JP3231072B2 - ドーム式屋根構造 - Google Patents

ドーム式屋根構造

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JP3231072B2 JP08729092A JP8729092A JP3231072B2 JP 3231072 B2 JP3231072 B2 JP 3231072B2 JP 08729092 A JP08729092 A JP 08729092A JP 8729092 A JP8729092 A JP 8729092A JP 3231072 B2 JP3231072 B2 JP 3231072B2
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    • E04B2001/3294—Arched structures; Vaulted structures; Folded structures with a faceted surface

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、室内の運動競技施設に
適用して好適なドーム式屋根構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、室内の運動競技施設には、大規模
な固定ドーム式屋根が採用されてきている。固定ドーム
式屋根の構造形式としては、鉄骨トラス構造、ケーブル
構造が知られている。
【０００３】前記鉄骨トラス構造は、構成鉄骨材を複層
トラス状に接続して比較的良好な構造安定性が得られる
複層トラスドームと、図１４に示す構成鉄骨材を平面ト
ラス状に接続してなる単層トラスドーム１とに分類され
ているが、前記複層トラスドームは、屋根の構造安全性
を得るための施工費用の増大、工期の長期化などの面で
種々問題があり、そのため軽量化が図られながら施工費
用の低減化及び工期の短縮化が図られる単層トラスドー
ム１が採用される場合がある。
【０００４】一方、固定ドーム式屋根としてのケーブル
構造は、図１５に示すように、複数本の上弦材や下弦材
として多数本のケーブル２、３が配設され、それらケー
ブル２、３に束材４が鉛直配置に支持された構造とさ
れ、外周方向に向けて大きな張力が導入されたケーブル
２が、ドーム境界部（ドーム式屋根の外周部）のコンプ
レッションリング５に締結される構造とされている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した単
層トラスドーム１は、例えば積雪等の偏荷重により容易
に崩壊しやすいというドーム構成材の座屈耐力の面で問
題があるとともに、ドーム境界部構造は、ドーム境界部
に矢印Ａ方向に加わる大きなスラスト（単層ドーム全体
を支持するドーム内部力）を処理するために強靭なテン
ションリング６としなければならず、このテンションリ
ング６とこのテンションリング６を支持するための施設
構築にかかる建設コストが大幅に増大してしまうという
問題があった。
【０００６】また、上述したケーブル構造においても、
可撓性のケーブル２、３が構成部材とされたフレキシブ
ルな構造であるため、構造安定性を高めるためにケーブ
ル２に大きなプレストレスが必要となる。そのため、前
記単層ドーム１と逆に、ドーム境界部材を矢印Ｂ方向の
大きなスラストに対抗する強靭なコンプレッションリン
グ５としなければならず、コンプレッションリング５と
このコンプレッションリング５を支持する施設構築にか
かる建設コストが大幅に増大してしまうという問題があ
った。
【０００７】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、単層トラス式ドーム屋根及びケーブル式ドーム屋根
の優れた特徴点を利用し、主架構の外周境界部に加わる
スラストを低減させることにより建設コストの削減化を
図り、主架構の上部中央を補強して構造安定性を高める
とともに、イベント時に使用する照明、音響機器等を有
効に吊り下げ配置することが可能なドーム式屋根構造を
