JP3221360B2 - 低温焼成型ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板 - Google Patents
低温焼成型ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板Info
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- JP3221360B2 JP3221360B2 JP16264697A JP16264697A JP3221360B2 JP 3221360 B2 JP3221360 B2 JP 3221360B2 JP 16264697 A JP16264697 A JP 16264697A JP 16264697 A JP16264697 A JP 16264697A JP 3221360 B2 JP3221360 B2 JP 3221360B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建材用板、台所
用品、医療器具及び化学容器等の分野で使用される、抗
菌性及び抗カビ性を有する抗菌ほうろうに適したAl−
Zn溶融めっき鋼板に関するものである。
用品、医療器具及び化学容器等の分野で使用される、抗
菌性及び抗カビ性を有する抗菌ほうろうに適したAl−
Zn溶融めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ほうろうは、金属の表面にガラス質を主
成分とするうわぐすり(釉薬)が薄く焼き付けられた素
材であり、金属の有する堅牢性とガラスの有する耐食性
及び美観等を兼ね備えている。そこで従来、ほうろうは
台所用品、医療器具及び化学容器等、広範な製品に使用
されている。釉薬にはガラス質を主成分とするフリット
に生原料を混ぜてコロイド性をもたせ、薬掛けを容易に
したものが用いられる。
成分とするうわぐすり(釉薬)が薄く焼き付けられた素
材であり、金属の有する堅牢性とガラスの有する耐食性
及び美観等を兼ね備えている。そこで従来、ほうろうは
台所用品、医療器具及び化学容器等、広範な製品に使用
されている。釉薬にはガラス質を主成分とするフリット
に生原料を混ぜてコロイド性をもたせ、薬掛けを容易に
したものが用いられる。
【0003】これに対して、近年、健康への関心の高ま
りや衛生上の見地から、カラー鋼板、セラミックス及び
金属板等の塗膜にAgO、CuO及びZnO等の抗菌性
を有する物質を添加し、壁材や器物等に使用されてい
る。これは、Agイオン、Cuイオン及びZnイオン等
が製品表面に溶出することにより抗菌性や抗カビ性が発
揮することをねらったものである。
りや衛生上の見地から、カラー鋼板、セラミックス及び
金属板等の塗膜にAgO、CuO及びZnO等の抗菌性
を有する物質を添加し、壁材や器物等に使用されてい
る。これは、Agイオン、Cuイオン及びZnイオン等
が製品表面に溶出することにより抗菌性や抗カビ性が発
揮することをねらったものである。
【0004】ところが、上記抗菌・抗カビ性物質をフリ
ットに添加し、抗菌性や抗カビ性を有するほうろう鋼板
(抗菌ほうろう鋼板)を製造する場合に、従来の通常の
温度で焼成すると、フリット中の抗菌・抗カビ性物質の
効果が発揮されなくなる。これは、焼成過程で形成され
るSiO4 4面体の網目構造の中に抗菌・抗カビ物質が
取り込まれたりして、その効果が発揮されなくなるから
であると考えられている。このように、焼成過程におい
てフリット中の抗菌・抗カビ性物質の効果が損なわれな
いようにするため、600℃以下という比較的低温で焼
成する必要がある。また、ほうろうの密着性を確保する
ために、下地鋼板としてAlめっき鋼板及びAl−Zn
溶融めっき鋼板等が使用されはじめている。
ットに添加し、抗菌性や抗カビ性を有するほうろう鋼板
(抗菌ほうろう鋼板)を製造する場合に、従来の通常の
温度で焼成すると、フリット中の抗菌・抗カビ性物質の
効果が発揮されなくなる。これは、焼成過程で形成され
るSiO4 4面体の網目構造の中に抗菌・抗カビ物質が
