JP3213502B2 - トリフェニルアミン類の製造方法 - Google Patents

トリフェニルアミン類の製造方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トリフェニルアミン類
の新規な製造方法に関する。本発明の方法によって得ら
れるトリフェニルアミン類は一般化学工業中間体、特に
染料、農薬、ゴム薬等の製造中間体として有用な化合物
である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
トリフェニルアミン類の製造方法としては、アニリン類
もしくはジフェニルアミン類のカリウム塩とブロモベン
ゼンとを加熱反応させる方法、ジフェニルアミンとアニ
リンとを塩酸存在下に反応させる方法(米国特許第20
51123号)、銅クロム酸化物触媒の存在下にアニリ
ンとフェノールを反応させる方法(特公昭52−489
69号公報)、ジフェニルアミンと等モル量のシクロヘ
キサノンとをパラジウム触媒の存在下反応させる方法
(米国特許第3219704号)等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの方法では反応工程
が煩雑であったり、多量の酸、塩基を必要とする等の欠
点があり、又特公昭52−48969号や米国特許第3
219704号の方法では、極めて収率が低い等、工業
的に満足できるものではなかった。
【0004】水素移動触媒の存在下、水素受容体として
フェノール類を使用し、系内にてシクロヘキサノン類を
生成させながらジフェニルアミン類と反応させてトリフ
ェニルアミンを製造する方法についても知られている。
例えばパラジウム触媒使用下、過剰量のフェノール中で
ジフェニルアミンとシクロヘキサノンとを反応させ、ト
リフェニルアミンを収率68.5%(選択率85.1
%)で得る方法(特開昭61−183250号)があ
る。しかし特開昭61−183250号の方法では、原
料のジフェニルアミン類の製造工程が必要であり、トリ
フェニルアミン類を得るには2段階の工程を必要とす
る。
【0005】本発明の目的は、フェノール類とアニリン
類とを一段階で反応させ、トリフェニルアミン類を得る
極めて効率的な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、トリフェ
ニルアミン類のより効率的で有利な工業的製法について
鋭意検討した結果、フェノール類とアニリン、アルキル
基置換アニリン、カルボキシ基置換アニリン、ハロゲン
置換アニリン、ニトリル基置換アニリン、p−フェニル
アニリンから選ばれるアニリン類を水素移動触媒の存在
下反応させることにより、一段階で且つ高選択率で得ら
れることを見出し、本発明に到達した。
【0007】即ち、本発明方法は、水素移動触媒及び触
媒量の反応に用いるフェノール類に対応するシクロヘキ
サノン類の存在下、水素受容体としてフェノール類を使
用し、系内にて対応するシクロヘキサノン類を生成させ
ながら、アニリン、アルキル基置換アニリン、カルボキ
シ基置換アニリン、ハロゲン置換アニリン、ニトリル基
置換アニリン、p−フェニルアニリンから選ばれるアニ
リン類と反応させるか、または、最初から反応系中にシ
クロヘキサノン類を共存させておくことなく、水素加圧
下、フェノール類の一部を対応するシクロヘキサノン類
に変換させ、引き続き残りのフェノール類を水素受容体
として使用し、系内にて対応するシクロヘキサノン類を
生成させながら、アニリン、アルキル基置換アニリン、
カルボキシ基置換アニリン、ハロゲン置換アニリン、ニ
トリル基置換アニリン、p−フェニルアニリンから選ば
れるアニリン類と反応させることを特徴とするトリフェ
ニルアミン類の製造方法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法では、アニリン類とシクロヘキサノン類との反応に
より生成した中間体シクロヘキシリデンアニリン類が脱
水素されて生成した水素は、フェノール類の還元、つま
りシクロヘキサノン類の生成に、同一反応系中で全て利
用される。更に、同一反応系中でシクロヘキシリデンア
ニリン類が脱水素されて生成したジフェニルアミン類と
シクロヘキサノン類とが縮合反応してN−(1−シクロ
ヘキセニル)−ジフェニルアミン類となり、これが脱水
素されてトリフェニルアミン類が得られる。この際生成
する水素も、同一反応系中でフェノール類の還元にすべ
て利用される、極めて効率的な方法である。
