JP4951052B2 - 食品添加剤スラリー組成物及びパウダー組成物、並びにこれらを含有する食品組成物 - Google Patents

食品添加剤スラリー組成物及びパウダー組成物、並びにこれらを含有する食品組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ヨーグルト、牛乳、ジュース、ミルク粉末、即席麺、ビスケット等の食品に添加してカルシウム及び/又はマグネシウムを強化するのに有効に利用される、高濃度且つ液中で分散安定性の良好な食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物、及びこれらの組成物を含有してなる食品組成物に関する。
近年、カルシウム摂取量の不足が指摘されており、この傾向は育ち盛りの子供及び老人において顕著である。このカルシウム摂取量の不足を解消するため、カルシウム強化食品が販売されるようになってきており、一般的にカルシウムの含有量が多いとされている牛乳においても、さらにカルシウムを添加してカルシウム強化牛乳として提供することが試みられており、その他ジュース、ミルク粉末、即席麺、ビスケットにもカルシウム強化した商品も多数販売され始めている。
例えば牛乳、ヨーグルトにおいては、カルシウムを強化する目的で、乳酸カルシウム、塩化カルシウム等の水溶性の無機又は有機酸形態のカルシウム、炭酸カルシウムあるいは燐酸カルシウム等の水不溶性の無機形態のカルシウムが添加され使用されている。
しかしながら、水溶性の無機又は有機酸形態のカルシウムは、牛乳、ヨーグルト中のタンパク質の安定性を阻害しやすく、一定量以上の配合が困難なため、カルシウム原料として多量に使用することができないという欠点を有していた。
一方、水不溶性の無機形態のカルシウムは、水不溶性のため牛乳、ヨーグルト中のタンパク質の安定性を阻害することがないため、添加量の観点からは多量に用いることが可能であるものの、該無機形態のカルシウムは全般に比重が2.7以上と高く、牛乳中へ分散させた場合短時間で沈澱するため、食品としての美観上好ましくなく、結局その添加量は制限され多量に使用することができないという欠点を有していた。
この欠点を補い食品用途に多量のカルシウムを添加しようとする方法については、数多く提案されており、例えば牛乳中に用いる無機形態のカルシウム剤スラリーの調製方法としては、特許文献1には、炭酸カルシウム製造工程に於いて乾燥粉末化工程を行わないスラリー状炭酸カルシウムもしくはスラリー状炭酸カルシウムにHLB10以上の親水性乳化剤を添加したものに超音波を照射し、炭酸カルシウムの分散性を改良する方法が提案されている。
上記特許文献1の実施例2には、10重量%のスラリー状炭酸カルシウムと約6重量%のHLB15のショ糖脂肪酸エステルの水溶液の混合物を、超音波照射することによる炭酸カルシウム固形分が約8重量%のカルシウム剤スラリーの調製方法が記載されている。
しかしながら、この方法で得られる8重量%程度の低濃度炭酸カルシウム固形分では、従来の概念を打破した良好な分散性を有するカルシウム剤は得られるものの、ロングライフ牛乳等の長期間保存可能食品への添加が可能な0.3μm未満の平均粒子径を有する分散良好なカルシウム剤スラリーを調製することが困難であり、調製し得たとしても、分散に要するエネルギーコストは膨大となる。さらに、このエネルギーコストの増加のみならず、カルシウム剤スラリーを各方面の使用先に搬送する際に必要な、カルシウム剤スラリーの充填容器費、冷蔵設備費、冷蔵費、輸送費等の流通コストも増大することになり好ましい方法とはいえなかった。
さらに特許文献2には、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルと燐酸カルシウムの混合物を特定の条件下において湿式粉砕して燐酸カルシウム分散体を調製する製造方法が、また特許文献3にはHLBが16のショ糖ステアリン酸エステルと炭酸カルシウムの混合物を同様の方法で湿式粉砕して炭酸カルシウム分散体を調製する製造方法が提案されている。
これらの方法によれば、0.3μm未満の平均粒子径を有する極めて分散性の良好なカルシウム剤スラリーを調製することは可能となるが、提案されているカルシウム剤スラリーのカルシウム剤固形分濃度は高々約10重量%に過ぎず、特許文献1の提案と同様、設備費、流通経費等の観点から充分な方法とはいえなかった。
また、特許文献4には、リン脂質及びタンパク分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種類を炭酸カルシウムに添加し、湿式粉砕を行い分散性を改良する方法が提案されている。しかしながら、上記の様にリン脂質やタンパク分解物を添加する方法では、リン脂質に特有の臭気と苦みがあるため、風味の面で問題が大きい上、該特許文献4によると平均粒子径が1〜3μmのカルシウム分散液であるため、この方法により得られる炭酸カルシウムを添加した牛乳は、その製造工程中におけるクラリファイヤー等の遠心分級機における炭酸カルシウムの歩留まりが悪く、また牛乳等の食品中において沈降しやすく、ロングライフ牛乳等の長期間保存可能食品への添加用途には良好とはいえなかった。
更に特許文献5には、HLBが16のショ糖ステアリン酸エステルと燐酸カルシウムあるいは炭酸カルシウムの混合物からなるカルシウム剤スラリーをスプレードライヤー等の乾燥機を用いて乾燥粉末を調製する製造方法が提案されているが、乾燥原料であるカルシウム剤スラリーのカルシウム剤の固形分濃度は共に10重量%程度と低濃度であり、乾燥エネルギーのみならず乾燥機設備の投資額の観点からも改善すべき問題点となっていた。
