JPH0980933A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH0980933A
JPH0980933A JP6694296A JP6694296A JPH0980933A JP H0980933 A JPH0980933 A JP H0980933A JP 6694296 A JP6694296 A JP 6694296A JP 6694296 A JP6694296 A JP 6694296A JP H0980933 A JPH0980933 A JP H0980933A
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史生 島津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、画像形成装置における転写ド
ラム11の表面電位を均一に、且つ安定して保持し、こ
れにより、転写シートPの転写ドラム11への吸着不良
および転写シートPへのトナー像の転写不良を無くし、
転写シートPに形成される画像を良好にし得ると共に、
効率良く転写を行うことを目的とする。 【解決手段】 半導電体層27の体積抵抗率が106 Ω
・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層28
の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲
内にある場合、電源部32から転写ドラム11に1,0
00V〜2,500Vの範囲内の電圧を印加すること
で、転写ドラム11による転写シートPの吸着と転写と
を安定して行い、画質の向上を図ると共に、効率良く転
写を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザープリン
タ、複写機、レーザーファックス等に用いられる画像形
成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、感光体ドラムに形成された静
電潜像にトナーを付着させて現像し、このトナー像を、
転写ドラムに巻き付けられた転写シートに転写する画像
形成装置がある。
【0003】このような画像形成装置は、例えば図13
に示すように、誘電体層101aを有する円筒101内
部に、転写シートPを吸着するコロナ帯電器102と、
感光体ドラム103表面に形成されたトナー像を転写シ
ートPに転写させるコロナ帯電器104とが別々に配設
されており、各帯電器102・104によって転写シー
トPの吸着と転写とを別々に行うようになっている。
【0004】また、図14に示すように、外層の半導電
体層201aと内層の基材201bの2層構造の円筒2
01と、搬送された転写シートPを上記円筒201に沿
わせて保持するためのグリップ機構202とを備えた画
像形成装置がある。この画像形成装置では、搬送された
転写シートPを上記グリップ機構202によりその端部
を掴んで円筒201の表面に沿わせた後、円筒201の
外層の半導電体層201aに電圧を印加するか、或いは
円筒201内部に設けられた帯電器により放電すること
によって円筒201表面を帯電させて、感光体ドラム1
03のトナー像を転写シートPに転写するようになって
いる。
【0005】ところが、図13に示す画像形成装置で
は、転写ローラである円筒101が誘電体層101aの
みの一層構造となっているため、その内部に、上記した
コロナ帯電器102・104を配設する必要がある。こ
のため、円筒101の大きさが制限され、装置を小型化
することができないという問題が生じている。
【0006】また、図14に示す画像形成装置では、転
写ローラである円筒201を2層構造とすることで、転
写シートPにトナー像を転写するための円筒201の帯
電を行うようになっているので、帯電器の数が少なくて
済む。しかしながら、上記グリップ機構202を備えて
いるので、画像形成装置全体の構成が複雑なものとな
り、これによって、装置全体の部品点数が多くなり、装
置の製造に係る費用が増加するという問題が生じてい
る。
【0007】そこで、上記各課題を解決する画像形成装
置として、例えば特開平2−74975号公報には、接
地された金属ロール上に、導電性ゴムと誘電体フィルム
が積層された転写ドラムの転写シートの剥離位置付近に
ユニポーラ電源により駆動されるコロナ帯電器を設けた
ものがある。
【0008】上記の画像形成装置では、コロナ帯電器に
よって誘電体フィルムに電荷を誘起させて転写シートを
転写ドラムに吸着させている。また、転写シートが吸着
されるとさらに電荷が誘起され、転写が行われる。
【0009】したがって、上記の画像形成装置によれ
ば、一つの帯電器により転写ドラム表面の帯電を行い転
写シートを吸着し、転写するようになっているので、帯
電器が一つで済み、転写ドラムを小型化することができ
る。また、転写シートを保持するための上記したグリッ
プ機構202等のような機構を必要とせず、簡素な構造
で転写シートを吸着させることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報の
画像形成装置では、転写ドラムの表面帯電を、コロナ帯
電器の空中放電によって行っている。このため、カラー
の場合、即ち転写行程が複数回行われるような場合で
は、一回の転写が終わる毎にコロナ帯電器により電荷を
補給している。したがって、上記コロナ帯電器の駆動を
制御するユニポーラ電源等で構成される帯電ユニットが
必要となり、装置の構成部品が増加する。この結果、装
置の製造に係る費用が増加するという問題が生じてい
る。
【0011】また、転写ドラム表面に疵が付くと、空中
放電による帯電では、電界領域が小さくなり、上記の疵
の部分で電界バランスが狂い、その部分で白抜け等の転
写不良が生じ、画質の低下を招く。
【0012】また、空中放電によって転写ローラ表面を
帯電させているので、帯電にかかる電圧が大きなものと
なり、画像形成装置の駆動エネルギーが増大する。さら
に、空中放電は、空気の湿度等の環境に影響され易いの
で、転写ローラの表面電位にばらつきが生じ易くなり、
転写シートの吸着不良および印字みだれ等が生じ易くな
るという問題が生じている。
【0013】また、転写シートの種類によって、同じ電
圧を印加しても転写効率が異なる。つまり、例えば転写
シートがOHP用の合成樹脂シートの場合は印加電圧が
高くても転写効率は良いが、紙の場合は印加電圧が高す
ぎると転写効率が悪くなる傾向がある。さらに、転写効
率は、湿度によっても変化するので、効率良く転写を行
うためには、湿度に応じた印加電圧の制御が必要であ
る。
【0014】本発明は、上記各問題点に鑑みなされたも
のであって、その目的は、簡単な構成で、転写ローラ等
