JP3235850B2 - 電気集塵機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば空気調和機に
組込まれる電気集塵機に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、空気調和機によって循環させられ
る被空調室空気中に含まれる微細な塵埃を捕捉して、清
浄な状態にするために、電気集塵機を空気調和機の熱交
換器の前面に組み込むことが行われている。

【０００３】具体的に、図５に示すようになっている。
図中１は空気調和機本体を示し、この本体１の前面を構
成する前面パネル２には吸込口３が設けられ、下部には
吹出方向を切換えるルーバ４を備えた吹出口５が設けら
れる。

【０００４】空気調和機本体１内には、熱交換器６が上
端を下端より後方に傾斜させた状態で配置される。この
熱交換器６の背面側下部には送風機７が配設され、被空
調室空気を上記吸込口３から熱交換器６に導通して熱交
換を行わせ、さらに吹出口５から被空調室に吹出すよう
になっている。

【０００５】また、熱交換器６の前面側には電気集塵機
Ｓが設けられる。これは、放電極であるイオン化線と、
このイオン化線と対向して設けられる対向電極とからイ
オン化部が構成され、この下流側部位に、一方の面に導
電層を備えた多数の電極シートを所定間隔で積層保持し
てなる集塵コレクタが配置されてなる。

【０００６】しかして、被空調室空気である被集塵空気
が導かれると、イオン化部において、イオン化線から対
向電極に対してイオン放電をなし、被集塵空気中に含ま
れる微細な塵埃粒子をイオン化してプラスの電荷を帯電
させる。

【０００７】このプラス帯電した塵埃粒子を含む被集塵
空気は、集塵コレクタに導かれ、クーロン力によってマ
イナス電極側の導電層に捕捉され、集塵がなされる。電
気集塵機Ｓから導出される被空調室空気は完全に清浄化
され、この状態で上記熱交換器６に導かれて必要な熱交
換作用がなされる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このような電気集塵機
Ｓにおいては、集塵コレクタが極めて効果的に塵埃を捕
捉集塵するため、比較的短期間で捕捉した塵埃による目
詰まりが生じる。したがって、使用者は適宜期間毎に、
空気調和機本体１から集塵コレクタを取り外し、ここに
付着した塵埃を除去しなければならない。

【０００９】ところが、被空調室空気は、はじめイオン
化部を通過し、ついで集塵コレクタを通過するところか
ら、イオン化部に直接付着する塵埃もある。特に、砂ぼ
こり、ＳｉＯ₂ 、Ａｌ₂ Ｏ₃ 、アルカリ類等の絶縁性の
高い塵埃粒子が付着すると、いわゆる逆電離現象が生
じ、塵埃粒子の表面にプラスイオンが溜り、イオン化線
に向かうバックコロナ放電が発生してこの断線事故に繋
がり易い。

【００１０】したがって、イオン化線および対向電極に
付着した塵埃を除去清掃しなければならない。ところ
が、従来、イオン化部は集塵機本体にねじで取付固定さ
れていて、簡単には取外しできない構造となっていた。
そのままの状態でイオン化部を清掃しなければならず、
清掃程度が不充分である。

【００１１】そこで近時、図６に示すように、空気調和
機本体１のここでは図示しない前面パネルを開放し、集
塵機本体Ｓからイオン化部８を着脱自在にできる構造が
考えられている。

【００１２】上記イオン化部８は、イオン化線を配線保
持する保持枠と、この保持枠前面に一体に取付固定され
イオン化線を保護するカバー、およびこれらに着脱自在
な対向電極板とから構成される。

【００１３】なお、イオン化線を配線保持する保持枠
と、この保持枠前面に取着されるカバーは、互いに一体
化されるところから、イオン化線ユニットと呼ぶ。すな
わち、イオン化部８を集塵機本体Ｓから取外してから、
対向電極板をイオン化線ユニットから取外し、それぞれ
に付着した塵埃を除去する作業順序となる。

【００１４】図７および図８に示すように、イオン化線
ユニット１０における、イオン化線１１は、保持枠１２
に一体に設けられる保持座１３の掛止溝１４に掛止され
ていて、この掛止溝１４はカバー１５に対向している。

【００１５】したがって、図のようにカバー１５を下
側、保持枠１２を上側にして、たとえば綿棒のごとき清
掃具１６をイオン化線１１に押し当てながら長手方向に
沿わせ、ここに付着する塵埃を除去する作業をなす。

