JP3209686B2 - 着色樹脂塗装金属板およびその製造方法 - Google Patents

着色樹脂塗装金属板およびその製造方法

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JP3209686B2
JP3209686B2 JP22894996A JP22894996A JP3209686B2 JP 3209686 B2 JP3209686 B2 JP 3209686B2 JP 22894996 A JP22894996 A JP 22894996A JP 22894996 A JP22894996 A JP 22894996A JP 3209686 B2 JP3209686 B2 JP 3209686B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や家庭電気
製品の内装・外装部品、鋼製家具等の外板材や、あるい
は建築材料等に用いられる着色樹脂塗装金属板に関する
ものであり、詳細には、美麗に着色され、かつ素地金属
の光沢を反映した良好な鮮映性を有する着色樹脂塗装金
属板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車、家庭電気製品、建築材料
等には、亜鉛系めっき金属板が広く用いられている。こ
れらの亜鉛系めっき金属板は、そのままでは、耐食性や
塗料との密着性が不充分であるため、めっき層の上にク
ロメート処理やりん酸塩処理等の化成処理が施されてお
り、さらに高度な耐食性、耐薬品性、意匠性等が要求さ
れるときは、これらの化成処理層の上に樹脂皮膜が設け
られることが多い。特に、外観の美麗さや製品としての
色調の完成度の点から意匠性が重要視される用途に使用
される金属板の場合、最外塗膜に当たる樹脂皮膜は、ユ
ーザーが要求する色調に着色されなければならない。
【0003】樹脂皮膜を着色する方法としては、一般的
には、塗料中に有機顔料や無機顔料等の着色顔料を添加
する方法が採用されており、着色力の点では有機顔料が
無機顔料よりも優れ、また、隠蔽性の点では無機顔料の
方が優れていることが知られている。通常、金属板の下
地の色調を隠蔽するためには、塗料に無機顔料を単独で
あるいは有機顔料と共に含有させることが多いが、いず
れの場合においても完璧に素地の色調を隠蔽するために
は、10g/m2 以上の塗膜が必要であった。
【0004】また、樹脂皮膜に、高度な耐食性や耐薬品
性等の特性を付与するには、緻密な塗膜を作り得る有機
溶剤系焼付け硬化型塗料が適していることから、樹脂塗
装金属板にも該塗料が用いられるが、有機溶剤の蒸発に
よって安定した塗膜付着量を得ることが困難であった
り、焼付け硬化のための長大な乾燥設備や、蒸発した有
機溶剤を回収する局所排気設備を設ける必要があるとい
う問題があり、めっき金属板製造プロセスと同一ライン
で高速生産することは難しい。結局、必要塗膜付着量が
大きい点や、これらの設備の問題等で、得られる塗装金
属板が非常に高価なものとなっている。
【0005】上記問題を解決するものとして、めっき金
属板製造プロセスにおいて安価に製造できる着色樹脂塗
装鋼板が提案されている。例えば特開平5−16292
号には、亜鉛系めっき鋼板表面にクロメート被覆層を設
け、その上にL* 値が60以下となる様に厚さ5μm以
下の着色樹脂層を形成した着色鋼板が開示されている。
しかし着色鋼板の色調は、素地金属板の色調、樹脂皮膜
の色調および厚さによって決まることが知られており、
着色樹脂皮膜の厚さが小さくなると、L* 値が60以下
となるような着色樹脂層であっても、着色鋼板の着色
性、隠蔽性が低下するため安定な色調を得ることは困難
である。またL* 値とは、JIS Z 8730で規定
される「明度」を示す指標であり、L* 値が(−)側で
は黒みが、(+)側では白みが増加する。すなわち着色
樹脂層の色調が黒色であればL* 値は60以下となり、
また色調が白色であればL* 値は60以上となる場合が
あって、素地金属板の隠蔽性(逆にいえば光沢)を表す
指標ではないので、得られる着色鋼板の品質の一定性に
不安が残る。
【0006】一方特開平5−31450号には、亜鉛系
表面処理鋼板上にクロメート処理を施した後に、樹脂1
00部に対し着色剤としてチタンホワイト/全着色顔料
比が0.30〜0.95である着色顔料を30〜100
部、皮膜強化材としてコロイダルシリカを20〜40部
分散させた厚さ1〜3μmの水溶性または水分散性の樹
脂被覆層を形成したことを特徴とした加工部下地隠蔽性
および溶接性に優れた着色塗装表面処理鋼板が開示され
ている。
【0007】しかしこの特開平5−31450号では、
加工部の下地隠蔽性を向上させるため顔料濃度を30部
以上と高濃度にしているが、樹脂皮膜中に添加する顔料
濃度の増加に伴い、樹脂塗膜と素地金属板との密着性が
低下するという問題がある。また顔料添加濃度が高い
と、樹脂塗装金属板の本来の性能である耐食性が劣化す
ることも指摘されていた。
【0008】近年、着色金属板の用途の多様化に伴い、
素地の色調を完全に隠蔽せず、素地の金属光沢を活かし
た外観が要求される場合が増えてきた。例えば冷蔵庫あ
るいは洗濯機の底板および裏板、FDD部品、カセット
シャーシ等、製品外観上目に付きにくい部位に用いられ
る場合や、意匠的に金属光沢を必要とする用途である。
