JP3225688B2 - 硬調ネガ画像の形成方法およびそれに用いられるハロゲン化銀写真感光材料および写真現像液 - Google Patents

硬調ネガ画像の形成方法およびそれに用いられるハロゲン化銀写真感光材料および写真現像液

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JP3225688B2 JP11834693A JP11834693A JP3225688B2 JP 3225688 B2 JP3225688 B2 JP 3225688B2 JP 11834693 A JP11834693 A JP 11834693A JP 11834693 A JP11834693 A JP 11834693A JP 3225688 B2 JP3225688 B2 JP 3225688B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グラフィックア−ツの
印刷用写真製版工程に有用な硬調ネガチブ画像を形成す
るのに適した画像形成方法およびこれに用いるハロゲン
化銀写真感光材料および写真現像液に関する。
【0002】
【従来の技術】グラフィックア−ツの印刷用写真製版工
程においては、シヤープな網点画像あるいは線画像の形
成が要求されるため、極めて硬調な写真特性(特にガン
マが10以上)を示す画像形成システムが必要である。
従来この目的のために、塩化銀の含有量が50モル%、
好ましくは70モル%をこえる塩臭化銀乳剤からなるリ
ス型ハロゲン化銀写真感光材料を、現像主薬としてハイ
ドロキノンのみを含む、遊離亜硫酸イオン濃度を極めて
低くした(通常0.1モル/リツトル 以下)リス現像
液で処理する方法が用いられてきた。しかし、リス型ハ
ロゲン化銀写真乳剤は塩化銀含量の高い塩臭化銀乳剤を
用いなければならないため、高感度化の達成が困難であ
った。
【0003】硬調なネガチブ画像を得る別の方法として
は米国特許第4,168,977号、同第4,224,
401号、同第4,241,164号、同第4,26
9,929号、同第4,311,781号、同第4,6
50,746号、同第4,927,734号等に開示さ
れている特定のヒドラジン誘導体を用いる方法がある。
この方法によれば、造核剤として特定のヒドラジン誘導
体(一般にアシルフエニルヒドラジン誘導体)を含有す
る表面潜像型ハロゲン化銀写真感光材料をpH11.0
から12.3の現像液で処理してガンマが10をこえる
超硬調で高い感度の写真特性が得られる。この方法で
は、臭化銀や臭化銀含有量の高い塩臭化銀乳剤を用いる
ことができるのでリス型ハロゲン化銀に比べて高感度化
を達成することができた。
【0004】しかしながら、アシルヒドラジン誘導体を
用いる硬調画像形成システムはいくつかの欠点を有する
ことが判ってきた。すなわち、上記の画像形成システム
を用いると硬調なネガチブ画像が得られると同時にペツ
パー(黒ポツ)の発生をともない写真製版工程上大きな
問題となっている。ペツパーというのは、未露光部、例
えば網点と網点の間の非現像部となるべき部分に発生す
る黒胡麻のようなスポツトのことで、写真製版感材とし
ての商品価値を著しく低下させる故障を引き起こす。従
って、ペッパー抑制技術の開発に多大の努力がなされて
いるが、ペッパーの改良が感度およびガンマの低下をも
たらすことが多く、ペッパー発生をともなわずに高感度
硬調化を達成する画像形成システムの開発が強く望まれ
ている。
【0005】従来の硬調画像形成システムの第二の欠点
として、現像液の活性度を一定に保つために有害で環境
汚染物質となるハイドロキノンを多量に用いなければな
らないことである。リス現像液は液中の亜硫酸イオン濃
度が低いため容易に空気酸化を受け現像主薬であるハイ
ドロキノンの消費が著しい。また、ヒドラジン誘導体を
用いる硬調画像形成システムの現像液中には高濃度の亜
硫酸塩を加えることが許容されているが高pH(11.
0以上)であるため空気酸化を受けやすくハイドロキノ
ンの消費が著しい。従って、これらの現像液の現像活性
度を保持するためには有害で環境汚染物質であるハイド
ロキノンを多量に用いたり、空気酸化によるハイドロキ
ノンの消費量を補充したりして現像液中のハイドロキノ
ン量を一定水準以上に保つ必要があり、ハイドロキノン
の消費量が少ないあるいは現像主薬としてハイドロキノ
ンを使用しない現像液による硬調画像形成システムの開
発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の第一の
目的は、有害なハイドロキノンを主現像主薬として使用
しないか使用量の少ない現像システムで、ペッパ−発生
のない硬調ネガ画像が得られる画像形成方法を提供する
ことにある。
【0007】さらに、本発明の第二の目的は、上記画像
形成方法において有用なハロゲン化銀写真感光材料を提
供することにある。
【0008】さらに、本発明の第三の目的は、上記画像
形成方法において有用な写真現像液を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、支
持体上に少なくとも一つのネガ型ハロゲン化銀乳剤層と
必要に応じて他の親水性コロイド層とを有するネガ型ハ
ロゲン化銀写真感光材料を、N−置換−1,2−ジヒド
ロピリジン誘導体化合物またはN−置換−1,6−ジヒ
ドロピリジン誘導体化合物の存在下、レダクトン類若し
くはその塩を現像主薬として含有する写真現像液で現像
することを特徴とする硬調ネガ画像の形成方法により達
成された。
【0010】本発明に用いられるN−置換−1,2−ジ
ヒドロピリジン誘導体化合物またはN−置換−1,6−
ジヒドロピリジン誘導体化合物は、N置換ピリジニウム
塩化合物類を還元して得られる1,2−または1,6−
ジヒドロピリジン類化合物であって、下記一般式(I)
で表される化合物である。
【0011】
【化4】
【0012】式中、R1は置換もしくは無置換のアルキ
ル基、アルケニル基またはアルキニル基を表し、置換基
としては水酸基、メトキシ基、エトキシ基などの低級ア
ルコキシ基、フェニル基、トリル基、ピリジル基などの
芳香族基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基、
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、などの
アルコキシカルボニル基、アミド基、シアノ基などが好
ましい。R1の具体例としてメチル基、エチル基、nー
プロピル基、イソプロピル基、nーブチル基、イソブチ
ル基、ペンチル基、2ーヒドロキシエチル基、3ーヒド
ロキシプロピル基、2ーメトキシエチル基、3ーエトキ
シプロピル基、2ーフェニルエチル基、3ーアセチルプ
ロピル基、2ーベンゾイルエチル基、2ーメトキシカル
ボニルエチル基、2ーシアノエチル基、2ーカルバモイ
ルエチル基、ブテニル基、プロパギル基、ベンジル基、
トルイル基、フェネチル基などを挙げることができる。
【0013】またさらにR1は、アミノ基、アルキル置
換アミノ基(N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルア
ミノ基など)、置換されていてもよいアルコキシカルボ
ニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、
フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、
2−ヒドロキシエチルオキシカルボニル基など)、置換
されていてもよいフェニル基やピリジル基などの芳香族
基でもよい。芳香族基の置換基としてはハロゲン原子、
ニトロ基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基などの低級
アルコキシ基、フェニル基、トリル基、ピリジル基など
の芳香族基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル
基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、な
どのアルコキシカルボニル基、アルキル置換アミド基、
シアノ基、アルキル置換スルホンアミド基、アルキル置
換カルバモイル基などが好ましい。
【0014】またさらに、R1は−A−Zで表される分
子構造でもよい。Aは炭素原子数が1から20のアルキ
レン基またはーCH2CH=CHCH2−を表し、Zは水
素原子、置換されていてもよいフェニル基、水酸基、メ
トキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基、ベンゾイル
基やアセチル基などのアシル基、メトキシカルボニル基
やエトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル
基、シアノ基、N−アルキルアミド基、アミド基または
一般式(A)で表される基を表す。
【0015】
【化5】
【0016】一般式(I)及び一般式(A)中、R2
3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子、ハ
ロゲン原子、低級アルキル基(メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基など)、水酸基、アルコキシ基(メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基な
ど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基
(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロ
ポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−ヒド
ロキシエチルオキシカルボニル基、トリルオキシカルボ
ニル基など)、ホルミル基、置換されていてもよいカル
バモイル基(−CONH2、−CONHCH3、−CON
HC25、−CON(CH32、CON(C252
ど)または置換されてもよいアミノ基(−NH2、−N
HSO2511、−NHSO2Phなど)、水酸基、ア
ルコキシ基、フェニル基やピリジル基などの芳香族基で
置換されている低級アルキル基(2−ヒドロキシエチル
基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、4−エトキシブチル基、ベンジル基、2−フェニル
エチル基、3−(4−ピリジル)プロピル基など)、置
換されていてもよい芳香族基(置換基としてはハロゲン
原子、ニトロ基、水酸基、メチル基、エチル基などの低
級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基などの低級アル
コキシ基、フェニル基、トリル基、ピリジル基などの芳
香族基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基、メ
トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、などのア
ルコキシカルボニル基、アルキル置換アミド基、シアノ
基、アルキル置換スルホンアミド基、アルキル置換カル
バモイル基など)および置換されていてもよいスルホニ
ル基(置換基としてアルキルアミノ基、ジアルキルアミ
ノ基、置換フェニルアミノ基、ジ(置換フェニル)アミ
ノ基など)を表す。また、R3とR4の間および/または
5とR6との間で5員環、6員環、7員環などの環やヘ
テロ原子を含む環や芳香族環を形成してもよい。また、
これら形成された環状部分がハロゲン原子、低級アルキ
ル基、水酸基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、ア
ルコキシカルボニル基、ホルミル基、カルバモイル基、
アミノ基、スルホニル基などで置換されていてもよい。
【0017】以下に本発明に用いる一般式(I)で表さ
れる有機化合物の代表例を挙げるが、本発明はこれらに
より限定されるものではない。
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】本発明において用いる一般式(I)で表さ
れる化合物は相当するピリジニウム塩誘導体のナトリウ
ムボロハイドライドによる還元反応によって合成するこ
とができる。例えば、P.Karrer,F.J.Stare,Helv.Chim.A
cta,20,418(1937). K.Wallenfels,W.Hanstein,Angew.Ch
em.internat.Edit.,4,869(1965). F.M.Moracci,A.Casin
i,F.Liberatore,V.Carelli,Tetrahedron Lett.,1976,37
23. J.A.Zoltewicz,L.S.Helmick,J.K.O'Halloran,J.Or
g.Chem.,41,1303(1976). A.Casini,B.DiRienzo,F.M.Mor
acci,S.Tortorella,F.Liberatore,A.Arnone,Tetrahedro
n Lett.,1978,2139. B.Weinstein,Diss.Abstr.Int.B,19
78,39(5),2320;CA.,90,103782u(1979).A.R.Katritzky,
J.Lewis,Pai-Lin Nie,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,1,19
79,442.J.W.Bunting,S.Sindhuatmadja,J.Org.Chem.,46,
4211,(1981). R.M.G.Roberts,D.Ostovie,M.M.Kreevoy,
J.Org.Chem.,48,2053(1983). などに記載された方法を
参考にして合成することができる。
【0032】また、これら一般式(I)で表される有機
化合物の出発原料となるピリジニウム塩誘導体について
は、小竹無二雄監修「大有機化学」16巻(III)7
頁および129頁(1959年、朝倉書店)に記載され
ているように、相当するピリジン、キノリンまたはイソ
キノリン誘導体とハロゲン化アルキル誘導体との反応で
合成することができる。具体的な合成法は、A.Grob, E.
