JP3218634B2 - 回転角度検出装置 - Google Patents

回転角度検出装置

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潔 齋藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車エンジンの回転軸
(クランク軸)に同期して回転する回転体の回転角度を
検出する回転角度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車のエンジンの電子制御化が
進み、点火系についてもディストリビュータをなくし、
クランク軸の回転角度を検出して最適なタイミングで点
火する点火制御システムが採用されるようになり、使用
される回転角度検出装置は高い検出精度が要求されるよ
うになってきている。
【0003】以下に従来の回転角度検出装置について説
明する。図2は従来例1の回転角度検出装置の電気回路
図を示すものである。1は感磁素子、2は入力抵抗2
1,帰還抵抗22および演算増幅器23を有する増幅回
路、3は抵抗31およびコンデンサ32を有する積分回
路、4は比較器41を有する比較整形回路である。
【0004】以上のように構成された回転角度検出装置
について、その動作を説明すると、エンジンの回転に対
し感磁素子1により検出された回転角度信号は増幅回路
2により増幅される。この信号は回転に依存しない直流
分(ほぼ電源電圧の中間電位に等しい)に回転に同期し
た交流分が重畳した波形になっている。比較回路4はこ
の信号の平均値電圧を積分回路3より得て、その電圧と
信号とを比較して比較整形するものである。
【0005】しかしながら、上記従来技術の構成では積
分回路4の時定数と低速回転時の検出精度が反比例す
る。したがって低速での精度を上げようとすると時定数
が大きくなり、装置電源投入後の立上り特性が大幅に劣
化するという課題があった。図3はその課題を解決した
従来例2の回転角度検出装置の電気回路図を示すもので
あり、図2の従来技術と同一部分は同一信号を付して説
明を省略して説明すると、6はクリップ回路であり、ク
リップ回路6はNPNのペアトランジスタ51,52の
ベースが共通に接続され、PNPのペアトランジスタ5
3,54もベースが共通に接続され、トランジスタ5
2,54のエミッタは共に入力端子Bに接続されてい
る。トランジスタ51のコレクタはベースに結合されて
おり、抵抗55を通して、定電圧源VSに接続されてい
る。トランジスタ51のエミッタは定電圧電源VSを抵
抗57,58と抵抗59で分圧する点Eに接続されてい
る。
【0006】以上のように構成された回転角検出装置に
ついて、以下その動作をクリップ回路6の動作を中心に
説明すると、抵抗57〜59は、図3の上限・下限クリ
ップ電圧V2,V3を設定するための分割抵抗であり、E
点の電圧を上限クリップ電圧V2に設定し、F点の電圧
を下限クリップ電圧V3に設定する。55,56は電流
制限用で、等価的にダイオードとして働くトランジスタ
51,53の順方向電流を制限する。この時、トランジ
スタ51のベース・エミッタ間電圧をVBE1とすると、
トランジスタ51のベース電圧はV3+VBE1となる。
【0007】また、トランジスタ53のベース・エミッ
タ間電圧をVBE2とすると、トランジスタ53のベース
電圧はV2−VBE2となる。
【0008】トランジスタ51と52、トランジスタ5
3と54はそれぞれ同特性としているのでトランジスタ
52のベース・エミッタ間電圧VBE3はVBE1に等しく、
トランジスタ54のベース・エミッタ間電圧VBE4はV
BE2に等しい。いまB点の電圧が上がって電圧V2になる
と、トランジスタ52のベース電圧はV3+VBE1=V3
+VBE3なので、ベース・エミッタ間出力電圧は(V3
BE1)−V2=(V3+VBE3)−V2=VBE3−(V2
3)<VBE3となって逆バイアスとなり、トランジスタ
52は遮断状態となる。一方トランジスタ54のベース
電圧は(V2−VB E2)=(V2−VBE4)なので、ベース
・エミッタ間電圧は、V2−(V2−VBE2)=V2−(V
2−VBE4)=VBE4となってトランジスタ54は能動状
態となり、B点の電圧が電圧V2より上がろうとするの
を抑える。逆にB点の電圧が下がって電圧V3になる
と、トランジスタ54のベース・エミッタ間電圧は、V
3−(V 2−VBE2)=V3−(V2−VBE4)=VBE4
(V2−V3)<VBE4となってトランジスタ54は遮断
状態となる。一方トランジスタ52のベース・エミッタ
間電圧は(V3+VBE1)−V3=(V3+VBE3)−V3
BE3となり、トランジスタ52は能動状態となって、
B点の電位がV3より下がろうとするのを抑える。図3
のA点の信号は、感磁素子1で検出された回転角度信号
を増幅器2で増幅したものであり、図4のA1で示す。
信号A1はエンジンの回転角度に同期した交流分が、回
転角度に依存しない直流分V1に重畳した波形になって
いる。比較回路4は、この信号A1の平均値電圧(直流
分)を積分回路3より得て、その電圧と信号A1を比較
して比較整形するものである。
【0009】クリップ回路5は、図3B点の信号波形
を、あらかじめ設定された直流電圧V 2,V3の間に制限
