JP3245529U - 接続具、及び、建物構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】建築部材と建物躯体を接続し、その相対的位置の調整を細やか且つ容易に行いうる接続具、これを使用した建物構造を提供する。【解決手段】建物構造1は、建物躯体2、建築部材3、接続具4を備える。接続具4は、建物構造1の接続に使用され、建築部材3に取付可能な第1接続部材41及び建物躯体2に取付可能な第2接続部材42a・42bを有し、第1接続部材と第2接続部材は連結具6を以て連結される。第1接続部材41は、側面視で略T字状を成し、略中央に円形の第1貫通孔を形成した第1面部411及び略中央に長円形の第2貫通孔を形成した第2面部413を有する。第2接続部材42a・42bは、側面視で略T字状を成し、略中央に長円形の第3貫通孔を形成した第3面部421及び略中央に長円形の第4貫通孔を形成した第4面部423a・423bを有する。【選択図】図1
Description
本考案は、接続具、及び、これを使用した建物構造に関する。更に詳しくは、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材(以下「建築部材」と省略する)と建物の躯体(以下「建物躯体」と省略する)とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことが可能なものに関する。
本考案者は、従前より下記の特許文献1に示されている木造建物、その壁面構造体を提案している。特許文献1に記載された木造建物では、その壁面構造体が、基礎部及び1階部分を構成する第1壁面部を備え、該基礎部は、コンクリート製の基礎本体部と、該基礎本体部から立設された板状の垂直面部が、前記第1壁面部の形成方向と略一致するように設けて成る接続部とを有する構造であり、前記第1壁面部は、軸を縦にして立設されると共に、その下部が前記接続部に沿って連続して整列配置された、複数本の木製の柱状部材と、隣接した該柱状部材を連結する連結構造部とを有する構造であり、前記接続部は、前記垂直面部に対して板面が交差する配置で立設されたプレート部分が、所定間隔を開けて複数箇所に設けられ、前記各柱状部材は、前記プレート部分が収まる下部受け溝が下端面に形成された第1柱と、該第1柱の間に挟んで配置された第2柱と、を含み、前記第1柱及び前記第2柱の下部側面と前記垂直面部とを当接させると共に、前記下部受け溝に前記プレート部分を嵌合させた同第1柱の間に同第2柱を挟む態様で、前記基礎部と前記第1壁面部を接続させた構造である。
特許文献1記載の発明によれば、躯体の主要材に木材を使用して炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を奏すると共に、比較的狭い土地での施工性が良好であり、堅牢な構造の壁面構造体、木造建物を提供することができるものである。
ところで、特許文献1記載の壁面構造体は、使用される柱状部材の下端面に下部受け溝が形成され、下部受け溝に接続部である垂直面部を嵌合させる構造であるが、構造上、柱状部材で構成する壁面部(建築部材)と基礎部等(建物躯体)との接続に際して、壁面部と基礎部等との相対的位置の微調整が難しく、垂直面部の形状変更や設置位置の変更等、大きな作業を伴うものとなる。
本考案は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができる接続具、及び、これを使用した建物構造を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために本考案の接続具は、建物構造の接続において、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材に取付可能な第1接続部材と、建物の躯体に取付可能な第2接続部材と、を備え、前記第1接続部材は、板状の第1面部と、これに固着された板状の第2面部とが、側面視で略T字状又はL字状を成しており、前記第1面部は、前記建築部材に取付可能な形状であって、その略中央には、挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大に設けた円形の第1貫通孔が形成され、前記第2面部は、その突出方向に長尺な長円形の第2貫通孔が形成され、該第2貫通孔は、長径方向の軸線と前記第1貫通孔の直径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第2接続部材は、板状の第3面部と、これに固着された板状の第4面部とが、側面視で略T字状又はL字状を成しており、前記第3面部は、前記建物の躯体に取付可能な形状の板体であって、その略中央には長尺な長円形の第3貫通孔が形成され、該第3貫通孔は、長径線と前記第4面部の幅方向軸線とが直交する形状に設けられると共に、短径方向が挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第4面部は、その突出方向に長尺な長円形の第4貫通孔が形成され、該第4貫通孔は、長径線と前記第3貫通孔の長径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第2面部と前記第4面部とが当接されると共に、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結されることで、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結可能な構造である。
本考案の接続具によれば、これを利用することにより、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができる。更に詳しい接続具の作用効果は以下の通りである。
接続具は、第1接続部材を建築部材に取り付けると共に第2接続部材を建物躯体に取り付け、前述した第2面部と第4面部とを第2貫通孔と第4貫通孔の位置合わせをしながら当接させた後に、連結具を第2貫通孔と第4貫通孔に挿通させて締結する。これにより、第1接続部材及び第2接続部材が連結される。
第1接続部材は、第1面部を建築部材に取り付ける。このとき、第1面部に形成された第1貫通孔に固定具の軸部を挿通させ、固定具を以て第1面部を建築部材に固着する。前述した態様に設けた第1貫通孔は、挿通した固定具の軸部が孔内で遊動しにくくなっており、ひいては建築部材に対して第1接続部材がその取付箇所で安定的に保持される。
第2接続部材は、第3面部を建物躯体に取り付ける。このとき、第3面部に形成された第3貫通孔に固定具の軸部を挿通させ、固定具を以て第3面部を建物躯体に固着する。第3貫通孔は、短径方向が前述した態様であることにより、挿通した固定具の軸部が孔内の短径方向で遊動しにくく、建築部材と建物躯体との間隔を安定的に保持することができる。
そして、第3貫通孔は、前述した形状の長円形であることにより、挿通した固定具の軸部が孔内で長手方向に遊動可能であり、例えば、第2接続部材を建物躯体の長手方向(建物躯体が建物基礎や梁の場合は水平方向)に沿って適当な位置へ移動させた後に固着させる作業が可能となり、建物躯体との間隔調整を細やか且つ容易に行うことに寄与することができる。
第1接続部材を建築部材に取り付けし、且つ、第2接続部材を建物躯体に取り付けた後に、第1接続部材と第2接続部材を連結する。第1接続部材と第2接続部材の連結は、最初に、第1接続部材の第2面部と第2接続部材の第4面部とを第2貫通孔と第4貫通孔の位置合わせをしながら当接させる。その後に、連結具を第2貫通孔と第4貫通孔に挿通させ、連結具を以て締結する。これにより、第1接続部材及び第2接続部材が連結される。
このとき、第2貫通孔と第4貫通孔は、共に前述した形状の長円形であることにより、位置合わせした際に、互いの長径軸方向が交差する態様で(例えば十字状、T字状、L字状に)重複しており、挿通した連結具の軸部が両孔内で長手方向に遊動可能である。
これにより、締結前の状態で、第2貫通孔の長径軸方向に沿って第1接続部材を動かすことで、第2接続部材に対して第1接続部材を奥行き方向(前後方向)へ移動可能で、これに伴い、取り付けられた建築部材と建物躯体との間隔を細やか且つ容易に調整することができる。
加えて、締結前の状態で、第4貫通孔の長径軸方向に沿って第1接続部材を動かすことで、第2接続部材に対して第1接続部材を上下方向へ移動可能で、これに伴い、取り付けられた建築部材端部(例えば下端)と建物躯体端部(例えば上面)との間隔を細やか且つ容易に調整することができる。
この締結前の状態における挿通した連結具と、第2貫通孔及び第4貫通孔による位置調整が終わった後に、連結具を以て締結する。締結後において、上下方向については第2貫通孔の短径により、奥行き方向については第4貫通孔の短径により、連結具が孔内で遊動しにくく、建築部材と建物躯体との間隔を安定的に保持することができる。
