JP7352955B2 - フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法 - Google Patents
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しかし、上記(1)の方法は、フェノール類をアミンに対して2倍モル量以上、好ましくは、4~10倍モル量使用するので、反応液から未反応のフェノール類を分離回収する工程が必要である。また、使用するフェノール類の量を減らすと、シクロへキシルアミン化合物の副生量が増加し、目的生成物の選択性が低下する傾向にある。
上記(2)の方法は、水素源としてテトラヒドロナフタレン等の脂環式六員環化合物を使用するため、反応で生じたナフタレン等の共生成物を反応液から分離する工程が必要である。
上記(3)の方法は、添加剤として使用されるアンモニアがフェノール類2分子と反応して対称構造を持つジフェニルアミン類を生じうるため、フェノール類と第一級アミンとの反応により生じる目的生成物である芳香族アミンを高い選択率で得るためには、目的生成物がこれと同じ対称構造を持つジフェニルアミン類であり、従って、使用する第一級アミンがフェノール類のフェニル基と同じ構造のフェニル基を有するアニリン類である必要がある。
また、上記(1)~(3)のいずれの反応も、オートクレーブを用いて、高温高圧下(150~300℃、1~30MPa)で実施されるため、温度や水素化条件に敏感な官能基を有するフェノール類やアミン類を反応基質として使用することが難しいなど、基質の適用範囲に大きな制限がある。
しかしながら、この方法は、助触媒として使用したトリフルオロ酢酸や水素源由来のナトリウム塩を分離する工程が必要となる。また、同一の反応器空間で水素化と脱水素が逐次的に進むため、水素化を受けやすい官能基の共存は難しい。
ただし、この方法は高価で入手が容易でない芳香族ハロゲン化物をあらかじめ調製する必要がある。また、反応後には、使用したパラジウム錯体触媒や塩基、共生成物であるハロゲン化物塩を分離除去する工程が必要となる。さらに、強塩基を使用するため、塩基性条件に敏感な官能基を有する芳香族アミン化合物を合成することは難しい。
(1)特許文献1に記載されたアミン類に対して大過剰量のフェノール類を使用する方法は、反応後に未反応のフェノール類を分離して処理することに多大なコストがかかるため、省エネルギーの面から工業的に優れた方法ではない。
(2)アミン類に対して過剰量のフェノール類の使用を必要としない方法としては、水素ガスの代わりに反応系中で水素源として機能する添加剤を使用する手法がある。ただし、特許文献2に記載された、フェノール類に対応するシクロヘキサノン類を使用する方法は、シクロヘキサノン類を前もって調製する手間が生じる。また、特許文献3に記載された脂環式六員環化合物、非特許文献1に記載されたギ酸ナトリウムを使用する方法では、これらに由来する共生成物を分離して処理することに多大なコストがかかる。
(3)従来の製造方法では、高い収率と選択性を得るために、非特許文献1を除いて、高温高圧下(150~300℃、1~30MPa)で実施する必要があるため、温度や水素化条件に敏感な官能基を有するフェノール類やアミン類を使用することが難しいなど、基質の適用範囲に大きな制限がある。
(4)従来の製造方法では、オートクレーブ等の釜型反応器へ原料や触媒等を加えて加熱撹拌させる手法(バッチ法)が採用されてきた。このバッチ法では、目的の反応が完結するまで、反応により生じた生成物が、触媒等の存在する反応条件下に長時間留まることになる。この製造法上の特徴により、(i)まず、生成物である芳香族アミン化合物が触媒と過剰反応を起こすことによって、生成物の収率や純度の低下を招く場合があり、(ii)さらに、生じた芳香族アミン化合物が触媒の働きを阻害する触媒毒として作用することにより、触媒の作業効率が低下して使用量の増大を招いている。
図1に示すように、この反応では、フェノール類1の水素化Aによりシクロヘキサノン類2が生じ、これがアミン類3(アンモニア(R6、R7は水素)、第1級アミン(R7は水素)または第2級アミン)と脱水縮合Bしてイミン中間体4(3がアンモニアまたは第1級アミンの場合)あるいはイミニウム中間体4’(3が第2級アミンの場合)を与えたのち、その脱水素化Cにより芳香族アミン化合物5が生成する。この際、フェノール類1だけではなくイミン中間体4あるいはイミニウム中間体4’も水素化を受けて、シクロへキシルアミン化合物6が副生してしまう。
この副反応を抑制するためには、フェノール類1がイミン中間体4またはイミニウム中間体4’に対して大過剰に存在する状況を作り出す必要があり、このために、特許文献1においては、アミン類に対し大過剰のフェノール類を使用し、特許文献3および非特許文献1においては、穏やかな水素源を使用してシクロヘキサノンの生成を抑制することで、イミン中間体あるいはイミニウム中間体の生成速度を調整する必要があるものと考えられる。
さらに、前記(4)の問題は、従来技術において基質の適用範囲が限定される要因でもあり、また、触媒負荷量の増大による製造費の上昇にも繋がる。
これにより、本発明においては、目的生成物である芳香族アミン化合物のアミン部位や他の官能基に対する過剰反応や、反応生成物による触媒への被毒作用等を抑制することが可能である。したがって、より少ない触媒使用量で、多官能基化されたものを含め、芳香族アミン化合物を高い収率と選択率で製造することができる。
〈1〉白金族元素を含む固体触媒が収容された第一の触媒カートリッジに、フェノール類と水素を導入してシクロヘキサノン類へと連続的に水素化し、続いて得られたシクロヘキサノン類をアンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類および水素捕捉剤と共に、白金族元素を含む固体触媒が収容された第二の触媒カートリッジへと導入し、芳香族アミン化合物を連続的に製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
〈2〉前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、活性炭担持パラジウム触媒、活性炭担持水酸化パラジウム触媒、アルミナ担持パラジウム触媒、シリカ担持パラジウム触媒、ジルコニア担持パラジウム触媒、ゼオライト担持パラジウム触媒、パラジウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上の触媒であることを特徴とする、〈1〉に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈3〉前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、セライト、珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記第一および第二の触媒カートジッジに収容されていることを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈4〉前記第一級