目に付きにくい部位であっても素地金属板の外観のまま
では意匠性に劣るため、特に金属光沢を必要とする部品
はもとより、金属光沢を保持しながら美麗に着色した着
色金属板が要求されている。
【0009】このような金属光沢と意匠性を兼ね備えた
着色金属板とは、例えば、素地の光沢を生かしながら黄
色い樹脂塗膜を金属板上に形成し、素地金属板の光沢と
樹脂塗膜の色調を作用させ合って、ユーザーに好まれる
黄金色を呈するようにしたものである。黄金色の外観を
得る従来法としては、Tiの陽極酸化による着色法や、
ユニクロと呼ばれる光沢クロメート処理あるいは金めっ
き等の方法があるが、いずれも処理コストが高い。ま
た、陽極酸化やクロメート処理は、処理液のpHや電解
電圧等の処理条件によって、処理皮膜厚が変化するた
め、安定した色調を得ることが困難である。
【0010】また、素地金属板(以下原板ということが
ある)の光沢を生かしながら着色樹脂塗膜を形成する方
法の場合、得られる樹脂塗装金属板の光沢度が、原板の
光沢度と表面形状に大きく影響を受けることが知られて
いる。原板の凹凸が大きい場合、樹脂塗膜はこの凹凸を
反映して形成されるので、反射光が散乱し、その結果光
沢度が低下してしまうのである。特に、樹脂塗膜中に意
匠性付与のための着色剤が含まれていると、反射光の散
乱が一層著しい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明では、
着色樹脂塗装後の光沢度を低下させることのない金属板
の見極めを正確にかつ効率的に行い、この金属板を原板
とすることによって、光沢の優れた着色樹脂塗装金属板
を提供することを課題として掲げた。
【0012】本発明は、着色顔料を含有する樹脂塗膜が
形成された着色樹脂塗装金属板であって、該着色樹脂塗
膜形成前の金属板の60°鏡面光沢度をG0とし、樹脂
塗膜形成後の塗装金属板の60°鏡面光沢度をG1とす
るとき、G0が下式(1)を、G1が下式(2)を満足す
るところに要旨を有する。 40<G0<310 …(1) G0>G1≧0.5G0 …(2) 上記構成によって、光沢度の低下の少ない着色樹脂塗装
金属板を得ることができる。着色樹脂塗膜形成前の金属
板が、下記式(3)〜(4)を満足する表面形状を示す
ものであることも、光沢に優れた着色樹脂塗装金属板を
得る上で重要なパラメータである。 0.4<Ra<1.8 …(3) 10<PPI<110 …(4) ただし、Raは、着色樹脂塗膜形成前の金属板の中心線
表面粗さ(μm)を、PPIは、1インチ当たりの粗さ
曲線において、100×10-6インチのピークカウント
レベルを超えたピークの数を示すものとする。
【0013】着色樹脂塗膜の付着量が乾燥塗膜重量換算
で0.2〜3.0g/m2であり、着色顔料が乾燥塗膜
中1〜30重量%含まれているものであることも本発明
の好ましい実施態様である。また、良好な黄金調の外観
を有する金属板が求められる場合には、ハンターの色差
式におけるクロマティクネス指数のa値およびb値を、
下式(5)を満足するようにすることが望まれる。 −4≦a値≦6 かつ 2≦b値≦25 … (5)
【0014】本発明では、上記種々の条件を満たす金属
板であれば、着色樹脂塗膜形成前の金属板として使用す
ることができるが、電気亜鉛めっき鋼板の使用が推奨さ
れる。このとき着色樹脂塗膜形成前の電気亜鉛めっき鋼
板が、下記式(6)を満足する表面形状を示すものであ
ること、 30<S<70 …(6) ただし、Sは、台地部面積率(%)であり、単位面積当
たりの台地部(表面凸部が圧下されて頂上部が台地状に
なった部分)の総面積の百分率を示すものとする。ある
いは、電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層中の六方晶系
亜鉛結晶の配向性が、下式(7)を満足するものである
こと、
【0015】
【数2】
【0016】および電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層
表面の任意の観察領域において、長さ5μm以上のZn
単結晶が一定の方向性をもって成長している領域の面積
が、前記任意の観察領域の全面積の70%以下であるこ
とは、電気亜鉛めっき鋼板を用いて美麗な外観の着色樹
脂塗装金属板を得る上で好ましい条件である。
【0017】なお、上記着色樹脂塗装金属板を製造する
に当たり、着色顔料を含有する水分散型または水溶性塗
料を用いる着色樹脂塗装金属板の製造方法も、本発明に
含まれるものとする。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴は着色樹脂塗
装金属板でありながら、優れた表面光沢を有している点
にある。本発明では、着色樹脂塗装後の光沢度を低下さ
せることのない金属板として、着色樹脂塗膜形成前の金
属板(以下原板ということがある)の60°鏡面光沢度
をG0 とするときに、このG0 が下式(1)を満足する
ものを選択することが必要である。 40<G0 <310 …(1) なおG0 は、JIS Z 8741において規定される
60°鏡面光沢度であり、本発明では日本電色(株)製
光沢度計を用いて測定している。
【0019】着色樹脂塗装後の光沢度を高くするために
は、原板の光沢度が高いことが望まれるが、あまり高過