【0009】本発明方法において目的物のトリフェニル
アミン類を取り出す際、分離されるシクロヘキサノン類
を含んだフェノール類は、混合物のまま反応系に循環再
使用できる。更に、核置換体トリフェニルアミン類の製
造において、相当する適当なシクロヘキサノン類の入手
が困難である場合も、フェノール類さえあればシクロヘ
キサノン類の替わりに過剰量のフェノール類を使用して
あらかじめ水素を仕込み、フェノール類の一部をシクロ
ヘキサノン類に変換しつつ反応させれば良いので適用範
囲が広い等、数々の利点がある。
【0010】本発明の方法において原料として使用され
るアニリン類は例えば、アニリン、2−メチルアニリ
ン、3−メチルアニリン、4−エチルアニリン等のアル
キル基置換アニリン4−カルボキシアニリン等のカル
ボキシ基置換アニリン、4−フルオロアニリン等のハロ
ゲン置換アニリン、ニトリル基置換アニリン、p−フェ
ニルアニリン等が挙げられる
【0011】本発明の方法において水素受容体として使
用されるフェノール類としては公知のいかなるものでも
よいが例として、フェノール、メチルフェノール、エチ
ルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノ
ール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ
メチルフェノール等のアルキルフェノール、3−メトキ
シフェノール、4−メトキシフェノール等のアルコキシ
フェノール、2−フルオロフェノール、4−シクロヘキ
シルフェノール、4−フェノキシフェノール、2−メト
キシ−4−シクロヘキシルフェノール、2−メトキシ−
4−フルオロフェノール等が挙げられる。
【0012】本発明方法に用いるフェノール類の使用量
は、シクロヘキサノン類を初めから共存させる場合はア
ニリン類に対し2等量以上であれば特に問題ないが、フ
ェノール類を自溶媒として過剰に用いた方が選択率が高
くなる傾向にあり、アニリン類に対し3〜20モル倍の
過剰量、好ましくは4〜10モル倍使用するのがよい。
フェノール類が少ない場合はN−シクロヘキシルアニリ
ン類の副生量が増加する場合が多い。
【0013】シクロヘキサノン類としては前述のフェノ
ール類に対応するシクロヘキサノン類が用いられ、その
使用量は、アニリン類に対し触媒量の約0.03モル倍
以上あれば特に問題ないが、好ましくは0.05〜1.
00モル倍が良い。
【0014】また、反応の最初からシクロヘキサノン類
を使用しない場合は、水素をフェノール類に対し、前記
の適量のシクロヘキサノン類を生成するに相当する量、
即ち、約0.06モル倍以上、好ましくは0.10〜
2.00モル倍反応器に封入後加熱反応すれば良い。
【0015】本発明の方法において使用される触媒とし
ては脱水素反応及び還元反応の両方の機能を有する触媒
である必要があるが、通常好適な水素化還元反応触媒は
脱水素反応にも適する。具体的には、ラネーニッケル、
還元ニッケルもしくはニッケル担体触媒、ラネーコバル
ト、還元コバルトもしくはコバルト担体触媒、ラネー
銅、還元銅もしくは銅担体触媒、周期律表第8族の貴金
属触媒もしくはその貴金属が担体として、炭素、アルミ
ナ、炭酸バリウム等に担持された触媒、レニウム−炭素
等のレニウム触媒、銅−クロム酸化物触媒等が挙げられ
る。これらの触媒のうち、好ましくはパラジウムであ
り、特にパラジウム−炭素、パラジウム−アルミナ及び
パラジウム−酸化マグネシウム等の担体に担持されたパ
ラジウム触媒が好ましい。その使用量は前記アミン類に
対し金属原子として通常0.001〜0.2グラム原
子、好ましくは0.004〜0.1グラム原子が良い。
【0016】尚、本発明の方法においては反応終了後の
反応マスから目的生成物を分離後、シクロヘキサノン類
は分離することなく反応液は繰り返し連続的に循環使用
するのが好ましく、その際フェノール類を自溶媒として
過剰使用するのが有利である。その他の反応溶媒を使用
する必要はないが、勿論使用しても何等支障はない。
【0017】反応温度は通常150〜350℃で、好ま
しくは180〜300℃の範囲で選ばれる。これより低
い温度では反応速度が小さく、又N−シクロヘキシルア
ニリン類やN−シクロヘキシルジフェニルアミン類が多
く副生する傾向がある。
【0018】本発明方法においては、原材料を反応容器
に装入する場合、あらかじめ触媒及びフェノール類を容
器に装入、撹拌、昇温しておき、ついでアニリン類を滴
下しながら反応させることが好ましい態様である。
