JP3226976B2 - リフレクタ可動型プロジェクタランプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両用灯具の改良に係
り、特にバルブを取り付けたリフレクタを光軸に対して
左右又は上下方向へ変位させて配光を変化させるリフレ
クタ可動型プロジェクタランプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来よりステアリングなどの回転角と対
応して照射光束の配光を変えるようにしたプロジェクタ
ランプを使ったステアリング連動型前照灯があるが、一
般にこの種のプロジェクタランプは、リフレクタの前方
光軸上の第二焦点を共有するようにコリメータレンズを
設けると共に、リフレクタの第一焦点位置に設けたバル
ブとコリメータレンズ間にシェードを枢設し、該シェー
ドを変位駆動機構によって光軸に向かって進退変位して
照射光束の配光パターンを変更するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】即ち、この種のシェー
ド可動型プロジェクタランプでは、照射光束の照度分布
が、コリメータレンズの焦平面上の照度分布の投影によ
って決定されるため、照射光束の照度分布がリフレクタ
によって集光される焦平面上の光束の分布状態によって
影響を受ける。従って、上記従来のシェード可動型プロ
ジェクタランプの構成では、コリメータレンズとシェー
ドの光学的配置を固定している場合には照射光束のパタ
ーンにおいて、カットオフラインの形状を維持すること
はできるが、該シェードに対するリフレクタの光学的配
置を変えると、カットオフラインの照度分布が変わって
しまう。即ち、該リフレクタを光軸に沿って変位させる
と光束の集光状態が変わり、また光軸と直交する方向に
変位させると照射パターンが逆方向に変位してしまうと
いう問題を有している。

【０００４】本発明は、上記問題に鑑みて創案されたも
のであり、照射光束のパターンを明瞭なカットオフライ
ンで形成すると共に、車両の走行環境に適応した配光パ
ターンを得ることができるリフレクタ可動型プロジェク
タランプを提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るリフレクタ可動型プロジェクタランプ
は、リフレクタの前方光軸上にコリメータレンズ等の前
面レンズを配置すると共に、該リフレクタの略第一焦点
位置にバルブを固設し、前記バルブと前面レンズ間に光
束の一部を遮断するシェードを備えてなるプロジェクタ
ランプにおいて、前記コリメータレンズ側に該コリメー
ターレンズの焦点の変位面によって形成される焦平面に
沿った形状のシェードを固設し、またバルブと一体にな
る前記リフレクタを光軸に対して左右又は上下方向へ自
在に変位するように枢設すると共に、該リフレクタを灯
具ボディに構成したリフレクタ変位駆動装置によって横
又は縦方向へ変位させるように構成したことを要旨とす
るものである。また、本発明に係るリフレクタ可動型プ
ロジェクタランプは、上記リフレクタがコリメータレン
ズを固設した灯具ボディに構成した上下又は左右に延び
る摺動溝又は摺動レールに対して該溝又はレール方向に
摺動自在に支承する変位支持手段を介して枢設してあ
り、灯具ボディ側に軸設し、制御モータによって回転駆
動する螺子軸を該リフレクタ側の部材と螺合したリフレ
クタ変位駆動装置を構成し、その螺合作用によって上下
又は左右に平行移動変位するように構成することもでき
る。

【０００６】

【作用】上記構成によれば、光軸に対して左右又は上下
方向にリフレクタを変位したとき、コリメータレンズと
シェードの光学的相対位置は変わらない。然るに、シェ
ードがコリメータレンズの焦点位置の焦平面に沿った形
状をなしているため、シェードとリフレクタの光学的相
対位置も初期状態を保持することができる。このため、
照射光束のパターンは初期照度を維持して、カットオフ
ラインが明瞭になると共に、照射光束が光軸から傾いて
も、シェードによって形成されるカットオフラインの位
置が光軸から移動することはない。