ぎると、特定方向の反射率が高くなって鏡面状の外観と
なって、自動車、電気製品、建築材料等に適用される場
合には好ましくない。そこで本発明では、G0 の上限は
310と規定した。しかし一方で、原板の光沢度が低過
ぎる場合には、得られる着色樹脂塗装金属板の光沢が劣
ったものとなる。従って、原板のG0 の下限は40とし
た。
【0020】また、着色樹脂塗装後の金属板の光沢度G
1は、着色樹脂塗膜を形成する前の金属板の光沢度G0
1/2以上(0.5G0以上)、すなわち、G1が下式
(2)を満足することが必要である。 G0>G1≧0.5G0 …(2)
【0021】上記(2)式でG1<0.5G0であれば、
樹脂塗装金属板と原板との外観の差が大きく、原板の色
調・光沢を反映しているとは言えず、良好な光沢が発現
しない。着色樹脂塗膜を形成した後では、原板と樹脂塗
膜界面で光反射が生じるため、実質的にはG1≧G0とな
ることはない。逆にG1≧G0であれば(G0>G1でなけ
れば)、着色樹脂の塗装効果が全く得られていないこと
になる。
【0022】前記(2)式を満足するには、原板への樹
脂塗膜付着量を乾燥塗膜重量換算で0.2〜3.0g/
2とするとよい。0.2g/m2より少ないと、原板に
対する樹脂塗膜の着色効果が小さ過ぎることがある。ま
た塗料中の固形分が少なくなるので原板表面に塗膜を均
一に形成することが難しく、樹脂塗装金属板として重要
な耐食性、加工性等の性能を充分に発揮できないことも
ある。
【0023】一方塗膜付着量が多過ぎると原板を隠蔽す
る能力が大きくなって、前記(2)式からはずれてしま
う。また塗膜付着量が3.0g/m2を超える場合に
は、塗膜の乾燥に時間がかかって連続生産効率が悪化す
ると共に、顔料含有樹脂塗料の使用量も増大するためコ
ストアップにつながるだけである。さらに、プレス加工
時に塗膜が剥離し易くなるので耐食性が劣るものとな
り、また金型に剥離した皮膜が蓄積してプレス成形に支
障がでることもある。この様な問題が生じない上限とし
て、本発明においては樹脂塗膜付着量は3.0g/m2
以下とすることが好ましい。実用上の観点からより好ま
しい樹脂塗膜の付着量は0.3〜2.0g/m2の範囲
である。
【0024】上記した塗膜付着量の調整と共に、塗料中
の顔料濃度の調整も前記(2)式の満足のために好まし
く採用される手段である。本発明では、塗料中の着色顔
料濃度を乾燥塗膜重量に対して(塗料の固形分に対し
て)1〜30重量%となる様に調整することが好まし
い。着色顔料濃度が1重量%よりも少ないと塗膜の着色
効果が小さく本発明の目的にそぐわない。逆に顔料濃度
が大きいほど着色効果が大きくなるが、樹脂塗膜と原板
との密着性が悪化する傾向にあるため、上限を30重量
%にすることが推奨される。さらに、塗膜中の顔料が多
過ぎると樹脂塗膜の本来の性能である耐食性が劣り、腐
食に伴って塗膜の色調が大きく変化するという不都合も
起こり得る。塗料中の顔料のより好ましい濃度範囲は、
乾燥塗膜重量に対して(塗料の固形分に対して)5〜2
0重量%の範囲である。
【0025】本発明では、金属板のG0が前記式(1)
の範囲となり、かつ着色樹脂塗膜との密着性を良好にす
るためには、下記(3)〜(4)の条件を満足するもの
を選択すれば良いことも見出されている。 0.4<Ra<1.8 …(3) 10<PPI<110 …(4) ただし、Raは、着色樹脂塗膜形成前の金属板の中心線
表面粗さ(μm)を、PPIは、1インチ当たりの粗さ
曲線において、100×10-6インチ(100μinc
h)のピークカウントレベルを超えたピークの数を示す
ものとする。
【0026】Raが0.4では、原板表面が平滑過ぎ
て、着色樹脂塗膜との密着性が低下してしまう。また、
ライン通板時の取扱い疵が目立ち易くなって製品の歩留
が低下してコストアップにつながることがある。このた
めRaは1.8より小さくすることが好ましい。しか
し、金属板の表面が粗いほど光沢度は低下し、またクリ
アランスの厳しい加工時に「かじり」が大きくなるの
で、Raは1.8より小さくすることが望まれる。
【0027】表面粗さを表す一つの指標であるピークカ
ウントPPIは、米国自動車技術社会SAE規格(Soci
ety of Automobile Engineers )のJ911-1986 「SU
RFACE TEXTURE MEASUREMENT OF COLD ROLLED SHEET STE
EL」に定められており、1インチ当たりの粗さ曲線にお
いて、ある基準レベル(ピークカウントレベル)を超え
る山の数を示すものである。本発明では、100×10
-6インチを超えるピークの数が前記(4)式を満足する
もの、すなわちPPIが10より大きく、かつ110よ
り小さい原板が好ましく使用できる。PPIが10以下
では、鏡面状の外観となるばかりか、原板表面が平滑に
なり過ぎて取扱い疵が目立つなどの前記不都合が起こ
る。また、PPIが110以上では、散乱光が多くなり
光沢度が低くなるため、原板として好ましいものではな
い。
【0028】本発明の着色樹脂塗装金属板には、塗料中
への分散性に優れた微粒子状の着色顔料を含有する塗料
を用いることが好ましい。種々の顔料を併用すれば樹脂
塗装金属板の色調を様々にコントロールすることができ
る。
【0029】下記のそれぞれの色に着色するための顔料
種類の例としては、 赤色:不溶性アゾ系(ナフトール系およびアニライド