また、特許文献6には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム及びピロリン酸第2鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種類とアラビアガムを混合した高濃度食品添加物スラリー組成物及び/又はパウダー組成物、及びこれを含有する食品組成物が提案されている。しかしながら、この方法で用いられているアラビアガムは天然品であり、過去にも天災により生産の減少と共にその価格が著しく高騰するという状況に陥ったこともあり、また輸入品である為、国際状況等の影響でその入手も困難となる場合もあり、安価な製品の安定供給という点で問題となっていた。
最近、牛乳、ヨーグルト、ジュース類等液体食品の長期間保存可能な容器、保存方法の進歩に伴い、該食品を販売店、自動販売機、家庭内の大型冷蔵庫等において長期間保存するケースが増加しており、同種の食品にカルシウム強化の目的で添加されている炭酸カルシウム粒子は、その食品中における分散状態が極めて良好でない場合、長期間の液体食品の保存の間に食品容器底部に沈澱してしまい、牛乳、ジュース類液体食品を飲用する際、その沈澱物が飲用者に不快感、不清潔感を与えることが多くなっている。
従って、現在カルシウム強化の目的で従来技術で調製された炭酸カルシウム等の無機粒子を添加し市販されている液体食品類は、該無機粒子の食品中における分散安定期間が短いため、該無機粒子の添加量は極少量に制限される必要があり、また一般消費者が購入後1〜2日の間に必ず食用に用いられるような液体食品に制限される必要があり、好ましくなかった。
更に最近の麺業界、特に即席麺では、差別化、グルメ化等で多岐にわたる商品が開発され、各種ミネラルやビタミンを添加した商品が多数販売されている。同種の食品においてカルシウム強化の目的で添加されている炭酸カルシウムは麺中に均一に分散する必要があるが、該炭酸カルシウムの分散性及び流動性が十分でない場合、麺中のカルシウム含量が不均一でばらつく為、カルシウム強化食品としては不適当であった。また、上記問題点を解決するには麺の原料と炭酸カルシウムを長時間あるいは強力に撹拌し均一に混合させる必要があり、エネルギーコスト的にも好ましくなかった。
また、近年生体内でのマグネシウムの働きに注目が集まっている。マグネシウムはカルシウムの代謝に大きな関わりを持っており、不足するとカルシウムの代謝異常に伴う諸症状が現れる。さらに、マグネシウムは多くの酵素反応に関わり、生体内の恒常性を維持していると言われている。しかし、マグネシウムは食品の精製加工の段階でほとんどなくなる為、現代人の食生活では不足しがちな状況にあり、マグネシウムを強化した商品に注目が集まっている。
例えば、清涼飲料水等において、マグネシウム分を強化する目的で、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の水溶性のマグネシウムや酸化マグネシウム等の水不溶性又は難溶性の無機形態のマグネシウムが添加使用されている。しかしながら、水溶性の有機又は無機形態のマグネシウムは苦みが強く、味の問題でその添加量に強い制約を受けることは否めなかった。また、酸化マグネシウム等の水不溶性又は難溶性の無機形態のマグネシウムの分散体を用いた場合は、比重が3.0以上と高く、清涼飲料水等に分散させた場合、短時間で沈澱するため、食感及び食品としての美観上好ましくなく、結局、水溶性のマグネシウム剤同様、その添加量は制限され多量に使用出来ないという欠点を有していた。
特開昭64−69513号公報 特開平6−127909号公報 特開平6−127939号公報 特開平9−9911号公報 特開平6−197736号公報 WO98−42210号公報
本発明は、かかる実状に鑑み、上記課題を解決した、流通経済性に優れた非常に高濃度を有し、且つ牛乳や即席麺等の食品への添加剤として好適な高分散性を有する食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物及びこれを含有してなる食品組成物を提供するものである。
本発明の第1は、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム(以下、カルシウム剤と記す)及びドロマイトからなる群から選ばれた少なくとも1種(A)100重量部に対し、加工デンプンとしてオクテニルコハク酸エステル(B)を0.1〜80重量部含有させてなることを特徴とする食品添加剤スラリー組成物を内容とするものである。
本発明の第2は、上記の食品添加剤スラリー組成物を乾燥粉末化してなることを特徴とする食品添加剤パウダー組成物を内容とするものである。
本発明の第3は、上記の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を含有してなることを特徴とする食品組成物を内容とするものである。
本発明の食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物は、液中での再分散性、液中での長期分散安定性、並びに風味が極めて優れている上、高濃度化が可能なため経済的にも非常に優れている。また、該食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を用いて調製される食品組成物は、中性、酸性の何れの領域においても、長期間の保存安定性が極めて優れている。更に、本発明に使用される原材料は、天候や国際情勢等の影響を受けることなく安定的に入手できる利点がある。
本発明に用いる炭酸カルシウムは、例えば炭酸カルシウムを50重量%以上含有するコーラル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウムが挙げられるが、水酸化カルシウムの水懸濁液である石灰乳と炭酸ガスを反応させる炭酸ガス法に代表される化学的合成方法により調製される合成炭酸カルシウムが、微細な分散体を得易い点で好ましい。炭酸ガス法において合成炭酸カルシウムを調製する際の好ましい方法として、以下に示す方法を例示できる。
