JP2510363B2 - 艶消し黒色表面処理鋼板 - Google Patents

艶消し黒色表面処理鋼板

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JP2510363B2
JP2510363B2 JP14032491A JP14032491A JP2510363B2 JP 2510363 B2 JP2510363 B2 JP 2510363B2 JP 14032491 A JP14032491 A JP 14032491A JP 14032491 A JP14032491 A JP 14032491A JP 2510363 B2 JP2510363 B2 JP 2510363B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家電製品、OA機器、
自動車内装部品、及び建築材料等における質感と高級感
をイメージした部材に用いる艶消し黒色表面処理鋼板に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】低コストで高性能、かつ感性に優れた外
観及び品質は、家電製品、OA機器、自動車内装部品、
家具、建築分野等に用いられる鋼板に対して、一貫して
要求され続けてきた。近年、特に複写機等の光学機器の
内部部品に見られるように、光学系の遮光枠に使用され
る低光反射率で低コスト鋼板の提供が強く要求されるよ
うになった。特に、色調としては黒色系で、高級感、質
感を持ち、かつ防眩効果を有する艶消し黒色塗装鋼板が
強く望まれている。これまでは、冷延鋼板をプレス加工
した後に20μ程度の黒色電着塗装を施し、さらにその
上に10〜20μの艶消し塗装を行った2コートのポス
トコートで行われていた。この様な従来の製造方法で
は、多くの工程を経るため、コストが掛かり過ぎるこ
と、処理に長時間を要すること等の問題が多かった。
【0003】これに対して需要家で行っていた前処理、
塗装の工程を省略し、低コストで従来のポストコートと
同等以上の品質の製品を得るプレコート鋼板化への動き
が近年活発となっている。そして、その具体的な品質レ
ベルは、光沢度(一般的にG値で表示)1〜5、黒色度
(一般的にL値で表示)20以下、外観均一性良好、鉛
筆硬度2H以上、等の従来のポストコートの品質に加え
て、プレス加工時の塗膜変色が起こらない、詳しくは、
90°曲げ加工時の加工部に白化現象が認められないこ
とである。
【0004】塗装省略のためのプレコート鋼板は種々実
用化されており、その中の一つとして、特開平2−78
540号に黒色表面処理鋼板が開示されているが、G値
は20〜28と高く、最も光沢の低い処理条件でもG値
は7であり、要求レベルを満足するまでには到らず、か
つ90°曲げ加工部の白化現象もやや認められ、いずれ
も光学系の遮光枠に使用する需要家の要求するレベルに
は到達できていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、無機系
黒色表面処理鋼板が実用化され、その需要が拡がりつつ
ある。しかし、光学機器の内部部品に使用されるような
場合には、性能面でさらに次のような改善が必要であ
る。即ち、光学系の遮光枠に使用され、防眩効果を有
するためには、G値が1〜5で、従来加工後塗装され
ていたものがプレコート化されるため、加工時、特に9
0°曲げ(R=0)加工部に塗膜変色(白化現象)が認
められないことが必要である。
【0006】特開平2−78540号に開示されている
黒色表面処理鋼板は、安定した色調とムラのない均一な
外観を有していることから、家電製品、OA機器、家具
等に広く用いられている。しかしながら、この技術では
前述した如く、光学機器の内部部品に使用されるような
場合、G値と加工性の両者を満足させるに到っていな
い。
【0007】従って、本発明においてL値及び外観均一
性を維持させたまま、G値と加工性を改善した艶消し黒