系)または溶性アゾ系等の有機系顔料や、べんがら、カ
ドミウムレッド、鉛丹等の無機系顔料、 黄色:不溶性アゾ系(ナフトール系およびアニライド
系)、溶性アゾ系、キナクリドン系等の有機系顔料や、
クロムエロー、カドミウムエロー、ニッケルチタンエロ
ー、黄丹、ストロンチウムクロメート等の無機系顔料、 緑色:有機フタロシアニン系顔料、 青色:有機フタロシアニン系顔料、紺青、群青、コバル
ト青、エメラルドグリーン等の無機系顔料、 黒色:アニリンブラック、カーボンブラック等の有機系
顔料、鉄黒等の無機系顔料、 白色:酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バ
リウム、リトポン、鉛白等の無機系顔料 等が挙げられる。上記着色顔料のうち、同色でも化学構
造の異なるもの、あるいは異なる色の着色顔料を2種類
以上適当な配合比で混合することにより、灰色、茶色、
紫色、橙色、黄金色等所望の色に着色することができ
る。
【0030】着色顔料の平均粒径は、0.05〜1.0
μmであることが好ましい。0.05μmよりも小さい
と皮膜の着色効果が小さく意匠性に欠けることがある。
逆に1.0μmよりも大きいと、顔料濃度の増加に伴っ
て塗膜表面に露出する大径の顔料の割合が増加するた
め、得られた着色塗装金属板の摺動時に顔料が脱落して
色調が変化してしまう恐れがある。また顔料の粒径が大
きいと塗料中での分散性に劣るため、均一に着色した塗
膜が得られにくい。より好ましい顔料の粒径の範囲は
0.1〜0.7μmである。
【0031】着色樹脂塗膜を形成するための塗料中のベ
ース樹脂の素材としては、特に限定されなず、ポリエチ
レン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ
系、アクリル系等を使用することができる。上記ベース
樹脂中に官能基を導入して、着色顔料との密着性を向上
させることも好ましい。また有機溶剤系塗料は、作業環
境が悪くなり、また揮発溶剤の回収設備を必要とするの
で、本発明では、着色顔料を含有する水分散型塗料また
は水溶性樹脂液を用いることが推奨される。
【0032】着色樹脂塗膜形成用塗料の調整に当たって
は、本発明の着色樹脂塗装金属板の外観および色調を大
きく変化させない範囲で、部分架橋剤、希釈溶媒、皮張
り防止剤、レベリング剤、消泡剤、浸透剤、造膜助剤、
増粘剤、潤滑剤等の各種添加剤や、密着性向上や耐食性
向上のための微粉シリカ、コロイダルシリカ、シランカ
ップリング剤等を適宜添加し、塗膜性能をさらに高める
ことも可能である。
【0033】本発明では、以上説明したように、光沢度
が優れた着色樹脂塗装金属板を提供するものであるが、
特にユーザーサイドで好まれるクロメート処理皮膜状の
色調を有する着色樹脂塗装金属板の提供にも成功した。
すなわち、JIS Z 8730で規定されるハンター
の色差式のクロマティネクス指数のa値およびb値が、
下式(5)を満足する場合、本発明の樹脂塗装金属板
は、クロメート処理皮膜状の黄金色を呈する。 −4≦a値≦6 かつ 2≦b値≦25 … (5)
【0034】ここでa値およびb値とは、国際照明委員
会が定め、JISにおいて承認されている色調を表す色
相を数値化したものであり、a値は(−)側で緑み、
(+)側で赤みが増加し、b値は(−)側で青み、
(+)側で黄みが増加することを表す。上記a値および
b値の範囲にするには、塗料中に黄色顔料を単独で添加
しても良いが、黄色顔料と赤色顔料を2種類以上混合す
ると色相の調整が容易となるためより好ましい。
【0035】本発明において樹脂塗装前の原板として使
用される金属板としては、特に限定されず、軟鋼やステ
ンレス鋼板を初めとする各種合金鋼板の他、Al・Al
合金板、Cu・Cu合金板、Ti・Ti合金板、あるい
はこれら金属板に対してZn・Zn合金めっき、Al・
Al合金めっき、Cu系めっき、Ni系めっき、Cr系
めっき等を施した各種めっき金属板や、りん酸塩処理、
クロメート処理等の化成処理を施した金属板等が幅広く
活用できる。
【0036】中でも、電気亜鉛めっき鋼板は、耐食性、
加工時の塗膜密着性、外観等に優れており、表面外観や
光沢にも優れているので、光沢に優れた着色樹脂塗装金
属板を得るために好ましい。原板の光沢が優れていれ
ば、当然着色樹脂塗装後の光沢も優れたものとなるため
である。そして、電気亜鉛めっき鋼板の表面形状や、電
気亜鉛めっき層中の結晶の配向性が、表面光沢に影響を
及ぼすことが見出されたので、本発明では、以下の特徴
を有する電気亜鉛めっき鋼板を原板として選択すること
が推奨される。
【0037】まず、原板の電気亜鉛めっき鋼板の表面形
状としては、台地部面積率Sが下記式(6)を満足する
ことが好ましい。 30<S<70 …(6) ただし、Sは、台地部面積率(%)であり、単位面積当
たりの台地部(表面凸部が圧下されて頂上部が台地状に
なった部分)の総面積の百分率を示すものとする。
【0038】原板のS、すなわち台地部面積率(%)と
は、単位面積当たりの台地部(表面凸部が圧下されて頂
上部が台地状になった部分)の総面積を、全表面積に対
する百分率で示したものであり、台地部は、SEM(走
査型電子顕微鏡)等で原板の表面観察を倍率100倍程
度で行ったときに、台地状として観察される部分であ
る。この台地部の存在は、反射光の散乱を抑制して光沢