提供することを目的としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
ドーム式屋根構造は、室内の運動競技施設に適用して好
適なドーム式屋根構造であって、複数の鉄骨材を相互に
平面トラス状に接続し、側面視において上方に湾曲して
平面視円形状に構築されているとともに、外周境界部が
リング状とされて施設内部を覆う主架構と、主架構の施
設内中央部において一体に構築され、主架構の鉄骨材と
水平方向に若しくは下方に湾曲して延在する下弦材との
間に鉛直材が接続されてなり、主架構の中央部を補強す
る複層トラス部と、主架構の施設内側に構築され、平面
視において複層トラス部の外周から放射状に延在すると
ともに径方向に複数に分割された複数条の放射ケーブル
と、主架構の同心円上に配設された複数の円周ケーブル
と、放射ケーブルと円周ケーブルとの交差位置において
上端部が主架構の鉄骨材と接続され、かつ下端が放射ケ
ーブルの内端及び円周ケーブルに保持されて鉛直配置さ
れる束材とで構成され、放射ケーブルに放射方向外方か
つ斜め上方へ張力を導入してそれらの外端側を主架構に
締結することにより、束材によって主架構の鉄骨材を押
し上げる補強架構とを具備してなることを特徴とするも
のである。
【０００９】また、請求項２記載のドーム式屋根構造
は、円周ケーブルに沿って隣接配置された束材の上端部
間に第１の補助ケーブルが架け渡され、第１の補助ケー
ブルの中央部に補助束材の下端部が締結されているとと
もに、補助束材の上端部が主架構の鉄骨材に接続し、第
１の補助ケーブルに張力が導入されることにより補助束
材によって主架構の鉄骨材が押し上げられることを特徴
とするものである。
【００１０】また、請求項３記載のドーム式屋根構造
は、平面視において放射ケーブルと交差して延在し、か
つ主架構の外周側の鉄骨材に緊結された第２の補助ケー
ブルの一端側が束材の下端部に緊結されており、この第
２の補助ケーブルに主架構の外周側に向けて張力を導入
することを特徴とするものである。
【００１１】
【作用】本発明の請求項１記載のドーム式屋根構造によ
れば、主架構単体においてリング状の外周境界部に発生
するスラストに対抗する反力として、放射ケーブルによ
り導入された張力が外周境界部にかかる構造とされてお
り、外周境界部のスラストが減少するので外周境界部の
負担が著しく軽減される。それにより、従来の鉄骨トラ
ス式ドーム構造に不可避であった大断面の外周境界部を
軽微な外周境界部とすることができる。また、この外周
境界部を支持する施設構築にかかる建設コストが大幅に
削減される。
【００１２】また、補強架構の放射ケーブルには、従来
のケーブル構造と比較してさほど大きなプレストレスが
必要とされない。また、ケーブル構造の過度のフレキシ
ビリティが回避される。
【００１３】また、複数の鉄骨材を相互に平面トラス状
に接続してなる主架構の施設内側に補強架構が組み合わ
せて構築され、補強架構の全ての放射ケーブルに放射方
向外方かつ斜め上方へ向く張力が導入されることによ
り、鉛直配置された束材の束材軸力（束材が上昇して主
架構の接合部を押し上げる力）によって主架構の鉄骨材
相互の接合部が均一に押し上げられる。これにより、複
層トラスドームに比べて大幅な鉄骨重量の低減が図られ
るとともに、補強架構による主架構のケーブル補強によ
り積雪などに対する構造安全性が複層トラスドームと同
様のレベルとされるので、単層トラスドーム構造を採用
した主架構の不安定性が十分に回避され、鉄骨材の座屈
耐力が十分に高められる。
【００１４】さらに、主架構の施設内中央部に、主架構
の鉄骨材相互の接合部に対して鉛直方向の荷重を支持す
る複層トラス部が一体に構築されているので、主架構中
央部の補強が十分になされ、さらには、複層トラス部の
構成部材である下弦材に様々なイベント時に使用する照
明、音響機器等を吊り下げ配置することができる。
【００１５】また、請求項２記載のドーム式屋根構造に
よれば、円周ケーブルに沿って隣接配置された束材の上