するものである。B点の信号は、高回転時には積分回路
3の抵抗31,コンデンサ32により平滑されてA1
号の直流分V1となる。エンジン始動時のように交流分
の周波数が極めて低いときのB点の信号は、図4の信号
2で示すように、大きなリップル波形B1を電圧V2
3でクリップした波形となる。したがって図4に示す
ようにクリップしないときは波形D1のように高回転時
の波形D0よりずれるが、クリップすると波形D2のよう
にずれを抑えることができ、低回転時での精度を維持で
きる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ごとく図2の従来技術においては電源投入後の立上がり
特性に課題を有し、図3の従来技術においてはクリップ
回路5が複雑な構造のためコストがかかるうえ、製造工
程における工数が増加するという課題を有するものであ
った。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の回転角検出装置は回転角度に同期した交流分
を回転角度に依存しない直流分に重畳した信号として発
生する手段と、上記信号を積分して平均値電圧信号を出
力する積分回路と、この平均値電圧信号と上記回転角度
に同期した交流分を回転角度に依存しない直流分に重畳
した信号とを比較して整形する比較整形回路と、上記積
分回路の基準転の電位を略上記回転角度に依存しない直
流分の電位に設定する基準電位設定回路とで構成したも
のである。
【0012】
【作用】上記構成によって低回転でも精度が維持できる
程十分に積分回路の時定数を大きくしても、装置電源投
入時の立上がり時間は積分回路の基準電位が略回転角度
に依存しない直流分の電位とに設定したので、両端の直
流電圧差分の充電のためのロスタイムがなくなるので、
接地されている場合に比べて、大幅に低減できるもので
ある。
【0013】
【実施例】本発明の回転角度検出装置の一実施例を図1
により説明する。なお、図2の従来技術と同一部分には
同一番号を付与し、説明を省略して説明すると、6は一
端に電源電圧が供給され、他端が接地され、更にコンデ
ンサ32の両端の直流電圧(回転角度に依存しない直流
分の電圧)が略等しくなるようにコンデンサ32に分圧
された電位を与える分割抵抗から基準電位設定回路であ
る。
【0014】以上のように構成された回転角度検出装置
について、動作を説明すると、エンジンの回転に対し感
磁素子1により検出された回転角度信号は増幅器2によ
り増幅される。この信号は回転に依存しない直流分(ほ
ぼ電源電圧の中間電位に等しい。)に回転に同期した交
流分が重畳した波形になっている。比較回路4はこの信
号の平均値電圧を積分回路3により得て、その電圧と信
号とを比較して比較整形するものである。
【0015】そして、上記基準電位設定回路6によって
コンデンサ32の両端の直流電圧差はないのでエンジン
起動時の立上がり時間から直流分の充電に要する時間を
低減することができ、立上がり時間の短縮が図れること
になる。
【0016】上記実施例による立上がり時間と図1の従
来技術における立上がり時間を積分回路3の時定数を抵
抗31が1.2MΩ,32が0.22μFの場合の比較
表を(表1)に示す。
【0017】
【表1】
【0018】この(表1)から明らかなように、上記実
施例による回転角度検出装置は立上がり時間の低減の点
で優れた効果がある。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明は、回転角度に同期
した交流分が回転角度に依存しない直流分に重畳した信
号を発生する手段と、前記信号を積分して平均値電圧を
出力する積分回路と、この積分回路の平均値電圧信号と
前記信号とを比較して整形する比較整形回路と、前記積
分回路の基準点の電位を基準電位設定回路によって回転
角度に依存しない直流分の電位としたので、積分回路の
時定数に関係なく低回転でも精度を維持し、かつ、装置
電源投入時の立上がり時間がシステムに支障をきたさな
い程短く、回路構成が簡略化された優れた回転角度検出
装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転角度検出装置の一実施例の電気的
回路図
【図2】従来の回転角度検出装置の電気的回路図
【図3】従来の他の回転角度検出装置の電気的回路図
【図4】同他の回転角度検出装置の動作説明のための波
形図
【符号の説明】
1 感磁素子 2 増幅回路 3 積分回路 4 比較回路 6 基準電位設定回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転角度に同期した交流分を回転角度に依
    存しない直流分に重畳した信号として発生する手段と、
    上記信号を積分して平均値電圧信号を出力する積分回路
    と、この平均値電圧信号と上記回転角度に同期した交流
    分を回転角度に依存しない直流分に重畳した信号とを比
    較して整形する比較整形回路と、上記積分回路の基準点
    の電位を略上記回転角度に依存しない直流分の電位に設
    定する基準電位設定回路とで構成した回転角度検出装
    置。
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