JPH06176604A - 配光可変型プロジェクタランプのリフレクタ駆動機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 照射光束のパターンを明瞭なカットオフライ
ンで形成することが可能なリフレクタの確実な変位駆動
を実現する。 【構成】 楕円反射鏡面５を有するリフレクタ３にバル
ブ６を固設し、その前方にコリメータレンズ１を設け、
両間にシェード７を配置する。リフレクタ３は一対の揺
動アーム９Ｒ，９Ｌを光軸Ｌ２を点対称軸としたワット
型リンク機構４を介して灯具ボディ２に枢設する。モー
タ１３を駆動源とする変位駆動機構１４によってワット
型リンク機構４の支持角度を変更し、リフレクタ３の光
軸Ｌ２をコリメータレンズ１の光軸Ｌ２に対して平行変
位制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プロジェクタランプの
改良に係り、特に光源用のバルブを取り付けたリフレク
タを光軸に対して左右又は上下方向に変位させて配光を
変化させる配光可変型プロジェクタランプのリフレクタ
駆動機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来よりステアリングの回転角と対応し
て照射光束の配光を変えるようにしたステアリング連動
型ヘッドランプやフォグランプがあるが、一般にこの種
の灯具は、楕円反射鏡面を有するリフレクタの前方光軸
上の第二焦点を共有するようにコリメータレンズを設け
ると共に、リフレクタの第一焦点位置に設けたバルブと
コリメータレンズ間にシェードを枢設し、該シェードを
変位駆動機構によって光軸に向かって進退変位して照射
光束の配光パターンを変更する構造になっていた。

【０００３】即ち、この種の配光可変型プロジェクタラ
ンプでは、照射光束の照度分布が、コリメータレンズの
焦平面上の照度分布の投影によって決定されるため、照
射光束の照度分布がコリメータレンズの焦点位置の変位
面によって形成される焦平面上の光束の分布状態によっ
て影響を受ける。従って、上記従来の配光可変型プロジ
ェクタランプの構成では、コリメータレンズとシェード
の光学的配置を固定している場合は照射光束のパターン
において、カットオフラインの形状を維持することがで
きる。

【０００４】また、本願出願人は、楕円反射鏡面を有す
るリフレクタの前方光軸上にコリメータレンズ等の前面
レンズを配置すると共に、該リフレクタの略第一焦点位
置にバルブを固設し、前記バルブと前面レンズ間に光束
の一部を遮断するシェードを備えてなるプロジェクタ型
の配光可変型プロジェクタランプのリフレクタ駆動機構
において、前記コリメータレンズ側にシェードを固設
し、かつバルブと一体になる前記リフレクタを光軸に対
して左右又は上下方向へ変位自在に枢設すると共に、該
リフレクタを灯具ボディに構成したリフレクタ変位駆動
装置により横又は縦方向に変位させるように構成すると
共に、前記シェードをコリメータレンズの焦平面に沿っ
て構成した配光可変型プロジェクタランプを提案してい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】即ち、上記配光可変型
プロジェクタランプでは、リフレクタを左右又は上下に
変位駆動する機構が必要であり、自動車等の使用環境が
悪い状況下でガタつきがなく確実に作動するリフレクタ
の駆動機構が要望されていた。

【０００６】本発明は、上記問題に鑑みて創案されたも
のであり、照射光束のパターンを明瞭なカットオフライ
ンで形成すると共に、車両の走行環境に適応した配光パ
ターンを得ることができる配光可変型プロジェクタラン
プにおいて、リフレクタの確実な変位駆動を実現するこ
とができる配光可変型プロジェクタランプのリフレクタ
駆動機構を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る配光可変型プロジェクタランプのリフ
レクタ駆動機構は、楕円反射鏡面を有するリフレクタの
前方光軸上にコリメータレンズ等の前面レンズを配置す
ると共に、該リフレクタの略第一焦点位置にバルブを固
設してなり、上記バルブと前面レンズ間に光束の一部を
遮断するシェードを備えてなるプロジェクタ型のランプ
において、バルブと一体になる前記リフレクタを、一対
の揺動アームを光軸を対称軸とする点対称に配置したワ
ット型リンク機構を介して灯具ボディに枢設すると共
に、該ワット型リンク機構の支持角度を正逆回転制御可
能なモータを駆動源とする変位駆動機構によって変更す
る構成になり、リフレクタの光軸を前面レンズの光軸に
対して平行変位することを要旨とするものである。