端部間に配設された第１の補助ケーブルに張力が導入さ
れ、それにより第１の補助ケーブルの中央に位置する補
助束材の束材軸力によって主架構の鉄骨材相互の接合部
が均一に押し上げられ、かつ束材とともにほとんど全て
の主架構の鉄骨材相互の接合部が押し上げられる構造と
されているので、主架構を構成している鉄骨材の応力が
均一化され、構造安定性がさらに高い屋根構造が得られ
る。
【００１６】また、請求項３記載のドーム式屋根構造に
よれば、平面視において放射ケーブルと交差して延在
し、かつ主架構の外周側の鉄骨材に接続された第２の補
助ケーブルの一端側が束材の下端部に接続されており、
この第２の補助ケーブルに主架構の外周側に向けて張力
を導入することにより、放射ケーブルによる放射方向外
方のみの張力導入だけでなく、補強架構全体に均一化さ
れた張力が導入されるので、主架構全体に同一の補強効
果が得られる。
【００１７】
【実施例】以下、本発明のドーム式屋根構造の実施例
を、図１ないし図１３を参照して作用とともに説明して
いく。本実施例のドーム式屋根構造は、側面視において
上方に湾曲しているとともに平面視円形状に構築されて
施設内部を覆う主架構１０（図１及び図２参照）と、こ
の主架構１０の施設内中央部において一体に構築された
複層トラス部１８（図３参照）と、主架構１０の施設内
側に複層トラス部１８と連続して構築された補強架構１
１（図４ないし図７参照）とで概略構成されている。
【００１８】主架構１０は、複数の鉄骨材が相互に平面
トラス状に接続されて構築された直径２００ｍ、高さ３
０ｍ（ライズ／スパン比０.１５）のラチス形式構造体
である。すなわち、図１に示すように、平面視円形状に
形成される主架構１０の外周縁部には、複数本の外周材
１２が相互に接合されて外周境界リング１３が形成され
ている。
【００１９】そして、外周境界リング１３より内部に
は、外周境界リング１３と円中心Ｐを一致させた状態で
径を漸次縮小させながら、複数の円周材１５を相互に接
合してなる８つの内周円１４ａ、１４ｂ…が形成されて
いる。また、これら内周円１４ａ、１４ｂ…は、円中心
Ｐに向かうに従い、漸次高さが上昇して設けられてい
る。
【００２０】また、外周境界リング１３の円中心Ｐを通
過する径方向には、円中心Ｐに向かうに従い漸次高さを
上昇させた状態で複数の放射材１６が相互に接合されて
いる。そして、放射材１６…相互は、円中心Ｐ側におい
ては径方向に接合されているが、外周境界リング１３側
に向かうに従い漸次周方向に向いて接合されている。
【００２１】そして、外周材１２、円周材１５及び放射
材１６が相互に接続されることにより、平面視円形状で
上方に湾曲し、かつ上部中央に円形開口部１７を形成し
た主架構１０が形成される。そして、前述した主架構１
０外周に設けられた外周境界リング１３は、主架構１０
の外周縁部に発生する側面視矢印方向のスラストＦ1
（主架構を支持する施設を推す力）を負担する構造とさ
れている。
【００２２】また、複層トラス部１８は、図３に示すよ
うに主架構１０の施設内Ｒの中央部に、主架構１０と一
体に構築されている。すなわち、この複層トラス部１８
は、上方に湾曲した主架構１０の中央部に対して下方に
湾曲して配設された下弦材１８ａと、この下弦材１８ａ
と主架構１０の鉄骨材（外周材１２、円周材１５、放射
材１６）との間に鉛直方向に延びて配置された鉛直材１
８ｂとで構成され、平面視において主架構の円形開口部
１７と一致する開口部１９を有して形成されている。な
お、下弦材１８ａは、下方に湾曲した構造に限らず、例
えば水平方向に延在していても構造的に問題はない。
【００２３】また、補強架構１１は、図４ないし図７に
示すように、放射ケーブル２０…と、円周ケーブル２１
ａ、２１ｂ…と、束材２２…とが主構成部材とされて主
架構１０の施設内Ｒ側に構築されている。すなわち、円
周ケーブル２１ａ、２１ｂ…は、円中心Ｑを一致させた
状態で径が縮小された円周ケーブルが内方側とされ、か
つ径が縮小された円周ケーブルが上方位置となるように
配設されている。
【００２４】また、放射ケーブル２０…は、図４に示す