アミンまたは第二級アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、ヘテロ芳香族アミンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈5〉前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、酸素あるいは炭素数8以下の第一級オレフィンまたは第二級オレフィンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、〈1〉~〈4〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈6〉前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンに対して1.0~4.0倍モル量であることを特徴とする、〈1〉~〈5〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈7〉前記触媒カートリッジのうち第一の触媒カートリッジにのみ水素が導入され、その際の水素圧が0.1MPa~0.3MPaであることを特徴とする、〈1〉~〈6〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈8〉一方端に原料を流入させる入口を有し、他方端に反応生成物が排出される出口を有し、内部温度の調節装置を具備する筒状の容器に触媒が収容されてなる触媒カートリッジを2つ有し、第一の触媒カートリッジの入口が第一の原料供給路に連結され、第一の触媒カートリッジの出口が気液分離装置の入口に連結され、気液分離装置の気体出口から気体が排出され、気液分離装置の液体出口が、一方の入口が第二の原料供給路と連結された混合器のもう一方の入口と連結され、第二の触媒カートリッジの入口が当該混合器の出口に連結され、第二の触媒カートリッジの出口が最終反応生成物の排出路に連結してなる、連続フロー式反応装置において、
第一の触媒カートリッジに、フェノール類を水素によりシクロヘキサノン類へと水素化する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第二の触媒カートリッジに、シクロヘキサノン類と、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類を脱水縮合し、さらに水素捕捉剤の存在下、脱水素化して芳香族アミン化合物を生成する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第一の原料として、フェノール類と水素ガスの混合物を第一の原料供給路から連続的に供給し、気液分離装置において、水素ガスを分離し、第二の原料として、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類と水素捕捉剤の混合物を第二の原料供給路から連続的に供給することにより、第二の触媒カートリッジから連続的に排出される最終生成物中から芳香族アミン化合物が回収されることを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造装置。
〈9〉第一の原料供給路が、第一の液体原料であるフェノール類を供給する供給路と第一の気体原料である水素ガスを供給する供給路がそれぞれその入口に連結され、これらの混合物が排出される排出路がその出口に連結された混合器を有し、当該混合器の排出路が第一の触媒カートリッジの入口に連結されていることを特徴とする、〈8〉に記載の装置。
〈10〉第一の触媒カートリッジの出口と気液分離装置の入口の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの出口と最終反応生成物の排出路の間に、背圧弁を有することを特徴とする、〈8〉または〈9〉に記載の装置。
〈11〉第一の触媒カートリッジの入口と第一の原料供給路の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの入口と、気液分離装置からの液体と第二の原料の混合器の出口の間に、予熱装置を有することを特徴とする、〈8〉~〈10〉のいずれか1項に記載の装置。
本発明の連続フロー法によれば、生じた生成物が反応器内に留まることなく連続的に排出されるため、触媒と生成物の接触時間を最小限とすることができる。これにより触媒と生成物との間の望まない作用(過剰反応や触媒被毒)が抑制され、生成物の収率や選択性、触媒回転数を飛躍的に向上させることが可能である。
このため、従来技術では製造が難しかった、官能基(ニトリル、エステル、アルケン、インドール、アミド、アミノ酸エステル、ハロゲン原子など)を有する芳香族アミン類についても、本発明技術を用いることで、これらの官能基を有するフェノール類とアミン類から高い収率と選択性で製造することが可能である。
R1~R5から選ばれる二か所が結合して環を形成しても良い。)
前記フェノール類の溶液の溶媒としては、フェノール類をよく溶かし、かつ反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
好ましくは、トルエン、キシレン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、2-プロパノール、酢酸ブチルである。これらの溶媒は2種類以上を混合しても良い。
R6およびR7の二か所が-(CH2)j-X-(CH2)k-を介して環を形成しても良い。このXは、CH2、CHR10、酸素原子(O)、硫黄原子(S)またはNR10を意味し、R10は、水素原子、アルキル基、アリール基を意味し、およびj、kは、1~5の整数を意味する。)
前記アミン類の溶液の溶媒としては、アミン類をよく溶かし、かつ反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
好ましくは、トルエン、キシレン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、2-プロパノール、酢酸ブチルである。これらの溶媒は2種類以上を混合しても良い。
このようなオレフィン類は、以下の一般式(3)で表すことができる:
R6およびR7の二か所が-(CH2)l-を介して環を形成しても良い。このlは、1~6の整数を意味する。)
使用するオレフィン類の量は、基質に含まれるアミノ基に対して1~5倍モル量であり、好ましくは2倍モル量である。オレフィン類は基質溶液にあらかじめ混合しておいてもよいし、流路内で連続的に混合してもよい。
以下の実施例及び比較例において、芳香族アミン化合物の合成における転化率および収率は、得られた目的化合物の重量もしくはガスクロマトグラフィー測定の結果をもとに、それぞれ以下の計算式により算出した。
さらに、触媒回転数(TON)は、得られた目的化合物のモル数や触媒カートリッジ内の触媒量をもとに、以下の計算式により算出した。