の転写装置の表面電位を均一に、且つ安定して保持し、
これにより、転写シートの転写装置への吸着不良および
転写シートへのトナー像の転写不良を無くし、転写シー
トに形成される画像を良好にし得ると共に、効率良く転
写を行うことができる画像形成装置を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の画像形成
装置は、表面にトナー像が形成される像担持体(例え
ば、感光体ドラム)と、転写シートを上記像担持体に当
接させることにより、像担持体上に形成されたトナー像
を転写する転写手段(例えば、転写ドラム)とを有する
画像形成装置において、上記転写手段は、転写シートの
当接面側から、例えばポリフッ化ビニリデンからなる誘
電体層、例えば発泡ウレタンからなる半導電体層および
例えばアルミニウムからなる導電体層が順に積層され、
上記導電体層に所定の電圧を印加する電圧印加手段(例
えば、直流電源)と、上記誘電体層表面の転写位置から
上流側の表面に、転写シートを介して接触する設置され
た電極部材(例えば、導電性ローラ)とを有すると共
に、上記電圧印加手段が、半導電体層の体積抵抗率が1
6 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体
層の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範
囲内にある場合、転写手段に1,000V〜2,500
Vの範囲内の電圧を印加することを特徴としている。
【0016】請求項2記載の画像形成装置は、請求項1
の構成に加えて、上記転写シートが紙であることを特徴
としている。
【0017】請求項1および2の構成によれば、電圧印
加手段が導電体層に所定の電圧を印加すると共に電極部
材が上記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に転
写シートを介して接触するので、導電体層に印加された
電圧の極性と同じ極性の電荷が半導電体層に蓄積され、
さらに、誘電体層および誘電体層の表面に圧接された転
写シートの表面にも、同じ極性の電荷が誘起される。す
なわち、誘電体層に接する転写シートの裏面には、導電
体層に印加された電圧の極性とは逆極性の電荷が誘起さ
れる。これにより、導電体層に電圧を印加するだけで、
転写シートを誘電体層の表面、つまり転写手段の表面に
静電吸着させることができると共に、転写シート表面の
電荷による電位と像担持体表面のトナー像の電荷による
電位との間に所定の差を設けることによりトナー像を転
写シートに転写することができる。
【0018】これによって、従来のように空中放電によ
る電荷注入による転写シートの吸着、転写を行うのでは
なく、電荷の誘起による転写シートの吸着、転写を行う
ため、電圧も低くてすみ、電圧のコントロールも行い易
い。また、外圧による電圧のばらつきを無くすことがで
きる。
【0019】したがって、転写手段にかかる電圧が、湿
度、温度等の環境による影響を受けずに電圧を一定に保
持することができるので、転写効率を向上させ、画質の
向上を図ることができる。
【0020】さらに、上記電圧印加手段が、半導電体層
の体積抵抗率が106 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲
内、かつ、誘電体層の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1
13Ω・cmの範囲内にある場合、転写手段に1,00
0V〜2,500Vの範囲内の電圧を印加することで、
特に、転写シートが紙の場合、転写効率を向上させるこ
とができる。転写シートが紙の場合、転写効率は印加電
圧によって左右される。ところが、例えば転写シートが
OHP用の合成樹脂シートの場合、転写効率は、半導電
体層や誘電体層の体積抵抗率とは関係なく、印加電圧に
ほとんど依存しない。
【0021】そこで、半導電体層の体積抵抗率が106
Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層の
体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内
にある場合、転写手段に1,000V〜2,500Vの
範囲内の電圧を印加することで、転写シートが紙であっ
てもOHP用の合成樹脂シートであっても、効率良く転
写を行うことができる。つまり、転写シートがOHP用
の合成樹脂シートの場合は、紙の吸着に有利なように印
加電圧を決定することができる。また、転写シートが紙
の場合は、転写効率を向上させることができる。
【0022】請求項3記載の画像形成装置は、請求項1
または2の構成に加えて、転写手段近傍の湿度を検出す
る湿度検出手段が設けられ、上記電圧印加手段が、上記
湿度検出手段の検出結果に応じた電圧を導電体層に印加
することを特徴としている。
【0023】また、請求項3の構成によれば、転写手段
近傍の湿度を検出する湿度検出手段が設けられ、上記電
圧印加手段が、上記湿度検出手段の検出結果に応じた電
圧を導電体層に印加することで、請求項1または2の作
用に加えて、導電体層に、湿度に応じた電圧を印加する
ことができる。つまり、湿度によって半導電体層、誘電
体層、および転写シートの体積抵抗率が変化するため、
同じ電圧を印加したとしても、転写時の湿度によって転
写効率が変わる。そこで、転写シートの吸着動作に入る
前に湿度を検出し、湿度検出手段の検出結果に応じた電
圧を導電体層に印加することで、あらゆる湿度下でも最
適な転写効率を得ることができる。特に、転写シートが
紙の場合は、湿度の影響を受け易く、また、印加電圧に
よって転写効率が左右されるため、湿度検出手段の検出
結果に応じた電圧を導電体層に印加することで、転写効
率を一層向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図12に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0025】本実施の形態に係る画像形成装置は、図2
に示すように、トナーによる画像が形成される記録紙と
しての転写シートP(図1参照)をストックし供給する
給紙部1、トナー像を転写シートPに転写する転写部
2、トナー像を形成する現像部3、および転写シートP
に転写されたトナー像を融着させて定着させる定着部4
から構成されている。
【0026】上記給紙部1には、本体最下段に着脱自在
に配設され、転写シートPをストックして上記転写部2
に供給する給紙カセット5、および本体正面側に設けら
れ、正面から転写シートPを手差しで一枚ずつ供給する
手差し供給部6が設けられている一方、上記給紙カセッ
ト5の最上部から一枚ずつ送り出すピックアップローラ
7、ピックアップローラ7により送り出された転写シー