【０００８】

【作用】上記構成によれば、変位駆動機構のモータが回
動すると、ワット型リンク機構の揺動アームが傾倒す
る。ワット型リンク機構は、一対の揺動アームを光軸を
対称点とする点対称構造になっているため、該ワット型
リンク機構の点対称位置とリフレクタの光軸を共有させ
た構造にすることによって、該リフレクタの光軸は同一
平面内で平行移動する。このため、光軸に対して左右ま
たは上下方向にリフレクタを変位したとき、コリメータ
レンズとシェードに対するリフレクタの光軸方向の光学
的相対位置が変わることがないため、照射光束のパター
ンは初期光束を維持して、シェードによるカットオフラ
インが明瞭になると共に、照射光束がレンズの光軸から
傾いても、シェードによって形成されるカットオフライ
ンの位置が光軸から移動することがない。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係る配光可変型プロジェクタ
ランプのリフレクタ駆動機構の実施例を図面に従って説
明する。図１乃至図４は、本発明の第一の実施例を示す
ものであり、図中１は灯具ボディ２の前側開口端に位置
して中心軸と光軸Ｌ１が一致するように固設した球面レ
ンズからなるコリメータレンズであり、このコリメータ
レンズ１の後方に位置してリフレクタ３が、ワット型リ
ンク機構４を介して光軸Ｌ２がコリメータレンズ１の光
軸Ｌ１と横方向に自在に平行変位することができるよう
に灯具ボディ２内腔に枢設してある。

【００１０】上記リフレクタ３は、楕円反射鏡面５によ
って構成され、その底部には第一焦点Ｆ１に位置するよ
うに点灯用のバルブ６を固設し、第二焦点Ｆ２が上記コ
リメータレンズ１の焦点Ｆ位置と同レベルにあるように
配置する。また、７はコリメータレンズ１とバルブ６間
に位置して灯具ボディ２に固設したシェードであり、上
記コリメータレンズ１の焦点の変位面によって形成され
る焦平面に沿った曲面形状を呈し、略下半側の通過光束
を遮断して灯具前方に照射する水平ラインから上側の配
光をカットする構成になっている。

【００１１】また、上記ワット型リンク機構４は、リフ
レクタ３の前端右上と左下に突設したフランジ８，８と
それぞれ等長の揺動アーム９Ｒ，９Ｌを介して、灯具ボ
ディ２内腔の右下と左上に突設した軸受突起１０，１０
に揺動自在に軸設し、左右が点対称となる一対のリンク
機構であり、両アーム９Ｒ，９Ｌはその一端を軸受突起
１０に軸着した支持軸１１，１１にそれぞれ軸着して光
軸Ｌ１と直交する面内を揺動すると共に、他端をフラン
ジ８，８とピン軸１２，１２を介して枢着した構造にな
っている。

【００１２】上記ワット型リンク機構４は、正逆転制御
可能なモータ１３を駆動源とする変位駆動機構１４によ
って両揺動アーム９Ｒ，９Ｌの傾倒角度を制御維持する
ように構成してあり、灯具ボディ２の下底部に膨出形成
した駆動機構収容部１５には、上記モータ１３と減速ギ
ヤ１６を介して回動連結したスクリューシャフト１７が
横架軸設してあり、該スクリューシャフト１７に摺動ナ
ット１８を螺合すると共に、連桿１９を介して該摺動ナ
ット１８と上記リフレクタ３の下端部に突設した突子２
０間を連結した構造になっている。

【００１３】そして、モータ１３の回動に伴うスクリュ
ーシャフト１７の右又は左回動によって螺合した摺動ナ
ット１８を矢印Ａ方向に移動変位させ、連桿１９を介し
て両揺動アーム９Ｒ，９Ｌによって支承されたリフレク
タ３を右又は左に平行変位する。尚、２１は上記スクリ
ューシャフト１７に並設したスライド型ポテンショメー
タであり、上記スクリューシャフト１７に螺合して変位
する摺動ナット１８と位置検出子を係合し、該位置信号
からコリメータレンズ１の光軸Ｌ１に対するリフレクタ
３の光軸Ｌ２の変位量を計測し、モータ１３を制御する
中央制御装置（図示せず）の制御値とする構造になるも
のである。

【００１４】上記のように構成した配光可変型プロジェ
クタランプのリフレクタ駆動機構は、中央制御装置から
の制御信号により、ポテンショメータ２１からフィード
バックする位置出力によって、コリメータレンズ１の光
軸Ｌ１に対するリフレクタ３の光軸Ｌ２位置を左右に変
位制御駆動するものであり、例えば自動車のステアリン
グの回動角度と対応するように制御する。