石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸化反応し、得られる炭酸カルシウムの水懸濁液の調製工程において、炭酸化反応終了して調製されたpHの値がQの炭酸カルシウムの水懸濁液を撹拌、及び/又は湿式粉砕、及び/又は静置し、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式(a)及び(b)を満たすpH値Rに上昇せしめた後、水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを、以下に示す式(c)を満たすpH値Sに調整し、炭酸カルシウムを調製する。
R≧8.6・・・・・・・・・・・・(a)
10(R+2) /10Q ≧125・・・・(b)
10(S+2) /10R ≦80・・・・・(c)
但し、Q,Rは同一温度条件下のpHである。
また、pH値Sは、Sが8.6未満の場合、Sは8.6として計算。
本発明に用いる燐酸カルシウムとは、燐酸のカルシウム塩からなる無機物を指称し、燐酸カルシウムを50重量%以上含有する天然燐酸カルシウム、牛骨、合成燐酸カルシウム等が挙げられるが、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩と燐酸、燐酸ソーダ等の燐酸塩を反応させる化学的合成方法により調製される合成燐酸カルシウムが好ましく、中でもピロ燐酸二水素カルシウム、燐酸一水素カルシウム、燐酸三カルシウムの一種以上から選ばれる燐酸カルシウムがより好ましい。
本発明の原料として用いる炭酸カルシウム及び/又は燐酸カルシウム(以下、カルシウム剤という)の形態に関しては、通常の方法で調製されるカルシウム剤の水懸濁液でもよく、また該水懸濁液を常法に従い脱水、乾燥、粉砕を経て調製されるカルシウム剤の粉体に再度水を添加して調製される水懸濁液でもよいが、食品添加物規格厳守及び衛生管理面の観点から、後者の形態を採用するのが好ましい。
後者の方法に用いる場合、使用する炭酸カルシウムの粉体のpHに関しては、本発明に使用する親水性乳化剤の機能低下防止、及び粉砕及び分級時の効率の上昇の観点から、炭酸カルシウム粉体の固形分濃度20重量%の水懸濁液200ccを、300W,20kHzで10分間超音波処理した後の水懸濁液の25℃におけるpHが、11.7以下の炭酸カルシウム粉体を使用するのが好ましく、より好ましくは11.5以下である。
また、本発明の原料として用いるカルシウム剤の窒素吸着法(BET法)による比表面積は、6m2 /g〜60m2 /gの範囲が好ましい。比表面積が、6m2 /g未満の場合、牛乳等の液体食品中での長期間の安定性に問題が生じ、また、60m2 /gを越える場合、カルシウム剤粉体の凝集力が極めて強くなるため、その分散が困難となる。
本発明に用いるドロマイトとは、天然ドロマイトをHミル、竪型ミル、ボールミルあるいはローラミル等を用い粉砕して使用する。
また、本発明の原料として用いるドロマイトの窒素吸着法(BET法)による比表面積は、1m2 /g〜50m2 /gの範囲が好ましい。比表面積が、1m2 /g未満の場合、牛乳等の液体食品中での長期間の安定性に問題が生じ、また、50m2 /gを越える場合、ドロマイト粉体の凝集力が極めて強くなるため、その分散が困難となる。
次に、前述のカルシウム剤及びドロマイトから選ばれた少なくとも1種(A)と加工デンプンとしてオクテニルコハク酸エステル(以下、加工デンプンと記す)(B)と水との食品添加剤スラリー組成物を調製する。
カルシウム剤及びドロマイトから選ばれた少なくとも1種(A)と加工デンプン(B)と水の食品添加剤スラリー組成物を調製するのに必要不可欠な条件は、該食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤及びドロマイトから選ばれた少なくとも1種(A)100重量部に対し、加工デンプン(B)が0.1〜80重量部含有されていることであり、好ましくは加工デンプン(B)が、1〜70重量部含有されていることであり、より好ましくは2〜50重量部含有されていることである。
加工デンプンの添加量が0.1重量部未満の場合、例えば、牛乳、ジュース、ドリンクタイプのヨーグルト等の食品に添加使用した場合、食品中のカルシウム剤及び/又はドロマイトの経時安定性が悪く、著しい場合、24時間以内に食品容器底部に凝集し沈降する。一方、80重量部を越えた場合、加工デンプン由来の塩味、苦み等の異味が強く、製品本来の風味を損なう恐れがあるだけではなく、食品添加剤スラリー組成物の粘度が上昇してしまい、良好なハンドリングを得る為に製品の粘度を低くする必要があり、経済的な面でも好ましくない。
また、食品添加剤スラリー組成物の電気伝導度N(mS/cm)は、下記(a)の要件を満たすことが好ましく、より好ましくは、0.18≦N≦2.50、更に好ましくは、0.20≦N≦1.50である。
(a) 0.17≦N≦4.00
N:粉砕及び/又は分散後の食品添加剤スラリー組成物を、カルシウム剤固形分濃度5%に調製後の電気伝導度
電気伝導度N(mS/cm)が、0.17未満の場合、カルシウム剤の表面安定性が不安定となり、カルシウム剤が再凝集し易いものが得られるため、牛乳等に使用した場合、安定なものを得られ難くなる傾向にあるため好ましくなく、Nが4.00を越えた場合、牛乳等に使用した場合、タンパク質の安定性を阻害し易いため、増粘傾向にあり、極端な場合、ゲル化することがあるため好ましくない。
本発明における電気伝導度は、下記の要領で測定計算されたものである。
測定機種 :パーソナルSCメーター ModelSC82
試料の調製:食品添加剤スラリー組成物を、溶媒で固形分濃度5重量%に調整 する。