Pd/C (93mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(930mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第一の触媒カートリッジ(内径5.0mm、長さ100mm)へ収容した。同様に、Pd(OH)2/C(380mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.80g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。前段の水素化反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、p-アニシジン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を22.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の4-メトキシジフェニルアミン4.9gを得た(収率92%)。
多段階連続フロー反応装置の代わりに、バッチ式反応器(密栓可能な耐圧ガラス試験管)を用いて、実施例1と類似の反応を行った。
密栓可能な耐圧ガラス試験管(外径18mm、内容積27mL)に撹拌子を入れ、触媒としてPd/C(52mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))を入れ、さらに基質としてフェノール(23mg、0.24mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)とp-アニシジン(25mg, 0.20mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)、水素捕捉剤としてスチレン(42mg, 0.40mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(2mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。容器内を水素で置換して密栓したのち、140℃で6時間撹拌した。その後、内部標準としてn-ドデカン(17mg)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、p-アニシジンの転化率は28%、4-メトキシジフェニルアミンの収率は8%であった。
水素捕捉剤であるスチレンを加えない以外は比較例1と同様に、バッチ式反応器による反応を行った。その結果、4-メトキシジフェニルアミン(収率15%)とN-シクロへキシル-4-メトキシアニリン(収率33%)が得られた。
多段階連続フロー反応装置の代わりに、バッチ式反応器(密栓可能な耐圧ガラス試験管)を用いて、逐次的に触媒や基質、水素、水素捕捉剤などを加えて反応を行う実験を行った。
密栓可能な耐圧ガラス試験管(外径18mm、内容積27mL)に撹拌子を入れ、触媒としてPd/C(52mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))を入れ、さらに基質としてフェノール(23mg、0.24mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(1.0mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。容器内を水素で置換して密栓したのち、140℃で3時間撹拌した。その後、容器内の水素をアルゴンに置換したのち、基質としてp-アニシジン(25mg, 0.20mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)、水素捕捉剤としてスチレン(42mg, 0.40mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(2mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。容器を再び密栓した後、140℃で3時間撹拌した。その後、内部標準としてn-ドデカン(17mg)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、p-アニシジンの転化率は51%、4-メトキシジフェニルアミンの収率は15%、N-シクロへキシル-4-メトキシアニリンの収率は1%であった。
Pd/C (100mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.00g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第一の触媒カートリッジ(内径5.0mm、長さ100mm)へ収容した。同様に、Pd(OH)2/C(855mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(8.55g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ200mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、p-アニシジン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を168時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた白色固体を十分に減圧乾燥することにより、目的の4-メトキシジフェニルアミン38.6gを得た(収率96%)。
168時間の連続合成において、各触媒カートリッジに収容されたパラジウム触媒の総回転数を算出した結果、それぞれ前段の水素化反応に使用したPd/Cの回転数が5149、後段の脱水縮合と脱水素化反応に使用したPd(OH)2/Cの回転数が241であった。
Pd/C (106mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.06mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第一の触媒カートリッジ(内径5.0mm、長さ100mm)へ収容した。同様に、Pd(OH)2/C(407mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(4.07g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、m-クレゾール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いた3-メチルシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。この3-メチルシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、p-アニシジン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を13.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-(4-メトキシフェニル)-3-メチルアニリン3.3gを得た(収率96%)。