トPを搬送するPFローラ8、および手差し供給部6か
らの転写シートPを搬送する手差しローラ9、および上
記PFローラ8、手差しローラ9により搬送された転写
シートPをカールするプリカールローラ10が設けられ
ている。
【0027】上記給紙カセット5には、上方にバネ等に
より付勢された送り出し部材5aが設けられ、この送り
出し部材5a上に転写シートPを積層するようになって
いる。これによって、給紙カセット5の転写シートP
は、最上部が上記ピックアップローラ7に当接し、ピッ
クアップローラ7の矢印方向の回転により一枚ずつPF
ローラ8に送り出され、プリカールローラ10に搬送さ
れる。
【0028】一方、手差し供給部6から供給された転写
シートPも、手差しローラ9によりプリカールローラ1
0に搬送される。
【0029】上記プリカールローラ10は、前述したよ
うに搬送された転写シートPをカールさせるが、これ
は、転写シートPが、転写部2に備えられた円筒状の転
写ドラム11の表面に吸着され易いようにするためであ
る。
【0030】上記転写部2には、上記した転写手段とし
ての転写ドラム11が設けられており、この転写ドラム
11の周りには、接地された電極部材としての導電性部
材からなる導電性ローラ12、転写ドラム11から落ち
ないように転写シートPをガイドするガイド部材13、
転写ドラム11に吸着された転写シートPを強制的に剥
離する剥離爪14等が配設されている。上記転写ドラム
11は、表面に静電気によって転写シートPを吸着する
ようになっている。したがって、転写ドラム11の周り
には、さらに、転写ドラム11の表面に帯電した電荷を
除去する除電手段としての除電装置11a、転写ドラム
11の表面に付着したトナー等を取り除くクリーニング
手段としてのクリーニング装置11bが配設されてい
る。尚、上記の剥離爪14は、転写ドラム11表面に離
接自在に設けられている。また、上記転写ドラム11の
構造の詳細は後述する。
【0031】また、現像部3には、上記転写ドラム11
に圧接する像担持体としての感光体ドラム15が設けら
れており、この感光体ドラム15は、接地された導電性
のアルミニウム素管15aからなり、その表面にOPC
膜15b(図8・図9)が塗布されている。
【0032】また、この感光体ドラム15の周りには、
イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各トナーを収
納した現像器16、17、18、19が放射状に配設さ
れると共に、感光体ドラム15表面を帯電する帯電器2
0、感光体ドラム15表面の残留トナーを掻き取り除去
するクリーニングブレード21が配設されており、上記
各トナー毎に、感光体ドラム15上にトナー像が形成さ
れる。即ち、上記感光体ドラム15によれば、一色毎に
帯電・露光・現像・転写を繰り返すようになっている。
したがって、カラー転写の場合、転写ドラム11に静電
吸着された転写シートPに対して、転写ドラム11が一
回転する毎に、一色ずつのトナー像が転写シートPに転
写され、最大4回転で1つのカラー画像を得るようにな
っている。
【0033】尚、上記の感光体ドラム15と転写ドラム
11とは、転写効率および画質から転写部位で8kgの
圧力が加わるように圧接されている。
【0034】また、定着部4には、所定温度・圧力によ
りトナー像を融着して転写シートPに定着する定着ロー
ラ23と、トナー像転写後、転写ドラム11から剥離爪
14によって剥離された転写シートPを上記定着ローラ
23までガイドする定着ガイド22とが設けられてい
る。
【0035】また、上記定着部4の転写シートP搬送の
下流側には、排出ローラ24が設けられ、定着後の転写
シートPを装置本体から排出トレイ25上に排出するよ
うになっている。
【0036】ここで、上記転写ドラム11の構造につい
て説明する。上記転写ドラム11は、図1に示すよう
に、基材として円筒状のアルミニウムからなる導電体層
26を使用し、この導電体層26の上面に弾性体の発泡
ウレタンからなる半導電体層27が設けられている。
【0037】さらに、上記半導電体層27の上面には、
ポリフッ化ビニリデンからなる誘電体層28が設けられ
ている。
【0038】また、上記導電体層26には、電圧印加手
段としての電源部32が接続されており、導電体層26
の全周にわたって安定した電圧が保持されるようになっ
ている。
【0039】また、上記各層26・27・28は、接着
剤等により接着されるのではなく、例えば図3に示すよ
うに、シート状に形成された半導電体層27および誘電
体層28の各両端部に設けられた各層を貫通する複数の
貫通穴29…に、シート押さえ板30に設けられたボス
30a…を嵌合させ、さらに、このボス30a…を導電
体層26上面に設けられた開口部26aに嵌合させて半
導電体層27および誘電体層28を導電体層26に固定
するようになっている。
【0040】上記の固定方法では、半導電体層27およ
び誘電体層28は、上記シート押さえ板30により導電
体層26の内側にテンションをかけるようになってお
り、これによって、各層の浮きや弛みを防止するように
なっている。
【0041】また、上記各層は、シート押さえ板30に
よって固定されているだけなので、簡単に各層を取り替
えることができる。
【0042】尚、上記の固定方法の他に、例えば図4に
示すように、両端部にボス31a…、中央に固定部材3
1bが設けられたシート押さえ部材31によって、半導
電体層27および誘電体層28からなるシートを導電体
層26に固定する方法がある。この固定方法では、導電
体層26の開口部26aの両端側に設けられた嵌合穴2
6b…に、上記のシート押さえ部材31のボス31a…
を嵌合させ、上記の開口部26aに、シート押さえ部材
31の固定部材31bを挿入し、半導電体層27および
誘電体層28からなるシートを導電体層26に固定する
ようになっている。
【0043】このような方法で各層を固定しても上記し
たように簡単に各層を取り替えることができる。
【0044】また、転写ドラム11の下方に設けられた
導電性ローラ12の表面には、図1に示すように、例え
ば、転写ドラム11への吸着前に転写シートPを所定の
極性に帯電させる帯電性部材からなる帯電層12aが形
成されていてもよい。導電性ローラ12の表面に帯電層
12aを設けることで、転写シートPは、導電性ローラ
12と転写ドラム11との間を通過するとき、上記帯電
層12aに接触して生じる摩擦により帯電される。この
とき、転写シートPの帯電極性は、転写ドラム11に印
加される電圧の極性とは逆になるようになっている。
【0045】また、上記帯電層12aの素材を換えるこ
とによって、転写シートPの帯電極性を換えることがで
きる。例えば、転写ドラム11の印加電圧の極性がプラ
スであれば、転写シートPをマイナスに帯電させるよう
