JP3230105B2 - X線用多層膜ミラー、反射型x線マスク、x線用多層膜ミラーの製造方法、露光装置およびパターンを有するシリコンウエハの製造方法 - Google Patents

X線用多層膜ミラー、反射型x線マスク、x線用多層膜ミラーの製造方法、露光装置およびパターンを有するシリコンウエハの製造方法

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JP3230105B2 JP33473592A JP33473592A JP3230105B2 JP 3230105 B2 JP3230105 B2 JP 3230105B2 JP 33473592 A JP33473592 A JP 33473592A JP 33473592 A JP33473592 A JP 33473592A JP 3230105 B2 JP3230105 B2 JP 3230105B2
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線投影露光やX線顕
微鏡等のX線の波長領域での反射光学系に用いられるX
線用多層膜ミラー、このX線用多層膜ミラーを用いたX
線投影露光における反射型X線マスク、その反射型X線
マスクを用いた露光装置、パターンを有するシリコンウ
エハの製造方法およびX線用多層膜ミラーの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】この種のX線用多層膜ミラーは、屈折率
の大きく異なる二種類の物質を基板上に数Å〜数十Åの
厚さで交互に積層させたものである。X線用多層膜ミラ
ーは、多数の界面で反射した光の干渉効果を利用したも
のであり、多層膜の1周期の長さ(周期長)をd、X線
の入射角をθ、X線の波長をλとすると、ブラッグの条
件(2d sinθ=nλ)を満たすとき高い反射率を示
す。
【0003】図11は従来のX線用多層膜ミラーを示す
概略断面図である。この図において、X線多層膜ミラー
は基板2の表面5上に形成された多層膜1を備え、この
多層膜1は、屈折率(すなわち真空中の屈折率に対する
X線領域の波長を有する光の屈折率の比)の大きく異な
る二種類の物質からなる層19、20が交互に形成され
てなる。従来のX線用多層膜ミラーは、多層膜1の界面
4(つまり層19、20の界面)がミラーの表面3に平
行であるため、ミラーの表面3の法線Nに対して対称的
な方向にのみX線を反射する。すなわち、入射X線6と
反射X線7は法線Nを挾んで対称な位置にある。従っ
て、多層膜ミラーは、可視光に対して一般に用いられる
鏡と同様に、表面の形状が平面の場合は光の進む向きを
変えたり、曲面の場合は光の広がりを変えたりすること
に利用される。さらに、曲面の多層膜ミラーを組み合わ
せることにより、X線用の顕微鏡や投影露光の結像光学
系にも応用される。
【0004】図11に示すX線用多層膜ミラーは、X線
投影露光におけるマスクとして使用することもできる。
従来、X線投影露光ではX線が透過し易い物質からなる
厚さ2μm程度の自立膜(メンブレン)の上に、X線を
透過しにくい物質からなる薄膜部材で所望のパターンを
形成した透過型のマスクが用いられてきた。しかし、こ
のマスクはメンブレンの強度が非常に弱いため、大面積
のマスクの作製が困難であること、および、X線を照射
したときに発生する熱による変形が生じ易い等の問題点
があった。
【0005】そこで、このような問題点を解決するため
に図12(a)、(b)、(c)に示すような反射型のマスク
が提案されている。図12(a)は多層膜1の一部をエッ
チングなどにより除去してパターンを形成したもの、同
図(b)は多層膜1の表面の一部にX線を吸収する薄膜8
を積層してパターンを形成したもの、同図(c)は多層膜
1の一部の周期構造をイオン注入などにより破壊し、周
期構造が破壊された多層膜26によりパターンを形成し
たものである。図12(a)、(b)、(c)に示すマスク
は、いずれも薄いメンブレンの代わりに厚い基板2を用
いることができるため、上記の問題点は生じない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】透過型マスクおよび反
射型マスクを用いたX線投影露光の光学系の概略図を図
4に示す。図4において、9は透過型マスク、10は結
像光学系、11は結像面、12はX線、13は図12で
例示したような反射型マスクである。透過型マスク9で
