JP3210440B2 - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法

Info

Publication number
JP3210440B2
JP3210440B2 JP27108292A JP27108292A JP3210440B2 JP 3210440 B2 JP3210440 B2 JP 3210440B2 JP 27108292 A JP27108292 A JP 27108292A JP 27108292 A JP27108292 A JP 27108292A JP 3210440 B2 JP3210440 B2 JP 3210440B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
internal electrode
sheet
electrode pattern
forming
composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27108292A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0696991A (ja
Inventor
良昇 桑江
秀之 金井
修 古川
洋八 山下
久美 奥和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17495123&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3210440(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP27108292A priority Critical patent/JP3210440B2/ja
Publication of JPH0696991A publication Critical patent/JPH0696991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3210440B2 publication Critical patent/JP3210440B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層セラミックコンデ
ンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサ(以下MLC
と称す)は、図8に示すように多数のセラミックからな
る誘電体層31と、これら誘電体層31の間に配置さ
れ、一端が対向する側面に交互に露出する内部電極32
と、前記対向する側面にそれぞれ設けられた一対の外部
電極33とから構成されている。図8のMLCは、チッ
プタイプであるが、その他にリード線を取り付け、樹脂
で塗布したディップタイプも知られている。
【0003】近年、このようなMLCでは、小型、大容
量化が進んでおり、これに伴って以前は1層当たり焼結
後で20μm程度であった誘電体の厚さをそれ以下に低
減することが要求されている。
【0004】ところで、前記MLCは従来、次のような
方法により製造されている。まず、図9に示すように誘
電体粉末と有機バインダからなる誘電体グリーンシート
41を形成し、この誘電体グリーンシート上に内部電極
用パターン42を塗布して複合シート43を作製する。
つづいて、図10に示すように前記複合シート43を2
つのカバーシート44、45の間に複数枚重ね、加熱加
圧して一体化した後、一点鎖線に示すようにその厚さ方
向に切断して個々のユニットを切り出す。その後、焼結
し、一対の外部電極を焼き付けることによってMLCを
製造する。
【0005】しかしながら、前記従来の方法では前記複
合シート43を複数枚積層する際、前記誘電体グリーン
シート41が機械的に柔らか過ぎ、特に焼結後の厚さが
20μm以下となるような薄い厚さになってくると、前
記誘電体グリーンシート41が伸びたりするため、高い
精度でそれら複合シート43を位置合わせすることが困
難になる。
【0006】このような問題を解決する方法として、機
械的強度を高めるための支持フィルムを含む複合シート
を利用する方法が知られている。
【0007】例えば、特開昭62−63413号公報に
は支持フィルム上に誘電体グリーンシートを形成し、こ
の誘電体グリーンシート上に内部電極用パターンを形成
し、前記支持フィルムに保持したまま前記内部電極用パ
ターンおよび前記誘電体グリーンシートをカバーシート
などの相手部材に重ねて圧着し、その後前記支持フィル
ムのみを剥離するという圧着・剥離の手順を繰り返して
MLCを製造する方法が開示されている。
【0008】また、特開平3−250612号公報には
誘電体グリーンシートおよび内部電極用パターンがそれ
ぞれ支持体フィルム上に形成された2つの複合シートを
用い、これら複合シート上の誘電体グリーンシートおよ
び内部電極用パターンをカバーシートなどの相手部材に
交互に圧着・剥離するという手順を繰り返してMLCを
製造する方法が開示されている。
【0009】さらに、特開昭63−188927号公報
にはカバーシートなどの相手部材上に内部電極用パター
ンを形成し、この上に誘電体グリーンシートが形成され
た支持フィルムを用いて前記誘電体グリーンシートを圧