取り込まれたりして、その効果が発揮されなくなるから
であると考えられている。このように、焼成過程におい
てフリット中の抗菌・抗カビ性物質の効果が損なわれな
いようにするため、600℃以下という比較的低温で焼
成する必要がある。また、ほうろうの密着性を確保する
ために、下地鋼板としてAlめっき鋼板及びAl−Zn
溶融めっき鋼板等が使用されはじめている。
【0005】例えば、特開平7−268653号公報に
は、抗菌ほうろう鋼板に関し、抗菌・抗カビ性物質とし
て、アルカリ金属、又は、アルカリ金属にAgO、Cu
O及びZnOの内1種以上を選定したものをフリットに
添加した釉薬を調製し、Alめっき鋼板又はAl−Zn
溶融めっき鋼板に塗布し、これを焼成温度500〜58
0℃という低い温度で焼き付けるほうろう鋼板を開示し
ている(以下、「先行技術」という)。
は、抗菌ほうろう鋼板に関し、抗菌・抗カビ性物質とし
て、アルカリ金属、又は、アルカリ金属にAgO、Cu
O及びZnOの内1種以上を選定したものをフリットに
添加した釉薬を調製し、Alめっき鋼板又はAl−Zn
溶融めっき鋼板に塗布し、これを焼成温度500〜58
0℃という低い温度で焼き付けるほうろう鋼板を開示し
ている(以下、「先行技術」という)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術は、ほう
ろうが有する優れた本来の特性を保持しつつ抗菌性及び
抗カビ性を備えている点で優れている。そして、先行技
術の抗菌性及び抗カビ性を備えたほうろう鋼板には、ほ
うろうの密着性確保のため、Al−Zn溶融めっき鋼板
が使用されている。ところが、Al−Zn溶融めっき鋼
板のめっき皮膜は、加工性に優れず比較的クラックが入
り易い。また、本発明者等は、Al−Zn溶融めっき鋼
板を用いたほうろう鋼板には、Al−Zn溶融めっき鋼
板の製造条件により泡欠陥と呼ばれるほうろう欠陥が発
生することがあり、この部分で抗菌性、抗カビ性が経時
的に劣化する恐れがあることを見い出した。しかしなが
ら、先行技術では、ほうろう鋼板のこのような泡欠陥部
における抗菌性、抗カビ性の劣化問題については言及さ
れていず、その他の文献にもこの問題解決に対する提案
は見当たらない。
ろうが有する優れた本来の特性を保持しつつ抗菌性及び
抗カビ性を備えている点で優れている。そして、先行技
術の抗菌性及び抗カビ性を備えたほうろう鋼板には、ほ
うろうの密着性確保のため、Al−Zn溶融めっき鋼板
が使用されている。ところが、Al−Zn溶融めっき鋼
板のめっき皮膜は、加工性に優れず比較的クラックが入
り易い。また、本発明者等は、Al−Zn溶融めっき鋼
板を用いたほうろう鋼板には、Al−Zn溶融めっき鋼
板の製造条件により泡欠陥と呼ばれるほうろう欠陥が発
生することがあり、この部分で抗菌性、抗カビ性が経時
的に劣化する恐れがあることを見い出した。しかしなが
ら、先行技術では、ほうろう鋼板のこのような泡欠陥部
における抗菌性、抗カビ性の劣化問題については言及さ
れていず、その他の文献にもこの問題解決に対する提案
は見当たらない。
【0007】本発明者等は、上記抗菌・抗カビ性の経時
劣化問題を解決するに当たり、ほうろうのフリット中に
添加された抗菌・抗カビ性物質の効果を発揮させるた
め、ほうろうの焼成を600℃以下の低温で行なうこと
を前提とした。更に、下地鋼板としてはほうろう密着性
の良好なAl−Zn溶融めっき鋼板を使用することにし
た。その上で、ほうろう処理時にほうろう層に泡欠陥が
発生しない条件を見い出す研究を行なった。本発明者等
は、ほうろう処理前の下地鋼板加工時にAl−Znめっ
き層に割れが発生すると、この割れを起因とした泡がほ
うろう処理中に発生し、ほうろうの泡欠陥になると考え
た。そして、下地鋼板加工時にめっき層に割れが発生し
にくいAl−Zn溶融めっき鋼板を開発することにし
た。
劣化問題を解決するに当たり、ほうろうのフリット中に
添加された抗菌・抗カビ性物質の効果を発揮させるた
め、ほうろうの焼成を600℃以下の低温で行なうこと
を前提とした。更に、下地鋼板としてはほうろう密着性
