JP2001032093A - 色調の安定した電気亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents
色調の安定した電気亜鉛系めっき鋼板Info
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Abstract
ような電気系めっき鋼板を提供すること。 【解決手段】 鋼板の片面若しくは両面に電気亜鉛系め
っき層を有する鋼板において、亜鉛めっき層結晶面であ
る(002)面の配向指数が1.5以上、(101)面
の配向指数が1.0超で、且つそれ以外の面の配向指数
の和が4.0〜6.0の範囲にあること。
Description
た電気亜鉛系めっき鋼板に関し、この亜鉛系めっき鋼板
は自動車や家電・産業機械製品、OA機器などの外板や
建材等に上塗り塗装の有無にかかわらず用いられる亜鉛
系めっき鋼板として有用である、色調の安定した電気亜
鉛系めっき鋼板に関するものである。
外観、特に色調に関する要求が需要家の間に高まってい
る。これは、需要家での工程省略とコストダウンのため
に、上塗り塗装工程を省略して裸で使用する、あるいは
薄い塗装しか行わないことが増えてきた結果、電気亜鉛
系めっき鋼板の表面外観が実質的にそのまま製品の外観
となる、あるいは薄い塗装しか行わないため下地が製品
外観に大きく影響するので、その外観特性のうち明度
(JIS Z 8730による)と色差といった色調に
関する要求が厳しくなっている。明度は高いほど明るく
白っぽい外観となるので上塗り塗装をしない用途で特に
好まれるが、上塗り塗装の際にも上の色が鮮やかとなる
ので需要家のニーズは高い。また、色差については上塗
り塗装をしない裸使用で同一部品を組み立てる際に仕上
がりが綺麗なので特に重要視されている。
系めっき鋼板に関する方法はいくつか提案されている。
例えば特公平5−36514号公報には、電気亜鉛系め
っき鋼板のめっき層における特定結晶面の配向性を規定
し、具体的には(002)面の配向指数を0.5以上と
し、且つ(101)面の配向指数を1.0以下に抑える
ことによって、色調の明るいクロメート処理電気亜鉛系
めっき鋼板が得られるとの記載がある。また、特公平7
−11071号公報にも、上記と同様に電気亜鉛系めっ
き鋼板のめっき層における特定結晶面の配向性を規定す
る技術が開示されており、具体的には(103)面の配
向指数を1.0以下とし、(101)面の配向指数を
1.0以下とし、あるいは(110)面の配向指数を
0.6以上、(101)面の配向指数を1.0以下と
し、更には(002)面の配向指数を1.0以下に抑え
ることにより、明度が55以上の色調の明るいクロメー
ト処理電気亜鉛系めっき鋼板を得ている。
さらに高い明度を得るための方法として、電気亜鉛系め
っき鋼板のめっき層における特定結晶面の配向性を規定
する技術が開示されており、具体的には(002)面の
配向指数を1.0以上、(101)面の配向指数を1.
0以下、(103)面の配向指数を2.0以上とするこ
とによって、色調の明るい亜鉛系めっき鋼板が得られる
との記載がある。また、特願平10−18079号にも
上記と同様に電気亜鉛系めっき鋼板のめっき層における
特定結晶面の配向性を規定する技術が開示されており、
具体的には(002)面と(004)面および(10
3)面の配向指数の和が8.0以上、あるいは(10
0)面、(101)面、(102)面および(110)
面の配向指数の和を1.0以下とすることにより、亜鉛
系めっき鋼板の明度が80以上、クロメート処理した亜
鉛系めっき鋼板の明度が75以上、有機被覆鋼板の明度
が70以上である色調の明るい電気亜鉛系めっき鋼板を
得ている。上記公報に記載された方法は電気亜鉛系めっ
き鋼板のめっき結晶の特定結晶面の配向性を規定するこ
とにより明度を高める技術であり、色調の明るい電気亜
鉛系めっき鋼板を得るところにその特徴を有している。
が電気亜鉛系めっき鋼板の外観に要求しているのは「高
い明度」と「少ない色のばらつき」であり、ただ単に明
度が高いだけでは需要家の外観に対するニーズを満たす
ことができなくなっているのが実状である。具体的には
L値(JIS Z 8730による)で65以上の明度
を有し、コイル内あるいはコイル間の色調ばらつきΔE
が3以内である、明度が高く、かつ非常に狭い範囲に色
調のばらつきを抑えた鋼板が必要となっている。ここ
で、ΔEはJIS Z 8730に規定された色差で以
下の式によって表わされるものである。 ΔE=[(ΔL)2 +(Δa)2 +(Δb)2 ]1/2 本発明においては、ΔL=LS −L、Δa=aS −a、
Δb=bS −bであり、LS はLの平均値、aS とbS
はそれぞれLS を示す鋼板のa値、b値である。本発明
は上記のような事情に着目してなされたものであって、
その目的は高い明度と少ない色調ばらつきを実現し得る
様な電気系亜鉛めっき鋼板を提供しようとするものであ
る。
に本発明においては、鋼板の片面もしくは両面に電気亜
鉛系めっき層を有する鋼板において、該亜鉛めっき層の
(002)面の配向指数が1.5以上、(101)面の
配向指数が1.0超で、且つ、それ以外の面の配向指数
の和を4.0〜6.0の範囲にすることにより、色調の
