JP7352955B2 - フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法 - Google Patents

フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7352955B2
JP7352955B2 JP2019216507A JP2019216507A JP7352955B2 JP 7352955 B2 JP7352955 B2 JP 7352955B2 JP 2019216507 A JP2019216507 A JP 2019216507A JP 2019216507 A JP2019216507 A JP 2019216507A JP 7352955 B2 JP7352955 B2 JP 7352955B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
hydrogen
amines
gas
cartridge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019216507A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021084897A (ja
Inventor
知宏 市塚
長利 甲村
一彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2019216507A priority Critical patent/JP7352955B2/ja
Publication of JP2021084897A publication Critical patent/JP2021084897A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7352955B2 publication Critical patent/JP7352955B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、芳香族アミン化合物の製造方法に関する。より詳しくは、パラジウムを含む固体触媒が収容された第一の触媒カートリッジに、フェノール類と水素を導入してフェノール類をシクロヘキサノン類へと水素化し、続いて、得られたシクロヘキサノン類をアンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンおよび水素捕捉剤と共に、パラジウムを含む固体触媒が収容された第二の触媒カートリッジへと導入することで、フェノール類とアンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンから、高い選択性と収率をもって芳香族アミン化合物を連続的に製造する方法に関する。
フェノール類と第一級あるいは第二級アミンを反応させて芳香族アミン化合物を製造する方法として、例えば、(1)第一級アミンと過剰量のフェノール類をパラジウム触媒および水素、あるいはフェノール類に対応するシクロヘキサノン類を共存させて加熱反応させる方法(特許文献1、2)、(2)第一級アミンと等モル量のフェノール類をパラジウム触媒および脂環式六員環化合物を共存させて加熱反応させる方法(特許文献3)、(3)第一級アミンと等モル量のフェノール類をパラジウム触媒および水素とアンモニアの共存下にて加熱反応させる方法(特許文献4)等が知られている。
しかし、上記(1)の方法は、フェノール類をアミンに対して2倍モル量以上、好ましくは、4~10倍モル量使用するので、反応液から未反応のフェノール類を分離回収する工程が必要である。また、使用するフェノール類の量を減らすと、シクロへキシルアミン化合物の副生量が増加し、目的生成物の選択性が低下する傾向にある。
上記(2)の方法は、水素源としてテトラヒドロナフタレン等の脂環式六員環化合物を使用するため、反応で生じたナフタレン等の共生成物を反応液から分離する工程が必要である。
上記(3)の方法は、添加剤として使用されるアンモニアがフェノール類2分子と反応して対称構造を持つジフェニルアミン類を生じうるため、フェノール類と第一級アミンとの反応により生じる目的生成物である芳香族アミンを高い選択率で得るためには、目的生成物がこれと同じ対称構造を持つジフェニルアミン類であり、従って、使用する第一級アミンがフェノール類のフェニル基と同じ構造のフェニル基を有するアニリン類である必要がある。
また、上記(1)~(3)のいずれの反応も、オートクレーブを用いて、高温高圧下(150~300℃、1~30MPa)で実施されるため、温度や水素化条件に敏感な官能基を有するフェノール類やアミン類を反応基質として使用することが難しいなど、基質の適用範囲に大きな制限がある。
一方、低温低圧下(140℃、1MPa未満)での実施が可能な製造法として、第一級または第二級アミンと等モル量のフェノール類を、パラジウム触媒、助触媒としてフェノール類に対して0.5倍モル量のトリフルオロ酢酸、および水素源としてギ酸ナトリウムの存在下、加熱反応させる方法が提案されている(非特許文献1)。
しかしながら、この方法は、助触媒として使用したトリフルオロ酢酸や水素源由来のナトリウム塩を分離する工程が必要となる。また、同一の反応器空間で水素化と脱水素が逐次的に進むため、水素化を受けやすい官能基の共存は難しい。
一方、従来から、多くの種類の官能基が共存可能な芳香族アミン化合物の製造方法として、各種の官能基を有する芳香族ハロゲン化物とアミン類を、パラジウム錯体触媒および強塩基を共存させて加熱撹拌させるクロスカップリング反応が知られている(非特許文献2、3)。この方法は、医薬品や材料化学領域において潜在的需要の高い多官能基化芳香族アミン化合物を製造するための最も実用性の高い手法のひとつである。
ただし、この方法は高価で入手が容易でない芳香族ハロゲン化物をあらかじめ調製する必要がある。また、反応後には、使用したパラジウム錯体触媒や塩基、共生成物であるハロゲン化物塩を分離除去する工程が必要となる。さらに、強塩基を使用するため、塩基性条件に敏感な官能基を有する芳香族アミン化合物を合成することは難しい。
特開昭60-193949号公報 特開平6-135910号公報 特開2000-212133号公報 特開2000-095736号公報
Li, C.-J. et al. Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 14487-14491. Guram, A.; Rennels, R.; Buchwald, S. Angew. Chem., Int. Ed., 1995, 34, 1348-1350. Louie, J.; Hartwig, J. F. Tetrahedron Lett. 1995, 36, 3609-3612.