の良好なAl−Zn溶融めっき鋼板を使用することにし
た。その上で、ほうろう処理時にほうろう層に泡欠陥が
発生しない条件を見い出す研究を行なった。本発明者等
は、ほうろう処理前の下地鋼板加工時にAl−Znめっ
き層に割れが発生すると、この割れを起因とした泡がほ
うろう処理中に発生し、ほうろうの泡欠陥になると考え
た。そして、下地鋼板加工時にめっき層に割れが発生し
にくいAl−Zn溶融めっき鋼板を開発することにし
た。
【0008】こうして、この発明の目的は、抗菌性及び
抗カビ性を有するほうろうに適した下地鋼板として、6
00℃以下の温度でのほうろう焼成処理を施してもほう
ろう層に泡欠陥が発生せず、抗菌・抗カビ性が経時劣化
しないようなほうろう鋼板用Al−Zn溶融めっき鋼板
を提供することにある。
抗カビ性を有するほうろうに適した下地鋼板として、6
00℃以下の温度でのほうろう焼成処理を施してもほう
ろう層に泡欠陥が発生せず、抗菌・抗カビ性が経時劣化
しないようなほうろう鋼板用Al−Zn溶融めっき鋼板
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
課題を解決し、抗菌性及び抗カビ性を有するほうろう鋼
板に適したAl−Zn溶融めっき鋼板を開発すべく鋭意
研究を重ねた。その結果、上記目的を達成する下地鋼板
を製造するためには、Al−Zn溶融めっき鋼板のめっ
き層の制御が重要であり、めっき層の成分組成を限定
し、めっき皮膜の付着量及びメッキ皮膜の表面粗さを制
御することにより、下地鋼板のプレス加工時に、めっき
層に割れが発生するのを抑制することができ、そしてほ
うろう焼成時のほうろう層での泡の発生を抑制すること
ができるとの知見を得た。
課題を解決し、抗菌性及び抗カビ性を有するほうろう鋼
板に適したAl−Zn溶融めっき鋼板を開発すべく鋭意
研究を重ねた。その結果、上記目的を達成する下地鋼板
を製造するためには、Al−Zn溶融めっき鋼板のめっ
き層の制御が重要であり、めっき層の成分組成を限定
し、めっき皮膜の付着量及びメッキ皮膜の表面粗さを制
御することにより、下地鋼板のプレス加工時に、めっき
層に割れが発生するのを抑制することができ、そしてほ
うろう焼成時のほうろう層での泡の発生を抑制すること
ができるとの知見を得た。
【0010】この発明は、上記知見に基づきなされたも
のである。即ち、この発明の低温焼成型ほうろう用Al
−Zn溶融めっき鋼板の特徴は、めっき皮膜の化学成分
組成を、Al:20〜80wt.%及びSi:0.1〜5w
t.%で、残部がZn及び不可避不純物からなるものに限
定する。そして、めっき皮膜の片面当たり付着量を、3
0〜120g/m2 の範囲内とし、更に、めっき皮膜の
表面粗さを、JIS B0601で規定された中心線平
均粗さRa が、0.2〜2μmの範囲内に入るように製
造されたものであることに特徴を有するものである。
のである。即ち、この発明の低温焼成型ほうろう用Al
−Zn溶融めっき鋼板の特徴は、めっき皮膜の化学成分
組成を、Al:20〜80wt.%及びSi:0.1〜5w
t.%で、残部がZn及び不可避不純物からなるものに限
定する。そして、めっき皮膜の片面当たり付着量を、3
0〜120g/m2 の範囲内とし、更に、めっき皮膜の
表面粗さを、JIS B0601で規定された中心線平
均粗さRa が、0.2〜2μmの範囲内に入るように製
造されたものであることに特徴を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のAl−Zn溶融めっき鋼
板は、耐食性及び加工性を良好に保持し、加工時におけ
るめっき層の割れ発生を抑制し、そしてほうろうの泡の
発生を抑制したものである。ほうろうの下地鋼板として
Al−Zn溶融めっき層を選定したのは、ほうろうの密
着性を確保するためである。そして、めっき皮膜を上記
の通り限定した理由を以下説明する。
板は、耐食性及び加工性を良好に保持し、加工時におけ
るめっき層の割れ発生を抑制し、そしてほうろうの泡の
発生を抑制したものである。ほうろうの下地鋼板として