安定した電気亜鉛系めっき鋼板を得ることが可能となっ
た。
説明する。本発明者らは、電気亜鉛系めっき鋼板の製造
条件を変化させ、得られる電気系亜鉛めっき鋼板の色調
とめっき層の結晶配向性の関係を詳細に調査した。この
際、電気亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面色調はJIS
Z 8730に規定されている明度(L値)と色差
(ΔE)によって評価した。また、めっき層の結晶配向
性はX線回折によって得られる回折ピークから下記の方
法で算出した。 (hkl)面の配向指数=(hkl)面のピーク強度/
(hkl)面の標準回折ピーク強度
の配向指数がめっき層表面の明度(L値)に及ぼす影響
を調べた結果を示すグラフである。この図から明らかな
ように、(002)面の配向指数が1.5以上であれば
明度が65以上となることがわかる。次に、図2は電気
亜鉛系めっき層の(002)面の配向指数がめっき層表
面の色差(ΔE)に及ぼす影響を調べた結果を示すグラ
フである。この図から明らかなように色差は最大19と
なり、(002)面の配向指数を規定するだけでは色調
のばらつきを抑えるには不十分である。
3以内に抑えるため更に他の結晶面の配向性を調査し、
(002)面以外の結晶面の配向指数が色差に与える影
響を詳細に検討した。その結果、(101)面の配向指
数およびその他の結晶面の配向指数の和によって色差に
顕著な差異が現れ、(101)面の配向指数が1.0超
で、かつその他の結晶面の配向指数の和が4.0〜6.
0の範囲にある時に限り色差が3以内に抑えられ、非常
に安定して色のばらつきが少ないことが確認された。
と(101)面およびその他の結晶面の配向指数の和が
めっき層表面の色差(ΔE)に及ぼす影響を調べた結果
を示すグラフである。この図から、(002)面の配向
指数が1.5以上、(101)面の配向指数が1.0超
で、且つ、その他の結晶面の配向指数の和が4.0〜
6.0の範囲にある時に限って色差が3以内に抑えられ
ることがわかる。これらの結果からも明らかである様に
明度が65以上で、且つ色差が3以内の色調の安定した
電気亜鉛系めっき鋼板を得るには、該亜鉛めっき層の
(002)面の配向指数が1.5以上、(101)面の
配向指数が1.0超で、且つ、それ以外の面の配向指数
の和を4.0〜6.0の範囲にコントロールすることが
不可欠である。
するものであり、めっき付着量には特に制限はないが、
めっき付着量が少なすぎると亜鉛系めっき鋼板本来の目
的である耐食性が不十分となるので、3g/m2 以上、
好ましくは10g/m2 以上とすることが望ましい。一
方めっき付着量の上限については、付着量の増加に伴う
電力コスト増や加工性低下から90g/m2 以下、好ま
しくは60g/m2 以下に抑えるのが一般的である。
途に応じて広汎の片面側のみに形成し、あるいは両面に
形成することが可能である。更には、上記亜鉛系めっき
層の形成に先立って、下地めっき層としてNi,Ni−
Co,Ni−P等のNi系めっき、Zn−Ni,Zn−
Fe,Zn−Cr等のZn系めっき、Fe−P,Fe−
B等のFe系めっき等を施した多層めっき構造とするこ
とも可能である。また、本発明の電気亜鉛系めっき鋼板
は高い明度と安定した色調の故にそのまま製品化しえる
他、必要に応じて耐食性、加工性、耐指紋性等の改善の
ため、その表面にクロメート等の化成処理皮膜を形成し
たり、有機皮膜を形成することも有効である。
的は、電気亜鉛系めっき層の耐食性向上にあるのでその
付着量の下限は金属クロム換算で10mg/m2 以上、
好ましくは15mg/m2 以上とすることが望ましい。
一方上限については明度確保の点から金属クロム換算の
付着量で60mg/m2 以下、好ましくは35mg/m
2 以下に抑えるのがよい。該クロメート皮膜の形成方法
についても格別な制限はなく、電解型クロメート処理、
浸漬型クロメート処理、塗布型クロメート処理、反応型
クロメート処理等のいずれを採用してもよい。また、ク
ロメート皮膜の耐食性や耐疵付き性、耐黒変性などを高
めるため、シリカ等の各種酸化物や有機シラン系化合
物、更にはリン酸、硝酸、フッ化物、ケイフッ化物など
の反応促進剤などを適量含有させたクロメート処理液を
採用することも有効である。有機皮膜の膜厚は0.3〜
4.0μmの範囲がよい。0.3μm以下では均一な成
膜が困難なため、耐食性の低下を引き起こす可能性があ
り、4.0μm以上では明度、加工性、導電性、溶接性
の確保が難しくなる。
ないが、好ましいものを以下に例示する。エポキシ系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレ
ン性不飽和カルボン酸を重合成分として含むエチレン共
重合体樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ア
クリル系樹脂、フッ素系樹脂、あるいはこれらのうち2
種以上を混合した有機樹脂を主体とし、必要により耐食
性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接性、電着塗装
性、塗膜密着性などの一層の向上を期してシリカなどの
各種酸化物粒子や各種リン酸塩などの無機顔料、ワック
ス粒子、有機シラン化合物、ナフテン酸塩等を含有せし