ように、平面視において円中心Ｑを一致させて配設され
た前記複層トラス部１８の外周縁部から放射状に延在し
て設けられているとともに、これら放射ケーブル２０…
と円周ケーブル２１ａ、２１ｂ…とが交差する位置に
は、束材２２…が配設されている。なお、放射ケーブル
２０は、径方向に複数に分割されている。
【００２５】束材２２…は、その上端部２２ａが主架構
１０を構成している円周材１５と放射材１６との接合部
Ｂａ（以下、主架構の接合部と略称する。）と回動自在
に接合されるようになっている。そして、束材２２…の
上端部２２ａは外周境界リング１３側に向かうに従い上
向きに延在している放射ケーブル２０…の外端と締結さ
れているとともに、下端部２２ｂが円周ケーブル２１
ａ、２１ｂ…及び放射ケーブル２０…の内端と締結され
ており、放射ケーブル２０…に放射方向外方かつ斜め上
方へ向けて張力Ｔ1（図４で示す矢印方向）が導入され
ることにより束材２２…は鉛直配置されるようになって
いる。そして、放射ケーブル２０…の張力導入により鉛
直配置された束材２２…は、自身の上昇により主架構１
０の接合部Ｂａを押し上げる力（以下、束材軸力と略称
する。）を有している。
【００２６】そして、上記構造とされた補強架構１１
は、図６ないし図１０に示すように、円中心Ｐ、Ｑを一
致させて主架構１０の裏面側（施設内Ｒ側）に組み合わ
されて構築される。その際には、束材２２…の上端部２
２ａを主架構１０の中央部以外の接合部Ｂａに回動自在
に接続するとともに、全ての放射ケーブル２０…に放射
方向外方かつ斜め上方Ｔ１へ向けて均一に張力を導入し
ていき、かつ張力が導入された放射ケーブル２０…の外
端側を主架構１０に締結する。
【００２７】ここで、主架構１０単体では外周境界リン
グ１３に側面視矢印方向にスラストＦ1が発生するが、
本実施例のような主架構１０と補強架構１１（さらには
複層トラス部１８）とが組み合わされたドーム式屋根構
造にあっては、前記スラストＦ1に対抗する反力とし
て、放射ケーブル２０…により導入された張力Ｔ1が外
周境界リング１３にかかる構造とされているので、外周
境界リング１３のスラストＦ1が軽減される。
【００２８】そして、補強架構１１の中央部に複層トラ
ス部１８が一体に構築されることにより、主架構１０の
中央部の接合部は鉛直方向の荷重が支持され、すなわち
複層トラス部１８により主架構１０の中央部が補強され
る。
【００２９】一方、主架構１０の中央部以外の接合部Ｂ
ａには、複層トラス補強部１８の周囲の束材２２…の上
昇によって束材軸力が働くので、接合部Ｂａが均等に押
し上げられて保持される。
【００３０】また、主架構１０単体において外周境界リ
ング１３に発生するスラストＦ1に対抗する反力とし
て、放射ケーブル２０…により導入された張力Ｔ1が外
周境界リング１３にかかるので、外周境界リング１３の
スラストＦ1が軽減され、引張耐力の優れた鋼材（テン
ション材）を使用せずに外周境界リング１３を構成する
ことができる。
【００３１】また、本実施例のドーム式屋根構造は、図
１１に示すように、円周ケーブル２１ａ、２１ｂ…に沿
って隣接配置されている束材２２、２２の上端部２２
ａ、２２ａ間に、円周ケーブル２１ａ、２１ｂ…の延在
方向と一致した第１の補助ケーブル２４が架設されてい
る。そして、第１の補助ケーブル２４の中央部には、束
材２２より短尺な補助束材２５の下端部２５ｂが締結さ
れており、その補助束材２５の上端部２５ａは、主架構
１０の接合部Ｂｂと回動自在に接続されて鉛直配置され
ている。
【００３２】そして、第１の補助ケーブル２４…に円周
ケーブル２１ａ、２１ｂ…の延在方向と同一方向の張力
Ｔ2が導入されることにより、補助束材２５…は上昇し
て補助束材２５…上部の主架構１０の接合部Ｂｂに束材
軸力が働き、それにより主架構１０の接合部Ｂｂが押し
上げられて保持される。
【００３３】これにより、放射ケーブル２０…の張力Ｔ
1導入による束材２２…の束材軸力と、第１の補助ケー
ブル２４の張力Ｔ2導入による補助束材２５の束材軸力
とにより、ほとんど全ての主架構１０の接合部Ｂａ，Ｂ
ｂが均等に押し上げられ、主架構１０を構成している鉄
骨材（外周材１２、円周材１５、放射材１６）の応力が
均一化されるとともに、座屈耐力が十分に高められる。
【００３４】また、本実施例においては、図１２及び図
１３に示すように、円周ケーブル２１ａ、２１ｂ…に沿
って隣接配置された束材２２、２２の下端部２２ｂ、２
２ｂに、頂部が外周境界リング１３側の主架構１０の接
合部Ｂａと緊結され、かつ平面視において束材２２、２
２間の円周ケーブル２１ａ、２１ｂ…とで略三角形状と
なるように延在する第２の補助ケーブル２６…が緊結さ
れている。そして、第２の補助ケーブル２６…に、矢印
方向に向けて張力Ｔ3が導入されている。
【００３５】この第２の補助ケーブル２６に張力Ｔ3が
導入されることにより、放射ケーブル２０…による放射
方向外方のみの張力Ｔ1導入だけでなく、補強架構１１
全体に均一化された張力Ｔ3が導入されるので、主架構
１０を構成している鉄骨材（外周材１２、円周材１５、
放射材１６）の応力が均一化される。
【００３６】従って、上述したことから本実施例のドー
ム式屋根構造は、以下に示す作用効果を得ることができ
る。 主架構１０単体において外周境界リング１３に
発生するスラストＦ1に対抗する反力として、放射ケー
ブル２０…に導入された張力Ｔ1が外周境界リング１３
にかかるので、外周境界リング１３のスラストＦ1が軽
減され、主架構１０のドーム境界部（外周境界リング１
３）を構築する際にかかる建設コストを大幅に軽減する
ことができる。 複数の鉄骨材（外周材１２、円周材
１５、放射材１６）を相互に平面トラス状に接続してな
る主架構１０の施設内Ｒ側に補強架構１１が構築されて
ドーム式屋根が形成され、補強架構１１の全ての放射ケ
ーブル２０…に放射方向外方かつ斜め上方へ向く張力Ｔ
1が導入されることにより、束材２２…が上昇して主架
構１０の中央部以外の接合部Ｂａに束材軸力が働き、主
架構１０の接合部Ｂａが均一に押し上げられるので、主
架構１０を構成している鉄骨材の座屈耐力が十分に高め
られた構造安定性の高い屋根構造を得ることができる。
主架構１０の施設内Ｒ中央部に接合部Ｂａに対して
鉛直方向の荷重を支持する複層トラス部１８が一体に構
築されているので、主架構１０中央部の補強が十分に行
われて屋根構造の構造安定性をさらに高めることがで
き、さらには、複層トラス部１８の構成部材である下弦
材１８ａに様々なイベント時に使用する照明、音響機器
等を吊り下げ配置するができる。 円周ケーブル２１
ａ、２１ｂ…に沿って隣接配置された束材２２、２２の
上端部２２ａ、２２ａ間に配設された第１の補助ケーブ
ル２４に張力Ｔ2が導入され、それにより第１の補助ケ
ーブル２４の中央に位置する補助束材２５の束材軸力に
よって主架構１０の接合部Ｂｂが均一に押し上げられ、
かつ束材２２…とともにほとんど全ての主架構１０の接
合部Ｂａ，Ｂｂが押し上げられる構造とされているの
で、に示した作用効果に加えて、主架構１０を構成し
ている鉄骨材の応力が均一化するとともに、構造安定性
の高い屋根構造を得ることができる。 円周ケーブル
２１ａ、２１ｂ…に沿って隣接配置された束材２２、２
２の下端部２２ｂ、２２ｂに、頂部を外周境界リング１
３側の主架構１０の接合部Ｂａと緊結した第２の補助ケ
ーブル２６が緊結され、この第２の補助ケーブル２６に
張力Ｔ3が導入されることにより、放射ケーブル２０…
による放射方向外方の張力Ｔ1導入だけでなく、補強架
構全体に均一化された張力Ｔ3が導入されるので、主架
構１０を構成している鉄骨材の応力が均一化するととも
に、それにより主架構１０の構造安定性をさらに向上さ
せることができる。
【００３７】なお、本実施例の上部中央に位置している
円形開口部１７（主架構１０）及び開口部１９（立体ト
ラス部１８）には、排煙設備などの空調設備を設置する
ことが可能であり、それにより施設内部Ｒをさらに快適
な環境空間とすることができる。
【００３８】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
