JP3229894B2 - 溶接可能な着色鋼板 - Google Patents

溶接可能な着色鋼板

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    • C09B45/00Complex metal compounds of azo dyes
    • C09B45/02Preparation from dyes containing in o-position a hydroxy group and in o'-position hydroxy, alkoxy, carboxyl, amino or keto groups
    • C09B45/14Monoazo compounds

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家電製品、事務機器、
複写機等に好適な溶接可能で且つ外観の優れた着色鋼板
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、家電製品や事務機器等の分野での
多様化、高級化に伴い、亜鉛または亜鉛合金めっき等の
鋼板に連続的且つ短時間の処理を施すことにより得られ
る、溶接可能で且つ外観の優れた着色鋼板のニーズが増
加しており、要求される色彩も多岐にわたっている。こ
れらの分野では、黒色についてはストリップによる連続
生産が可能で且つ溶接可能な黒色鋼板がいくつか提案さ
れている。しかしながら、黒色以外の有彩色を主体とし
た外観を有する溶接可能な着色鋼板については、同一色
を広い面積で安定して出すことが難しく、この点が技術
的に大きな課題となっていた。
【0003】従来、鋼板または亜鉛めっき鋼板上に着色
皮膜を形成するための方法としては、次のようなものが
ある。 (a) 有機顔料または無機顔料を含む樹脂皮膜をスプ
レーまたはロールコーターなどによって数十μmの膜厚
に塗装する方法。 (b) 皮膜としてあらかじめ形成されているめっき層
自体を反応または電解させることによって着色皮膜を形
成する方法。 (b−1) クロム酸と酸を含むクロメ−ト処理液に浸
漬させ、浴組成や反応温度を変えることによって、純亜
鉛めっきの表面に光沢のある虹色や無光沢の草緑色等の
様々な色のクロメ−ト皮膜を形成させる方法。 (b−2) Agイオンを含むクロメート処理浴によっ
て、純亜鉛めっきの表面に黒色クロメート皮膜を形成さ
せる方法(特開昭58−193376号)。 (b−3) 純亜鉛めっきの表面にクロメ−ト皮膜を形
成させ、さらに染料溶液中に浸漬して染色する方法。 (b−4) NiイオンやCuイオンを含む溶液中で浸
漬処理して、これらの金属を純亜鉛めっきの表面に置換
析出することにより、着色皮膜を形成させる方法。 (b−5) 純亜鉛めっきをアルカリ浴中で陽極酸化処
理して黒色皮膜を形成させる方法。 (b−6) Zn−Co、NiまたはMo系合金電気め
っきを行った後、陽極処理して黒色皮膜を形成させる方
法(特公昭61−38276号)。 (b−7) Zn−Ni 合金めっき鋼板に硝酸または
硝酸根を含む浴による浸漬処理、スプレー処理、陽極処
理を施して、黒色外観を得る方法(特公昭62−302
62号)。 (c) 鋼板または亜鉛めっき鋼板の表面に、陰極電解
処理を行ない、着色皮膜を形成させる方法(例えば、特
開昭62−10292号)。 (d) 耐食性および密着性を目的として、カリ水ガラ
ス水溶液中に有機染料を加えた処理液を亜鉛または亜鉛
めっき表面に塗布する方法(特公昭55−30593
号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術には以下のような問題点がある。まず、
(a)の方法は一般的な塗装方法であり、この方法では
着色剤として有機顔料または無機顔料(以下、これらを
総称して着色顔料という)が用いられる。しかし、この
種の鋼板では、安定したムラのない色調を得るために着
色顔料を塗膜中に均一に分散させる必要があるため、一
般に、10μm程度の膜厚が必要であり、このためスポ
ット溶接は不可能である。すなわち、従来の着色顔料で
は溶接可能な範囲内の膜厚(3μm以下)で安定した色
調を確保することは不可能であった。
【0005】また、(b)の方法のうち(b−2)、
(b−5)、(b−6)および(b−7)は黒色に限定
される技術であり、さらに、(b)の各種方法にはそれ
ぞれ次のような問題がある。まず、(b−1)の方法で
は、色彩がクロメ−ト皮膜の僅かな膜厚の違いによって
異なるため、外観にムラが生じ易いという問題がある。
また、得られる色彩も反応型クロメート特有の黄色〜緑
色系統の色に限定され、任意の色調を得ることは不可能
である。(b−2)の方法は、上述したように色彩が黒
色に限定され、しかも、処理液にAgイオンを含有する
ため、コストが極めて高いという問題がある。(b−
3)の方法は、クロメ−ト皮膜を染色するための処理時
間が数分以上と長いために、ストリップによる連続生産
を前提とする短時間処理(5秒以内)には適用できない
という問題がある。(b−4)の方法は、処理時間が数
分以上と長い上に、得られる皮膜も密着性が悪く、ま
た、Cuイオンによる置換析出の皮膜は時間が経つにつ
れ酸化して変色するという問題もある。(b−5)の方
法も、処理時間が5〜20分と長いためにストリップに
よる連続処理に適さない。
【0006】(b−6)および(b−7)の方法は、短
時間処理は可能であるが、上述したように色が黒色に限
定される。しかも、いずれもあらかじめ形成させためっ
きの一部を黒色化処理の際に溶出させる方法であるため
に、非経済的であるばかりでなく、めっきから溶出した
金属イオンが黒色化処理を劣化させ、連続操業において
大きな問題となる。また、(b−6)の方法はZn−C
o,Ni,Mo系合金めっきに限られ、(b−7)の方
法はZn−Ni合金めっきに限られるなど、下地金属の
種類が限定されてしまうという問題点もある。また、
(c)の方法は、主として黒色皮膜のものが多く、ま
た、皮膜の密着性が劣るという問題がある。
【0007】次に(d)の方法は、優れた外観を有する
皮膜を目的としたものではなく、また、皮膜の厚さなど
も特定されていないことから、溶接性付与を目的とした
ものでもない。さらに、皮膜の基本物質としてカリ水ガ
ラスを用いているため、硬化後の皮膜はプレス加工時に
おける潤滑性が十分でなく、家電用、事務機器等を目的
とする鋼板用としては不向きである。
【0008】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、着色顔料を用いた従来の塗装
(上記(a)の方法)では不可能であったスポット溶接
性を付与するために、溶接可能な膜厚の範囲内で、色調
が優れ、しかも高光沢の外観が得られる着色鋼板の提供
をその第一の目的とする。このような上記(a)の方法
の問題点を解決することによって、従来の反応または電
解による方法(上記(b)の方法)のような問題は全く
生じない。すなわち、様々な色彩を自由に選択でき、均
一な色調が得られるものである。また、本発明の他の目
的は、溶接可能で且つ外観に優れるだけでなく、耐食
性、密着性、加工性にも優れた着色鋼板を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
目的、特に溶接可能な膜厚の範囲内で、色調が均一且つ
美麗な着色皮膜(黒色以外の色の着色皮膜)を得ること
を目的として、鋭意検討を行った。その結果、基体樹脂
と特定の錯化合物とを所定の配合比で配合した組成物か
らなる着色皮膜を、特定の範囲内の膜厚で形成させるこ
とにより、上記目的を達成し得ること、さらに、鋼板面
上の皮膜を上記着色皮膜を含めた特定の複層構造とし、
また着色皮膜組成物に必要に応じて特定の成分を加える
ことにより、耐食性、密着性および加工性に一層優れた
着色鋼板が得られることを見い出し、本発明を完成させ
たものである。
【0010】このような本発明は、鋼板の亜鉛めっきま
たは亜鉛系合金めっき面上にクロメート皮膜を形成さ
せ、このクロメート皮膜の上に、熱硬化性樹脂と特定の
錯化合物とを特定の範囲の配合比で配合し、さらに必要
に応じて特定の添加成分を配合した着色皮膜組成物から
なる着色皮膜を特定の範囲の膜厚で形成させることを骨
子とするものである。すなわち、本発明は以下のような
構成を有する。
【0011】〔1〕 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表
面にクロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/
2のクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部
に、熱硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100
重量部に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式
(1)で表される錯化合物および一般構造式(2)で表
される錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上
の錯化合物を合計量で1〜200重量部配合してなる膜
厚0.3〜3.0μmの着色皮膜(黒色皮膜を除く)を
有する溶接可能な着色鋼板。
【化33】 ……(1)
【化34】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
SO2NH2、CH3を表し、Xは、
【化35】 ……(3) {(3)式中R5はH、
【化36】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
または、
【化37】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
ピラゾール環の4位に結合している。)または、
【化38】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
表し、MはCr、Co、Fe原子を表し、
【化39】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
表し、
【化40】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
る。]
【0012】〔2〕 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表
面にクロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/
2のクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部
に、熱硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100
重量部に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式
(1)で表される錯化合物および一般構造式(2)で表
される錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上
の錯化合物を合計量で1〜200重量部、さらに固形潤
滑剤を1〜100重量部配合してなる膜厚0.3〜3.