な素材で帯電層12aを形成し、また、転写ドラム11
の印加電圧の極性がマイナスであれば、転写シートPを
プラスに帯電させるような素材で帯電層12aを形成す
れば良い。このとき、転写シートPをマイナスに帯電さ
せるには、帯電層12aとして、例えばガラス、ナイロ
ン等を使用することが望ましい。また、転写シートPを
プラスに帯電させるには、帯電層12aとして例えばフ
ッ化樹脂(登録商標;テフロン)等を使用することが望
ましい。
【0046】さらに、転写シートPへの帯電性能の向上
と搬送効率の向上とを図るために、導電性ローラ12の
帯電層12aの表面を微細な凹凸状態に加工しても良
い。
【0047】また、転写シートPは、導電性ローラ12
の帯電層12aによって転写ドラム11への接触と同時
に帯電されるので、転写シートPを、転写シートPの有
する電荷の極性に関わらず所望の極性に帯電させること
ができる。これにより、転写シートPが転写ドラム11
と同じ極性の電荷を有し、その転写ドラム11に接触し
ても吸着され難いような場合でも帯電層12aと接触し
て摩擦するだけで所望の極性に転写シートPを帯電させ
ることができるので、転写シートPを安定して転写ドラ
ム11に吸着させることができる。
【0048】また、導電性ローラ12は、転写ドラム1
1と導電性ローラ12との間に転写シートPが通紙され
ると同時に転写シートPを介して転写ドラム11に圧接
される。そして、転写ドラム11に電圧が印加され、転
写シートPへの帯電が開始される。
【0049】また、転写シートPへの帯電は、転写シー
トPが転写ドラム11を1回転するまで継続される。そ
して、転写シートPへの帯電終了後、導電性ローラ12
は転写ドラム11から離間されるようになっている。
【0050】また、上記導電性ローラ12の転写ドラム
11への離接動作は、導電性ローラ12の回転中心の両
端に電極部材駆動手段としてのソレノイド12b(図1
0参照)を配設することで、機械的に行なわれるように
構成されている。
【0051】ここで、上記転写ドラム11による転写シ
ートPの吸着・転写動作について、図5および図6を参
照しながら以下に説明する。尚、転写ドラム11の導電
体層26には、電源部32より+の電圧が印加されてい
るものとする。
【0052】まず、転写シートPの吸着行程を説明す
る。図5に示すように、転写ドラム11に搬送された転
写シートPは、導電性ローラ12により誘電体層28表
面に押しつけられ、半導電体層27に蓄積された電荷が
誘電体層28に移行し、誘電体層28表面に−電荷が誘
起される。これにより、転写シートPの内側、即ち誘電
体層28との接触面側に+電荷が誘起される。これによ
り、転写シートPは、転写ドラム11に静電吸着するよ
うになっている。尚、この吸着力は、印加電圧が安定し
ている限りばらつくことはなく、安定して転写シートP
を転写ドラム11に吸着させることができる。
【0053】このように、空中放電による帯電ではな
く、接触による帯電が行われているので、導電体層26
に印加する電圧が低くて済み、各種実験結果より、印加
電圧は+3kV以下が適当であり、さらに好ましくは、
+2kVあれば、帯電を良好に行うことができる。
【0054】また、転写ドラム11に吸着された転写シ
ートPは、外側が−に帯電した状態で、転写ドラム11
の矢印方向の回転に伴って、トナー像の転写ポイントX
に搬送される。
【0055】次に、転写シートPの転写行程を説明す
る。感光体ドラム15は、図6に示すように、表面に−
電荷を有するトナーが吸着されている。したがって、表
面が−に帯電している転写シートPが、転写ポイントX
に搬送されれば、導電体層26に印加された+電荷とト
ナーの−電荷との電位差により転写シートP表面にトナ
ーが吸着され、転写される。つまり、感光体ドラム15
上の−に帯電したトナーと、転写ドラム11上に印加し
た+電圧とが形成する電界によって−に帯電したトナー
が−に帯電した転写紙Pに引き寄せられて吸着、転写さ
れる。
【0056】尚、上記転写ドラム11と感光体ドラム1
5とは、転写ポイントXによって所定のニップ幅を有す
るように圧接されている。このため、このニップ幅によ
って転写効率、即ち画質が影響される。
【0057】ここで、上記ニップ幅と画質との関係を表
1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1に記載の結果から、ニップ幅は、2m
m〜7mmの範囲に設定することで、画質を良好にする
ことができ、さらに、ニップ幅を3mm〜6mmの範囲
に設定することが望ましいことが判る。
【0060】また、上記半導電体層27は、体積抵抗率
が108 Ω・cm、層厚が2mm〜5mm、硬度がアス
カーCで25〜50の範囲で形成されている。これは、
本実施の形態では、転写ドラム11と感光体ドラム15
とが圧力8kgにて圧接されていることから設定された
ものである。
【0061】即ち、上記の半導電体層27の素材が変わ
れば、転写ドラム11と感光体ドラム15との圧接力が
変わり、所望する画質となるように、この素材に応じて
半導電体層27の厚み、硬度等を変更している。
【0062】したがって、本実施の形態では、上記した
層厚および硬度を有する半導電体層27によって、適正
なニップ幅の範囲となるようになっている。
【0063】尚、上記のアスカーCとは、日本ゴム協会
における規格であり、先端形状が球になっている硬度測
定用の針をスプリングの力で試料の表面に押しつけ、試
料の抗力とスプリングの力とがバランスしたときに、針
が試料を押し込んでいる深さ(押し込み深さ)で硬度を
表すものである。アスカーCの規格では、55gの荷重
をスプリングに与えたときの針の押し込み深さが、その
針の最大変位と等しくなるような試料の硬度を0度と
し、855gの荷重をスプリングに与えたときの針の押
し込み深さが0となるような試料の硬度を100度に定
めている。
【0064】また、半導電体層27の体積抵抗率が0Ω
・cmであれば、転写シートPの吸着開始点に配設され
ている導電性ローラ12により、転写シートPが転写ポ
イントXに到達するまでに電圧の降下が生じる。この電
圧降下を防ぐ為に、上記半導電体層27に所定の体積抵
抗率を有するようにし、半導電体層27にコンデンサー
的な働きをさせて、電圧の降下を防止している。
【0065】ここで、印加電圧を1,000V、誘電体
層28の体積抵抗率を1013Ω・cmとした場合の体積
抵抗率と画質との関係を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2に記載の結果から、半導電体層27の
体積抵抗率は、106 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲
で、再転写あるいは転写不良がなく転写を効率良く行う