本発明者らは、フェノール類と第一級アミンまたは第二級アミンから芳香族アミン化合物を製造する従来の製造方法について検討した結果、それぞれ、次のような問題点を有することを認識した。
(1)特許文献1に記載されたアミン類に対して大過剰量のフェノール類を使用する方法は、反応後に未反応のフェノール類を分離して処理することに多大なコストがかかるため、省エネルギーの面から工業的に優れた方法ではない。
(2)アミン類に対して過剰量のフェノール類の使用を必要としない方法としては、水素ガスの代わりに反応系中で水素源として機能する添加剤を使用する手法がある。ただし、特許文献2に記載された、フェノール類に対応するシクロヘキサノン類を使用する方法は、シクロヘキサノン類を前もって調製する手間が生じる。また、特許文献3に記載された脂環式六員環化合物、非特許文献1に記載されたギ酸ナトリウムを使用する方法では、これらに由来する共生成物を分離して処理することに多大なコストがかかる。
(3)従来の製造方法では、高い収率と選択性を得るために、非特許文献1を除いて、高温高圧下(150~300℃、1~30MPa)で実施する必要があるため、温度や水素化条件に敏感な官能基を有するフェノール類やアミン類を使用することが難しいなど、基質の適用範囲に大きな制限がある。
(4)従来の製造方法では、オートクレーブ等の釜型反応器へ原料や触媒等を加えて加熱撹拌させる手法(バッチ法)が採用されてきた。このバッチ法では、目的の反応が完結するまで、反応により生じた生成物が、触媒等の存在する反応条件下に長時間留まることになる。この製造法上の特徴により、(i)まず、生成物である芳香族アミン化合物が触媒と過剰反応を起こすことによって、生成物の収率や純度の低下を招く場合があり、(ii)さらに、生じた芳香族アミン化合物が触媒の働きを阻害する触媒毒として作用することにより、触媒の作業効率が低下して使用量の増大を招いている。
上記(1)~(3)の問題は、この反応が水素化と脱水素化が繰り返される水素移動反応であることに起因する。以下、この反応の推定反応機構を、図1を用いて説明する:
図1に示すように、この反応では、フェノール類1の水素化Aによりシクロヘキサノン類2が生じ、これがアミン類3(アンモニア(R6、R7は水素)、第1級アミン(R7は水素)または第2級アミン)と脱水縮合Bしてイミン中間体4(3がアンモニアまたは第1級アミンの場合)あるいはイミニウム中間体4’(3が第2級アミンの場合)を与えたのち、その脱水素化Cにより芳香族アミン化合物5が生成する。この際、フェノール類1だけではなくイミン中間体4あるいはイミニウム中間体4’も水素化を受けて、シクロへキシルアミン化合物6が副生してしまう。
この副反応を抑制するためには、フェノール類1がイミン中間体4またはイミニウム中間体4’に対して大過剰に存在する状況を作り出す必要があり、このために、特許文献1においては、アミン類に対し大過剰のフェノール類を使用し、特許文献3および非特許文献1においては、穏やかな水素源を使用してシクロヘキサノンの生成を抑制することで、イミン中間体あるいはイミニウム中間体の生成速度を調整する必要があるものと考えられる。
さらに、前記(4)の問題は、従来技術において基質の適用範囲が限定される要因でもあり、また、触媒負荷量の増大による製造費の上昇にも繋がる。
さらに、上述の、多官能基化芳香族アミン化合物の製造法として知られている、芳香族ハロゲン化物を用いるクロスカップリング反応については、原料の入手性の低さ、反応の後処理工程の煩雑さ、強塩基性の反応条件に起因する問題等を抱えている。
本発明は、上記のような従来技術やそれらについて本発明者らが認識した問題点などを背景としてなされたものであり、環境負荷の高い共生成物を与えるような添加剤を用いずに、比較的低い温度と圧力のもとで、多官能基化されたものを含め、フェノール類とアミン類から芳香族アミン化合物を高い収率と選択率で得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、フェノール類とアンモニアまたは第一級アミンや第二級アミン(以降、アミン類と称する)から芳香族アミン化合物を製造するプロセスを検討している際に、この変換反応が、フェノール類の水素化によるシクロヘキサノン類の生成(工程(1))と、それにより生じたシクロヘキサノン類とアミン類との脱水縮合および縮合物の脱水素化(工程(2))から成る水素移動型の逐次反応であることに着目し、パラジウム等の白金族元素を含む固体触媒が収容された2つの触媒カートリッジを用いる連続フロー法によってこれらの反応を別個の反応器において逐次的に実施することで、従来のオートクレーブ等の釜型反応器を使用したバッチ法による製造手法と比べて、高い収率と選択率および広い官能基許容性をもって、目的生成物である芳香族アミン化合物が得られることを見出した。
本発明においては、パラジウム等の白金族元素を含む固体触媒が収容された第一の触媒カートリッジへ、フェノール類と水素を連続的に供給することでフェノール類を水素化に付し、次いで得られたシクロヘキサノン類を未反応の水素と分離した後、アミン類、および水素捕捉剤と共に、パラジウム等の白金族元素を含む固体触媒が収容された第二の触媒カートリッジへと連続的に供給して、シクロヘキサノン類とアミン類の脱水縮合およびこれにより生じるイミン中間体またはイミニウム中間体の脱水素化を進行させることで、目的の芳香族アミン化合物を連続的に得る。
本発明では、水素によるフェノール類の水素化(工程(1))と、これにより生成するシクロヘキサノンとアミン類の脱水縮合、及び、これにより生成するイミン中間体またはイミニウム中間体の脱水素化(工程(2))を、それぞれ別の反応器で実施することにより、また、さらには、工程(2)において酸素や炭素数8以下のオレフィン類などの水素捕捉剤を添加することにより、イミン中間体またはイミニウム中間体の水素化によるシクロへキシルアミンの副生や、これらが他の官能基を有する場合の当該他の官能基の水素化などの、副反応を効果的に抑制することが可能となる。また、水素捕捉剤として酸素や炭素数8以下のオレフィン類を用いる場合、この反応による共生成物は、除去が容易な水とオレフィン由来の炭素数8以下のアルカンのみであるため、反応後の分離精製工程の簡略化に繋がる。
さらに本発明においては、工程(1)および工程(2)の反応が、それぞれ、触媒カートリッジを反応器とし、その一方の入口から原料を連続的に供給して目的の反応を進行させ、その反対側の出口から生成物が連続的に排出される、流通式の方法(連続フロー法)で行われることを特徴とする。この連続フロー法では、生じた生成物が反応器である触媒カートリッジ内に留まることなく、連続的に固体触媒と分離されながら排出されるため、従来技術と比べて触媒と生成物の接触時間を大幅に短縮することができる。
これにより、本発明においては、目的生成物である芳香族アミン化合物のアミン部位や他の官能基に対する過剰反応や、反応生成物による触媒への被毒作用等を抑制することが可能である。したがって、より少ない触媒使用量で、多官能基化されたものを含め、芳香族アミン化合物を高い収率と選択率で製造することができる。