溶媒 :イオン交換水
また、食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤及び/又はドロマイトの粒度分布における重量(体積)平均径K(μm)については、下記(α)の要件を具備することであり、かなり長期間の保存分散安定性を要求される食品用途には(β)の要件を具備することが好ましく、より好ましくは(γ)の要件を具備することである。
(α)0.04≦K≦0.8
(β)0.04≦K≦0.5
(γ)0.04≦K≦0.3
食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤及び/又はドロマイトの粒度分布における重量平均径が、0.8μmより大きい場合は沈降しやすいため、これらの食品添加剤スラリー組成物は、長期間保存可能な食品用途には使用できない。食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤の粒度分布における重量平均径を0.8μm以下に調製する方法については、前述の方法によればよいが、物理的方法による粉砕及び/又は分散方法については、ダイノーミル、サンドミル、コボールミル等の湿式粉砕機、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー、ホモゲナイザー等の乳化・分散装置、超音波分散機、3本ロールミル等のロールミルが好ましく使用できる。
本発明におけるカルシウム剤及び/又はドロマイトの食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤及び/又はドロマイトの粒度分布における重量平均径は、下記の要領で測定計算されたものである。
測定機種 :島津製作所製 SA−CP4L
試料の調製:食品添加剤スラリー組成物を、下記20℃の溶媒中に滴下し、粒 度分布測定試料とする。
溶媒 :イオン交換水
予備分散 :SKディスパーザー(セイシン企業製)を用い、
超音波分散100秒
測定温度 :20.0℃±2.5℃
本発明に用いられる加工デンプン(B)であるオクテニルコハク酸エステルデンプンとは通常、デンプン懸濁液を微アルカリ性にした後、オクテニルコハク酸懸濁液を滴下することにより得られる。上記加工デンプンの例として、PURITY GUM 1773、PURITY GUM 2000、エヌクリーマー46、カプシュール(以上ナショナルスターチ社製の商品名)、エマルスター30A(松谷化学工業株式会社製の商品名)等が挙げられる。
また、本発明に用いられるデンプンの原料の種類に特に制限はないが、粘液の安定性や粘性の観点からワキシコーンスターチの方が好ましい。
以上の様にして調製されるカルシウム剤及びドロマイトからなる群より選ばれた少なくとも1種(A)と加工デンプン(B)と水の食品添加剤スラリー組成物を乾燥粉末化することにより、本発明の食品添加剤パウダー組成物は調製される。食品添加剤スラリー組成物の乾燥について、乾燥機に特別の制限はないが、各種表面処理剤の変質防止の観点から極めて短時間に乾燥を行うのが好ましく、この観点から乾燥機としては、スプレードライヤー、セラミック媒体を加熱流動状態で用いるスラリードライヤー等の液滴噴霧型乾燥機を用いるのが望ましい。
上記の如き方法により調製される食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物は、水中における再分散性が極めて良好であり、特殊な分散機、撹拌機等を用いずとも容易に水中に分散する。
従って、本発明の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を用いて、食品、例えばカルシウム及びマグネシウム強化牛乳を調製するには、本発明の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を牛乳に直接添加して強力に撹拌し、牛乳中に食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を分散させるだけで充分であるが、該食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を前もって水中に分散させ得られるカルシウム剤及び/又はドロマイトの水分散液を牛乳に添加しても差し支えない。また還元乳では、本発明の食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物を、60℃程度の温度で溶解したバター又はバターオイルに加えて高速撹拌して分散させ、次いでこれに還元脱脂乳あるいは脱脂乳を加え、均質化すればよい。
これらの方法で調製したカルシウム及びマグネシウム強化牛乳等は、クラリファイヤーで除去されるカルシウム剤及び/又はドロマイトの量が、従来の方法で調製されたカルシウム剤及びマグネシウム剤を添加した場合に比べて、大幅に減少する。即ち、本発明の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を添加した牛乳、ヨーグルト、ジュース類中には、カルシウム剤及び/又はドロマイトが極めて安定に保持されている。また、本発明の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物は、カルシウム剤及び/又はドロマイトの分散性が良好であるため、牛乳等に添加する際の撹拌時間が少なくてすみ、従って、バター中で長時間撹拌した場合に見られるようなカルシウム剤及び/又はドロマイトの凝集は起こらない。本発明の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物は、上記用途以外に、クリーム、コーヒー、紅茶、ウーロン茶等の液体食品、ワイン、酒等のアルコール飲料等にカルシウム及びマグネシウム剤の強化の目的で使用することが出来る。