Renk ,Helv.Chim.Acta 37, 1672 (1954) ; R.E.Lyle, E.
F.Perlowski, H.J.Troscianiec, G.G.Lyle ,J.Org.Che
m.,20, 1761 (1955) ;M.R.Lamborg, R.M.Burton, N.O.
Kaplan,J.Am.Chem.Soc.,79, 6173 (1957); W.Ciusa,A.B
uccelli,Gazzetta Chimia Italiana 88, 393 (1958)な
どに記載されている。
【0033】本発明において用いる一般式(I)で表さ
れる有機化合物は、化合物の種類によっては不安定で
1,4−体に異性化したり潮解したりして、必ずしも安
定的に取り扱えない場合があるが、1,2−体または
1,6−体が存在してさえいれば本発明の効果には差し
仕えがない。
【0034】本発明の硬調ネガ画像形成方法は、予め画
像露光されたハロゲン化銀写真感光材料を現像処理する
際に一般式(I)で表される化合物を存在させることを
特徴とする画像形成方法であって、一般式(I)の化合
物を現像時に存在させる具体的方法として1)一般式
(I)で表される化合物をハロゲン化銀写真感光材料に
含有させ、一般式(I)で表される化合物を含有しない
現像液で現像処理する画像形成方法、2)一般式(I)
で表される化合物を含有しないハロゲン化銀写真感光材
料を一般式(I)で表される化合物を含有する写真現像
液で現像処理する画像形成方法、3)一般式(I)で表
される化合物を含有したハロゲン化銀写真感光材料を一
般式(I)で表される化合物を含有した現像液で現像処
理して硬調ネガ画像を得る画像形成方法、と言う三種類
の画像形成方法が考えられるが、本発明の画像形成方法
にはこれら全ての画像形成方法が採用される。
【0035】次に、本発明で使用される一般式(I)で
表される化合物をハロゲン化銀写真感光材料中に含有さ
せる方法について説明する。
【0036】本発明において用いる一般式(I)で表さ
れる化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を構成する少
なくとも一層のネガ型ハロゲン化銀乳剤層あるいは、そ
れ以外の親水性コロイド層から成る非感光性層、例えば
保護層、中間層、ハレーション防止層、フィルター層な
どに含有させて用いる。
【0037】本発明に用いる一般式(I)で表される化
合物をネガ型ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれ以外の非
感光性層に添加するには、水または水と混和しうる有機
溶媒、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、ア
ミド類などに溶解して本発明に用いるネガ型ハロゲン化
銀乳剤もしくは非感光性の親水性コロイド溶液に添加す
ればよい。
【0038】また、別の添加方法として油/水乳化型の
分散法によって、親水性コロイド溶液中に分散させる方
法がある。油/水乳化型分散法に用いられる油分はオイ
ルプロテクト型感光材料で使用しているカプラ−溶解用
油分を使用することができる。例えば、トリ−o−クレ
ジルフォスフェ−ト、トリヘキシルフォスフェ−ト、ジ
オクチルブチルフォスフェ−ト、ジブチルフタレ−ト、
ジエチルラウリルアミド、2,4−ジアリルフェノ−
ル、安息香酸オクチルなどが挙げられる。
【0039】一般式(I)で表される化合物を溶解した
油相を水相に分散するには普通の界面活性剤が用いられ
る。例えば、カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エス
テル、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面
活性剤や、ノニオン、カチオン、両性の界面活性剤が用
いられる。
【0040】親水性コロイドとしては、ゼラチンを始め
写真用バインダ−として知られているものが用いられ
る。例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子と
のグラフトポリマ−、ヒドロキシエチルセルロ−ス、カ
ルボキシメチルセルロ−ス、セルロ−ス硫酸エステルな
どのセルロ−ス誘導体、アルギン酸ソ−ダ、澱粉誘導
体、ポリビニルアルコ−ル部分アセタ−ル、ポリ−N−
ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸
ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾ−ル、ポリビ
ニルピラゾ−ルなどの単一あるいは共重合体のような多
種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ある
いは、ラテックスなどを加えてもよい。その例として、
米国特許第3518088号、Reseach Disclosure August 197
6,No.148-14850に記載の化合物が挙げられる。
【0041】本発明に用いる一般式(I)で表される有
機化合物をハロゲン化銀写真感光材料に添加する時期
は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造する工程中の任意
の時期を選ぶことができる。例えば、ネガ型ハロゲン化
銀乳剤に添加する場合には化学熟成の開始から塗布前ま
での任意の時期に添加することができるが、化学熟成終
了後塗布直前までの任意の時期に添加するのが好まし
い。
【0042】また、ハロゲン化銀写真感光材料に一般式
(I)で表される化合物を添加する別の方法として、ハ
ロゲン化銀写真乳剤を塗布、乾燥後、一般式(I)で表
される化合物の溶液をフィルムの上から塗布し乾燥する
「後塗布」の方法もある。
【0043】本発明にもちいる一般式(I)で表される
化合物をハロゲン化銀写真感光材料中へ添加する特に好
ましい方法としては、油/水乳化型の分散法によって親
水性コロイド溶液中に分散させる方法ないしは後塗布法
による方法である。
【0044】本発明に用いる一般式(I)で表される化
合物のハロゲン化銀写真感光材料への添加量は、ハロゲ
ン化銀1モル当り1×10ー6モルから1モルの範囲が適
切であり、通常は1×10ー4モルから0.1モルが好ま
しくもちいられる。また本発明に用いられる一般式
(I)で表される化合物は、一種以上を併用して用いる
こともできる。
【0045】本発明の一般式(I)で表される化合物の
作用機構は充分に明かではないが、一般式(I)で表さ
れる化合物はレダクトン類を主現像主薬として含有する
写真現像液を用いた現像処理時に造核反応を行ってハロ
ゲン化銀写真感光材料の感度および階調を高める硬調化
剤としての作用をしていると推定される。レダクトン類
を主現像主薬として含有する写真現像液を用いた画像形
成方法において、一般式(I)で表される化合物による
著しい高感度化と超硬調化作用はこれまで知られておら
ず全く予期せぬ効果である。
【0046】次に本発明のハロゲン化銀写真感光材料に
ついて説明する。本発明に用いられるハロゲン化銀写真
感光材料はネガ型ハロゲン化銀乳剤からなる乳剤層を少
なくとも一層有するものである。使用するハロゲン化銀
乳剤のハロゲン組成には特別な限定はなく、塩化銀、塩
臭化銀、沃臭化銀、沃臭塩化銀など、どの組成であって
もかまわない。沃化銀の含量は5モル%以下で、さらに
3モル%以下であることが好ましい。
【0047】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
比較的広い粒子サイズ分布をもつこともできるが、狭い
粒子サイズ分布をもつことが好ましく、特に全粒子の9