なお、第1接続部材は、側面視で略T字状又はL字状であるため、第1面部と第2面部の各々が第1貫通孔及び第2貫通孔に重複又は干渉しない形状になっている。同様に、第2接続部材も、側面視で略T字状又はL字状であるため、第3面部と第4面部の各々が第3貫通孔及び第4貫通孔に重複又は干渉しない形状になっている。そして、各面部と配置と孔の位置が前述した態様であることにより、第2面部と第4面部とを当接状態でスライドさせることができ、第2貫通孔と第4貫通孔との位置合わせが行いやすい。
そして、第1貫通孔乃至第4貫通孔は、第2貫通孔がその長径方向の軸線と第1貫通孔の直径線とが略一致する位置に設けられ、且つ、第4貫通孔がその長径線と第3貫通孔の長径線とが略一致する位置に設けられていることから、建築部材及び建物躯体に対する第1接続部材及び第2接続部材の位置合わせが行いやすいものとなっている。
以上の通り、本考案の接続具は、前述の各構成に基づき、個別の又は組み合わせによる作用効果を奏することで、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができるものとなっている。
なお、本考案の説明で使用する用語の意味するところは次の通りである。
「建築部材」としては、例えば、縦方向に配置される柱体、縦方向に配置される板体(パネル)が挙げられ、板体には柱体を組み合わせてパネル状に形成したもの等も含まれる。また、「建物の躯体」としては、例えば、水平方向に配設された建物基礎や梁が挙げられるが、筋交や柱等であってもよい。
第1接続部材及び第2接続部材における「略T字状」の語は、板厚方向からの側面視で第1面部と第2面部とが略T字形状を成しているものを意味し、同側面視で第1面部の長手方向中央に第2面部が固着された態様(T字形状)を含むと共に、同側面視で第1面部の長手方向中央よりも所定幅(0.1mm以上100mm以下の範囲)で左右に外れた位置で第2面部が固着された態様(但し、側面視で完全なL字形状は含まない)である概ねT字の形状、のいずれも含む意味で使用している。
第1面部において「建築部材に取付可能な形状」とは、少なくとも建築部材との当接面が建築部材に沿うなりして不要な隙間が生じにくい形状であることを意味している。同様に、第3面部の「建物の躯体に取付可能な形状」についても、少なくとも建物躯体との当接面が建物躯体に沿うなりして不要な隙間が生じにくい形状であることを意味している。
第1面部に形成された第1貫通孔に関する「略中央」の語は、板部において完全な中央に位置する態様を含むと共に、中央からいずれかの方向へ所定距離(0.1mm~60mm)外れた態様を含む意味で使用している。また、第2面部に形成された第2貫通孔、第3面部に形成された第3貫通孔、及び、第4面部に形成された第4貫通孔のそれぞれに関する「略中央」の語は、板部において完全な中央に位置する態様を含むと共に、中央からいずれかの方向へ所定距離(0.1mm~60mm)外れた態様を含む意味で使用している。
「固定具」の語は、各種ボルト、スクリュー、アンカー、釘等の軸部分を以て固定する器具を含む意味で使用している。また、「固定具の軸部よりも僅かに径大」とは、固定具の軸部が挿通可能な孔の直径(第1貫通孔の場合)又は短径(第3貫通孔の場合)であり、且つ、軸部が孔内で遊動しにくい(ガタつきを起こしにくい)程度の径に設けた(更に詳しくは、軸部の直径よりも0.1mm以上5mm以下の範囲で径大に設けた)態様を含む意味で使用している。
「連結具」としては、例えば軸部分を有するボルトとナットの組み合わせが挙げられるが、これに限定するものではなく、例えば、第2面部と第4面部を連結可能な他の公知の器具であってもよい。また、「連結具の軸部よりも僅かに径大」とは、連結具の軸部が挿通可能な孔の短径(第2貫通孔及び第4貫通孔の場合)であり、且つ、軸部が孔内で短径方向へ遊動しにくい(ガタつきを起こしにくい)程度の径に設けた(更に詳しくは、軸部の直径よりも0.1mm以上5mm以下の範囲で径大に設けた)態様を含む意味で使用している。
第2面部に形成された第2貫通孔に関する「略一致」の語は、第2貫通孔の長径方向の軸線と第1貫通孔の直径線とが同一延長線上で完全に一致する態様を含むと共に、第1貫通孔の直径線に対し、第2貫通孔の長径方向の軸線が平行方向へ所定距離(0.1mm~10mm)外れた態様を含む意味で使用している。また、第4面部に形成された第4貫通孔に関する「略一致」の語は、第4貫通孔の長径方向の軸線と第3貫通孔の長径方向の軸線とが同一延長線上で完全に一致する態様を含むと共に、第3貫通孔の長径方向の軸線に対し、第4貫通孔の長径方向の軸線が平行方向へ所定距離(0.1mm~10mm)外れた態様を含む意味で使用している。
また、前述した接続具は、第1接続部材において第2面部が第1面部に固着された基端の位置が、第1貫通孔と、第1面部において第2面部が配設された方向に位置する第1面部の側端縁との間の領域であり、第2接続部材において第4面部が第3面部に固着された基端の位置が、第3貫通孔と、第3面部において第4面部が配設された方向に位置する第4面部の側端縁との間の領域であるものであってもよい。
この接続具によれば、第1接続部材及び第2接続部材の形状が略T字状となり、第1接続部材と第2接続部材を連結させる際に、当接状態にある第2面部と第4面部とをスライドさせる工程が更に行いやすく、第2貫通孔と第4貫通孔との位置合わせについても更に行いやすいものとなっている。また、当該スライドさせる工程において、第2面部と第4面部が、第1貫通孔と第3貫通孔のそれぞれに重複しない配置であるので、第1貫通孔に挿通させた固定具の増し締めや、第3貫通孔に挿通させた固定具の増し締め又は一時的に緩めスライドさせて行う調整を行いやすいものとなっている。
そして、この接続具によれば、第1接続部材及び第2接続部材において、第1面部又は第3面部のうち、その側端縁ではなく孔が形成された中央に近い箇所に第2面部又は第4面部が固着されているので、第2面部又は第4面部の方向から第1面部又は第3面部方向への荷重が、固着箇所を挟んで左右(又は前後)方向へ分散され、L字形状に設けられたものよりも座屈が起きにくくなる。
上記の目的を達成するために本考案の接続具は、建物構造の接続において、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材に取付可能な第1接続部材と、建物の躯体に取付可能な第2接続部材と、を備え、前記第1接続部材は、板状の第1面部と、これに固着された板状の第2面部とが、側面視で略T字状又はL字状を成しており、前記第1面部は、前記建築部材に取付可能な形状であって、その略中央には、挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大に設けた円形の第1貫通孔が形成され、前記第2面部は、その突出方向に長尺な長円形の第2貫通孔が形成され、該第2貫通孔は、長径方向の軸線と前記第1貫通孔の直径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第2接続部材は、板状の第3面部と、これに固着された板状の第4面部とが、側面視で略T字状を成しており、前記第3面部は、前記建物の躯体に取付可能な形状の板体であって、その略中央には長尺な長円形の第3貫通孔が形成され、該第3貫通孔は、長径線と前記第4面部の幅方向軸線とが直交する形状に設けられると共に、短径方向が挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第4面部は、その突出方向に長尺な長円形の第4貫通孔が形成され、該第4貫通孔は、長径線と前記第3貫通孔の長径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第2面部と前記第4面部とが当接されると共に、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結されることで、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結可能な構造であり、前記第1接続部材において前記第2面部が前記第1面部に固着された基端の位置が、前記第1貫通孔と、前記第1面部において前記第2面部が配設された方向に位置する前記第1面部の側端縁との間の領域であり、前記第2接続部材において前記第4面部が前記第3面部に固着された基端の位置が、前記第3貫通孔と、前記第3面部において前記第4面部が配設された方向に位置する前記第4面部の側端縁との間の領域である。
本考案の接続具によれば、これを利用することにより、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができる。更に詳しい接続具の作用効果は以下の通りである。
接続具は、第1接続部材を建築部材に取り付けると共に第2接続部材を建物躯体に取り付け、前述した第2面部と第4面部とを第2貫通孔と第4貫通孔の位置合わせをしながら当接させた後に、連結具を第2貫通孔と第4貫通孔に挿通させて締結する。これにより、第1接続部材及び第2接続部材が連結される。
第1接続部材は、第1面部を建築部材に取り付ける。このとき、第1面部に形成された第1貫通孔に固定具の軸部を挿通させ、固定具を以て第1面部を建築部材に固着する。前述した態様に設けた第1貫通孔は、挿通した固定具の軸部が孔内で遊動しにくくなっており、建築部材に対して第1接続部材がその取付箇所で安定的に保持される。第2接続部材は、第3面部を建物躯体に取り付ける。このとき、第3面部に形成された第3貫通孔に固定具の軸部を挿通させ、固定具を以て第3面部を建物躯体に固着する。