Al−Zn溶融めっき層を選定したのは、ほうろうの密
着性を確保するためである。そして、めっき皮膜を上記
の通り限定した理由を以下説明する。
【0012】(1)めっき皮膜のAl含有率:20〜8
0wt.% 溶融めっきにより形成されたAl−Zn合金めっき皮膜
中のAl含有率が20wt.%未満では、めっき皮膜残部の
主成分であるZnの鋼に対する犠牲防食能が大き過ぎ、
腐食過程における皮膜の溶出量が過剰になるので、皮膜
の耐食性を十分に確保することができない。一方、皮膜
中のAl含有率が80wt.%を超えると、Znの犠牲防食
能が小さ過ぎ、鋼素地が露出する端面や加工部において
耐食性が確保されない。従って、めっき皮膜中のAl含
有率は20〜80wt.%の範囲内に限定する。また、望ま
しいAl含有率は40〜60wt.%の範囲内である。
0wt.% 溶融めっきにより形成されたAl−Zn合金めっき皮膜
中のAl含有率が20wt.%未満では、めっき皮膜残部の
主成分であるZnの鋼に対する犠牲防食能が大き過ぎ、
腐食過程における皮膜の溶出量が過剰になるので、皮膜
の耐食性を十分に確保することができない。一方、皮膜
中のAl含有率が80wt.%を超えると、Znの犠牲防食
能が小さ過ぎ、鋼素地が露出する端面や加工部において
耐食性が確保されない。従って、めっき皮膜中のAl含
有率は20〜80wt.%の範囲内に限定する。また、望ま
しいAl含有率は40〜60wt.%の範囲内である。
【0013】(2)めっき皮膜のSi含有率:0.1〜
5wt.% Siは、めっき浴に鋼板を浸漬した時に形成される両者
の界面での合金層の形成を抑制し、そしてめっき皮膜の
加工性を改善するためにAl−Zn合金めっき皮膜中に
含有させる。しかし、めっき皮膜中のSi含有率が0.
1wt.%未満では、合金層が厚くなり過ぎ、めっき皮膜の
密着性が劣化する。一方、めっき皮膜中のSi含有率が
5wt.%を超えると、合金層形成の抑制効果が飽和し、S
i含有率が高くなることにより皮膜自体の加工性が劣化
する。従って、めっき皮膜中のSi含有率は0.1〜5
wt.%の範囲内に限定する。また、より望ましいSi含有
率は1〜3wt.%の範囲内である。
5wt.% Siは、めっき浴に鋼板を浸漬した時に形成される両者
の界面での合金層の形成を抑制し、そしてめっき皮膜の
加工性を改善するためにAl−Zn合金めっき皮膜中に
含有させる。しかし、めっき皮膜中のSi含有率が0.
1wt.%未満では、合金層が厚くなり過ぎ、めっき皮膜の
密着性が劣化する。一方、めっき皮膜中のSi含有率が
5wt.%を超えると、合金層形成の抑制効果が飽和し、S
i含有率が高くなることにより皮膜自体の加工性が劣化
する。従って、めっき皮膜中のSi含有率は0.1〜5
wt.%の範囲内に限定する。また、より望ましいSi含有
率は1〜3wt.%の範囲内である。
【0014】なお、本発明ではめっき皮膜中のFe含有
率は特に限定しないが、10g/m 2 以下とすることが
望ましい。めっき皮膜中のFe含有率が10g/m2 を
超えると界面合金層が過度に発達し、めっき層の加工性
が劣化傾向を示すからである。
率は特に限定しないが、10g/m 2 以下とすることが
望ましい。めっき皮膜中のFe含有率が10g/m2 を
超えると界面合金層が過度に発達し、めっき層の加工性
が劣化傾向を示すからである。
【0015】(3)めっき皮膜の付着量:30〜120
g/m2 めっき皮膜の付着量は、ほうろう焼成時のほうろう層で
の泡発生の抑制、及びめっき層の加工性確保の観点より
制御すべきものである。ほうろう形成面でのめっき皮膜
の付着量が、片面当たり30g/m2 未満では、ほうろ
う焼成時に鋼板側から鉄がめっき層表面まで拡散し、こ
こで酸化されて酸化鉄を形成し、ほうろう層中に泡が生
成し易くなる。一方、ほうろう形成面でのめっき皮膜の
付着量が片面当たり120g/m2 を超えると、下地鋼
板加工時のめっき層の割れが多くなり、その部分で上記
と同様、ほうろう焼成時に鋼板側から鉄がめっき層の割
れを経てめっき層の表面まで拡散し、酸化されて酸化鉄
を形成し、ほうろう層中に泡が生成し易くなる。従っ