着・剥離するという手順を繰り返してMLCを製造する
方法が開示されている。
【0010】しかしながら、前述したいずれの方法にあ
っても内部電極用パターンが形成されない箇所とそれ以
外の箇所とには必ず段差(厚さの差)が生じるため、前
記圧着工程において前記段差に起因して誘電体グリーン
シートと相手部材との付着力が小さくなる。その結果、
前記支持フィルムの剥離工程において前記支持フィルム
と共に本来相手部材に転写されなければならない誘電体
グリーンシートの一部も接着したまま前記相手部材から
剥離するという問題があった。
【0011】前述した段差を解消するためには、前記内
部電極用パターンそのものの厚さを薄くすることが考え
られる。しかしながら、前記内部電極用パターンは製造
上の難しさに加えて、その厚さがあまり薄くなり過ぎる
とMLCの取得容量が小さくなったり、内部電極の電気
抵抗が大きくなったりするために前記内部電極用パター
ンの厚さを例えば約3μm以下にすることが困難であ
る。その結果、必ずある程度の段差が生じることは避け
られない。さらに、このような段差は積層数が増加する
毎に積算されるため、多層になればなるほど段差が大き
くなって前述した圧着・剥離が困難になる。
【0012】一方、米国特許第5101319号明細書
には支持フィルム上に内部電極用パターンを形成した
後、前記内部電極用パターン上に誘電体グリーンシート
を前記内部電極用パターンに起因する段差を埋めながら
形成して複合シートを作製し、この複合シートを用いて
前述した圧着・剥離を繰り返すことによりMLCを製造
することが開示されている。しかしながら、前記製造方
法では支持フィルム上に先に内部電極用パターンを形成
するため、その後に形成された薄い誘電体グリーンシー
トは乾燥工程後の厚さが不均一になる。したがって、支
持フィルムを一様に圧着・剥離することが困難になる。
特に、多層になればなるほど前記誘電体グリーンシート
表面の凹凸が大きくなるため、圧着・剥離が困難になる
という問題があった。また、内部電極用パターンが存在
するため、特に乾燥時において誘電体グリーンシートに
クラックが発生し易くなり、電気的な短絡の原因にな
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、焼結
後の厚さが20μm以下となる薄い誘電体グリーンシー
トを形成しても圧着・剥離を良好に行うことが可能なM
LCの製造方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるMLCの
製造方法は、支持フィルム上に誘電体グリーンシートを
形成し、前記誘電体グリーンシート上に導電ペーストか
らなる複数の内部電極用パターンを形成して複数枚の複
合シートを作製する第1工程と、前記複合シートを、第
1カバーシート上に内部電極用パターンが前記第1カバ
ーシート側に位置するように重ねて圧着し、前記支持フ
ィルムを剥離して積層膜を形成する第2工程と、残りの
複合シートを前記積層膜に前記第2工程と同様な手順で
順次積層して多層の積層膜を形成する第3工程と、前記
多層の積層膜上に第2カバーシートを重ねる第4工程と
を具備し、前記内部電極用パターンの厚さの0.8〜
1.5倍の厚さ(いずれの厚さも乾燥状態を示す)を有
する前記内部電極用パターンと同じ材料から選択される
段差解消用パターンは、前記誘電体グリーンシートのコ
ーナ部もしくは外周部に前記内部電極用パターンと所望
の間隙をあけて形成されることを特徴とするものであ
る。
【0015】以下、本発明に係るMLCの製造方法を図
1〜図4を参照して詳細に説明する。
【0016】まず、図1および図2に示すように支持フ
ィルム1上に誘電体グリーンシート2を形成し、前記誘
電体グリーンシート2上に内部電極用パターン3を形成
して複合シート5を複数枚作製する。さらに、これら複
合シート5において、前記誘電体グリーンシート2の4
つのコーナ部もしくは前記誘電体グリーンシート2の外
周部(図2においては前記誘電体グリーンシート2の外
周部)には内部電極用パターンと同じ材料から選択され
る段差解消用パターン4を形成する。つづいて、図3に
示すように第1カバーシート6上に前記複合シート5を
前記内部電極用パターン3および段差解消用パターン4
が前記第1カバーシート6側に位置するように重ねて圧
着する。ひきつづき、図4に示すように前記支持フィル
ム1を剥離して積層膜を形成する。
【0017】次いで、残りの複合シートも前述したのと
同様な手順により順次積層して多層の積層膜を形成した
後、第2カバーシートを重ねる。つづいて、得られた積
層体を加熱加圧し、その厚さ方向に切断して個々のユニ
ットを切り出す。その後、焼結し、一対の外部電極を焼
き付けることによってMLCを製造する。
【0018】本発明に係る別のMLCの製造方法は、第
1支持フィルム上に誘電体グリーンシートを形成して複
数の第1複合シートを作製する第1工程と、第2支持フ
ィルム上に導電ペーストからなる複数の内部電極用パタ
ーンを形成して複数の第2複合シートを作製する第2工
程と、第1カバーシート上に前記第2複合シートを前記
内部電極用パターン側から重ねて圧着し、前記第2支持
フィルムを剥離して前記内部電極用パターンを転写した
後、前記第1複合シートを前記誘電体グリーンシート側