第3貫通孔は、短径方向が前述した態様であることにより、挿通した固定具の軸部が孔内の短径方向で遊動しにくく、建築部材と建物躯体との間隔を安定的に保持することができる。そして、第3貫通孔は、前述した形状の長円形であることにより、挿通した固定具の軸部が孔内で長手方向に遊動可能であり、例えば、第2接続部材を建物躯体の長手方向に沿って適当な位置へ移動させた後に固着させる作業が可能となり、建物躯体との間隔調整を細やか且つ容易に行うことに寄与することができる。
第1接続部材を建築部材に取り付けし、且つ、第2接続部材を建物躯体に取り付けた後に、第1接続部材と第2接続部材を連結する。第1接続部材と第2接続部材の連結は、最初に、第1接続部材の第2面部と第2接続部材の第4面部とを第2貫通孔と第4貫通孔の位置合わせをしながら当接させる。その後に、連結具を第2貫通孔と第4貫通孔に挿通させ、連結具を以て締結する。これにより、第1接続部材及び第2接続部材が連結される。
このとき、第2貫通孔と第4貫通孔は、共に前述した形状の長円形であることにより、位置合わせした際に、互いの長径軸方向が交差する態様で重複しており、挿通した連結具の軸部が両孔内で長手方向に遊動可能である。これにより、締結前の状態で、第2貫通孔の長径軸方向に沿って第1接続部材を動かすことで、第2接続部材に対して第1接続部材を奥行き方向(前後方向)へ移動可能で、これに伴い、取り付けられた建築部材と建物躯体との間隔を細やか且つ容易に調整することができる。
加えて、締結前の状態で、第4貫通孔の長径軸方向に沿って第1接続部材を動かすことで、第2接続部材に対して第1接続部材を上下方向へ移動可能で、これに伴い、取り付けられた建築部材端部(例えば下端)と建物躯体端部(例えば上面)との間隔を細やか且つ容易に調整することができる。
この締結前の状態における挿通した連結具と、第2貫通孔及び第4貫通孔による位置調整が終わった後に、連結具を以て締結する。締結後において、上下方向については第2貫通孔の短径により、奥行き方向については第4貫通孔の短径により、連結具が孔内で遊動しにくく、建築部材と建物躯体との間隔を安定的に保持することができる。
なお、この接続具によれば、第1接続部材及び第2接続部材の形状が略T字状であることから、第1接続部材と第2接続部材を連結させる際に、当接状態にある第2面部と第4面部とをスライドさせる工程が行いやすく、第2貫通孔と第4貫通孔との位置合わせについても行いやすい。更に、第1接続部材及び第2接続部材において、第1面部又は第3面部のうち、その側端縁ではなく孔が形成された中央に近い箇所に第2面部又は第4面部が固着されているので、第2面部又は第4面部の方向から第1面部又は第3面部方向への荷重が、固着箇所を挟んで左右(又は前後)方向へ分散され、L字形状に設けられたものよりも座屈が起きにくくなる。
そして、第1接続部材は、側面視で略T字状であるため、第1面部と第2面部の各々が第1貫通孔及び第2貫通孔に重複しない形状になっており、同様に第2接続部材も、側面視で略T字状であるため、第3面部と第4面部の各々が第3貫通孔及び第4貫通孔に重複しない形状になっているため、第2面部と第4面部とをスライドさせる際に、第2貫通孔と第4貫通孔との位置合わせが行いやすく、加えて、第1貫通孔に挿通させた固定具の増し締めや、第3貫通孔に挿通させた固定具の増し締め又は一時的に緩めスライドさせて行う調整を行いやすいものとなっている。
更に、第1貫通孔乃至第4貫通孔は、第2貫通孔がその長径方向の軸線と第1貫通孔の直径線とが略一致する位置に設けられ、且つ、第4貫通孔がその長径線と前記第3貫通孔の長径線とが略一致する位置に設けられていることから、建築部材及び建物躯体に対する第1接続部材及び第2接続部材の位置合わせが行いやすいものとなっている。
以上の通り、本考案の接続具は、前述の各構成に基づき、個別の又は組み合わせによる作用効果を奏することで、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を更に細やか且つ容易に行うことができるものとなっている。
また、前述した接続具は、第2面部及び第4面部の各々の先部には角丸加工又は角落とし加工が施された加工角部が形成されており、該加工角部は、少なくとも、第1接続部材及び第2接続部材の連結状態において第2面部と第4面部の組み合わせにより形成される角が、角丸形状又は角落とし形状を成す箇所に設けられているものであってもよい。
この接続具によれば、第2面部の加工角部と第4面部の加工角部とを組み合わせて成る角部が角丸形状又は角落とし形状となるので、角を残した同等物(非角丸形状又は非角落とし形状)と比較して、作業者が角にぶつかる等して負傷する可能性が低く、安全性が向上したものとなる。また、この接続具によれば、第2面部と第4面部との組み合わせで生じる角部が角丸形状又は角落とし形状であり、角を残した同等物と比較して、見た目(デザイン性)が向上している。
更に、この接続具によれば、第2面部と第4面部との組み合わせで生じる角部が角丸形状又は角落とし形状であることで、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整の際に、第1接続部材及び第2接続部材の位置を互いに動かしたとしても、これらのずれが目立ちにくいものとなっている。
「角丸加工又は角落とし加工」の語は、第2面部と第4面部において、先端縁とこれに隣接する側端縁により形成されて本来突き出す形状の角に対し、これを丸くする加工、又は、これを落とす加工を含む意味で使用している。なお、角を落とす加工としては、例えば、切断により離脱する部分が三角形となるように切り落とし、先端縁と側端縁との間に直線状の辺縁が生じるようにした態様が挙げられるが、先端縁と側端縁との間に生じる辺縁が複数の直線から成る多角状である態様であってもよい。
また、前述した接続具は、第4面部のうち、第1接続部材と第2接続部材の連結状態において第1接続部方向となる側縁に切欠部が形成されており、該切欠部は、その長さが第4面部の長手方向に亘り、その奥行きが前述の連結状態で第1接続部材方向となる第3面部の端縁側から対向する端縁方向へ少なくとも第1面部の厚み分に切り欠かれた態様であってもよい。
この接続具によれば、第1接続部材と第2接続部材を連結させた際に、前述した切欠部に第1面部の厚みが収まるため、第1面部と第3面部が成す端面形状が直角(側面視でL字状)となるように組み合わせることができる。これにより、第1接続部材に取り付けた建築部材と第2接続部材に取り付けた建物躯体の間に隙間が生じることを抑制でき、見た目も向上する。
ところで、第4面部基端の固着位置が、第3面部の第1接続部材方向となる端縁側から対向する端縁方向へ遠位であると、第1接続部材に取り付けた建築部材と第2接続部材に取り付けた建物躯体の間に隙間が生じることがあり、このような隙間は構造上無駄であり、見た目も良くない。しかしながら、この接続具によれば、前述の通り、接続具を取り付けた建築部材と建物躯体の間に隙間が生じることを抑制でき、見た目も向上する。
上記の目的を達成するために本考案の建物構造は、建物の躯体と、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材と、前述したいずれかの接続具とを備え、該接続具は、前記第1貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記第1接続部材が前記建築部材に取付されると共に、前記第3貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記第2接続部材が前記建物の躯体に取付され、前記第2面部と前記第4面部とが当接され、且つ、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結された態様で、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結されているものである。
本考案の建物構造は、前述したいずれかの接続具を使用し、その奏する作用効果によって、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができるものとなっている。
上記の目的を達成するために本考案の建物構造は、建物の躯体と、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材と、第2面部及び第4面部の各々の先部には角丸加工又は角落とし加工が施された加工角部が形成され、且つ、第4面部のうち、第1接続部材と第2接続部材の連結状態において第1接続部方向となる側縁に切欠部が形成された前述の接続具とを備え、該接続具は、前記第1接続部材の前記第1面部が、前記第1貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記建築部材に取付され、前記第2接続部材の前記第3面部が、前記第3貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記建物の躯体に取付され、前記第2面部と前記第4面部とが当接され、且つ、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結された態様で、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結されているものである。
