JP3222351B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3222351B2
JP3222351B2 JP08968995A JP8968995A JP3222351B2 JP 3222351 B2 JP3222351 B2 JP 3222351B2 JP 08968995 A JP08968995 A JP 08968995A JP 8968995 A JP8968995 A JP 8968995A JP 3222351 B2 JP3222351 B2 JP 3222351B2
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Color Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザープリンタ、複
写機、レーザーファックス等に用いられる画像形成装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、感光体ドラムに形成された静
電潜像にトナーを付着させて現像し、このトナー像を、
転写ドラムに巻き付けられた転写紙に転写する画像形成
装置がある。
【0003】このような画像形成装置は、例えば図21
に示すように、誘電体層101aを有する円筒101内
部に、転写紙Pを吸着するコロナ帯電器102と、感光
体ドラム103表面に形成されたトナー像を転写紙Pに
転写させるコロナ帯電器104とが別々に配設されてお
り、各帯電器102・104によって転写紙Pの吸着と
転写とを別々に行うようになっている。
【0004】また、図22に示すように、外層の半導電
体層201aと内層の基材201bの2層構造の円筒2
01と、搬送された転写紙Pを上記円筒201に沿わせ
て保持するためのグリップ機構202とを備えた画像形
成装置がある。この画像形成装置では、搬送された転写
紙Pを上記グリップ機構202によりその端部を掴んで
円筒201の表面に沿わせた後、円筒201の外層の半
導電体層201aに電圧を印加するか、或いは円筒20
1内部に設けられた帯電器により放電することによって
円筒201表面を帯電させて、感光体ドラム103のト
ナー像を転写紙Pに転写するようになっている。
【0005】ところが、図21に示す画像形成装置で
は、転写ローラである円筒101が誘電体層101aの
みの一層構造となっているため、その内部に、上記した
コロナ帯電器102・104を配設する必要がある。こ
のため、円筒101の大きさが制限され、装置を小型化
することができないという問題が生じている。
【0006】また、図22に示す画像形成装置では、転
写ローラである円筒201を2層構造とすることで、転
写紙Pにトナー像を転写するための円筒201の帯電を
行うようになっているので、帯電器の数が少なくて済
む。しかしながら、上記グリップ機構202を備えてい
るので、画像形成装置全体の構成が複雑なものとなり、
これによって、装置全体の部品点数が多くなり、装置の
製造に係る費用が増加するという問題が生じている。
【0007】そこで、上記各課題を解決するために、例
えば特開平2−74975号公報には、接地された金属
ロール上に、導電性ゴムと誘電体フィルムが積層された
転写ドラムの転写紙の剥離位置付近にユニポーラ電源に
より駆動されるコロナ帯電器を設けた画像形成装置が開
示されている。
【0008】上記の画像形成装置では、コロナ帯電器に
よって誘電体フィルムに電荷を誘起させて転写紙を転写
ドラムに吸着させている。また、転写紙が吸着されると
さらに電荷が誘起され、転写が行われる。
【0009】したがって、上記の画像形成装置によれ
ば、一つの帯電器により転写ドラム表面の帯電を行い転
写紙を吸着し、転写するようになっているので、帯電器
が一つで済み、転写ドラムを小型化することができる。
また、転写紙を保持するための上記したグリップ機構2
02等のような機構を必要とせず、簡素な構造で転写紙
を吸着させることができる。
【0010】ところが、上記公報の画像形成装置では、
転写ドラムの表面帯電を、コロナ帯電器の空中放電によ
って行っている。このため、カラープリントの場合、即
ち転写行程が複数回行われるような場合では、一回の転
写が終わる毎にコロナ帯電器により電荷を補給してい
る。したがって、上記コロナ帯電器の駆動を制御するユ
ニポーラ電源等で構成される帯電ユニットが必要とな
り、装置の構成部品が増加する。この結果、装置の製造
に係る費用が増加するという問題が生じている。
【0011】また、転写ドラム表面に疵が付くと、空中
放電による帯電では、電界領域が小さくなり、上記の疵
の部分で電界バランスが狂い、その部分で白抜け等の転
写不良が生じ、画質の低下を招く。
【0012】また、空中放電によって転写ローラ表面を
帯電させているので、帯電にかかる電圧が大きなものと
なり、画像形成装置の駆動エネルギーが増大する。さら
に、空中放電は、空気の温湿度等の環境に影響され易い
ので、転写ローラの表面電位にばらつきが生じ易くな
り、転写紙の吸着不良および印字みだれ等が生じ易くな
るという問題が生じている。
【0013】そこで、特開平5−173435号公報に
は、発泡体からなる弾性層と弾性層を覆う誘電体層とを
少なくとも有する転写ドラムを備えると共に、感光体ド
ラム上に順次形成された各色のトナー像を、上記転写ド
ラム上に吸着された転写紙上に、順次重ね合わせて転写
し、転写紙上にカラー画像を形成する画像形成装置が開
示されている。
【0014】上記画像形成装置では、吸着能力、即ち、
転写紙の吸着性を向上させるために、上記弾性層と誘電
体層との間に空隙部が設けられている。そして、転写ド
ラムに近接して設けられた、電荷付与手段としての吸着
ローラに電圧を印加することにより、上記空隙部で、放
電による電荷を発生させて、転写紙を誘電体層上に静電
吸着させている。また、上記誘電体層の体積抵抗率は、
温度および湿度の影響や、クリーニング等を考慮して、
1012Ω・cm〜1017Ω・cmに設定されている。さら
に、上記弾性層の体積抵抗率は、転写後に、転写ドラム
から転写紙を分離するための除電が十分に行われるよう
に、106 Ω・cm〜1017Ω・cmに設定されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の画像
形成装置では、誘電体層および発泡体層の体積抵抗率の
組み合わせ、並びに、誘電体層、発泡体層の固定方法に
関しては明記されていない。即ち、例えば、誘電体層の
体積抵抗率が1012Ω・cmであり、かつ、弾性層の体積
抵抗率が1017Ω・cmである場合等、誘電体層の体積抵
抗率が弾性層の体積抵抗率に比べてかなり低い場合にお
いても画像形成が可能であると考えられる。
【0016】しかしながら、誘電体層の体積抵抗率が弾
性層の体積抵抗率に比べてかなり低い場合は、転写紙
に、電荷を効率よく付与することができない。このた
め、転写紙を転写ドラムに吸着させる際の静電吸着力が
低下する。従って、カラープリントの場合、感光体表面
に形成された各色のトナー像が全て転写紙に転写される
前に、転写紙が転写ドラムから剥がれ、良好な転写を行
うことができないという問題点を有している。
【0017】また、上記の画像形成装置では、アルミニ
ウムシリンダ上に、発泡ウレタンからなる弾性体シート
を巻き付けることによって弾性層を形成し、この弾性層
上に、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)からなる誘電
体シートを巻き付けることによって誘電体層を形成する
ことで、弾性層と誘電体層との間に空隙を設けている。
【0018】しかしながら、上記の画像形成装置では、
アルミニウムシリンダ上に、発泡ウレタンからなる弾性
体シートを巻き付けているだけなので、誘電体層と弾性
層の間に、空隙がかなり発生し、導電体層から弾性層へ
の電荷の移動、弾性層から誘電体層への電荷の移動を阻
害し、転写紙の転写ドラム上への静電吸着力の低下を引
き起こす虞れがある。つまり、弾性層は、発泡ウレタン
の集合体であるから、発泡ウレタン粒子間には、空隙が
形成される。この空隙は、弾性層を誘電体層で覆った後
でもそのまま残るものである。このような空隙は、体積
も形成密度も一定ではない。このため、上記空隙を一定
して設けることができない。
【0019】従って、転写紙を転写ドラムに吸着させる
際の静電吸着力の低下を招き、安定して静電吸着を行う
ことができないという問題点を有している。このため、
弾性層と誘電体層との間に空隙を設けずに静電吸着力の
向上を図ることができる転写技術が望まれている。
【0020】さらに、上記の画像形成装置では、転写紙
を転写ドラムに吸着させるための吸着ローラ用の電源
と、トナー像を、転写ドラムに巻き付けられた転写紙に
転写させる際に、転写紙にトナーと逆極性の電圧を印加
させるための電源とが少なくとも必要となる。従って、
装置の構成部品が増加し、この結果、装置の製造に係る
費用が増加するという問題点を有している。
【0021】本発明は、上記各問題点に鑑みなされたも
のであって、その目的は、簡単な構成で、転写ローラ等
の転写装置の表面電位を均一に、且つ安定して保持し、
これにより、転写紙の転写装置への吸着不良および転写
紙へのトナー像の転写不良を無くし、転写紙に形成され
る画像を良好にし得る画像形成装置を提供することにあ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の画像形成
装置は、表面にトナー像が形成される像担持体(例え
ば、感光体ドラム)と、転写紙を上記像担持体に当接さ
せることにより、像担持体上に形成されたトナー像を転
写する転写手段(例えば、転写ドラム)とを有する画像
形成装置において、上記転写手段は、転写紙の当接面側
から、例えばポリフッ化ビニリデンからなる誘電体層、
例えば、発泡ウレタンからなる半導電体層および例えば
アルミニウムからなる導電体層が順に積層され、上記導
電体層に所定の電圧を印加する電圧印加手段(例えば、
電源部)と、上記誘電体層表面の転写位置から上流側の
表面に、転写紙を介して接触する接地された電極部材
(例えば、導電性ローラ)とが設けられていると共に、
上記誘電体層および半導電体層として、一体成形2層高
分子フィルムシートを使用し、上記誘電体層、半導電体
層および導電体層が空隙を生じないように密着されてい