て、めっき皮膜の付着量は、片面当たり30〜120g
/m2 の範囲内に限定する。
g/m2 めっき皮膜の付着量は、ほうろう焼成時のほうろう層で
の泡発生の抑制、及びめっき層の加工性確保の観点より
制御すべきものである。ほうろう形成面でのめっき皮膜
の付着量が、片面当たり30g/m2 未満では、ほうろ
う焼成時に鋼板側から鉄がめっき層表面まで拡散し、こ
こで酸化されて酸化鉄を形成し、ほうろう層中に泡が生
成し易くなる。一方、ほうろう形成面でのめっき皮膜の
付着量が片面当たり120g/m2 を超えると、下地鋼
板加工時のめっき層の割れが多くなり、その部分で上記
と同様、ほうろう焼成時に鋼板側から鉄がめっき層の割
れを経てめっき層の表面まで拡散し、酸化されて酸化鉄
を形成し、ほうろう層中に泡が生成し易くなる。従っ
て、めっき皮膜の付着量は、片面当たり30〜120g
/m2 の範囲内に限定する。
【0016】(4)めっき皮膜の表面粗さ(JIS中心
線平均粗さRa ):0.2〜2.0μm めっき皮膜の表面粗さRa が0.2μm未満であると、
めっき鋼板に対するほうろう層の密着性が劣化する。一
方、めっき皮膜の表面粗さRa が2.0μmを超える
と、加工時にめっき表面の凹凸部が起点となってめっき
層の局部的な割れが生じ、上記メカニズムによりその部
位で泡発生が起こり問題となる。従って、めっき皮膜の
表面粗さRa は、0.2〜2.0μmの範囲内に限定す
る。
線平均粗さRa ):0.2〜2.0μm めっき皮膜の表面粗さRa が0.2μm未満であると、
めっき鋼板に対するほうろう層の密着性が劣化する。一
方、めっき皮膜の表面粗さRa が2.0μmを超える
と、加工時にめっき表面の凹凸部が起点となってめっき
層の局部的な割れが生じ、上記メカニズムによりその部
位で泡発生が起こり問題となる。従って、めっき皮膜の
表面粗さRa は、0.2〜2.0μmの範囲内に限定す
る。
【0017】なお、本発明で規定される表面粗度は、鋼
板原板の粗さ制御、めっき条件(特にガスワイピング後
の冷却条件)、めっき後の機械的もしくは化学的処理に
よる表面仕上げで達成することが可能である。
板原板の粗さ制御、めっき条件(特にガスワイピング後
の冷却条件)、めっき後の機械的もしくは化学的処理に
よる表面仕上げで達成することが可能である。
【0018】図1に、本発明者等が試験により得たほう
ろう特性とめっき皮膜の表面粗さR a との関係を示す。
同図は片面当たりのめっき皮膜の付着量が30〜120
g/m2 の範囲内の場合であり、表面粗さRa が0.2
〜2.0μmの範囲内でほうろうの密着性及び泡発生の
抑制共に優れた水準にある。
ろう特性とめっき皮膜の表面粗さR a との関係を示す。
同図は片面当たりのめっき皮膜の付着量が30〜120
g/m2 の範囲内の場合であり、表面粗さRa が0.2
〜2.0μmの範囲内でほうろうの密着性及び泡発生の
抑制共に優れた水準にある。
【0019】なお、この発明における母材鋼板として
は、鋼板の溶融めっき設備を用いてAl−Zn溶融めっ
き処理をすることができる範囲内の鋼板であればよく、
上記範囲内の鋼板であれば特にその化学成分組成、寸法
・形状及び機械的性質等を限定しない。例えば、JIS
G3133(ほうろう用脱炭鋼板及び鋼帯)、JIS
G3131(熱間圧延軟鋼板及び鋼帯)、G3141
(冷間圧延鋼板及び鋼帯)、G3101(一般構造用圧
延鋼材)等、その他広範囲のものを対象とすることがで
きる。
は、鋼板の溶融めっき設備を用いてAl−Zn溶融めっ
き処理をすることができる範囲内の鋼板であればよく、
上記範囲内の鋼板であれば特にその化学成分組成、寸法
・形状及び機械的性質等を限定しない。例えば、JIS
G3133(ほうろう用脱炭鋼板及び鋼帯)、JIS
G3131(熱間圧延軟鋼板及び鋼帯)、G3141
(冷間圧延鋼板及び鋼帯)、G3101(一般構造用圧
延鋼材)等、その他広範囲のものを対象とすることがで
きる。
【0020】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。表1に示す化学成分組成を有する板厚0.