【0019】反応は生成する水を除去しながら行うのが
有利であり、そのためにベンゼン、トルエン、キシレン
のような溶媒を用いて共沸蒸留しながら反応混合物から
分離する方法が適当である。
【0020】生成したトリフェニルアミン類は反応終了
後の混合物を蒸留、晶析、抽出等の常法に従って処理す
ることにより得られる。例えば反応終了液をろ過し、触
媒を分離する。この回収触媒は再使用できる。ろ液を濃
縮し、過剰量のフェノール類をシクロヘキサノン類を含
んだまま回収し、その留分は混合物のまま反応系へ戻
す。釜内のトリフェニルアミン類は蒸留、晶析等により
精製分離する。
【0021】
【実施例】以下、本発明の方法を実施例によって具体的
に説明する。 実施例1 内容積500mlのステンレス製オートクレーブにフェ
ノール188.2g(2.0モル)、シクロヘキサノン
3.0g(0.03モル)及びエヌ・イー・ケムキャッ
ト社製5%Pd/C1.07gを仕込み、滴下装置にア
ニリン27.9g(0.3モル)を装入してオートクレ
ーブ内を窒素置換した後、250℃に昇温した。撹拌下
にその温度を保ったまま滴下装置内のアニリンを8時間
かけて滴下した。滴下終了後、さらにこの温度に保った
まま7時間撹拌を続けた。次いで反応器内を室温まで冷
却し、反応混合液より5%Pd/Cを濾別した。濾液を
ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、アニリ
ンの転化率は95.6%、トリフェニルアミンの選択率
は90.4%であった。
【0022】実施例2〜5 実施例1と同様にして、種々のアニリン類、フェノール
類及びフェノールに対応するシクロヘキサノン類を用い
て反応を行った。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例6 実施例1で使用した内容積500mlのオートクレーブ
に最初の仕込にシクロヘキサノンを用いない以外は、実
施例1と同様の操作を行った。オートクレーブ内を窒素
置換した後、水素で7kg/cm2Gに加圧した。引き
続き実施例1と同様に加熱反応、処理した。その結果、
アニリンの転化率は90.5%、トリフェニルアミンの
選択率は88.2%であった。
【0025】
【発明の効果】本発明方法によれば、水素移動触媒の存
在下、水素受容体としてフェノール類を使用し、系内に
てシクロヘキサノン類を生成させながらアニリン類と反
応させることにより、極めて効率的に一段階で、且つ収
率良くトリフェニルアミン類を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 211/54 C07C 209/18 C07C 253/30 C07C 255/58 C07B 61/00 300 CASREACT(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素移動触媒及び触媒量の反応に用いる
    フェノール類に対応するシクロヘキサノン類の存在下、
    水素受容体としてフェノール類を使用し、系内にて対応
    するシクロヘキサノン類を生成させながら、アニリン、
    アルキル基置換アニリン、カルボキシ基置換アニリン、
    ハロゲン置換アニリン、ニトリル基置換アニリン、p−
    フェニルアニリンから選ばれるアニリン類と反応させる
    ことを特徴とするトリフェニルアミン類の製造方法。
  2. 【請求項2】 水素移動触媒の存在下に、フェノール類
    を水素加圧下、その一部を対応するシクロヘキサノン類
    に変換させ、引き続き残りのフェノール類を水素受容体
    として使用し、系内にて対応するシクロヘキサノン類を
    生成させながら、アニリン、アルキル基置換アニリン、
    カルボキシ基置換アニリン、ハロゲン置換アニリン、ニ
    トリル基置換アニリン、p−フェニルアニリンから選ば
    れるアニリン類と反応させることを特徴とするトリフェ
    ニルアミン類の製造方法。
  3. 【請求項3】 アニリン、アルキル基置換アニリン、カ
    ルボキシ基置換アニリン、ハロゲン置換アニリン、ニト
    リル基置換アニリン、p−フェニルアニリンから選ばれ
    アニリン類を滴下装入しながら反応させる請求項1ま
    たは2記載のトリフェニルアミン類の製造方法。
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