステルはあ
らかじめ65℃の温水に溶解後20℃に冷却し、添加し
た。上記製造方法を表3にまとめて示す。
【0037】比較例6 実施例1と同様の方法で炭酸化反応を開始し、のpH1
0.7(X)の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。その後
30℃で10分間放置し、炭酸カルシウム水懸濁液の2
5℃におけるpHが10.9(Y)に達した時点でヌッチ
ェを用いて濃縮し、次いで得られた濃縮した水懸濁液に
再度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液
を得た。該炭酸カルシウム水懸濁液のpHは10.86
(Z)であった。得られた炭酸カルシウムの窒素吸着法
による比表面積は23m2/gであった。次に、前述の炭
酸カルシウムの水懸濁液をロータリー濃縮機を用い脱水
して炭酸カルシウム固形分濃度が22重量%の含水炭酸
カルシウムを得、調製された含水炭酸カルシウム中の炭
酸カルシウム100重量部に対し、HLBが16のショ
糖ステアリン酸エステルを16重量部添加し強力に攪拌
混合することにより、炭酸カルシウム固形分濃度が10
重量%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。
該炭酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布
における重量(体積)平均径は1.68μmであった。
なお、ショ糖ステアリン酸エステルはあらかじめ65℃
の温水に溶解後20℃に冷却し、添加した。上記製造方
法を表3にまとめて示す。
【0038】実施例7 実施例4と同様の方法で炭酸カルシウム固形分濃度が2
2重量%の含水炭酸カルシウムを得、調製された含水炭
酸カルシウム中の炭酸カルシウム100重量部に対し、
HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルを16重量
部添加し強力に攪拌混合した後、超音波ホモジナイザー
(1200W、15kHz )を用い1分間超音波分散を行
い、炭酸カルシウム固形分濃度が10重量%の食品添加
用炭酸カルシウム分散体を調製した。該炭酸カルシウム
分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布における重量(体
積)平均径は0.16μmであった。なお、ショ糖ステ
アリン酸エステルはあらかじめ65℃の温水に溶解後2
0℃に冷却し、添加した。上記製造方法を表3にまとめ
て示す。
【0039】比較例8 実施例1と同様の方法で炭酸化反応を開始し、炭酸ガス
濃度27重量%の炭酸ガスを24m3の流速で6分間導通
し炭酸化反応を開始し、その後2m3の流速で炭酸化反応
を継続し、pH6.5(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液
を得た。この水懸濁液を25℃で維持し24時間攪拌
し、系内の25℃におけるpHが8.5(Y)であること
を確認後、該炭酸カルシウムの水懸濁液に再度炭酸ガス
を導通し、系内の25℃におけるpHを7.0(Z)に低
下せしめた。得られた炭酸カルシウムの窒素吸着法によ
る比表面積は23m2/gであった。次に、前述の炭酸カ
ルシウムの水懸濁液をロータリー濃縮機を用い脱水して
炭酸カルシウム固形分濃度が22重量%の含水炭酸カル
シウムを得、調製された含水炭酸カルシウム中の炭酸カ
ルシウム100重量部に対し、HLBが16のショ糖ス
テアリン酸エステルを16重量部添加し強力に攪拌混合
することにより、炭酸カルシウム固形分濃度が10重量
%の食品添加用炭酸カルシウム分散体を調製した。該炭
酸カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布にお
ける重量(体積)平均径は3.01μmであった。な
お、ショ糖ステアリン酸エステルはあらかじめ65℃の
温水に溶解後20℃に冷却し、添加した。上記製造方法
を表3にまとめて示す。
【0040】比較例9 市販のグリセリン脂肪酸エステルでコーティングされた
コロイド性炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、コロ
カルソMG、窒素吸着法による比表面積17m2/g)と
水を混合し、炭酸カルシウム固形分として10重量%の
水懸濁液を調製した。該水懸濁液を強力に攪拌混合した
後、超音波ホモジナイザー(1200W、15kHz )を
用い1分間超音波分散を行い、食品添加用炭酸カルシウ
ム分散体を調製した。該炭酸カルシウム分散体中の炭酸
カルシウムの粒度分布における重量(体積)平均径は
1.36μmであった。上記製造方法を表3にまとめて
示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】次に実施例1〜7及び比較例1〜9で調製
された炭酸カルシウム固形分濃度が10重量%の炭酸カ
ルシウム分散体を水で炭酸カルシウム固形濃度分が0.