本発明は、本発明者らによるこれらの知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下のとおりのものである。
〈1〉白金族元素を含む固体触媒が収容された第一の触媒カートリッジに、フェノール類と水素を導入してシクロヘキサノン類へと連続的に水素化し、続いて得られたシクロヘキサノン類をアンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類および水素捕捉剤と共に、白金族元素を含む固体触媒が収容された第二の触媒カートリッジへと導入し、芳香族アミン化合物を連続的に製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
〈2〉前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、活性炭担持パラジウム触媒、活性炭担持水酸化パラジウム触媒、アルミナ担持パラジウム触媒、シリカ担持パラジウム触媒、ジルコニア担持パラジウム触媒、ゼオライト担持パラジウム触媒、パラジウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上の触媒であることを特徴とする、〈1〉に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈3〉前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、セライト、珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記第一および第二の触媒カートジッジに収容されていることを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈4〉前記第一級アミンまたは第二級アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、ヘテロ芳香族アミンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈5〉前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、酸素あるいは炭素数8以下の第一級オレフィンまたは第二級オレフィンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、〈1〉~〈4〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈6〉前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンに対して1.0~4.0倍モル量であることを特徴とする、〈1〉~〈5〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈7〉前記触媒カートリッジのうち第一の触媒カートリッジにのみ水素が導入され、その際の水素圧が0.1MPa~0.3MPaであることを特徴とする、〈1〉~〈6〉のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
〈8〉一方端に原料を流入させる入口を有し、他方端に反応生成物が排出される出口を有し、内部温度の調節装置を具備する筒状の容器に触媒が収容されてなる触媒カートリッジを2つ有し、第一の触媒カートリッジの入口が第一の原料供給路に連結され、第一の触媒カートリッジの出口が気液分離装置の入口に連結され、気液分離装置の気体出口から気体が排出され、気液分離装置の液体出口が、一方の入口が第二の原料供給路と連結された混合器のもう一方の入口と連結され、第二の触媒カートリッジの入口が当該混合器の出口に連結され、第二の触媒カートリッジの出口が最終反応生成物の排出路に連結してなる、連続フロー式反応装置において、
第一の触媒カートリッジに、フェノール類を水素によりシクロヘキサノン類へと水素化する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第二の触媒カートリッジに、シクロヘキサノン類と、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類を脱水縮合し、さらに水素捕捉剤の存在下、脱水素化して芳香族アミン化合物を生成する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第一の原料として、フェノール類と水素ガスの混合物を第一の原料供給路から連続的に供給し、気液分離装置において、水素ガスを分離し、第二の原料として、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類と水素捕捉剤の混合物を第二の原料供給路から連続的に供給することにより、第二の触媒カートリッジから連続的に排出される最終生成物中から芳香族アミン化合物が回収されることを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造装置。
〈9〉第一の原料供給路が、第一の液体原料であるフェノール類を供給する供給路と第一の気体原料である水素ガスを供給する供給路がそれぞれその入口に連結され、これらの混合物が排出される排出路がその出口に連結された混合器を有し、当該混合器の排出路が第一の触媒カートリッジの入口に連結されていることを特徴とする、〈8〉に記載の装置。
〈10〉第一の触媒カートリッジの出口と気液分離装置の入口の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの出口と最終反応生成物の排出路の間に、背圧弁を有することを特徴とする、〈8〉または〈9〉に記載の装置。
〈11〉第一の触媒カートリッジの入口と第一の原料供給路の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの入口と、気液分離装置からの液体と第二の原料の混合器の出口の間に、予熱装置を有することを特徴とする、〈8〉~〈10〉のいずれか1項に記載の装置。
本発明によれば、従来技術よりも温和な条件下にて、フェノール類とアミン類から、シクロへキシルアミン化合物の副生を抑えながら高い選択性で芳香族アミン化合物を製造することができる。
本発明の連続フロー法によれば、生じた生成物が反応器内に留まることなく連続的に排出されるため、触媒と生成物の接触時間を最小限とすることができる。これにより触媒と生成物との間の望まない作用(過剰反応や触媒被毒)が抑制され、生成物の収率や選択性、触媒回転数を飛躍的に向上させることが可能である。
このため、従来技術では製造が難しかった、官能基(ニトリル、エステル、アルケン、インドール、アミド、アミノ酸エステル、ハロゲン原子など)を有する芳香族アミン類についても、本発明技術を用いることで、これらの官能基を有するフェノール類とアミン類から高い収率と選択性で製造することが可能である。