ことができることが判る。また、体積抵抗率が、109
Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲であれば、さらに好ま
しいことが判る。
【0068】したがって、本実施の形態で上記したよう
に、半導電体層27の体積抵抗率を108 Ω・cmとす
れば、転写を良好に行うことができ、良好な画質を得る
ことができる。尚、上記体積抵抗率と画質との関係は、
上記の条件に限定されるものではなく、印加電圧が1,
000V〜2,500Vの範囲内において、同様の結果
が得られる。
【0069】また、誘電体層28は、一般に高誘電率、
且つ電荷の保持力を有することが必要条件となってい
る。このため、上記誘電体層28は、上記したようにフ
ッ化ビニリデンからなり、その誘電率は、8〜12の範
囲で設定されている。
【0070】したがって、c=ε・s/l(c:電荷
量、ε:誘電率、s:面積、l:厚み)の式より、誘電
体層28の電荷量cが算出される。
【0071】このことから、誘電率εが小さければ、上
式から電荷量cは小さくなり、転写効率は良くなる。ま
た、電荷量が小さいので、吸着力も小さくなっている。
また、厚みが小さければ、上式から電荷量cは大きくな
り、転写効率が悪くなる。また、電荷量cが大きいの
で、吸着力が大きくなる。
【0072】以上のことから、誘電率εと層厚とを適切
に設定する必要がある。したがって、上記誘電体層28
は、誘電率が8〜12の範囲、層厚が100μm〜30
0μmの範囲のとき、転写シートPの吸着力および転写
効率が適正なものとなる。
【0073】また、転写ドラム11の誘電体層28の幅
は、図7に示すように、感光体ドラム15を形成する感
光体素管(アルミニウム素管15a)幅よりも大きく、
また、この感光体素管幅は、有効転写幅よりも大きく、
さらに、この有効転写幅は、有効画像幅(OPC膜15
bの塗布幅)よりも大きくなっている。
【0074】また、転写ドラム11の各層の幅が、図8
に示すように、導電体層26>半導電体層27>誘電体
層28の関係となるように形成されると、半導電体層2
7が感光体ドラム15の接地されたアルミニウム素管1
5aに接触する虞がある。
【0075】つまり、電源部32によって導電体層26
に+の電圧が印加されると、導電体層26の誘電体層2
8側には、−の電荷が誘起される。このとき、感光体ド
ラム15の接地されたアルミニウム素管15aと、上記
半導電体層27とが接触すれば、半導電体層27に帯電
した電荷が全て上記アルミニウム素管15aに移行す
る。このため、転写ドラム11は、OPC膜15b上に
吸着された−電荷のトナーを吸着することができず、転
写不良が生じる。
【0076】そこで、転写ドラム11の各層は、図9に
示すように、導電体層26と誘電体層28との幅を同じ
にし、半導電体層27の幅を上記のそれぞれの幅よりも
小さくすることで、半導電体層27と接地されたアルミ
ニウム素管15aとの接触を防止し、電荷のリークを防
止することができる。
【0077】これにより、転写ドラム11は、OPC膜
15b上に吸着された−電荷のトナーを吸着することが
でき、転写不良を無くすことができる。
【0078】また、転写ドラム11の直径は、転写シー
トP一枚が重なることなく巻きつく大きさ、即ち、本画
像形成装置において使用できる転写シートPの最大幅、
あるいは長さに応じた大きさに形成されている。
【0079】これにより、転写シートPを安定して転写
ドラム11に巻き付けることができ、この結果、転写効
率が向上し、画質の向上を図ることができる。
【0080】ここで、上記の構成の画像形成装置におけ
る画像形成プロセスについて、図2、図5および図6を
参照しながら以下に説明する。
【0081】まず、図2に示すように、自動給紙の場
合、本体最下段に設けられた給紙カセット5により、転
写シートPを最上部から順番にピックアップローラ7に
て一枚ずつPFローラ8に送り出し、このPFローラ8
を通過した転写シートPは、プリカールローラ10にて
転写ドラム11形状に沿ってカールされる。
【0082】一方、手動給紙の場合、本体正面に設けら
れた手差し供給部6から転写シートPを一枚ずつ送り出
し、手差しローラ9によりプリカールローラ10に搬送
される。そして、転写シートPは、プリカールローラ1
0にて転写ドラム11形状に沿ってカールされる。
【0083】次いで、図5に示すように、プリカールロ
ーラ10にてカールされた転写シートPは、転写ドラム
11と導電性ローラ12との間に搬送され、転写ドラム
11の半導電体層27に蓄積された電荷が、半導電体層
27表面、転写シートP内面を介して転写シートP表面
に電荷が誘起される。これにより、転写シートPが転写
ドラム11表面に静電吸着される。
【0084】その後、転写ドラム11に吸着された転写
シートPは、図6に示すように、転写ドラム11と感光
体ドラム15との圧接部である転写ポイントXまで搬送
され、感光体ドラム15上に形成されたトナーの電荷と
転写シートP表面の電荷との電位差により転写シートP
に上記のトナー像が転写される。
【0085】このとき、感光体ドラム15では、一色毎
に帯電、露光、現像、転写が行われている。したがっ
て、転写シートPは、転写ドラム11に吸着されたまま
で、転写ドラム11上で回転し、一回転する毎に一色の
転写が行われ、最大4回転で一つのフルカラー画像を得
るようになっている。但し、白黒画像、もしくはモノカ
ラー画像を得る場合には、転写ドラム11の回転は、一
回で良い。
【0086】さらに、転写シートP上に全てのトナー像
が転写されれば、転写シートPは、転写ドラム11の円
周上に離接可能に設けられた剥離爪14により転写ドラ
ム11表面から強制的に剥離され、定着ガイド22へと
導かれる。
【0087】その後、定着ガイド22によって定着ロー
ラ23までガイドされ、転写シートPのトナー像は、定
着ローラ23の温度と圧力により転写シートP上に融着
され、定着される。
【0088】そして、定着済の転写シートPは、排出ロ
ーラ24により排出トレイ25上に排出される。
【0089】このように、上記の転写ドラム11は、内
側からアルミニウムからなる導電体層26、発泡ウレタ
ンからなる半導電体層27、ポリフッ化ビニリデンから
なる誘電体層28で形成されている。これにより、上記
導電体層26に電圧を印加することで、導電体層26か
ら順に電荷が誘起され、半導電体層27に電荷が蓄積さ
れる。そして、転写ドラム11と導電性ローラ12との
間に、転写シートPが搬送されると、この転写シートP
に半導電体層27に蓄積された電荷が移動して、転写シ
ートPを転写ドラム11に静電吸着させるようになって
いる。
【0090】したがって、従来のように空中放電による
電荷注入による転写シートPの吸着、転写を行うのでは
なく、電荷の誘起による転写シートPの吸着、転写を行