0μmの着色皮膜(黒色皮膜を除く)を有する溶接可能
な着色鋼板。
【化41】 ……(1)
【化42】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
SO2NH2、CH3を表し、Xは、
【化43】 ……(3) {(3)式中R5はH、
【化44】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
または、
【化45】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
ピラゾール環の4位に結合している。)または、
【化46】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
表し、MはCr、Co、Fe原子を表し、
【化47】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
表し、
【化48】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
る。]
【0013】〔3〕 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表
面にクロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/
2のクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部
に、熱硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100
重量部に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式
(1)で表される錯化合物および一般構造式(2)で表
される錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上
の錯化合物を合計量で1〜200重量部、さらに粒子状
防錆顔料を1〜100重量部配合してなる膜厚0.3〜
3.0μmの着色皮膜(黒色皮膜を除く)を有する溶接
可能な着色鋼板。
【化49】 ……(1)
【化50】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
SO2NH2、CH3を表し、Xは、
【化51】 ……(3) {(3)式中R5はH、
【化52】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
または、
【化53】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
ピラゾール環の4位に結合している。)または、
【化54】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
表し、MはCr、Co、Fe原子を表し、
【化55】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
表し、
【化56】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
る。]
【0014】〔4〕 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表
面にクロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/
2のクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部
に、熱硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100
重量部に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式
(1)で表される錯化合物および一般構造式(2)で表
される錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上
の錯化合物を合計量で1〜200重量部、さらに固形潤
滑剤を1〜100重量部、粒子状防錆顔料を1〜100
重量部配合してなる膜厚0.3〜3.0μmの着色皮膜
(黒色皮膜を除く)を有する溶接可能な着色鋼板。
【化57】 ……(1)
【化58】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
SO2NH2、CH3を表し、Xは、
【化59】 ……(3) {(3)式中R5はH、
【化60】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
または、
【化61】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
ピラゾール環の4位に結合している。)または、
【化62】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
表し、MはCr、Co、Fe原子を表し、
【化63】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
表し、
【化64】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
る。]
【0015】〔5〕 上記〔2〕または〔4〕に記載の
着色鋼板において、固形潤滑剤として、ポリオレフィン
ワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹脂系化合物、
脂肪酸アミド系化合物、金属石けん類、二硫化モリブデ
ン等の金属硫化物、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホ
ウ素、ポリアルキレングリコールの群の中から選ばれる
1種または2種以上を含む溶接可能な着色鋼板。
【0016】〔6〕 上記〔3〕、〔4〕または〔5〕
に記載の着色鋼板において、粒子状防錆顔料として、難
溶性クロム化合物、シリカからなる群の中から選ばれる
1種または2種以上を含む溶接可能な着色鋼板。
【0017】
【作用】以下、本発明の詳細とその限定理由を説明す
る。本発明は黒色皮膜(着色剤として実質的に黒色の化
合物、黒色顔料等の黒色付与剤のみを含む黒色皮膜)を
有する所謂黒色鋼板以外の着色鋼板をその対象としてお
り、したがって、以下に記述する着色鋼板、着色皮膜に
は、黒色鋼板、黒色皮膜は含まれない。ここで、本発明
では黒色鋼板と区別するため、着色鋼板を明度L値:2
5超の有彩色、無彩色の着色皮膜を有するものと定義す
る。但し、後述するように皮膜中に他の色彩の着色付与
剤と混合して黒色付与剤を添加することを妨げるもので
はない。また、一般に着色鋼板は有彩色のものが殆どで
あるが、上述したように本発明は黒色以外の無彩色系の
着色鋼板をその対象から除外するものではない。
【0018】本発明の着色鋼板は、亜鉛めっきまたは亜
鉛合金めっき鋼板を出発素材とし、その表面にクロメー
ト皮膜、さらにその上部に、熱硬化性樹脂をベースと
し、これに特定の錯化合物を配合した組成物からなる着
色皮膜を有するものである。図1はこのような本発明の
着色鋼板の断面構造を模式的に示したものである。
【0019】出発素材たる亜鉛系めっき鋼板としては、
亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッ
ケル合金めっき鋼板、亜鉛−マンガン合金めっき鋼板、
亜鉛−アルミ合金めっき鋼板、亜鉛−コバルト−クロム
合金めっき鋼板、さらにはこれら任意の鋼板のめっき成
分に、Ni,Fe,Mn,Mo,Co,Al,Cr等の
元素を1種または2種以上添加したものを用いることが
できる。また、上記の任意のめっき中に粒子状樹脂、シ
リカ、クロム化合物等を共析させた分散めっきを有する
鋼板を用いることができる。さらに上記したようなめっ
きのうち同種または異種のものを2層以上施した複合め
っき鋼板であってもよい。例えばFe含有量の異なるF
e−Zn合金めっきを2層以上施したようなめっき皮膜
を下地とすることができる。
【0020】なお、単に外観性だけを求めるならば、め
っき皮膜を有しない熱延鋼板または冷延鋼板を出発素材
とすることも可能であり、また、同様の理由でステンレ
ス鋼板、アルミ合金板、チタン合金板等を素材とするこ
ともできる。しかし、家電用着色鋼板として成形加工し
て未塗装使用するという用途を考慮すると、コストや耐
食性等の性能の面から出発素材は上記亜鉛系めっき鋼板
とすることが望ましく、このため本発明では亜鉛系めっ
き鋼板を出発素材として規定した。これらの亜鉛系めっ
き鋼板のめっき方法は、電解法、溶融法、気相法等のう
ち実施可能ないずれの方法を採用することもできる。