はX線12の透過光を利用するため、図4(a)に示すよ
うにパターンの配列する平面(すなわちマスク9の表
面)がX線12の光軸に対して垂直になるように配置す
ることができる。一方、従来の反射型マスク13では、
マスク13の表面(パターンの配列する平面)をX線1
2の光軸に対して垂直にすると入射光と反射光が重なっ
てしまう(図11参照)ため、図4(b)に示すようにマ
スク13の表面の法線方向が光軸に対し傾いた状態でマ
スク13を配置しなければならない。
【0007】したがって、透過型マスク9の場合、マス
ク9の表面の各点と結像光学系10との距離は一定であ
るが、反射型マスク13の場合はX線12の光軸に対し
て傾いている分だけ一定ではなくなる。従って、反射型
マスク13を用いた場合、結像光学系10がマスク13
あるいは照明されているマスク13の部分の全面に対し
焦点が合うような大きな焦点深度を有していなければな
らない。反射型マスク13を用いた場合に結像光学系1
0に要求される焦点深度Dは、マスク13を一辺lの正
方形とすると
【数1】 D=l sin(90−θ) ……(1) θ:X線12とマスク13の表面とがなす斜入射角 となる。(1)式から理解できるように、マスク13が大
きくなるほど焦点深度Dを大きくする必要がある。ま
た、θが90°に近いほど焦点深度Dは小さくなるが、実
際は照明系の配置による制限から、θを約87°より大き
くすることは経験上困難である。例えば、倍率1/5、解
像度0.1μmの光学系で、一辺10mmの正方形の反射型
マスク13に形成されたパターンをθ=87°の配置でX
線縮小露光するとき、結像光学系10の焦点深度Dは、
(1)式よりマスク側で500μm以上、結像光学系10の
倍率が1/5であるからウエハ側で20μm(=500×(1/
5)2)以上必要になる。一方、このような結像光学系1
0において実現可能な焦点深度Dは像側で1μm以下で
ある。従って、上記のような高分解能と大きな焦点深度
を兼ね備えた光学系を作製することは非常に困難であ
る。
【0008】X線縮小投影露光の露光の方法としては、
上記のような大面積を一括露光する方法の他に、マスク
の一部を輪帯状に照明してウエハを露光しながらマスク
とウエハをスキャンすることにより、大面積の露光を行
う方法がある(たとえばSolid State Technology 日本
版,p.19-25,1991 September参照)。この方法は、マ
スクの一部を輪帯状に照明する結像光学系の作製が容易
であるという利点を持つ。マスクを輪帯状に照明する場
合は、輪帯の幅が上記の(1)式のlに相当する。しか
し、例えば、倍率1/5、解像度0.1μmの光学系を用い
て、輪帯の幅が0.5mm、θ=87°の配置でX線縮小露
光するとき、光学系の焦点深度はウエハ側で1μm以上
必要になる。従って、焦点深度1μm程度の光学系で露
光装置を作製する場合には特定の一点でのみ焦点が合わ
なければならず、ほとんど実現困難な高精度のアライメ
ント精度が要求される。輪帯の幅をさらに小さくすれば
焦点深度Dを小さくして光学系への負担を軽くすること
ができるが、輪帯の幅が小さくなることにより照明光学
系の作製が困難になり、また、スループットの点から輪
帯全体のX線強度を低下させることは困難であるため、
輪帯の幅が小さくなればその分マスクの単位面積当たり
の照射X線強度が増大し、これによりマスクの耐久性の
問題も生じる。
【0009】以上のように、従来の反射型マスクによる
X線投影露光では、透過型マスクに比べて高いアライメ
ント精度を必要とし、また結像光学系にも大きな焦点深
度を要求するという問題点があった。
【0010】本発明の目的は、反射型マスクと結像光学
系との相対的配置関係の自由度を増加させることの可能
なX線用多層膜ミラー、反射型X線マスク、X線用多層
膜ミラーの製造方法、露光装置およびパターンを有する
シリコンウエハの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上にX線
領域の波長を有する光の屈折率と真空中の屈折率との差
が小さい物質からなる第一層と前記差が大きい物質から
なる第二層とを交互に積層してなる多層膜を備えたX線
用多層膜ミラーに適用され、そして、上述の目的は、前
記多層膜を構成する各層の界面に対して前記多層膜の表
面を所定角度だけ傾斜させて形成、前記多層膜で反射
されるX線がこの多層膜表面の法線方向に沿って反射さ
れるように前記多層膜の周期およびこれを構成する各層