うため、電圧も低くてすみ、電圧のコントロールも行い
易い。また、外圧による電圧のばらつきを無くすことが
できる。
【0091】これにより、転写ドラム11にかかる電圧
が、湿度、温度等の環境による影響を受けずに電圧を一
定に保持することができるので、転写効率を向上させ、
画質の向上を図ることができる。
【0092】また、従来のように、放電により転写ドラ
ム11表面に電荷を誘起させて帯電させる場合に比べ
て、転写ドラム11表面を安定して帯電させることがで
きるので、転写シートPの吸着および転写を安定して行
うことができる。
【0093】しかも、導電体層26に電圧を印加するだ
けで、半導電体層27、誘電体層28の順に電荷が誘起
して転写ドラム11表面を帯電させることができるの
で、従来のように空中放電により転写ドラム11の表面
を帯電させる場合に比べて、低い電圧で済むので、電圧
制御が簡単になり、駆動用エネルギーも少なくて済む。
【0094】また、電圧を印加する箇所が一か所で済む
ので、従来のように、各帯電器毎に電圧を印加させる必
要がなく、装置の簡略化を図ると共に、製造に係る費用
を安価なものとすることができる。
【0095】また、転写ドラム11の帯電を接触帯電に
より行っているので、転写ドラム11表面に疵がついて
も、電界領域が変化しないので、転写ドラム11表面の
疵の部分で電界バランスが狂うことがない。これによ
り、その部分で白抜け等の転写不良も生じないので、転
写効率を向上させることができる。
【0096】さらに、空中放電のように、空気の温湿度
等の環境に影響されにくいので、転写ドラム11の表面
電位にばらつきが生じなくなり、転写シートPの吸着不
良および印字みだれ等を無くすことができる。これによ
っても、転写効率を向上させ、画質の向上を図ることが
できる。
【0097】また、転写シートPの種類によって印加電
圧を変えることで、さらに転写効率を向上させることが
できる。これは、同じ電圧を印加しても、転写シートP
の種類、例えば、転写ートPが紙であるかOHP用の合
成樹脂シートであるかによって、転写シートPの転写効
率が異なるためである。
【0098】ここで、半導電体層27の体積抵抗率が1
6 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体
層28の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cm
の範囲内において、転写シートPとして紙を用いた場合
とOHP用の合成樹脂シートを用いた場合とにおける印
加電圧と転写効率との関係について測定した結果を表3
に示す。尚、紙には、65g紙を用いた。65g紙と
は、1m3 あたりのg数が65gである紙を指す。
【0099】
【表3】
【0100】表3に記載の結果から、転写シートPがO
HP用の合成樹脂シートの場合、半導電体層27の体積
抵抗率並びに誘電体層28の体積抵抗率に関係なく、転
写効率は、印加電圧にほとんど依存しないことが判る。
【0101】ところが、転写シートPが紙の場合、転写
効率は、印加電圧が1,500V〜2,000Vの範囲
内にある場合は転写効率が良いが、印加電圧が1,00
0V未満の場合あるいは2,500Vを越える場合に
は、転写効率が悪い場合があることが判った。
【0102】そこで、転写シートPとして65g紙を用
いて、半導電体層27の体積抵抗率が106 Ω・cm〜
1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層28の体積抵
抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内となる
ように設定し、種々検討した結果、転写効率が85%以
上の場合についてまとめると、最適な印加電圧は表4に
示すように決定される。尚、転写効率が85%以上と
は、紙にトナーが全て転写された場合を100%とした
場合に、感光体ドラム15上にトナーが残留し、紙に8
5%が転写された場合を示す。
【0103】
【表4】
【0104】表4に記載の結果から、転写シートPが紙
の場合、印加電圧を1,000V〜2,500Vの範囲
内に設定することで効率良く転写を行うことができるこ
とが判る。また、印加電圧を1,500V〜2,000
Vの範囲内に設定することがさらに好ましいことが判
る。
【0105】また、紙の1m3 あたりのg数を65g〜
128gの範囲内において、種々変更して同様の実験を
行ったところ、表4と同様の結果が得られた。
【0106】このように、導電体層26に同じ電圧を印
加しても、転写シートPの種類によって、転写効率が変
わるので、転写シートPの種類に応じて印加電圧を変更
することで、常に効率良く転写を行うことができる。こ
のとき、半導電体層27の体積抵抗率が106 Ω・cm
〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層28の体積
抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内にあ
る場合、転写ドラム11に1,000V〜2,500V
の範囲内の電圧を印加することで、特に、転写シートP
が紙の場合、転写効率を向上させることができる。
【0107】また、半導電体層27の体積抵抗率が10
6 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層
28の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの
範囲内にある場合、転写シートPが紙であってもOHP
用の合成樹脂シートであっても、転写ドラム11に1,
000V〜2,500Vの範囲内の電圧を印加すること
で、効率良く転写を行うことができる。つまり、半導電
体層27の体積抵抗率と誘電体層28の体積抵抗率が上
記の範囲内にある場合、転写ドラム11に1,000V
〜2,500Vの範囲内の電圧を印加することで、転写
シートの種類によって電圧の切替えを行うことなく、効
率良く転写を行うことができる。
【0108】また、印加電圧が同じでも、転写時の湿度
によって転写効率が変わる。つまり、湿度によって、半
導電体層27、誘電体層28、および転写シートPの体
積抵抗率が変化するため、導電体層26に同じ電圧を印
加しても、転写効率に差が生じる。このことから、導電
体層26に、湿度に応じて最適な電圧を印加する必要が
ある。
【0109】そこで、転写時の湿度を検出するために、
図2に示すように、転写ドラム11近辺に、湿度検出手
段としての湿度センサ(湿度計測装置)33を配設し、
転写シートPの吸着動作の前に湿度センサ33によって
湿度を読み取り、印加電圧を決定することで、電源部3
2によって、湿度に応じた最適な電圧を導電体層26に