から重ねて圧着し、前記第1支持フィルムを剥離するこ
とにより前記内部電極用パターンおよび前記誘電体グリ
ーンシートが積層されてなる積層膜を形成する第3工程
と、残りの第1複合シート、第2複合シートを前記積層
膜に前記第3工程と同様な手順で順次積層して多層の積
層膜を形成する第4工程と、前記多層の積層膜上に第2
カバーシートを重ねる第5工程とを具備し、前記内部電
極用パターンの厚さの0.8〜1.5倍の厚さ(いずれ
の厚さも乾燥状態を示す)を有する前記内部電極用パタ
ーンと同じ材料から選択される段差解消用パターンは、
前記第2支持フィルムの前記内部電極用パターン側の面
のコーナ部もしくは外周部に前記内部電極用パターンと
所望の間隙をあけて形成されることを特徴とするもので
ある。
【0019】以下、本発明に係る別のMLCの製造方法
を図5〜図7を参照して詳細に説明する。
【0020】まず、図5に示すように第1支持フィルム
21上に誘電体グリーンシート22を形成して第1複合
シート24´を複数枚作製する。
【0021】また、図6に示すように第2支持フィルム
25上に内部電極用パターン26を形成して第2複合シ
ート27´を複数枚作製する。前記第2複合シート27
´において、第2支持フィルム25の前記内部電極用パ
ターン26側の面のコーナ部もしくは外周部(例えば外
周部)に前記内部電極用パターンと同じ材料から選択さ
れる段差解消用パターン23を形成する。
【0022】次いで、第1カバーシート28上に前記第
2複合シート27´を前記内部電極用パターン26およ
び段差解消用パターン23が前記第1カバーシート28
側に位置するように重ねて圧着した後、前記第2支持フ
ィルム25を剥離して前記内部電極用パターン26およ
び段差解消用パターン23を前記第1カバーシート28
上に転写する。つづいて、前記第1カバーシート28の
前記内部電極用パターン26形成面に前記第1複合シー
ト24´を前記誘電体グリーンシート22が前記第1カ
バーシート28側に位置するように重ねて圧着した後、
図7に示すように前記第1支持フィルム21を剥離して
積層膜を形成する。
【0023】次いで、残りの第1、第2の複合シートを
用いて前述したのと同様な手順により、順次内部電極用
パターンおよび段差解消用パターンと誘電体グリーンシ
ートを積層して多層の積層膜を形成した後、第2カバー
シートを重ねる。つづいて、得られた積層体を加熱加圧
し、その厚さ方向に切断して個々のユニットを切り出
す。その後、焼結し、一対の外部電極を焼き付けること
によってMLCを製造する。
【0024】前記段差解消用パターンの形成方法は特に
制限されないが、スクリーン印刷方式、転写方式、グラ
ビア方式、インクジェット方式などの薄膜が形成し易い
方法が好適である。
【0025】前記誘電体グリーンシートは、焼結後の厚
さにして20μm以下、より好ましくは10μm以下に
することが望ましい。
【0026】前記内部電極用パターンの形成方法は特に
制限されないが、スクリーン印刷方式、転写方式、グラ
ビア方式、インクジェット方式などの薄膜が形成し易い
方法が好適である。
【0027】なお、以上は本発明に係るMLCの製造に
おいて1種または2種の複合シートを用いる場合につい
て説明したが、本発明では支持フィルム上に誘電体グリ
ーンシートを形成した複合シート、支持フィルム上に内
部電極用パターンを形成した複合シート、および支持フ
ィルム上に段差解消用パターンを形成した複合シートの
3種の複合シートをそれぞれ複数枚用意し、それら複合
シートの圧着・剥離を適切な順序で繰り返すことによっ
てMLCを製造してもよい。
【0028】
【作用】本発明によれば、支持フィルム上に誘電体グリ
ーンシートを形成し、前記誘電体グリーンシート上に導
電ペーストからなる複数の内部電極用パターンを形成し
た複合シートを用い、複数の内部電極用パターンおよび
誘電体グリーンシートを転写する際、前記誘電体グリー
ンシートのコーナ部もしくは外周部に前記内部電極用パ
ターンの厚さに対して所定の関係の厚さを有する前記内
部電極用パターンと同じ材料から選択される段差解消用
パターンを形成することによって、前記内部電極用パタ
ーンが存在することに伴う前記誘電体グリーンシートの
コーナ部付近における段差の影響を前記段差解消用パタ
ーンにより緩和ないし防止できる。すなわち、支持フィ
ルムの誘電体グリーンシートからの剥離を開始する箇所
に前記内部電極用パターンと近似した高さの段差解消用
パターンを形成することによって、前記誘電体グリーン
シートを相手部材上に転写する際に複合シートの圧着後
の前記支持フィルムの剥離を容易に行うことができる。
【0029】また、別の本発明によれば第1支持フィル
ム上に誘電体グリーンシートを形成した第1複合シート
および第2支持フィルム上に導電ペーストからなる複数
の内部電極用パターンを形成した第2複合シートを用
い、複数の内部電極用パターンを転写し、さらにこの内
部電極用パターン上に誘電体グリーンシートを転写する
際、前記第2支持フィルムの内部電極用パターン側の面
のコーナ部もしくは外周部に前記内部電極用パターンの
厚さに対して所定の関係の厚さを有する前記内部電極用
パターンと同じ材料から選択される段差解消用パターン
を形成することによって、前記内部電極用パターンが存
在することに伴う前記誘電体グリーンシートのコーナ部