ることを特徴としている。
【0023】
【0024】請求項2記載の画像形成装置は、表面にト
ナー像が形成される像担持体(例えば、感光体ドラム)
と、転写紙を上記像担持体に当接させることにより、像
担持体上に形成されたトナー像を転写する転写手段(例
えば、転写ドラム)とを有する画像形成装置において、
上記転写手段は、転写紙の当接面側から、例えばポリフ
ッ化ビニリデンからなる誘電体層、例えば、発泡ウレタ
ンからなる半導電体層および例えばアルミニウムからな
る導電体層が順に積層され、上記導電体層に所定の電圧
を印加する電圧印加手段(例えば、電源部)と、上記誘
電体層表面の転写位置から上流側の表面に、転写紙を介
して接触する接地された電極部材(例えば、導電性ロー
ラ)とが設けられていると共に、上記誘電体層および半
導電体層として、一体成形2層高分子フィルムシートを
使用し、上記一体成形2層高分子フィルムシートは、導
電体層上に熱収縮によって固定されていることを特徴と
している。
【0025】請求項3記載の画像形成装置は、請求項1
または2の構成に加えて、上記誘電体層の体積抵抗率
が、半導電体層の体積抵抗率の40%以上であることを
特徴としている。
【0026】請求項4記載の画像形成装置は、請求項1
ないし3の何れか1項の構成に加えて、上記誘電体層の
体積抵抗率が109 Ω・cm〜1015Ω・cmであるこ
とを特徴としている。
【0027】請求項5記載の画像形成装置は、請求項1
ないし4の何れか1項の構成に加えて、上記半導電体層
の体積抵抗率が108 Ω・cm〜1011Ω・cmである
ことを特徴としている。
【0028】
【作用】請求項1またはの構成によれば、電極部材
が、上記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に、
転写紙を介して接触すると共に、接地されているので、
導電体層に印加された電圧の極性と同じ極性の電荷が半
導電体層に蓄積され、さらに、誘電体層および誘電体層
の表面に圧接された転写紙の表面にも、同じ極性の電荷
が誘起される。すなわち、誘電体層に接する転写紙の裏
面には、導電体層に印加された電圧の極性とは逆極性の
電荷が誘起される。これにより、導電体層に電圧を印加
するだけで、転写紙を誘電体層の表面、つまり転写手段
の表面に静電吸着させることができると共に、転写紙表
面の電荷による電位と像担持体表面のトナー像の電荷に
よる電位との間に所定の差を設けることによりトナー像
を転写紙に転写することができる。
【0029】これによって、従来のように空中放電によ
る電荷注入による転写紙の吸着、転写を行なうのではな
く、電荷の誘起による転写紙の吸着、転写を行うため、
電圧も低くてすみ、電圧のコントロールも行い易い。ま
た、外圧による電圧のばらつきを無くすことができる。
さらに、転写紙を誘電体層の表面、つまり転写手段の表
面に静電吸着させるための電源と、像担持体上に形成さ
れたトナー像を転写紙に転写するための電源を別々に設
ける必要がないため、安価な構成とすることができる。
【0030】さらに、上記導電体層と半導電体層とが空
隙を生じないように密着されていることで、導電体層か
ら半導電体層への電荷の移動が空隙によって阻害される
ことが無い。また、半導電体層と誘電体層とが空隙を生
じないように密着されていることで、半導電体層から誘
電体層への電荷の誘起が空隙によって阻害されることが
無い。
【0031】尚、上記導電体層と半導電体層との間に空
隙が生じると、空隙が抵抗として働き、導電体層から半
導電体層への電荷の移動を阻害する虞れがあるため、好
ましくない。また、上記半導電体層と誘電体層との間に
空隙が生じると、空隙が抵抗として働き、半導電体層か
ら誘電体層への電荷の誘起を阻害する虞れがあるため、
好ましくない。さらに、上記空隙は、体積や形成密度等
が一定しておらず、制御が容易ではないため、空隙を設
けずに静電吸着力の向上を図ることが望ましい。
【0032】そこで、請求項1またはの構成によれ
ば、転写紙を転写ドラム上に安定して静電吸着すること
ができる。これによって、像担持体上に形成された各色
のトナー像が全て転写紙に転写される間、転写手段から
転写紙が剥がれることなく、転写紙を転写手段上に安定
して静電吸着することができる。従って、像担持体から
転写手段へ、良好なトナー転写を行うことができ、安定
した画像を供給することができる。
【0033】また、請求項1または2の構成によれば、
上記誘電体層および半導電体層として、一体成形2層高
分子フィルムシートを用いることで、請求項1の作用を
得るためのより具体的な設計指針を提供することができ
る。さらに、導電体層に密着させる層が一層で済むこと
から、誘電体層と半導電体層の2層を別々に密着させる
方法に比べて、より簡単な構成で転写手段を形成するこ
とができる。
【0034】また、一体成形高分子2層フィルムシート
を用いることで、上記誘電体層および半導電体層として
の体積抵抗率の異なる各フィルムシート間は密着してお
り、微小な空隙は存在しない。一方、誘電体層と半導電
体層を2層別々に設ける場合には、誘電体層と半導電体
層との間に、微小空隙が常に存在する。この微小空隙
が、無視できない抵抗となるので、パッシェン放電特
性、電荷注入特性を低減させる。つまり、誘電体層と半
導電体層を2層別々に設ける場合には、同じ印加電圧に
対して、転写紙上に発生する電荷量が一体成形2層高分
子フィルムシートより減り、転写紙の静電吸着力が低下
する。これにより、上記誘電体層および半導電体層とし
て、一体成形2層高分子フィルムシートを用いること
で、転写紙を転写手段上にさらに安定して静電吸着する
ことができる。従って、誘電体層および半導電体層とし
て一体成形2層高分子フィルムシートを用いることで、
像担持体から転写手段へ、良好なトナー転写を行うこと
ができ、さらに安定した画像を供給することができる。
【0035】また、請求項2の構成によれば、一体成型
2層高分子フィルムシートは、導電体層上に、熱収縮に
よる固定方法によって固定することができる。従って、
半導電体層と誘電体層とを密着させることにより、帯電
性能および除電性能を向上させることができ、この結
果、転写紙の転写手段への吸着力を向上させると共に、
トナー転写を良好に行なうことができる。
【0036】さらに、請求項3の構成によれば、上記誘
電体層の体積抵抗率が、半導電体層の体積抵抗率の40
%以上に設定されていることで、転写紙の任意の位置が
上記転写手段と電極部材との間の密接部分を通過した後
も上記誘電体層上の帯電電位が上昇する。即ち、上記誘
電体層の体積抵抗率が、半導電体層の体積抵抗率の40
%以上に設定されていることで、誘電体層が電源として
働く電流成分より、回路を流れる電流成分の方を大きく
することができる。言い換えると、コンデンサーとして
の機能が、電源としての機能を上回ることになるので、
誘電体層は電荷を蓄積する。
【0037】これによって、像担持体上に形成された各
色のトナー像が全て転写紙に転写さ れる間、転写手段か
ら転写紙が剥がれることなく、転写紙を転写手段上に安
定して静電吸着することができる。従って、像担持体か
ら転写手段へ、良好なトナー転写を行うことができ、安
定した画像を供給することができる。
【0038】また、請求項4の構成によれば、誘電体層
の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1015Ω・cmに設定
されていることで、像担持体上に形成された各色のトナ
ー像が全て転写紙に転写される間、転写手段から転写紙
が剥がれることなく、転写紙を転写手段上に安定して静
電吸着することができる。
【0039】誘電体層の体積抵抗率が10 9 Ω・cmよ
り小さければ、抵抗値が低すぎるため、トナー転写の際
に、像担持体と転写手段との間において、電流が流れす
ぎる。これにより、像担持体上のトナーが、転写紙側へ
移動する際に流れる電流成分より、像担持体と転写手段
との間において、オームの法則が成立する回路接触によ
り流れる電流成分の方が優先して流れるため、トナーが
転写紙に移動できない。即ち、再転写が起こるため好ま
しくない。
【0040】一方、誘電体層の体積抵抗率が10 15 Ω・
cmより大きければ、抵抗値が高すぎるため、像担持体
と転写手段との間において、オームの法則が成立する回
路接触により流れる電流成分、および、像担持体上のト
ナーが、転写紙に移動する際に流れる電流成分の両方が
流れにくくなるため、トナーが転写紙に移動できない。
即ち、転写不良が起こるため好ましくない。
【0041】このことから、誘電体層の体積抵抗率が1
9 Ω・cm〜1015Ω・cmに設定されていること
で、請求項3の効果を得るためのより具体的な設計指針
を提供することができると共に、いわゆる再転写や転写
不良がなく、効率よく転写を行うことができる。従っ
て、像担持体から転写手段へ、効率よく、良好なトナー
転写を行うことができ、さらに安定した画像を供給する
ことができる。
【0042】また、請求項5の構成によれば、半導電体
層の体積抵抗率が10 8 Ω・cm〜 10 11 Ω・cmに設
定されていることで、像担持体上に形成された各色のト
ナー像が全て転写紙に転写される間、転写手段から転写
紙が剥がれることなく、転写紙を転写手段上に安定して
静電吸着することができる。
【0043】半導電体層の体積抵抗率が10 8 Ω・cm
より小さければ、抵抗値が低すぎるため、トナー転写の
際に、像担持体と転写手段との間において、電流が流れ
すぎる。これにより、像担持体上のトナーが、転写紙側
へ移動する際に流れる電流成分より、像担持体と転写手
段との間において、オームの法則が成立する回路接触に
より流れる電流成分の方が優先して流れるため、トナー
が転写紙に移動できない。即ち、再転写が起こるため好
ましくない。
【0044】一方、半導電体層の体積抵抗率が10 11 Ω
・cmより大きければ、抵抗値が高すぎるため、像担持
体と転写手段との間において、オームの法則が成立する
回路接触により流れる電流成分、および、像担持体上の
トナーが、転写紙に移動する際に流れる電流成分の両方
が流れにくくなるため、トナーが転写紙に移動できな
い。即ち、転写不良が起こるため好ましくない。
【0045】このことから、半導電体層の体積抵抗率が
108 Ω・cm〜1011Ω・cmに設定されていること
で、請求項3の効果を得るためのより具体的な設計指針
