JP3237426B2 - 片面溶接用の自動裏当て装置 - Google Patents

片面溶接用の自動裏当て装置

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JP3237426B2
JP3237426B2 JP33016694A JP33016694A JP3237426B2 JP 3237426 B2 JP3237426 B2 JP 3237426B2 JP 33016694 A JP33016694 A JP 33016694A JP 33016694 A JP33016694 A JP 33016694A JP 3237426 B2 JP3237426 B2 JP 3237426B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、大径鉄管の片面自動
溶接において、管内面からの初層溶接時に管外面より溶
接の裏当てを行う自動裏当て装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の大径管の溶接では作業者が管の内
外面から溶接を行っている。このため大径管がトンネル
内内張管の場合には、地盤と管外面との間に作業員が立
ち入れるようにするため大径のトンネルを掘削する必要
があり、このための土木工事に多くのコストと工期を要
している。このような状況から溶接施工の省人化、高速
化、簡素化を目指して片面自動溶接機の開発が行われて
おり、それと並行して初層溶接で必要となる裏当て工程
を行う自動機の開発が進められている。
【0003】初層溶接の裏当てを行う自動裏当て装置と
して、特開平5−318184号が開示されている。こ
の装置は、被溶接管の外面に予め装置移動用のレールを
設置し、このレールに沿って溶接機に同期して走行する
もので、裏当て装置の移動用モータの出力軸をギヤ及び
自在継手を介して裏当てテープの送りローラに接続し連
動させることにより、装置の走行速度と同じ速度で裏当
てテープを送り出すようにしたものである。
【0004】しかし、この方式では溶接すべき管体毎に
管外面に対して装置走行用のレールを設置する必要があ
り、それだけコストと工期の増大を招く。また、管体の
材質によってはレールの取付の際の溶接により管に割れ
が発生する恐れがあり、このため例えば、ハイテン70
材以上の管体の場合にはレール溶接の際に管体の予熱が
必要となるなど、余分な作業が増えるという問題もあ
る。従来、X線探傷や超音波探傷等により溶接部の検査
を行う際に用いられる装置(例えば、管壁面にX線フィ
ルムを貼り付けたり、探査等を行う装置)として、永久
磁石を装備したローラにより管壁面に吸着しつつ管体の
外面を周方向に走行する無軌道型の磁気吸着式走行装置
が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、裏当て装置は
管内面側の自動溶接機と正確に同期して移動させる必要
があり、しかも、管の目違い等に応じて軌道修正のため
の操舵を行う必要があるため、単純に無軌道型の磁気吸
着式走行方式を採用した場合、自動溶接機との正確な同
期ができなかったり或いは溶接線から外れたりするトラ
ブルを生じ、溶接機のトーチ直下に裏当てテープを適切
に供給、保持することができなくなる。
【0006】したがって、この発明の目的は、無軌道型
の磁気吸着式走行方式を採用することで、レールを設置
することなく管外面を走行することができ、しかも、管
内面側の自動溶接機と正確に同期して移動できるととも
に、管の目違い等に応じて軌道修正のための操舵を容易
に行うことができる片面溶接用の自動裏当て装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の自動裏当て装置は以下のような構成を有す
る。 (1) 磁気吸着式自走台車を備えた裏当て装置であって、
テープ格納手段から繰り出された後テープ巻取手段に巻
取られる裏当てテープを、前記テープ格納手段とテープ
巻取手段間の位置で管面に押し付ける裏当てパッドと、
該裏当てパッドのパッド面の裏当てテープ送り方向前部
及び後部の各位置に溶接アークによる裏当てテープを透
過した溶接光または裏当てテープの赤熱発光を受光する
第1の光検出器を設け、該第1の光検出器の受光出力に
基づき裏当てパッドの溶接進行方向における溶接トーチ
との相対位置を検出する第1の位置検出機構と、台車の
前部及び後部の各位置に、管面側に投光する投光手段と
該投光手段からの投光による管面側からの反射光を受光
すべき第2の光検出器とを台車幅方向で適当な間隔をお
いて各1対設け、該第2の光検出器が検出する反射光の
照度または第2の光検出器の受光出力に基づき、管外面
周方向に引かれた操舵用ベースラインとその外側の管面
とを判別することで裏当てパッドの溶接線に対する回頭
または/および横ずれを検出する第2の位置検出機構
と、前記第1の位置検出機構及び第2の位置検出機構に
よる位置検出情報に基づいて、裏当てパッドが溶接トー
チ直下に位置するよう台車の走行速度制御及び操舵を行
う制御手段とからなる片面溶接用の自動裏当て装置。
【0008】(2) 上記(1)の装置において、裏当てパッ
ドのパッド面の裏当てテープ送り方向前部及び後部の各
位置に設けられる第1の光検出器が、裏当てパッド幅方
向で適当な間隔をおいて配される少なくとも1対の光検
出器からなる片面溶接用の自動裏当て装置。 (3) 上記(1)または(2)の装置において、第2の位置検出
機構における投光手段及び第2の光検出器が光電スイッ
チにより構成されている片面溶接用の自動裏当て装置。
【0009】
【作用】自動裏当て装置は、被溶接管の内面からの初層
溶接において、溶接トーチ直下の管外面に溶接金属を受
けるための裏当てテープを供給するもので、テープ格納
手段から繰り出された後テープ巻取手段に巻取られる裏
当てテープを、前記テープ格納手段とテープ巻取手段間
の位置で、裏当てパッドにより管面に押し付ける。自動
裏当て装置は磁気吸着式自走台車を備えており、管外面
に磁石で吸着しながら管周面を無軌道で自走しつつ、溶
接トーチ直下に上記の裏当てテープの供給を行う。
【0010】初層溶接に先立ち、被溶接管の開先近傍の