本考案の建物構造は、前述したいずれかの接続具を使用し、その奏する作用効果によって、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができるものとなっている。更に、この接続具によれば、第1接続部材と第2接続部材を連結させた際に、前述した切欠部に第1面部の厚みが収まるため、第1面部と第3面部が成す端面形状が直角(側面視でL字状)となるように組み合わせることができるので、第1接続部材に取り付けた建築部材と第2接続部材に取り付けた建物躯体の間に隙間が生じることを抑制でき、見た目も向上する。
本考案の接続具、及び、これを使用した建物構造によれば、建築部材と建物躯体とを接続して成る建物構造において、建築部材と建物躯体との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことが可能なものとなっている。
図1~図5を参照して、本考案の実施の形態を更に詳細に説明する。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
〔建物構造1〕
建物構造1は、建物躯体2と、建築部材3と、建物躯体2と建築部材3を接続する接続具4とを備える(図1(a)参照)。
建物構造1は、建物躯体2と、建築部材3と、建物躯体2と建築部材3を接続する接続具4とを備える(図1(a)参照)。
(建物躯体2)
図1に示す建物構造1は鉄骨造であり、図1(a)に示す建物躯体2は、建物基礎の地上部分基礎である基礎部21と、梁部22とを含むものである(柱等の記載は省略している。図1(a)参照)。
図1に示す建物構造1は鉄骨造であり、図1(a)に示す建物躯体2は、建物基礎の地上部分基礎である基礎部21と、梁部22とを含むものである(柱等の記載は省略している。図1(a)参照)。
(建築部材3)
建築部材3は、建物構造1において縦方向に配置される板(パネル)状の部材であって、壁部を構成する(図1(a)参照。図1(a)では外壁である態様を示している)。本実施の形態における建築部材3は、軸方向に長尺で略同じ長さの5本以上のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されて成るものである。
建築部材3は、建物構造1において縦方向に配置される板(パネル)状の部材であって、壁部を構成する(図1(a)参照。図1(a)では外壁である態様を示している)。本実施の形態における建築部材3は、軸方向に長尺で略同じ長さの5本以上のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されて成るものである。
そして、建築部材3は、これを構成する木柱の軸方向一端近傍に設けられた第1連結部分31及び同木柱の軸方向他端近傍に設けられた第2連結部分32を有する構造である(図1(a)参照)。なお、第1連結部分31及び第2連結部分32を設ける木柱は、建築部材3を構成する複数の木柱のうち、幅方向の中間又は略中間に配設されたものである。
第1連結部分31は後述する固定具5を受け入れ可能な構造であり、第2連結部分32も後述する固定具5を受け入れ可能な構造である。なお、本実施の形態における第1連結部分31及び第2連結部分32は、建築部材3の厚さ方向に貫通した貫通穴33及び貫通穴33の周縁に形成された座ぐり加工部34を含む構造である(図1(a)参照)。
〔接続具4〕
接続具4は、建物構造1の接続において使用され、第1接続部材41及び第2接続部材42を有する。第1接続部材41は、建築部材3に取付可能なものであり、第2接続部材42は、建物躯体2に取付可能なものである。なお、本実施形態において、接続具4は金属製であるが、これに限定するものではなく、例えば、高強度プラスチック製等であってもよい。接続具4の具体的構成を以下説明する。
接続具4は、建物構造1の接続において使用され、第1接続部材41及び第2接続部材42を有する。第1接続部材41は、建築部材3に取付可能なものであり、第2接続部材42は、建物躯体2に取付可能なものである。なお、本実施形態において、接続具4は金属製であるが、これに限定するものではなく、例えば、高強度プラスチック製等であってもよい。接続具4の具体的構成を以下説明する。
(第1接続部材41)
図1、図2、図5を参照して、第1接続部材41について説明する。接続具4を構成する第1接続部材41は、板状の第1面部411と、板状の第2面部413とが、側面視で略T字状を成している。
図1、図2、図5を参照して、第1接続部材41について説明する。接続具4を構成する第1接続部材41は、板状の第1面部411と、板状の第2面部413とが、側面視で略T字状を成している。
第1面部411は、その略中央に、挿通される固定具5の固定用ボルト軸51(前述した固定具の軸部)よりも僅かに径大に設けた円形の第1貫通孔412が形成されている。第1面部411は、その裏面(第2面部413が形成された面の裏側)が、建築部材3に沿うように平坦に形成されている(前述した「建築部材に取付可能な形状」である)。
第2面部413は、その略中央に、板体の突出方向に長尺な長円形の第2貫通孔414が形成されている。第2貫通孔414は、その長径方向の軸線と第1貫通孔412の直径線とが略一致する位置に設けられている。第2貫通孔414の短径方向は、挿通される連結具6(連結用ボルト61)の軸部よりも僅かに径大に設けられている。
第2面部413の先部上側には、加工角部415が形成されている。加工角部415は、角落とし加工により形成され、切断により離脱する部分が三角形となるように切り落とし、先端縁と側端縁との間に直線状の辺縁が生じるようされた態様である。
本実施形態において、第1面部411は、図2において上方に位置する上辺が短辺で、下辺が長辺となる台形に近似した六角形である板状に形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、半円形等に形成することもできる。
本実施形態において、第2面部413は、図2において上方に位置する上辺が短辺で、下辺が長辺となる台形である板状に形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、半円形等に形成することもできる。また、本実施形態において、第2面部413は、第1面部411において、その側端と第1貫通孔412との間に、第1面部411の高さ方向に亘って、第1面部411の板面と直交するように固着された態様である。
本実施形態において、固定具5の固定用ボルト軸51の直径は16mmであり、第1貫通孔412の直径は18mmに形成されている。また、本実施形態において、連結具6(連結用ボルト61)の直径は14mmであり、第2貫通孔414は、長径が32mm、短径が16mmに形成されている。
(第2接続部材42a・42b)
本実施形態において、接続具4を構成する第2接続部材は、第4面部の長さが異なる2種類を使用しており、相違する第2接続部材は、区別上、第2接続部材42a、第2接続部材42bと称する。なお、第2接続部材42aは図3に、第2接続部材42bは図4に、それぞれ拡大して示している。
本実施形態において、接続具4を構成する第2接続部材は、第4面部の長さが異なる2種類を使用しており、相違する第2接続部材は、区別上、第2接続部材42a、第2接続部材42bと称する。なお、第2接続部材42aは図3に、第2接続部材42bは図4に、それぞれ拡大して示している。
本実施形態において、第2接続部材42aは、建物構造1における下方側(図1(a)、(b)では基礎部21)との接続に使用され、第2接続部材42bは、建物構造1における上方側(図1(a)、(c)では梁部22)との接続に使用されるが、これに限定するものではなく、例えば、第2接続部材42aは建物構造1における上方側にも使用可能であるし、第2接続部材42bは建物構造1における下方側にも使用可能である。
図1の(a)と(c)、図3を参照して、第2接続部材42aについて説明する。第2接続部材42aは、板状の第3面部421と、板状の第4面部423aとが、側面視で略T字状を成している。
第3面部421は、その略中央に、長尺な長円形の第3貫通孔422が形成されている。第3面部421は、その裏面(第4面部423aが形成された面の裏側)が、基礎部21の天面(建物躯体2)に沿うように平坦に形成されている(前述した「建物の躯体に取付可能な形状」である)。第3貫通孔422は、その長径線と第4面部423aの幅方向軸線とが直交する形状に設けられると共に、短径方向が挿通される固定具5の固定用ボルト軸51(前述した固定具の軸部)よりも僅かに径大に設けられている。