フェノール類とアミン類から芳香族アミン化合物が生成する反応機構の説明図。 本発明に用いる多段連続フロー反応装置の模式図。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、パラジウム等の白金族元素を含む固体触媒が収容された複数の触媒カートリッジが直列に接続された多段連続フロー反応装置を用いて、フェノール類と水素を1段目の触媒カートリッジへ連続的に供給することで水素化に付し、シクロヘキサノン類へと変換し、次いでこれを流路内でアンモニアまたは第一級アミンや第二級アミン(以降、アミン類と称する)、および水素捕捉剤となる酸素やオレフィン類(炭素数8以下)と混合して2段目の触媒カートリッジへ連続的に供給し、脱水縮合および脱水素化に付し、目的の芳香族アミン化合物を製造する方法である。
本発明で用いる多段連続フロー反応装置とは、反応器として触媒カートリッジを複数個直列に連結したものである。通常、反応器の数(n)としては、2~5個、好ましくは2個であるが、反応条件により、任意に反応器の数を決めることができる。ここで用いる触媒カートリッジとは、固体触媒が充填された円筒型の反応管であり、一方の入口から原料が連続的に供給され、反対側の出口から生成物が連続的に排出されるものである。また、反応器の原料導入側には、予熱用配管と気/液混合もしくは液/液混合を目的としたT字あるいはY字型の混合器(ミキサー)を有している。一方、反応器の生成物排出側には、反応器内を任意の圧力に調整するための圧力調整弁(背圧弁)が配してある。また、各触媒カートリッジには、反応器内を任意の温度に調節するための温度調節装置(例えば、断熱ジャケット付きの加熱器または冷却器など)が具備され、さらに、必要に応じて、各触媒カートリッジの原料導入側に設けた予熱用配管において、導入原料の温度が調節される。
本発明の芳香族アミン化合物の製造装置においては、上記の多段連続フロー反応装置において、前段の水素化を実施する反応器と後段の脱水縮合および脱水素化を実施する反応器の間には、未反応の水素とシクロヘキサノン類を含む溶液を分離するための気液分離器を配置する。これは、後段の反応器へ水素が混入することを防ぐためである。
本発明で使用される触媒は固体であり、パラジウム等の白金族元素またはその化合物が担体上に固定化されたものであり、活性炭担持触媒、アルミナ担持触媒、シリカ担持触媒、ジルコニア担持触媒、ゼオライト担持触媒などが挙げられる。固体触媒の形態としては、円柱型、押出し型、球状、粒状、粉末状、ハニカム状等であり、円筒型反応管に充填でき、反応液の流通を妨げないものであれば特に制限はない。本発明で使用される触媒は、活性炭担持パラジウム触媒、活性炭担持水酸化パラジウム触媒、アルミナ担持パラジウム触媒、シリカ担持パラジウム触媒、ジルコニア担持パラジウム触媒、ゼオライト担持パラジウム触媒などが好ましく、前段の水素化には活性炭担持パラジウム触媒が、後段の脱水縮合および脱水素化には活性炭担持水酸化パラジウム触媒がより好ましい。
本発明において、上記の固体触媒を触媒カートリッジへ収容する際、固体触媒は任意の割剤と混合して使用される。使用される割剤としては、反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えばセライト、珪藻土、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ゼオライト、活性炭等である。固体触媒と割剤の混合物中における割剤の割合は、特に規定は無いが、0質量%~99質量%が好ましく、50質量%~95質量%がより好ましく、80質量%~91質量%が特に好ましい。
本発明による方法で使用するフェノール類は、以下の一般式(1)で表すことができる:
Figure 0007352955000001
(上記式(1)中、R1~R5は、反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、それぞれ互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、またはアルコキシカルボニル基を示す。これらの基はさらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
1~R5から選ばれる二か所が結合して環を形成しても良い。)
上記フェノール類としては、具体的には、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール、5-イソプロピル-2メチルフェノール、4-イソプロピルフェノール、4-シクロへキシルフェノール、4-フェニルフェノール、カテコール、ヒドロキノン、カテコールモノアルキルエーテル、ヒドロキノンモノアルキルエーテル、4-ヒドロキシフェニル酢酸メチル、1-ナフトール、2-ナフトール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
本発明において、フェノール類は、フェノール類を含む溶液として用いることができる。
前記フェノール類の溶液の溶媒としては、フェノール類をよく溶かし、かつ反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
好ましくは、トルエン、キシレン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、2-プロパノール、酢酸ブチルである。これらの溶媒は2種類以上を混合しても良い。
基質としてのフェノール類の濃度は、反応器への流通に支障がなければ特に規定されないが、0.1質量%~100質量%が好ましく、1質量%~50質量%がより好ましく、2質量%~20質量%が特に好ましい。
本発明による方法で使用するアミン類は、以下の一般式(2)で表すことができる:
Figure 0007352955000002
(上記式(1)中、R6およびR7は、反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、それぞれ互いに独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を示す。これらの置換基はさらに、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。
6およびR7の二か所が-(CH2)j-X-(CH2)k-を介して環を形成しても良い。このXは、CH2、CHR10、酸素原子(O)、硫黄原子(S)またはNR10を意味し、R10は、水素原子、アルキル基、アリール基を意味し、およびj、kは、1~5の整数を意味する。)
上記アミン類は、アンモニアまたは第一級や第二級アミンであり、具体的には、例えば、アニリン、o-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、p-アニシジン、2,6-ジメチルアニリン、2,4,6-トリメチルアニリン、2,6-ジエチルアニリン、4-フルオロアニリン、4-クロロアニリン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、N-メチルアニリン等の芳香族アミン、n-ブチルアミン、n-へキシルアミン、シクロへキシルアミン、2-フェニルエチルアミン、モルホリン、ピペリジ等の脂肪族アミン、1-アミノ-2-プロパノール等のアミノアルコール類、3-アミノプロピオニトリル、アリルアミン等の不飽和結合を有するアミン類、トリプタミン、2-(4-アミノフェニル)エチルアミン等の分子内に複数個のアミノ基を有するジアミン類、L-フェニルアラニンメチルエステル、L-チロシンメチルエステル等のアミノ酸エステル類などが挙げられる。