の界面と前記多層膜の表面とがなす前記所定角度を設定
したことにより達成される。。さらに、X線用多層膜ミ
ラーの前記多層膜の一部にX線を反射しないX線非反射
部を形成し、前記X線非反射部を所定のパターンに形成
形成して反射型X線マスクとした。
【0012】また、上記多層膜ミラーは従来の多層膜ミ
ラーの製造方法では製造できないため、以下に述べるよ
うな方法が必要になる。上記方法の一つとして、多層膜
ミラーの薄膜形成時に基板上にスリットを配置し、それ
を基板表面に平行に移動させる方法を考案した。
【0013】まず、図6(b)に示すような断面形状の基
板2を用意する。この基板2の表面の一部は、他の表面
(平坦面)17に対して所定の角度φで傾斜する傾斜面
16に形成されている。この角度φは、製造すべきX線
用多層膜ミラー14の表面3と多層膜1の界面4とがな
す角度φ(図1参照)に等しくされている。次に、この
基板2の上に図6(a)に示すようなスリット板15を配
置する。スリット板15には平面視長方形のスリット1
5aが形成されており、このスリット15aの幅aは、
多層膜1全体の厚さをtとすれば、次式
【数2】 a=t/tan φ ……(2) により定められる。逆に、aの大きさを定めることによ
り多層膜1の膜厚tを調整できる。基板2の傾斜面16
の幅bはaより大きければよい。
【0014】次に、多層膜1をスパッタ法等により以下
の手順で積層する。まず、図7(a)に示すように、スリ
ット15aが基板2の傾斜面16の上に位置するように
スリット板15を配置する。そして、スリット板15を
水平移動させつつそのスリット15aからスパッタ粒子
18を基板2の表面16に積層して多層膜1の第一層1
9を成膜し、図7(b)に示すように第一層19が所望の
膜厚d1になったとき第一層19の成膜作業を停止し
て、同時にスリット板15の水平移動を停止させる。こ
の間、スリット板15は等速で水平移動され、その速度
は、距離
【数3】 P=d1/sin φ ……(3) を、第一層19を一層成膜する時間で割った速度とされ
る。同様に、スリット板15を水平移動させつつ第二層
20を成膜し、図7(c)に示すように第二層20が所望
の膜厚d2になったとき第二層20の成膜作業を停止し
て、同時にスリット板15の水平移動を停止する。以上
で、多層膜1の一周期が積層できる。以下、上述と同様
の操作を繰り返し、基板2の全面に多層膜1を積層する
ことによって、図1に示すようなX線用多層膜ミラー1
4が得られる。また、成膜後にミラー14の表面3を研
磨すると、表面粗さが小さくなりミラー14の反射率を
向上することができる。
【0015】上述の方法で作製した多層膜1は、従来の
多層膜1と同様、ミラー面内の膜厚が一定である。従っ
て、膜厚の大きさに関わらず面内の反射率は一定であ
る。また、任意の膜厚が選択できるため、内部応力が大
きいことにより膜厚を大きくすると剥離しやすいような
多層膜も、その膜厚を小さくすることによって作製する
ことが可能である。図1に示すX線用多層膜ミラー14
を反射型マスク13として使う場合は、図12に示した
従来のマスク13と同様の手法によりパターン形成が可
能である。
【0016】また、別の製造方法として、従来と同様に
製造された多層膜ミラーから多層膜の一部を成膜後に除
去する方法がある。本方法には以下のような方法が含ま
れる。一つは、成膜された多層膜ミラーを多層膜表面に
対し傾けて配置して多層膜の表面側を研磨する方法であ
る。本方法は、図8(a)に示すように、表面16が基板
2の底面2aに対して角度φだけ傾いた傾斜平面に形成
された断面形状の基板2上に、まずスパッタ法等で図8
(b)に示すように多層膜1を積層し、その表面を図8
(c)に示すように斜めに研磨して多層膜1の一部21を
斜めに除去するものである。
【0017】基板2の表面(傾斜面)16のなす角度φ
は、ミラー14の表面3と多層膜1の界面4とがなす角
度に等しいが、これは、研磨により多層膜1の一部21
を除去する作業において研磨面を基板2の底面2aに平
行にして行えるようにするためである。従って、基板2
の表面16を傾斜させることなく、平行平面基板に成膜
してそれを角度φだけ傾けて研磨してもよい。また、本
方法は角度φが大きくなると多層膜を多数層積層しなけ
ればならないものの、多層膜ミラーを非常に簡単に製造
できるという特徴を有する。従って、本方法は角度φの
小さいミラーや、面積の小さいミラーの製造に適してい
る。