度を高める作用を有するので、台地面積率(%)Sは3
0%を超えるものであることが好ましい。Sが110%
以上になると、表面がキラキラして外観状好ましくない
ので、Sは110%より小さくすることが推奨される。
また、電気亜鉛めっき層中の六方晶系Zn結晶の配向性
が下式(7)を満足する電気亜鉛めっき鋼板も好ましく
採用できる。
【0039】
【数3】
【0040】Zn結晶は六方稠密晶構造を取ることが知
られている。そしてZn結晶の大部分は、(002)面
や(103)面に配向しているが、このうち(103)
面に強く配向している部分のめっき層は、(002)面
に配向している部分に比べ、入射光線に対する正反射光
線量が少なく、表面光沢に劣っているのである。このた
め、上記条件を満足する、すなわち(002)面に強く
配向している亜鉛めっき層を有している方が、本発明の
着色樹脂塗装金属板には好適である。
【0041】上式における各配向指数とは、各ミラー指
数面[(002)面と(103)面]の配向性の強度
を、異方性を持たないパウダーパターンの配向性と比較
して得られる数値である。具体的には、X線回折法で
(hkl)面の回折強度I(hkl)を2θ=30〜8
5°の範囲で測定し、全ピークΣI(hkl)に対する
I(hkl)の相対強度IF(hkl)[すなわちI
(hkl)/ΣI(hkl)]を求め、これをASTM
カードによって得られるパウダーパターンの相対強度I
FR(hkl)で割れば、(hkl)面の配向指数が求
まる。(002)面と(103)面の配向指数をそれぞ
れ求めて上式(2)に代入した値が2.0以上であれ
ば、光沢の低い(103)面が相対的に少なく、全体と
して良好な光沢を与える電気亜鉛めっき層が得られる。
上限値については特に限定されないが、加工性を考慮す
れば15が推奨される。15を超えると加工時にフレー
キングが生じ易くなることがあるためである。なお、電
気亜鉛めっき鋼板に関する上記現象については特願平7
−2939号に詳細に説明されている。
【0042】一方、電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層
表面の任意の観察領域において、長さ5μm以上のZn
単結晶が一定の方向性をもって成長している領域の面積
が、前記任意の観察領域の全面積の70%以下である金
属板も、本発明で好ましく用いられる。
【0043】ここで、「Zn単結晶が一定の方向性を持
って成長している領域」とは、電気亜鉛めっき層表面の
亜鉛めっき単結晶が、ランダムに成長しているのではな
く、一定の方向性をもって整列して成長している状態
(エピタキシャル成長状態)である。電気亜鉛めっき前
の鋼板の微細な凹凸やその他の影響による不均一状態が
存在し不均一な結晶形態となるが、亜鉛めっき単結晶が
整列成長している領域が大面積であると、不均一な結晶
形態の領域がたとえ僅かであっても、色調差が顕著に認
識される。この様な原板を用いると、樹脂塗装金属板の
鮮映性が劣ったものとなってしまうのである。
【0044】このことから、電気亜鉛めっき鋼板のめっ
き層表面の任意の観察領域において「長さ5μm以上の
Zn単結晶が一定の方向性をもって成長している領域の
面積が、観察領域全面積の70%以下である」ことを、
好ましい要件として定めたのである。このときZn単結
晶が小さ過ぎるとたとえ整列成長していても、樹脂塗装
金属板表面に目視可能な鮮映性不良は起こらないので、
上記設定要件に含まれるZn単結晶の長さは5μm以上
とする。上記要件を満足する原板は、均一な色調、鮮映
性を有するので、本発明に適用したときに美麗な外観の
着色樹脂塗装金属板を与える。
【0045】次に、本発明の着色樹脂塗装金属板の製造
方法について説明する。樹脂塗装金属板は、前記樹脂成
分と着色顔料を含む塗料(好ましくは水分散型塗料)
を、公知の塗装方法で原板の表面に塗布し、乾燥させて
製造することができる。塗装方法は特に限定されない
が、例えば表面を清浄化して、必要に応じて塗装前処理
(例えばりん酸塩処理、クロメート処理等)を施した長
尺金属帯表面に、ロールコーター法、スプレー法、カー
テンフローコーター法等を用いて塗料を塗工し、熱風乾
燥炉を通過させて乾燥させる方法等が挙げられる。塗膜
厚さの均一性や処理コスト、塗装効率等を総合的に考慮
して実用上好ましいのは、ロールコーター法である。着
色樹脂塗膜は用途に応じて、原板の片面のみか両面に形
成すればよい。なお塗膜の乾燥温度は、添加する着色顔
料が変性して色調が変化しないようにするため、着色顔
料の耐熱温度以下にすることが好ましい。
【0046】樹脂塗装を施す金属板には、樹脂塗膜との
密着性あるいは耐食性向上の目的で、塗装前処理として
りん酸塩処理あるいはクロメート処理を施しても構わな
い。ただしクロメート処理材については、樹脂塗装金属
板使用中のクロム溶出性の観点から、クロメート処理時
のCr付着量を35mg/m2 以下に抑えることが好ま
しい。この範囲であれば、本発明の樹脂塗装金属板は、
下地クロメート処理層からのクロム溶出を抑えることが
可能である。また従来のクロメート処理材は必要に応じ
て設けられる上塗り塗膜の耐水密着性が、6価クロムの
溶出に伴って、湿潤環境下において低下する傾向にある
が、本発明の樹脂塗装金属板では溶出が抑制されるた
め、上塗り塗膜の耐水密着性が悪化することはない。