第4面部423aは、その略中央に、板体の突出方向に長尺な長円形の第4貫通孔424aが形成されている。第4貫通孔424aは、その長径方向の軸線と第3貫通孔422の直径線とが略一致する位置に設けられている。そして、第4貫通孔424aの短径方向は、挿通される連結具6(連結用ボルト61)の軸部よりも僅かに径大に設けられている。
そして、第4面部423aの先部上側には、加工角部425aが形成されている。加工角部425aは、角落とし加工により形成され、切断により離脱する部分が三角形となるように切り落とし、先端縁と側端縁との間に直線状の辺縁が生じるようされた態様である。
第4面部423aのうち、図3において下方に位置する下辺(側縁)に切欠部426aが形成されている。切欠部426aは、その長さが第4面部423aの長手方向に亘り、その高さ(前述した表現「その奥行き」に相当する)が第1面部411の厚み分に切り欠かれた態様で形成されている(図3(c)参照)。
本実施形態において、第3面部421は、図3において上方に位置する上辺が短辺で、下辺が長辺となる台形に近似した六角形である板状に形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、半円形等に形成することもできる。
本実施形態において、第4面部423aは、図3において上方に位置する上辺が短辺で、下辺が長辺となる台形である板状に形成されている。また、本実施形態において、第4面部423aは、第3面部421において、その側端と第3貫通孔422との間に、第3面部421の板面と直交するように固着された態様である。
本実施形態において、固定具5の固定用ボルト軸51の直径は14mmであり、第3貫通孔422は、長径が32mm、短径が16mmに形成されている。また、本実施形態において、連結具6(連結用ボルト61)の直径は前述の通り14mmであり、第4貫通孔424aは、長径が32mm、短径が16mmに形成されている。なお、本実施形態において、切欠部426aの高さ及び第1面部411の厚みは、7mmに形成されている(図3(c)参照)が、これに限定するものではなく、例えば、切欠部の高さは、第1面部の厚みに応じて前記数値から変更してもよいし、また、切欠部の高さの数値が第1面部の厚みの数値よりも大きくなるようにすることもできる。
(第2接続部材42b)
図1の(a)と(b)、図4、図5を参照して、第2接続部材42aについて説明する。第2接続部材42bは、板状の第3面部421と、板状の第2面部423bとが、側面視で略T字状を成している。なお、第2接続部材42bの第3面部421は、第2接続部材42aの第3面部421と同様の構造であるため、その説明を省略する。
図1の(a)と(b)、図4、図5を参照して、第2接続部材42aについて説明する。第2接続部材42bは、板状の第3面部421と、板状の第2面部423bとが、側面視で略T字状を成している。なお、第2接続部材42bの第3面部421は、第2接続部材42aの第3面部421と同様の構造であるため、その説明を省略する。
第4面部423bは、板面の中央よりもやや先部方向(前述した「略中央」に相当)に、板体の突出方向に長尺な長円形の第4貫通孔424bが形成されている。第4貫通孔424bは、その長径方向の軸線と第3貫通孔422の直径線とが略一致する位置に設けられている。そして、第4貫通孔424bの短径方向は、挿通される連結具6(連結用ボルト61)の軸部よりも僅かに径大に設けられている。
そして、第4面部423bの先部上側には、加工角部425bが形成されている。加工角部425bは、角落とし加工により形成され、切断により離脱する部分が三角形となるように切り落とし、先端縁と側端縁との間に直線状の辺縁が生じるようされた態様である。
第4面部423bのうち、図4において下方に位置する下辺(側縁)に切欠部426bが形成されている。切欠部426bは、その長さが第4面部423bの長手方向に亘り、その高さ(前述した表現「その奥行き」に相当する)が第1面部411の厚み分に切り欠かれた態様で形成されている(図4(b)参照)。
本実施形態において、第4面部423bは、図4において上方に位置する上辺が短辺で、下辺が長辺となる台形である板状に形成されている。また、本実施形態において、第4面部423bは、第3面部421において、その側端と第3貫通孔422との間に、第3面部421の板面と直交するように固着された態様である。
本実施形態において、連結具6(連結用ボルト61)の直径は前述の通り14mmであり、第4貫通孔424bは、長径が32mm、短径が16mmに形成されている。また、本実施形態において、切欠部426bの高さは、前述した第1面部411の厚みと同じく、7mmに形成されている(図4(b)参照)が、これに限定するものではなく、例えば、切欠部の高さは、第1面部の厚みに応じて前記数値から変更してもよいし、また、切欠部の高さの数値が第1面部の厚みの数値よりも大きくなるようにすることもできる。
建物構造1の上部で使用される接続具4において、第1接続部材41の第1面部411が、第1貫通孔412に固定用ボルト軸51を嵌挿した固定具5を以て建築部材3に取付され、第2接続部材42aの第3面部421が、第3貫通孔422に固定用ボルト軸51を嵌挿した固定具5を以て梁部22下面(建物躯体2)に取付される(図1(a)(c)参照)。
更に、建物構造1の下部で使用される接続具4において、第1接続部材41の第1面部411が、第1貫通孔412に固定用ボルト軸51を嵌挿した固定具5を以て建築部材3に取付され、第2接続部材42bの第3面部421が、第3貫通孔422に固定用ボルト軸51を嵌挿した固定具5を以て基礎部21上面(建物躯体2)に取付される(図1(a)(b)及び図5(a)(c)参照)。
そして、上記構成を備える接続具4は、上部及び下部の各々で、第2面部413と第4面部423a(又は423b)とが当接され、且つ、位置合わせが成された第2貫通孔414と第4貫通孔424a(又は424b)に挿通された連結具6を以て締結されることで、第1接続部材41及び第2接続部材42a(又は42b)が連結され、図1(a)に示す建物構造1を成している。
本実施形態において、固定具5は、固定用ボルト軸51、固定用ボルト軸51に取着される固定用ワッシャー52及び固定用ナット53により構成されているが、これに限定するものではなく、前述した通り他の固定手段であってもよい。また、本実施形態における固定具5は、基礎部21又は梁部22(建物躯体2)に固着された固定用ボルト軸51と、後述する第1接続部材41の第1面部411に設けた第1貫通孔412の周辺と溶接し一体化させた固定用ボルト軸51と、を含んでいる。
本実施形態において、連結具6は、連結用ボルト61、連結用ボルト61に取着される連結用ナット62、連結用第1ワッシャー63及び連結用第2ワッシャー64により構成されているが、これに限定するものではなく、前述した通り他の固定手段であってもよい。
(作 用)
接続具4と、接続具4を使用した建物構造1の作用効果について説明する。接続具4によれば、これを利用することにより、建築部材3と基礎部21及び梁部22(すなわち建物躯体2)とを接続して成る建物構造1において、建築部材3と建物躯体2との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができる。更に詳しい接続具4の作用効果は以下の通りである。
接続具4と、接続具4を使用した建物構造1の作用効果について説明する。接続具4によれば、これを利用することにより、建築部材3と基礎部21及び梁部22(すなわち建物躯体2)とを接続して成る建物構造1において、建築部材3と建物躯体2との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができる。更に詳しい接続具4の作用効果は以下の通りである。
なお、図1(a)において上部に配設する接続具4については第1接続部材41と第2接続部材42aとの組み合わせであり、図1(a)において下部に配設する接続具4については第1接続部材41と第2接続部材42bとの組み合わせであるが、連結する過程及び作用効果は共通するため、第2接続部材に関して共通する構造部分については「第2接続部材42a(42b)」、「第4面部423a(423b)」等と省略して表記する。
接続具4は、第1接続部材41を建築部材3に取り付けると共に、第2接続部材42aを梁部22に取り付け(図1(a)(c)参照)、且つ、第2接続部材42bを基礎部21に取り付ける(図1(a)(b)参照)。そして、上記構成を備える接続具4は、上部及び下部の各々で、第2面部413と第4面部423a(又は423b)とを当接し、且つ、位置合わせを成した第2貫通孔414と第4貫通孔424a(又は424b)に挿通された連結具6を以て締結することで、第1接続部材41及び第2接続部材42a(又は42b)が連結され、図1(a)に示す建物構造1を成している。
第1接続部材41は、固定具5を以て第1面部411を建築部材3に固着する。なお、第1接続部材41は、建築部材3への取付前後いずれかのタイミングで(本実施形態においては建築部材3への取付前に)、第1面部411に形成された第1貫通孔412に固定用ボルト軸51(固定具5の軸部)を挿通させ、ボルト頭を第1貫通孔412の周辺と溶接し一体化させる。