【0021】以上の素材めっき鋼板の表面にはクロム酸
処理によるクロメート皮膜が形成される。本発明の着色
鋼板では、このクロメート皮膜と後述するような特定の
着色付与剤(錯化合物)を含む着色皮膜との組み合せに
より、極めて優れた耐食性が得られる。
【0022】このクロメート皮膜は、クロム付着量(d
ry)として1〜200mg/m2、好ましくは10〜
80mg/m2(以上、金属クロム換算)とする。クロ
ム付着量が200mg/m2を超えると加工性、溶接性
が劣化する傾向がある。また、クロム付着量が1mg/
2未満では皮膜が不均一となって耐食性が劣化する可
能性がある。また、クロメート皮膜には6価のCrが存
在したほうが好ましい。6価Crイオンは補修作用があ
り、鋼板に傷がついた場合そこからの腐食を抑制する作
用をする。
【0023】このような下地皮膜のためのクロメート処
理は、反応型、塗布型、電解型等の公知のいずれの方法
によってもよい。但し、上層の着色皮膜の色彩が明度の
高い黄色、赤色、青色などの場合には、着色皮膜の色調
がその下層のクロメ−ト皮膜の色の影響を受けて、くす
んだ色となるのを避けるため、クロメ−ト皮膜の色は白
色に近い方が好ましい。
【0024】塗布型クロメート処理液は、部分的に還元
されたクロム酸溶液を主成分とし、必要に応じこれに水
分散性または水溶性のアクリル樹脂等の有機樹脂及び/
又は粒径数mμ〜数百mμのシリカ(コロイダルシリ
カ、フュームドシリカ)を含有せしめたものである。こ
の場合3価Crイオン/6価Crイオンの割合は1/1
〜1/3、pHは1.5〜4.0(より好ましくは2〜
3)が好ましい。3価Crイオン/6価Crイオンの割
合は一般の有機還元剤(例えば糖類、アルコール類等)
や無機還元剤を使用して所定の割合に調節する。また塗
布型クロメート処理としては、ロールコーター法、浸漬
法、スプレー法等、いずれの方法を使用してもよい。塗
布型クロメート処理では、クロメート処理後水洗するこ
となく乾燥して皮膜を得る。このように水洗することな
く乾燥するのは、通常行われる水洗では6価Crイオン
が除去されるためであり、3価Crイオン/6価Crイ
オンの割合をそのまま安定して維持させ、上部に形成さ
れる樹脂皮膜により腐食環境下での6価Crイオンの過
剰流出を抑制し、長期間に亘って効果的に不働態化作用
を維持させ高耐食性能を得ることができる。
【0025】一方、電解型クロメート処理では、無水ク
ロム酸と、硫酸、リン酸フッ化物またはハロゲン酸素酸
等のアニオンの1種または2種以上を含有する浴で陰極
電解処理を施し、水洗・乾燥して皮膜を形成せしめる。
【0026】以上の2つの処理方式によるクロメート皮
膜を比較すると、塗布型クロメートは電解型クロメート
と比較して皮膜中に6価クロムを多く含有しているため
耐食性が優れており、その上、後述するように加熱処理
した場合、皮膜が緻密で且つ強固になるため、電解型ク
ロメートに較べより耐食性が良好になる。一方、電解型
クロメートは加熱処理の有無に拘らず皮膜の完成度が高
いという長所があり、また、皮膜付着量コントロールが
容易であるという利点がある。
【0027】次に着色皮膜の成分について説明する。本
発明における着色皮膜は、熱硬化性樹脂を基体樹脂と
し、これに着色付与剤として特定の錯化合物を含むこと
をその最大の特徴としている。さらに、本発明では上記
成分に加え、着色皮膜の加工性向上を目的として固形潤
滑剤を、また耐食性向上を目的として防錆顔料をそれぞ
れ含有させることができる。
【0028】着色付与剤として必要とされる機能は、溶
接可能な厚さ(3μm以下)の皮膜において、均一で美
麗な色彩を示すことができるという点にある。しかも、
その着色付与剤を十分な外観が得られる混合比で基体樹
脂に混合した場合に、着色皮膜に必要とされる他の性
能、例えば加工性、耐食性などに悪影響を及ぼすような
ものがあってはならない。
【0029】着色剤としては、一般に顔料(無機顔料、
有機顔料)が用いられている。顔料は粒子状であり、こ
れを塗料等に分散させて使用される。これは自動車や家
電製品の塗装に広く使用されており、例えば、紺青、黄
鉛等の無機顔料、キサクリドン顔料、フタロシアニン顔
料等の有機顔料がある。これら通常の塗装は、一般に膜
厚が10μm以上と厚いため溶接ができない。
【0030】本発明が目的とする溶接可能な薄い皮膜
(3μm以下)おいてこのような顔料を用いると、薄い
皮膜中で顔料が接触、凝集するため、十分な隠蔽力が得
られず、また、皮膜に光沢がないという問題点がある。
また、特に樹脂皮膜の中に顔料を多量に添加すると、皮
膜の加工性、密着性が低下し、さらに、顔料粒子の隙間
を通って、下地に水が侵入し易いために耐食性が低下す
るという問題点もある。このように薄い皮膜において着
色剤として顔料を用いた場合、良好が外観が得られず、
また、特に多量に添加すると皮膜に性能を損なうという
問題点がある。したがって、従来では溶接可能な薄い皮
膜で良好な外観をもつ着色皮膜を得ることは不可能であ
った。また、上述のような無機顔料および有機顔料を2
種類以上組み合わせた場合においても、やはり十分な性
能は得られない。
【0031】そこで、本発明者らは、以下の機能を有す
る着色剤を見い出すべく検討を行った。 (1) 基体樹脂(熱硬化性樹脂)および溶媒(水系、
有機溶剤系を問わず)への溶解または分散が可能である
こと。 (2) 形成された着色皮膜が、溶接可能な薄い厚さ
(〜3μm)においてもムラがなく均一でしかも鮮明な
色を有すること。 (3) 様々な光源に照らされる家電、事務機器等の鋼
板に使用する場合でも、色が劣化しないこと。すなわ
ち、良好な耐光堅牢性を有すること。
【0032】検討の結果、特定の錯化合物すなわち、下
記一般構造式(1)で表される錯化合物と一般構造式
(2)で表される錯化合物が上記機能を満足するもので
あることを見い出した。
【化65】 ……(1)
【化66】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
SO2NH2、CH3を表し、Xは、
【化67】 ……(3) {(3)式中R5はH、
【化68】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
または、
【化69】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
ピラゾール環の4位に結合している。)または、
【化70】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
表し、MはCr、Co、Fe原子を表し、
【化71】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
表し、
【化72】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
る。]
【0033】一般構造式(1)に用いられるジアゾ成分
としては、例えば、3−クロロ−2−アミノフェノー
ル、4−クロロ−2−アミノフェノール、3,5−ジク
ロロ−2−アミノフェノール、4,6−ジクロロ−2−
アミノフェノール、3,4,6−トリクロロ−2−アミ
ノフェノール、4−ニトロ−2−アミノフェノール、5
−ニトロ−2−アミノフェノール、6−クロロ−4−ニ
トロ−2−アミノフェノール、4−クロロ−5−ニトロ
−2−アミノフェノール、4−クロロ−6−ニトロ−2
−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノー
ル、4,5−ジメチル−2−アミノフェノール、4−メ
チル−5−ニトロ−2−アミノフェノール、4,6−ジ
ニトロ−2−アミノフェノール、4−アミノスルホニル
−2−アミノフェノール、2−アミノ安息香酸、3−ク
ロロ−2−アミノ安息香酸、4−クロロ−2−アミノ安
息香酸、5−クロロ−2−アミノ安息香酸、4−ニトロ
−2−アミノ安息香酸、4−クロロ−5−ニトロ−2−
アミノ安息香酸等があげられる。
【0034】また、一般構造式(1)に用いられるカッ
プリング成分としては、例えば、2−ヒドロキシナフタ
レン、2−ヒドロキシ−3−フェニルカルバモイルナフ
タレン、2−ヒドロキシ−3−(2−メチルフェニル)
カルバモイルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−(4−
クロロフェニル)カルバモイルナフタレン、2−ヒドロ
キシ−3−(4−メトキシフェニル)カルバモイルナフ
タレン、2−ヒドロキシ−3−(3−ニトロフェニル)
カルバモイルナフタレン、或いは、1−フェニル−3−
メチルピラゾロン、1−フェニル−3−エチルピラゾロ
ン、1−(4−クロロフェニル)−3−メチルピラゾロ
ン、1−(4−メチルフェニル)−3−メチルピラゾロ
ン、1−(4−ニトロフェニル)−3−メチルピラゾロ