色表面処理鋼板を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の艶消し黒色表面
処理鋼板は以下の通りである。
【0009】Zn系合金めっき鋼板上に、黒色無機皮膜
層とクロム水和酸化物皮膜層を有し、更に樹脂100部
に対してカーボンブラックを35〜45部とコロイダル
シリカを30〜40部分散させた樹脂組成物に対して、
さらにシリカ白を5〜10%分散させた厚さ2〜3μの
水溶性または水分散性の樹脂被覆層を有することを特徴
とする艶消し黒色表面処理鋼板。
【0010】
【作用】本発明の艶消し黒色表面処理鋼板の皮膜構成の
模式図を図1に示した。図中aはZn系合金めっき鋼
板、bは黒色無機皮膜、cはクロメート皮膜、dは黒色
微粒子、艶消し剤等を分散させた樹脂皮膜である。
【0011】通常、艶消しの黒色外観を得るには、黒色
塗装をした後に、さらに艶消し塗装を行う2コートの塗
装で且つ塗膜を厚く塗装する必要がある。無機系黒色鋼
板の狙いとする2〜3μの薄膜では、着色度合及び均一
化の点で実現が極めて難しい。厚膜では有機樹脂自身の
特性が製品性能を支配するため、目的とする特性、例え
ば溶接性、耐疵付性、耐指紋性等が劣化する。有機樹脂
の厚みを3μ以下にすることによって、下層のめっきを
含めた無機皮膜との複合効果によって優れた特性が得ら
れる。本発明は下層に黒色無機皮膜b、及び上層にクロ
メート皮膜cを施した後、艶消し剤を含有する黒色の有
機樹脂dを形成することによって従来の問題点を解決し
たものである。
【0012】本発明のポイントは、模式図に示したdの
樹脂皮膜にある。即ち、この樹脂皮膜の中にシリカ白を
分散させてG値を下げるとともに、コロイダルシリカを
分散させることで皮膜強度を向上させ、カーボンブラッ
クを分散させることで加工部の下地隠蔽性を向上させ
て、薄膜の塗装皮膜でありながら、L値及び外観均一性
を維持させたまま、G値と加工性を改善したものであ
る。
【0013】一般に塗料の艶消しには、艶消し剤として
は炭酸カルシウム、マイカ、ケイ酸アルミ、タルク、シ
リカ白等の体質顔料、あるいは有機ポリエチレン粉末等
が使われるのが公知の技術である。また、一般に有機樹
脂の皮膜強度を向上させるために、無機有機化合物を複
合させた複合ポリマーを用いられるが、複合される化合
物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア
等の微細な酸化物のゾル、リン酸塩、ホウ酸塩、クロム
酸塩の無機化合物、脂肪酸石鹸類、脂肪酸エステル、プ
ラスチック粒子の有機化合物、シランカップリング剤、
チタンカップリング剤等の有機金属化合物がある。下地
隠蔽性を向上させるために添加する黒色微粒子として
は、カーボンブラック及びFe,Co,Ni,Cu,M
n,Mo,Ag,Sn等の酸化物、硫化物、カーバイド
や黒色の金属微粉がある。本発明の中で、種々検討を加
えた結果、光沢、皮膜強度等性能バランスがとれ、艶消
し黒色鋼板としての目的を達成するためには、艶消し剤
としてシリカ白が、複合ポリマー化合物としてコロイダ
ルシリカが、黒色微粒子としてカーボンブラックが、そ
れぞれ最も有効であることを見出した。それぞれの添加
剤について、適正な粒子径、添加量が存在するが、これ
らについては後述する。
【0014】有機樹脂被覆を行う方法としては、ロール
コーターによる塗装、及びスプレー塗装後ロール絞り等
により被覆した後、焼き付ける方法であるが、本発明で
は特に被覆方法を限定するものではない。本発明者らの
検討によれば、ロールコーターによる塗装が皮膜の均一
性を確保しやすく、最も好ましい方法として提案でき
る。
【0015】以下、各皮膜の詳細について述べる。
【0016】本発明のベースメタルはZn系合金めっき
鋼板である。Zn系合金めっき鋼板は、Fe,Ni,C
o,Al,Sn等の金属とZnの合金めっきである。耐
食性、耐疵付性の観点からめっき層の硬いZn−Ni合
金めっき鋼板が望ましい。
【0017】次に、黒色無機皮膜は、黒色の化合物を主
成分とし、密着性に優れている必要がある。これらの皮