を提供することができると共に、いわゆる再転写や転写
不良がなく、効率よく転写を行うことができる。従っ
て、像担持体から転写手段へ、効率よく、良好なトナー
転写を行うことができ、さらに安定した画像を供給する
ことができる。
【0046】
【実施例】〔実施例1〕 本発明の一実施例について図1ないし図20に基づいて
説明すれば、以下のとおりである。
【0047】本実施例に係る画像形成装置は、図2に示
すように、トナーによる画像が形成される記録紙として
の転写紙P(図1参照)をストックし、供給する給紙部
1、トナー像を転写紙Pに転写する転写部2、トナー像
を形成する現像部3、および転写紙Pに転写されたトナ
ー像を融着させて定着させる定着部4から構成されてい
る。
【0048】上記給紙部1には、本体最下段に着脱自在
に配設され、転写紙Pをストックして上記転写部2に供
給する給紙カセット5、および本体正面側に設けられ、
正面から転写紙Pを手差しで一枚ずつ供給する手差し供
給部6が設けられている一方、上記給紙カセット5の最
上部から、転写紙Pを一枚ずつ送り出すピックアップロ
ーラ7、ピックアップローラ7により送り出された転写
紙Pを搬送するPFローラ8、および手差し供給部6か
ら供給された転写紙Pを搬送する手差しローラ9、およ
び上記PFローラ8、手差しローラ9により搬送された
転写紙Pをカールするプリカールローラ10が設けられ
ている。
【0049】上記給紙カセット5には、上方にバネ等に
より付勢された送り出し部材5aが設けられ、この送り
出し部材5a上に転写紙Pを積層するようになってい
る。これによって、給紙カセット5の転写紙Pは、最上
部が上記ピックアップローラ7に当接し、ピックアップ
ローラ7の矢印方向の回転により一枚ずつPFローラ8
に送り出され、プリカールローラ10に搬送される。
【0050】一方、手差し供給部6から供給された転写
紙Pも、手差しローラ9によりプリカールローラ10に
搬送される。
【0051】上記プリカールローラ10は、前述したよ
うに搬送された転写紙Pをカールさせるが、これは、転
写紙Pが、転写部2に備えられた円筒状の転写ドラム1
1の表面に吸着され易いようにするためである。
【0052】上記転写部2には、上記した転写手段とし
ての転写ドラム11が設けられており、この転写ドラム
11の周りには、接地された電位差生成手段として機能
し、転写ドラム11の回転に従動して回転する導電性ロ
ーラ12、転写ドラム11から落ちないように転写紙を
ガイドするガイド部材13、転写ドラム11に吸着され
た転写紙Pを強制的に剥離する剥離爪14等が配設され
ている。また、上記転写ドラム11は、その表面に静電
気によって転写紙Pを吸着するようになっている。従っ
て、さらに、転写ドラム11の周りには、転写紙Pが転
写ドラム11より剥離された後、転写ドラム11に作用
し、転写紙Pの剥離時等に転写ドラム11に付与された
残留電荷を除去する除電装置11aが設けられている。
尚、上記除電装置11aは、前記導電性ローラ12の上
流側に設けられている。これにより、転写ドラム11に
は、残留電荷が存在せず、次の転写紙Pの吸着が安定し
て行われる。また、転写ドラム11の周りには、上記除
電装置11aの上流側に、転写紙Pが転写ドラム11よ
り剥離された後、転写ドラム11に作用し、転写ドラム
11に付着した残留トナーを除去するクリーニング装置
11bが配設されている。これにより、転写ドラム11
は、次の転写紙Pが吸着されるまでに清掃され、次の転
写紙Pの吸着が安定して行われる。尚、上記の剥離爪1
4は、転写ドラム11表面に離接自在に設けられてい
る。また、上記転写ドラム11の構造の詳細は後述す
る。
【0053】また、現像部3には、上記転写ドラム11
に圧接する像担持体としての感光体ドラム15が設けら
れており、この感光体ドラム15は、接地された導電性
のアルミニウム素管15aからなり、その表面にOPC
膜15b(図10・図11参照)が塗布されている。
【0054】また、この感光体ドラム15の周りには、
イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各トナーを収
納した現像器16、17、18、19が放射状に配設さ
れると共に、感光体ドラム15表面を帯電する帯電器2
0、感光体ドラム15表面の残留トナーを掻き取り除去
するクリーニングブレード21が配設されており、上記
各トナー毎に、感光体ドラム15上にトナー像が形成さ
れる。即ち、上記感光体ドラム15によれば、一色毎に
帯電・露光・現像・転写を繰り返すようになっている。
従って、カラー転写の場合、転写ドラム11に静電吸着
された転写紙Pに対して、転写ドラム11が一回転する
毎に、一色ずつのトナー像が転写紙Pに転写され、最大
4回転で1つのカラー画像を得るようになっている。
【0055】尚、上記の感光体ドラム15と転写ドラム
11とは、転写効率および画質から転写部位で8kgの
圧力が加わるように圧接されている。
【0056】また、定着部4には、所定温度・圧力によ
りトナー像を融着して転写紙Pに定着する定着ローラ2
3と、トナー像転写後、転写ドラム11から剥離爪14
によって剥離された転写紙Pを上記定着ローラ23まで
ガイドする定着ガイド22とが設けられている。
【0057】また、上記定着部4の転写紙搬送の下流側
には、排出ローラ24が設けられ、定着後の転写紙Pを
装置本体から排出トレイ25上に排出するようになって
いる。
【0058】ここで、上記転写ドラム11の構造につい
て説明する。上記転写ドラム11は、図1に示すよう
に、基材として円筒状のアルミニウムからなる導電体層
26と、半導電体層27と、誘電体層28とで構成され
ており、上記導電体層26には、電源部32が接続さ
れ、帯電電圧あるいは除電電圧が印加されるようになっ
ている。
【0059】上記半導電体層27は、特に限定されるも
のではないが、例えば、ウレタン等の半導電体物質から
なっている。
【0060】参考までに、上記の半導電体層27を発泡
ウレタンにより形成する場合には、導電体層26上に直
接ウレタンを発泡成型することが可能となる。
【0061】ウレタンを導電体層26上に発泡成型する
方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
先ず、ビーズ状の原料を予め加熱して1次発泡させた
後、所定時間、放置・養生・乾燥させる。次いで、上記
1次発泡品を導電体層26で形成された金型に詰め、再
加熱して2次発泡によって粒間を埋めると共に、融着さ
せて成型し、導電体層26上にウレタンからなる半導電
体層27を固定する。これによって、導電体層26と誘
電体層27との間の空隙は除去され、導電体層26と誘
電体層27とは、密着する。
【0062】このように、導電体層26上に直接ウレタ
ンを発泡成型することで、導電体層26と半導電体層2
7との密着性を向上させることができ、発泡ウレタンか
らなるシートを導電体層26に巻き付けることによって
半導電体層27を形成した時のように、導電体層26と
半導電体層27との間の空隙、半導電体層27と誘電体
層28との間の空隙による静電吸着の低下が起こらな
い。これにより、マルチプリント時も含めて、転写ドラ
ム11への転写紙の密着およびトナー転写を良好に行な
うことができる。
【0063】しかしながら、上記の発泡成型方法に限定
するものではなく、他の方法によって半導電体層27を
発泡成型しても良い。
【0064】また、誘電体層28は、導電体層26上に
半導電体層27を形成した後、半導電体層27上に形成
される。上記誘電体層28は、特に限定されるものでは
ないが、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等
の誘電体物質からなっている。
【0065】参考までに、上記の誘電体層28をPVD
Fにより形成する場合には、PVDFを、円筒状シーム
レス薄膜シート状に形成して、熱収縮により、半導電体
層27に固定することが可能となる。
【0066】ここで、PVDFの円筒状シームレス薄膜
シートの製造方法について、図3ないし図5を参照しな
がら、以下に説明する。尚、図3は、成形材料を加熱し
て押し出す、一般的な押出機の押出部54を示すもので
ある。上記押出部54は、成形材料供給口としてのホッ
パー55と、上記成形材料を後述のダイ59に押し出す
ためのスクリュー57を備えたシリンダ56と、上記成
形材料を加熱、あるいは冷却するための加熱・冷却ユニ
ット58と、シリンダ56の下流側に設けられた、円形
開口部を有するダイ59とを備えている。
【0067】また、図4は、上記押出機の先端部分に設
けられ、上記押出部54により押し出された成形材料を
冷却・固化することによって、所定の形状、および寸法
を有する成形物に成形するサイジング部60を示すもの
である。
【0068】さらに、図5は、上記押出機のサイジング
部60から押し出された成形物を引き取って、巻取り、
もしくは裁断する引取機61を示すものであり、複数の
ニップロール62…を備えた一対のゴムベルト63で構
成されている。
【0069】先ず、上記原料ホッパー55から、PVD
Fのペレットをシリンダ56に供給する。次いで、上記
PVDFのペレットを、シリンダ56内で、加熱・冷却
ユニット58によって加熱することにより、可塑化す
る。一方、スクリュー57が、溶融されたPVDFを練
りながらいわゆるねじ抜きの原理で後退し、スクリュー
57先端部に溜まったPVDFを一気に射出する。
【0070】このようにしてシリンダ56から射出され
たPVDFは、ダイ59に搬送され、ダイ59の円形開
口部を通って射出されることで、その形状および厚みが
決定される。
【0071】次いで、PVDFは、サイジング部60に
搬送され、図4に示すように、加熱・冷却ユニット58
の冷却部58aによって水冷されることで、内側からそ
の形状・寸法が規制される。
【0072】サイジング部60から引き取られたPVD
Fは、図5に示すように、引取機61のゴムベルト63
・63間に、取込まれ、裁断されることによって、円筒
状シームレス薄膜シートが形成される。
【0073】上記PVDFの円筒状シームレス薄膜シー
トを半導電体層27上に固定する方法としては、例えば
上記PVDFの円筒状シームレス薄膜シートを熱収縮さ
せることで、半導電体層27上に固定する方法が挙げら
れる。つまり、加熱されることで異方体を形成した熱溶