【0047】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0048】実施例1 表面粗さの異なるワークロールを用いて、低炭素Alキ
ルド鋼を冷間圧延した後、脱脂、洗浄、焼鈍を行い、表
面粗さの異なる数種の素地鋼板を得た。さらに、これら
素地鋼板に下記に示す工程で電気亜鉛めっきまたは溶融
亜鉛めっき処理を行った。
【0049】 (1)電気亜鉛めっき処理 :アルカリスクラバー脱脂 3%オルソ珪酸ナトリウム水溶液を用い、60℃で行った。 :電解脱脂→水洗 3%オルソ珪酸ナトリウム水溶液を用い、60℃、20A/dm2 で 行った。次いで水洗した。 :酸洗→水洗 5%硫酸水溶液を用い60℃で行い、その後水洗した。 :電気亜鉛めっき→水洗 以下の条件で電気亜鉛めっきを行い、その後水洗した。 めっき液組成;ZnSO4 ・7H2 O…300〜400g/l NaSO4 … 50〜100g/l H2 SO4 … 25〜 35g/l 電流密度 ;50〜200A/dm2 めっき液温度;60℃ めっき液流速;0.8〜2.4m/sec めっき付着量;5〜50g/m2
【0050】(2)溶融亜鉛めっき処理 、は上記と同じ。 :還元 N2 −H2 (1:1)混合ガス中、800℃で30秒還
元した。 :溶融亜鉛めっき処理 以下の条件で溶融亜鉛めっきを行った。 めっき浴組成;Zn−0.13%Al めっき浴温度;460℃ 侵入板温 ;500℃ 浸漬時間 ;2秒 めっき付着量;30〜300g/m2
【0051】電気めっきあるいは溶融めっき後の鋼板に
対してSKP(スキンパス)圧延を行い、光沢度を調節
した後、クロメート処理(Cr付着量:20mg/m
2 )を行い、樹脂塗布用の原板とした。塗膜を構成する
ベース樹脂として水分散型のポリエチレン系エマルジョ
ンを用い、表1に示した各種の色調を有する有機顔料
(平均粒径0.2〜0.5μm)を固形分換算で10重
量%添加して、着色顔料含有水分散型塗料A〜Dを作製
した。
【0052】
【表1】
【0053】各種の原板に、表1の塗料A〜Dをロール
コーターを用いて所定付着量になる様に塗布し、熱風乾
燥炉内を移送させながら、塗膜の乾燥を行った。得られ
た樹脂塗装板の性能を下記試験法で評価し、表2および
3に示した。
【0054】[光沢度]日本電色(株)製光沢度計を用
い、JIS Z 8741に規定される60°鏡面光沢
度(G60)を測定した。原板の60°鏡面光沢度をG
0 とし、樹脂塗装後の光沢度をG1 とし、塗装前後の光
沢度変化を表す指標としてG1 /G0 を算出した。
【0055】[外観]着色樹脂塗装金属板の外観を目視
で評価した。評価基準は以下の通りである。 〈外観の評価基準〉 ◎優れる :原板の光沢を反映した良好な外観を有する。 ×劣る :光沢度が低い。または、鏡面光沢度が高すぎて外観に劣る。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】表2および表3から、本発明で規定する式
(1):40<G0 <310を満足する例は優れた外観
を示すことが明らかである。しかし原板の光沢度G0
40以下のものは樹脂塗装後の光沢度も低く、逆にG0
が310を超える例では光沢度が高くなり過ぎて、いず
れの場合も所望の外観は得られなかった。
【0059】実施例2 実施例1と同様にして、原板として表面粗さの異なるク
ロメート処理後の電気亜鉛めっき鋼板を用い、表1に示
した塗料AおよびCによる着色樹脂塗装鋼板を作製し
た。原板および得られた樹脂塗装板について、実施例1
と同様に光沢度、光沢度変化、外観を評価し、また下記
の評価も行い、表4および表5に併せて示した。
【0060】[表面粗さ]原板の表面粗さを東京精密
(株)製表面粗さ形状測定機を用いて測定し、JIS
B0601に準じて中心線平均粗さRa を求めた。ま
た、ピークカウントPPIとして、粗さ曲線において、
100×10-6インチのピークカウントレベルを超える
山の個数をカウントした。
【0061】[台地面積率]原板の表面を日本電子
(株)製の走査型電子顕微鏡を用いて倍率100で観察
し、さらにCarl−Zeiss製画像解析装置によっ
て台地状部を含む全視野10か所の面積を解析した。台
地面積率(%)は、原板上の台地状の部分の面積を観察
全面積で割った値の10視野の平均値とした。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】表4および5から明らかな様に、Ra 、P
PI、台地面積率が本発明の好ましい範囲に入っている
実験例はいずれも外観が良好である。しかし、Ra 、P
PI、台地面積率のいずれかが、本発明の好ましい範囲
に入らない原板を用いた例は、光沢度に劣るか、光沢度
が高くなりすぎて鏡面状の不良な外観となった。
【0065】実施例3 実施例1と同様にして、原板として表面粗さの異なるク
ロメート処理後の電気亜鉛めっき鋼板を用い、表1に示
した塗料AおよびBによる着色樹脂塗装鋼板を塗膜の付
着量を変化させて作製した。原板および得られた樹脂塗
装板について、実施例1と同様に光沢度、光沢度変化、
外観を評価し、また下記の評価も行い、表6に併せて示
した。
【0066】[色調(着色性)]日本電色(株)製色差
計を用いて、JIS Z 8730で規定されるハンタ
ーの色差式のクロマティクネス指数:a値およびb値を