【００１６】ところが、清掃具１６を押し当てる方向
は、イオン化線１１が掛止溝１４から抜け出る方向と一
致する。イオン化線１１は極く細径でもあり、清掃具１
６の押し当て力が強いと掛止溝１４から容易に外れてし
まう。そして、一旦掛止溝１４から抜け出てしまうと、
使用者が元の状態に戻すのは極めて困難である。

【００１７】本発明は上記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、イオン化線に付着し
た塵埃を除去清掃作業する際に、イオン化線が掛止溝か
ら完全に脱落するのを規制して、メンテナンスの容易化
を図り、常に高い集塵性能を保持できるようにした電気
集塵機を提供するものである。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、イオン化線から対向電極にイオン放電する
ことにより被集塵空気に含まれる塵埃粒子を帯電させ、
さらに被集塵空気をプラス導電層とマイナス導電層の間
隔に導通させ帯電した塵埃粒子をクーロン力により捕捉
集塵する電気集塵機において、保持枠の前面側に上記イ
オン化線が掛止される略Ｖ字状の掛止溝を有しイオン化
線を蛇行して配線し、この保持枠の前面側に被集塵空気
挿通用の長孔および上記対向電極を有するカバー取着し
てイオン化線を保護し、このカバーの内面の保持枠側に
突設するとともにイオン化線の長手方向とは直交する方
向にリブを延在し、このリブのイオン化線と直交する部
位に略Ｖ字状に形成した変位規制溝を備えて、イオン化
線の長手方向に見たときに、変位規制溝の最底部がイオ
ン化線を間にして上記掛止溝の最底部と相対向し、かつ
変位規制溝の開放端が上記掛止溝の開放端とラップする
ようにしたことを特徴とする電気集塵機である。

【００１９】

【作用】カバー内面に変位規制溝を備えたリブを設けた
ので、メンテナンス等でイオン化線が押され、掛止溝か
ら離れた状態でも、リブの変位規制溝がそれ以上の変位
を規制して、イオン化線が掛止溝から完全に脱落するこ
とを阻止する。しかも、長孔が開口して強度的に劣るカ
バーを、上記リブが補強できる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を、先に図５で示し
たような空気調和機本体１に備えられる電気集塵機Ｓ
で、かつ先に図６で示したような集塵機本体Ｓに対して
イオン化部８を着脱自在とした構成のものに適用して説
明する。

【００２１】図４に、イオン化線ユニット１０を分解し
て示す。このイオン化線ユニット１０は、イオン化線１
１を保持する保持枠１２と、この保持枠１２に図示しな
い固定具を介して取付固定されるカバー１５とからな
る。

【００２２】上記保持枠１２は、矩形枠状であって、中
央にサポート部１２ａが一体に設けられる。この一面側
に、放電極であるイオン化線１１が長手方向に沿って蛇
行して配線支持される。

【００２３】上記カバー１５には、複数の長孔１５ａ…
が設けられていて、ここでは図示しない対向電極板を保
持枠１２に取付けた状態で、この対向電極が挿通する。
したがって、上記長孔１５ａ…相互間にイオン化線１１
が対向して位置するようになっている。

【００２４】図１および図２に示すように、上記イオン
化線ユニット１０のイオン化線１１は、保持枠１２に一
体に設けられる保持座１３に掛止される。なお説明すれ
ば、保持座１３は、イオン化線１１の長手方向に沿って
略コ字状に形成され、その折曲された一対の突出片１３
ａ，１３ａの端縁から略Ｖ字状に形成される掛止溝１４
が設けられる。それぞれの掛止溝１４の底部に、イオン
化線１１の中途部が掛止される。

【００２５】一方、上記カバー１５の内面側である保持
枠１２側には、新らたに、リブ２０が一体に設けられ
る。このリブ２０は、イオン化線１１の長手方向とは直
交する方向に延在され、かつ保持座１３の一対の突出片
１３ａ，１３ａ相互のちょうど中間部に位置する。この
リブ２０がカバー１５に設けられることによって、その
ほとんどの面積に亘って長孔１５ａ…が開口され、強度
的に劣るカバー１５の補強をなす。

【００２６】上記リブ２０のイオン化線１１と直交する
部位には、略Ｖ字状に形成される変位規制溝２１が設け
られる。すなわち、イオン化線１１の長手方向に見たと
きに、変位規制溝２１の最底部がイオン化線１１を間に
して上記掛止溝１４の最底部と相対向し、かつリブ２０
の端縁に形成される変位規制溝２１の開放端が突出片１
３ａの端縁に形成される上記掛止溝１４の開放端とラッ
プしている。したがって、リブ２０の端縁と突出片１３
ａの端縁とは互いにラップして見える。