本発明において、アミン類は、アミン類を含む溶液として用いることができる。
前記アミン類の溶液の溶媒としては、アミン類をよく溶かし、かつ反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
好ましくは、トルエン、キシレン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、2-プロパノール、酢酸ブチルである。これらの溶媒は2種類以上を混合しても良い。
基質としてのアミン類の濃度は、反応器への流通に支障がなければ特に規定されないが、0.1質量%~100質量%が好ましく、1質量%~50質量%がより好ましく、2質量%~20質量%が特に好ましい。
アミン類と共存させる水素捕捉剤としては、酸素および酸素を含む混合ガス、あるいはオレフィン類が挙げられる。
このようなオレフィン類は、以下の一般式(3)で表すことができる:
Figure 0007352955000003
(上記式(1)中、R8およびR9は、反応の進行を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、それぞれ互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基を示す。このアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、または炭素数5および6のアルキル基を意味する。
6およびR7の二か所が-(CH2)l-を介して環を形成しても良い。このlは、1~6の整数を意味する。)
上記オレフィン類としては、エチレン、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1-ヘプテン、1-オクテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、ノルボルネン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。
使用するオレフィン類の量は、基質に含まれるアミノ基に対して1~5倍モル量であり、好ましくは2倍モル量である。オレフィン類は基質溶液にあらかじめ混合しておいてもよいし、流路内で連続的に混合してもよい。
本発明で前段の水素化を実施する反応器について、特に反応温度に関する制限は無いが、具体的には60℃~160℃であり、好ましくは120℃~150℃である。また、反応器へ連続的に供給される圧力、即ち、水素圧は、反応が進行すれば特に規定されるものではないが、具体的には0.01MPa~1MPaであり、好ましくは0.1MPa~0.3MPaである。なお、「MPa」は圧力の単位であり、メガパスカルを意味する。
本発明で後段の脱水縮合および脱水素化を実施する反応器について、特に反応温度に関する制限は無いが、具体的には60℃~160℃であり、好ましくは120℃~150℃である。また、反応器内に背圧調整弁などを用いて圧力をかけてもよい。背圧の範囲は0MPa~1MPaであり、好ましくは0.1MPa~0.5MPaである。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、発明の範囲は、下記の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、芳香族アミン化合物の合成における転化率および収率は、得られた目的化合物の重量もしくはガスクロマトグラフィー測定の結果をもとに、それぞれ以下の計算式により算出した。
Figure 0007352955000004
Figure 0007352955000005
なお、複数種類の原料を用いる場合には、最も使用量の少ない原料のモル数を上式にあてはめて、収率を算出した。
さらに、触媒回転数(TON)は、得られた目的化合物のモル数や触媒カートリッジ内の触媒量をもとに、以下の計算式により算出した。
Figure 0007352955000006
実施例1.4-メトキシジフェニルアミンの合成
Pd/C (93mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(930mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第一の触媒カートリッジ(内径5.0mm、長さ100mm)へ収容した。同様に、Pd(OH)2/C(380mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.80g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。前段の水素化反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、p-アニシジン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を22.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の4-メトキシジフェニルアミン4.9gを得た(収率92%)。
比較例1.
多段階連続フロー反応装置の代わりに、バッチ式反応器(密栓可能な耐圧ガラス試験管)を用いて、実施例1と類似の反応を行った。
密栓可能な耐圧ガラス試験管(外径18mm、内容積27mL)に撹拌子を入れ、触媒としてPd/C(52mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))を入れ、さらに基質としてフェノール(23mg、0.24mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)とp-アニシジン(25mg, 0.20mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)、水素捕捉剤としてスチレン(42mg, 0.40mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(2mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。容器内を水素で置換して密栓したのち、140℃で6時間撹拌した。その後、内部標準としてn-ドデカン(17mg)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、p-アニシジンの転化率は28%、4-メトキシジフェニルアミンの収率は8%であった。
比較例2.
水素捕捉剤であるスチレンを加えない以外は比較例1と同様に、バッチ式反応器による反応を行った。その結果、4-メトキシジフェニルアミン(収率15%)とN-シクロへキシル-4-メトキシアニリン(収率33%)が得られた。
比較例3.