測定し、樹脂塗装金属板の色相C1 =(a2 +b2
1/2 を算出した。原板の色相C0 も同様に求め、色相差
ΔC=C1 −C0 を算出し、下記基準で着色性を評価し
た。 〈着色性の評価方法〉 ◎優れる :色相差8以上 ○良好 : 〃 2以上8未満 ×劣る : 〃 2未満
【0067】[耐食性(耐白錆性)]樹脂塗装金属板の
耐食性を、JIS Z 2371に規定される5重量%
塩水噴霧試験に準じて測定した。樹脂塗膜の下層の電気
純亜鉛めっきによる白錆1%発生時間を以下の基準で評
価した。 〈耐白錆性の評価基準〉 ◎優れる :240hr以上で白錆発生 ○良好 :120hr以上240hr未満で白錆発生 △やや劣る :48hr以上120hr未満で白錆発生 ×劣る :48hr未満で白錆発生
【0068】
【表6】
【0069】光沢度変化G1 /G0 が0.5以上の実験
例は、いずれも外観、着色性、耐食性に優れたものであ
った。これらは、着色顔料の濃度および塗膜付着量を好
ましい範囲にしたことによるものである。一方、光沢度
変化が0.5より小さい例は塗膜付着量が多過ぎるため
に、原板の色調を反映できず外観が劣ったものとなっ
た。また、塗膜付着量が少ない場合は、光沢度は大きく
なるが着色性に劣り、耐食性も悪いため、本発明の着色
樹脂塗装金属板用途には不適当である。
【0070】実施例4 実施例1のの電気亜鉛めっき条件を以下の様に変えた
以外は実施例1と同様にして、Alキルド冷延鋼板に電
気亜鉛めっきを行った。 めっき液組成;ZnSO4 ・7H2 O…300〜400g/l NaSO4 … 50〜100g/l H2 SO4 … 25〜 35g/l 電流密度 ;50〜200A/dm2 めっき液温度;60℃ めっき液流速;0.8〜2.4m/sec めっき付着量;5〜50g/m2
【0071】なお後述の実施例5および6では、電気亜
鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層表面の任意の観察領域の全
面積に対する長さ5μm以上の亜鉛単結晶が一定の方向
性を持って成長している領域の面積の比率(以下エピタ
キシャル成長率という)が70%以下となる様に、また
亜鉛めっき層中の六方晶系亜鉛結晶の(002)面への
配向指数が(103)面に対する配向指数の2倍以上と
なる様に、酸洗浴に第4級アンモニウム塩を適量添加す
ると共に、電気亜鉛めっき条件を上記の範囲内で変更し
た。
【0072】得られた電気亜鉛めっき鋼板に、クロメー
ト処理(Cr付着量:20mg/m)を行い、樹脂塗装
用の原板とした。なお、塗装前の原板の60°鏡面光沢
度(下記方法で測定した。以下G0 )は60であった。
また、エピタキシャル成長率は0.51であった。
【0073】表7に示した各種塗布溶液E〜Gをロール
コーターで所定膜厚塗布した後、熱風乾燥炉内で移送し
ながらで塗膜を乾燥させた。表7の着色顔料含有水分散
型塗料E〜Gは、実施例1と同様にして作製したもので
ある。得られた各種樹脂塗装鋼板を各種性能評価試験に
供し、その結果を表8に示した。色調、外観、光沢度変
化は前記の通りに測定し、耐Cr溶出性は下記方法で評
価した。
【0074】[耐Cr溶出性]耐Cr溶出性は、70m
m×70mmの着色樹脂塗装鋼板50枚について以下の
様に測定した。 〈試験方法〉 供試材の裏表のCr付着量を蛍光X線法で測定し、供
試材表裏の平均Cr付着量(mg/m2 )を求める。 80℃、pH11のNaOH水溶液500ml中に供
試材を浸漬し、2分間超音波をかける。 80℃の純水500mlに浸漬し、2分間超音波をか
ける。これを2回繰り返す。 およびで得られたCr溶出溶液(NaOH水溶液
500ml+水1000ml)に塩酸を10ml加え、
これを100mlになるまで加熱濃縮する。 加熱濃縮した溶液から、メチルイソブチルケトンを用
いて6価Crを抽出し、これを濃縮した後、原子吸光光
度法で供試材の単位試験面積当たりの溶出Cr量(mg
/m2 )を求める。 で得られた溶出Cr量をで求めた平均Cr付着量
で割って、Cr溶出率(%)を求めた。
【0075】耐Cr溶出性の評価基準は、以下の通りで
ある。 〈耐Cr溶出性〉 ◎優れる :Cr溶出率0.01%未満 ○良好 : 〃 0.01%以上0.1%未満 ×劣る : 〃 0.1%以上
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】a値およびb値が、本発明で規定する好ま
しい範囲に含まれる実験例は、クロメート処理の色調を
反映し、黄金色を呈していた。また優れた耐Cr溶出性
を有していることもわかる。これに対しa値およびb値
が好ましい範囲を外れる場合は、クロメート処理状の外
観を呈さないか、耐Cr溶出性のいずれかに劣るもので
あった。
【0079】実施例5 実施例4と同様にして電気亜鉛めっき鋼板を製造すると
きに、エピタキシャル成長率を変化させるために、酸洗
浴中に第4級アンモニウム塩を適量添加すると共に、電
気亜鉛めっき条件を前記範囲内で適宜変更した。表9に
示した塗料HとIを用いて得られためっき鋼板の樹脂塗
装を行った。光沢度変化、エピタキシャル成長率、鮮映
性の評価を表10にまとめた。なお、鮮映性の評価基準
は次の通りである。 ◎ :鮮映性に優れる ○ : 〃 が良好 × : 〃 に劣る