【0018】別の製造方法は、図9(a)に示すような断
面形状を有する基板2上に多層膜1を形成する方法であ
る。つまり、基板2の表面に、基板2の底面2aに平行
な面が残らないようにV字型の溝Gを一定周期で一次元
に配列し、各溝Gを構成する二つの表面22、23のう
ち一方の表面22が互いに平行に形成された基板2を用
意し、この基板2上に、図9(b)に示すように多層膜1
をスパッタ法等により積層する。積層した後、多層膜1
の表面に研磨等を施して表面の一部を除去すると、図9
(c)に示すような多層膜ミラー14が得られる。本方法
は、同一の多層膜1の膜厚tを得る場合、上記の方法
(請求項6に記載の方法)に比べ積層数が少なくてよい
という特徴を有する。従って、角度φの大きなミラーお
よび面積の大きなミラーを容易に製造することができ
る。また、スパッタ等で積層粒子18の入射方向を表面
23に平行にすると、粒子が基板面23に付着せず高反
射率のミラーが得やすい。また、層数が少ない場合は、
多層膜ミラー14の反射率が基板2の各頂点24の位置
で小さくなるが、層数を十分多くすれば反射率が飽和し
てミラー14の反射率は面内で一定になる。さらにこの
ときはミラー14の反射率が最大となるため、層数は反
射率が飽和する程度にするのが好ましい。
【0019】また別の製造方法は、図11に示すような
従来の多層膜ミラーを図10(a)に示すように厚さ方向
に沿った切断面25で切断して微小幅を有する複数のミ
ラー14aとし、再びそれらを図10(b)に示すように
多層膜1の積層方向にずらして接合し、表面を研磨して
図10(c)に示すような多層膜ミラー14を製造する方
法である。ずらす量qは次式
【数4】q=rtan φ ……(4) r:切断したミラーの幅、φ:多層膜1の界面4がなす
角 で与えられ、多層膜1の膜厚tはqより大きいことが好
ましい。これらの方法は、平面基板に限らず曲面基板に
も応用できる。
【0020】
【作用】本発明では、図1に示すようにミラー表面、す
なわち多層膜表面3が多層膜1を構成する各層19、2
0の反射面(界面)4に対して角度φだけ傾いて形成さ
れている。従って、入射X線および反射X線のミラー表
面に対する角度θI、θRは、多層膜1の反射面4に対す
るX線6、7の角度θと異なり、 θI=θ−φ θR=θ+φ となる。これにより、本発明による多層膜ミラー14
は、X線6をミラー表面3に対し非対称に反射すること
ができる。図2および図3に示すような本発明による多
層膜ミラー14にパターンを形成した反射型マスク13
を用いた、X線投影露光装置の概略図を図4(c)に示
す。多層膜1の周期および多層膜1の傾きφを適宜設定
することにより、反射X線の角度θRを90゜にするこ
とができる。これにより、マスク13の表面が結像光学
系10の光軸に対して垂直になるようにマスク13を配
置することができる。
【0021】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
−第1実施例− 図2は本発明の第1実施例を示す概略断面図である。本
図は基板2上に多層膜1を所望のパターン状に形成した
反射型マスクを示している。多層膜の界面4は反射マス
クの表面(つまり多層膜表面3)あるいは基板の表面5
に対し3゜傾いている。以下にこの反射型マスクの製造
方法を説明する。
【0023】まず、図6(b)に示すような形状の基板2
を用意する。この基板2は表面のサイズが20×20cmで
あるが、その表面の一部(傾斜面)16が他の表面17
に対し3゜傾いている。次に、この基板2の上に、図6
(a)に示すような長方形のスリット15aが形成された
スリット板15を配置した。このスリット15aの幅a
は傾斜面16の幅b以下であればよいが、本実施例では
a、bとも6.2μmとした。次に、スリット板15を
水平移動させつつ、モリブデン層19と硅素層20とか
らなる多層膜(Mo/Si)1をスパッタ法により積層
した。モリブデンおよび珪素の膜厚d1、d2は、それぞ
れ25、42Åとした。以上で、図1に示すようなX線
用多層膜ミラー14が得られる。次に、この多層膜1の
一部をエッチングにより除去した。まず、ミラー14の
表面にレジストを塗布し、これに紫外線を用いた縮小投
影露光装置で最小線幅0.5μmのパターンを焼き付け
た。さらにイオンミリング装置により多層膜をエッチン
グした後、レジストを除去した。以上の結果、図2に示
すような反射型マスク13が得られた。なお、基板2の