融性の極性鎖状高分子であるPVDFが、再び加熱され
ることによって、その配向性が崩れ、再び元の状態に戻
ろうとして収縮するため、半導電体層27上に密着固定
される。
【0074】尚、上記の熱収縮には、乾式法と湿式法と
があり、PVDFの抵抗値、誘電率等の諸物性の変化を
少なくさせることができることから、乾式法によって熱
収縮を行う方法がより好ましい。即ち、誘電体層28に
PVDFを使用した場合、乾式法による熱収縮により半
導電体層27上に誘電体層28を密着固定させること
で、半導電体層27と誘電体層28との間の空隙は除去
され、転写紙Pの転写ドラム11への吸着およびトナー
転写を安定して行なうことができる。
【0075】さらに、上述したように、半導電体層27
として発泡ウレタンを用いると共に、誘電体層28とし
てPVDFの円筒状シームレス薄膜シートを用いる場
合、半導電体層27と誘電体層28とを同時に加熱する
ことにより、ウレタンの発泡成形と、PVDFの円筒状
シームレス薄膜シートの熱収縮を同時に行うことができ
る。これにより、導電体層26と半導電体層27との
間、および半導電体層27と誘電体層28との間の空隙
が共に除去され、導電体層26と半導電体層27との密
着性が良くなると共に、半導電体層27と誘電体層28
との密着性が良くなる。従って、マルチプリント時も含
めて転写紙P等の転写ドラム11への吸着性およびトナ
ー転写性能の向上を図ることができる。
【0076】参考までに、半導電体層27と誘電体層2
8とを密着させる別の方法としては、半導電体層27と
誘電体層28との間に、導電性接着剤を塗布する方法が
挙げられる。これによっても、半導電体層27と誘電体
層28との間の空隙が除去され、密着性が良くなり、マ
ルチプリント時も含めて転写紙P等の転写ドラム11へ
の吸着性およびトナー転写性能の向上を図ることができ
る。
【0077】尚、上記のようにして得られた半導電体層
27、誘電体層28の誘電率および抵抗値は、充填剤あ
るいは導電剤の含有率および/または層厚を適宜設定す
ることで、容易に所定の値に制御することができる。こ
れによって、所望する帯電性能等の特性を得ることがで
きる。
【0078】半導電体層27と誘電体層28とを密着さ
せるさらに別の方法としては、半導電体層27と誘電体
層28とを1枚の薄膜シートとして形成する一体成型2
層高分子フィルムシート(一体成型シート)を使用する
方法が挙げられる。この場合の一体成型2層高分子フィ
ルムシートの製造方法と、この一体成型2層高分子フィ
ルムシートの導電体層26への熱収縮固定方法とについ
て以下に説明する。
【0079】上記の一体成型2層高分子フィルムシート
は、図6に示す成型機64によって形成される。上記成
型機64は、成型機64の側部に設けられた一方の誘電
体層用ダイ64aと、成型機64の上部に設けられた他
方の半導電体層用ダイ64bとの2層ダイ構造となって
おり、上記誘電体層用ダイ64aと、半導電体層用ダイ
64bとは、合流点65で合流するようになっている。
【0080】先ず、誘電体層28を形成する外層用樹脂
が、図示しない押出機によって誘電体層用ダイ64aに
圧入され、合流点65まで搬送される。同時に、半導電
体層27を形成する内面被膜用樹脂が、図示しないスク
リュー押出機を介して半導電体層用ダイ64bに圧入さ
れ、スパイラルダイを通って合流点65まで搬送され
る。これによってそれぞれの樹脂は合流点65にて合流
し、共通の押出口66から、溶融状の2層フィルム、即
ち、溶融状の一体成型2層高分子フィルムシートとして
押出口66から押し出される。
【0081】このようにして押し出された上記溶融状の
一体成型2層高分子フィルムシートは、いわゆる空気加
圧サイジング法もしくはいわゆるウエットバキュームサ
イジング法によって冷却固化される。
【0082】以上のようにして形成された一体成型2層
高分子フィルムシートは、充填剤あるいは導電剤の含有
率および/または層厚を適宜設定することで、その誘電
率、抵抗値を容易に所定の値に制御することができる。
これにより、一体成型2層高分子フィルムシートにおけ
る誘電体層28、半導電体層27のそれぞれの誘電率お
よび抵抗値を、誘電体層28と半導電体層27とを別々
に形成した場合における誘電体層28、半導電体層27
のそれぞれの誘電率および抵抗値と同様に設定すること
ができる。従って、一体成型2層高分子フィルムシート
を用いる場合においても、誘電体層28と半導電体層2
7とを別々に形成した場合においても、同様の帯電性能
等の特性を得ることができる。
【0083】以上のようにして形成された一体成型2層
高分子フィルムシートは、導電体層26上に、前記熱収
縮による固定方法によって固定することができる。従っ
て、半導電体層27と誘電体層28とを密着させること
により、帯電性能および除電性能を向上させることがで
き、この結果、転写紙Pの転写ドラム11への吸着力を
向上させると共に、トナー転写を良好に行なうことがで
きる。
【0084】さらに、上記誘電体層28および半導電体
層27として、一体成形2層高分子フィルムシートを用
いることで、導電体層26に密着させる層が一層で済む
ことから、誘電体層28と半導電体層27との2層を別
々に密着させる方法に比べて、より簡単な構成で転写手
段を形成することができる。
【0085】また、一体成形高分子2層フィルムシート
を用いることで、上記誘電体層28および半導電体層2
7としての体積抵抗率の異なる各フィルムシート間は密
着しており、微小な空隙は存在しない。一方、誘電体層
28と半導電体層27とを2層別々に設ける場合には、
誘電体層28と半導電体層27との間に、微小空隙が存
在し、この微小空隙が、無視できない抵抗となるので、
パッシェン放電特性、電荷注入特性を低減させる。つま
り、誘電体層28と半導電体層27とを2層別々に設け
る場合には、同じ印加電圧に対して、転写紙P上に発生
する電荷量が一体成形2層高分子フィルムシートより減
り、転写紙Pの静電吸着力が低下する。
【0086】従って、上記誘電体層28および半導電体
層27として、一体成形2層高分子フィルムシートを用
いることで、転写紙Pを転写ドラム11上にさらに安定
して静電吸着することができる。従って、感光体ドラム
15から転写ドラム11へ、良好なトナー転写を行うこ
とができ、さらに安定した画像を供給することができ
る。
【0087】尚、上記導電体層26と半導電体層27と
誘電体層28とを固定させる別の方法として、例えば図
7に示すように、シート状に形成された半導電体層27
および誘電体層28の各両端部に設けられた各層を貫通
する複数の貫通穴29…に、シート押さえ板30に設け
られたボス30a…を嵌合させ、さらに、このボス30
a…を導電体層26上面に設けられた開口部26aに嵌
合させて半導電体層27および誘電体層28を導電体層
26に固定させる方法もある。
【0088】上記の固定方法では、半導電体層27およ
び誘電体層28は、上記シート押さえ板30により導電
体層26の内側にテンションをかけるようになってお
り、これによって、各層の浮きや弛みを防止するように
なっている。
【0089】この場合、上記各層は、シート押さえ板3
0によって固定されているだけなので、簡単に各層を取
り替えることができる。
【0090】さらに、上記の固定方法の他に、例えば図
8に示すように、両端部にボス31a…、中央に固定部
材31bが設けられたシート押さえ部材31によって、
半導電体層27および誘電体層28からなるシートを導
電体層26に固定する方法もある。
【0091】上記固定方法では、導電体層26の開口部
26aの両端側に設けられた嵌合穴26b…に、上記の
シート押さえ部材31のボス31a…を嵌合させ、上記
の開口部26aに、シート押さえ部材31の固定部材3
1bを挿入し、半導電体層27および誘電体層28から
なるシートを導電体層26に固定するようになってい
る。このような方法で各層を固定しても上記したように
簡単に各層を取り替えることができる。
【0092】尚、上記の導電体層26として円筒状のア
ルミニウムを使用しているが、他の導電体を使用しても
良い。また、半導電体層27を発泡ウレタンで形成して
いるが、他の半導電体としてシリコン等の弾性体を使用
しても良い。また、誘電体層28をPVDFで形成して
いるが、他の誘電体としてポリエチレンテレフタレート
等の樹脂を使用しても良い。
【0093】上述したように、導電体層26、半導電体
層27、および誘電体層28の製造方法および固定方法
は、特に限定されるものではないが、参考までに、半導
電体層27として発泡ウレタンを用いると共に、誘電体
層28としてPVDFの円筒状シームレス薄膜シートを
用いて、加熱することによって上記各層を固定する方法
は、ウレタンの発泡成形と、PVDFの円筒状シームレ
ス薄膜シートの熱収縮を同時に行うことができ、導電体
層26と半導電体層27との密着性が良くなると共に、
半導電体層27と誘電体層28との密着性が良くなる
【0094】さらに、ウレタンの発泡成形と、PVDF
の円筒状シームレス薄膜シートの熱収縮を同時に行うこ
とで、半導電体層27と誘電体層28とを別々に製造し
てから、別々に固定する方法に比べて、製造工程が少な
くなり、製造方法にかかる費用が安価なものになる。
【0095】また、誘電体層28および半導電体層27
として、一体成形2層高分子フィルムシートを用いる方
法が、誘電体層28および半導電体層27としての体積
抵抗率の異なる各フィルムシート間が密着しており、微
小な空隙が存在しないので、転写紙Pを転写ドラム11
上にさらに安定して静電吸着することができることか
ら、好ましい。
【0096】さらに、誘電体層28および半導電体層2
7として、一体成形2層高分子フィルムシートを用いる
ことで、導電体層26に密着させる層が一層で済むこと
から、誘電体層28と半導電体層27との2層を別々に
密着させる方法に比べて、より簡単な構成で転写ドラム
11を形成することができる。
【0097】また、転写ドラム11の誘電体層28の幅
は、図9に示すように、感光体ドラム15を形成する感
光体素管(アルミニウム素管15a)幅よりも大きく、
また、この感光体素管幅は、有効転写幅よりも大きく、
さらに、この有効転写幅は、有効画像幅(OPC膜15
bの塗布幅)よりも大きくなっている。
【0098】また、転写ドラム11の各層の幅が、図1
0に示すように、導電体層26>半導電体層27>誘電