記載のドーム式屋根構造は、主架構単体においてリング
状の外周境界部に発生するスラストに対抗する反力とし
て、放射ケーブルにより導入された張力が外周境界部に
かかる構造とされており、外周境界部のスラストが減少
するので外周境界部の負担が著しく軽減される。それに
より、従来の鉄骨トラス式ドーム構造に不可避であった
大断面の外周境界部を軽微な外周境界部とすることがで
き、この外周境界部を支持する施設構築にかかる建設コ
ストを大幅に削減することができる。
【００３９】また、補強架構の放射ケーブルには、従来
のケーブル構造と比較してさほど大きなプレストレスが
必要とされない。また、ケーブル構造の過度のフレキシ
ビリティを十分に回避することができる。
【００４０】また、複数の鉄骨材を相互に平面トラス状
に接続してなる主架構の施設内側に補強架構が組み合わ
せて構築され、補強架構の全ての放射ケーブルに放射方
向外方かつ斜め上方へ向く張力が導入されることによ
り、鉛直配置された束材の束材軸力（束材が上昇して主
架構の接合部を押し上げる力）によって主架構の鉄骨材
相互の接合部が均一に押し上げられる。これにより、複
層トラスドームに比べて大幅な鉄骨重量の低減が図ら
れ、補強架構による主架構のケーブル補強により積雪な
どに対する構造安全性が複層トラスドームと同様のレベ
ルとされるため、単層トラスドーム構造を採用した主架
構の不安定性を十分に回避することができ、鉄骨材の座
屈耐力が十分に高められた構造安定性の高い屋根構造を
得ることができる。
【００４１】さらに、主架構の施設内中央部に、主架構
の鉄骨材相互の接合部に対して鉛直方向の荷重を支持す
る複層トラス部が一体に構築されているため、主架構中
央部の補強が十分に行われて屋根構造の構造安定性をさ
らに高めることができ、さらには、複層トラス部の構成
部材である下弦材に様々なイベント時に使用する照明、
音響機器等を吊り下げ配置して有効に利用することがで
きる。
【００４２】また、請求項２記載のドーム式屋根構造
は、円周ケーブルに沿って隣接配置された束材の上端部
間に配設された第１の補助ケーブルに張力が導入され、
それにより第１の補助ケーブルの中央に位置する補助束
材の束材軸力によって主架構の鉄骨材相互の接合部が均
一に押し上げられ、かつ束材とともにほとんど全ての主
架構の鉄骨材相互の接合部が押し上げられる構造とされ
ているため、主架構を構成している鉄骨材の応力が均一
化するとともに、構造安定性の高い屋根構造を得ること
ができる。
【００４３】また、請求項３記載のドーム式屋根構造に
は、平面視において放射ケーブルと交差して延在し、か
つ主架構の外周側の鉄骨材に接続された第２の補助ケー
ブルの一端側が束材の下端部に接続されており、この第
２の補助ケーブルに主架構の外周側に向けて張力を導入
することにより、放射ケーブルによる放射方向外方のみ
の張力導入だけでなく、補強架構全体に均一化された張
力が導入されるため、主架構を構成している鉄骨材の応
力が均一化するとともに、主架構の構造安定性をさらに
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のドーム式屋根構造の主架構を示す平面
視概略図である。
【図２】本発明の主架構を示す側面視概略図である。
【図３】本発明の複層トラス部を示す側断面図である。
【図４】本発明の補強架構を示す平面視概略図である。
【図５】本発明の補強架構を示す側面視概略図である。
【図６】本発明の主架構、複層トラス部及び補強架構を
組み合わせた平面視概略図である。
【図７】本発明のドーム式屋根構造の側面視断面図であ
る。
【図８】本発明のドーム式屋根構造の平面視概略図であ
る。
【図９】本発明のドーム式屋根構造の側面視概略図であ
る。
【図１０】本発明のドーム式屋根構造の斜視概略図であ
る。
【図１１】本発明のドーム式屋根構造において束材間に
第１の補助ケーブル及び補助束材を配設した状態を示す
図である。
【図１２】本発明のドーム式屋根構造において第２の補
助ケーブルを配設した状態を示す平面視該略図である。
【図１３】本発明のドーム式屋根構造において第２の補
助ケーブルを配設した状態を示す側面視該略図である。
【図１４】単層トラス構造とされた従来のドーム式屋根
構造を示す図である。
【図１５】ケーブル構造とされた従来のドーム式屋根構
造を示す図である。
【符号の説明】
１０ 主架構 １１ 補強架構 １２ 円周材（鉄骨材） １３ 外周円（外周境界リング） １４ａ、１４ｂ、１４ｃ 内周円 １５ 円周材（鉄骨材） １６ 放射材（鉄骨材） １７ 主架構の円形開口部 １８ 複層トラス部 １８ａ 下弦材 １８ｂ 鉛直材 １９ 複層トラス部の開口部 ２０ 放射ケーブル ２１ａ、２１ｂ 円周ケーブル ２２ 束材 ２２ａ 束材の上端部 ２２ｂ 束材の下端部 ２４ 第１の補助ケーブル ２５ 補助束材 ２５ａ 補助束材の上端部 ２５ｂ 補助束材の下端部 ２６ 第２の補助ケーブルＢａ 主架構を構成する鉄骨材相互の結合部 Ｆ1 主架構単体におけるスラスト Ｐ 平面視円形状の主架構の円中心 Ｑ 円周ケーブルの円中心 Ｒ 施設内 Ｔ1 放射ケーブルの張力が導入される方向 Ｔ2 第１の補助ケーブルの張力が導入される方向 Ｔ3 第２の補助ケーブルの張力が導入される方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多賀 章 埼玉県所沢市小手指町３−13 Ｍ−404 (72)発明者 立道 郁生 東京都杉並区清水３−27−22 (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) E04B 1/32 102 E04B 7/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 室内の運動競技施設に適用して好適なド
    ーム式屋根構造であって、 複数の鉄骨材を相互に平面トラス状に接続し、側面視に
    おいて上方に湾曲して平面視円形状に構築されていると
    ともに、外周境界部がリング状とされて前記施設内部を
    覆う主架構と、 前記主架構の施設内中央部において一体に構築され、か
    つ主架構の前記鉄骨材と水平方向に若しくは下方に湾曲
    して延在する下弦材との間に鉛直材が接続されてなり、
    主架構の中央部を補強する複層トラス部と、 前記主架構の施設内側に構築され、平面視において前記
    複層トラス部の外周から放射状に延在するとともに径方
    向に複数に分割された複数条の放射ケーブルと、主架構
    の同心円上に配設された複数の円周ケーブルと、前記放
    射ケーブルと前記円周ケーブルとの交差位置において上
    端部が主架構の鉄骨材と接続され、かつ下端が放射ケー
    ブルの内端及び円周ケーブルに保持されて鉛直配置され
    る束材とで構成され、前記放射ケーブルに放射方向外方
    かつ斜め上方へ張力を導入してそれらの外端側を主架構
    に締結することにより、前記束材によって主架構の鉄骨
    材を押し上げる補強架構とを具備してなることを特徴と
    するドーム式屋根構造。
  2. 【請求項２】 前記円周ケーブルに沿って隣接配置され
    た束材の上端部間に第１の補助ケーブルが架け渡され、
    該第１の補助ケーブルの中央部に補助束材の下端部が締
    結されているとともに、該補助束材の上端部が主架構の
    鉄骨材に接続し、前記第１の補助ケーブルに張力が導入
    されることにより補助束材によって主架構の鉄骨材が押
    し上げられることを特徴とする請求項１記載のドーム式
    屋根構造。
  3. 【請求項３】 平面視において放射ケーブルと交差して
    延在し、かつ主架構の外周側の鉄骨材に接続された第２
    の補助ケーブルの一端側が束材の下端部に接続されてお
    り、この第２の補助ケーブルに主架構の外周側に向けて
    張力を導入することを特徴とする請求項１記載のドーム
    式屋根構造。
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