ン、1−(4−アミノスルホニルフェニル)−3−メチ
ルピラゾロン、或いは、アセト酢酸アニリド、アセト酢
酸−4−クロロアニリド、アセト酢酸−4−メチルアニ
リド、アセト酢酸−2−ニトロアニリド、アセト酢酸−
4−エチルアニリド等が挙げられる。
【0035】一般構造式(1)、(2)中の
【化73】 で表される脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪
族アンモニウムの例としては、例えば、次のようなもの
を挙げることができる。
【0036】
【化74】
【0037】
【化75】
【0038】
【化76】
【0039】
【化77】
【0040】
【化78】
【0041】
【化79】
【0042】
【化80】
【0043】
【化81】
【0044】
【化82】
【0045】
【化83】
【0046】このような特定の錯化合物を着色付与剤と
して配合した場合の特徴を以下に述べる。まず、上記錯
化合物は厚さが3μm以下の薄い皮膜でも、ムラがなく
均一で、しかも鮮明で光沢のある外観を付与することが
可能となる。これは、着色顔料の場合、薄い皮膜中では
顔料どうしの接触・凝集によって十分な隠蔽性が得られ
ず、ムラになったり、光沢のない外観性の悪い皮膜とな
るのに対し、この錯化合物の場合には、その化学構造特
有の性質から、400nm〜700nmの可視光領域の
電磁波に対して様々の優れた吸収特性を持つために鮮明
な色彩を有し、さらに、薄い樹脂皮膜中において分子レ
ベルの非常に細かい状態で均一に溶解(または分散)で
きるため、ムラのない均一で光沢のある皮膜が形成され
るという、この錯化合物特有の性質によるものである。
【0047】また、形成された着色皮膜は、家電用事務
機器、OA機器等の鋼板として室内照明などの様々な光
源に照らされた場合にも、色が劣化することがない。こ
れは、この特定の錯化合物が、光源から受ける光のエネ
ルギーによって励起されても、何ら変化することがない
という極めて安定な化学構造によるものである。また、
従来の反応による着色化技術では、例えばクロメート皮
膜のCr化合物特有の色彩しか得られなかったのに対
し、本発明では、一般構造式(1)、(2)に示される
任意の色彩の錯化合物を選択し、また、これらを2種以
上任意の比率でブレンドすることにより、任意の色調の
着色皮膜を形成することができる。
【0048】さらに、形成された着色皮膜は、先に述べ
た着色顔料を着色付与剤として配合するよりも、さらに
は、無添加のクリアー皮膜よりも良好な耐食性を有す
る。これは、着色顔料の場合には薄い皮膜中にある濃度
以上添加すると、顔料粒子が接触して凝集するためにそ
の隙間から水やイオンの透過が促進される等の理由か
ら、耐食性が低下してしまうのに対し、この非導電性の
特定の錯化合物は、分子レベルの非常に細かい状態で皮
膜中に均一に分散(溶解)し、水やイオンの透過を促進
することがなく、むしろ防食効果(絶縁効果)を向上す
る機能を有するためであると推定される。そして、この
ような着色皮膜を先に述べたクロメート皮膜の表面に形
成することにより、クロメート皮膜と着色皮膜の双方の
防食作用の相乗的効果により優れた耐食性が得られる。
【0049】また、本発明の着色皮膜はロールコーター
等の塗布処理によって形成させることができるため、従
来の着色クロメート処理や陽極処理等の処理液との反応
による着色化とは異なり、めっき等の金属の溶解が生じ
ないことから、処理液の劣化という従来技術の欠点を克
服することが可能となる。このように、着色付与剤とし
て上述したような特定の錯化合物を用いることにより、
優れた機能を持つ従来にない着色皮膜を形成することが
可能となる。
【0050】次に、本発明鋼板の着色皮膜において、熱
硬化性樹脂に対する、特定の錯化合物の配合比および膜
厚の範囲とその限定理由について説明する。特定の錯化
合物は熱硬化性樹脂100重量部に対して1〜200重
量部、好ましくは5〜120重量部添加する。また、着
色皮膜の膜厚は0.3〜3.0μm、好ましくは0.7
〜2.5μmとする。
【0051】まず、特定の錯化合物の配合量の上限を熱
硬化性樹脂100重量部に対して200重量部、好まし
くは120重量部としたのは、配合量がこの上限、特に
200重量部を超えると非経済的であるばかりでなく、
未溶解の錯化合物が残存するので好ましくないからであ
る。また、配合量の下限を熱硬化性樹脂100重量部に
対して1重量部、好ましくは5重量部としたのは、この
下限、特に1重量部を下回る配合量では着色の効果が少
ないためである。
【0052】次に、膜厚の上限を3.0μm、好ましく
は2.5μmとした理由は、膜厚がこの上限、特に3.
0μmを超えるとスポット溶接性が著しく低下するため
である。また、膜厚の下限を0.3μm、好ましくは
0.5μmとした理由は、膜厚がこの下限、特に0.3
μmを下回ると隠蔽力が不十分となるため、下地が透け
てみえたり、色調にムラが生じてしまうからである。図
2は、以上のような本発明の規定範囲をまとめたもので
ある。
【0053】本発明鋼板の着色皮膜の基体樹脂は熱硬化
性樹脂である。基体樹脂をこのような樹脂に規定したの
は、熱可塑性樹脂を使用した場合、形成された着色皮膜
の耐傷付性に問題が生じるからである。
【0054】熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル
系共重合体樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリブ
タジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ッ素樹脂、およびこれら樹脂の2種以上の混合物、他の
モノマーとの付加縮合物若しくは他の樹脂による変性誘
導体などが挙げられる。これらのうち、アクリル系共重
合体樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、
アクリルシリコン樹脂などが好適である。
【0055】上記アクリル系共重合体は、通常の不飽和
エチレン性単量体を用い、溶液重合法、エマルジョン重
合法または懸濁重合法等によって合成される樹脂類であ
って、メタクリレート系、アクリルニトリル、スチレ
ン、アクリル酸、アクリルアミド、ビニルトルエン等の
硬質の単量体を必須成分とし、これに樹脂の硬さ、柔軟
性、架橋性を付与する目的で不飽和ビニル単量体を適宜
配合することによって得られる。また、この樹脂を他の
アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などによ
って変性させた樹脂とすることもできる。
【0056】また、アルキド樹脂は、通常の合成方法に
よって得られる公知のものを使用することができ、例え
ば、油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フ
ェノール変性アルキド樹脂、スチレン化アルキド樹脂、
シリコン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹
脂、オイルフリーアルキド樹脂(ポリエステル樹脂)な
どを挙げることができる。
【0057】エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリ
ン型、グリシジルエーテル型等のストレートエポキシ樹
脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂(エポキシエステル樹
脂)、多塩基性酸変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂変性
エポキシ樹脂、アルキド(またはポリエステル)変性エ
ポキシ樹脂、ポリブタジエン変性エポキシ樹脂、フェノ
ール変性エポキシ樹脂、アミンもしくはポリアミン変性
エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂などが用いら
れる。
【0058】フッ素樹脂としては、フルオロオレフィン
系共重合体のものがあり、これには例えば、モノマーと
してアルキルビニルエーテル、シンクロアルキルビニル
エーテル、カルボン酸変性ビニルエステル、ヒドロキシ
アルキルアリルエーテル、テトラフルオロプロピルビニ
ルエーテル等と、フッ素モノマー(フルオロオレフィ
ン)との共重合体がある。これらフッ素樹脂を用いた場
合、優れた耐候性を期待できる。
【0059】アクリルシリコン樹脂としては、主剤とし
てアクリル系共重合体の側鎖又は末端に加水分解性アル
コキシシリル基を含み、これに硬化剤を配合したものが
ある。これらアクリルシリコン樹脂を用いた場合、優れ
た耐候性を期待できる。これらの樹脂に対して、公知の
所定の硬化剤が用いられる。この硬化剤としては、例え
ば、メラミン、ブロックイソシアネート、尿素樹脂など