0%を占める粒子サイズが平均粒径の±40%以内にあ
る単分散乳剤であることが好ましい。
【0048】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
平均粒径が0.7μm以下が好ましく、特に0.4μm
以下が好ましい。また、ハロゲン化銀粒子は立方体、八
面体のような規則的な結晶形を有するものでも、球状、
板状、ハマグリ状のような変則的な結晶形を有するもの
でもよい。
【0049】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は任
意の公知の方法を用いて調製することができる。すなわ
ち、酸性法、中性法、アンモニア法などのいずれでもよ
く、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩の反応形式としては
順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど
のいずれを用いてもよい。同時混合法の一つとして、ハ
ロゲン化銀の生成される液相中の銀イオン濃度(pA
g)を一定に保つ方法、すなわち、pAgコントロール
ド・ダブルジエット法(C.D.J.法)を用いると結
晶形が揃い、かつ粒子サイズが均一に近い単分散ハロゲ
ン化銀粒子が得られる。ハロゲン化銀粒子形成または物
理熟成の過程においてハロゲン化銀乳剤のコントラスト
を増大させるためにカドミウム塩、イリジウム塩または
ロジウム塩を共存させてもよい。
【0050】本発明に用いるハロゲン化銀写真乳剤層に
含まれるバインダーはハロゲン化銀1モル当り250g
をこえないことが好ましい。バインダーとしてはゼラチ
ンが最も好ましいが、ゼラチン以外の親水性コロイドを
用いることもできる。例えば、アルブミン、カゼイン、
ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアミドなどの親水性ポリマ
ーなどを用いることが出来る。
【0051】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増
感を行わなくともよいが,通常は化学増感される。化学
増感法として硫黄増感、還元増感、貴金属増感、セレン
増感、テルル増感およびそれらの組合せが用いられる
が、本発明の実施のために好ましい化学増感は硫黄増感
法あるいは硫黄増感と、貴金属増感の一つである金増感
を組合せた方法である。
【0052】硫黄増感剤としては活性ゼラチン、チオ硫
酸塩、チオ尿素類、アリルチオカルバミドなどを用いる
ことができる。金増感剤としてはHAuCl4、Au
(SCN)2 塩、Au(S232 3ー塩などを用いるこ
とができる。
【0053】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、所望
の感光波長域に感光性を付与するために、一種または二
種以上の増感色素を用いて分光増感される。増感色素と
してはシアニン色素、メロシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、オ
キソノール色素、およびヘミオキソノール色素などを用
いることができる。特に有用な色素はシアニン色素およ
びメロシアニン色素である。色素類の塩基性異節環核と
してシアニン色素に通常利用される核はいずれも適用で
きる。すなわち、ピロリン核、オキサゾール核、オキサ
ゾリン核、チアゾール核、チアゾリン核、ピロール核、
セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピ
リジン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ベン
ゾチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダ
ゾール核、キノリン核などが適用できる。
【0054】本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料
は支持体上にネガ型ハロゲン化銀乳剤を含有する少なく
とも一つの親水性コロイド層を塗設して成るが、それ以
外の非感光性の親水性コロイド層例えば、保護層、中間
層、ハレーシヨン防止層、フイルター層、などが塗設され
ていてもよい。これらの親水性コロイド層には無機また
は有機の硬膜剤を含有してよい。硬膜剤としてはクロム
塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデ
ヒド、グリオキサールなど)、N−メチロール化合物
(ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン
など)、活性ハロゲン化合物(2,4ージクロルー6ー
ヒドロキシ−s−トリアジン、ムコクロール酸など)、
活性ビニル化合物(1,3,5ートリアクリロイルーヘ
キサヒドロ−s−トリアジンなど)、エポキシおよびア
ジリジン系硬膜剤などを用いることができる。
【0055】本発明に用いられる上記親水性コロイド層
には必要に応じて各種写真用添加剤、例えば乳剤安定剤
(6ーヒドロキシー4ーメチル−1,3,3a,7ーテ
トラザインデンなどのヒドロキシテトラザインデン化合
物)、延展剤(サポニンなど)、ゼラチン可塑剤(アク
リル酸エステルの共重合体など)、帯電防止、塗布助
剤、および写真特性改良(たとえば現像促進、硬調化)
など種々の目的のための各種界面活性剤(カチオン性、
アニオン性、非イオン性、両性界面活性剤)、カブリ抑
制剤(ハイドロキノン、5ーメチルベンゾトリアゾー
ル、1ーフエニルー5ーメルカプトテトラゾールな
ど)、マット剤、写真感光材料の寸度安定性の改良など
の目的で水不溶または難溶性ポリマーラテックス(アル
キルアクリレート、アルキルメタアクリレート、アクリ
ル酸、グリシジルアクリレートなどのホモまたはコポリ
マー)などを本発明の効果が損なわれない範囲で使用す
ることができる。
【0056】ハロゲン化銀写真感光材料に使用し得る支
持体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン
などのポリオレフィン、酢酸セルロ−ス、硝酸セルロ−
スなどのセルロ−スエステルフィルム、ポリエチレンテ
レフタレ−トのようなポリエステルフィルム、紙、合成
紙、またはこれらを複合したもの、例えば紙やフィルム
の両面もしくは片面をポリオレフィンで被覆したもの、
ガラス板など公知の支持体が全て使用できる。
【0057】本発明の画像形成方法においては、レダク
トン類若しくはその塩を現像主薬として含有する写真現
像液が用いられる。
【0058】本発明の現像液に用いられるレダクトン類
若しくはその塩は、エンジオール型(Endiol)、
エナミノール型(Enaminol)、エンジアミン型
(Endiamine)、チオールエノール型(Thi
ol−Enol)およびエナミンチオール型( Ena
mine−Thiol)が化合物として一般に知られて
いる。これらの化合物の例は米国特許第2,688,5
49号、特開昭62−237,443号などに記載され
ている。これらのレダクトン類の合成法もよく知られて
おり、例えば野村男次と大村浩久共著「レダクトンの化
学」(内田老鶴圃新社1969年)に詳細に述べられて
いる。
【0059】この中でも、本発明に用いるのに特に好ま
しいレダクトン類は、次の一般式(II)で示される化
合物である。
【0060】
【化19】
【0061】ここでR7は水素原子または水酸基であ
り、lは1から4の整数である。
【0062】次に本発明に用いられるレダクトン類の特
に好ましい具体例をあげる。
【0063】
【化20】
【0064】
【化21】
【0065】
【化22】
【0066】本発明に用いられるレダクトン類はリチウ