第1面部411は、固着後の固定用ボルト軸51を貫通穴33に挿通させ、座ぐり加工部34内で固定用ボルト軸51に固定用ワッシャー52及び固定用ナット53を付着し締結を行う。これにより、第1面部411が建築部材3に固着される。このとき、第1貫通孔412において挿通した固定用ボルト軸51が第1貫通孔412内で遊動しにくくなっており、ひいては建築部材3に対して第1接続部材41がその取付箇所で安定的に保持される。
第2接続部材42aは、固定具5を以て第3面部421を梁部22(建物躯体2)に固着する(図1(a)(c)参照)。そして、第2接続部材42bは、固定具5を以て第3面部421を基礎部21(建物躯体2)に固着する(図1(a)(b)参照)。なお、第2接続部材42aに挿着する固定用ボルト軸51は、鉛直方向へ垂下する態様で梁部22に一体的に固着されており、また、第2接続部材42bに挿着する固定用ボルト軸51は、鉛直方向へ立設する態様で基礎部21に一体的に固着されている。
第2接続部材42aは、固着後の固定用ボルト軸51を第3面部411の第3貫通孔422に挿通させ、取着状態で第3面部411の下面となる位置で、固定用ボルト軸51に固定用ワッシャー52及び固定用ナット53を嵌挿し締結を行う。これにより、第3面部421が梁部22に固着される(図1(a)(c)参照)。
第2接続部材42bは、固着後の固定用ボルト軸51を第3面部411の第3貫通孔422に挿通させ、取着状態で第3面部411の上面となる位置で、固定用ボルト軸51に固定用ワッシャー52及び固定用ナット53を嵌挿し締結を行う。これにより、第3面部421が基礎部21に固着される(図1(a)(b)参照)。
なお、第3貫通孔は、短径方向が前述した態様であることにより、挿通した固定用ボルト軸51(固定具5の軸部)が孔内の短径方向で遊動しにくく、建築部材3と、基礎部21及び梁部22(共に建物躯体2)との間隔を安定的に保持することができる。このとき、第3貫通孔422において挿通した固定用ボルト軸51が第3貫通孔422内で遊動しにくくなっており、ひいては基礎部21及び梁部22に対して第2接続部材42がその取付箇所で安定的に保持される。
そして、第3貫通孔422は、前述した形状の長円形であることにより、挿通した固定用ボルト軸51が孔内で長手方向に遊動可能であり、例えば、第2接続部材42a(又は42b)を建物躯体5の長手方向(図5(b)に示すX-X方向。前述した「水平方向」)に沿って適当な位置へ移動させた後に固定用ナット53を締結し固着させる作業が可能であり、建築部材3と建物躯体2との間隔調整を細やか且つ容易に行うことができる。
第1接続部材と第2接続部材の連結について、図1及び図5を参照して説明する。第1接続部材と第2接続部材の連結は、第1接続部材41を建築部材3に取り付けし、且つ、第2接続部材42aを梁部22に取り付けた後に(または、第2接続部材42bを基礎部21に取り付けた後に)、第1接続部材41と第2接続部材42a(42b)を連結して行う。
(1)最初に、第1接続部材41の第2面部413と、第2接続部材42a(42b)の第4面部423a(423b)を当接させ、第2貫通孔414と第4貫通孔424a(424b)の仮の位置合わせを行う。このとき、接続具4は、第1接続部材41及び第2接続部材42の形状が略T字状であることにより、前述の仮の位置合わせにおいて、当接状態にある第2面部413と第4面部423a(423b)とがスライドさせやすく、第2貫通孔414と第4貫通孔424aとの位置合わせも行いやすい。
(2)仮の位置合わせを行った後、第2面部413の表面(当接面の反対面)に連結用第1ワッシャー63を配設し、且つ、第4面部423a(423b)の表面(当接面の反対面)に連結用第2ワッシャー64を配設する。そして、連結用ボルト61を、連結用第1ワッシャー63、第2貫通孔414、第4貫通孔424a(424b)、連結用第2ワッシャー64の順に挿通させ、連結用ボルト61に連結用ナット62を嵌挿して仮の締結を行う。なお、連結用ボルト61を挿通させる順番は、連結用第2ワッシャー64、第4貫通孔424a(424b)、第2貫通孔414、連結用第1ワッシャー63であることを除外するものではない。
(3)連結用ボルト61の挿通状態において、第2貫通孔414と第4貫通孔424a(424b)は、共に前述した形状(長円形)であることにより、位置合わせをする際に、互いの長径軸方向が交差する態様で(例えば十字状、T字状、L字状に)重複し、連結用ボルト61(連結具6の軸部)は両孔内で長手方向に遊動可能である。
つまり、連結具6の締結前の状態で、第2貫通孔414の長径軸方向に沿って第1接続部材41を動かし、第2接続部材42a(42b)に対して第1接続部材41を奥行き方向(図5(b)、(c)に示すY-Y方向。前述した「前後方向」。図1上部の接続具4においても同様)へ移動させることで、建築部材3と建物躯体2との間隔を細やか且つ容易に調整することができる。
加えて、連結具6の締結前の状態で、第4貫通孔424a(424b)の長径軸方向に沿って第1接続部材41を動かし、第2接続部材42a(42b)に対して第1接続部材41を上下方向(図5(b)、(c)に示すZ-Z方向。図1上部の接続具4においても同様)へ移動させることで、建築部材3の上下端部と基礎部21の上下端部との間隔(詳しくは、建築部材3下端と基礎部21上端の間隔、又は、建築部材3上端と梁部22下端部の間隔)を、細やか且つ容易に調整することができる。
(4)前述した通り、接続具4は、第1接続部材41及び第2接続部材42a(42b)の形状が側面視で略T字状であり、これにより以下の作用効果を奏する。
第1接続部材41は、側面視で略T字状であり、且つ、第2貫通孔414の長径線と第1貫通孔412の直径線が略一致する構造であることから、第1面部411と第2面部413の各々が第1貫通孔412及び第2貫通孔414に重複又は干渉しない。
第2接続部材42a(42b)は、側面視で略T字状であり、且つ、第4貫通孔424a(424b)の長径線と第3貫通孔422の長径線が略一致する構造であることから、第3面部421と第4面部423a(423b)の各々が第3貫通孔422及び第4貫通孔424a(424b)に重複又は干渉しない。
第1接続部材41と第2接続部材42a(42b)の各面部と孔の位置が上記態様であることにより、第2面部413と第4面部423a(423b)とを当接状態でスライドさせることができ、第2貫通孔414と第4貫通孔第4貫通孔424a(424b)との位置合わせが行いやすい。
更に、位置合わせする工程において、第2面部413と第4面部423a(423b)が、第1貫通孔412と第3貫通孔422のそれぞれに重複しない配置であるので、第1貫通孔412に挿通させた固定具5の増し締めや、第3貫通孔422に挿通させた固定具5の増し締め又は一時的に緩めてスライドさせて行う調整を行いやすい。
(5)第1接続部材41及び第2接続部材42a(42b)相互の位置調整が終わった後に、連結用ボルト61と連結用ナット62の一方又は両方を強固に締め付けて(連結具6を)締結する。これにより、第1接続部材41及び第2接続部材42a(42b)は適当な状態で連結され、接続具4が構成される。
なお、締結後において、連結用ボルト61が、上下方向については第2貫通孔414の短径方向口縁に当接し、奥行き方向については第4貫通孔424a(424b)の短径方向口縁に当接するので、連結用ボルト61(連結具6)が孔内で遊動しにくく、建築部材3と建物躯体2との間隔を安定的に保持することができる。
(6)以上の通り、接続具4は、前述の各構成に基づき、個別の又は組み合わせによる作用効果を奏することで、建築部材3と建物躯体2とを接続して成る建物構造1において、建築部材3と建物躯体2との相対的位置の調整を細やか且つ容易に行うことができるものとなっている。
また、接続具4によれば、第1接続部材41及び第2接続部材42a(42b)が前述した形状(側面視で略T字状)であるので、第2面部413又は第4面部423a(423b)の方向から第1面部411又は第3面部421方向への荷重が、固着箇所を挟んで左右(又は前後)方向へ分散され、L字形状に設けたものと比較して座屈が起きにくい。
そして、接続具4によれば、第2面部413の加工角部415と第4面部423a(423b)の加工角部425a(425b)とを組み合わせて成る角部が角落とし形状となるので、角を残した同等物(非角落とし形状)と比較して、作業者が角にぶつかる等して負傷する可能性が低減し、安全性が向上したものとなる。また、接続具4によれば、第2面部413と第4面部423a(423b)との組み合わせで生じる角部が角落とし形状であり、角を残した同等物と比較して、見た目(デザイン性)が向上している。
更に、接続具4によれば、第2面部413と第4面部423a(423b)との組み合わせで生じる角部が角落とし形状であることで、建築部材3と建物躯体2との相対的位置の調整の際に、第1接続部材41及び第2接続部材42a(42b)の位置を互いに動かしたとしても、これらのずれが目立ちにくいものとなっている。