【００１５】モータ１３が回動すると、減速ギヤ１６を
介してスクリューシャフト１７が右又は左回動するた
め、該スクリューシャフト１７に螺合した摺動ナット１
８は、該軸上を矢印Ａ方向に移動変位するようになる。
このため、連桿１９を介して連結されたリフレクタ３
は、両揺動アーム９Ｒ，９Ｌによって支承された状態
で、右または左に移動せしめられるが、該揺動アーム９
Ｒ，９Ｌが光軸Ｌ２を対称点とする点対称構造になるワ
ット型リンク機構４を構成しているため、該リフレクタ
３の楕円反射鏡面５の光軸Ｌ２がコリメータレンズ１の
光軸Ｌ１に対して水平方向に平行変位するように作動す
る。

【００１６】従って、自動車のステアリングの回転角度
と該両光軸Ｌ１，Ｌ２の変位量及び方向を対応させるこ
とにより、図５に示すような照射光束の配光パターンを
得ることができる。（ａ）は、自動車が直進時のときの
配光パターンを示すものであり、照射光束はランプから
前方に直進照射しており、前方路上を高照度で照射する
ことができる。（ｂ）は、自動車が左旋回するときの配
光パターンを示すものであり、照射光束が左側に傾倒し
て照射されており、旋回側のコーナを明るく照明して障
害物の視認性を向上することができる。

【００１７】尚、前記第一の実施例において、リフレク
タ３の変位量を検出する手段として、スライド式ポテン
ショメータ２１ａを設けたが、該変位量検出手段として
は、図１に二点鎖線で示すように、一方の揺動アーム９
Ｒ（又は９Ｌ）と軸着した支持軸１１の端部にロータリ
ー型ポテンショメータ２１ｂを取り付けることによって
も実施することができる。

【００１８】次に図６乃至図８は、リフレクタ駆動機構
の第二の実施例を備えた配光可変型プロジェクタランプ
を示すものである。本実施例は、ワット型リンク機構４
を一対のソレノイド２２Ｒ，２２Ｌを駆動源とする変位
駆動機構１４によって変位駆動する構造にしたものであ
り、前記第一の実施例と異なる部分について説明する。

【００１９】灯具ボディ２の下底部に膨出形成した駆動
機構収容部１５には、作動杆２３を共有する一対のソレ
ノイド２２Ｒ，２２Ｌが、該作動杆２３の中央部に構成
した係合溝２４に係合突子２５を回動自在に嵌入する構
造になっている。そして、上記ソレノイド２２Ｒ（又は
２２Ｌ）の励磁に伴う作動杆２３の吸引によって係合溝
２４に嵌入した係合突子２５を矢印Ｂ方向に移動変位さ
せ、支持軸１１，１１を介して両揺動アーム９Ｒ，９Ｌ
によって支承されたリフレクタ３を右又は左に平行変位
するように構成したものである。

【００２０】上記のように構成した配光可変型プロジェ
クタランプのリフレクタ駆動機構は、中央制御装置から
の制御信号によって、コリメータレンズ１の光軸Ｌ１に
対してリフレクタ３の光軸位置を中央又は左右の何れか
に変位制御駆動するものであり、第一の実施例と同様に
自動車のステアリングの回動方向に対応するように動作
する。尚、前記リフレクタ３の変位動作において、リフ
レクタ３が揺動アーム９Ｒ，９Ｌに支承された状態で、
右又は左に移動せしめられるが、該揺動アーム９Ｒ，９
Ｌがコリメータレンズ１の光軸Ｌ１を対称点とする点対
称構造のワット型リンク機構４を構成しているため、両
揺動アーム９Ｒ，９Ｌが傾倒しても点対称位置の高さが
変化せず、リフレクタ３の光軸Ｌ２がコリメータレンズ
１の光軸Ｌ１に対して水平方向に平行変位することがで
きる。

【００２１】次に図９は、本発明の第三の実施例を示す
リフレクタ駆動機構の分解斜視図である。本実施例は、
ワット型リンク機構４の一方の揺動アーム９Ｒ（又は９
Ｌ）と軸着した支持軸１１を、モータ１３を駆動源とす
る変位駆動機構によって回転変位する構造にしたもので
あり、前記第一の実施例と異なる部分の構造について説
明する。