Pd/C (98.9mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(989mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(386mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.86g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、3-アミノプロパンニトリル(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を13.0時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の3-(フェニルアミノ)プロパンニトリル2.2gを得た(収率96%)。
アミン類としてp-アニシジンの代わりに3-アミノプロパンニトリル(14mg, 0.20mmol、東京化成工業株式会社製)を用いる以外は比較例1と同様に、バッチ式反応器を用いて反応を行った。その結果、3-(フェニルアミノ)プロパンニトリルの収率は0%であった。
非特許文献1(Li, C.-J. et al. Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 14487-14491.)に記載の実験項に従い、バッチ式反応器(密栓可能な耐圧ガラス試験管)を用いてフェノールと3-アミノプロパンニトリルの反応を行なった。
密栓可能な耐圧ガラス試験管(外径18mm、内容積27mL)に撹拌子を入れ、触媒としてPd/C(45mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))を入れ、さらにギ酸ナトリウム(21mg, 0.30mmol, 富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れたのち、容器内をアルゴンガスで置換した。続いて基質としてフェノール(19mg、0.20mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)と3-アミノプロパンニトリル(20mg, 0.28mmol、東京化成工業株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(1mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。最後に助触媒としてトリフルオロ酢酸(11mg, 0.10mmol, 富士フイルム和光純薬株式会社製)を加えて容器を密栓したのち、140℃で12時間撹拌した。その後、内部標準としてn-ドデカン(17mg)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、3-(フェニルアミノ)プロパンニトリルの収率は0%であった。
Pd/C (98.9mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(989mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(387 mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.87g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、3-アミノプロパン-2-オール(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を9.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の1-(フェニルアミノ)プロパン-2-オール1.44gを得た(収率83%)。
Pd/C (108mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.08mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(382mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.82g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、トリプタミン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を12.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-フェニルトリプタミン3.1gを得た(収率88%)。
アミン類としてp-アニシジンの代わりにトリプタミン(32mg, 0.20mmol、東京化成工業株式会社製)を用いる以外は比較例3と同様に、バッチ式反応器を用いて反応を行った。その結果、N-フェニルトリプタミンの収率は0%であった。
Pd/C (108mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.08mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(385mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.85g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、L-フェニルアラニンメチルエステル(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を11.0時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステル3.37gを得た(収率>99%)。また、N-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステルの光学純度は98%eeであった。
アミン類としてp-アニシジンの代わりにL-フェニルアラニンメチルエステル(36mg, 0.20mmol、東京化成工業株式会社製のL-フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩から調製)を用いる以外は比較例3と同様に、バッチ式反応器を用いて反応を行った。その結果、N-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステルの収率は67%であり、その光学純度は66%eeであった。