更にまた、接続具4によれば、第1接続部材41と第2接続部材42を連結させた際に、前述した切欠部426a(b)に第1面部411の厚みが収まるため、第1面部411と第3面部421が成す端面形状が直角(側面視でL字状)となるように組み合わせることができることにより、第1接続部材41に取り付けた建築部材3と第2接続部材2に取り付けた建物躯体2の間に隙間が生じることを抑制でき、見た目が良い。
加えて、第1接続部材41と第2接続部材42a(42b)を組み合わせた際に第1面部411と第3面部421の形状が共通しているため、デザイン性(見た目)が良い。また、第1接続部材41と第2接続部材42a(42b)は、前述した形状(台形に近似した六角形)であることにより、組み合わせた際に、作業中にぶつかる可能性がある上部(第1接続部材41)となる箇所及び奥行き方向先部(第2接続部材42a(42b))となる箇所に、鋭角又は直角な角が生じず、作業者の受傷可能性を低減している。
なお、本実施形態において、連結用ボルト61を挿通させる順番は、前述した仮の連結に関する工程(2)の通りであるが、これに限定するものではなく、連結用ボルト61を挿通させる順番が、連結用第2ワッシャー64、第4貫通孔424a(424b)、第2貫通孔414、連結用第1ワッシャー63であることを除外するものではない。
(7)また、建築部材3の作用効果は以下の通りである。建築部材3は、これを並設することで、建物等の内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成することができ、例えば、住宅、店舗、車庫や物置等の側壁として好適に使用することができる。建築部材3は、構成材として木材を使用しているので、材料に起因する炭素貯蔵効果を奏し、建築部材3を適用した建物にも炭素貯蔵効果を付加する。そして、構成材として木材を使用する建築部材3は、金属や石質材料を構成材とするものと比較して、製造や加工で生じるエネルギー及び二酸化炭素の削減による省エネルギー効果及び二酸化炭素削減効果(以下「省エネルギー等効果」)を奏し、同壁面構造体を適用した建物にも省エネルギー等効果を付加する。
そして、建築部材3は、軸方向に長尺で略同じ長さの3本以上のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されている構造(即ち、所定幅のパネル状に予め設けられたもの)であることにより、従来の壁面構造と比較して、設置場所まで運搬しやすく(運搬効率が良く)、且つ、現場での組立工程が減少するので作業時間を短縮できる。更に、建築部材3は、前述した第1連結部分31及び第2連結部分32を有する構造であることにより、建物基体等に対して個別の木柱を立設する従来の壁面構造と比較して、建物躯体2に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮でき、作業効率が良い。
前述の「プレカット既製木柱」としては、サイズの統一性や入手の容易性、低廉な調達コストの観点からJAS規格又はJIS規格に基づくプレカット既製木柱が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、軸方向に長尺で略同じ長さのプレカット既製木柱であればJAS規格又はJIS規格以外のものであってもよい。また、「プレカット既製木柱」は、断面形状が四角形等である角柱が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、例えば、断面形状が円形あるいは楕円形等である円柱、断面形状がD型の柱材等であっても良い。
前述したプレカット既製木柱を連結する「連結部材」としては、例えば、一のプレカット既製木柱の軸方向(換言すると長さ方向)に対して交差方向(換言すると幅方向)に貫通し、隣接するプレカット既製木柱に至る長さに穿設されるスクリューボルト、或いは、各プレカット既製木柱の軸方向に対して交差方向に設けられるボルト及びナットの組み合わせ等が挙げられ、これらは完成後の壁面に部材が現れず見た目が良いため好適に使用される。しかしながら、「連結部材」は、スクリューボルト等に限定するものではなく、各プレカット既製木柱の間に接着剤を塗布して成る構造、スクリューボルト等と接着剤を組み合わせた構造、プレート金具やほぞ継ぎ等の公知手段による連結構造をも含む意味で使用している。
建築部材3を構成するプレカット既製木柱は、5本であるが、これに限定するものではなく、例えば、3本以上10本以下であることが好ましい。3本未満の場合は運搬効率向上や作業時間短縮が期待しにくく、10本を超える場合は幅広過ぎて嵩張り且つクレーン等を要する程に重量が増大するため、運搬効率向上や作業時間短縮が期待しにくくなるためである。このような運搬効率向上や作業時間短縮の観点から、建築部材3を構成するプレカット既製木柱の数は3本以上7本以下であることが更に好ましい。
前述した第1連結部分31及び第2連結部分32が設けられる木柱は、建築部材3の幅方向の中間又は略中間に配設された少なくとも1本の木柱であるが、木柱の数が多い場合は、複数の木柱に第1連結部分31及び第2連結部分32を設ける態様を除外するものではない。
建築部材3を構成する木柱が3本以上の奇数の場合、前述した第1連結部分31及び第2連結部分32が設けられる「幅方向の中間」に配設された木柱とは、例えば、木柱の数が3本の場合は一端側から2本目、5本の場合は一端側から3本目、7本の場合は一端側から4本目、等である。また、建築部材3を構成する木柱が4本以上の偶数の場合、前述した第1連結部分31及び第2連結部分32が設けられる「幅方向の略中間」に配設された木柱とは、例えば、木柱の数が4本の場合は一端側から2本目又は3本目、6本の場合は一端側から3本目又は4本目、8本の場合は一端側から4本目又は5本目、等である。このような配置の木柱に第1連結部分31及び第2連結部分32を設けることにより、建築部材3の組立作業が容易であり、更に、第1連結部分31及び第2連結部分32の位置が建築部材3の幅方向の中間又は略中間であることから、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で建築部材3に加わる応力がバランス良く分散される。
以上の通り、建築部材3は、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の建築部材と比較して、簡易な構造であると共に運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、建築部材3を適用した建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができるものとなっている。なお、建築部材3を適用する「建物」の種類は特に限定されず、例えば、木造、鉄骨造、コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等であってもよい。
建築部材3は、前述した貫通穴33及び座ぐり加工部34が予め設けられていることにより、建築部材3と接続具4とを連結又は固定する作業を行うにあたり、現場での穴の形成等が不要で、作業効率の向上に寄与する。
貫通穴33は、固定具5又は連結具6の軸部分を挿通させることができる。また、座ぐり加工部34は、これにより、固定具5又は連結具6の頭部又は頭部の反対側に取り付けられるナットが収まるように取り付けることができ、建築部材3表面に固定具5又は連結具6の頭部等が出っ張らず、見た目の良い外観となる。
更に、建築部材3は、貫通穴33及び座ぐり加工部34が第1連結部分31及び第2連結部分32のいずれにも設けられているので、第1連結部分31を設けた側又は第2連結部分32を設けた側のいずれを下向き(例えば建物基礎や梁又は胴差等の方向)にして使ってもよく、作業効率が良い。
本明細書および本実用新案登録請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および本実用新案登録請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本考案の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
1 建物構造
2 建物躯体
21 基礎部
22 梁部
3 建築部材
31 第1連結部分
32 第2連結部分
33 貫通穴
34 座ぐり加工部
4 接続具
41 第1接続部材
411 第1面部
412 第1貫通孔
413 第2面部
414 第2貫通孔
415 加工角部
42a、42b 第2接続部材
421 第3面部
422 第3貫通孔
423a、423b 第4面部
424a、424b 第4貫通孔
425a、425b 加工角部
426a、426b 切欠部
5 固定具
51 固定用ボルト軸
52 固定用ワッシャー
53 固定用ナット
6 連結具
61 連結用ボルト
62 連結用ナット
63 連結用第1ワッシャー
64 連結用第2ワッシャー
2 建物躯体
21 基礎部
22 梁部
3 建築部材
31 第1連結部分
32 第2連結部分
33 貫通穴
34 座ぐり加工部
4 接続具
41 第1接続部材