8mmの鋼板を用いて、Al−Zn溶融めっきを施し
た。
に説明する。表1に示す化学成分組成を有する板厚0.
8mmの鋼板を用いて、Al−Zn溶融めっきを施し
た。
【0021】表2に、各めっき鋼板(各実施例及び各比
較例)について、めっき皮膜の付着量及び表面粗さ(R
a )を示す。但し、いずれのめっき鋼板においても、皮
膜の成分組成は、Al含有率が55wt.%、Si含有率が
1.5wt.%、Fe含有率が0.5wt.%、そして残部はZ
nと不可避不純物とからなるものである。
較例)について、めっき皮膜の付着量及び表面粗さ(R
a )を示す。但し、いずれのめっき鋼板においても、皮
膜の成分組成は、Al含有率が55wt.%、Si含有率が
1.5wt.%、Fe含有率が0.5wt.%、そして残部はZ
nと不可避不純物とからなるものである。
【0022】なお、本実施例では同一めっき材を用い、
そのめっき面を研摩することにより、表面粗さの異なる
試験片を作製した。
そのめっき面を研摩することにより、表面粗さの異なる
試験片を作製した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】次に、各実施例及び各比較例のAl−Zn
溶融めっき鋼板のそれぞれにつき、下記の試験方法で、
ほうろう密着性及びほうろう層の泡発生傾向を評価し
た。 ほうろう密着性 各Al−Zn溶融めっき鋼板のそれぞれを、乾燥炉にて
430℃で5分間保持した。次いで、抗菌成分を含んだ
釉薬を膜厚80μmとなるように塗布し、フリットの軟
化温度である500℃にて保持した焼成炉中で、5分間
焼成処理を行なった後、冷却した。こうして得られた試
験片について、ほうろう密着性をプレス法(PEI法,
JIS R4204)により試験した。この結果を表2
に併記した。
溶融めっき鋼板のそれぞれにつき、下記の試験方法で、
ほうろう密着性及びほうろう層の泡発生傾向を評価し
た。 ほうろう密着性 各Al−Zn溶融めっき鋼板のそれぞれを、乾燥炉にて
430℃で5分間保持した。次いで、抗菌成分を含んだ
釉薬を膜厚80μmとなるように塗布し、フリットの軟
化温度である500℃にて保持した焼成炉中で、5分間
焼成処理を行なった後、冷却した。こうして得られた試
験片について、ほうろう密着性をプレス法(PEI法,
JIS R4204)により試験した。この結果を表2
に併記した。
【0026】ほうろう層の泡発生傾向 各Al−Zn溶融めっき鋼板のそれぞれからJIS3号
曲げ試験片を採取し、90度曲げ試験を行ない、次いで
これを乾燥炉にて430℃で5分間保持した。次いで、
抗菌成分を含んだ釉薬を膜厚80μmに塗布し、フリッ
トの軟化温度である500℃にて保持した焼成炉中で、
5分間焼成処理を行なった後、冷却した。こうして得ら
れた試験片の曲げ部のほうろう外観を調べ、ほうろう層
の泡発生傾向を求めた。この結果を表2に併記した。泡
発生傾向の評価は、欠陥なし(○印)、軽度の泡発生
(△印)及び重度の泡発生(×印)の3水準とした。
曲げ試験片を採取し、90度曲げ試験を行ない、次いで
これを乾燥炉にて430℃で5分間保持した。次いで、
抗菌成分を含んだ釉薬を膜厚80μmに塗布し、フリッ
トの軟化温度である500℃にて保持した焼成炉中で、
5分間焼成処理を行なった後、冷却した。こうして得ら
れた試験片の曲げ部のほうろう外観を調べ、ほうろう層
の泡発生傾向を求めた。この結果を表2に併記した。泡
発生傾向の評価は、欠陥なし(○印)、軽度の泡発生
(△印)及び重度の泡発生(×印)の3水準とした。
【0027】なお、上記及びにおいて使用したフリ
ットの主な成分組成は、低温焼成用ほうろうに常用され
るものである。上記試験結果から明らかなように、実施
例1〜4のほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板では、
ほうろう密着性に優れ、泡発生による欠陥がなく、優れ
たほうろう特性を有していることがわかる。
ットの主な成分組成は、低温焼成用ほうろうに常用され
るものである。上記試験結果から明らかなように、実施
例1〜4のほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板では、
ほうろう密着性に優れ、泡発生による欠陥がなく、優れ
たほうろう特性を有していることがわかる。
【0028】これに対して、比較例1、2、3及び4の
ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板はそれぞれ、本発
明の範囲に対して、めっき皮膜の表面粗さRa が下限未
満のもの、Ra が上限超えのもの、めっき皮膜の付着量
が下限未満のもの、及び付着量が上限超えのものであ
り、いずれにおいてもこの発明で目標とするほうろう性
が得られていないことがわかる。以上より、この発明で
規定する構成要件を満たすことが所要のほうろう性を得