印加することができる。
【0110】このとき、効率良く転写を行うためには、
湿度が高いほど印加電圧を低く設定する必要がある。一
方、高湿度のときに印加電圧を低く設定しすぎると、紙
の吸着力が弱まり、転写を良好に行うことができなくな
る。以上のことを加味し、半導電体層27の体積抵抗率
が106 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘
電体層28の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・
cmの範囲内にある場合における湿度に対する最適な印
加電圧を決定すると、表5に示す結果が得られる。
【0111】
【表5】
【0112】表5に示すように、湿度が0%〜40%の
範囲内にあるときは、印加電圧を1,000V〜2,0
00Vの範囲内に設定することが好ましく、湿度が41
%〜60%の範囲内にあるときは、印加電圧を1,00
0V〜2,500Vの範囲内に設定することが好まし
い。また、湿度が61%〜80%の範囲内にあるとき
は、印加電圧を1,500V〜2,500Vの範囲内に
設定することが好ましく、湿度が81%〜100%の範
囲内にあるときは、印加電圧を1,500V〜2,00
0Vの範囲内に設定することが好ましい。印加電圧が上
記範囲内であれば効率良く転写を行うことができるが、
特に、印加電圧を上記範囲内の中間値に設定すること
で、最も効率よく転写を行うことができる。
【0113】ここで、上記湿度センサ33を用いた場合
における転写ドラム11への電圧の印加制御について、
図11に示すフローチャートを参照しながら以下に説明
する。但し、以下の各部材の制御は、図10に示す制御
装置37によって行なわれるものとする。
【0114】まず、図示しない本体の電源スイッチがO
Nされると、例えばクリーニングや除電等といった紙の
吸着動作や転写動作のための準備が行われる(S1)。
尚、準備終了後、転写ドラム11は静止する。次いで、
湿度センサ33により転写ドラム11付近の湿度が計測
され(S2)、湿度センサ33により計測した湿度に応
じて印加電圧が決定される(S3)。このとき、湿度セ
ンサ33により計測した湿度が0%〜40%の範囲内に
あるときは、印加電圧を1,000V〜2,000Vの
範囲内に設定し、湿度が41%〜60%の範囲内にある
ときは、印加電圧を1,000V〜2,500Vの範囲
内に設定する。また、湿度が61%〜80%の範囲内に
あるときは、印加電圧を1,500V〜2,500Vの
範囲内に設定し、湿度が81%〜100%の範囲内にあ
るときは、印加電圧を1,500V〜2,000Vの範
囲内に設定する。その後、転写ドラム11を回転させ、
一連の紙吸着並びに転写動作が行われる(S4)。
【0115】以上のように、湿度センサ33によって、
転写ドラム11に転写シートPが吸着される前に湿度を
読み取り、電源部32によって、湿度に応じた最適な電
圧を導電体層26に印加することで、あらゆる湿度下で
も最適な転写効率を得ることができる。特に、転写シー
トPが紙の場合は湿度の影響を受け易く、また、印加電
圧によって転写効率が左右されるため、湿度センサ33
の検出結果に応じた電圧を電源部32によって導電体層
26に印加することで、転写効率を一層向上させること
ができる。
【0116】尚、本実施の形態では、導電体層26とし
て円筒状のアルミニウムを使用しているが、他の導電体
を使用しても良い。また、半導電体層27を発泡ウレタ
ンで形成しているが、他の半導電体としてシリコン等の
弾性体を使用しても良い。また、誘電体層28をポリフ
ッ化ビニリデンで形成しているが、他の誘電体としてポ
リエチレンテレフタレート等の樹脂を使用しても良い。
【0117】また、転写ドラム11に代えて、図12に
示すように、最内層から導電体層26、半導電体層とし
て、上記転写ドラム11の半導電体層27相当の誘電率
および抵抗値からなる半導電体フィルム34、誘電体層
として、誘電体層28相当の誘電率および抵抗値からな
る誘電体フィルム35が順に積層された転写ドラム36
を使用しても良い。この場合においても導電体層26は
電源部32によって電圧が印加されるようになってい
る。
【0118】
【発明の効果】請求項1の発明に係る画像形成装置は、
以上のように、表面にトナー像が形成される像担持体
と、転写シートを上記像担持体に当接させることによ
り、像担持体上に形成されたトナー像を転写する転写手
段とを有する画像形成装置において、上記転写手段は、
転写シートの当接面側から、誘電体層、半導電体層およ
び導電体層が順に積層され、上記導電体層に所定の電圧
を印加する電圧印加手段と、上記誘電体層表面の転写位
置から上流側の表面に、転写シートを介して接触する設
置された電極部材とを有すると共に、上記電圧印加手段
が、半導電体層の体積抵抗率が106 Ω・cm〜1010
Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層の体積抵抗率が10
9 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内にある場合、転写
手段に1,000V〜2,500Vの範囲内の電圧を印
加する構成である。
【0119】請求項2の発明に係る画像形成装置は、以
上のように、請求項1の構成に加えて、上記転写シート
が紙である構成である。
【0120】それゆえ、請求項1の構成によれば、電圧
印加手段が導電体層に所定の電圧を印加すると共に電極
部材が上記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に
転写シートを介して接触するので、導電体層に印加され
た電圧の極性と同じ極性の電荷が半導電体層に蓄積さ
れ、さらに、誘電体層および誘電体層の表面に圧接され
た転写シートの表面にも、同じ極性の電荷が誘起され
る。すなわち、誘電体層に接する転写シートの裏面に
は、導電体層に印加された電圧の極性とは逆極性の電荷
が誘起される。これにより、導電体層に電圧を印加する
だけで、転写シートを誘電体層の表面、つまり転写手段
の表面に静電吸着させることができると共に、転写シー
ト表面の電荷による電位と像担持体表面のトナー像の電
荷による電位との間に所定の差を設けることによりトナ
ー像を転写シートに転写することができる。
【0121】これによって、従来のように空中放電によ
る電荷注入による転写シートの吸着、転写を行うのでは
なく、電荷の誘起による転写シートの吸着、転写を行う
ため、電圧も低くてすみ、電圧のコントロールも行い易
い。また、外圧による電圧のばらつきを無くすことがで
きる。
【0122】したがって、転写手段にかかる電圧が、湿
度、温度等の環境による影響を受けずに電圧を一定に保
持することができるので、転写効率を向上させ、画質の