ム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩
の形でも使用できる。
【0067】これらのレダクトン類若しくはその塩は、
現像液1リットル当り1から100g、好ましくは5か
ら50g用いるのが好ましい。
【0068】本発明の現像液には上記主現像主薬レダク
トン類の他に補助現像薬としてジヒドロキシベンゼン類
(例えば、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブ
ロモハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メ
チルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノ
ン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジメチ
ルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリ
ウム、ハイドロキノンモノスルホン酸ナトリウム、カテ
コ−ル、ピラゾ−ルなど)、3−ピラゾリドン類(例え
ば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−
4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メ
チル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−
3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−
3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒ
ドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−
4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1,
5−ジフェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−
3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,
4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−ヒドロキシ
フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−
(2−ベンゾチアゾリル)−3−ピラゾリドン、3−ア
セトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドンなど)、3
−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシ
フェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチル
アミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−
アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリン
など)、フェニレンジアミン類(例えば、4−アミノ−
N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−
N,N−ジエチルアニリン、4−アミノ−N−エチル−
N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−
アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリ
ン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メ
タンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−
アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリン
など)等およびアミノフェノール類(例えば、4−アミ
ノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4
−(N−メチル)アミノフェノール、2,4−ジアミノ
フェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシ
ン、N−(2′−ヒドロキシエチル)−2−アミノフェ
ノール、2−ヒドロキシメチル−4−アミノフェノー
ル、2−ヒドロキシメチル−4−(N−メチル)アミノ
フェノールなど)やこれらの化合物の塩酸塩や硫酸塩な
どを添加して用いることができる。
【0069】これらの補助現像薬の添加量は現像液1リ
ットル当り0.2gから20g、好ましくは0.5から
5gである。
【0070】本発明の画像形成方法に用いられる現像液
には、現像液をアルカリ性に設定するためにアルカリ剤
が加えられる。アルカリ剤としては、通常の水溶性無機
アルカリ金属塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、第三燐酸カリウ
ムなどを用いることができる。アルカリ剤の使用量は、
現像液の設定pHに必要なだけのアルカリ剤の量によっ
て決められる。
【0071】本発明で用いる現像液には前記必須成分以
外に保恒剤を含むことが望ましい。保恒剤としては亜硫
酸塩を用いることができる。亜硫酸塩としては、亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸
アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウ
ム、メタ重亜硫酸カリウムなどがある。これらの亜硫酸
塩の添加量は現像液1リットル当り0.5モル以下が好
ましい。
【0072】本発明に用いられる現像液は、上記成分の
他に必要に応じて水溶性の酸(例えば、酢酸、ホウ
酸)、pH緩衝剤(例えば、第三燐酸ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、メタホウ酸ナトリウム、4
ホウ酸リチウムなど)、無機カブリ抑制剤(例えば、臭
化ナトリウム、臭化カリウム)、有機カブリ抑制剤(例
えば、1ーフエニルー5ーメルカプトテトラゾール、5
ーニトロインダゾールなど)、有機溶剤(例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、メチルセロソ
ルブなど)、色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬水軟化剤
などを本発明の効果が損なわれない範囲内で使用するこ
とができる。
【0073】前記の現像液は、本発明の画像形成方法に
おいて、一般式(I)で表される化合物を含有したハロ
ゲン化銀写真感光材料を現像処理する場合の現像液とし
て用いられる。
【0074】一般式(I)で表される化合物は、写真現
像液中に添加しても良く、写真現像液中に添加した場合
には、ハロゲン化銀写真感光材料中に一般式(I)で表
される化合物が存在しなくとも硬調ネガ画像を形成する
ことができる。
【0075】一般式(I)で表される化合物を現像液中
へ添加するには、直接現像液に添加してもよいし、水ま
たは水と混和し得る有機溶媒、例えばアルコ−ル類、ケ
トン類、エステル類、アミド類などに溶解して現像液に
添加すればよい。
【0076】本発明の写真現像液中への一般式(I)で
表される化合物の添加量は、現像液1リットル当り0.