体層28の関係となるように形成されると、半導電体層
27が感光体ドラム15の接地されたアルミニウム素管
15aに接触する虞がある。
【0099】つまり、電源部32によって導電体層26
に+の電圧が印加されると、導電体層26に+の電荷が
誘起され、この+の電荷が半導電体層27表面に移動す
る。このとき、感光体ドラム15の接地されたアルミニ
ウム素管15aと、上記半導電体層27とが接触すれ
ば、半導電体層27に帯電した電荷が全て上記アルミニ
ウム素管15aに移行し、誘電体層28の表面に+の電
荷を誘起させることができなくなる。このため、転写ド
ラム11は、OPC膜15b上に吸着された−電荷のト
ナーを吸着することができず、転写不良が生じる。
【0100】そこで、転写ドラム11の各層は、図11
に示すように、導電体層26と誘電体層28との幅を同
じにし、半導電体層27の幅を上記のそれぞれの幅より
も小さくすることで、半導電体層27と接地されたアル
ミニウム素管15aとの接触を防止し、電荷のリークを
防止することができる。
【0101】これにより、転写ドラム11は、OPC膜
15b上に吸着された−電荷のトナーを吸着することが
でき、転写不良を無くすことができる。
【0102】また、転写ドラム11の直径は、転写紙P
一枚が重なることなく巻きつく大きさ、即ち、本画像形
成装置において使用できる転写紙Pの最大幅、あるいは
長さに応じた大きさに形成されている。
【0103】これにより、転写紙Pを安定して転写ドラ
ム11に巻き付けることができ、この結果、転写効率が
向上し、画質の向上を図ることができる。
【0104】尚、上記転写ドラム11の代わりに、図1
6に示すように、上記半導電体層27と誘電体層28を
有する別の転写ドラム41を用いてもよい。上記転写ド
ラム41は、転写ドラム11の導電体層26に代えて、
表面に銅箔やアルミニウム箔等の導電性を有する薄膜層
43が設けられた樹脂からなる円筒状の基材(基部層)
42を備えており、上記薄膜層43の上面には、順に半
導電体層27、誘電体層28が設けられている。
【0105】また、上記薄膜層43に電源部32を接続
し、電圧を印加することにより、前記転写ドラム11と
同様に、誘電体層28の表面に安定して電荷を誘起させ
ることができ、転写紙Pの転写ドラム41への吸着、ト
ナー像の転写を安定して行うことができる。
【0106】上記のように転写ドラム41の中心の基材
42を樹脂で形成し、その表面に薄い銅箔等の導電体を
設けることで、転写ドラム11の導電体層26を導電体
層として使用する場合に比べて、製造に係る費用を安価
にすることができる。
【0107】さらに、上記半導電体層27と誘電体層2
8を有する別の転写ドラムとして、図17に示す転写ド
ラム51を用いてもよい。上記転写ドラム51は、前記
転写ドラム41における基材42を中心の基材として使
用し、この基材42の表面に、半導電性の弾性層52が
設けられ、さらに、弾性層52の上面には、図18およ
び図19に示すように、銅板あるいはアルミニウム板等
の複数の導電体板(導電性部材)53a…が均等な間隔
で設けられた非連続な電極層(導電体層)53が形成さ
れている。
【0108】さらに、上記電極層53の上面には、順に
半導電体層27、誘電体層28が設けられている。
【0109】また、上記電極層53に電源部32を接続
し、電圧を印加することにより、転写ドラム11、およ
び転写ドラム41と同様に、誘電体層28の表面に安定
して電荷を誘起させることができ、転写紙Pの転写ドラ
ム41への吸着、トナー像の転写を安定して行うことが
できる。
【0110】尚、この場合、上記半導電体層27に電源
部32を接続して電圧を印加しても同様の効果を得るこ
とができる。
【0111】上記構成の転写ドラム51では、電極層5
3が、弾性体層52上に不連続に配設された導電体板5
3a…で形成されていることで、上記電極層53におけ
る電圧の降下は、接地された導電性ローラ12の近傍に
近づいた時だけであって、その他の時には、各導電体板
53a同士が不連続であるので、導電体板53a間の電
荷の移動がなくなり、この結果、電圧降下が生じない。
【0112】したがって、転写ポイントXでの電圧降下
を無くすことができるので、転写不良を無くし、転写効
率を向上させ、画質の向上を図ることができる。
【0113】また、上記のように導電体層としての電極
層53を、上記したように基材42の表面に、導電体板
53a…を均等な間隔で設けているだけなので、転写ド
ラム51の製造にかかる費用を低減させることができ、
これによって、装置全体の製造費用を低減させることが
できる。
【0114】ここで、上記転写ドラム11による転写紙
Pの吸着・転写動作について、図12および図13を参
照しながら以下に説明する。尚、転写ドラム11の導電
体層26には、電源部32より+の電圧が印加されてい
るものとする。
【0115】先ず、転写紙Pの吸着行程を説明する。図
12に示すように、転写ドラム11に搬送された転写紙
Pは、導電性ローラ12により誘電体層28表面に押し
つけられ、半導電体層27に蓄積された電荷が誘電体層
28に移行する。これによって、誘電体層28表面に+
電荷が誘起され、転写ドラム11側から導電性ローラ1
2側に向けて、電界が発生する。尚、導電性ローラ12
および転写ドラム11が回転することで、転写ドラム1
1表面は均一に帯電される。そして、上記誘電体層28
と導電性ローラ12との密接部分、即ち、ニップにかか
る電界強度が強くなるにつれて、空中絶縁破壊が起き、
転写ドラム11側から導電性ローラ12側へ放電、即
ち、パッシェン放電が起こる。
【0116】さらに、放電終了後、上記導電性ローラ1
2と転写ドラム11との間のニップにおいて、導電性ロ
ーラ12側から転写ドラム11側へ電荷注入が起き、転
写ドラム11表面に−電荷が蓄積される。つまり、上記
パッシェン放電およびパッシェン放電に伴う電荷注入に
よって、転写紙Pの内側、即ち、誘電体層28との接触
面側に−電荷が蓄積される。これによって、転写紙P
は、転写ドラム11に静電吸着するようになっている。
尚、この吸着力は、印加電圧が安定している限りばらつ
くことはなく、安定して転写紙Pを転写ドラム11に吸
着させることができる。
【0117】このように、空中放電による帯電ではな
く、接触による帯電が行われているので、導電体層26
に印加する電圧が低くて済む。尚、各種実験結果より、
印加電圧は+3kV以下が適当であり、さらに好ましく
は、+2kVあれば、帯電を良好に行うことができる。
【0118】また、転写ドラム11に吸着された転写紙
Pは、外側が+に帯電した状態で、転写ドラム11の矢
印方向の回転に伴って、トナー像の転写ポイントXに搬
送される。
【0119】次に、転写紙Pの転写行程を説明する。感
光体ドラム15は、図13に示すように、表面に−電荷
を有するトナーが吸着されている。したがって、表面が
+に帯電している転写紙Pが、転写ポイントXに搬送さ
れれば、転写紙Pの表面の+電荷とトナーの−電荷との
電位差により転写紙P表面にトナーが吸着され、転写さ
れる。
【0120】尚、上記転写ドラム11と感光体ドラム1
5とは、転写ポイントXによって所定のニップ幅を有す
るように圧接されている。このため、このニップ幅によ
って転写効率、即ち画質が影響される。
【0121】ここで、上記ニップ幅と画質との関係を表
1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】表1に記載された結果から、ニップ幅は、
2mm〜7mmの範囲に設定することで、画質を良好に
することができ、さらに、ニップ幅を3mm〜6mmの
範囲に設定することが望ましいことが分かる。
【0124】尚、上記半導電体層27は、体積抵抗率が
108 Ω・cm、層厚が2mm〜5mm、硬度がアスカ
ーCで25〜50の範囲で形成されている。これは、本
実施例では、転写ドラム11と感光体ドラム15とが圧
力8kgにて圧接されていることから設定されたもので
ある。
【0125】即ち、上記の半導電体層27の素材が変わ
れば、転写ドラム11と感光体ドラム15との圧接力が
変わり、所望する画質となるように、この素材に応じて
半導電体層の厚み、硬度等を変更している。
【0126】したがって、本実施例では、上記した層厚
および硬度を有する半導電体層27によって、適正なニ
ップ幅の範囲となるようになっている。
【0127】尚、上記のアスカーCとは、日本ゴム協会
における規格であり、先端形状が球になっている硬度測
定用の針をスプリングの力で試料の表面に押しつけ、試
料の抗力とスプリングの力とがバランスしたときに、針
が試料を押し込んでいる深さ(押し込み深さ)で硬度を
表すものである。アスカーCの規格では、55gの荷重
をスプリングに与えたときの針の押し込み深さが、その
針の最大変位と等しくなるような試料の硬度を0度と
し、855gの荷重をスプリングに与えたときの針の押
し込み深さが0となるような試料の硬度を100度に定
めている。
【0128】また、半導電体層27の体積抵抗率が0Ω
・cmであれば、転写紙Pの吸着開始点に配設されてい
る導電性ローラ12により、転写紙Pが転写ポイントX
に到達するまでに電圧の降下が生じる。即ち、半導電体
層27の体積抵抗率が0Ω・cmであれば、導電性ロー
ラ12が接地されていることから、導電層26から導電
性ローラ12側へと多量の電荷が移動して電圧降下が起
こる。電圧降下が起こると、転写紙Pの吸着力が低下す
る。それゆえ、上記半導電体層27が所定の体積抵抗率
を有するようにすることで、半導電体層27にコンデン
サー的な働きをさせて、電圧の降下を防止している。
【0129】ここで、上記半導電体層27の体積抵抗率
と画質との関係を表2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】表2に記載された結果から、半導電体層2
7の体積抵抗率が108 Ω・cmより小さければ、抵抗
値が低すぎるため、トナー転写の際に、感光体ドラム1
5と転写ドラム11との間において、電流が流れすぎ
る。これにより、感光体ドラム15上のトナーが、転写
紙P側へ移動する際に流れる電流成分より、感光体ドラ
ム15と転写ドラム11との間において、オームの法則
が成立する回路接触により流れる電流成分の方が優先し
て流れるため、トナーが転写紙Pに移動できない。即
ち、再転写が起こるため好ましくない。