【０００７】

【実施例】以下、本発明に係るリフレクタ可動型プロジ
ェクタランプの原理を図面に従って説明する。図１乃至
図６は、本発明の第一の実施例を示すものであり、図面
において、１は灯具ボディ２に固設した焦点Ｆ，光軸Ｌ
１を有するコリメータレンズである。このコリメータレ
ンズ１の後方には、略楕円状の反射鏡面３ａをもったリ
フレクタ３が上記灯具ボディ２の後端に構成した上下変
位支持機構４を介して上下方向（矢印Ａ）摺動可能に枢
設し、光軸Ｌ２が上記コリメータレンズ１の光軸Ｌ１と
平行に変位するように支承連結してなる。また該リフレ
クタ３は、楕円反射鏡面３ａの第一焦点Ｆ１位置に点灯
用のバルブ５を固設すると共に、光軸Ｌ２が光軸Ｌ１と
重なる位置で第二焦点Ｆ２が上記コリメータレンズ１の
焦点Ｆとその位置を共有するように構成してある。

【０００８】６は、上記灯具ボディ２に固設し、上記コ
リメータレンズ１の焦点Ｆの変位面によって形成される
焦平面に沿って架設する形状になるシェードであり、光
束の一部をカットして所定のカットオフラインを形成す
るように構成したものである。

【０００９】上記上下変位支持機構４は、灯具ボディ２
の後端に固設したフランジ７の後面中央に形成した上下
方向に延びる摺動溝８，８に対して、リフレクタ３の後
端に固着したリフレクタセル９から上下方向に延びる摺
動杆１０，１０を内挿し、フランジ７の後端に固設した
セルカバー１１の周縁１２によって摺動可能に挟持した
構造になっている。

【００１０】１３，１３は、上記フランジ７に対して中
心軸に対して対称になる位置に固設され、セルカバー１
１内に収容された正逆転可能に構成した制御モータであ
り、該各制御モータ１３の駆動軸に軸着したギヤ１４
は、それぞれフランジ７に軸設した螺子軸１５に軸着し
たギヤ１６と噛合して減速機構を構成している。この両
螺子軸１５，１５は、同ピッチの雄螺子が螺設してあ
り、上記リフレクタセル９の両側に突出したアーム１
７，１７に螺設した雌螺子とそれぞれ螺合してリフレク
タ変位駆動装置１８を構成したものである。

【００１１】上記構成のプロジェクタランプは、外部制
御装置によって制御モータ１３の正転または逆転及び回
転角を制御して上下変位支持機構に支承されたリフレク
タ３を上下方向（矢印Ａ）に平行移動変位させ、コリメ
ータレンズ１の光軸Ｌ１に対する光軸Ｌ２の相対位置を
変えて照射光束の角度を変えるものである。

【００１２】即ち、両制御モータ１３，１３の回転角を
同一回転制御すると、それぞれギヤ１４，１６を介して
螺子軸１５を回動するようになる。そして該螺子軸１５
はリフレクタ３の後端に固設してあるリフレクタセル９
のアーム１７と上下方向に螺合しているため、両者の螺
子作用により螺子軸１５に沿ってリフレクタセル９が上
又は下方向に変位すると共に、該リフレクタセル９と一
体になったリフレクタ３が変位する。

【００１３】図７乃至図１０は、上下変位支持機構４と
リフレクタ変位駆動装置１８を異にする第二の実施例を
示すものであり、前記第一の実施例と異なる部分の構造
について説明する。即ち、本実施例は一個の制御モータ
１３によってリフレクタ３を変位駆動するように構成に
したものであり、上下変位支持機構４は、前記上側の摺
動溝８と摺動杆１０の構造に加えて、フランジ７の後面
両側に形成した長溝１９，１９に対してリフレクタセル
９から両側に延びる振れ止め杆２０，２０を上下方向密
接摺動させる構造にしてある。そしてリフレクタ変位駆
動装置１８は、下側の摺動溝８と摺動杆１０の構造に変
えて構成されるもので、フランジ７に対して回動自在に
軸設した螺子軸１５はリフレクタセル９の下側に螺設し
た雌螺子と螺合すると共に、該螺子軸１５に軸着したウ
ォームホイール２１をフランジ７に軸設したギヤ軸２２
のウォーム２３と噛合し、また該ギヤ軸２２に軸着した
ギヤ２４とフランジ７に固設した制御モータ１３の駆動
軸に軸着したギヤ１４を噛合した構造になるものであ
る。