管外周面には開先に沿うように操舵用ベースラインが引
かれる。次いで、被溶接管の外面側に、裏当てパッドの
中心が溶接開始位置での溶接トーチ直下に位置するよ
う、自動裏当て装置がセットされる。溶接が開始される
と、自動裏当て装置は被溶接管内面側の溶接トーチと同
期して、溶接進行方向に走行を開始する。
【0011】この走行中、第1の位置検出機構を構成す
る裏当てパッドの前部及び後部の各位置に設けられた光
検出器が、溶接アークによる裏当てテープを透過した溶
接光もしくは裏当てテープの赤熱発光を受光し、この光
検出器の受光出力に基づき裏当てパッドの溶接進行方向
における溶接トーチとの相対位置が検出される。例え
ば、溶接トーチが前部の光検出器よりも溶接進行方向前
方に位置する場合には、前部の光検出器の受光出力が大
きく、後部の光検出器の受光出力が小さくなり、一方、
溶接トーチが前部の光検出器と後部の光検出器との間に
位置する場合には、両光検出器の受光出力はともに大き
くなる。したがって、各光検出器の受光出力を特定のし
きい値(溶接光または赤熱発光の受光の有無を判別する
しきい値)と比較することにより、或いは前部と後部の
光検出器の受光出力を直接比較することにより、裏当て
パッドの溶接進行方向における溶接トーチとの相対位置
が検出できる。
【0012】すなわち、各光検出器の受光出力をしきい
値と比較する方式では、例えば、前部及び後部の光検出
器の受光出力が、溶接光または裏当てテープの赤熱発光
の受光の有無を判別するしきい値と比較され、“受光有
り”または“受光無し”の二値に変換される。そして、
前部の光検出器の受光出力が“受光有り”とされ、後部
の光検出器の受光出力が“受光無し”とされた場合に
は、溶接トーチが前部の光検出器よりも前方にあること
が検知される。一方、前部及び後部の光検出器の受光出
力がともに“受光有り”とされた場合には、溶接トーチ
は前部及び後部の光検出器の間に位置していることにな
る。
【0013】一方、前部及び後部の光検出器の受光出力
を直接比較する方式では、例えば、前部及び後部の光検
出器の受光出力が比較されてその偏差が求められ、この
偏差が特定のしきい値と比較され、偏差がしきい値より
も大である場合には溶接トーチが前部の光検出器よりも
前方にあることが検知され、一方、偏差がしきい値より
も小である場合には溶接トーチが前部及び後部の光検出
器の間に位置していることが検知される。また、本願の
請求項2に記載の発明のように、前部および後部に各1
対の光検出器を設けることにより、裏当てパッドが溶接
線に対して左右どちらかに偏ったり或いは回頭したりし
ても、左右いずれかの光検出器が溶接光等を捉えること
ができ、高い検出精度が得られる。
【0014】また、裏当てパッドの溶接線に対する左右
方向での位置ずれや回頭は、第2の位置検出機構により
検出される。開先近傍の管外周面には、光の反射率が管
面よりも十分に大きいテープまたは塗料を用いて操舵用
ベースラインが形成されており、且つこの操舵用ベース
ラインの幅は前部及び後部における各1対の光検出器に
よる検出部間の間隔よりも若干狭くなっている。投光手
段から可視光または赤外線などを信号光として管面側に
投光し、管面側で反射した光を各投光手段に対応した光
検出器で受光する。
【0015】左右1対の光検出器による検出部間の間隔
は操舵用ベースラインの幅よりも若干広いため、装置が
溶接線に対して横ずれや回頭しないで走行している場合
には、前部及び後部の左右1対の光検出器は操舵用ベー
スライン外側の管面からの反射光を受光する。一方、装
置が溶接線に対して横方向にずれたり、或いは回頭して
いる場合には、いずれかの光検出器が操舵用ベースライ
ンからの反射光を受光することになる。そして、操舵用
ベースライン外側の管面からの反射光と操舵用ベースラ
インからの反射光はその照度が大きく異なるため、この
照度の違いに基づき或いは光検出器の受光出力に基づき
操舵用ベースラインとその外側の管面とを判別できる。
【0016】したがって例えば、前部左側の光検出器と
後部右側の光検出器のうちの一方若しくは両方が操舵用
ベースラインを検出した場合、第2の位置検出機構は装
置とこれを構成する裏当てパッドが溶接線に対して右方
向に回頭したことを検知する。また、前部右側の光検出
器と後部右側の光検出器の両方が操舵用ベースラインを
検出した場合、装置とこれを構成する裏当てパッドが溶
接線に対して左側に偏ったことを検知する。同様にし
て、1つ以上の光検出器による操舵用ベースラインの検
出により、装置及びこれを構成する裏当てパッドの左方
向への回頭や右側への横ずれが検知される。
【0017】第2の位置検出機構を構成する投光手段と
光検出器は、反射型の光電スイッチにより構成すること
ができ、この光電スイッチを用いることにより上記のよ
うな横ずれや回頭の検出を最も簡易に行うことができ
る。すなわち、この光電スイッチは反射光の照度により
ON・OFFするため、所定の照度以上の光を受光した
場合(つまり、操舵用ベースラインからの反射光を受光
した場合)にのみONとなるような光電スイッチを用い
ることにより、管面と操舵用ベースラインとを容易に判
別することができる。また、このような光電スイッチで
はなく、各光検出器の受光出力を所定のしきい値と比較
することで、操舵用ベースラインと管面とを判別するよ
うにすることもできる。
【0018】以上のような第1の位置検出機構及び第2
の位置検出機構による位置検出が逐次行われ、かかる位
置検出情報が制御手段に出力され、裏当てパッドが溶接
トーチ直下に位置するような台車の走行速度制御および
操舵が行われる。制御手段は第1の位置検出機構による
位置検出情報に基づき、台車の走行を例えば以下のよう
に制御する。すなわち、溶接トーチが前部の光検出器よ
りも前方にあることが検知された場合には、裏当てパッ
ドは溶接トーチに対して若干遅れていることになるた
め、台車を駆動して裏当て装置を前進させ、裏当てパッ
ドが溶接トーチ直下に位置するようにする。また、溶接
トーチが前部及び後部の光検出器の間に位置しているこ
とが検知された場合には、台車の走行を一時停止するか
或いは減速する。
【0019】また、他の制御例としては、溶接トーチが
前部の光検出器よりも前方にあることが検知された場合