付近における段差の影響を前記段差解消用パターンによ
り緩和ないし防止できる。すなわち、第1支持フィルム
の誘電体グリーンシートからの剥離を開始する箇所に前
記内部電極用パターンと近似した高さの段差解消用パタ
ーンを形成することによって、前記誘電体グリーンシー
トを相手部材上に転写する際に複合シートの圧着後の前
記第1支持フィルムの剥離を容易に行うことができる。
【0030】したがって、積層数の多いMLCを高い歩
留まりで製造できる。また、得られたMLCの電気的特
性や信頼性を著しく向上できる。特に、焼結後の誘電体
グリーンシートの厚さを20μm以下とした小型で大容
量のMLCを製造する場合に本発明の方法は有効であ
る。
【0031】さらに、内部電極用パターンが形成される
面にこれと同材質の段差解消用パターンを形成すること
によって、1回のスクリーン印刷方式等によりこれら内
部電極用パターンおよび段差解消用パターンを形成する
ことが可能になり、工程数の削減を達成することができ
る。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0033】実施例1Pb、Ba、Mg、Zn、Nbお
よびTiの酸化物を所望の組成比になるように配合した
後、混合粉砕、仮焼して(Pb0.875 Ba0.125
[(Mg1/3 Nb2/3 0.5 (Zn1/3 Nb2/3 0.3
Ti0.2 ]O3 の組成を有する誘電体粉末を作製した。
前記誘電体粉末に有機バインダおよび溶剤を添加してス
ラリーを調製し、このスラリーをロールコータ装置を用
いて厚さ50μmの合成樹脂製支持フィルム上に塗布
し、乾燥して厚さ10μmの誘電体グリーンシートを形
成した。
【0034】次いで、熱転写装置により前記誘電体グリ
ーンシート上にAg/Pd=70/30(wt%)の導
体粉末を含む導体ペーストを塗布して厚さ2μmの内部
電極用パターンを形成した。つづいて、熱転写装置によ
り前記誘電体グリーンシート上に厚さ2μmで前記内部
電極用パターンと同材質の段差解消用パターンを格子状
に形成した。その後、得られたシートを一辺が約15c
mの正方形に切断して外周部に前記段差解消用パターン
が形成された126枚の複合シートとした。
【0035】次いで、厚さ約400μmで前記誘電体グ
リーンシートと同材質の第1カバーシート上に、前記複
合シートを内部電極用パターンおよび段差解消用パター
ンが前記第1カバーシート側になるように重ね、30k
g/cm2 、120℃の条件で10秒間圧着した後、前
記支持フィルムを剥離して積層膜を形成した。その後、
残りの125枚の複合シートも同様な手順により順次積
層することにより多層の積層膜を形成した。
【0036】次いで、前記多層の積層膜上に厚さ約40
0μmで前記誘電体グリーンシートと同材質の第2カバ
ーシートを重ねて加圧し、一体化した。つづいて、得ら
れた積層体を個々のユニットに切断した後、1050
℃、2時間焼結し、外部電極としてAgを主体とする導
体粉末を含む導体ペーストを焼き付けることによって
3.2mm×1.6mm×1.0mmの寸法のMLCを
製造した。このMLCは、セラミックからなる誘電体層
の1層あたりの厚さが約7μmであった。
【0037】本実施例1により得られたMLCの容量、
誘電損失、直流耐圧および不良率を測定した。その結果
を下記表1に示す。なお、前記容量および誘電損失はL
CRメータを用いて測定した。前記直流耐圧は、MLC
に50V/secの昇圧速度で電圧を印加したときの破
壊電圧から測定した。前記不良率は、100個のMLC
を85℃、95%RHの恒温恒湿槽中に保持し、10V
の直流電圧を印加することにより500時間以内にショ
ートしたMLCを不良品として判定することにより測定
した。
【0038】 表1 容量 誘電損失 直流耐圧 不良率 実施例1 6.2μF 0.83% 390V 0% 前記表1から明らかなように、本実施例1により得られ
たMLCは優れた電気特性および高い信頼性を有するこ
とがわかる。
【0039】比較例1 誘電体グリーンシート上の外周部に段差解消用パターン
が形成されていない複合シートを用いた以外、実施例1
と同様な方法によりMLCを製造した。
【0040】このような比較例1のMLCの製造におい
て、積層数が40層を超えたあたりから圧着・剥離が困
難になり、50層以上では均一な積層体を作製すること
が困難であった。
【0041】参照例1 まず、(Pb0.7 Sr0.3 )(Zr0.7 Ti0.3 )O3
の組成になるように水熱合成法により作製した誘電体粉
末を用意した。前記誘電体粉末に有機バインダおよび溶
剤を添加してスラリーを調製し、このスラリーをロール
コータ装置を用いて厚さ50μmの合成樹脂製の第1支
持フィルム上に塗布し、乾燥して厚さ7μmの誘電体グ
リーンシートを形成した。
【0042】また、厚さ50μmの合成樹脂製の第2支
持フィルム上にAg/Pd=70/30(wt%)の導
体粉末を含む導体ペーストをグラビア装置により塗布
し、乾燥して厚さ3μmの内部電極用パターンを形成し
た。つづいて、前記内部電極用パターンが形成された前
記第2支持フィルムの面に、グラビア装置により厚さ3
μmで前記誘電体グリーンシートと同材質の段差解消用
パターンを前記内部電極用パターン間を含む全領域に形
成した。
【0043】次いで、これらそれぞれ一辺が約15cm