さらに、本発明の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を用いてカルシウム及びマグネシウム強化即席麺を調製するには、本発明の方法により調製される食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を即席麺の原料粉末中に直接添加し、軽く撹拌及び/又は混合し食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を分散させるだけで充分である。
また、本発明の食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物は、乳酸カルシウム、塩化カルシウム等の水可溶性カルシウム塩及び/又は塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の水可溶性マグネシウム塩と併用使用しても何等差し支えない。
以下に実施例、比較例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用する炭酸カルシウム、リン酸カルシウム及び/又はドロマイトの製造方法を以下に参考例として示す。
参考例1:炭酸カルシウム
比重1.050で温度が10℃の石灰乳10000リッターに、炭酸ガス濃度27重量%の炉ガス(以下炭酸ガスと略記する)を25m3 /minの流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃におけるpHがpH9.0の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。
次にpH9.0の炭酸カルシウム水懸濁液を、50℃で12時間撹拌し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃におけるpHが11.8に達した時点でフィルタープレスを用いて脱水し、炭酸カルシウム固形分濃度が48重量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに再度水を加え撹拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液と同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カルシウム水懸濁液のpHは11.5であった。この炭酸カルシウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導通し、炭酸カルシウム水懸濁液のpHを7.0に低下せしめた後、該炭酸カルシウム水懸濁液をフィルタープレスを用い脱水し、そのプレスケーキをパドルドライヤーを用いて乾燥し、乾式粉砕機を用いて炭酸カルシウム粉体を得た。
該炭酸カルシウムの窒素吸着法による比表面積を、QUANTA、CHROME製表面積測定装置NOVA2000を用いて測定した結果30m2 /gであった。
参考例2:リン酸カルシウム
強アンモニア性塩化カルシウム溶液に第二燐酸アンモニウムを添加撹拌後、脱水を行い、得られるケーキを数度水洗した後、乾燥、乾式粉砕を行い白色粉体を得た。X線回折測定により該白色粉体が燐酸三カルシウムであることを確認した。該燐酸三カルシウム水懸濁液をフィルタープレスを用い脱水し、そのプレスケーキをパドルドライヤーを用いて乾燥し、乾式粉砕機を用いて白色粉体を得た。また、該粉体の窒素吸着法による比表面積を、QUANTA、CHROME製表面積測定装置NOVA2000を用いて測定した結果40m2 /gであった。
参考例3:ドロマイト
天然ドロマイトを数回洗浄した後、Hミルを用い乾式粉砕を行い、分級し白色粉体を得た。X線回折測定により該白色粉体が炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの混合物であることを確認した。また、白色粉体中のカルシウム含量及びマグネシウムの含量を測定した結果、各々21重量%及び12重量%であることを確認した。また、該粉体の窒素吸着法による比表面積を、QUANTA、CHROME製表面積測定装置NOVA2000を用いて測定した結果5m2 /gであった。
実施例1
参考例2の方法で得たリン酸カルシウム粉体を用い、リン酸カルシウム固形分100重量部に対し加工デンプン13重量部及び水を添加し攪拌混合を行い食品添加剤スラリー組成物を調製後、湿式粉砕機ダイノーミルKDパイロット型(WAB社製)を用いて湿式粉砕を行い、高濃度食品添加剤スラリー組成物を得た。該食品添加剤剤スラリー組成物中の炭酸カルシウムの粒度分布における重量平均径は、0.22μmであった。また、該食品添加剤スラリー組成物の湿式粉砕後のサンプルを炭酸カルシウム固形分濃度5重量%に希釈後の電気伝導度を測定した結果、0.38mS/cmであった。
本実施例で得られた高濃度食品添加剤スラリー組成物の粘度は充分に低く、流動性にも全く問題はなかった。尚、加工デンプンはあらかじめ水で溶解させた後添加した。
実施例2,3
表1に示す条件の他は実施例1と同条件で、高濃度食品添加剤スラリー組成物を得た。尚、実施例2,3で得られた食品添加剤スラリー組成物は、実施例1と同様にカルシウム剤固形分濃度が40重量%の食品添加剤スラリー組成物の調製を試みたが、該濃度では高粘度でハンドリングが困難であったため、ハンドリングに支障のない程度まで希釈を行った結果、表1に示す如き固形分濃度のスラリーが調製された。
本実施例の食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤又はドロマイトの粒度分布における重量平均径及び湿式粉砕後の電気伝導度を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