がある。
【0060】以上述べた本発明鋼板の着色皮膜は、その
ままでも必要な特性を十分備えたものであるが、以下に
述べる添加剤を添加することにより、より優れた特性が
得られる。
【0061】まず、着色皮膜に良好な自己潤滑性を付与
するために、皮膜組成物に固形潤滑剤を加えることが望
ましい。本発明に適用できる固形潤滑剤としては、以下
のようなものがあげられる。 ・炭化水素系滑剤類;例えば天然のパラフィン、合成パ
ラフィン、マイクロワックス、ポエチレンワックス、塩
素化炭化水素等 ・フッ素樹脂;例えば、ポリフルオロエチレン樹脂、ポ
リフッ化ビニル樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、ポリ
フッ化ビニリデン樹脂等 ・脂肪酸アミド系滑剤;例えば、ステアリン酸アミド、
パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エ
チレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、エシル
酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等 ・金属石けん類;例えば、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カ
ルシウム等 ・金属硫化物類;二硫化モリブデン、二硫化タングステ
ン ・その他;グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、グ
リース、アルカリ金属硫酸塩等
【0062】但し、固形潤滑剤は、その添加によって着
色皮膜の色彩に影響を及ぼさないものが好ましい。例え
ば、無彩色の炭化水素系滑剤類、フッ素樹脂等はいずれ
の色彩の着色皮膜にも適用することができるが、黒色系
の二硫化モリブデンは暗色系の着色皮膜にのみ適用する
といった配慮が必要である。
【0063】上記固形潤滑剤は、熱硫化性樹脂100重
量部に対して1〜100重量部、好ましくは3〜60重
量部の範囲で配合する。配合量が3重量部未満、特に1
重量部未満であると、固形潤滑剤添加による着色皮膜の
潤滑向上効果が乏しく、一方、60重量部超、特に10
0重量部超であると、硬化後の着色皮膜の強度が低下
し、皮膜の一部がプレス加工の型に付着するため適当で
ない。
【0064】基体樹脂と特定の錯化合物からなる着色皮
膜組成物を塗布して得られた着色皮膜は、下地めっきと
クロメート皮膜との相乗効果により十分な耐食性を有し
ているが、加工部における耐食性を一層向上させるため
に、着色皮膜組成物中に粒子状防錆顔料を添加すること
ができ、これによってより一層優れた耐食性が得られ、
且つ着色鋼板の用途も広がるので好ましい。粒子状防錆
顔料としては、難溶性クロム酸塩、シリカの中から選ば
れる1種または2種以上が用いられる。
【0065】難溶性クロム酸塩としては、クロム酸バリ
ウム(BaCrO4)、クロム酸ストロンチウム(Sr
CrO4)、クロム酸鉛(PbCrO4)、クロム酸亜鉛
(ZnCrO4・4Zn(OH)2)、クロム酸カルシウ
ム(CaCrO4)、クロム酸亜鉛カリウム(K2O・4
ZnO・4CrO3・3H2O)、クロム酸銀(AgCr
4)がある。
【0066】本発明で使用するシリカとしては、乾式シ
リカ(例えば、日本アエロジル(株)製のAEROSIL 13
0、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL 38
0、AEROSIL R972、AEROSIL R811、AEROSIL R
805、AEROSIL R974等)、コロイダルシリカ(例
えば日産化学工業(株)製のMA-ST、IPA-ST、NBA-ST、I
BA-ST、EG-ST、XBA-ST、ETC-ST、DMAC-ST等)、湿式シ
リカ・沈降法(例えば、徳山曹達(株)製T−32
(S)、K−41、F−80)、湿式シリカ・ゲル法
(例えば、富士デヴィソン化学(株)製サイロイド24
4、サイロイド150、サイロイド72、サイロイド6
5、SHIELDEX等)などを使用することができる。また、
上記のシリカを2種以上混合して使用することも可能で
ある。
【0067】但し、防錆顔料は、その添加によって着色
皮膜の色彩に及ぼす影響が小さい方が好ましい。
【0068】以上の防錆顔料を1種または2種以上、上
記着色皮膜組成物にその構成成分として配合する。防錆
顔料の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して1
〜100重量部、好ましくは3〜60重量部の範囲とす
る。防錆顔料の配分量が前記下限、特に1重量部を下回
ると、防錆顔料を配合したことによる防錆効果が現れ
ず、一方、配合量が前記上限、特に100重量部を超え
ると、防錆顔料が過剰となるため、着色皮膜の潤滑性が
低下するのみならず、表面の光沢が低下したり、色彩が
著しく変化するという問題を生じる。
【0069】また、上記固形潤滑剤と粒子状防錆顔料と
を複合添加すれば、加工性、加工部の耐食性ともに優れ
た着色皮膜を形成することが可能となる。その際、基体
樹脂100重量部に対し、固形潤滑剤および粒子状防錆
顔料は、それぞれ1〜100重量部、好ましくは3〜6
0重量部の範囲で添加される。また、着色皮膜の色調お
よび光沢を好みに応じて調整するため、他の顔料(無機
顔料、有機顔料)を添加してもよい。例えば、無機顔料
(紺青、黄鉛、白色酸化チタン等)、有機顔料(キナク
リドン、キノフタロン、イソインドリノン、金属錯体顔
料、アゾ顔料等)を添加することにより、隠蔽力を向上
させてより深みのある色彩にしたり、色調を調整した
り、或いは光沢度を調整したりすることができる。ま
た、前述の一般構造式(1)、(2)以外の着色付与効
果をもつ有機化合物を添加して色調を調整してもよい。
【0070】以上の着色皮膜は、その組成物を必要に応
じて溶剤で稀釈し、ロール絞り、ロールコーター、或い
はエアナイフ等の方法により所定膜厚に塗布した後、板
温80〜300℃(好ましくは120〜250℃)で加
熱硬化させることにより得られる。塗布方法および焼付
方法は、一般的な方法で行われ、特に制限はないが、本
発明鋼板の製造では、鉄鋼メーカーが有する高耐食性表
面処理鋼板を製造するためのコーティング設備がそのま
ま使用できるという大きなメリットがある。
【0071】
【実施例】家電、事務機器用の鋼板として、本発明に基
づく実施例(1)〜(7)、およびこれら実施例にそれ
ぞれに対応した比較例(1)〜(7)を以下に示す。各
鋼板のめっき成分は以下の通りであり、これをアルカリ
脱脂後、水洗・乾燥し、これに塗布型クロメート処理液
をロールコーターで塗布し或いは電解クロメート処理浴
に浸漬して電解クロメート皮膜を形成し、乾燥後第2層
として樹脂液をロールコーターで塗布した。さらに乾燥
後、加熱処理し空冷した。 Ni−Zn合金電気めっき…Ni含有量:12% Fe−Zn合金電気めっき…Fe含有量:25% Zn−SiO2分散電気めっき…SiO2含有量:5%
【0072】上記塗布型クロメート処理および電解クロ
メート処理の各条件は以下の通りである。 ・塗布型クロメート処理条件 3価Crイオン:6価Crイオン=2:3、pH=2.
5(KOHでpH調整)、固形分20g/lのクロメー
ト処理液を常温でロールコーターにて塗布後乾燥した。 ・電解クロメート処理条件 CrO3:50g/l、H2SO4:0.5g/l、浴温
50℃の浴により、電流密度4.9A/dm2、電解時
間20秒で陰極電解処理し、水洗・乾燥した。
【0073】表1ないし表4は、各実施例および比較例
において用いられた着色皮膜形成用の基体樹脂、着色付
与剤、固形潤滑剤、粒子状防錆顔料を示し、また、表5
〜表26は、本実施例および比較例に用いためっき鋼
板、クロメート皮膜、着色皮膜形成用の組成物および得
られた着色鋼板についての試験結果を示している。着色
皮膜形成用組成物は、表1〜表4に示す成分を表5以下
に示す配合量で配合したもので、必要に応じて溶剤を添
加して稀釈した。
【0074】また、表2中の着色付与剤No.1〜N
o.10(いずれも錯化合物)の構造式は以下の通りあ
でる。
【0075】着色付与剤No.1:
【化84】
【0076】着色付与剤No.2:
【化85】
【0077】着色付与剤No.3:
【化86】
【0078】着色付与剤No.4:
【化87】
【0079】着色付与剤No.5:
【化88】
【0080】着色付与剤No.6:
【化89】
【0081】着色付与剤No.7:
【化90】
【0082】着色付与剤No.8:
【化91】
【0083】着色付与剤No.9:
【化92】
【0084】着色付与剤No.10:
【化93】 なお、上記着色付与剤の合成方法の代表例として、表2
の着色付与剤No.1、No.2、No.4、No.