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】エピタキシャル成長率が本発明の好ましい
範囲内である電気亜鉛めっき鋼板を用いた例では、鮮映
性に優れた樹脂塗装板が得られた。しかし、この好まし
い範囲をはずれる鋼板を用いた例では鮮映性に劣ってい
る。
【0083】実施例6 実施例4と同様にして電気亜鉛めっき鋼板を製造すると
きに、亜鉛めっき層中の六方晶系亜鉛結晶の(002)
面への配向性を(103)面に対して変化させるため
に、酸洗浴中に第4級アンモニウム塩を適量添加すると
共に、電気亜鉛めっき条件を前記範囲内で適宜変更し
た。後は、実施例5と同じ塗料を用いて樹脂塗装を行
い、各試料のめっき配向指数、光沢度変化、外観(原板
色調反映性)の評価を行い、表11に示した。
【0084】
【表11】
【0085】亜鉛結晶の(002)面への配向性が(1
03)面に対して2倍以上である本発明の好ましい実験
例では、そうでない実験例に比べ、外観に優れた樹脂塗
装板が得られていることがわかる。
【0086】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、安価に、そして簡単な設備で製造可能であり、樹脂
塗膜被覆前の原板の光沢度や色調を反映させた優れた表
面光沢と外観を有する着色樹脂塗装金属板およびその製
造方法を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−18401(JP,A) 特開 平6−210304(JP,A) 特開 平7−62591(JP,A) 特開 昭63−33592(JP,A) 特開 昭62−137111(JP,A) 特開 昭63−281715(JP,A) 特開 平2−54718(JP,A) 特公 平3−34404(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/00 - 7/24 B32B 15/08 C23C 30/00 B21F 1/22

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色顔料を含有する樹脂塗膜が形成され
    た着色樹脂塗装金属板であって、該着色樹脂塗膜形成前
    の金属板の60°鏡面光沢度をG0し、樹脂塗膜形成
    後の塗装金属板の60°鏡面光沢度をG 1 とするとき、
    0が下式(1)を、 1 が下式(2)を満足することを
    特徴とする着色樹脂塗装金属板。 40<G0<310 …(1) G0>G1≧0.5G0 …(2)
  2. 【請求項2】 着色樹脂塗膜の付着量が乾燥塗膜重量換
    算で0.2〜3.0g/m 2 であり、着色顔料が乾燥塗
    膜中1〜30重量%含まれているものである請求項1に
    記載の着色樹脂塗装金属板。
  3. 【請求項3】 着色樹脂塗膜形成前の金属板が、下記式
    (3)および(4)を満足する表面形状を示すものであ
    る請求項1または2に記載の着色樹脂塗装金属板。 0.4<Ra<1.8 …(3) 10<PPI<110 …(4)ただし、
    Ra は、着色樹脂塗膜形成前の金属板の中心線表面粗
    さ(μm)を、PPIは、1インチ当たりの粗さ曲線に
    おいて、100×10-6インチのピークカウントレベル
    を超えたピークの数を示すものとする。
  4. 【請求項4】 ハンターの色差式におけるクロマティク
    ネス指数のa値およびb値が、下式(5)を満足する黄
    金色の色調を有する請求項1〜のいずれかに記載の着
    色樹脂塗装金属板。 −4≦a値≦6 かつ 2≦b値≦25 … (5)
  5. 【請求項5】 着色樹脂塗膜形成前の金属板が電気亜鉛
    めっき鋼板である請求項1〜のいずれかに記載の着色
    樹脂塗装金属板。
  6. 【請求項6】 着色樹脂塗膜形成前の上記電気亜鉛めっ
    き鋼板が、下記式(6)を満足する表面形状を示すもの
    である請求項5に記載の着色樹脂塗装金属板。 30<S<70 …(6) ただし、Sは、台地部面積率(%)であり、単位面積当
    たりの台地部(表面凸部が圧下されて頂上部が台地状に
    なった部分)の総面積の百分率を示すものとする。
  7. 【請求項7】 電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層中の
    六方晶系亜鉛結晶の配向性が、下式(7)を満足するも
    のである請求項5または6に記載の着色樹脂塗装金属
    板。 【数1】
  8. 【請求項8】 電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層表面
    の任意の観察領域において、長さ5μm以上のZn単結
    晶が一定の方向性をもって成長している領域の面積が、
    前記任意の観察領域の全面積の70%以下である請求項
    5〜7のいずれかに記載の着色樹脂塗装金属板。
  9. 【請求項9】 請求項1〜のいずれかに記載の着色樹
    脂塗装金属板を製造するに当たり、着色顔料を含有する
    水分散型または水溶性塗料を用いることを特徴とする着
    色樹脂塗装金属板の製造方法。
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