【００２２】リフレクタ３は一対の揺動アーム９Ｒ，９
Ｌからなるワット型リンク機構４を介して灯具ボディ２
に枢設してあり、右側の揺動アーム９Ｒが軸着した支持
軸１１の一端に扇型ウォームギヤ２６を軸着してある。
このウォームギヤ２６は、モータ１３と減速ギヤ１６を
介して回動連結した中間シャフト２７に軸着したウォー
ム２８と噛合すると共に、該中間シャフト２７とロータ
リー型ポテンショメータ２１ｂを斜歯ギヤ３０を介して
回動連結した構造になっている。

【００２３】上記第三の実施例によっても、リフレクタ
３の光軸Ｌ２をコリメータレンズ１の光軸Ｌ１に対して
水平方向に平行変位することができる。即ち、モータ１
３が回動すると減速ギヤ１６を介して中間シャフト２７
が回動するため、該中間シャフト２７に軸着したウォー
ム２８と噛合しているウォームギヤ２６を介して支持軸
１１が回動変位し、右側の揺動アーム９Ｒの支持角度を
変えるように作動する（矢印Ｃ方向）。従って、ワット
型リンク機構４が左又は右方向にリフレクタ３を平行移
動し、光軸Ｌ２をコリメータレンズ１の光軸Ｌ１に対し
て水平方向に平行変位する。

【００２４】尚、前記各実施例ではリフレクタの光軸を
水平方向に平行変位する構造について説明したが、リフ
レクタ駆動機構を光軸を中心にして９０度回動変位した
姿勢にすることによって上下方向に変位する構造にする
ことができることはいうまでもない。

【００２５】

【発明の効果】本発明に係る配光可変型プロジェクタラ
ンプのリフレクタ駆動機構は、上記の如くモータ駆動に
よるワット型リンク機構によりリフレクタを支承し、該
リフレクタを左右又は上下方向に変位する構成にしたこ
とにより、構造が簡単になると共に、正確な変位位置制
御ができる特徴を有する。また、上記リフレクタ駆動機
構の構成では、リフレクタを変位しても、コリメータレ
ンズとシェードに対するリフレクタの光軸方向の光学的
相対位置が変わらないため、シェードによるカットオフ
ラインが明瞭になる等の特徴を有するものであり、ステ
アリング連動型ヘッドランプ、天候感応型ヘッドラン
プ、或は走行環境感応型ヘッドランプ等の各種自動車の
制御型ヘッドランプを構成する場合に有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る配光可変型プロジェクタランプの
リフレクタ駆動機構の第一の実施例を示す灯具の一部切
欠した側面図である。

【図２】同灯具の一部切欠した平面図である。

【図３】同リフレクタ駆動機構部の背面図である。

【図４】同リフレクタ駆動機構の要部分解斜視図であ
る。

【図５】直進走行時（ａ）と左旋回時（ｂ）の光束の配
光パターンを示す説明図である。

【図６】本発明に係るリフレクタ駆動機構の第二の実施
例を示す灯具の一部を切欠した側面図である。

【図７】同灯具の一部切欠した平面図である。

【図８】同リフレクタ駆動機構部の背面図である。

【図９】本発明に係るリフレクタ駆動機構の他の実施例
を示す要部斜視図である。

【符号の説明】

１ コリメータレンズ ３ リフレクタ ４ ワット型リンク機構 ６ 点灯用のバルブ ７ シェード ９Ｒ，９Ｌ 揺動アーム １１ 支持軸 １２ ピン軸 １３ モータ １４ 変位駆動機構 １７ スクリューシャフト １８ 摺動ナット ２１ａ スライド型ポテンショメータ ２１ｂ ロータリー型ポテンショメータ ２２Ｒ，２２Ｌ ソレノイド ２３ 作動杆 ２４ 係合溝 ２５ 係合突子 ２６ ウォームギャ ２７ 中間シャフト ２８ ウォーム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 楕円反射鏡面を有するリフレクタの前方
   光軸上にコリメータレンズ等の前面レンズを配置すると
   共に、該リフレクタの略第一焦点位置にバルブを固設し
   てなり、前記バルブと前面レンズ間に光束の一部を遮断
   するシェードを備えてなるプロジェクタ型のランプにお
   いて、 バルブと一体になる前記リフレクタを、一対の揺動アー
   ムを光軸を対称軸とする点対称に配置したワット型リン
   ク機構を介して灯具ボディに枢設すると共に、該ワット
   型リンク機構の支持角度を正逆回転制御可能なモータを
   駆動源とする変位駆動機構によって変向するように構成
   し、 リフレクタの光軸を前面レンズの光軸に対して平行変位
   することを特徴とする配光可変型プロジェクタランプの
   リフレクタ駆動機構。