7、No.10の実験室にて行われた合成例を以下に示
す。
【0085】〔着色付与剤No.1の合成方法〕 (中間化合物の合成)水150mlに15.4gの4−
ニトロ−2−アミノフェノールを仕込み、撹拌しながら
35%塩酸23.6gを注加する。10℃以下に冷却し
て、水20ml、亜硝酸ソーダ7.2gの水溶液を注加
する。同温度でさらに2時間撹拌した後、過剰の亜硝酸
をスルファミン酸の添加により分解させ、ジアゾニウム
液を調整する。水150mlにアセトアセトアニリド1
7.8gを仕込み、48%苛性ソーダ9.2gと酢酸ソ
ーダ10gを加え、撹拌溶解する。この中に砕氷を加え
10℃以下に保ちながら、ジアゾニウム液を注加しカッ
プリング反応を行う。反応終了後、濾過し、130gの
中間化合物を得た。 (錯塩化反応)水400mlに上記中間化合物を仕込
み、塩化コバルト(6水塩)17.1gを仕込み、48
%苛性ソーダでpH9〜10に調整し、90〜100℃
で3時間反応後、冷却、濾過、乾燥して目的物36gを
得た。
【0086】〔着色付与剤No.2の合成方法〕 (中間化合物の合成)水150mlにアントラニル酸1
6.6gを仕込み、撹拌しながら35%塩酸24.8g
を仕込む。10℃以下に冷却しながら、水20ml、亜
硝酸ソーダ7.2gの水溶液を注加する。同温度でさら
に2時間撹拌した後、過剰の亜硝酸をスルファミン酸で
分解してジアゾニウム液を調整する。水170mlに1
−フェニル−3−メチルピラゾロン18.1gを仕込
み、撹拌しながら48%苛性ソーダ9.2g、酢酸ソー
ダ14gを加え溶解する。その中に砕氷を加え10℃以
下に保ちながらジアゾニウム液を注加してカップリング
反応を行なう。反応終了後、濾別し中間化合物92gを
得た。 (錯塩化反応)水150mlに中間化合物92gを仕込
み、これに40%硫酸クロム29.5g、サリチル酸2
0g及び苛性ソーダで調整したサリチル酸クロム液をp
H9〜10で加え、90〜100℃で約10時間反応し
た。冷却後、濾別、洗浄、乾燥して目的物34gを得
た。
【0087】〔着色付与剤No.4の合成方法〕 (中間化合物の合成)水150mlに15.4gの5−
ニトロ−2−アミノフェノールを仕込み、撹拌しながら
35%塩酸23.6gを注加する。10℃以下に冷却し
ながら水20ml、亜硝酸ソーダ7.2gの水溶液を注
加する。同温度でさらに2時間撹拌した後、過剰の亜硝
酸をスルファミン酸の添加により分解させ、ジアゾニウ
ム液を調整する。水150mlに1−フェニル−3−メ
チルピラゾロン18.1gを仕込み、撹拌しながら48
%苛性ソーダ9.2g、酢酸ソーダ13.6gを加え溶
解する。この中に砕氷を加え、10℃以下に保ちながら
ジアゾニウム液を注加しカップリング反応を行なう。反
応終了後、濾別し中間化合物(I)90gを得た。 (錯塩化反応)水150mlに中間化合物(I)90g
を仕込み、これに着色付与剤No.2の合成方法で示し
たのと同量のサリチル酸クロム液を加え、90〜100
℃で20時間反応を行い、冷却後、濾過、乾燥させ、3
9gの中間化合物(II)を得た。 (アミン化)39gの中間化合物(II)を水300m
lに分散後、N,N−ジメチル−N−ベンシル−2−ヒ
ドロキシテトラデシルアンモニウムクロリド20.2g
を加えpH6〜7に調整し、60〜70℃で2時間反応
した。冷却後、濾過、乾燥して目的物56gを得た。
【0088】〔着色付与剤No.7の合成方法〕 (中間化合物の合成)水170mlに14.5gの4−
クロロ−2−アミノフェノールを仕込み、撹拌しながら
35%塩酸24gを加える。この溶液を5℃以下に保ち
ながら亜硝酸ソーダ7.2gを少しずつ添加する。同温
度でさらに2時間撹拌した後、過剰の亜硝酸を尿素で分
解してジアゾニウム液を調整した。水160mlに1
4.9gのB−ナフトールを加え、撹拌しながら苛性ソ
ーダ4gと炭酸ソーダ5.3gを加え、カップラー液を
調整する。カップラー液に砕氷を投入して、5℃以下で
先に調整したジアゾニウム液を注加し、カップリングを
行う。カップリング終了後、濾別し中間化合物を得る。 (錯塩化反応)水150mlに上記中間化合物を分散
し、これに40%硝酸クロム29.5g、サリチル酸2
0g及び苛性ソーダで調整したサリチル酸クロム液を加
え、90〜100℃で8時間反応して、冷却後、濾別、
乾燥して目的物32gを得た。
【0089】〔着色付与剤No.10の合成方法〕クロ
ルスルホン酸182gに20〜25℃で銅フタロシアニ
ン24gを加え110〜140℃で4時間反応し、80
℃まで冷却後、塩化チオニル48.5gを徐々に注加
し、70〜80℃で2時間反応する。冷却後、食塩を含
む氷水中に注加し、析出した結晶を濾別する。ウエット
ケーキを氷水に分散させ、炭酸ソーダでpH4〜5に調
整し、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミ
ン16.4gを入れ、炭酸ソーダでpH9に調整後、暫
く撹拌しスルホンアミド化を終了する。次いで苛性ソー
ダでpHを12に上げ、70〜80℃で2時間撹拌す
る。加水分解後、塩酸で鉱酢酸性にしたら、3−(2−
エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン16.4gを加
え、60℃で2時間反応する。冷却後濾過し、乾燥して
目的物60gを得た。
【0090】また、上記により作成した着色鋼板の試験
は以下のようにして行った。 (1)外観評価 得られた着色皮膜の外観、特に色調のムラについて、目
視による評価を行なった。その評価基準は以下の通りで
ある。 ◎ :均一で美麗な外観 ○ :ほぼ均一で美麗である △〜×:表面が粗く光沢がない。又は色調にムラが生じ
て美麗でない。
【0091】(2)光沢度 スガ試験機株式会社製の光沢度計を用いて、入射角、反
射角60°の光沢度を測定した。光沢度の数値が大きい
ほど高光沢である。
【0092】(3)溶接性試験 以下の条件でスポット溶接を行い、連続打点数で評価を
行った。 電極 : Cr−Cu、D型 電極径 : 6mmφ 溶接電流 : 10kA 通電加圧力: 200kg 通電時間 : 12サイクル/60Hz またその評価基準は、以下の通りである。 ◎:1000打点以上 ○:700打点以上 ×:700打点未満
【0093】(4)平板部および加工部の耐食性試験 平板部およびエリクセンで7mm押し出した部分の塩水