10mgから10gの範囲が適切であり、通常は1mg
から1gが好ましく用いられる。また、本発明の写真現
像剤液に用いられる一般式(I)で表される化合物は、
一種以上を併用して用いることもできる。
【0077】上記本発明の写真現像液を現像処理に用い
る場合には、ハロゲン化銀写真感光材料中に一般式
(I)で表される化合物の有無に関係なく硬調なネガ画
像を得ることができる。
【0078】本発明に用いられる現像液の現像処理温度
は摂氏18度から50度の範囲が選ばれるが、より好ま
しくは摂氏20度から40度の範囲である。
【0079】本発明に用いられる定着剤としては、一般
に用いられる組成のものを使用することができる。例え
ば、日本写真学会編「写真工学の基礎 銀塩写真編」3
30頁以降(1979年 コロナ社)、笹井明著「写真
の化学」320頁以降(1982年 写真工業出版社)
およびト−マス(W.THOMAS, Jr.)編、「エス ピ−エ
ス イ− ハンドブック オブ フォトグラフィック
サイエンス アンドエンジニアリング(SPSE HANDBOOK
OF PHOTOGRAPHIC SCIENCE AND ENGINEERRING)」ジョン
ウィリィ アンド サンズ(JOHN WILEY & SONS)社刊
(1973年)528頁などを参照にすることができ
る。定着剤主薬としては、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩
のほか定着剤としての効果の知られている有機硫黄化合
物を用いることができる。また、定着助剤として酸剤
(例えば、酢酸、クエン酸など)、保恒剤(例えば亜硫
酸ナトリウムなど)、緩衝剤(例えばホウ酸など)およ
び硬膜剤(例えば、カリミョウバン、明バン、硫酸アル
ミニウムなど)などを用いることができる。
【0080】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の
実施例に限定されるものではない。
【0081】実施例1 40℃に保ったゼラチン水溶液中に、硝酸銀水溶液と銀
1モル当り3.0×10-7 モルの六塩化ロジウム(I
II)ナトリウムを含む臭化カリウムおよび塩化ナトリ
ウムの混合水溶液(モル比 Br:Cl=30:70)
をpAg7.2に保ちながら同時に75分にわたって加
えることにより、平均粒径0.28μmの立方晶単分散
の塩臭化銀乳剤(AgCl 70mol%)を調製し
た。常法により可溶性塩類を除去したのちハロゲン化銀
1モル当り5×10-5モルのチオ硫酸ナトリウム、1.
0×10-5モルの塩化金酸および1.24×10-3モル
のヨウ化カリウムを加え、52.2℃で100分間化学
熟成した。この乳剤にはハロゲン化銀1モル当り80g
のゼラチンを含む。このようにして調製した乳剤にハロ
ゲン化銀1モル当り12×10-3モルの6ーヒドロキシ
ー4ーメチルー1,3,3a,7ーテトラザインデンお
よび3.0×10-3モルの5−メチルベンゾトリアゾ−
ルを添加したのち、予め下引層を塗布したポリエチレン
テレフタレートベース上に100cm2当り40mgの
銀量になるように塗布した。これらの乳剤層の上に硬膜
剤としてホルマリンおよびジメチロール尿素を含むゼラ
チン保護層を塗布して乾燥した。
【0082】以上のようにして作製したフイルムを、L
Bー200フイルターを用い、2666Kのタングステ
ン光源にて段差0.15のステップウエツジを通して5秒
間露光したのち、下記組成の現像液1および現像液1に
表1で示した本発明の化合物(具体例番号;H−5)お
よび補助現像薬を添加した現像液2から6を用いて30
℃、4分間現像処理し、停止、定着、水洗そして乾燥し
た。
【0083】 現像液1の組成 アスコルビン酸ナトリウム 30.0 g (レダクトン1ー1のナトリウム塩) 臭化カリウム 1.0 g メタホウ酸ナトリウム・4水塩 70.0 g 5−ニトロインダゾ−ル 8.0 mg 水を加えて 1.0 l 10%NaOH水溶液にて調製後pH 10.8
【0084】
【表1】
【0085】得られた写真特性を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】表2において、相対感度は評価試料のカブ
リを除く濃度3.0が得られる露光量の逆数の相対値
で、本発明による現像液番号2で現像処理し評価フィル
ムの感度を100として表した。ガンマはカブリを除く
黒化濃度0.5と3.0の間の平均勾配、カブリは非露
光部の濃度を表す。
【0088】表2から明かなように、本発明による一般
式(I)で表される化合物(具体例化合物番号;H−
5)を含有した現像液を用いた本発明の画像形成方法で
は、高感度で極めて硬調な画像が得られるが、一般式
(I)を含有しない比較例の場合にはこのような硬調画
像を得ることはできない。
【0089】実施例2 重炭酸ナトリウムを用いてpH7.7に調製した水溶液
に、下記の表3に示したN−置換−1,2−ジヒドロピ
リジン化合物を0.1重量%含有したメタノ−ル溶液を
同量添加して、N−置換−1,2−ジヒドロピリジン化
合物のアルカリ水溶液(濃度 0.05重量%)を作
製し、実施例1で作製したフィルムに塗布し乾燥した。
塗布量を計測し、塗布銀量1モル当りのN−置換−1,
2−ジヒドロピリジン化合物の含有量を算出した。
【0090】
【表3】
【0091】以上のようにして作製したフイルムを、L
Bー200フイルターを用い、2666Kのタングステ
ン光源にて段差0.15のステップウエツジを通して5秒
間露光したのち、下記組成の現像液6および7を用い、
35℃、30秒間現像処理し、停止、定着、水洗そして
乾燥した。
【0092】 現像液6の組成 アスコルビン酸ナトリウム 10.0 g (レダクトン1ー1のナトリウム塩) 炭酸ナトリウム 27.0 g 亜硫酸ナトリウム 60.0 g 臭化カリウム 1.0 g 5−ニトロインダゾ−ル 8.0 mg 水を加えて 1.0 l 10%NaOH水溶液にて調製後pH 12.0