【００１４】尚、前記第一の実施例では、中心軸に対し
て対称位置に一対の制御モータ１３，１３を有するリフ
レクタ変位駆動装置１８を示したが、該構造は何れか一
方のみであっても同様の作動を行うことが可能であり、
開示した実施例だけでなく種々の上下変位支持機構４及
びリフレクタ変位駆動装置１８を構成することができる
ことはいうまでもない。

【００１５】

【発明の効果】本発明に係るリフレクタ可動型プロジェ
クタランプは、上記の如く、光軸に対して左右又は上下
方向にリフレクタを変位したとき、コリメータレンズと
シェードの光学的相対位置が変わらないようなリフレク
タ変位駆動構造を構成し、且つ、シェードをリフレクタ
の第二焦点位置の焦平面に沿った形状に構成したことに
より、シェードとリフレクタが初期の光学的相対位置を
保持するため、照射光束のパターンが初期照度を維持し
て、カットオフラインが明瞭になると共に、照射光束が
光軸から傾いても、シェードによって形成されるカット
オフラインの位置が初期位置を維持するようになる。ま
た、螺子軸と変位側部材を螺合して螺子作用により変位
駆動する構成とすると共に、摺動溝と変位側部材を摺動
自在に嵌合した上下変位支持構造からなる簡単な構成に
なるため、可動部分のガタつきがなく外的応力による影
響を受け難く、剛性の高い機構を得ることができる等の
特徴を有するものであり、ステアリング連動型前照灯、
天候感応型前照灯、或は走行環境感応型前照灯等の各種
自動車用の制御型前照灯を構成する場合に有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るリフレクタ可動型プロジェクタラ
ンプの第一の実施例を示す分解斜視図である。

【図２】同じくリフレクタ可動型プロジェクタランプの
一部を後方から見た分解斜視図である。

【図３】同じく一部切欠した正面図である。

【図４】図３におけるＩＶ−ＩＶ線断面図である。

【図５】図４におけるＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】図３における右側面図である。

【図７】本発明に係るリフレクタ可動型プロジェクタラ
ンプの第二の実施例を示す正面図である。

【図８】図７におけるＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線断面図であ
る。

【図９】図８におけるＩＸ−ＩＸ線断面図である。

【図１０】図７におけるカバーを除去した状態の右側面
図である。

【符号の説明】

１ コリメータレンズ ２ 灯具ボディ ３ リフレクタ ４ 上下変位支持機構 ５ バルブ ６ シェード １３ 制御モータ １８ リフレクタ変位駆動装置 Ｌ１，Ｌ２ 光軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F21S 8/10 B60Q 1/12 F21V 14/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リフレクタの前方光軸上にコリメータレ
   ンズ等の前面レンズを配置すると共に、該リフレクタの
   略第一焦点位置にバルブを固設し、前記バルブと前面レ
   ンズ間に光束の一部を遮断するシェードを備えてなるプ
   ロジェクタランプにおいて、 前記コリメータレンズ側に該コリメーターレンズの焦点
   の変位面によって形成される焦平面に沿った形状のシェ
   ードを固設し、またバルブと一体になる前記リフレクタ
   を光軸に対して左右又は上下方向へ自在に変位するよう
   に枢設すると共に、該リフレクタを灯具ボディに構成し
   たリフレクタ変位駆動装置によって横又は縦方向へ変位
   させるように構成したことを特徴とするリフレクタ可動
   型プロジェクタランプ。
2. 【請求項２】 前記リフレクタがコリメータレンズを固
   設した灯具ボディに構成した上下又は左右に延びる摺動
   溝又は摺動レールに対して該溝又はレール方向に摺動自
   在に支承する変位支持手段を介して枢設してあり、灯具
   ボディ側に軸設し、制御モータによって回転駆動する螺
   子軸を該リフレクタ側の部材と螺合したリフレクタ変位
   駆動装置を構成し、その螺合作用によって上下又は左右
   に平行移動変位することを特徴とする請求項１のリフレ
   クタ可動型プロジェクタランプ。