には台車の走行速度を増大させ、一方、溶接トーチが前
部及び後部の光検出器の間に位置していることが検知さ
れた場合には台車を減速させる。また、制御手段は第2
の位置検出機構による位置検出情報に基づき、台車の左
右の駆動輪の回転数を制御し、或いは台車が特別なステ
アリング機構を有している場合にはこれを制御し、台車
の進行方向を調整することで裏当てパッドの溶接線に対
する横ずれまたは回頭若しくはその両方を修正する。
【0020】
【実施例】図1ないし図5は本発明の一実施例を示すも
ので、図1は本発明の片面溶接用の自動裏当て装置の全
体構成および使用状態を示す説明図、図2は装置の平面
図、図3は同じく側面図、図4は同じく正面図である。
片面溶接用の自動裏当て装置Aは、図1に示すように被
溶接管p(鉄管)の内面からの初層溶接において溶接ト
ーチb直下の溶接金属を管の外側から裏当てテープaで
受けとめるもので、被溶接管pの外面を溶接進行方向に
移動可能な台車1と、この台車に搭載される裏当て装置
2とから構成されている。
【0021】前記台車1は、前後左右に駆動輪3a1
3a2,3b1,3b2を有しており、これらの各駆動輪
3(3a1,3a2,3b1,3b2)には管壁面に吸着す
るための永久磁石4が組み込まれている。前記裏当て装
置2は、裏当てテープaの格納リール6と、裏当てテー
プaの巻取リール7と、両リール間で裏当てテープaを
管面に押し付けて裏当てする裏当て手段8とを備えてお
り、これら格納リール6、裏当て手段8及び巻取リール
7は台車進行方向に直列した状態で台車1に取り付けら
れている。台車1には巻取リール7の回転駆動手段であ
るモータ9が設けられ、巻取リール7は台車走行用の駆
動系とは関係なくモータ9により回転駆動される。そし
て、この巻取リール7の回転駆動により格納リール6か
ら裏当てテープaが繰り出され、この裏当てテープaは
裏当て手段8を経由した後、巻取リール7に巻取られる
ことになる。
【0022】裏当て手段8は、裏当てテープaを管面に
押し付けて裏当てするための裏当てパッド10、この裏
当てパッド10の前後(裏当てテープ進行方向における
裏当てパッド10の前後)において裏当てテープaをガ
イドするガイドローラ12,13、裏当てパッド10及
びガイドローラ12,13をフレーム14を介して昇降
可能に保持する保持装置11等から構成され、この裏当
て手段8は格納リール6と巻取リール7の中間位置の台
車1上に配置される。
【0023】以上が自動裏当て装置Aの走行機構及び裏
当て機構の基本構成であり、その詳細については後述す
る。自動裏当て装置Aは、溶接進行方向における裏当て
パッド10の位置検出を行う第1の位置検出機構と、溶
接線に対する左右方向での裏当てパッド10の位置検出
を行う第2の位置検出機構を備えている。前記第1の位
置検出機構は、裏当てパッド10のパッド面100に設
けられる光検出器(光電受光素子)を用いて位置検出を
行う。図5は裏当てパッド10及びその保持構造を示す
もので、同図(a)は側面図、同図(b)は裏当てパッ
ド10のパッド面100を示す図面である。
【0024】前記パッド面100の裏当てテープ送り方
向の前部及び後部の各位置には、裏当てパッド幅方向で
適当な間隔をおいて1対の光電受光素子15a1、15
2と光電受光素子15b1、15b2が埋め込まれてい
る。この光電受光素子15はフォトダイオード、フォト
トランジスタ、CdS素子等、受光量に応じた電気信号
を出力する素子である。各光電受光素子15は、パッド
面100に形成された取付孔の内部に挿入され、取付孔
の上面を耐熱ガラス等の透明な封止材で封止することに
よりパッド面100に埋設されている。光電受光素子1
5は取付孔の内部に挿入され、且つ封止材がパッド面と
面一に取付孔を封止しているため、パッド面100には
取付孔等による段差が無く、したがって、裏当てテープ
aはパッド面100上を円滑に摺動することができる。
【0025】また、溶接熱による裏当てパッド10の温
度上昇によって光電受光素子15が破損するのを防止す
るため、裏当てパッド10の内部には冷却水用の通路及
びこの通路に注水するための注入口が設けられ、裏当て
パッド10を内部から冷却できるようにしている。この
構造については、後に詳述する。なお、この実施例では
光電受光素子15は裏当てパッド10の前部及び後部で
それぞれ1対ずつ配置しているが、例えば、前部及び後
部でそれぞれ複数対の光電受光素子15を配置してもよ
く、これにより万一いずれかの光電受光素子が破損した
場合でも適切に対応できる。
【0026】裏当てパッド10の前部及び後部の各位置
における光電受光素子15の数は任意であり、したがっ
て、前部及び後部の各位置において各1個の光電受光素
子15を設けることも可能である。しかし、この場合に
は装置の横ずれや回頭により裏当てパッド10が溶接線
に対して左右方向に偏ると、光電受光素子15による溶
接光等の適切な検知ができなくなるおそれがある。そこ
で、この実施例では前部及び後部の各位置において裏当
てパッド幅方向に1対の光電受光素子15a1、15a2
及び15b1、15b2を配することにより、裏当てパッ
ド10が溶接線に対して左右方向に偏っている場合で
も、溶接光等を適切に捉えることができるようにしてい
る。
【0027】また、この実施例では、左右1対の光電受
光素子15の受光出力を加算して位置検出に用いること
を前提としているため、左右の光電受光素子15a1
15a2及び15b1、15b2を裏当てパッド10の中
心から十分に離すことができ、このため裏波ビードに悪
影響を与えず、また裏当てテープaがアークにより焼き
切れても各光電受光素子15が直接アークを受けること
がなく、各光電受光素子15の破損が適切に防止され
る。また、裏当てパッド10の前部及び後部の各位置の
光電受光素子15は、左右でそれぞれ2個以上設けるこ
とも可能である。
【0028】図6は第1の位置検出機構を構成する検出
系のブロック図であり、16a及び16bは前部及び後
部の各1対の光電受光素子15a1、15a2及び15b
1、15b2の受光出力を加算する加算器、17a及び1
7bはフィルタ、18a及び18bは設定器19a及び
19bで設定されたしきい値と前記加算された受光出力