【００２７】このことから、イオン化線１１が掛止溝１
４から抜け出て、保持座１３の上端部から離れるような
ことがあっても、今度は上記変位規制溝２１内に受け入
れられることとなる。換言すれば、イオン化線１１は掛
止溝１４と変位規制溝２１とで形成される空間部ａ内に
限って変位自由である。この空間部ａは保持座１３とリ
ブ２０とで囲繞され、これらの外部とは遮断される。

【００２８】同図および図３に、使用者がイオン化線１
１に付着する塵埃を、綿棒等の清掃具１６で除去するメ
ンテナンス状態を示す。この場合は、カバー１５を下側
にし、保持枠１２を上側にしてイオン化線１１を上面側
にする。

【００２９】そして、清掃具１６をイオン化線１１に押
し当て、さらにこの長手方向に沿って清掃具１６を滑ら
すことによって、イオン化線１１に付着している塵埃を
除去し清掃できる。

【００３０】このとき、誤ってイオン化線１１を強く押
圧してしまい、掛止溝１４から抜け出ることがある。し
かしながら、イオン化線１１は掛止溝１４と変位規制溝
２１とで形成される空間部ａ内にのみ変位自由であっ
て、ここから外部への変位は規制される。

【００３１】イオン化線１１は変位規制溝２１側の空間
部ａに止まっていて、使用者は変位したイオン化線１１
を、再び掛止溝１４の最底部に掛止するよう戻すのに、
何らの困難の伴なわずに行える。

【００３２】

【００３３】また、上記実施例においては、空気調和機
に備えられる電気集塵機について説明したが、これに限
定されるものではなく、電気集塵機単独で用いることも
可能である。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、イオン化
線が掛合される掛止溝を有する保持枠に、イオン化線を
保護するカバーを取着し、このカバーに、メンテナス等
でイオン化線が掛止溝から離れても、それ以上の変位を
規制して掛止溝からの脱落を阻止する変位規制溝を備え
たリブを設けたから、清掃作業等のメンテナンスの容易
化を図り、常に高い集塵性能を保持できるとともに、そ
のほとんどの面積に亘って長孔が開口され、強度的に劣
るカバーの補強をリブがなすなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、メンテナンス状態で
のイオン化線ユニットの一部縦断側面図。

【図２】同実施例の、メンテナンス状態でのイオン化線
ユニットの一部縦断正面図。

【図３】同実施例の、メンテナンス状態でのイオン化線
ユニットの斜視図。

【図４】同実施例の、イオン化線ユニットを分解した斜
視図。

【図５】電気集塵機を備えた空気調和機の概略正面図。

【図６】空気調和機に備えられる電気集塵機からイオン
化線ユニットを取り外す状態を示す斜視図。

【図７】本発明の従来例を示す、メンテナンス状態での
イオン化線ユニットの一部縦断側面図。

【図８】同従来例の、メンテナンス状態でのイオン化線
ユニットの一部縦断正面図。

【符号の説明】

１１…イオン化線、１４…掛止溝、１２…保持枠、１５
ａ…長孔、１５…カバー、２０…リブ、２１…変位規制
溝。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真木 教雄 東京都渋谷区広尾５丁目４番３号 ミド リ安全工業株式会社内 審査官 豊永 茂弘 (56)参考文献 実開 平３−86048（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 イオン化線から対向電極にイオン放電す
   ることにより被集塵空気に含まれる塵埃粒子を帯電さ
   せ、さらに被集塵空気をプラス導電層とマイナス導電層
   の間隔に導通させ帯電した塵埃粒子をクーロン力により
   捕捉集塵する電気集塵機において、 その前面側に上記イオン化線が掛止される略Ｖ字状の掛
   止溝を有しイオン化線が蛇行して配線される保持枠と、 この保持枠の前面側に取着されイオン化線を保護すると
   ともに被集塵空気挿通用の長孔および上記対向電極を有
   するカバーと、 このカバーの内面である上記保持枠側に突設され、上記
   イオン化線の長手方向とは直交する方向に延在されるリ
   ブと、 このリブのイオン化線と直交する部位に設けられ、略Ｖ
   字状に形成され、イオン化線の長手方向に見たときに、
   その最底部がイオン化線を間にして上記掛止溝の最底部
   と相対向し、かつその開放端が上記掛止溝の開放端とラ
   ップする変位規制溝とを具備したことを特徴とする電気
   集塵機。