の正方形に切断して100枚の第1複合シートおよび1
01枚の段差解消用パターンが形成された第2複合シー
トをそれぞれ得た。
【0044】次いで、厚さ約400μmで前記誘電体グ
リーンシートと同材質の第1カバーシート上に前記第2
複合シートをその内部電極用パターンおよび段差解消用
パターンが前記第1カバーシート側に位置するように重
ね、30kg/cm2 、120℃の条件で10秒間圧着
した後、前記第2支持フィルムを剥離して前記第1カバ
ーシート上に前記内部電極用パターンおよび段差解消用
パターンを転写した。つづいて、前記第1カバーシート
の前記内部電極用パターンおよび段差解消用パターンの
形成面に前記第1複合シートを前記誘電体グリーンシー
トが前記第1カバーシート側に位置するように重ね、3
0kg/cm2 、120℃の条件で10秒間圧着した
後、前記第1支持フィルムを剥離して積層膜を形成し
た。その後、残りの100枚の第2複合シートおよび9
9枚の第1複合シートも同様な手順により順次積層する
ことにより多層の積層膜を形成した。
【0045】次いで、前記多層の積層膜上に厚さ約40
0μmで前記誘電体グリーンシートと同材質の第2カバ
ーシートを重ねて加圧し一体化した。つづいて、得られ
た積層体を個々のユニットに切断した後、1050℃、
2時間焼結し、外部電極としてAgを主体とする導体粉
末を含む導体ペーストを焼き付けることによって3.2
mm×1.6mm×1.0mmの寸法のMLCを製造し
た。このMLCは、セラミックからなる誘電体層の1層
あたりの厚さが約5μmであった。
【0046】参照例1により得られたMLCの容量、誘
電損失、直流耐圧および不良率を前記実施例1と同様な
方法により測定した。その結果を下記表2に示す。
【0047】 表2 容量 誘電損失 直流耐圧 不良率 実施例2 0.83F 0.85% 410V 0% 前記表2から明らかなように、参照例1により得られた
MLCは優れた電気特性および高い信頼性を有すること
がわかる。
【0048】比較例2 前記第2複合シートとして第2支持フィルム上に段差解
消用パターンが形成されていないものを用いた以外、実
施例2と同様な方法によりMLCを製造した。
【0049】このような比較例2のMLCの製造におい
て、積層数が30層を超えたあたりから圧着・剥離が困
難になり、40層以上では均一な積層体を作製すること
が困難であった。
【0050】なお、前記実施例では誘電体材料としてリ
ラクサ化合物を用い、内部電極用材料としてAg/Pd
=70/30(wt%)の導体粉末を含む導体ペースト
を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、誘
電体材料としてチタン酸バリウムやチタン酸ネオジウム
を主体とする材料などや、内部電極用材料としてPd、
Ni、Cuなどを主成分とするペースト等などをそれぞ
れ用いても、実施例と同様な結果が得られる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば例
えば焼結後の厚さが20μm以下になる薄い誘電体グリ
ーンシートを支持フィルムに形成した複合シートを圧着
・剥離を行う場合でも、前記複合シートの圧着後の前記
支持フィルムの剥離を容易に行うことができ、ひいては
積層数の多いMLCを高い歩留まりで製造できると共
に、得られたMLCの電気的特性や信頼性を著しく向上
できる等顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMLCの製造方法に用いられる段差解
消用パターンが形成された複合シートを示す断面図。
【図2】図1の複合シートの平面図。
【図3】図1の複合シートを第1カバーシートに圧着し
た状態を示す断面図。
【図4】図3の圧着後に支持フィルムを剥離する過程を
示す断面図。
【図5】本発明のさらに別のMLCの製造方法に用いら
れる第1複合シートを示す断面図。
【図6】図5の第1複合シートと共にMLCの製造方法
に用いられる段差解消用パターンが形成された第2複合
シートを示す断面図。
【図7】内部電極用パターンおよび段差解消用パターン
が転写された第1カバーシート上に図5の第1複合シー
トを圧着した後、剥離する過程を示す断面図。
【図8】一般的なMLCの構造を示す斜視図。
【図9】従来のMLCの製造方法に用いられる複合シー
トを示す断面図。
【図10】図9の複合シートを用いてMLCを製造する
工程を示す断面図。
【符号の説明】
1…支持フィルム、 2、22…誘電体グリーンシート、 3、26…内部電極用パターン、 4、23…段差解消用パターン、 21…第1支持フィルム、 24´…第1複合シート、 15…第2支持フィルム、 27´…第2複合フィルム、 6、28…第1カバーシート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 洋八 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (72)発明者 奥和田 久美 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (56)参考文献 特開 平4−219914(JP,A) 特開 昭52−135051(JP,A) 特開 昭63−260122(JP,A) 特開 平2−36509(JP,A) 特開 平2−36512(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/12 - 4/12 448