とを比較し、“受光有り”または“受光無し”を出力す
る比較器、20は比較器18a及び18bからの出力に
基づき、裏当てパッド10の溶接進行方向における溶接
トーチbとの相対位置を検出する判別回路である。
【0029】前記第2の位置検出機構は、台車1の前部
及び後部の各位置に配される投光手段及び光検出器(光
電受光素子)と管外面に引かれた操舵用ベースラインと
を用いて位置検出を行う。この実施例では、投光手段及
び光検出器は反射型の光電スイッチ21により構成され
ている。図2ないし図4に示すように、台車1の一方の
側部の前部及び後部の各位置には、台車幅方向で適当な
間隔をおいた1対の光電スイッチ21a1、21a2及び
21b1、21b2を取付ステー22a、22bを介して
設けている。これら光電スイッチ21は、その投光手段
が可視光または赤外線等の信号光を管面側に投光し、管
面側で反射した光を受光検出する反射型の光電スイッチ
である。
【0030】開先近傍の管外周面には、光の反射率が管
面より十分に大きいテープまたは塗料等を用いて操舵用
ベースラインBが形成されており、また、前部及び後部
における各1対の光電スイッチ21a1及び21a2、光
電スイッチ21b1及び21b2による検出部間の間隔
は、操舵用ベースラインBの幅よりも若干大きめに構成
されている。この各光電スイッチ21は反射光の照度に
より出力がON・OFFするものであり、所定の照度以
上の光を受光した場合(つまり、操舵用ベースラインB
からの反射光を受光した場合)にのみONとなるような
光電スイッチが用いられる。図7は第2の位置検出機構
を構成する検出系のブロック図であり、23は光電スイ
ッチ21a1、21a2、21b1、21b2からの出力に
基づき、裏当てパッド10の横ずれまたは/及び回頭を
検出する判別回路である。
【0031】次に、台車及び裏当て装置の詳細を説明す
る。前記台車1は、前後左右に駆動輪3a1,3a2,3
1,3b2を有している。図8及び図9は各駆動輪3
(3a1,3a2,3b1,3b2)及びその駆動機構の詳
細を示しており、駆動輪3は1対のローラ体5A,5B
を車軸24で一体に連結した構造からなり、また、各ロ
ーラ体5(5A,5B)のローラ本体は、リング状の永
久磁石4とこれを両側から挟む鋼製のリング状のローラ
部材25とから構成され、したがって、リング状の永久
磁石4は駆動輪3に対して同心状に組み込まれた構成と
なっている。
【0032】前記ローラ体5のローラ面は永久磁石4の
部分が全周に亘って凹陥し、永久磁石4が管面に直接接
触しないようにしてある。これは永久磁石4が管面に疵
を付けないようにするためである。また、ローラ面を構
成するローラ部材25の表面には、電気的な絶縁および
スリップ防止のためゴムライニング26が施してある。
このゴムライニング26としては、例えば、厚さ0.5
mm程度のウレタンゴムが用いられる。また、磁石によ
る吸着力の増加とローラの軽量化のために、ローラ部材
25はローラ面側の部位250を厚肉に、それ以外の部
位251を薄肉に構成してある。
【0033】駆動輪3はその車軸24がベアリングを介
してフレーム28に回転自在に支持され、このフレーム
28がサスペンション機構27を介して台車1に保持さ
れている。このサスペンション機構27は、台車側に設
けられるガイド筒29と、フレーム28に立設され、前
記ガイド筒29にスライド可能に嵌挿したスライド体3
0と、このスライド体30に外装され、上下端が台車1
側とフレーム28側にそれぞれ係合したスプリング31
とから構成されている。また、図9に示すように各フレ
ーム28は、その側端部がピン40により台車1の本体
に上下方向揺動可能に連結され、各駆動輪3の上下方向
での揺動を許容しつつ、駆動輪3が台車1から脱落しな
いよう連結している。このように各駆動輪3が独立した
サスペンション機構27を備えているため、各駆動輪3
は曲面である管外面に適切に吸着し、台車1は管外面を
ガイドなしに安定して走行できる。
【0034】なお、各駆動輪3の車軸24には、動力伝
達用のスプロケット32が取り付けられている。駆動輪
3は左右それぞれにおいて前輪と後輪が1つのモータに
より駆動されるようになっている。図9はこの駆動機構
を示すもので、左右各々の駆動用モータ33A,33B
出力軸は、かさ歯車34、かさ歯車35、スプロケット
36、チェーン37、スプロケット38,39及び前記
スプロケット32を介して駆動輪3a1,3b1及び駆動
輪3a2,3b2に連絡され、各駆動輪3を駆動する。こ
のように左右別々の駆動モータを備えたことにより、左
右の駆動輪3の回転数に差を与えることによって操舵を
行うことができる。
【0035】自動裏当て装置Aは溶接トーチの直下で移
動するため、ローラ等の走行手段に永久磁石を組み込む
場合、その磁気が溶接のアークに悪影響を及ぼさないよ
うな配慮が必要であり、このため永久磁石4を組み込ん
だ駆動輪3は以下のような構成を有している。すなわ
ち、ローラ体5A,5Bに適用するリング状の永久磁石
4としては、図13に示すようにリングの半径方向に磁
化したラジアル型磁石と、図14に示すようにリングの
軸方向に磁化したアキシャル型磁石とが考えられるが、
本実施例では、一個のリング状永久磁石のN極から出た
磁束が被溶接管(鉄管)を介して同じリング状永久磁石
のS極に収束するアキシャル型を用いている。さらに、
本実施例では左右の駆動輪3a1と駆動輪3a2の互いに
向き合う側でのリング状永久磁石の極を、また、同じく
駆動輪3b1と駆動輪3b2の互いに向き合う側でのリン
グ状永久磁石4の極を、それぞれ同極となるように構成
している。
【0036】図10はこのように構成した駆動輪3a1
と駆動輪3a2、駆動輪3b1と駆動輪3b2が被溶接管
pに吸着した際の磁力線42の状態を示したもので、各
駆動輪3にアキシャル型のリング状永久磁石4を同心状
に組み込み、且つ左右の駆動輪3a1と駆動輪3a2の互
いに向き合う側でのリング状永久磁石4の極を、また、
同じく駆動輪3b1と駆動輪3b2の互いに向き合う側で
のリング状永久磁石4の極を、それぞれ同極となるよう
に構成しているので、開先部41を跨ぐ左右の駆動輪3