411 第1面部
412 第1貫通孔
413 第2面部
414 第2貫通孔
415 加工角部
42a、42b 第2接続部材
421 第3面部
422 第3貫通孔
423a、423b 第4面部
424a、424b 第4貫通孔
425a、425b 加工角部
426a、426b 切欠部
5 固定具
51 固定用ボルト軸
52 固定用ワッシャー
53 固定用ナット
6 連結具
61 連結用ボルト
62 連結用ナット
63 連結用第1ワッシャー
64 連結用第2ワッシャー
Claims (9)
- 建物構造の接続において、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材に取付可能な第1接続部材と、建物の躯体に取付可能な第2接続部材と、を備え、
前記第1接続部材は、板状の第1面部と、これに固着された板状の第2面部とが、側面視で略T字状又はL字状を成しており、前記第1面部は、前記建築部材に取付可能な形状であって、その略中央には、挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大に設けた円形の第1貫通孔が形成され、前記第2面部は、その突出方向に長尺な長円形の第2貫通孔が形成され、該第2貫通孔は、長径方向の軸線と前記第1貫通孔の直径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、
前記第2接続部材は、板状の第3面部と、これに固着された板状の第4面部とが、側面視で略T字状又はL字状を成しており、前記第3面部は、前記建物の躯体に取付可能な形状の板体であって、その略中央には長尺な長円形の第3貫通孔が形成され、該第3貫通孔は、長径線と前記第4面部の幅方向軸線とが直交する形状に設けられると共に、短径方向が挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第4面部は、その突出方向に長尺な長円形の第4貫通孔が形成され、該第4貫通孔は、長径線と前記第3貫通孔の長径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、
前記第2面部と前記第4面部とが当接されると共に、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結されることで、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結可能な構造である
接続具。 - 前記第1接続部材において前記第2面部が前記第1面部に固着された基端の位置が、前記第1貫通孔と、前記第1面部において前記第2面部が配設された方向に位置する前記第1面部の側端縁との間の領域であり、
前記第2接続部材において前記第4面部が前記第3面部に固着された基端の位置が、前記第3貫通孔と、前記第3面部において前記第4面部が配設された方向に位置する前記第4面部の側端縁との間の領域である
請求項1に記載の接続具。 - 建物構造の接続において、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材に取付可能な第1接続部材と、建物の躯体に取付可能な第2接続部材と、を備え、
前記第1接続部材は、板状の第1面部と、これに固着された板状の第2面部とが、側面視で略T字状を成しており、前記第1面部は、前記建築部材に取付可能な形状であって、その略中央には、挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大に設けた円形の第1貫通孔が形成され、前記第2面部は、その突出方向に長尺な長円形の第2貫通孔が形成され、該第2貫通孔は、長径方向の軸線と前記第1貫通孔の直径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、
前記第2接続部材は、板状の第3面部と、これに固着された板状の第4面部とが、側面視で略T字状又はL字状を成しており、前記第3面部は、前記建物の躯体に取付可能な形状の板体であって、その略中央には長尺な長円形の第3貫通孔が形成され、該第3貫通孔は、長径線と前記第4面部の幅方向軸線とが直交する形状に設けられると共に、短径方向が挿通される固定具の軸部よりも僅かに径大であり、前記第4面部は、その突出方向に長尺な長円形の第4貫通孔が形成され、該第4貫通孔は、長径線と前記第3貫通孔の長径線とが略一致する位置に設けられると共に、短径方向が挿通される連結具の軸部よりも僅かに径大であり、
前記第2面部と前記第4面部とが当接されると共に、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結されることで、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結可能な構造であり、
前記第1接続部材において前記第2面部が前記第1面部に固着された基端の位置が、前記第1貫通孔と、前記第1面部において前記第2面部が配設された方向に位置する前記第1面部の側端縁との間の領域であり、
前記第2接続部材において前記第4面部が前記第3面部に固着された基端の位置が、前記第3貫通孔と、前記第3面部において前記第4面部が配設された方向に位置する前記第4面部の側端縁との間の領域である
接続具。 - 前記第2面部及び前記第4面部の各々の先部には角丸加工又は角落とし加工が施された加工角部が形成されており、該加工角部は、少なくとも、前記第1接続部材及び前記第2接続部材の連結状態において前記第2面部と前記第4面部の組み合わせにより形成される角が、角丸形状又は角落とし形状を成す箇所に設けられている
請求項1又は請求項3に記載の接続具。 - 前記第4面部のうち、前記第1接続部材と前記第2接続部材の連結状態において前記第1接続部方向となる側縁に切欠部が形成されており、該切欠部は、その長さが前記第4面部の長手方向に亘り、その奥行きが前記連結状態で前記第1接続部材方向となる前記第3面部の端縁側から対向する端縁方向へ少なくとも前記第1面部の厚み分に切り欠かれた態様である
請求項1又は請求項3に記載の接続具。 - 前記第4面部のうち、前記第1接続部材と前記第2接続部材の連結状態において前記第1接続部方向となる側縁に切欠部が形成されており、該切欠部は、その長さが前記第4面部の長手方向に亘り、その奥行きが前記連結状態で前記第1接続部材方向となる前記第3面部の端縁側から対向する端縁方向へ少なくとも前記第1面部の厚み分に切り欠かれた態様である
請求項4に記載の接続具。 - 建物の躯体と、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材と、請求項1、請求項3、請求項4のいずれかに記載の接続具とを備え、
前記接続具は、前記第1貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記第1接続部材が前記建築部材に取付されると共に、前記第3貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記第2接続部材が前記建物の躯体に取付され、前記第2面部と前記第4面部とが当接され、且つ、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結された態様で、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結されている
建物構造。 - 建物の躯体と、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材と、請求項5に記載の接続具とを備え、
前記接続具は、前記第1貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記第1接続部材が前記建築部材に取付されると共に、前記第3貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記第2接続部材が前記建物の躯体に取付され、前記第2面部と前記第4面部とが当接され、且つ、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結された態様で、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結されている
建物構造。 - 建物の躯体と、縦方向に配置される柱状又は板状の建築部材と、請求項6に記載の接続具とを備え、
前記第1接続部材の前記第1面部が、前記第1貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記建築部材に取付され、前記第2接続部材の前記第3面部が、前記第3貫通孔に軸部を嵌挿した固定具を以て前記建物の躯体に取付され、前記第2面部と前記第4面部とが当接され、且つ、位置合わせが成された前記第2貫通孔と前記第4貫通孔に挿通された連結具を以て締結された態様で、前記第1接続部材及び前記第2接続部材が連結されている
建物構造。
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