るために必要であることがわかる。
ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板はそれぞれ、本発
明の範囲に対して、めっき皮膜の表面粗さRa が下限未
満のもの、Ra が上限超えのもの、めっき皮膜の付着量
が下限未満のもの、及び付着量が上限超えのものであ
り、いずれにおいてもこの発明で目標とするほうろう性
が得られていないことがわかる。以上より、この発明で
規定する構成要件を満たすことが所要のほうろう性を得
るために必要であることがわかる。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
泡欠陥がなく、経時的に抗菌性・抗カビ性が劣化せず、
且つ密着性の良好なほうろう層を形成することができ
る、低温焼成型ほうろう用のAl−Zn溶融めっき鋼板
が得られる。こうして、建材用板、台所用品、医療器具
及び化学容器等の広範な分野に使用されるAl−Zn溶
融めっき鋼板を提供することができ、工業上有用な効果
がもたらされる。
泡欠陥がなく、経時的に抗菌性・抗カビ性が劣化せず、
且つ密着性の良好なほうろう層を形成することができ
る、低温焼成型ほうろう用のAl−Zn溶融めっき鋼板
が得られる。こうして、建材用板、台所用品、医療器具
及び化学容器等の広範な分野に使用されるAl−Zn溶
融めっき鋼板を提供することができ、工業上有用な効果
がもたらされる。
【図1】ほうろう特性とめっき皮膜の表面粗さRa との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−2163(JP,A) 特公 平5−71667(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40 C23D 3/00 C23D 5/00
Claims (1)
- 【請求項1】 Al:20〜80wt.%及びSi:0.1
〜5wt.%を含み、残部がZn及び不可避不純物からなる
化学成分組成を有するめっき皮膜が、片面当たり30〜
120g/m2 の範囲内の付着量で形成されたAl−Z
n溶融めっき鋼板であって、前記めっき皮膜の表面粗さ
が、JISで規定された中心線平均粗さRa で0.2〜
2.0μmの範囲内にあることを特徴とする、低温焼成
型ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16264697A JP3221360B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | 低温焼成型ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16264697A JP3221360B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | 低温焼成型ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1112710A JPH1112710A (ja) | 1999-01-19 |
JP3221360B2 true JP3221360B2 (ja) | 2001-10-22 |
Family
ID=15758586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16264697A Expired - Fee Related JP3221360B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | 低温焼成型ほうろう用Al−Zn溶融めっき鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3221360B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013194295A (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-30 | Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp | めっき金属板、遮熱塗装金属板及び遮熱塗装金属板の製造方法 |
JP6378790B2 (ja) * | 2017-02-21 | 2018-08-22 | 日鉄住金鋼板株式会社 | 遮熱塗装金属板の製造方法 |
-
1997
- 1997-06-19 JP JP16264697A patent/JP3221360B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1112710A (ja) | 1999-01-19 |
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