の永久磁石4の磁力線が開先部41を挟んで互いに退け
合う関係となり、左右の駆動輪3の永久磁石4の磁力線
は開先部41から遠ざけられ、これによって永久磁石4
による開先41の磁化が極く低く抑えられる。したがっ
て、アークへの影響はほとんどない。
【0037】次に、裏当て装置2の詳細について説明す
る。特開平5−318184号に示される従来の装置
は、裏当てテープの送りのために走行系モータとテープ
送りローラとをギヤ及び自在継手を介して接続した構造
であるため、構造が非常に複雑であるという難点があ
り、加えて、走行ローラとレールとの間に滑りが生じた
場合、裏当てテープも管面との間に滑りを生じてしま
い、良好な溶接を行うことができなくなるという問題が
あった。この実施例の装置は、このような従来装置の問
題点を適切に解消している。
【0038】前記格納リール6と巻取リール7は、台車
1上のブラケットに回転可能に軸支45,46されてい
る。格納リール6には、このリール6と裏当て手段8
(本実施例では裏当てパッド10)間での裏当てテープ
aの弛みを防止するため、そのフリーな回転を抑制する
制動手段を付設することが好ましい。すなわち、上記の
ような裏当てテープaの弛みによる送給上のトラブルを
防止するためには、裏当てテープaがモータ9の駆動に
よって巻取リール7側から牽引された場合にのみ格納リ
ール6から繰り出されるようにすることが好ましく、こ
のためには、格納リール6に対して適当な回転力が外部
から加えられた場合にのみ格納リール6の回転を許容す
るような制動手段を設けることが好ましい。この制動手
段としては、例えば、格納リール6の回転部に接触する
ブレーキシューを台車側に設ける等の構成を採ることが
できる。
【0039】図5と図11及び図12は裏当て手段27
の詳細を示しており、図11はガイドローラ及びその保
持構造を示す断面図、図12は裏当てパッド及びその保
持構造を示す断面図である。前記保持装置11はモータ
或いはシリンダ装置等からなる駆動手段と、この駆動手
段により駆動する、被溶接管の中心方向に進退可能な保
持ロッド47とを有し、その本体が台車1に固定されて
いる。前記保持ロッド47の先端にはフレーム14が取
り付けられ、このフレーム14の中央に裏当てパッド1
0が、また、両端にガイドローラ12,13がそれぞれ
取り付けられている。裏当てパッド10は付勢用(及び
緩衝用)のスプリング43を介してフレーム14に取り
付けられている。図12はその取付構造の詳細を示して
おり、フレーム14には、上下端が開放し且つ下部にス
プリング収納用の大径部480を有するガイド筒48が
立設され、このガイド筒48の内部に裏当てパッド10
に連結されたスライド体49がガイド筒長手方向スライ
ド可能に装着されている。
【0040】スライド体49の中間部にはスプリングの
端部を係止するためのフランジ490が設けられてい
る。そして、大径部480内にはスライド体49に外装
されたスプリング43が配され、このスプリング43の
一端が前記大径部480の端部の段部に、また他端が前
記フランジ490にそれぞれ係合している。したがって
裏当て時においては、スライド体49と一体の裏当てパ
ッド10がスプリング43により管面方向に付勢される
ことになる。また、ガイド筒48の上端には適当な長さ
のガイドスリット481が形成され、一方、スライド体
49の上端には前記ガイドスリット481にスライド可
能に係合する突片491が設けられており、このガイド
スリット481に突片491をガイドさせることによ
り、スライド体49及びこれと一体の裏当てパッド10
のガイド筒48に対する回転とガイド筒48からの脱落
を防止している。
【0041】裏当てパッド10は前記スライド体49の
端部に連結部材50を介して脱着可能に連結されてい
る。裏当てパッド10は焼損が激しいため、このように
脱着可能とし交換できるようにしてある。また、裏当て
パッド10は使用中に温度が上昇するために熱伝導の高
い材料(通常は銅製)で構成されており、このようなパ
ッドを冷却するため、内部に冷媒流通用の通路56を設
けるとともに、この通路56に冷却ガス或いは冷却水等
の冷媒を供給する注入口57を設け、この注入口57に
ホース等を接続して外部から冷媒を供給できるようにし
てある。
【0042】前記ガイドローラ12,13は、それぞれ
裏当てパッド10の裏当てテープ進行方向の前後の位置
において、フレーム14の端部に回転自在に軸支51,
52されている。図11はこれらガイドローラの取付構
造をガイドローラ13を例に示したもので、ガイドロー
ラ13は緩衝用のスプリング54を介して軸支されてい
る。すなわち、フレーム14にはガイドローラの保持軸
を支持するための支持部材53が図示しないスライド機
構によりスライド可能に取り付けられ、この支持部材5
3とフレーム14間に緩衝用のスプリング54を介在さ
せている。そして、ガイドローラ13の保持軸130は
前記支持部材53に固定され、保持軸130にベアリン
グを介してローラ本体131が回転可能に保持されてい
る。また、ガイドローラ13は、裏当てテープaの幅方
向でのずれを防止するため、その両端に鍔部132を有
している。このような構造は、ガイドローラ12につい
ても全く同様である。
【0043】裏当てテープaは溶接部裏面に押し当てら
れた際に溶接アークを受けるため、焼損し管面に焼き付
けを起こす。このような管面への焼き付けに対しては、
巻取リール7の回転駆動により巻取リール7と裏当て手
段8間の裏当てテープaに定テンションがかけられるた
め、管面に焼き付いた裏当てテープaは容易に引き剥が
すことが可能であるが、このような焼き付いたテープを
より確実且つ速やかに引き剥がすためには、裏当てテー
プaを裏当て手段8による押当て部から角度をつけて引
き剥がすようにすること、つまり、裏当て手段8から離
れる裏当てテープaを大きな角度で巻取リール側に方向
転換させるようにすることが好ましい。
【0044】このための条件を図3に基づいて説明する
と、巻取リール7の巻取ドラム部70の外周に関する仮
想接線であって、巻取リール7側において裏当て手段2
8から裏当てテープaが離れる地点(この実施例ではガ
イドロール13の外周部)を通過する仮想接線xと、裏