めた有機系皮膜形成剤。あるいは、ケイ酸ソーダ、ケイ
酸カリ、ケイ酸リチウム等のケイ酸塩を主体とし、必要
により造膜性、耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、
溶接性、電着塗装性、塗膜密着性などの一層の向上を期
してシリカなどの各種酸化物粒子や各種リン酸塩などの
無機顔料、ワックス粒子、有機シラン化合物、ナフテン
酸塩等を含有せしめた有機系皮膜形成剤。これらの中か
ら1種もしくは2種以上を任意に選択して使用すること
ができる。また、本発明で使用する下地鋼板にも特に制
限はなく、通常の軟鋼板をはじめ、高強度鋼板や各種の
合金鋼板がすべてその対象となる。
するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受
けるものではなく、前後記の趣旨を逸脱しない範囲で変
更を加えて実施することももちろん可能であり、それら
はすべて本発明の技術範囲に包含される。めっき原板と
しては冷延鋼板を使用した。次いでめっきの前処理とし
て、アルカリ脱脂後水洗、酸洗後水洗を行った後に硫酸
亜鉛主体の酸性めっき浴から電気亜鉛系めっきを実施し
た。また、その一部については、クロメート処理を行っ
てクロメート皮膜を形成し、更にそのうちの一部にはク
ロメート皮膜の上層にクリアー皮膜を形成した。その結
果を表1に示す。
鋼板の片面もしくは両面に電気亜鉛系めっき層を有する
鋼板において、該亜鉛めっき層の(002)面の配向指
数が1.5以上、(101)面の配向指数が1.0超
で、且つ、それ以外の面の配向指数の和を4.0〜6.
0の範囲にコントロールすることにより、色調の安定し
た電気亜鉛系めっき鋼板を得ることが可能となり、上塗
り塗装なし、ありの両方の用途において需要家ニーズを
満たす外観品位を達成することができた。
が明度(L値)に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフ
である。
が色差(ΔE)に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフ
である。
1)面の配向指数およびその他の結晶面の配向指数の和
が色差(ΔE)に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフ
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼板の片面もしくは両面に電気亜鉛系め
っき層を有する鋼板において、該亜鉛めっき層結晶面で
ある(002)面の配向指数が1.5以上、(101)
面の配向指数が1.0超で、且つ、それ以外の面の配向
指数の和が4.0〜6.0の範囲にあることを特徴とし
た、色調の安定した電気亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項2】 上記亜鉛系めっき層の上に、金属クロム
換算で10〜60mg/m2 のクロメート皮膜が形成さ
れている請求項1記載の電気亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項3】 上記クロメート皮膜の上に0.3〜4.
0μmの有機皮膜を形成した請求項2記載の電気亜鉛系
めっき鋼板。 - 【請求項4】 亜鉛系めっき層のすぐ上層として0.3
〜4.0μmの有機皮膜を形成した請求項1記載の電気
亜鉛系めっき鋼板。
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---|---|---|---|
JP20643799A JP3554508B2 (ja) | 1999-07-21 | 1999-07-21 | 色調の安定した電気亜鉛系めっき鋼板 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011061901A1 (ja) * | 2009-11-20 | 2011-05-26 | 東洋鋼鈑株式会社 | 表面処理鋼板及びその鋼板を用いたカバー部材 |
CN110866895A (zh) * | 2019-10-25 | 2020-03-06 | 广西电网有限责任公司电力科学研究院 | 一种检测输变电钢构架热镀锌层色差质量方法 |
-
1999
- 1999-07-21 JP JP20643799A patent/JP3554508B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP5918537B2 (ja) * | 2009-11-20 | 2016-05-18 | 東洋鋼鈑株式会社 | 表面処理鋼板の製造方法 |
CN110866895A (zh) * | 2019-10-25 | 2020-03-06 | 广西电网有限责任公司电力科学研究院 | 一种检测输变电钢构架热镀锌层色差质量方法 |
CN110866895B (zh) * | 2019-10-25 | 2023-09-08 | 广西电网有限责任公司电力科学研究院 | 一种检测输变电钢构架热镀锌层色差质量方法 |
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