【0093】 現像液7の組成 アスコルビン酸ナトリウム 10.0 g (レダクトン1ー1のナトリウム塩) 2−メチル−4−N−エチル−N−β− 4.75 g ヒドロキシエチルアニリン硫酸1水塩 臭化カリウム 1.0 g メタホウ酸ナトリウム・4水塩 35.0 g 5−ニトロインダゾ−ル 14.0 mg 水を加えて 1.0 l 10%NaOH水溶液にて調製後pH 12.0
【0094】得られた写真特性を表4に示す。
【0095】
【表4】
【0096】表4において、相対感度は評価試料のカブ
リを除く濃度3.0が得られる露光量の逆数の相対値
で、本発明によるフィルム番号2を現像液6で現像した
ときの感度を100として表した。ガンマはカブリを除
く黒化濃度0.5と3.0の間の平均勾配、カブリは非
露光部の濃度を表す。
【0097】表4から明かなように、本発明による一般
式(I)で表される化合物を塗布法により含有したフィ
ルムを用い、レダクトンを含有する現像液で現像処理し
た本発明の画像形成方法では高感度で極めて硬調な画像
が得られるが、一般式(I)が存在しない比較例の場合
にはこのような硬調画像を得ることはできない。
【0098】実施例3 60℃に保ったゼラチン水溶液中に、硝酸銀水溶液と銀
1モル当り3.0×10-7モルの六臭化ロジウム(II
I)ナトリウムを含む臭化カリウム水溶液をpAg7.
0に保ちながら同時に60分にわたって加えることによ
り、平均粒径 0.22μmの立方晶単分散の臭化銀乳
剤を調製した。常法により可溶性塩類を除去したのち、
ハロゲン化銀1モル当り25×10-5モルのチオ硫酸ナ
トリウムを加え、60℃で70分間化学熟成した。この
乳剤にはハロゲン化銀1モル当り 80gのゼラチンを
含む。このようにして調製した乳剤にハロゲン化銀1モ
ル当り18×10-3モルの6−ヒドロキシ−4−メチル
−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しpHを
7.4に調整したのち、予め表5に示した化合物をジオ
クチルブチルフォスフェ−トに溶解した油分を分散さ
せ、ポリエチレンテレフタレ−トベ−ス上に100cm
2当り40mgの銀量になるように塗布した。
【0099】
【表5】
【0100】この乳剤層の上に硬膜剤としてホルマリン
およびジメチロ−ル尿素を含むゼラチン保護層を塗布し
て乾燥しフィルム試料とした。
【0101】得られたフィルム試料5、6および7を実
施例1と同様な操作により露光後、実施例1における現
像液4および5、実施例2における現像液6および7、
および以下の組成の現像液8を用い、35℃で45秒間
現像処理したのち定着、水洗、乾燥して評価サンプルを
得た。
【0102】 現像液8の組成 メト−ル 7.5 g アスコルビン酸ナトリウム 30.0 g (レダクトン1ー1のナトリウム塩) 臭化カリウム 1.0 g メタホウ酸ナトリウム・4水塩 70.0 g 5−ニトロインダゾ−ル 8.0 mg 水を加えて 1.0 l 10%NaOH水溶液にて調製後pH 10.8
【0103】得られた写真特性の結果を表6に示す。
【0104】
【表6】
【0105】表6における写真諸特性は実施例1と同じ
であり、相対感度は本発明の化合物H−5を用いたフィ
ルム番号6を現像液6で35℃、45秒間現像処理した
場合の感度を100として示した。
【0106】表6からも明かなように、本発明の一般式
(I)で表される化合物を含有したフィルムを、レダク
トンを含有した現像液で現像処理する本発明の画像形成
方法に従って画像形成させることにより、ガンマが10
を越える高感度で硬調な画像が得られることが判る。し
かし、一般式(I)で表される化合物が存在しない比較
例の場合には、このような硬調画像を得ることはできな
い。また、いづれのサンプルにもペッパ−は発生しなか
った。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、グラフィックアーツの
印刷用写真製版工程に有用なガンマが10を越える硬調
なネガ画像を高感度で形成することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−270343(JP,A) 特開 昭53−44025(JP,A) 特開 平2−269334(JP,A) 特開 平5−273708(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/06 G03C 5/30 G03C 5/305

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも一つのネガ型ハロ
    ゲン化銀乳剤層と必要に応じて他の親水性コロイド層と
    を有するネガ型ハロゲン化銀写真感光材料を、N−置換
    −1,2−ジヒドロピリジン誘導体化合物またはN−置
    換−1,6−ジヒドロピリジン誘導体化合物の存在下、
    レダクトン類若しくはその塩を現像主薬として含有する
    写真現像液で現像することを特徴とする硬調ネガ画像の
    形成方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に少なくとも一つのネガ型ハロ
    ゲン化銀乳剤層と必要に応じて他の親水性コロイド層と
    を有するネガ型ハロゲン化銀写真感光材料において、乳
    剤層または他の親水性コロイド層にN−置換−1,2−
    ジヒドロピリジン誘導体化合物またはN−置換−1,6
    −ジヒドロピリジン誘導体化合物を含有することを特徴
    とするネガ型ハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のネガ型ハロゲン化銀写真
    感光材料を画像露光後、レダクトン類若しくはその塩を
    含む写真現像液で現像処理することを特徴とする硬調ネ
    ガ画像の形成方法。
  4. 【請求項4】 写真現像液が、補助現像薬としてジヒド
    ロキシベンゼン類若しくはその塩を含有する請求項3記
    載の硬調ネガ画像の形成方法。
  5. 【請求項5】 写真現像液が、補助現像薬として3−ピ