当て手段8の押当て面(この実施例では裏当てパッドの
パッド面100)と平行な仮想直線yとのなす巻取リー
ル側での角度θを、巻取リール7によるテープ巻取の支
障を生じない範囲で大きくすることが好ましい。具体的
にはこの角度θは40〜90°程度とすることが好まし
い。
【0045】次に、上記実施例の自動裏当て装置Aの使
用法を説明する。初層溶接に先立ち、被溶接管pの開先
近傍の管外周面には開先41に沿うように操舵用ベース
ラインBが引かれる。次いで、被溶接管pの外面側に、
裏当てパッド10の中心が溶接開始位置での溶接トーチ
b直下に位置するよう、自動裏当て装置Aがセットされ
る。自動裏当て装置Aは、被溶接管pの溶接開始位置に
台車1の左右の駆動輪3が開先部41を跨ぐようにして
セットされ、各駆動輪3はその永久磁石4により管面に
吸着し、台車1を管面に保持する。この状態で、格納リ
ール6には裏当てテープaがコイル状に格納され、その
格納リール6から繰り出された裏当てテープaの先端は
ガイドローラ12、裏当てパッド10及びガイドローラ
13を経由して巻取リール7に巻取られており、また、
裏当てパッド10は保持装置11及び付勢用のスプリン
グ43で裏当てテープaを溶接開始点の管外面に押し当
てている。
【0046】溶接が開始されると、台車1は駆動輪3が
磁石の作用で管面に吸着した状態で管外面を溶接トーチ
と同期して溶接進行方向に移動し、これと同期して巻取
リール7がモータ9により回転し、格納リール25から
裏当てテープaを繰り出させる。格納リール6からの裏
当てテープaの繰り出し速度は、モータ9を制御するこ
とにより台車1の走行速度に同期させる。
【0047】この走行中、第1の位置検出機構を構成す
る光電受光素子15a、15a及び15b、15
が、溶接アークによる裏当てテープaを透過した溶
接光もしくは裏当てテープの赤熱発光を受光し、この光
電受光素子15の受光出力に基づき、裏当てパッド10
の溶接進行方向における溶接トーチbとの相対位置が検
出される。これを図6に基づき説明すると、前方の光電
受光素子15a、15aの受光出力は加算器16a
で、また、後方の光電受光素子15b、15bの受
光出力は加算器16bでそれぞれ加算される。それぞれ
の加算信号はフィルタ17a、17bを通って比較器1
8a、18bに入力され、設定器19a、19bで予め
設定されたしきい値と比較され、“受光有り”、“受光
無し”の二値に変換され、判別回路20に入力される。
【0048】判別回路20では、比較器18a(前部の
光電受光素子15a1、15a2)からの出力が“受光有
り”で、比較器18b(後部の光電受光素子15b1
15b2)からの出力が“受光無し”の場合には、溶接
トーチbが前部の光電受光素子15a1、15a2よりも
前方に位置していることを判別し、制御手段44に台車
1を駆動させるような指令信号を出す。一方、比較器1
8a(前部の光電受光素子15a1、15a2)からの出
力と比較器18b(後部の光電受光素子15b1、15
2)からの出力がともに“受光有り”の場合には、溶
接トーチbが前部の光電受光素子15a1、15a2と後
部の光電受光素子15b1、15b2との間にあることを
判別し、制御手段44に台車1の走行を停止する指令信
号を出す。
【0049】また、この実施例のように、裏当てパッド
10の前部および後部に各1対の光電受光素子15
1、15a2及び15b1、15b2を設けることによ
り、裏当てパッド10が溶接線に対して左右どちらかに
偏っていたり或いは回頭したりしていても、左右いずれ
かの光電受光素子15が溶接光等を捉えることができ、
高い検出精度が得られる。なお、第1の位置検出機構に
よる位置検出は、本実施例に限定されるものではなく、
例えば、前部及び後部の光電受光素子15a1、15a2
及び15b1、15b2の受光出力を図6と同様に加算し
た後、加算された両受光出力を比較器で比較してその偏
差を求め、この偏差を特定のしきい値と比較して、例え
ば、偏差がしきい値よりも大である場合には溶接トーチ
が前部の光電受光素子よりも前方にあることを検知し、
偏差がしきい値よりも小である場合には溶接トーチが前
部及び後部の光電受光素子の間に位置していることを検
知することもできる。
【0050】また、第2の位置検出機構を構成する光電
スイッチ21a1、21a2、21b1、21b2は投光手
段から可視光または赤外線などを信号光として管面側に
投光し、管面側で反射した光を受光する。光電スイッチ
21は反射光の照度によりON・OFFし、照度の大き
い操舵用ベースラインBからの反射光を受光した場合に
のみONとなる。図7に示すように各光電スイッチ21
の出力は判別回路23に入力される。判別回路23で
は、例えば、前部左側の光電スイッチ21a1と後部右
側の光電スイッチ21b2のうちの一方もしくは両方か
らの出力があった場合、裏当てパッド10が右方向に回
頭したことを検知する。また、前部右側の光電スイッチ
21a2と後部右側の光電スイッチ21b2の両方から出
力があった場合、裏当てパッド10が溶接線に対して左
側に偏ったことを検知する。同様にして、裏当てパッド
10の左方向への回頭や溶接線に対する右側への横ずれ
を検知する。
【0051】そして、これらの検知に応じて、判別回路
23から制御手段44に台車1を操舵する指令信号、具
体的には左右の駆動輪3の回転数を制御する指令信号が
出される。一方、全部の光電スイッチからの出力がない
場合には、裏当てパッド10は横ずれや回頭することな
く正規の位置及び姿勢にあることになる。制御手段44
は上記の第1及び第2の位置検知機構からの指令信号に
基づき、台車1の駆動装置(モータ)を制御し、駆動輪
3の駆動、停止及び左右の駆動輪3の回転数を調整す
る。
【0052】次に、この実施例における他の作用効果に
ついて説明する。この実施例の装置では、先に述べたよ
うに開先部41を跨ぐ左右の駆動輪3a1と駆動輪3
2、駆動輪3b1と駆動輪3b2の永久磁石4の磁力線
が開先部41を挟んで互いに退け合う関係となるため、
左右の駆動輪3の永久磁石4の磁力線は開先部41から
遠ざけられ、これによって永久磁石4による開先部41
の磁化が極く低く抑えられ、永久磁石4が溶接に悪影響
を及ぼすことはない。