多段階連続フロー反応装置の代わりに、バッチ式反応器(密栓可能な耐圧ガラス試験管)を用いて、逐次的に触媒や基質、水素、水素捕捉剤などを加えて反応を行う実験を行った。
密栓可能な耐圧ガラス試験管(外径18mm、内容積27mL)に撹拌子を入れ、触媒としてPd/C(52mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))を入れ、さらに基質としてフェノール(23mg、0.24mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(1.0mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。容器内を水素で置換して密栓したのち、140℃で3時間撹拌した。その後、容器内の水素をアルゴンに置換したのち、基質としてp-アニシジン(25mg, 0.20mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)、水素捕捉剤としてスチレン(42mg, 0.40mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(2mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。容器を再び密栓した後、140℃で3時間撹拌した。その後、内部標準としてn-ドデカン(17mg)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、p-アニシジンの転化率は51%、4-メトキシジフェニルアミンの収率は15%、N-シクロへキシル-4-メトキシアニリンの収率は1%であった。
実施例2.4-メトキシジフェニルアミンの168時間連続合成
Pd/C (100mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.00g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第一の触媒カートリッジ(内径5.0mm、長さ100mm)へ収容した。同様に、Pd(OH)2/C(855mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(8.55g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ200mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、p-アニシジン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を168時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた白色固体を十分に減圧乾燥することにより、目的の4-メトキシジフェニルアミン38.6gを得た(収率96%)。
168時間の連続合成において、各触媒カートリッジに収容されたパラジウム触媒の総回転数を算出した結果、それぞれ前段の水素化反応に使用したPd/Cの回転数が5149、後段の脱水縮合と脱水素化反応に使用したPd(OH)2/Cの回転数が241であった。
実施例3.N-(4-メトキシフェニル)-3-メチルアニリンの合成
Pd/C (106mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.06mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第一の触媒カートリッジ(内径5.0mm、長さ100mm)へ収容した。同様に、Pd(OH)2/C(407mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(4.07g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、m-クレゾール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いた3-メチルシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。この3-メチルシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、p-アニシジン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を13.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-(4-メトキシフェニル)-3-メチルアニリン3.3gを得た(収率96%)。
実施例4.3-(フェニルアミノ)プロパンニトリルの合成
Pd/C (98.9mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(989mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(386mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.86g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、3-アミノプロパンニトリル(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を13.0時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の3-(フェニルアミノ)プロパンニトリル2.2gを得た(収率96%)。
比較例4.
アミン類としてp-アニシジンの代わりに3-アミノプロパンニトリル(14mg, 0.20mmol、東京化成工業株式会社製)を用いる以外は比較例1と同様に、バッチ式反応器を用いて反応を行った。その結果、3-(フェニルアミノ)プロパンニトリルの収率は0%であった。
比較例5.
非特許文献1(Li, C.-J. et al. Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 14487-14491.)に記載の実験項に従い、バッチ式反応器(密栓可能な耐圧ガラス試験管)を用いてフェノールと3-アミノプロパンニトリルの反応を行なった。
密栓可能な耐圧ガラス試験管(外径18mm、内容積27mL)に撹拌子を入れ、触媒としてPd/C(45mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))を入れ、さらにギ酸ナトリウム(21mg, 0.30mmol, 富士フイルム和光純薬株式会社製)を入れたのち、容器内をアルゴンガスで置換した。続いて基質としてフェノール(19mg、0.20mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)と3-アミノプロパンニトリル(20mg, 0.28mmol、東京化成工業株式会社製)を入れて、溶媒としてトルエン(1mL、キシダ化学株式会社製)を加えた。最後に助触媒としてトリフルオロ酢酸(11mg, 0.10mmol, 富士フイルム和光純薬株式会社製)を加えて容器を密栓したのち、140℃で12時間撹拌した。その後、内部標準としてn-ドデカン(17mg)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、3-(フェニルアミノ)プロパンニトリルの収率は0%であった。
実施例5.1-(フェニルアミノ)プロパン-2-オールの合成
Pd/C (98.9mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(989mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(387 mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.87g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、3-アミノプロパン-2-オール(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を9.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の1-(フェニルアミノ)プロパン-2-オール1.44gを得た(収率83%)。
実施例6.N-(2-(1H-インドール-3-イル)エチル)アニリン (N-フェニルトリプタミン)の合成
Pd/C (108mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.08mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(382mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.82g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、トリプタミン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を12.5時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-フェニルトリプタミン3.1gを得た(収率88%)。
比較例6.
アミン類としてp-アニシジンの代わりにトリプタミン(32mg, 0.20mmol、東京化成工業株式会社製)を用いる以外は比較例3と同様に、バッチ式反応器を用いて反応を行った。その結果、N-フェニルトリプタミンの収率は0%であった。
実施例7.N-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステルの合成
Pd/C (108mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.08mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(385mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(3.85g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ100mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、L-フェニルアラニンメチルエステル(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を11.0時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステル3.37gを得た(収率>99%)。また、N-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステルの光学純度は98%eeであった。
比較例7.