【0132】一方、半導電体層27の体積抵抗率が10
11Ω・cmより大きければ、抵抗値が高すぎるため、感
光体ドラム15と転写ドラム11との間において、オー
ムの法則が成立する回路接触により流れる電流成分、お
よび、感光体ドラム15上のトナーが、転写紙Pに移動
する際に流れる電流成分の両方が流れにくくなるため、
トナーが転写紙Pに移動できない。即ち、転写不良が起
こるため好ましくない。また、上記半導電体層27の体
積抵抗率が109 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲であ
れば、さらに好ましいことが判る。
【0133】さらに、誘電体層28の体積抵抗率が0Ω
・cmであれば、転写紙Pの吸着開始点に配設されてい
る導電性ローラ12により、転写紙Pが転写ポイントX
に到達するまでに電圧の降下が生じる。即ち、誘電体層
28の体積抵抗率が0Ω・cmであれば、導電性ローラ
12が接地されていることから、半導電体層27から導
電性ローラ12側へと多量の電荷が移動して電圧降下が
起こる。電圧降下が起こると、転写紙Pの吸着力が低下
する。それゆえ、上記誘電体層28が所定の体積抵抗率
を有するようにすることで、誘電体層28にコンデンサ
ー的な働きをさせて、電圧の降下を防止している。
【0134】ここで、上記誘電体層28の体積抵抗率と
画質との関係を表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】表3に記載された結果から、誘電体層28
の体積抵抗率が109 Ω・cmより小さければ、抵抗値
が低すぎるため、トナー転写の際に、感光体ドラム15
と転写ドラム11との間において、電流が流れすぎる。
これにより、感光体ドラム15上のトナーが、転写紙P
側へ移動する際に流れる電流成分より、感光体ドラム1
5と転写ドラム11との間において、オームの法則が成
立する回路接触により流れる電流成分の方が優先して流
れるため、トナーが転写紙Pに移動できない。即ち、再
転写が起こるため好ましくない。一方、誘電体層28の
体積抵抗率が1015Ω・cmより大きければ、抵抗値が
高すぎるため、感光体ドラム15と転写ドラム11との
間において、オームの法則が成立する回路接触により流
れる電流成分、および、感光体ドラム15上のトナー
が、転写紙Pに移動する際に流れる電流成分の両方が流
れにくくなるため、トナーが転写紙Pに移動できない。
即ち、転写不良が起こるため好ましくない。また、上記
誘電体層28の体積抵抗率が1011Ω・cm〜1013Ω
・cmの範囲であれば、さらに好ましいことが判る。
【0137】また、上記半導電体層27の体積抵抗率
と、誘電体層28の体積抵抗率と、誘電体層28に蓄積
される電荷量、即ち、誘電体層28上の帯電電位との関
係を図14に示す等価回路を用いて以下に説明する。
【0138】図14は、前記パッシェン放電に伴う電荷
注入機構を示したものであり、電荷注入とは、回路を流
れる電流により、コンデンサーに電荷が蓄積されること
に相当している。即ち、Eは電源部32から導電体層2
6に印加される印加電圧を表し、r1は半導電体層27
の体積抵抗率を表し、r2は誘電体層28の体積抵抗率
を表し、r3は導電性ローラ12と転写ドラム11との
間のニップの体積抵抗率を表し、C2は誘電体層28の
静電容量を表し、C3は導電性ローラ12と転写ドラム
11との間のニップの静電容量を表す。
【0139】ここで、誘電体層28に蓄積される電荷量
を求めるため、パッシェン放電により帯電した電荷量
(電位)を初期電位として上記の等価回路を誘電体層2
8にかかる電位差について解き、パッシェン放電、電荷
注入の両方を加味した帯電電位を求めた。但し、電荷注
入は導電性ローラ12と転写ドラム11との間のニップ
幅(3mm)内で起きているものとし、転写紙Pの任意の
位置がニップ幅を通過する時間を 0.033秒とする。
【0140】このときの上記誘電体層28の最終帯電電
位V2の解析式は、
【0141】
【数1】
【0142】で表される。尚、tは電荷注入時間を表
し、L、M、およびNは回路に依存した定数を表し、p
はパッシェン放電による初期電位を表し、qは誘電体層
28の初期電位を表す。
【0143】ここで、誘電体層28の体積抵抗率、即
ち、r2を(a)2.5 ×109 Ω・cm、(b)9.4 ×10
10Ω・cm、(c)3.9 ×108 Ω・cmとし、半導電体
層27の体積抵抗率、即ち、r1を109 Ω・cmとして
前記解析値をグラフにすると図15に示す結果が得られ
た。尚、転写紙Pの任意の位置のニップ通過時間(0.03
3 秒)における誘電体層28上の帯電電位が、パッシェ
ン放電、電荷注入による誘電体層28の最終帯電電位V
2である。
【0144】この結果、体積抵抗率が(a)または
(b)の誘電体層28上の帯電電位は、時間の経過と共
に上昇する傾向が見られるが、体積抵抗率が(c)の誘
電体層28上の帯電電位は、電荷注入時間が0.01秒〜0.
02秒のときをピークとして下降し始める。
【0145】即ち、体積抵抗率が(a)または(b)の
誘電体層28は、誘電体層28が電源として働く電流成
分より、回路を流れる電流成分の方が大きい。言い換え
ると、コンデンサーとしての機能が、電源としての機能
を上回るため、時間の経過と共に、電荷を蓄積する。
【0146】一方、体積抵抗率が(c)の誘電体層28
は、誘電体層28の体積抵抗率が、半導電体層27の体
積抵抗率に比べてかなり低いため、回路を流れる電流成
分より、誘電体層28が電源として働く電流成分のほう
が大きい。言い換えると、誘電体層28は、電源として
の機能が、コンデンサーとしての機能を上回る。このた
め、半導電体層27から移動した電荷は、誘電体層28
において一瞬蓄積されるものの、転写紙Pの任意の位置
がニップ幅を通過する前に減少し始める。
【0147】ここで、体積抵抗率が109 Ω・cmの半導
電体層27を有すると共に、体積抵抗率が(a)または
(b)または(c)の誘電体層28を有する転写ドラム
11と導電性ローラ12との間に転写紙Pを挿入し、そ
の静電吸着力を評価した。尚、上記静電吸着力は、転写
ドラム11が4回転する間、転写紙Pが安定して転写ド
ラム11に静電吸着されているかどうかで評価した。こ
の結果を表4に示す。
【0148】
【表4】
【0149】表4に記載の結果から、転写紙Pは、体積
抵抗率が(a)または(b)の誘電体層28を用いた場
合には、転写ドラム11に安定して静電吸着されるが、
体積抵抗率が(c)の誘電体層28を用いた場合は、転
写ドラム11が4回転する間に転写紙Pが転写ドラム1
1から剥がれることが判った。即ち、体積抵抗率が
(c)の誘電体層28を用いた場合は、図15の結果か
らも明らかなように、転写ドラム11が4回転する間
に、誘電体層28の電荷保持力が低下するため、転写紙
Pの、転写ドラム11への静電吸着力が低下して、転写
紙Pが転写ドラム11から剥がれる。
【0150】また、体積抵抗率が異なる半導電体層27
を用いて、同様に静電吸着力を評価したところ、表4と
同様の結果が得られた。尚、転写紙Pが転写ドラム11
に安定して静電吸着されない場合、転写工程を良好に行
うことができない。
【0151】さらに、上記と同様の方法を用いて、体積
抵抗率の異なる種々の誘電体層28および体積抵抗率の
異なる種々の半導電体層27を用いて、転写紙P上の発
生電位の増減について調べた。この結果を表5に示す。
【0152】
【表5】
【0153】表5に記載の結果から、上記誘電体層28
の体積抵抗率が、半導電体層27の体積抵抗率の40%
未満の場合、転写紙Pの任意の位置がニップ幅を通過す
る時間、即ち、ニップ時間内において、電荷注入が行わ
れず、転写紙P上の発生電位が減少することが判った。
このことから、誘電体層28の体積抵抗率が、半導電体
層27の体積抵抗率の40%未満の場合、転写紙Pの誘
電体層28への安定した静電吸着が行われなくなる。一
方、上記誘電体層28の体積抵抗率が、半導電体層27
の体積抵抗率の40%以上に設定されていることで、パ
ッシェン放電に伴う電荷注入が行われ、転写紙P上に、
パッシェン放電の初期値より、さらに電荷(電位)が付
与されることが判った。このことから、誘電体層28の
体積抵抗率が、半導電体層27の体積抵抗率の40%以
上に設定されていることで、転写紙Pの誘電体層28へ
の安定した静電吸着が行われる。
【0154】即ち、誘電体層28の体積抵抗率が、半導
電体層27の体積抵抗率の40%以上に設定されている
ことで、誘電体層28が電源として働く電流成分より、
回路を流れる電流成分の方を大きくすることができる。
言い換えると、コンデンサーとしての機能が、電源とし
ての機能を上回ることになるので、誘電体層28は電荷
を蓄積する。これにより、転写紙Pの任意の位置がニッ
プ幅を通過した後も誘電体層28上の帯電電位が上昇
し、転写ドラム11の表面電位を均一に、かつ安定して
保持することができる。これによって、転写紙Pの転写
ドラム11への吸着不良および転写紙Pへのトナー像の
転写不良を無くし、良好な画像を得ることができる。
【0155】これにより、誘電体層28の体積抵抗率
が、半導電体層の体積抵抗率の40%以上に設定されて
いると共に、誘電体層28の体積抵抗率が109 Ω・c
m〜1015Ω・cmの範囲内および/または上記半導電
体層27の体積抵抗率が108Ω・cm〜1011Ω・c
mの範囲内にあることで、転写ドラム11の表面電位を
均一に、かつ安定して保持することができ、より良好な
画像を得ることができる。さらに、上記構成に加えて、
上記誘電体層28および半導電体層27として、一体成
形2層高分子フィルムシートを用いることで、誘電体層
28および半導電体層27としての体積抵抗率の異なる
各フィルムシート間は密着しており、微小な空隙は存在
しないため、転写紙Pを転写ドラム11上にさらに安定
して静電吸着することができ、より良好な画像を得るこ
とができる。
【0156】尚、誘電体層28と半導電体層27とを2
層別々に設ける場合には、誘電体層28と半導電体層2
7との間に存在する微小空隙が常に存在し、この微小空
隙により、無視できない抵抗が加わる。つまり、上記微
小空隙のコンデンサ成分をC4とし、抵抗成分をr4と
すると、図20に示すように、コンデンサ成分C4と抵
抗成分r4の並列回路が、図14に示す等価回路にさら
に加わる。このため、パッシェン放電特性、電荷注入特