    ラゾリドン類若しくはその塩を含有する請求項3記載の
    硬調ネガ画像の形成方法。
  6. 【請求項6】 写真現像液が、補助現像薬として3−ア
    ミノピラゾリン類若しくはその塩を含有する請求項3記
    載の硬調ネガ画像の形成方法。
  7. 【請求項7】 写真現像液が、補助現像薬としてp−フ
    ェニレンジアミン類若しくはその塩を含有する請求項3
    記載の硬調ネガ画像の形成方法。
  8. 【請求項8】 写真現像液が、補助現像薬としてp−ア
    ミノフェノ−ル類若しくはその塩を含有する請求項3記
    載の硬調ネガ画像の形成方法。
  9. 【請求項9】 現像主薬としてのレダクトン類若しくは
    その塩及びN−置換−1,2−ジヒドロピリジン誘導体
    化合物またはN−置換−1,6−ジヒドロピリジン誘導
    体化合物を含有することを特徴とする写真現像液。
  10. 【請求項10】 補助現像剤としてジヒドロキシベンゼ
    ン類若しくはその塩を含有する請求項9記載の写真現像
    液。
  11. 【請求項11】 補助現像剤として3−ピラゾリドン類
    若しくはその塩を含有する請求項9記載の写真現像液。
  12. 【請求項12】 補助現像剤として3−アミノピラゾリ
    ン類若しくはその塩を含有する請求項9記載の写真現像
    液。
  13. 【請求項13】 補助現像剤としてフェニレンジアミン
    類若しくはその塩を含有する請求項9記載の写真現像
    液。
  14. 【請求項14】 補助現像剤としてアミノフェノ−ル類
    若しくはその塩を含有する請求項9記載の写真現像液。
  15. 【請求項15】 支持体上に少なくとも一層のネガ型ハ
    ロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料に
    画像露光後、請求項9、請求項10、請求項11、請求
    項12、請求項13または請求項14記載の写真現像液
    で現像処理することを特徴とする硬調ネガ画像の形成方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項2記載のハロゲン化銀写真感光
    材料に画像露光後、請求項9、請求項10、請求項1
    1、請求項12、請求項13または請求項14記載の写
    真現像液で現像処理することを特徴とする硬調ネガ画像
    の形成方法。
  17. 【請求項17】 N−置換−1,2−ジヒドロピリジン
    誘導体化合物またはN−置換−1,6−ジヒドロピリジ
    ン誘導体化合物が一般式(I)で表される化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の硬調ネガ画像の形成方
    法。 【化1】 (式中、R1は置換されていてもよいアルキル基、置換
    されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよい
    アルキニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換さ
    れていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されてい
    てもよい芳香族基または−A−Zを表す。Aは炭素原子
    数が1から20のアルキレン基またはーCH2CH=C
    HCH2−を表し、Zは水素原子、置換されていてもよ
    い芳香族基、水酸基、アルコキシ基、アシル基、アルコ
    キシカルボニル基、シアノ基、N−アルキルアミド基、
    アミド基または一般式(A)で表される基を表す。 【化2】 一般式(I)及び一般式(A)中、R2、R3、R4、R5
    およびR6はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、
    置換されていてもよい低級アルキル基、水酸基、アルコ
    キシ基、シアノ基、置換されていてもよいアルコキシカ
    ルボニル基、ホルミル基、置換されていてもよいカルバ
    モイル基、置換されていてもよい芳香族基、置換されて
    もよいアミノ基および置換されていてもよいスルホニル
    基を表す。また、R3とR4の間および/またはR5とR6
    との間で5員環、6員環、7員環などの環やヘテロ原子
    を含む環や芳香族環を形成してもよい。また、これら形
    成された環状部分がハロゲン原子、低級アルキル基、水
    酸基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ
    カルボニル基、ホルミル基、カルバモイル基、アミノ
    基、スルホニル基などで置換されていてもよい。
  18. 【請求項18】 N−置換−1,2−ジヒドロピリジン
    誘導体化合物またはN−置換−1,6−ジヒドロピリジ
    ン誘導体化合物が請求項17記載の一般式(I)で表さ
    れる化合物である請求項2記載のネガ型ハロゲン化銀写
    真感光材料。
  19. 【請求項19】 N−置換−1,2−ジヒドロピリジン
    誘導体化合物またはN−置換−1,6−ジヒドロピリジ
    ン誘導体化合物が請求項17記載の一般式(I)で表さ
    れる化合物であることを特徴とする請求項9記載の写真
    現像液。
  20. 【請求項20】 レダクトン類が、一般式(II)で表
    される化合物またはその塩である請求項1記載の硬調ネ
    ガ画像の形成方法。 【化3】 (式中、R7は水素原子または水酸基を表し、lは1か
    ら4の整数を表す。)
  21. 【請求項21】 レダクトン類が、請求項20記載の一
    般式(II)で表される化合物またはその塩である請求
    項9記載の写真現像液。
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