噴霧試験(JIS−Z−2371)を480時間行っ
た。耐食性の評価は、平板部については、白錆の発生し
た量が面積率で5%に達するまでの時間で評価し、加工
部については、白錆が加工部から下方へ流れ始めるまで
の時間で評価した。その評価基準は以下の通りである。 ◎:白錆発生なし +○:240時間超、480時間以内 ○:120時間超、240時間以内 −○:72時間超、120時間以内 △:24時間超、72時間以内 ×:24時間以内
【0094】(5)着色皮膜の密着性 着色皮膜面に1mm間隔で100個のゴバン目を刻み、
接着テープをこのゴバン目に貼着・剥離することにより
行った。その評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離面積 0% ○:剥離面積 10%未満 △:剥離面積 10%以上、20%未満 ×:剥離面積 20%以上
【0095】(6)プレス成形性試験 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで10m
m押出しによるハット絞り加工を行い、鋼板の側面加工
部を接着テ−プで剥離し、皮膜のテープへの剥離の程度
および着色皮膜の外観の変化について評価を行なった。
その評価基準は以下の通りである。 ◎:粉状剥離が全くない。 +○:局部的に若干の粉状剥離が生じるが、着色皮膜の
外観はほとんど変わらない。 ○:粉状剥離によりテープが極く薄く着色するが、着色
皮膜の外観はほとんど変わらない。 −○:粉状剥離によりテープが薄く着色し、着色皮膜の
外観がわずかに白色化する。 △:粉状剥離によりテープが着色し、着色皮膜の白色化
が目立つ。 ×:粉状剥離によりテープが著しく着色し、着色皮膜が
完全に剥離する。
【0096】(7)耐光堅牢度 着色皮膜をJIS L−0842 第2露光法によりフェ
ードメーター照射し、ブルースケールで等級判定を行っ
た。その評価基準は以下の通りである。 ◎:ブルースケール 7〜8級 ○:ブルースケール 5〜6級 △:ブルースケール 3〜4級 ×:ブルースケール 1〜2級
【0097】実施例(1)および比較例(1) 異なる着色付与剤を配合した着色皮膜を有する本発明材
について、外観、光沢度、溶接性、加工性、密着性、耐
食性および耐光堅牢性を調べた。また、比較材について
も同様の測定・試験を行った。その結果を表5および表
6に示す。この実施例では、着色皮膜の組成は基体樹脂
100重量部に対して着色付与剤を70重量部で一定と
し、また、皮膜厚も1.5μmで一定とした。表6によ
れば、着色付与剤として特定の錯化合物を用いた本発明
材は、溶接可能な皮膜厚さの範囲で目標とする外観と光
沢度が得られている。これに対し、着色顔料を用いてい
る比較材は、溶接可能な皮膜厚さの範囲では外観、光沢
度ともに悪く、しかも、プレス成形性、耐食性、密着性
がいずれも劣っている。
【0098】実施例(2)および比較例(2) 着色付与剤として特定の錯化合物を用い、着色皮膜の膜
厚が各特性に及ぼす影響を調べた。その結果を表7〜表
10に示す。図3は、実施例(2)および比較例(2)
の溶接性の測定結果をまとめたもので、溶接性は皮膜厚
が2.5μm超えると低下し始め、特に3.0μmを超
える皮膜厚では適切な溶接が不可能になることが判る。
【0099】実施例(3)および比較例(3) 着色付与剤として特定の錯化合物を用い、着色皮膜中の
配合量が各特性に及ぼす影響を調べた。その結果を表1
1〜表14に示す。
【0100】実施例(4)および比較例(4) 着色付与剤として特定の錯化合物を用い、めっきの種
類、クロメ−ト皮膜の有無、クロメ−ト処理方式、クロ
ム付着量、基体樹脂の種類および焼付温度が各特性に及
ぼす影響を調べた。その結果を表15〜表18に示す。
【0101】実施例(5)および比較例(5) 着色付与剤として特定の錯化合物を用い、且つ添加剤と
して固形潤滑剤、粒子状防錆顔料を含む着色鋼板につい
て、各特性を調べた。同時に、固形潤滑剤および粒子状
防錆顔料の配合量が各特性に及ぼす影響も調べた。その
結果を表19〜表22に示す。
【0102】実施例(6)および比較例(6) 着色付与剤として特定の錯化合物を配合した着色皮膜を
有する本発明材と、クリアー皮膜を有する比較材につい
て、耐食性等を調べた。その結果を表23および表24
に示す。なお比較のため同表には比較例(4)のNo.
3(クロメートなしの着色皮膜材)も併せて記載した。
同表からも明らかなように、本発明材(Znめっきベー
ス+クロメート50mg/m2+着色皮膜1.5μm)
は、クリアー皮膜を有する比較材(Znめっきベース+
クロメート50mg/m2+クリアー皮膜)に較べ優れ
た耐食性を示している。このように、本発明材が比較材
に較べて優れた耐食性が得られるのは、クロメート皮膜
と樹脂皮膜のバリアー効果に加え、樹脂に配合された錯
化合物が分子レベルで着色皮膜内に均一且つ緻密に分布
し、樹脂皮膜のバリアー効果を向上させることが、まず
あげられる。さらに、本発明材では、単に着色皮膜だけ
による耐食性だけでなく、着色皮膜と下地クロメートと
の相互作用によって優れた耐食性が得られるものと推定
され、このことは、比較例(4)No.3のクロメート
なしの着色皮膜材の耐食性と較べても明らかである。す
なわち、Znめっき鋼板に下地クロメート皮膜を形成す
ることなく着色皮膜だけを形成させた上記比較材は、そ
の耐食性が本発明材に較べ大幅に劣っている。このよう
な本発明材の比較材と較べた耐食性は、単にクロメート
皮膜によるバリアー効果が付加されただけのものではな
く、下地クロメート皮膜と錯化合物が配合された着色皮
膜との相乗的な作用によるものであることは明らかであ
る。
【0103】実施例(7)および比較例(7) 予め表面に脱脂処理したZn−12%Ni合金めっき鋼
板の表面に、連続ロールコーター設備によりクロム付着
量50mg/m2の塗布型のクロメート皮膜を形成さ
せ、さらにエポキシ樹脂(表1No.1)100重量部に
対して錯化合物(表2No.1)70重量部を配合した
組成物を連続ロールコーター設備により塗布し、210
℃で熱硬化させて1.5μmの厚さの着色皮膜を有する
本発明材を作成した。また、比較材として表面を脱脂処
理したZn−12%Ni合金めっき鋼板を5重量%、2
5℃の硝酸水溶液中で5秒間浸漬反応させ、その後、水
洗・乾燥することにより、黒色皮膜を形成させた。
【0104】比較例の方法では、処理液1l当り約0.