Pd/C (108mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.08mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(750mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(7.50g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ200mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、モルホリン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を10.0時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-フェニルモルホリンを得た(収率76%)。
1:フェノール類
2:シクロヘキサノン類
3:アミン類(アンモニア、第1級アミン、第2級アミン)
4:イミン中間体(3がアンモニア、第1級アミンの場合)
4’:イミニウム中間体(3が第2級アミンの場合)
5:芳香族アミン化合物
6:シクロへキシルアミン化合物
A:水素化
B:脱水縮合
C:脱水素化
D:水素化(副反応)
図2において、以下に示す符号は、以下を意味する:
1:第一の液体原料タンク(フェノール類を含む溶液)
2:送液ポンプ
3:第一の液体原料と第一の気体原料の混合器
4:気体流量調整装置
5:予熱装置
6:第一の触媒カートリッジ
7:温度調節装置
8:背圧弁
9:気液分離装置
10:気液分離装置からの液体と第二の原料の混合器
11:送液ポンプ
12:第二の原料タンク(アミン類および水素捕捉剤を含む溶液)
13:予熱装置
14:第二の触媒カートリッジ
15:温度調節装置
16:背圧弁
17:最終生成物回収タンク
Claims (11)
- 白金族元素を含む固体触媒が収容された第一の触媒カートリッジに、フェノール類と水素を導入してシクロヘキサノン類へと連続的に水素化し、続いて得られたシクロヘキサノン類をアンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類および水素捕捉剤と共に、白金族元素を含む固体触媒が収容された第二の触媒カートリッジへと導入し、芳香族アミン化合物を連続的に製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
- 前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、活性炭担持パラジウム触媒、活性炭担持水酸化パラジウム触媒、アルミナ担持パラジウム触媒、シリカ担持パラジウム触媒、ジルコニア担持パラジウム触媒、ゼオライト担持パラジウム触媒、パラジウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上の触媒であることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、セライト、珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記第一および第二の触媒カートジッジに収容されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 前記第一級アミンまたは第二級アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、ヘテロ芳香族アミンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、酸素あるいは炭素数8以下の第一級オレフィンまたは第二級オレフィンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンに対して1.0~4.0倍モル量であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 前記触媒カートリッジのうち第一の触媒カートリッジにのみ水素が導入され、その際の水素圧が0.1MPa~0.3MPaであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 一方端に原料を流入させる入口を有し、他方端に反応生成物が排出される出口を有し、内部温度の調節装置を具備する筒状の容器に触媒が収容されてなる触媒カートリッジを2つ有し、第一の触媒カートリッジの入口が第一の原料供給路に連結され、第一の触媒カートリッジの出口が気液分離装置の入口に連結され、気液分離装置の気体出口から気体が排出され、気液分離装置の液体出口が、一方の入口が第二の原料供給路と連結された混合器のもう一方の入口と連結され、第二の触媒カートリッジの入口が当該混合器の出口に連結され、第二の触媒カートリッジの出口が最終反応生成物の排出路に連結してなる、連続フロー式反応装置において、
第一の触媒カートリッジに、フェノール類を水素によりシクロヘキサノン類へと水素化する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第二の触媒カートリッジに、シクロヘキサノン類と、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類を脱水縮合し、さらに水素捕捉剤の存在下、脱水素化して芳香族アミン化合物を生成する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第一の原料として、フェノール類と水素ガスの混合物を第一の原料供給路から連続的に供給し、気液分離装置において、水素ガスを分離し、第二の原料として、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類と水素捕捉剤の混合物を第二の原料供給路から連続的に供給することにより、第二の触媒カートリッジから連続的に排出される最終生成物中から芳香族アミン化合物が回収されることを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造装置。 - 第一の原料供給路が、第一の液体原料であるフェノール類を供給する供給路と第一の気体原料である水素ガスを供給する供給路がそれぞれその入口に連結され、これらの混合物が排出される排出路がその出口に連結された混合器を有し、当該混合器の排出路が第一の触媒カートリッジの入口に連結されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
- 第一の触媒カートリッジの出口と気液分離装置の入口の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの出口と最終反応生成物の排出路の間に、背圧弁を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
- 第一の触媒カートリッジの入口と第一の原料供給路の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの入口と、気液分離装置からの液体と第二の原料の混合器の出口の間に、予熱装置を有することを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の装置。
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