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持フィルム上に誘電体グリーンシート
    を形成し、前記誘電体グリーンシート上に導電ペースト
    からなる複数の内部電極用パターンを形成して複数枚の
    複合シートを作製する第1工程と、 前記複合シートを、第1カバーシート上に内部電極用パ
    ターンが前記第1カバーシート側に位置するように重ね
    て圧着し、前記支持フィルムを剥離して積層膜を形成す
    る第2工程と、 残りの複合シートを前記積層膜に前記第2工程と同様な
    手順で順次積層して多層の積層膜を形成する第3工程
    と、 前記多層の積層膜上に第2カバーシートを重ねる第4工
    程とを具備し、 前記内部電極用パターン厚さの0.8〜1.5倍の厚さ
    (いずれの厚さも乾燥状態を示す)を有する前記内部電
    極用パターンと同じ材料から選択される段差解消用パタ
    ーンは、前記誘電体グリーンシートのコーナ部もしくは
    外周部に前記内部電極用パターンと所望の間隙をあけて
    形成されることを特徴とする積層セラミックコンデンサ
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1支持フィルム上に誘電体グリーンシ
    ートを形成して複数の第1複合シートを作製する第1工
    程と、 第2支持フィルム上に導電ペーストからなる複数の内部
    電極用パターンを形成して複数の第2複合シートを作製
    する第2工程と、 第1カバーシート上に前記第2複合シートを前記内部電
    極用パターン側から重ねて圧着し、前記第2支持フィル
    ムを剥離して前記内部電極用パターンを転写した後、前
    記第1複合シートを前記誘電体グリーンシート側から重
    ねて圧着し、前記第1支持フィルムを剥離することによ
    り前記内部電極用パターンおよび前記誘電体グリーンシ
    ートが積層されてなる積層膜を形成する第3工程と、 残りの第1複合シート、第2複合シートを前記積層膜に
    前記第3工程と同様な手順で順次積層して多層の積層膜
    を形成する第4工程と、 前記多層の積層膜上に第2カバーシートを重ねる第5工
    程とを具備し、 前記内部電極用パターンの厚さの0.8〜1.5倍の厚
    さ(いずれの厚さも乾燥状態を示す)を有する前記内部
    電極用パターンと同じ材料から選択される段差解消用パ
    ターンは、前記第2支持フィルムの前記内部電極用パタ
    ーン側の面のコーナ部もしくは外周部に前記内部電極用
    パターンと所望の間隙をあけて形成されることを特徴と
    する積層セラミックコンデンサの製造方法。
JP27108292A 1992-09-14 1992-09-14 積層セラミックコンデンサの製造方法 Expired - Fee Related JP3210440B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27108292A JP3210440B2 (ja) 1992-09-14 1992-09-14 積層セラミックコンデンサの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27108292A JP3210440B2 (ja) 1992-09-14 1992-09-14 積層セラミックコンデンサの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0696991A JPH0696991A (ja) 1994-04-08
JP3210440B2 true JP3210440B2 (ja) 2001-09-17

Family

ID=17495123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27108292A Expired - Fee Related JP3210440B2 (ja) 1992-09-14 1992-09-14 積層セラミックコンデンサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3210440B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8337080B2 (en) 2007-01-10 2012-12-25 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Method for measuring temperature distribution of object, and sensor unit

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4714996B2 (ja) * 2000-04-10 2011-07-06 株式会社村田製作所 積層型セラミック電子部品およびその製造方法