性を低減させる。このことから、誘電体層28と半導電
体層27とを2層別々に設ける場合には、同じ印加電圧
に対して、転写紙P上に発生する電荷量が一体成形2層
高分子フィルムシートより減り、転写紙Pの静電吸着力
が低下する。従って、上記誘電体層28および半導電体
層27として、一体成形2層高分子フィルムシートを用
いることで、転写紙Pを転写ドラム11上にさらに安定
して静電吸着することができる。
【0157】ここで、上記の構成の画像形成装置におけ
る画像形成プロセスについて、図2、図12、および図
13を参照しながら以下に説明する。
【0158】まず、図2に示すように、自動給紙の場
合、本体最下段に設けられた給紙カセット5により、転
写紙P(図12参照)を最上部から順番にピックアップ
ローラ7にて一枚ずつPFローラ8に送り出す。次い
で、PFローラ8を通過した転写紙Pは、プリカールロ
ーラ10によって、転写ドラム11形状に沿ってカール
される。
【0159】一方、手動給紙の場合、本体正面に設けら
れた手差し供給部6から転写紙Pを一枚ずつ送り出す
と、転写紙Pは、手差しローラ9によりプリカールロー
ラ10に搬送される。そして、転写紙Pは、プリカール
ローラ10にて転写ドラム11形状に沿ってカールされ
る。
【0160】次いで、図12に示すように、プリカール
ローラ10にてカールされた転写紙Pは、転写ドラム1
1と導電性ローラ12との間に搬送される。すると、転
写ドラム11の半導電体層27に蓄積された電荷が、半
導電体層27表面、転写紙P内面を介して移動すること
によって転写紙P表面に電荷が誘起される。これによ
り、転写紙Pが転写ドラム11表面に静電吸着される。
【0161】その後、転写ドラム11に吸着された転写
紙Pは、図13に示すように、転写ドラム11と感光体
ドラム15との圧接部である転写ポイントXまで搬送さ
れ、感光体ドラム15上に形成されたトナーの電荷と転
写紙P表面の電荷との電位差により転写紙Pに上記のト
ナー像が転写される。
【0162】このとき、感光体ドラム15では、一色毎
に帯電、露光、現像、転写が行われている。従って、転
写紙Pは、転写ドラム11に吸着されたままで、転写ド
ラム11上で回転し、一回転する毎に一色の転写が行わ
れ、最大4回転で一つのフルカラー画像を得るようにな
っている。但し、白黒画像、もしくはモノカラー画像を
得る場合には、転写ドラム11の回転は、一回で良い。
【0163】さらに、転写紙P上に全てのトナー像が転
写されれば、転写紙Pは、転写ドラム11の円周上に離
接可能に設けられた剥離爪14により転写ドラム11表
面から強制的に剥離され、定着ガイド22へと導かれ
る。
【0164】その後、定着ガイド22によって定着ロー
ラ23までガイドされ、転写紙Pのトナー像は、定着ロ
ーラ23の温度と圧力により転写紙P上に融着され、定
着される。
【0165】そして、定着済の転写紙Pは、排出ローラ
24により排出トレイ25上に排出される。
【0166】以上のように、上記の転写ドラム11は、
内側からアルミニウムからなる導電体層26、発泡ウレ
タンからなる半導電体層27、PVDFからなる誘電体
層28で形成されている。これにより、上記導電体層2
6に電圧を印加することで、導電体層26から順に電荷
が誘起され、半導電体層27に電荷が蓄積される。そし
て、転写ドラム11と導電性ローラ12との間に、転写
紙Pが搬送されると、この転写紙Pに半導電体層27に
蓄積された電荷が移動して、転写紙Pを転写ドラム11
に静電吸着させるようになっている。
【0167】従って、従来のように空中放電による電荷
注入による転写紙Pの吸着、転写を行うのではなく、電
荷の誘起による転写紙Pの吸着、転写を行うため、電圧
も低くてすみ、電圧のコントロールも行い易い。また、
外圧による電圧のばらつきを無くすことができる。
【0168】これにより、転写ドラム11にかかる電圧
が、湿度、温度等の環境による影響を受けずに電圧を一
定に保持することができるので、転写効率を向上させ、
画質の向上を図ることができる。
【0169】また、従来のように、放電により転写ドラ
ム11表面に電荷を誘起させて帯電させる場合に比べ
て、転写ドラム11表面を安定して帯電させることがで
きるので、転写紙Pの吸着および転写を安定して行うこ
とができる。
【0170】しかも、導電体層26に電圧を印加するだ
けで、半導電体層27、誘電体層28の順に電荷が誘起
して転写ドラム11表面を帯電させることができるの
で、従来のように空中放電により転写ドラム11の表面
を帯電させる場合に比べて、低い電圧で済むので、電圧
制御が簡単になり、駆動用エネルギーも少なくて済む。
【0171】また、電圧を印加する箇所が一か所で済む
ので、従来のように、各帯電器毎に電圧を印加させる必
要がなく、装置の簡略化を図ると共に、製造に係る費用
を安価なものとすることができる。
【0172】また、転写ドラム11の帯電を接触帯電に
より行っているので、転写ドラム11表面に疵がついて
も、電界領域が変化しないので、転写ドラム11表面の
疵の部分で電界バランスが狂うことがない。これによ
り、転写効率を向上させることができる。
【0173】さらに、空中放電のように、空気の温湿度
等の環境に影響されにくいので、転写ドラム11の表面
電位にばらつきが生じなくなり、転写紙Pの吸着不良お
よび印字みだれ等を無くすことができる。これによって
も、転写効率を向上させ、画質の向上を図ることができ
る。
【0174】また、誘電体層28の体積抵抗率が、半導
電体層の体積抵抗率の40%以上に設定されていること
で、誘電体層28が電源として働く電流成分より、回路
を流れる電流成分の方を大きくすることができる。これ
により、転写ドラム11の表面電位を均一に、かつ安定
して保持することができる。従って、転写紙Pの転写ド
ラム11への吸着不良および転写紙Pへのトナー像の転
写不良を無くし、良好な画像を得ることができる。
【0175】さらに、上記誘電体層28の体積抵抗率が
109 Ω・cm〜1015Ω・cmの範囲内および/また
は上記半導電体層27の体積抵抗率が108 Ω・cm〜
1011Ω・cmの範囲内にあることで、いわゆる再転写
や転写不良がなく、効率よく転写を行うことができる。
【0176】このことから、誘電体層28の体積抵抗率
が、半導電体層27の体積抵抗率の40%以上に設定さ
れていると共に、誘電体層28の体積抵抗率が109 Ω
・cm〜1015Ω・cmの範囲内および/または上記半
導電体層27の体積抵抗率が108 Ω・cm〜1011Ω
・cmの範囲内にあることで、転写ドラム11の表面電
位を均一に、かつ安定して保持することができ、より一
層、良好な画像を得ることができる。
【0177】また、誘電体層28、半導電体層27およ
び導電体層26が空隙を生じないように密着されている
ことで、導電体層26から半導電体層27への電荷の移
動および半導電体層27から誘電体層28への電荷の誘
起が空隙によって阻害されることが無い。そのため、誘
電体層28、半導電体層27および導電体層26が空隙
を生じないように密着されていることで、感光体15上
に形成された各色のトナー像が全て転写紙Pに転写され
る間、転写ドラム11から転写紙Pが剥がれることな
く、転写紙Pを転写ドラム11上に安定して静電吸着す
ることができる。このことから、感光体15から転写ド
ラム11へ、良好なトナー転写を行うことができ、安定
した画像を供給することができる。
【0178】さらに、上記誘電体層28および半導電体
層27として、一体成形2層高分子フィルムシートを用
いることで、導電体層26に密着させる層が一層で済む
ことから、誘電体層28と半導電体層27の2層を別々
に密着させる方法に比べて、より簡単な構成で転写手段
を形成することができる。また、一体成形2層高分子フ
ィルムシートを用いることで、上記誘電体層および半導
電体層としての体積抵抗率の異なる各フィルムシート間
は密着しており、微小な空隙は存在しない。従って、感
光体15から転写ドラム11へ、良好なトナー転写を行
うことができ、さらに安定した画像を供給することがで
きる。
【0179】尚、上記転写ドラム11に代えて、転写ド
ラム41、または転写ドラム51を用いることによって
も、同様の効果を得ることができる。また、本実施中で
は、画像形成装置として、プリカールローラ10を備え
た画像形成装置を用いたが、これに限定されるものでは
なく、転写紙Pの種類によっては、プリカールローラ1
0が無くても、プリカールローラ10を用いた場合と同
様の効果が得られる。
【0180】
【発明の効果】請求項1の発明に係る画像形成装置は、
以上のように、転写手段は、転写紙の当接面側から、誘
電体層、半導電体層および導電体層が順に積層され、上
記導電体層に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、上
記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に、転写紙
を介して接触する接地された電極部材とが設けられてい
ると共に、上記誘電体層および半導電体層として、一体
成形2層高分子フィルムシートを使用し、上記誘電体
層、半導電体層および導電体層が空隙を生じないように
密着されている構成である。
【0181】それゆえ、従来のように空中放電による電
荷注入による転写紙の吸着、転写を行うのではなく、電
荷の誘起による転写紙の吸着、転写を行うため、電圧も
低くて済み、電圧のコントロールも行い易い。また、外
因による電圧のばらつきを無くすことができる。このこ
とから、転写手段にかかる電圧が、湿度、温度等の環境
による影響を受けずに電圧を一定に保持することができ
るので、転写効率を向上させ、画質の向上を図ることが
できるという効果を奏する。
【0182】さらに、上記誘電体層、半導電体層および
導電体層が空隙を生じないように密着されていること
で、導電体層から半導電体層への電荷の移動および半導
電体層から誘電体層への電荷の誘起が空隙によって阻害
されることが無い。このことから転写紙を転写手段上に
安定して静電吸着することができる。これによって、像
担持体から転写手段へ、良好なトナー転写を行うことが
でき、安定した画像を供給することができるという効果
を併せて奏する。
【0183】
【0184】また、上記誘電体層および半導電体層とし
て、一体成形2層高分子フィルムシートを用いること