傾いた表面部分16はミラー14および反射型マスク1
3として用いない。
【0024】このマスクに、波長130Å、ビームサイ
ズ0.5×0.5mmの軟X線6を照射し、解像度0.1μm、
倍率1/5、焦点深度1μmの光学系10で、レジストを
塗布したシリコンウエハ上に縮小露光した。このとき、
マスク13の反射光7がマスク表面(ミラー表面3)に
対して垂直になるようにマスク13を配置した(図2参
照)。その結果、0.1×0.1mmの領域に0.1μmのパタ
ーンが形成された。さらに、ウエハを光軸に対し垂直に
±0.5μm動かしても同様の結果が得られた。
【0025】本実施例では、マスクのパターンとして図
12(a)に相当するものを作製したが、本発明によるマ
スクはこのようなパターン形状に限らず、例えば、図1
2(b)、(c)に相当するもの、あるいはこれらに類似し
た形態のマスクにも適応できる。また、本発明によるマ
スクは本実施例のような平面マスクに限らず、曲面形状
のマスクにも適応できる。
【0026】−第2実施例− 図3は本発明の第2実施例を示す概略断面図である。本
図は、図示するような断面形状の基板2上に多層膜1が
積層されており、その表面3にX線吸収体8が所望のパ
ターンに形成されてなる反射型マスク13を示してい
る。多層膜1の界面4は反射型マスク13の表面3に対
し3゜傾いている。以下にこの反射型マスクの製造方法
を説明する。
【0027】まず、図9(a)に示すような断面形状を有
する基板2を用意する。本基板2のqおよびrの値はそ
れぞれ0.52μm、10μmとした。また、溝Gを形成する
表面22、23のなす角度は90゜とした。次に、モリブ
デン層19と珪素層20とからなる多層膜1をスパッタ
法により周期64Åで150ペア積層した。本実施例で使
用したスパッタ装置は、スパッタ粒子18がターゲット
の垂直方向に最も多く飛び出すため、本実施例では、こ
の垂直方向と基板の表面23とが平行になるように、つ
まり表面22がターゲットの垂直方向に直交するように
配置して成膜した。次に、多層膜1の表面3が平面とな
るように研磨してX線用多層膜ミラー14を製造した。
次にこのミラー14の表面3に吸収体8のパターンを形
成した。まず、ミラー14の表面3に吸収体8として金
を100nm蒸着した。そして、ミラー14の表面3にレ
ジストを塗布し、これに紫外線を用いた縮小投影露光装
置で最小線幅0.5μmのパターンを焼き付けた。さらに
イオンミリング装置により金蒸着膜をエッチングした
後、レジストを除去した。以上の結果、図3に示すよう
なマスクが得られた。
【0028】このマスクについて、実施例1と同様の露
光実験を行ったところ、実施例1と同じ結果が得られ
た。また、本発明によるマスクは本実施例のような平面
マスクに限らず、曲面形状のマスクにも適応できる。な
お、本実施例では、隣合う溝Gの表面22a、22b、
22c上に形成された多層膜1の界面4どうしが一致し
ない場合がある。この場合、各表面22a、22b、2
2c上の多層膜1の境界部(図9に点線Bで示す)付近
では多層膜1の反射条件が十分に満たされないこともあ
りうる。しかし、反射条件が満たされない領域は、多層
膜1の周期や多層膜界面4がなす角度φを適宜設定する
ことにより十分小さくすることが可能であり、マスク1
3として使用した場合にその像に影響を与えるおそれは
ない。
【0029】−第3実施例− 図8(c)は本発明の第3実施例を示す概略断面図であ
る。多層膜1は基板2上に積層されており、このとき多
層膜1の界面4はミラー14の表面3に対し5°傾いて
いる。以下に、この多層膜ミラー14の製造方法を説明
する。
【0030】まず、図8(a)に示すように、表面16が
底面2aに対し5゜傾いて形成され、表面16の面積が
5×5mmの基板2上に、モリブデン層19と珪素層2
0とからなる多層膜(Mo/Si)1をスパッタ法によ
り周期96Åで45800ペア積層した。次に、多層膜1の表
面3が基板2の底面2aと平行になるように、この多層
膜1の一部21を研磨によって除去した。
【0031】この多層膜ミラー14に、コリメートされ
た波長130Å、ビームサイズ3×3mmの軟X線6を入
射角θI=40゜で照射したところ、図5に示すように反
射角θR=50゜の方向にX線7が反射した。さらに、反
射X線7のビームサイズは3.6×3mmに増加した。こ
れより、本多層膜ミラー14はビームエキスパンダーと
して働くことが確認された。
【0032】−第4実施例− 図10(c)は本発明の第4実施例を示す概略断面図であ