US20030111158A1 (en) 2001-12-14 2003-06-19 Murata Manufacturing Co., Ltd. Method for manufacturing multilayer ceramic electronic element
JP2005072453A (ja) * 2003-08-27 2005-03-17 Kyocera Corp セラミック積層体の製法
JP4729993B2 (ja) * 2005-06-16 2011-07-20 パナソニック株式会社 積層セラミック電子部品の製造方法
US20070113950A1 (en) * 2005-11-22 2007-05-24 International Business Machines Corporation Method and apparatus for providing uniaxial load distribution for laminate layers of multilayer ceramic chip carriers
JP4623305B2 (ja) * 2006-03-29 2011-02-02 Tdk株式会社 積層電子部品の製造方法
KR20230052560A (ko) * 2021-10-13 2023-04-20 삼성전기주식회사 커패시터 부품의 제조 방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8337080B2 (en) 2007-01-10 2012-12-25 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Method for measuring temperature distribution of object, and sensor unit

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0696991A (ja) 1994-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100202098A1 (en) Ceramic electronic part
US11538636B2 (en) Multilayer ceramic electronic component and method of producing multilayer ceramic electronic component
JP3772622B2 (ja) 薄膜積層コンデンサおよびその実装方法
US7799409B2 (en) Ceramic green sheet structure and method for manufacturing laminated ceramic electronic component
JP3210440B2 (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JPH08250370A (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP4688326B2 (ja) セラミック積層体およびその製法
JP2020027927A (ja) 積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
JPH0786083A (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP2003045740A (ja) 積層型電子部品
JP2000243650A (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP4022162B2 (ja) 積層型電子部品およびその製法
JP4696410B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JPH0396207A (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP3239659B2 (ja) 積層インダクタ部品の製造方法
JP4483237B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP3131453B2 (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP3367184B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP3496184B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JPH09129482A (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP2615477B2 (ja) 積層磁器コンデンサの製造方法
JPH09260199A (ja) 積層コンデンサ
JP2001217140A (ja) 積層型電子部品およびその製法
JP2002198250A (ja) 積層型電子部品
JP2000260655A (ja) 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees