JPH0216395B2

JPH0216395B2 -

Info

Publication number: JPH0216395B2
Application number: JP13235785A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Shindo; Katsushi Saito; Toshimichi Murata
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1985-06-18
Filing date: 1985-06-18
Publication date: 1990-04-17
Also published as: JPS61291981A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は一搬に亜鉛メツキ鋼板が使用される分
野において装飾が必要な部分に用いる黒色亜鉛メ
ツキ鋼板の製造方法に関するものである。（従来の技術）低コストで高性能の品質は自動車用防錆鋼板、
家庭電気製品、家具、建材分野に用いられる鋼板
に対して一貫して要求されつづけて来た。これら
の要求に対してスチールメーカーは新技術、新製
品を開発し、需要家の要求に答えて来た。最近、従来表面処理鋼板を加工した後前処理塗
装されて来た製品に対して、プレコートされた鋼
板を導入することによつて需要家工程で行つてい
た前処理、塗装を省略し、低コストで高品質の製
品を得るプレコート鋼板化への動きが活発であ
る。これらの要求に答え得るプレコート鋼板とし
て当初は20〜30μの高級プレコート鋼板が用いら
れて来たが、徹底したコストダウンの追求と溶接
性等の観点から着色表面処理鋼板が望まれてい
る。これらの要求に答える材料の具備すべき品質
としては耐食性、加工性に加え、外観の均一性が
重要であり、必要によつては溶接性、耐薬品性が
要求される。色調としては黒色系統のものが好ま
れている。亜鉛メツキ鋼板の黒色処理として知られている
公知の技術は、銀イオンを含むクロメート溶液中
で亜鉛メツキを処理する特開昭52−45544号公報
の方法、リン酸およびリン酸銀をベースとしたク
ロメート溶液中で処理する特開昭58−177477号公
報の方法がある。これらは酸化銀をクロメート皮
膜に共膜に共析させ、黒色外観を得る方法であ
る。又、硫化物を形成させ、黒化処理をする方法
として特開昭52−65139号公報の方法が知られて
いる。又クロメート皮膜を形成後染料を用いて着
色させる方法として、特開昭54−145336号公報、
特公昭52−28730号公報の方法が知られている。
これらは全て、溶液と亜鉛メツキを直接化学反応
させて着色表面を得る方法である。その他、陽極
酸化法によつて黒色表面を得る方法が知られてい
る。例えばNi、Co、MoとZnの合金メツキ鋼板
を硫酸アンモニウム水溶液中で陽極処理する特開
昭58−151491号公報の方法、Ni、Co、MoとZn
の合金メツキ浴中で陽極処理する特開昭58−
151490号公報の方法等が代表的な技術である。（発明が解決しようとする問題点）従来の着色方法は優れた方法であるが、残念な
ことにスチールメーカーが保有している製造設備
に必ずしもマツチングしない点がある。例えば、
高速生産性の点でより短時間で均一な黒色化を完
成させる必要がある。又、均一な黒色外観を有す
る広巾のコイル製品を大量に安定して得ることは
過去経験しない化成処理技術である。本発明は高速短時間で均一な色調を有する亜鉛
メツキ製品を黒色処理する方法を提供するもので
ある。（問題点を解決するための手段、作用）本発明は、(イ)亜鉛と黒色化する金属の合金メツ
キ鋼板を硝酸塩とリン酸を含み且つリン酸／硝酸
塩の比がモル比で0.01〜1.5のPH＝3.0以下の酸性
水溶液で陽極電解処理することを特徴とする黒色
亜鉛合金メツキ鋼板の製造方法である。 (ロ)黒色化する金属がニツケル、コバルト、鉄、
銅、クロム、モリブデン、錫の一種以上を含む金
属であること、(ハ)クロム酸、バナジン酸、モリブ
デン酸、過マンガン酸、過酸化物の一種以上を
0.001〜１％加えたPH＝3.0以下の酸性水溶液で陽
極電解処理すること、(ニ)黒色被覆の表面に保護皮
膜をコーテイングすることは好ましい。本発明は耐食性に優れた亜鉛と黒色化する金属
（以下Meと表記する）の合金メツキ鋼板の表面を
酸化性のある酸性水溶液で陽極電解処理すること
によつてMeの不働態化酸化物をメツキ表面に固
着させ、黒色メツキ鋼板を得る極めて優れた生産
性を有する方法である。本発明は次の作用で黒色
化する。１メツキ表面層の光沢を出すように溶解させる
（研磨作用）。２溶解した亜鉛は浴中にイオンとして溶解さ
せ、Meを直ちに酸化し、Me酸化物としてメツ
キ表面に固着、濃縮させる（酸化作用）。３処理浴中に沈殿が発生せず、且つ溶解速度の
バランスのとれた一浴法である。即ち、本発明は化学的な研磨作用の溶解とMe
を効率よく酸化し、又、不働態化酸化物とし、メ
ツキ表面に残存させる溶解、酸化の両者をバラン
スさせた陽極電解による黒化処理方法である。本発明の原理を亜鉛とニツケル合金メツキ鋼板
について模式的に示したのが第１図である。第１
図ａは亜鉛ニツケルの合金メツキ（〓で示す）で
ある。本発明の化学処理により第１図ｂに示すよ
うに亜鉛ニツケル合金メツキの表面が溶解し、亜
鉛イオン（〇で示す）は浴中に溶解し、ニツケル
もしくはニツケルイオンは浴中の酸素および一部
のリン酸イオン（これらを▲で示す）と化学結合
し、ニツケル酸化物を主成分とするリン酸塩を含
む皮膜（これらを酸化ニツケルとして●で示す）
を形成し、メツキ表面に固着する。この第１図ｂ
の反応工程では、化学研磨あるいは電解研磨の作
用でメツキ表面が平滑化される。第１図ｃが化学
処理の終つた状態を示す。メツキ面は平滑化さ
れ、ニツケル酸化物およびリン酸塩による黒色外
観を得ることが出来る。 (イ)の方法は硝酸塩、リン酸を含み、リン酸／硝
酸塩の比がモル比で0.01〜1.5になるように設定
したPH＝３以下の酸性水溶液を用いて亜鉛合金メ
ツキを陽極電解処理する方法である。 PHの設定はPH３超では黒色皮膜中に多量のリン
酸を含むようになり、黒色が得られ難いこと、又
水溶液中に沈澱を生じ、外観に対して悪影響をお
よぼすため本発明から外した。化学処理として陽極で電解処理する方法におい
ては、PH３以下の範囲で真に黒い外観が得られた
が、PH１未満では浸漬もしくはスプレーによる方
法と差がなく、陽極処理するメリツトが小さい。
従つて、本発明者らの実験では陽極処理法におい
てはPH１〜３が望しい領域であつた。硝酸塩の濃度は、合金メツキの溶解及び酸化の
両面に影響し、求める色調、ライン特性、合金メ
ツキ組成から設定する。硝酸塩が低すぎると合金
メツキが化学溶解し、美麗な外観が得られない場
合があり、合金組成との兼ね合いで処理浴組成、
PHを設定する。本発明では化学処理において合金
メツキの溶解に対する黒色化する金属の酸化に基
ずく不溶解化の効率（以下黒色効率と表す）が高
い方が望ましく、第２図の如く整理することが出
来る。即ち、硝酸塩の濃度が低くPHが低い処理液
では、溶解と酸化のバランスが悪く、第２図のＢ
の如く示される。一方、溶解と酸化がバランスよ
く対等に生ずるＡは美麗な外観が得られ易い。第
２図Ｃは黒色効果は最も優れているが、化学反応
が不均一に生じ易く、むらになり易い傾向があ
る。第２図のＸ軸（酸化作用）に効く因子は硝酸
塩の濃度、合金メツキ中のMe濃度である。一方、
Ｙ軸（溶解）には、リン酸濃度、低PH化が作用す
る。本発明においては出来るだけ第２図Ｃ条件に近
い黒色効率で均一溶解させる条件が望ましい。リン酸の添加は合金メツキの溶解を平滑に光沢
研磨面に仕上げ、均一な黒色外観が得られる唯一
の化合物で他の硫酸、塩酸は黒色化にマイナスで
ある。リン酸としてはオルトリン酸の他にピロリ
ン酸および縮合リン酸も効果がある。リン酸の添
加量としては、リン酸／硝酸塩の比がモル比で
0.01〜1.5の範囲である。モル比1.5超では第２図
のＡの如き着色効率が低く、皮膜中へのリン酸塩
のとり込み量が増加し、外観の白化、むらが生じ
易くなる。又、0.01未満では、研磨効果が弱すぎ
るため、無光沢で不均一な外観になり易く、又、
得られる黒色皮膜が粉状に剥れ（パウダリングと
呼んでいる）易い。リン酸の他に有機酸でも同様
の効果を示すものがある。 (ハ)の方法は、(イ)の浴に、平滑化作用と酸化作用
を強め光沢のある着色外観が得られ、更に耐食性
を向上させる添加剤を加えた浴を用いる着色処理
方法である。添加剤としては、クロム酸、バナジ
ン酸、モリブデン酸、過マンガン酸、あるいは活
発な発生機の酸素を供給する過酸化物、例えば
H₂O₂、Na₂O₂である。これらの化合物の添加量
は黒色化に大きな影響を与え、濃度が0.001〜1.0
％、好ましくは0.01〜0.1％である。その理由は
添加物の含有率が0.001％未満では明確な効果が
認められず、又1.0％超ではむしろ黒色度が低下
したり赤味等他の色を帯びた外観になるためであ
る。 (ニ)の方法は(イ)および(ハ)で得られた着色皮膜上に
保護皮膜を形成させ、着色度、光沢、均一化等の
外観向上および傷付きに対するガードコート的役
割や、耐食性向上をはかるものである。以下、保
護皮膜の処理方法について述べる。保護皮膜には無機皮膜、有機皮膜および両者の
複合皮膜、あるいは化成処理皮膜が含まれる。無機皮膜としてはケイ酸塩、リン酸塩、ジルコ
ン酸の皮膜、チタン化合物の皮膜があり、有機皮
膜は水溶性、水分散性の有機高反子化合物を硬化
剤と共にコーテイングする方法である。又、有機
と無機を複合させたもの、例えば有機高分子化合
物とシリカの複合浴がある。又、化成処理皮膜は
クロメート処理皮膜、リン酸塩皮膜、キレート処
理皮膜、タンニン酸処理皮膜、フイチン酸処理皮
膜、シラン処理皮膜がある。もちろん、有機高分
子、無機皮膜に化成処理皮膜成分を複合させた
り、二層以上に重ねる事によつて耐食性、加工
性、外観等を一層向上した保護皮膜にすることが
出来る。保護皮膜をコーテイングする方法としては、ロ
ール、スプレー、電解処理により被覆して、焼付
ける方法がある。被覆方法、焼付条件は保護皮膜
の種類、構成およびライン特性で異る。本発明者
らの実験によれば、黒色処理をしたのちクロメー
ト処理を行い、更に有機および無機の複合皮膜を
ガードコートする方法が望ましい方法として提案
できる。本発明において黒色化する金属（以下Meとい
う）の条件としては、金属が酸化して黒化する
こと、亜鉛より電気化学的に貴の電位でメツキ
表面に残存すること、充分な合金組成が得られ
る点である。Meとしては、ニツケル、コバルト、
鉄、銅、クロム、モリブデンおよび錫の一種もし
くは二種以上の金属あるいは複合金属である。本発明に用いる亜鉛とMeの合金メツキ鋼板の
組成は目的の外観（即ち黒色度の濃さ）とライン
構成によつて異る。真の黒色外観を得る一例とし
ては、MeもしくはMeが二種以上の場合はその全
量を合金メツキ鋼板中に１〜50％含む亜鉛との合
金メツキが望ましい。化学処理量（処理浴と合金
の反応量）が一定の場合、Meの含有率に比例し
て黒色の度合は強くない高いMe含有合金メツキ
鋼板ほど（黒色化のための）時間を短時間化でき
る。黒色化の度合は、ユーザーのニーズによつて
決まるものであり、化学処理量、合金メツキ組成
でそのニーズに対応できる。本発明において、外観向上をはかる一方法とし
て、光沢剤を添加したメツキ浴から電気メツキし
た光沢合金メツキ鋼板を用いることもできる。光
沢剤としては、４級アミンポリマー、ポリアクリ
ルアミド、デキストリン等公知の光沢剤を添加し
たメツキ浴でよい。実施例１ Ni（12±１％）を含む亜鉛ニツケル合金メツキ
を鋼板にメツキした（メツキ付着量20ｇ／m²）の
ち、表１に示す黒色処理浴中でメツキ鋼板を陽
極、ステンレス板を陰極として電解処理を行つた
後水洗、乾燥して黒色外観を得た。なお、処理工程は次の通りである。合金メツキ→水洗→黒色処理→水洗→乾燥

【表】表１は本発明の硝酸塩、リン酸の濃度および
H₃PO₄／NaNO₃比とPHの異る処理浴と処理法と
して陽極電解処理を実施したときの品質を示した
ものである。本発明例１は硝酸塩が低濃度の例
で、本発明例２、３、４、５は高濃度の硝酸ナト
リウムを含む浴の例である。６、７、８、９は
NaNO₃に対するH₃PO₄の濃度を変化させた例で
ある。黒色度、加工性、耐食性の評価は次の通りであ
る。黒さ ◎：黒色光沢外観Ｌ値12以下〇：若干（青黒、灰黒）Ｌ値15以下 △：青味あるいは灰色の外観Ｌ値20以下光沢 ◎：60゜の光沢度計で黒色ガラスを94とし
て、20以上〇：60゜の光沢度計で黒色ガラスを94とし
て、15〜20 △：60゜の光沢度計で黒色ガラスを94とし
て、10〜15 ×：60゜の光沢度計で黒色ガラスを94とし
て、５以下加工性……エリクセンで７mm絞つた後凸部をテー
ピングし、その剥離で評価 ◎：剥離なし〇：素地は剥離しないがテープに粉状物付着 △：加工部の10％が剥離 ×：加工部が20％以上剥離耐食性……塩水噴霧試験（JISZ2371）で白錆５
％発生した時間 ◎：168時間以上〇：72〜168時間 △：24〜72時間 ×：24時間以下実施例２ Niを５、10、20、40％を含むNi−Zn合金メツ
キ鋼板をNaNO₃100ｇ／、H₃PO₄20ｇ／
（モル比0.18）、PH＝2.0の水溶液中で電流密度
50A／ｄm²で陽極電解処理した。いずれも処理後
ただちに水洗し、乾燥した。結果を表２に示す。

【表】表２は本発明において合金メツキ中のNiを５
〜40％に変化させたときの黒色外観、加工性、耐
食性を示したもので、本発明例10〜13は電解処理
したものである。比較例１、２は市販の銀入りク
ロメート処理法で、浴を用いてスプレーにより処
理した結果である。本発明並の黒色外観を得るた
めには120秒という長時間を必要とする。実施例３ Ni12±１％含むNi−Zn合金メツキ鋼板を表３
に示す処理浴で黒色処理した。結果を表３に示
す。いずれも黒色度は良好で、耐食性向上効果が
認められた。本発明例14〜18は電解で処理した結
果である。

【表】実施例４ Ni12±１％、Co0.3％含む亜鉛合金メツキ鋼板
を陽極としてNaNO₃／H₃PO₄＝120／30ｇ／
（モル比0.21）、PH1.2の水溶液中で電流密度20A／
ｄm²、５秒間電解したのち水洗し、その後、
SiO₂／CrO₃＝４／５％の水溶液をスプレーし、
ロール絞りで絞つたのち熱風乾燥にて板温60℃に
焼付け、更にポリエチレンイミンエマルジヨンと
コロイダルシリカの複合浴を乾燥塗膜で1μ狙い
として塗布し、板温120℃で焼付けた。品質はＬ値12の真黒な黒色外観を呈し、加工性
はエリクセン７mmで剥離なく、耐食性は168時間
で白錆５％以下であつた。実施例５実施例４の水溶液にクロム酸を0.1ｇ／加え
て同様の処理およびガードコートを行つた結果、
実施例４に比べ光沢のある真黒な黒色外観を得
た。その他の品質は実施例４と同じであつた。（発明の効果）本発明により高生産性の黒色処理メツキ鋼板が
得られ、品質を下げることなく低コストの表面処
理鋼板を提供出来る。黒色は、従来、塗料によつ
て供給されて来たが、本発明では薄い無機皮膜で
構成されており、耐溶剤性、傷付性が優れ、又変
色もしない利点がある。特に保護皮膜をつけた場
合は透明観のある黒色外観が得られ、従来の塗料
では得られない色調効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の反応工程を断面からみた模式
図である。ａは合金メツキを示し、ｂは着色処理
浴中での反応を示し、ｃは着色処理後の断面構成
図である。第２図は合金メツキの溶解と酸化の関
係を示したものである。

Claims

【特許請求の範囲】１亜鉛と黒色化する金属の合金メツキ鋼板を硝
酸塩とリン酸を含み且つリン酸／硝酸塩の比がモ
ル比で0.01〜1.5のPH＝3.0以下の酸性水溶液で陽
極電解処理することを特徴とする黒色亜鉛合金メ
ツキ鋼板の製造方法。２黒色化する金属がニツケル、コバルト、鉄、
銅、クロム、モリブデン、錫の一種以上を含む金
属である特許請求の範囲第１項記載の黒色亜鉛合
金メツキ鋼板の製造方法。３クロム酸、バナジン酸、モリブデン酸、過マ
ンガン酸、過酸化物の一種以上を0.001〜１％加
えたPH＝3.0以下の酸性水溶液を用いる特許請求
の範囲第１項記載の黒色亜鉛合金メツキ鋼板の製
造方法。４黒色被膜の表面に保護皮膜をコーテイングす
る特許請求の範囲第１項記載の黒色亜鉛合金メツ
キ鋼板の製造方法。