【0053】一方、格納リール6から繰り出された裏当
てテープaは、ガイドローラ12にガイドされること
で、裏当てパッド10の角部等に接触することなく裏当
てパッド10のパッド面100に円滑に導かれ、この裏
当てパッド10のパッド面100に沿って摺動しながら
溶接部裏面に押し当てられる。次いで、裏当てテープa
はパッド面100から離れ、ガイドローラ13を介して
巻取リール方向に導かれるが、この際ガイドローラ13
によりガイドされることで、裏当てパッド10の角部等
に接触することなく、円滑に方向転換して巻取リール7
方向に導かれ、巻取リール7に順次巻取られる。
【0054】裏当てテープaは溶接部裏面に押し当てら
れた際に溶接アークを受けるため、焼損し管面に焼き付
けを起こすが、巻取リールの回転駆動により巻取リール
7と裏当てパッド10間に定テンションがかけられるた
め、管面に焼き付いた裏当てテープaは容易に引き剥が
され、巻取リール7に巻取られる。また、前記仮想接線
xと仮想直線yとのなす角度θが40〜90°に制限さ
れている場合には、裏当てテープaが管面から大きな角
度で引き剥がされるため、焼き付いたテープをより確実
且つ速やかに引き剥がすことができる。したがって、裏
当てテープaの巻取が遅れてテープが管面に対して滑る
こともなく、裏当てテープaの送りを台車1の走行と正
確に同期させることができる。
【0055】また、台車1の移動と裏当てテープの送り
を行う巻取リール7の回転がそれぞれ独立した駆動手段
により行われるため、何らかの原因で台車1が走行面に
対して滑りを生じた場合でも、裏当てテープaはこれと
関係なく溶接部裏面に送給されることになる。また、格
納リール26がそのフリーな回転を抑制する制動手段を
有している場合には、裏当てテープaは巻取リール側か
ら牽引された時だけ格納リール6から繰り出されるた
め、格納リール6と裏当てパッド310間での裏当てテ
ープaの弛みが防止され、裏当てテープ送給上のトラブ
ルも防止される。
【0056】以上述べた実施例の構成からして、本発明
のより好ましい態様が以下のような構成であることが理
解できる。 (a) 本発明の自動裏当て装置において、台車は前後左右
に走行用の駆動輪を有するとともに、各駆動輪にアキシ
ャル型のリング状永久磁石が同心状に組み込まれ、且つ
左右の駆動輪の互いに向き合う側でのリング状永久磁石
の極が同極である片面溶接用の自動裏当て装置。
【0057】(b) 本発明または上記(a)の自動裏当て装
置において、裏当て装置が、裏当てテープの格納リール
と、回転用の駆動手段を有し、その回転により前記格納
リールから裏当てテープを繰り出し、且つこれを巻取る
巻取リールと、前記格納リールと巻取リール間で裏当て
テープを管面に押し付けて裏当てする裏当て手段とを有
する片面溶接用の自動裏当て装置。 (c) 上記(b)の自動裏当て装置において、裏当て手段
が、被溶接管の中心方向に進退可能な保持ロッドを有
し、台車に取り付けられる保持装置と、該保持装置の保
持ロッドに保持されるフレームと、該フレームに取り付
けられる裏当てパッドと、該裏当てパッドの裏当てテー
プ進行方向の前後の位置で前記フレームに取り付けられ
るテープガイド用のガイドローラと、前記裏当てパッド
とフレーム間に介在して裏当てパッドを被溶接管方向に
付勢する付勢手段とを備えた片面溶接用の自動裏当て装
置。
【0058】(d) 上記(b)の自動裏当て装置において、
巻取リールの巻取ドラム部の外周に関する仮想接線であ
って、巻取リール側において裏当て手段から裏当てテー
プが離れる地点を通過する仮想接線xと、裏当て手段の
押当て面と平行な仮想直線yとのなす巻取リール側での
角度θが40〜90°である片面溶接用の自動裏当て装
置。 (e) 上記(c)の自動裏当て装置において、巻取リールの
巻取ドラム部外周に関する仮想接線であって、巻取リー
ル側においてガイドローラから裏当てテープが離れる地
点を通過する仮想接線xと、裏当て手段の押当て面と平
行な仮想直線yとのなす巻取リール側での角度θが40
〜90°である片面溶接用の自動裏当て装置。 (f) 上記(b)〜(e)の自動裏当て装置において、格納リー
ルの自由な回転を阻止し、一定以上の回転力が外部から
加えられた場合にのみ格納リールの回転を許容する制動
手段を有している片面溶接用の自動裏当て装置。
【0059】そして、上記(a)に構成の自動裏当て装置
によれば、永久磁石の磁気による溶接への悪影響が殆ど
なく、溶接自体を適切に行うことができる。また、上記
(b)の構成の自動裏当て装置によれば、従来装置のよう
な複雑な連動機構を用いる必要がないため装置の構造を
簡素化することができ、また、巻取リールと裏当て手段
間に定テンションがかけられるため、焼損して管面に焼
き付いた裏当てテープを容易に引き剥がすことができ、
このため裏当てテープの巻取が遅れてテープが管面に対
して滑ることもなく、裏当てテープの送りを台車の走行
と正確に同期させることができる。また、台車の移動と
裏当てテープの送りがそれぞれ独立した駆動手段により
行われるため、何らかの原因で台車が走行面に対して滑
りを生じた場合でも、裏当てテープはこれと関係なく溶
接部裏面に送給されるため溶接に支障を来すこともな
く、良好な初層溶接を行うことができる。
【0060】上記(c)の自動裏当て装置では、格納リー
ルから繰り出された裏当てテープaは裏当てパッド及び
その前後のガイドローラを経由して巻取リールに巻取ら
れ、また、裏当てパッドは保持装置及びスプリング等の
付勢手段により裏当てテープaを管外面に押し付けて裏
当てする。格納リールから供給される裏当てテープは裏
当てパッド前面のガイドローラにガイドされることで、
裏当てパッドの角部等に接触することなく裏当てパッド
の押当て面に円滑に導かれ、また、押当て面から離れる
裏当てテープは裏当てパッド後面のガイドローラにより
ガイドされることで、裏当てパッドの角部等に接触する
ことなく、円滑に方向転換して巻取リール方向に導かれ
る。
【0061】また、上記(d)及び(e)の自動裏当て装置で
は、管面に焼き付けを起こした裏当てテープaが管面か
ら大きな角度で引き剥がされるため、焼き付いたテープ
をより確実且つ速やかに引き剥がすことができる。ま
た、上記(f)の自動裏当て装置では、裏当てテープは巻
取リール側から牽引された時だけ格納リールから繰り出
されるため、格納リールと裏当て手段間での裏当てテー
プの弛みが防止され、裏当てテープ送給上のトラブルも
防止される。
【0062】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、無軌道型の
磁気吸着式走行方式を採用することで、レールを設置す
ることなく管外面を走行することができ、しかも、管内
面側の自動溶接機と正確に同期して移動できるととも
に、管の目違い等に応じて軌道修正のための操舵を容易
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成および使用状況を
示す説明図
【図2】本発明の一実施例を示す平面図
【図3】本発明の一実施例を示す側面図
【図4】本発明の一実施例を示す正面図
【図5】図1〜図4に示す装置の裏当てパッドの詳細を
示す説明図
【図6】図1〜図4に示す装置の第1の位置検出機構の
検出系ブロック図
【図7】図1〜図4に示す装置の第2位置検出機構の検
出系ブロック図
【図8】図1〜図4に示す装置の駆動輪の詳細を示す半
断面図
【図9】図1〜図4に示す装置の駆動輪の駆動機構を示
す側面図
【図10】図1〜図4に示す装置の駆動輪の永久磁石に
よる磁力線の状態を示す説明図
【図11】図1〜図4に示す装置のガイドローラ及びそ
の保持構造を示す縦断面図
【図12】図1〜図4に示す装置の裏当てパッド及びそ
の保持構造を示す縦断面図
【図13】ラジアル型永久磁石の磁力線の方向を示す説
明図
【図14】アキシャル型永久磁石の磁力線の方向を示す
説明図
【符号の説明】
1…台車、2…裏当て装置、3,3a1,3a2,3
1,3b2…駆動輪、4…永久磁石、5A,5B…ロー
ラ体、6…格納リール、7…巻取リール、8…裏当て手
段、9…モータ、10…裏当てパッド、11…保持装
置、12,13…ガイドローラ、14…フレーム、1
5,15a1,15a2,15b1,15b2…光電受光素
子、16a,16b…加算器、17a,17b…フィル
タ、18a、18b…比較器、19a,19b…設定
器、20…判別回路、21,21a1,21a2,21b
1,21b2…光電スイッチ、22…取付ステー、23…
判別回路、24…車軸、25…ローラ部材、26…ゴム
ライニング、27…サスペンション機構、28…フレー
ム、29…ガイド筒、30…スライド体、31…スプリ
ング、32…スプロケット、33A,33B…駆動用モー
タ、34…かさ歯車、35…歯車、36…スプロケッ
ト、37…チェン、38,39…スプロケット、40…
ピン、41…開先、42…磁力線、43…スプリング、
44…制御装置、45,46…軸支部、47…保持ロッ
ド、48…ガイド筒、49…スライド体、50…連結部
材、51,52…軸支部、53…支持部材、54…スプ
リング、55…通路、56…注入口、250,251…
部位、70…巻取ドラム部、100…パッド面、130
…保持軸、131…ローラ本体、132…鍔部、480
…大径部、481…ガイドスリット、490…フラン
ジ、491…突片、A…自動裏当て装置、B…操舵用ベ
ースライン、p…被溶接管、a…裏当てテープ、b…溶
接トーチ、x…仮想接線、y…仮想直線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B23K 37/02 301 B23K 37/02 301B // B23K 101:10 101:10 (56)参考文献 特開 昭55−5123(JP,A) 特開 平8−1383(JP,A) 特開 昭61−257355(JP,A) 特開 昭60−82291(JP,A) 実開 昭60−143359(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 37/06 B23K 9/035 B23K 9/095 B23K 9/127

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気吸着式自走台車を備えた裏当て装置
    であって、テープ格納手段から繰り出された後テープ巻
    取手段に巻取られる裏当てテープを、前記テープ格納手
    段とテープ巻取手段間の位置で管面に押し付ける裏当て
    パッドと、該裏当てパッドのパッド面の裏当てテープ送
    り方向前部及び後部の各位置に溶接アークによる裏当て
    テープを透過した溶接光または裏当てテープの赤熱発光
    を受光する第1の光検出器を設け、該第1の光検出器の
    受光出力に基づき裏当てパッドの溶接進行方向における
    溶接トーチとの相対位置を検出する第1の位置検出機構
    と、台車の前部及び後部の各位置に、管面側に投光する
    投光手段と該投光手段からの投光による管面側からの反
    射光を受光すべき第2の光検出器とを台車幅方向で適当
    な間隔をおいて各1対設け、該第2の光検出器が検出す
    る反射光の照度または第2の光検出器の受光出力に基づ
    き、管外面周方向に引かれた操舵用ベースラインとその
    外側の管面とを判別することで裏当てパッドの溶接線に
    対する回頭または/および横ずれを検出する第2の位置
    検出機構と、前記第1の位置検出機構及び第2の位置検
    出機構による位置検出情報に基づいて、裏当てパッドが
    溶接トーチ直下に位置するよう台車の走行速度制御及び
    操舵を行う制御手段とからなる片面溶接用の自動裏当て
    装置。
  2. 【請求項2】 裏当てパッドのパッド面の裏当てテープ
    送り方向前部及び後部の各位置に設けられる第1の光検
    出器が、裏当てパッド幅方向で適当な間隔をおいて配さ
    れる少なくとも1対の光検出器からなる請求項1に記載
    の片面溶接用の自動裏当て装置。
  3. 【請求項3】 第2の位置検出機構における投光手段及
    第2の光検出器が光電スイッチにより構成されている
    請求項1または2に記載の片面溶接用の自動裏当て装
    置。
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