る。本図は図10(c)に示すような断面形状の基板2上
に多層膜1が積層しているX線用多層膜ミラー14を示
している。多層膜1の界面4はミラー14の表面3に対
し5゜傾いている。以下にこの多層膜ミラーの製造方法
を説明する。
【0033】まず、図11に示すような断面を有する多
層膜ミラーを用意する。多層膜1は周期96Å、1000ペア
のモリブデン層19と珪素層20とからなる多層膜であ
り、スパッタ法で作製した。この多層膜ミラーを、ダイ
ヤモンドカッターで図10(a)に示すように切断面25
に沿って切断して複数の切断ミラー14aを作製した。
このとき、各ミラー14aの幅rは100μmとした。次
に、図10(b)に示すように、隣合うミラー14aの表
面が多層膜1の積層方向に8.75μmずれるようにこれら
ミラー14aを接合した。さらに、表面3および裏面2
aが平面となるようにミラー14を研磨して図10(c)
に示すようなX線用多層膜ミラー14を得た。このミラ
ー14で実施例3と同様の実験を行ったところ、実施例
3と同様にビームエキスパンダーとして働くことがわか
った。
【0034】なお、本発明のX線用多層膜ミラー等は、
その細部が上述の各実施例に限定されず、種々の変形例
が可能である。一例として、多層膜は本実施例で挙げた
モリブデンと珪素の組み合わせに限らない。また、角度
φも本実施例の値に限らない。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、X線用
多層膜ミラーによりX線をミラー表面に対し非対称に反
射することができる。そのため、本発明によるX線用多
層膜ミラーを用いてX線投影露光用の反射型X線マスク
を製作すると、反射光のミラー表面に対する角度を90゜
にすることができる。そのため、マスクに起因するアラ
イメント精度、照明光学系および結像光学系等への制限
を小さくすることができる。また、多層膜の周期および
多層膜を構成する各層の界面に対する多層膜表面の角度
を適宜選択することにより、特定の入射角をもって入射
するX線を任意の出射角で反射することが可能となり、
照明光学系、結像光学系および反射型X線マスクの配置
の自由度を増すことができる。また、本発明によるX線
用多層膜ミラーは、反射光のビームサイズを入射光に比
べ小さくしたり大きくしたりすることが可能である。従
って、ビーム断面積が非常に小さいという欠点があるシ
ンクロトロン放射光から放射される光でも、本ミラーに
より、その断面積を大きくすることができる。従って、
例えばX線投影露光においては、照明光学系に本ミラー
を用いるとマスクの広い領域が照明できる等の効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層膜ミラーを示す概略断面図で
ある。
【図2】本発明の第1実施例である反射型X線マスクを
示す概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施例である反射型X線マスクを
示す概略断面図である。
【図4】(a)は透過型マスクを、(b)は従来の反射型マ
スクを、(c)は本発明による反射型マスクを用いた縮小
露光装置の概念図である。
【図5】本発明による多層膜ミラーにおける、入射およ
び反射ビームの断面積の変化を示す図である。
【図6】(a)は第1実施例の反射型X線マスクの製造に
用いられるスリットを示す概略斜視図、(b)は基板を示
す概略斜視図である。
【図7】第1実施例の反射型X線マスクの製造工程を示
す概略図である。
【図8】第3実施例の多層膜ミラーの製造工程を示す概
略図である。
【図9】第2実施例の反射型X線マスクの製造工程を示
す概略断面図である。
【図10】第4実施例の多層膜ミラーの製造工程を示す
概略図である。
【図11】従来の多層膜ミラーを示す概略断面図であ
る。
【図12】従来の反射型X線マスクを示す概略断面図で
ある。
【符号の説明】
G 溝 1 多層膜 2 基板 3 ミラー表面 4 多層膜の界面(反射面) 5 基板表面 6 入射X線 7 反射X線 8 吸収体 10 結像光学系 12 X線 13 反射型マスク 14 多層膜ミラー 15 スリット板 15a スリット 16 傾斜面 17 平坦面 18 スパッタ粒子 19 モリブデン層 20 珪素層 21 多層膜の一部 22、23 表面 25 切断面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 1/06 G02B 5/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成され、X線領域の波長を有