50重量%になるように希釈し、希釈液を60℃に加温
後100mlのメスシリンダーにとり、10℃まで冷却後
10℃で静置し、炭酸カルシウムの沈澱により生ずる透
明部分と炭酸カルシウム分散部分の白色部分の界面の高
さの経時変化、沈降物の量の経時変化を目視判断し、各
スラリー状炭酸カルシウムの水中における安定性を調べ
た。メスシリンダーに刻まれたml単位の表示を読み取
り、その結果を下記の5段階表示により表5に示す。 (界面の高さ) 界面がほぼ98以上100mlである: 5 界面が95以上98ml未満である: 4 界面が90以上95ml未満である: 3 界面が50以上90ml未満である: 2 界面が50ml未満である: 1 (沈澱物の量) 殆ど確認できない: 5 わずかに沈澱が確認できる: 4 0.5mm未満程度の沈澱がある: 3 0.5mm以上2mm未満の沈澱がある: 2 2mm以上の沈澱がある: 1
【0046】
【表5】
【0047】実施例8 実施例1で調製した炭酸カルシウム固形分濃度が10重
量%の炭酸カルシウム分散体600gを60℃で溶解さ
せたバター500g中に分散させ、これを脱脂乳9Kg中
に添加攪拌し、次いで殺菌してカルシウム強化牛乳を得
た。このカルシウム強化牛乳を100mlのメスシリンダ
ーにとり、5℃で保存し、定期的にメスシリンダー中の
牛乳を静かに廃棄し、メスシリンダー底部に残存してい
る沈降物の量の経時変化を目視観察した。その結果を下
記の3段階表示により表6に示す。 (沈澱物の量) 殆ど確認できない: 3 わずかに沈澱が確認できる: 2 かなり大量の沈澱が確認できる: 1
【0048】実施例9〜実施例14 実施例2〜実施例7で調製した炭酸カルシウム分散体を
用いることを除き他は実施例8と同様の方法でカルシウ
ム強化牛乳を得た。また、これらのカルシウム強化牛乳
の沈澱量を、実施例8に示す同様の方法で観察した。そ
の結果を表6に示す。
【0049】比較例10〜比較例18 比較例1〜比較例9で調製した炭酸カルシウム分散体を
用いることを除き他は実施例8と同様の方法でカルシウ
ム強化牛乳を得た。また、これらのカルシウム強化牛乳
の沈澱量を、実施例8に示す同様の方法で観察した。そ
の結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法で調製され
た食品添加用炭酸カルシウム分散体は、液中での分散性
が極めて優れており、この炭酸カルシウム分散体を用い
て調製される食品組成物は、長期間の保存安定性が極め
て優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/304 C01F 11/18

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(ア)の方法により調製される含水
    炭酸カルシウムを基材とし、下記(イ)、(ウ)、
    (エ)の何れかの方法、もしくは、下記(イ)、
    (ウ)、(エ)を併用する方法により調製される食品添
    加用炭酸カルシウム分散体の製造方法において、該炭酸
    カルシウム分散体中の炭酸カルシウムの粒度分布におけ
    る重量(体積)平均径P(μm)と、炭酸カルシウム1
    00重量部に対するHLBが10以上の親水性乳化剤の
    添加量Q(重量部)が、下記(a)の関係を満足するこ
    とを特徴とする、食品添加用炭酸カルシウムの製造方
    法: (a)Q≧(1.87/P)+6.17 (ア)石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸化反応して得られ
    る炭酸カルシウムの水懸濁液の調製工程において、炭酸
    化反応終了して調製されたpH値Xの炭酸カルシウムの水
    懸濁液を攪拌、及び/又は湿式粉砕、及び/又は静置
    し、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式
    (a)及び(b)を満たすpH値Yに上昇せしめた後、水
    懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアル
    カリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カ
    ルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式(c)を満たす
    pH値Zに調整して含水炭酸カルシウムを調製する。 Y≧8.6 ・・・(a) 10(Y+2) /10X ≧125 ・・・(b) 10(Z+2) /10Y ≦80 ・・・(c) 但し、X、Yは同一温度条件下でのpHである。pH値Z
    は、Zが8.6未満の場合、Zは8.6として計算。 (イ)上記(ア)の方法により調製される含水炭酸カル
    シウムに、HLBが10以上の親水性乳化剤の添加処理
    する。 (ウ)上記(ア)の方法により調製される含水炭酸カル
    シウムに、HLBが10以上の親水性乳化剤の添加処理
    した後、得られる炭酸カルシウムと親水性乳化剤と水の
    混合物を、粉砕機及び/又は分散機を用いて粉砕及び/
    又は分散処理する。 (エ)上記(ア)の方法により調製される含水炭酸カル
    シウムを、粉砕機及び/又は分散機を用いて粉砕及び/
    又は分散処理した後、HLBが10以上の親水性乳化剤
    を添加処理する。
  2. 【請求項2】 炭酸カルシウム100重量部に対するH
    LBが10以上の親水性乳化剤の添加量Q(重量部)
    が、Q≧(1.87/P)+7.67である請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭酸カルシウム100重量部に対するH
    LBが10以上の親水性乳化剤の添加量Q(重量部)
    が、Q≧(1.87/P)+9.17である請求項1記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 HLBが10以上の親水性乳化剤がショ
    糖脂肪酸エステルである請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 含水炭酸カルシウムを調製する(ア)の
    方法において、pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの
    水懸濁液に炭酸ガスを反応せしめ、炭酸カルシウムの水
    懸濁液のpHをZに調整する請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 含水炭酸カルシウムを調製する(ア)の
    方法において、pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの
    水懸濁液に水を加えて希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁
    液のpHをZに調整する請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 含水炭酸カルシウムを調製する(ア)の
    方法において、pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの
    水懸濁液を脱水して得られる含水ケーキに水を加えて希
    釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する請
    求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 含水炭酸カルシウムを調製する(ア)の
    方法において、pH値Xが11.0以下である請求項1記
    載の製造方法。
  9. 【請求項9】 粉砕機及び/又は分散機が、湿式粉砕機
    又はロールミルである請求項1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 食品添加用炭酸カルシウム分散体中の
    炭酸カルシウムの粒度分布における重量(体積)平均径
    P(μm)が0.04μm≦P<0.3μmである請求
    項1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 基材となる炭酸カルシウムの窒素吸着
    法(BET法)による比表面積が2〜100m2/gであ
    る請求項1記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11項記載の方法で得られ
    た食品添加用炭酸カルシウム分散体を添加してなる食品
    組成物。
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