膜は、Fe,Ni,Co,Mn,Mo,Cr,Cu,B
i,V等の水和酸化物、硫化物を主成分とし、熱処理、
化学的な溶解酸化、電気的な陽極酸化、及び陰極電解析
出等で得られるものである。皮膜は無機化合物で構成さ
れるため、黒色色調及び密着性の点で付着量0.1〜
3.0g/m2に制御することが望ましい。
【0018】更にクロム水和酸化物皮膜は、クロメート
処理で得られる。クロメート処理は、特に限定するもの
ではないが、塗布−乾燥型の塗布クロメート、浸漬又は
スプレー後水洗する反応クロメート及び電解クロメート
が適用できる。塗布クロメートは水溶性のCr3+及びC
6+の化合物、好ましくは無水クロム酸(CrO3)も
しくは還元剤でCr3+/Cr6+=0.1〜0.5に部分
還元したクロム酸の水溶性、もしくはシリカゾル、リン
酸、有機高分子化合物等を加えた複合成分のクロメート
処理液を黒色皮膜上に塗布した後、直ちに60〜120
℃に強制乾燥することによって得られる。反応クロメー
トは市販のクロム酸化合物とアニオン化合物からなる処
理液を用いることで得られる。又、電解クロメートは、
pH0.5〜5のクロム酸とアニオン及び金属イオンを
主成分とするクロム酸水溶液中で陰極電解した後、水洗
することによって得られる。付着量はCr換算で10〜
200mg/m2とするのが望ましい。200mg/m2
超ではクロメート皮膜自身の凝集破壊による密着性の劣
化、溶接電極の汚染等の問題が生じる。10mg/m2
未満では耐食性、密着性においてクロメートの効果が充
分でない。
【0019】樹脂被覆層は、外観及び溶接性等に害が無
いように配慮する必要があり(図8)、皮膜量としての
上限は3μである。また、外観均一性、特に質感を付与
すること、及びプレス加工における加工部の下地隠蔽性
確保すること、耐食性及び耐疵付性を付与すること等が
必要であるから、皮膜量としての下限は2μである。ま
た、カーボンブラックを分散させた樹脂皮膜は、黒色無
機皮膜における外観ムラの救済としても有効である。
【0020】樹脂(複合ポリマー)は、水溶性又は水分
散性の有機高分子化合物に無機化合物及び必要により硬
化剤を複合させた複合ポリマーをコーティングし、焼き
付け等によって硬化させた皮膜である。他に溶剤溶性や
紫外線硬化型の有機高分子化合物もあるが、溶剤の環境
問題や取扱い時の作業性の問題があるため、水溶性又は
水分散性の有機高分子化合物が経済性、生産性、汎用性
の点で最も優れている。
【0021】樹脂に分散させる艶消し剤は、シリカ白
(SiO2・nH2O)が最も好ましい。粒径は、目的と
する外観色調、光沢によって選択し、市販されている粒
径20〜100nmのシリカ白が使用できる(図2)。
シリカ白の粒径の大小によって光の散乱反射率が異な
り、艶消し効果に影響を及ぼす。即ち、極端に粒径の小
さいものは光沢を上げるため、本発明の目的である艶消
し効果(光沢低下)には逆効果である。又、粒径が大き
すぎるとシリカ白が樹脂皮膜を突き破って、表面がざら
つき均一外観が得られにくく、特に耐疵付性が劣化す
る。従って、シリカ白の粒径は20〜100nmが適正
範囲である。添加量は、均一外観性、光沢度等から、混
合樹脂に対する重量比率(シリカ白/(樹脂+カーボン
ブラック+コロイダルシリカ))が5〜10%である
(図3)。5%未満では、光沢度の低下、即ち艶消し効
果が認められない。又、10%超では、外観が不均一と
なりムラが発生しやすくなるとともに、表面の凸凹が大
きくなり耐疵付性が劣化する。このような理由から、混
合樹脂に対する重量比率は5〜10%、好ましくは6〜
8%である。
【0022】更に、樹脂に分散させる黒色微粒子は、カ
ーボンブラックが最も好ましい。粒径は、目的とする外
観色調、光沢によって選択し、市販されている粒径50
〜170nmのカーボンブラックが使用できる(図
4)。粒径50nm未満の細かいカーボンブラックは黒
色化の能力には優れているが、光沢には効果がなく、む
しろ光沢を上げるため本発明の目的である光沢低下には