アミン類としてp-アニシジンの代わりにL-フェニルアラニンメチルエステル(36mg, 0.20mmol、東京化成工業株式会社製のL-フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩から調製)を用いる以外は比較例3と同様に、バッチ式反応器を用いて反応を行った。その結果、N-(フェニル)-L-フェニルアラニンメチルエステルの収率は67%であり、その光学純度は66%eeであった。
実施例8.N-フェニルモルホリンの合成
Pd/C (108mg、Pd: 5wt%、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:パラジウム-活性炭素(5%))とセライト(1.08mg、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混錬し、第一の触媒カートリッジである5φ×100mm径のSUS製円筒型反応器へ充填した。同様に、Pd(OH)2/C(750mg、Pd: 20wt%、50%含水品、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:水酸化パラジウム-活性炭素(Pd 20%)(約50%含水品))とセライト(7.50g、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:セライトNo.545)をよく混合し、得られた混合物を第二の触媒カートリッジ(内径10.0mm、長さ200mm)へ収容した。
図2に示す多段連続フロー反応装置に調製した第一と第二の触媒カートリッジをそれぞれ接続した。第一の触媒カートリッジを140℃に加熱し、上部より水素ガスを流速5.0ml/minで流通させて触媒の前処理還元を行った後、140℃、0.2MPaにて、フェノール(0.24M)を含むトルエン溶液を流速0.10ml/min、水素ガスを流速5.0ml/minで供給した。圧力調整弁の出口から反応液を捕集してガスクロマトグラフィーにて分析を行った。反応が安定化したことを確認した後、未反応水素ガスを含む反応液を気液分離器へと供給し、水素を除いたシクロヘキサノンのトルエン溶液を得た。このシクロヘキサノンを含むトルエン溶液と、モルホリン(0.20M)とスチレン(0.40M)を含むトルエン溶液をそれぞれ流速0.10ml/minで混合部を介して、140℃、0.5MPaに設定された予熱配管(内径1.0mm、長さ100cm)と第二の触媒カートリッジへと連続的に供給した。圧力調整弁の出口から反応液を30分毎に捕集し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析結果より、一連の反応が安定化したことを確認した後、反応装置の出口から反応液を10.0時間捕集した。このようにして得られた反応溶液を減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的のN-フェニルモルホリンを得た(収率76%)。
本発明による製法は、各種の芳香族アミン化合物、特に多官能基を有する芳香族アミン化合物の製造に適しており、特に、このような化合物が利用される医薬品や材料化学領域などの分野において利用されることが期待される。
図1において、以下の符号は、以下を意味する:
1:フェノール類
2:シクロヘキサノン類
3:アミン類(アンモニア、第1級アミン、第2級アミン)
4:イミン中間体(3がアンモニア、第1級アミンの場合)
4’:イミニウム中間体(3が第2級アミンの場合)
5:芳香族アミン化合物
6:シクロへキシルアミン化合物
A:水素化
B:脱水縮合
C:脱水素化
D:水素化(副反応)
図2において、以下に示す符号は、以下を意味する:
1:第一の液体原料タンク(フェノール類を含む溶液)
2:送液ポンプ
3:第一の液体原料と第一の気体原料の混合器
4:気体流量調整装置
5:予熱装置
6:第一の触媒カートリッジ
7:温度調節装置
8:背圧弁
9:気液分離装置
10:気液分離装置からの液体と第二の原料の混合器
11:送液ポンプ
12:第二の原料タンク(アミン類および水素捕捉剤を含む溶液)
13:予熱装置
14:第二の触媒カートリッジ
15:温度調節装置
16:背圧弁
17:最終生成物回収タンク

Claims (11)

  1. 白金族元素を含む固体触媒が収容された第一の触媒カートリッジに、フェノール類と水素を導入してシクロヘキサノン類へと連続的に水素化し、続いて得られたシクロヘキサノン類をアンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類および水素捕捉剤と共に、白金族元素を含む固体触媒が収容された第二の触媒カートリッジへと導入し、芳香族アミン化合物を連続的に製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
  2. 前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、活性炭担持パラジウム触媒、活性炭担持水酸化パラジウム触媒、アルミナ担持パラジウム触媒、シリカ担持パラジウム触媒、ジルコニア担持パラジウム触媒、ゼオライト担持パラジウム触媒、パラジウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上の触媒であることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
  3. 前記第一および第二の触媒カートジッジに収容される白金族元素を含む固体触媒は、それぞれ独立して、セライト、珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記第一および第二の触媒カートジッジに収容されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
  4. 前記第一級アミンまたは第二級アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、ヘテロ芳香族アミンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
  5. 前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、酸素あるいは炭素数8以下の第一級オレフィンまたは第二級オレフィンからなる群から選択されるものであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
  6. 前記第二の触媒カートリッジへ導入される水素捕捉剤は、アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンに対して1.0~4.0倍モル量であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
  7. 前記触媒カートリッジのうち第一の触媒カートリッジにのみ水素が導入され、その際の水素圧が0.1MPa~0.3MPaであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
  8. 一方端に原料を流入させる入口を有し、他方端に反応生成物が排出される出口を有し、内部温度の調節装置を具備する筒状の容器に触媒が収容されてなる触媒カートリッジを2つ有し、第一の触媒カートリッジの入口が第一の原料供給路に連結され、第一の触媒カートリッジの出口が気液分離装置の入口に連結され、気液分離装置の気体出口から気体が排出され、気液分離装置の液体出口が、一方の入口が第二の原料供給路と連結された混合器のもう一方の入口と連結され、第二の触媒カートリッジの入口が当該混合器の出口に連結され、第二の触媒カートリッジの出口が最終反応生成物の排出路に連結してなる、連続フロー式反応装置において、
    第一の触媒カートリッジに、フェノール類を水素によりシクロヘキサノン類へと水素化する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第二の触媒カートリッジに、シクロヘキサノン類と、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類を脱水縮合し、さらに水素捕捉剤の存在下、脱水素化して芳香族アミン化合物を生成する反応用の白金族元素を含む固体触媒を収容し、第一の原料として、フェノール類と水素ガスの混合物を第一の原料供給路から連続的に供給し、気液分離装置において、水素ガスを分離し、第二の原料として、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン類と水素捕捉剤の混合物を第二の原料供給路から連続的に供給することにより、第二の触媒カートリッジから連続的に排出される最終生成物中から芳香族アミン化合物が回収されることを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造装置。