比較例1,5
表1に示す条件の他は実施例1と同条件で、食品添加剤スラリー組成物を得た。尚、本比較例で得られた食品添加剤スラリー組成物は、実施例1と同様にカルシウム剤固形分濃度が40重量%の、高濃度食品添加剤スラリー組成物の調製を試みたが、該濃度では粘度が高くハンドリングが困難であったため、ハンドリングに支障がない濃度まで希釈を行った結果、表1に示す如き固形分濃度のスラリーが調整された。本比較例の食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤の粒度分布における重量平均径及び湿式粉砕後の電気伝導度を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
比較例2
参考例1の炭酸カルシウムを用いて、炭酸カルシウム固形分100重量部に対し、酵素分解レシチンを12重量部及び水を添加し攪拌混合を行い、食品添加剤スラリー組成物を調製後、湿式粉砕機ダイノーミルKDパイロット型を用いて湿式粉砕を行い高濃度食品添加剤スラリー組成物を得た。
尚、本比較例で得られた高濃度食品添加剤スラリー組成物は、実施例1と同様に食品添加剤固形分濃度が40重量%の、高濃度食品添加剤スラリー組成物の調製を試みたが、該濃度では粘度が高くハンドリングが困難であったため、ハンドリングに支障がない濃度まで希釈を行った結果、表1に示す如き固形分濃度のスラリーが調整された。
本比較例の食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤の粒度分布における重量平均径及び湿式粉砕後の電気伝導度を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。尚、酵素分解レシチンはあらかじめ水で溶解させた後添加した。
比較例3,4
表1に示す条件の他は比較例2と同条件で、食品添加物剤スラリー組成物を得た。尚、本比較例で得られた高濃度食品添加剤スラリー組成物は、実施例1と同様に食品添加剤固形分濃度が40重量%の、高濃度食品添加剤スラリー組成物の調製を試みたが、該濃度では粘度が高くハンドリングが困難であったため、ハンドリングに支障がない濃度まで希釈を行った結果、表1に示す如き固形分濃度のスラリーが調整された。
本比較例の食品添加剤スラリー組成物中のカルシウム剤の粒度分布における重量平均径及び湿式粉砕後の電気伝導度を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
尚、ショ糖脂肪酸エステル及びアルギン酸プロピレングリコールエステルはあらかじめ65℃の温水で溶解させた後、20℃に冷却後添加した。
実施例4〜6及び比較例6〜10
実施例1〜3及び比較例1〜5で得られた食品添加剤スラリー組成物を、スプレードライヤーを用いて乾燥し、食品添加剤パウダー組成物を得た。
次に実施例4〜6及び比較例6〜10で得られた食品添加剤パウダー組成物を水に添加し、ホモミキサーにより11000rpmで15分間攪拌し、カルシウム剤及び/又はドロマイトが各々パウダー化前のスラリー濃度の再分散液を調整した。得られた食品添加剤パウダー組成物の再分散液の粘度は、乾燥前の食品添加剤スラリー組成物と比較してほぼ同程度で流動性にも全く問題はなかった。再分散液中の各々のカルシウム剤及び/又はドロマイトの粒度分布における重量平均径を表2に示す。
Figure 0004951052
Figure 0004951052
次に実施例1〜6及び比較例1〜10で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用い、各々のカルシウム剤固形分濃度が0.75重量%、各々のドロマイト固形分濃度が0.91重量%になるように希釈後、該希釈液を100mlのメスシリンダーにとり、10℃で静置し、カルシウム剤又はドロマイトの沈澱により生ずる透明部分とカルシウム剤又はドロマイトの分散部分の着色部分の界面の高さの経時変化、沈澱物の量の経時変化を目視判断し、各水分散液の水中における安定性を調べた。メスシリンダーに刻まれたml単位の表示を読みとり、その結果を下記の5段階表示により表3に示す。
(界面の高さ)
界面がほぼ98以上100mlである・・・・・・・5
界面が95以上98未満である・・・・・・・・・・4
界面が90以上95未満である・・・・・・・・・・3
界面が50以上90未満である・・・・・・・・・・2
界面が50未満である・・・・・・・・・・・・・・1
(沈澱物の量)
殆ど沈澱物が確認できない・・・・・・・・・・・・5
わずかに沈澱物が確認できる・・・・・・・・・・・4
0.5mm未満程度の沈澱物がある・・・・・・・・3
0.5mm以上2mm未満の沈澱物がある・・・・・2
2mm以上の沈澱がある・・・・・・・・・・・・・1
Figure 0004951052
実施例7
実施例1で調製した食品添加剤スラリー組成物200gを、60℃で溶解させたバター500g中に分散させ、これを脱脂乳9.30kg中に添加撹拌し、次いで殺菌を行いカルシウム強化牛乳を得た。該カルシウム強化牛乳を100mlのメスシリンダー数本にとり、5℃で保存し、定期的にメスシリンダー中の牛乳を静かに廃棄し、メスシリンダー底部に残存している沈澱物の量の経時変化を目視観察した。その結果を下記の4段階表示により表4に示す。また、該カルシウム強化牛乳の男女各10名よりなる官能試験を行い、各々に風味に関して5段階の判定をさせ、その平均値も表4に示す。
(沈澱物の量)
殆ど沈澱物が確認できない・・・・・・・・・・・・4
わずかに沈澱物が確認できる・・・・・・・・・・・3
少し沈澱物が確認できる・・・・・・・・・・・・・2
かなり大量の沈澱物が確認できる・・・・・・・・・1
(風味)
風味が良好である・・・・・・・・・・・・・・・・5
風味が少し気になる(やや違和感がある)・・・・・4
風味が少し悪い(やや不快感がある)・・・・・・・3
風味がかなり悪い(かなり不快感がある)・・・・・2
風味が非常に悪い(非常に不快感が強い)・・・・・1
実施例8、実施例10,11、比較例11〜14、比較例16〜19
前述の実施例2、実施例4,5、比較例1〜4、比較例6〜9で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用いること、及び各々のカルシウム濃度を実施例7と同濃度に調整することを除き、他は実施例7と同様の方法でカルシウム強化牛乳を得た。また、これらのカルシウム強化牛乳の沈澱物の量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で行った。その結果を表4に示す。
実施例9
実施例3で調製した食品添加剤スラリー組成物445gを、60℃で溶解させたバター500g中に分散させ、これを脱脂乳9.05kg中に添加撹拌し、次いで殺菌を行い、カルシウム及びマグネシウム分強化牛乳を得た。
また、これらのカルシウム及びマグネシウム強化牛乳の沈澱物の量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で観察した。その結果を表4に示す。
実施例12、比較例15,20
前述の実施例6、比較例5,10で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用いること、及び各々のカルシウム及びマグネシウム濃度を実施例9と同濃度に調整することを除き、他は実施例9と同様の方法でカルシウム及びマグネシウム分強化牛乳を得た。
また、これらのカルシウム及びマグネシウム強化牛乳の沈澱物の量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で観察した。その結果を表4に示す。
Figure 0004951052
実施例13
実施例1で調製した食品添加剤スラリー組成物200gを、60℃で溶解させたバター300g中に分散させ、これを脱脂乳9.50kg中に添加撹拌し、次いで超高温滅菌を行い、ロングライフ・カルシウム強化牛乳を得た。
また、これらのカルシウム強化牛乳の沈澱物の量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で行った。その結果を表5に示す。
実施例14、実施例16,17、比較例21〜24、比較例26〜29
前述の実施例2、実施例4,5、比較例1〜4、比較例6〜9で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用いること、及び各々のカルシウム濃度を実施例13と同濃度に調整することを除き、他は実施例13と同様の方法でロングライフ・カルシウム強化牛乳を得た。また、これらのカルシウム強化牛乳の沈澱物の量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で行った。その結果を表5に示す。
実施例15
実施例3で調製した食品添加剤スラリー組成物445gを、60℃で溶解させたバター300g中に分散させ、これを脱脂乳9.05kg中に添加撹拌し、次いで超高温滅菌を行い、ロングライフカルシウム及びマグネシウム分強化牛乳を得た。
また、これらのカルシウム及びマグネシウム強化牛乳の沈澱量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で観察した。その結果を表5に示す。
実施例18、比較例25,30
前述の実施例6、比較例5,10で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用いること、及び各々のカルシウム及びマグネシウム濃度を実施例15と同濃度に調整することを除き、他は実施例15と同様の方法でロングライフカルシウム及びマグネシウム分強化牛乳を得た。
また、これらのカルシウム及びマグネシウム強化牛乳の沈澱量の観察並びに風味に関する官能試験を、実施例7に示す同様の方法で観察した。その結果を表5に示す。
Figure 0004951052
実施例19
実施例1で調製した食品添加剤スラリー組成物200g、市販の牛乳2.4kg、バター150g、脱脂乳1.25kgを水5kgに添加撹拌して均質化し、常法に則り、殺菌冷却した後、あらかじめ調整したスターター200g接種し、180ccのカップに充填し、38℃で5時間発酵させ、カルシウム強化ヨーグルトを得た。
各試料を男女各10名よりなる官能試験を行い、食感に関しては下記の4段階の判定を、風味に関しては下記の5段階の判定を各々にさせ、その平均値を表6に示す。
(食感)
良好な組織を有し、舌ざわりが良好である・・・・・・・・・・・・・・・4
粘度がやや高く、又は、やや組織が悪く、少しざらつきがある・・・・・・3
粘度がかなり高く、又は、かなり組織が悪く、かなりざらつきがある・・・2
濃厚すぎ、又は、離水が見られ、非常にざらつきがある・・・・・・・・・1
(風味)
風味が良好である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
風味が少し気になる(やや違和感がある)・・・・・・・・・・・・・・・4
風味が少し悪い(やや不快感がある)・・・・・・・・・・・・・・・・・3
風味がかなり悪い(かなり不快感がある)・・・・・・・・・・・・・・・2
風味が非常に悪い(非常に不快感が強い)・・・・・・・・・・・・・・・1
実施例20、比較例31〜34
実施例4、比較例1,4,6,9で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用いること、及び各々のカルシウム濃度を実施例19と同濃度に調整することを除き、他は実施例19と同様の方法でカルシウム強化ヨーグルトを得た。また、これらのヨーグルトの官能試験を実施例19の方法と同様の方法で行った。その結果を表6に示す。
Figure 0004951052
実施例21
小麦粉50kgに実施例1で調製した食品添加剤スラリー組成物626gを含む飲料水20kgを攪拌しながら注入する。攪拌した原料を熟成させ、ロール等で薄く延ばし、裁断し生麺を生成した後、所定時間蒸し、乾燥させ、理論カルシウム含量2.00mg/gのカルシウム強化即席麺を得た。該カルシウム強化即席麺を任意の10カ所より正確に1g量り取り、即席麺中のカルシウム含量を測定した。測定値の最大値、最小値及び平均値を表7に示す。また、該カルシウム強化即席麺の男女10名よりなる官能試験を行い、食感に関して下記の4段階の判定を各々にさせその平均値を表7に示す。
(食感)
良好な組織を有し、舌ざわりが良好である・・・・・・・・・・・・・・・4
ほとんど違和感が無く、ややざらつきがある・・・・・・・・・・・・・・3
かなり違和感があり、かなりざらつきがある・・・・・・・・・・・・・・2
非常に違和感があり、非常にざらつきがある・・・・・・・・・・・・・・1
実施例22、実施例24,25、比較例35〜38、比較例40〜43
前述の実施例2、実施例4,5、比較例1〜4、比較例6〜9で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダーの再分散液を用いること、及び各々のカルシウム濃度を実施例21と同濃度に調整することを除き、他は実施例21と同様の方法でカルシウム強化即席麺を得た。また、これらのカルシウム強化即席麺のカルシウム含量並びに食感に関する官能試験を、実施例21に示す同様の方法で行った。その結果を表7に示す。
実施例23
小麦粉50kgに実施例3で調製した食品添加剤スラリー組成物1588gを含む飲料水20kgを均質に攪拌しながら注入する。均質化した原料を熟成させ、ロール等で薄く延ばし、裁断し生麺を生成した後、所定時間蒸し、乾燥させ、理論カルシウム含量2.00mg/g、理論マグネシウム含量1.14mg/gのカルシウム及びマグネシウム強化即席麺を得た。これらのカルシウム及びマグネシウム強化即席麺のカルシウム及びマグネシウム含量並びに食感に関する官能試験を、実施例21に示す同様の方法で行った。その結果を表7、8に示す。
実施例26、比較例39,44
前述の実施例6、比較例5,10で調製した食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物の再分散液を用いること、及び各々のマグネシウム濃度を実施例23と同濃度に調整することを除き、他は実施例23と同様の方法でカルシウム及びマグネシウム強化即席麺を得た。
また、これらのカルシウム及びマグネシウム強化即席麺のカルシウム及びマグネシウム含量並びに食感に関する官能試験を、実施例21に示す同様の方法で行った。その結果を表7、8に示す。
上記表1〜表8から明らかなように、実施例1〜6で代表される本発明の食品添加剤スラリー又はパウダー組成物は、例えば40重量%のような高濃度化が可能で流通経済性に優れるとともに、液中での再分散性、液中での長期分散安定性、及び風味に優れている。
これに対して、比較例1〜10の食品添加剤スラリー又はパウダー組成物は、20重量%を越えるような高濃度化は困難で、従って流通経済性に乏しい。特に、比較例3、4、8、9のものは液中での安定性や風味は良好であるものの、高濃度化が困難である。また、他の比較例のものは水中での安定性は比較的良好であるものの、牛乳中での風味に劣る。
Figure 0004951052
Figure 0004951052
以上のように、本発明の食品添加剤スラリー組成物又はパウダー組成物は、液中での再分散性、液中での長期分散安定性、並びに風味が極めて優れている上、高濃度化が可能なため経済的にも非常に優れている。また、該食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を用いて調製される食品組成物は、中性、酸性の何れの領域においても、長期間の保存安定性が極めて優れている。更に、本発明に使用される原材料は、天候や国際情勢等の影響を受けることなく安定的に入手できる利点があり、極めて有用性の高いものである。

Claims (5)

  1. 炭酸カルシウム、燐酸カルシウム(以下、カルシウム剤と記す)及びドロマイトからなる群から選ばれた少なくとも1種(A)100重量部に対し、加工デンプンとしてオクテニルコハク酸エステル(B)を0.1〜80重量部含有させてなることを特徴とする食品添加剤スラリー組成物。
  2. 下記(a)の電気伝導度N(mS/cm)を満たす請求項1に記載の食品添加剤スラリー組成物。
    (a) 0.17≦N≦4.00
    N:粉砕及び/又は分散後の食品添加剤スラリー組成物を、固形分濃度5重量%に調整したときの電気伝導度
  3. カルシウム剤及び/又はドロマイトの粒度分布における重量平均径K(μm)が、0.04μm≦K≦0.8μmである請求項1又は2記載の食品添加剤スラリー組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の食品添加剤スラリー組成物を乾燥粉末化してなることを特徴とする食品添加剤パウダー組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の食品添加剤スラリー組成物及び/又はパウダー組成物を含有してなることを特徴とする食品組成物。
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