で、請求項1の効果を得るためのより具体的な設計指針
を提供することができる。さらに、導電体層に密着させ
る層が一層で済むことから、誘電体層と半導電体層との
2層を別々に密着させる方法に比べて、より簡単な構成
で転写手段を形成することができる。また、一体成形高
分子2層フィルムシートを用いることで、上記誘電体層
および半導電体層としての体積抵抗率の異なる各フィル
ムシート間は密着しており、微小な空隙は存在しない。
これにより、上記誘電体層および半導電体層として、一
体成形2層高分子フィルムシートを用いることで、転写
紙を転写手段上にさらに安定して静電吸着することがで
きる。
【0185】従って誘電体層および半導電体層として
一体成形2層高分子フィルムシートを用いることで、像
担持体から転写手段へ、良好なトナー転写を行うことが
でき、さらに安定した画像を供給することができるとい
う効果を併せて奏する。
【0186】請求項2の発明に係る画像形成装置は、以
上のように、表面にトナー像が形成される像担持体と、
転写紙を上記像担持体に当接させることにより、像担持
体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを有す
る画像形成装置において、上記転写手段は、転写紙の当
接面側から、誘電体層、半導電体層および導電体層が順
に積層され、上記導電体層に所定の電圧を印加する電圧
印加手段と、上記誘電体層表面の転写位置から上流側の
表面に、転写紙を介して接触する接地された電極部材と
が設けられていると共に、上記誘電体層および半導電体
層として、一体成形2層高分子フィルムシートを使用
し、上記一体成形2層高分子フィルムシートは、導電体
層上に熱収縮によって固定されている構成である。
【0187】一体成型2層高分子フィルムシートは、導
電体層上に、熱収縮による固定方法によって固定するこ
とができる。従って、半導電体層と誘電体層とを密着さ
せることにより、帯電性能および除電性能を向上させる
ことができ、この結果、転写紙の転写手段への吸着力を
向上させると共に、トナー転写を良好に行なうことがで
きるという効果を奏する。
【0188】請求項3の発明に係る画像形成装置は、以
上のように、請求項1または2に記載の構成に加えて、
上記誘電体層の体積抵抗率が、半導電体層の体積抵抗率
の40%以上である構成である。
【0189】それゆえ、請求項1または2の効果に加え
て、上記誘電体層の体積抵抗率が、半導電体層の体積抵
抗率の40%以上に設定されていることで、転写手段の
表面電位を均一に、かつ安定して保持することができ
る。このことから、転写紙を転写手段上に安定して静電
吸着することができ、この結果、像担持体から転写手段
へ、良好なトナー転写を行うことができ、安定した画像
を供給することができるという効果を併せて奏する。
【0190】請求項4の発明に係る画像形成装置は、以
上のように、請求項1ないし3の何れか1項に記載の構
成に加えて、上記誘電体層の体積抵抗率が109 Ω・c
m〜1015Ω・cmである構成である。
【0191】それゆえ、請求項3の効果を得るためのよ
り具体的な設計指針を提供することができると共に、誘
電体層の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1015Ω・cm
にあることで、転写紙を転写手段上に安定して静電吸着
することができるので、転写不良や再転写がなく、効率
よく転写を行うことができる。このことから、像担持体
上に形成された各色のトナー像が全て転写紙に転写され
る間、転写手段から転写紙が剥がれることなく、さらに
安定した画像を供給することができるという効果を奏す
る。
【0192】請求項5の発明に係る画像形成装置は、以
上のように、請求項1ないし4の何れか1項に記載の構
成に加えて、半導電体層の体積抵抗率が108 Ω・cm
〜1011Ω・cmである構成である。
【0193】それゆえ、請求項3の効果を得るためのよ
り具体的な設計指針を提供することができると共に、半
導電体層の体積抵抗率が108 Ω・cm〜1011Ω・c
mの範囲内にあることで、転写紙を転写手段上に安定し
て静電吸着することができるので、転写不良や再転写が
なく、効率よく転写を行うことができる。このことか
ら、像担持体上に形成された各色のトナー像が全て転写
紙に転写される間、転写手段から転写紙が剥がれること
なく、さらに安定した画像を供給することができるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置に備えら
れた転写ドラム近傍の概略構成図である。
【図2】図1に示す転写ドラムを備えた画像形成装置の
概略構成図である。
【図3】図1に示す転写ドラムの製造プロセスに使用さ
れる押出機の押出部の概略構成図である。
【図4】図3に示す押出機のサイジング部の概略構成図
である。
【図5】図1に示す転写ドラムの製造プロセスに使用さ
れる引取機の概略構成図である。
【図6】図1に示す転写ドラムの他の製造プロセスに用
いられる金型の断面図である。
【図7】図1に示す転写ドラムの導電体層と、半導電体
層および誘電体層との取り付け方の一例を示す説明図で
ある。
【図8】図1に示す転写ドラムの導電体層と、半導電体
層および誘電体層との取り付け方の他の例接続状態を示
す説明図である。
【図9】図1に示す転写ドラムの帯電幅と有効画像幅と
の比較を示す説明図である。
【図10】図1に示す転写ドラムと感光体ドラムの電荷
移動を示し、転写ドラムの各層の幅が、誘電体層<半導
電体層<導電体層となる場合の電荷移動を示す説明図で
ある。
【図11】図1に示す転写ドラムと感光体ドラムの電荷
移動を示し、転写ドラムの各層の幅が、半導電体層<誘
電体層=導電体層となる場合の電荷移動を示す説明図で
ある。
【図12】図1に示す転写ドラムの帯電状態を示し、転
写紙が転写ドラムに搬送された初期の状態を示す説明図
である。
【図13】図1に示す転写ドラムの帯電状態を示し、転
写紙が転写ドラムの転写位置に搬送された状態を示す説
明図である。
【図14】図1に示す転写ドラム、導電性ローラ間にお
ける電荷注入機構の等価回路を示す回路図である。
【図15】図1に示す転写ドラムの誘電体層上の、電荷
注入による発生電位理論曲線を示すグラフである。
【図16】本発明にかかる画像形成装置に備えられた他
の転写ドラム近傍の概略構成図である。
【図17】本発明にかかる画像形成装置に備えられたさ
らに他の転写ドラム近傍の概略構成図である。
【図18】図17に示す転写ドラムの電極層の構成を概
略的に示す説明図である。
【図19】図17に示す転写ドラムの電極層の構成を示
す斜視図である。
【図20】誘電体層と半導電体層との間に空隙がある転
写ドラム、導電性ローラ間における電荷注入機構の等価
回路を示す回路図である。
【図21】従来の画像形成装置の概略構成図である。
【図22】従来の他の画像形成装置の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
11 転写ドラム(転写手段) 12 導電性ローラ(電極部材) 15 感光体ドラム(像担持体) 26 導電体層 27 半導電体層 28 誘電体層 32 電源部(電圧印加手段) 41 転写ドラム(転写手段) 51 転写ドラム(転写手段) 53 電極層(導電体層) P 転写紙 X 転写ポイント(転写位置)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にトナー像が形成される像担持体と、
    転写紙を上記像担持体に当接させることにより、像担持
    体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを有す
    る画像形成装置において、 上記転写手段は、転写紙の当接面側から、誘電体層、半
    導電体層および導電体層が順に積層され、 上記導電体層に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、 上記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に、転写
    紙を介して接触する接地された電極部材とが設けられて
    いると共に、上記誘電体層および半導電体層として、一体成形2層高
    分子フィルムシートを使用し、 上記誘電体層、半導電体層および導電体層が空隙を生じ
    ないように密着されていることを特徴とする画像形成装
    置。
  2. 【請求項2】表面にトナー像が形成される像担持体と、
    転写紙を上記像担持体に当接させることにより、像担持
    体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを有す
    る画像形成装置において、 上記転写手段は、転写紙の当接面側から、誘電体層、半
    導電体層および導電体層が順に積層され、 上記導電体層に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、 上記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に、転写
    紙を介して接触する接地された電極部材とが設けられて
    いると共に、 上記誘電体層および半導電体層として、一体成形2層高
    分子フィルムシートを使用し、 上記一体成形2層高分子フィルムシートは、導電体層上
    に熱収縮によって固定されていることを特徴とする画像
    形成装置。
  3. 【請求項3】上記誘電体層の体積抵抗率が、半導電体層
    の体積抵抗率の40%以上であるこ とを特徴とする請求
    項1または2記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】上記誘電体層の体積抵抗率が10 9 Ω・c
    m〜10 15 Ω・cmであることを特徴とする請求項1な
    いし3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】上記半導電体層の体積抵抗率が10 8 Ω・
    cm〜10 11 Ω・cmであることを特徴とする請求項1
    ないし4の何れか1項に記載の画像形成装置。
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