  9. 第一の原料供給路が、第一の液体原料であるフェノール類を供給する供給路と第一の気体原料である水素ガスを供給する供給路がそれぞれその入口に連結され、これらの混合物が排出される排出路がその出口に連結された混合器を有し、当該混合器の排出路が第一の触媒カートリッジの入口に連結されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
  10. 第一の触媒カートリッジの出口と気液分離装置の入口の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの出口と最終反応生成物の排出路の間に、背圧弁を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
  11. 第一の触媒カートリッジの入口と第一の原料供給路の間、及び/又は、第二の触媒カートリッジの入口と、気液分離装置からの液体と第二の原料の混合器の出口の間に、予熱装置を有することを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の装置。
JP2019216507A 2019-11-29 2019-11-29 フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法 Active JP7352955B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216507A JP7352955B2 (ja) 2019-11-29 2019-11-29 フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216507A JP7352955B2 (ja) 2019-11-29 2019-11-29 フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021084897A JP2021084897A (ja) 2021-06-03
JP7352955B2 true JP7352955B2 (ja) 2023-09-29

Family

ID=76086799

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216507A Active JP7352955B2 (ja) 2019-11-29 2019-11-29 フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7352955B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000095736A (ja) 1998-09-22 2000-04-04 Nikko Rika Kk ジフェニルアミン類の製造方法
JP2000212133A (ja) 1999-01-21 2000-08-02 Mitsubishi Chemicals Corp ジフェニルアミン類の製造方法
JP2012501338A (ja) 2008-08-27 2012-01-19 ヴァイレント エナジー システムズ インク. バイオマスからの液体燃料の合成

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000095736A (ja) 1998-09-22 2000-04-04 Nikko Rika Kk ジフェニルアミン類の製造方法
JP2000212133A (ja) 1999-01-21 2000-08-02 Mitsubishi Chemicals Corp ジフェニルアミン類の製造方法
JP2012501338A (ja) 2008-08-27 2012-01-19 ヴァイレント エナジー システムズ インク. バイオマスからの液体燃料の合成

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Zhengwang Chen et al.,Formal Direct Cross-Coupling of Phenols with Amines,Angew. Chem. Int. Ed.,2015年,54,pp.14487-14491,DOI: 10.1002/anie.201506751
Zhengwang Chen et al.,Palladium-catalyzed reductive coupling of phenols with anilines and amines: efficient conversion of phenolic lignin model monomers and analogues to cyclohexylamines,Chem. Sci.,2015年,6,pp.4174-4178,DOI: 10.1039/c5sc00941c
金 雄傑 ら,担持PdあるいはAu-Pd合金ナノ粒子触媒による脱水素芳香環形成反応,有機合成化学協会誌,2019年,Vol.77, No.6,pp.566-575

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021084897A (ja) 2021-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8877976B2 (en) Process for preparing 3-aminomethyl-3,5,5-trimethylcyclohexylamine
JPH0347156A (ja) カルボニルニトリル及び類似化合物の還元的アミノ化
Zhang et al. Aerobic oxidation of amines to imines catalyzed by a ruthenium complex under solvent-free conditions
CN110878001A (zh) (z)-烯烃异构化转化为(e)-烯烃的方法
CN102146007B (zh) 一种制备仲胺和叔胺的方法
Pape et al. Tethered NHC ligands for stereoselective alkyne semihydrogenations
Ichitsuka et al. Continuous synthesis of aryl amines from phenols utilizing integrated packed‐bed flow systems
Zhao et al. Enantioselective Allylic Amination of Morita‐Baylis‐Hillman Acetates Catalyzed by Chiral Thiourea‐Phosphine
JP7352955B2 (ja) フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法
CN111285776A (zh) 可见光催化1,2-二胺类化合物绿色合成的方法
CN110294689A (zh) 一种钌金属配合物催化伯胺脱氢制备腈类化合物的方法
CN100344376C (zh) 可回收的手性易位反应催化剂
CN108129426B (zh) 一种2,5-二氰基呋喃催化加氢合成2,5-二甲胺基呋喃的方法
CN114805259B (zh) 一种耐失活镍基催化剂上糠醇选择性胺化制备糠胺的方法
WO2016143637A1 (ja) ニトリル類の連続接触還元による一級アミンの製造方法
CN104803835B (zh) 一种制备苯甲醛及其衍生物的方法
Pirola et al. A Continuous-Flow, Two-Step, Metal-Free Process for the Synthesis of Differently Substituted Chiral 1, 2-Diamino Derivatives
CN111196761B (zh) 一种制备3-氨基丙醇的方法以及反应装置
Anikeev et al. Highly selective reduction of nitroarenes by sc-isopropanol in the presence of zirconia in a flow reactor
CN112250542A (zh) 2-环己烷基环己醇的制法
CN113754544B (zh) 一种多取代(e)-三氟甲基烯烃的制备方法
CN111196762A (zh) 一种含腈类化合物为原料制备胺类化合物的方法
CN115108962B (zh) 一种连续合成氮杂双环类化合物的方法
CN112961019B (zh) 一种合成芳香族烯烃衍生物的方法
CN112441934B (zh) 一种卤代氧杂烯丙基胺类化合物及其制备方法和应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7352955

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150