03m2のZn−Niめっき鋼板を黒色化した時点で、
次第に鋼板の黒色度が低下し、約0.04m2処理した
時点で黒色度L値が20を上回り、連続黒色化処理が不
可能となった。一方、本発明材の場合には、作成した着
色皮膜組成物が供給できる限り連続処理が可能であっ
た。
【0105】それぞれの供試材を作成後、本発明材の皮
膜形成に用いた着色皮膜組成物液の残渣の一部をロール
コーターのトレーから採取し、また、比較材黒色化処理
に用いた硝酸水溶液の一部を採取し、それぞれの液の亜
鉛量を原子吸光法(日立製作所製Z−8100)により
測定し、めっき皮膜からの亜鉛の溶出量を調べた。その
結果、本発明材の皮膜形成に用いた液では亜鉛の量はト
レース以下であったが、比較材の処理に用いた液からは
処理面積1m2当り約5gのZn−12%Niめっきの
溶出に相当する亜鉛が検出された。
【0106】次に、上記本発明材および比較材につい
て、前記と同じ方法(塩水噴霧試験)によって耐食性試
験を行った。この結果、本発明材は平板部で480時間
後も白錆は全く発生しなかったが、比較材は1〜2時間
程度で全面白錆となった。比較材について、黒色化処理
後、クロム付着量50mg/m2の塗布型クロメート皮
膜を形成し、さらに表1No.1のクリアー樹脂皮膜を
1.5μmの厚さに形成させて、再度耐食性試験を行っ
たところ、塩水噴霧240時間で白錆が5%程度とな
り、クロメート皮膜および樹脂皮膜を形成させない比較
材よりも耐食性の向上が認められた。しかし本発明によ
る着色鋼板の場合、「めっき鋼板→クロメート皮膜形成
→着色皮膜形成」という処理工程であるのに対し、上記
比較材の場合、家電用に十分な耐食性の黒色鋼板を製造
するためには、「Zn−Ni合金めっき鋼板→反応型黒
色化処理→(水洗・乾燥)→クロメート皮膜形成→クリ
アー樹脂皮膜形成」を必要とし、両者の工程を比較する
と、本発明では反応型着色化処理工程およびその直後の
水洗・乾燥工程が全く不要であるため、処理工程の上で
も本発明材は極めて有利であるということができる。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
【表7】
【0114】
【表8】
【0115】
【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
【表11】
【0118】
【表12】
【0119】
【表13】
【0120】
【表14】
【0121】
【表15】
【0122】
【表16】
【0123】
【表17】
【0124】
【表18】
【0125】
【表19】
【0126】
【表20】
【0127】
【表21】
【0128】
【表22】
【0129】
【表23】
【0130】
【表24】
【0131】(*1) 表1参照 (*2) 表2参照 (*3) 基体樹脂100重量部に対する着色付与剤の
重量部を表わす。 (*4) 表3参照 (*5) 基体樹脂100重量部に対する固形潤滑剤の
重量部を表わす。 (*6) 表4参照 (*7) 基体樹脂100重量部に対する粒子状防錆顔
料の重量部を表わす。
【0132】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、着色皮膜が
従来の塗装鋼板よりも薄膜(〜3μm)であるため溶接
が可能であり、しかも均一な色調で光沢のある外観の優
れた着色鋼板が得られる。また、この着色鋼板は、外
観、溶接性だけでなく着色皮膜の密着性、加工性、耐食
性、耐光堅牢性にも優れている。さらに、既存ロールコ
ーター設備等による塗布および焼付で製造することがで
きるため、反応エッチングタイプの着色鋼板と比較し
て、様々な色彩の鋼板が得られ、また、めっきの溶出に
よる浴劣化の問題がないため、生産性を大きく向上させ
ることができ、諸性能、生産性の両面で極めて優れた着
色鋼板を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼板における皮膜構造を示す模式図であ
る。
【図2】本発明における着色付与剤としての錯化合物の
配合量と着色皮膜の厚さの範囲を示したものである。
【図3】実施例における供試材の着色皮膜厚さと溶接性
との関係を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 豊文 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 服部 良和 東京都港区虎ノ門一丁目4番2号 保土 谷化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−9478(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/14 B05D 3/10 B05D 7/24 302 C23C 28/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表面にク
    ロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/m2
    クロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部に、熱
    硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100重量部
    に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式(1)
    で表される錯化合物および一般構造式(2)で表される
    錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上の錯化
    合物を合計量で1〜200重量部配合してなる膜厚0.
    3〜3.0μmの着色皮膜(黒色皮膜を除く)を有する
    溶接可能な着色鋼板。 【化1】 ……(1) 【化2】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
    表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
    SO2NH2、CH3を表し、 Xは、 【化3】 ……(3) {(3)式中R5はH、 【化4】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
    表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
    または、 【化5】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
    H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
    ピラゾール環の4位に結合している。)または、 【化6】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
    表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
    表し、 MはCr、Co、Fe原子を表し、 【化7】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
    は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
    立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
    表し、 【化8】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
    の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
    る。]
  2. 【請求項2】 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表面にク
    ロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/m2
    クロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部に、熱
    硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100重量部
    に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式(1)
    で表される錯化合物および一般構造式(2)で表される
    錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上の錯化
    合物を合計量で1〜200重量部、さらに固形潤滑剤を
    1〜100重量部配合してなる膜厚0.3〜3.0μm
    の着色皮膜(黒色皮膜を除く)を有する溶接可能な着色
    鋼板。 【化9】 ……(1) 【化10】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
    表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
    SO2NH2、CH3を表し、 Xは、 【化11】 ……(3) {(3)式中R5はH、 【化12】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
    表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
    または、 【化13】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
    H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
    ピラゾール環の4位に結合している。)または、 【化14】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
    表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
    表し、 MはCr、Co、Fe原子を表し、 【化15】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
    は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
    立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
    表し、 【化16】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
    の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
    る。]
  3. 【請求項3】 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表面にク
    ロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/m2
    クロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部に、熱
    硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100重量部
    に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式(1)
    で表される錯化合物および一般構造式(2)で表される
    錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上の錯化
    合物を合計量で1〜200重量部、さらに粒子状防錆顔
    料を1〜100重量部配合してなる膜厚0.3〜3.0
    μmの着色皮膜(黒色皮膜を除く)を有する溶接可能な
    着色鋼板。 【化17】 ……(1) 【化18】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
    表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
    SO2NH2、CH3を表し、 Xは、 【化19】 ……(3) {(3)式中R5はH、 【化20】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
    表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
    または、 【化21】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
    H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
    ピラゾール環の4位に結合している。)または、 【化22】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
    表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
    表し、 MはCr、Co、Fe原子を表し、 【化23】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
    は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
    立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
    表し、 【化24】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
    の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
    る。]
  4. 【請求項4】 亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表面にク
    ロム付着量(金属クロム換算)1〜200mg/m2
    クロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部に、熱
    硬化性樹脂を基体樹脂とし、この基体樹脂100重量部
    に対して、着色付与剤として、下記の一般構造式(1)
    で表される錯化合物および一般構造式(2)で表される
    錯化合物からなる群のなかから選ばれる1種以上の錯化
    合物を合計量で1〜200重量部、さらに固形潤滑剤を
    1〜100重量部、粒子状防錆顔料を1〜100重量部
    配合してなる膜厚0.3〜3.0μmの着色皮膜(黒色
    皮膜を除く)を有する溶接可能な着色鋼板。 【化25】 ……(1) 【化26】 ……(2) [一般構造式(1)中、Aは−O−または−COO−を
    表し、R1、R2はそれぞれ独立してH、Cl、NO2
    SO2NH2、CH3を表し、 Xは、 【化27】 ……(3) {(3)式中R5はH、 【化28】 (R6はH、CH3、NO2、OCH3、Clを表す。)を
    表す。アゾ基はナフタリン環の1位に結合している。}
    または、 【化29】 ……(4) ((4)式中R7はH、CH3、C25を表し、R8
    H、Cl、NO2、SO2NH2、CH3を表す。アゾ基は
    ピラゾール環の4位に結合している。)または、 【化30】 ……(5) ((5)式中R9はH、Cl、NO2、CH3、C25
    表す。アゾ基はカルボニル基の隣に結合している。)を
    表し、 MはCr、Co、Fe原子を表し、 【化31】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。一般構造式(2)中、CuPc
    は銅フタロシアニン残基を表し、R3、R4はそれぞれ独
    立してH、C1〜C12のアルキル基、置換アルキル基を
    表し、 【化32】 は水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオ
    ン、脂肪族アンモニウムイオン、置換された脂肪族アン
    モニウムイオンを表す。mは0〜3の整数、nは1〜4
    の整数を表し、mとnの合計は2、3または4であ
    る。]
  5. 【請求項5】 固形潤滑剤として、ポリオレフィンワッ
    クス等の炭化水素系化合物、フッ素樹脂系化合物、脂肪
    酸アミド系化合物、金属石けん類、二硫化モリブデン等
    の金属硫化物、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ
    素、ポリアルキレングリコールからなる群の中から選ば
    れる1種または2種以上を含む請求項2または4に記載
    の溶接可能な着色鋼板。
  6. 【請求項6】 粒子状防錆顔料として、難溶性クロム化
    合物、シリカからなる群の中から選ばれる1種または2
    種以上を含む請求項3、4または5に記載の溶接可能な
    着色鋼板。
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