向上を図ることができる。
【0123】さらに、上記電圧印加手段が、半導電体層
の体積抵抗率が106 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲
内、かつ、誘電体層の体積抵抗率が109 Ω・cm〜1
13Ω・cmの範囲内にある場合、転写手段に1,00
0V〜2,500Vの範囲内の電圧を印加することで、
特に、請求項2に記載のように、転写シートが紙の場
合、転写効率を向上させることができる。転写シートが
紙の場合、転写効率は印加電圧によって左右される。と
ころが、例えば転写シートがOHP用の合成樹脂シート
の場合、転写効率は、半導電体層や誘電体層の体積抵抗
率とは関係なく、印加電圧にほとんど依存しない。
【0124】そこで、半導電体層の体積抵抗率が106
Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層の
体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内
にある場合、転写手段に1,000V〜2,500Vの
範囲内の電圧を印加することで、転写シートが紙であっ
てもOHP用の合成樹脂シートであっても、効率良く転
写を行うことができる。つまり、転写シートがOHP用
の合成樹脂シートの場合は、紙の吸着に有利なように印
加電圧を決定することができる。また、転写シートが紙
の場合は、転写効率を向上させることができるという効
果を併せて奏する。
【0125】請求項3の発明に係る画像形成装置は、以
上のように、請求項1または2の構成に加えて、転写手
段近傍の湿度を検出する湿度検出手段が設けられ、上記
電圧印加手段が、上記湿度検出手段の検出結果に応じた
電圧を導電体層に印加することを特徴とする構成であ
る。
【0126】それゆえ、請求項3の構成によれば、転写
手段近傍の湿度を検出する湿度検出手段が設けられ、上
記電圧印加手段が、上記湿度検出手段の検出結果に応じ
た電圧を導電体層に印加することで、請求項1または2
の作用に加えて、導電体層に、湿度に応じた電圧を印加
することができる。つまり、湿度によって半導電体層、
誘電体層、および転写シートの体積抵抗率が変化するた
め、同じ電圧を印加したとしても、転写時の湿度によっ
て転写効率が変わる。そこで、転写シートの吸着動作に
入る前に湿度を検出し、湿度検出手段の検出結果に応じ
た電圧を導電体層に印加することで、あらゆる湿度下で
も最適な転写効率を得ることができる。特に、転写シー
トが紙の場合は、湿度の影響を受け易く、また、印加電
圧によって転写効率が左右されるため、湿度検出手段の
検出結果に応じた電圧を導電体層に印加することで、転
写効率を一層向上させることができるという効果を併せ
て奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置に備
えられた転写ドラム近傍の概略構成図である。
【図2】図1に示す転写ドラムを備えた画像形成装置の
概略構成図である。
【図3】図1に示す転写ドラムを構成する導電体層と、
半導電体層および誘電体層との接続状態を示す説明図で
ある。
【図4】図1に示す転写ドラムを構成する導電体層と、
半導電体層および誘電体層との接続状態を示す他の説明
図である。
【図5】図1に示す転写ドラムの帯電状態を示す説明図
であって、転写シートが転写ドラムに搬送された初期の
状態を示す説明図である。
【図6】図1に示す転写ドラムの帯電状態を示す説明図
であって、転写シートが転写ドラムの転写位置に搬送さ
れた状態を示す説明図である。
【図7】図1に示す転写ドラムの帯電幅と有効画像幅と
の比較を示す説明図である。
【図8】図1に示す転写ドラムと感光体ドラムの電荷移
動を示し、転写ドラムの各層の幅が、誘電体層<半導電
体層<導電体層となる場合の電荷移動を示す説明図であ
る。
【図9】図1に示す転写ドラムと感光体ドラムの電荷移
動を示し、転写ドラムの各層の幅が、半導電体層<誘電
体層=導電体層となる場合の電荷移動を示す説明図であ
る。
【図10】上記構成の画像形成装置に備えられている制
御装置のブロック図である。
【図11】湿度センサを用いた場合における図1に示す
転写ドラムへの電圧の印加制御を示すフローチャートで
ある。
【図12】本発明にかかる画像形成装置に備えられた他
の転写ドラム近傍の概略構成図である。
【図13】従来の画像形成装置の概略構成図である。
【図14】従来の他の画像形成装置の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
11 転写ドラム(転写手段) 12 導電性ローラ(電極部材) 15 感光体ドラム(像担持体) 26 導電体層 27 半導電体層 28 誘電体層 32 電源部(電圧印加手段) 33 湿度センサ(湿度検出手段) 36 転写ドラム(転写手段) P 転写シート X 転写ポイント(転写位置)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にトナー像が形成される像担持体と、
    転写シートを上記像担持体に当接させることにより、像
    担持体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを
    有する画像形成装置において、 上記転写手段は、転写シートの当接面側から、誘電体
    層、半導電体層および導電体層が順に積層され、 上記導電体層に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、 上記誘電体層表面の転写位置から上流側の表面に、転写
    シートを介して接触する設置された電極部材とを有する
    と共に、 上記電圧印加手段が、半導電体層の体積抵抗率が106
    Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲内、かつ、誘電体層の
    体積抵抗率が109 Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内
    にある場合、転写手段に1,000V〜2,500Vの
    範囲内の電圧を印加することを特徴とする画像形成装
    置。
  2. 【請求項2】上記転写シートが紙であることを特徴とす
    る請求項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】転写手段近傍の湿度を検出する湿度検出手
    段が設けられ、 上記電圧印加手段が、上記湿度検出手段の検出結果に応
    じた電圧を導電体層に印加することを特徴とする請求項
    1または2記載の画像形成装置。
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