    する光の屈折率と真空中の屈折率との差が小さい物質か
    らなる第一層と前記差が大きい物質からなる第二層とを
    交互に積層してなる多層膜を備えたX線用多層膜ミラー
    において、 前記多層膜を構成する各層の界面に対して前記多層膜の
    表面を所定角度だけ傾斜させて形成し、 前記多層膜で反射されるX線がこの多層膜表面の法線方
    向に沿って反射されるように前記多層膜の周期およびこ
    れを構成する各層の界面と前記多層膜の表面とがなす前
    記所定角度設定したことを特徴とするX線用多層膜ミ
    ラー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のX線用多層膜ミラーの
    前記多層膜の一部にX線を反射しないX線非反射部が形
    成され、前記X線非反射部が所定のパターンに形成され
    てなる反射型X線マスク。
  3. 【請求項3】 X線領域の波長を有する光の屈折率と真
    空中の屈折率との差が小さい物質からなる第一層と前記
    差が大きい物質からなる第二層とを基板上に交互に積層
    して多層膜を形成する工程を備えたX線用多層膜ミラー
    の製造方法において、 平坦面およびこの平坦面に対して所定角度をもって傾斜
    する傾斜面を有する基板を用意し、前記傾斜面から前記
    平坦面に向かって前記第一層および第二層を交互に形成
    して前記多層膜を形成することを特徴とするX線用多層
    膜ミラーの製造方法。
  4. 【請求項4】 X線領域の波長を有する光の屈折率と真
    空中の屈折率との差が小さい物質からなる第一層と前記
    差が大きい物質からなる第二層とを交互に積層して多層
    膜を形成する工程を備えたX線用多層膜ミラーの製造方
    法において、 断面V字型の溝が一定周期で一次元に配列され、各溝を
    構成する一対の面のうち一方の面が互いに平行に配置さ
    れた基板を用意し、この基板の前記一方の面に沿って前
    記第一層および第二層を交互に形成して前記多層膜を形
    成した後に、前記多層膜の表面と前記多層膜を構成する
    前記各層の界面とが所定角度をもって傾斜するように前
    記多層膜の一部を除去することを特徴とするX線用多層
    膜ミラーの製造方法。
  5. 【請求項5】 X線領域の波長を有する光の屈折率と真
    空中の屈折率との差が小さい物質からなる第一層と前記
    差が大きい物質からなる第二層とを基板上に交互に積層
    して多層膜を形成する工程を備えたX線用多層膜ミラー
    の製造方法において、 前記基板上に設けられた平坦面に沿って前記第一層およ
    び第二層を交互に形成して前記多層膜を形成した後、こ
    の多層膜を前記基板とともに前記多層膜の厚さ方向に切
    断した後、切断した前記多層膜をその積層方向に互いに
    ずらして接合し、接合した多層膜の表面と前記多層膜を
    構成する前記各層の界面とが所定角度をもって傾斜する
    ように前記接合した多層膜の一部を除去することを特徴
    とするX線用多層膜ミラーの製造方法。
  6. 【請求項6】 光源からのX線をマスクに照射し、前記
    マスクからの反射X線を基板上に投影露光する露光装置
    において、 前記マスクに請求項2に記載の反射型X線マスクを使用
    し、 前記反射型X線マスクの表面に対して光軸が垂直となっ
    ていて、前記反射型X線マスクで反射されたX線を前記
    基板上に投影露光する結像光学系を備えることを特徴と
    する露光装置。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の反射型X線マスクによ
    り反射されたX線を、結像光学系によってレジストが塗
    布されたシリコンウエハ上に投影露光し、前記X線が投
    影露光されたレジストを現像して得られるレジストパタ
    ーンをマスクに用いて前記シリコンウエハを加工するこ
    とを特徴とするパターンを有するシリコンウエハの製造
    方法。
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