逆効果である。また、170nm超では、水溶性有機樹
脂中で沈降し易くなり、樹脂中に偏在して均一な外観が
得られにくく、かつ、耐疵付性が劣化する。従って、適
正なカーボンブラックの粒径は100nm前後が好まし
い。実用的には、ディスパージョンとしてカーボンブラ
ックを分散させた市販品を使用できる。添加量は、外観
の色調及び均一性や電気導電性の点では樹脂に対する重
量比率(カーボンブラック/樹脂)が15/100以上
で良いが、加工部の下地隠蔽性の点から35/100以
上であることが必要である。35/100未満ではプレ
ス加工後の90°曲げ加工部(R=0)で白化現象が起
こる。また、カーボンブラックの重量比率が45/10
0を超えると、カーボンブラックの二次凝集によりカー
ボンブラックが樹脂皮膜を突き破って突き出るため、表
面がざらつき、擦り疵や粉化を生じさせ、密着性、耐食
性が劣化する。このような理由から、樹脂に対する重量
比率は(35〜45)/100とする(図5)。カーボ
ンブラックの他に、黒色微粒子としてFe,Co,N
i,Cu,Mn.Mo,Ag,Sn等の酸化物、硫化
物、カーバイドや黒色の金属微粉も使用できるが、下地
隠蔽性の点でカーボンブラックに劣る。
【0023】無機化合物を複合させた複合ポリマーにお
いて、無機化合物はコロイダルシリカが最も好ましい。
有機樹脂皮膜の強度を確保するため、コロイダルシリカ
の粒径は1〜20nmが好ましく、樹脂中に均一に分散
させる必要がある(図6)。粒径が20nm超では有機
皮膜の強度が得られ難く、加工時の下地隠蔽性が劣化す
る。添加量は、皮膜強度、外観の色調及び均一性から樹
脂に対する重量比率(コロイダルシリカ/樹脂)は(3
0〜40)/100とする(図7)。30/100未満
では加工時の皮膜強度確保に対して効果がなく、40/
100を超えるとコロイダルシリカの二次凝集によりコ
ロイダルシリカが樹脂皮膜を突き破って突き出るため、
表面がざらつき、擦り疵や粉化を生じさせ、密着性、耐
食性が劣化する。
【0024】なお、樹脂に分散させるこれらの微粒子の
粒径は、レーザー散乱光を利用した分光分析機を用いて
各々測定管理することができる。
【0025】また、塗装外観の均一性を特に厳しく要求
される場合には、樹脂に対しレベリング作用を持つ界面
活性剤を本艶消し黒色樹脂に添加することも有効であ
る。その添加量は艶消し黒色樹脂に対して50ppm以
上であれば効果があり、実用的には50〜100ppm
で良い。
【0026】
【実施例】以上、実施例を挙げ本発明を説明する。実施
例における用語及び評価方法は以下の通りである。
【0027】(1)艶消し黒色外観 L値:明度(JIS Z 8370)を表し、黒色鋼板
としてはL≦20が必要。 G値:黒色ガラス板を標準値90.1として60°鏡面
反射による光沢度を測定。艶消し鋼板としてはG≦5が
必要。 外観均一性:艶消し樹脂被覆した後の外観を目視評価し
た。 5…ムラ全くなし。 4…実用上差し支えない軽度のムラ。 3…スジ状のムラがやや認められる。 2…スジ状のムラが明瞭に認められる。 1…ムラが顕著である。
【0028】(2)加工性 R=0,90°曲げ加工を行い、外側R加工部を目視評
価し、白化現象の程度を評価した。 5…全く異常なし。 4…全長の1/4まで白化現象が認められる。 3…全長の1/2まで白化現象が認められる。 2…全長の3/4まで白化現象が認められる。 1…全長にわたって白化現象が認められる。
【0029】(3)耐疵付性 鉛筆硬度による引っ掻き疵を表面皮膜の損傷程度により
目視評価し、疵が入る前の鉛筆の硬さで表した(JIS
K 5400)。
【0030】(4)スポット溶接性 塗装板同士を組み合わせ、加圧力200kg、通電サイ
クル10Hz一定で溶接電流を可変しながら、溶接可否
を判定した(電極径4.5mmφ、Cu−Zn電極)。 ○…散り等の発生がなく、容易に溶接ができる。 △…溶接電流を変化させると溶接できるが、散り等が発
生し外観が悪い。 ×…溶接電流を変化させても溶接ができない。
【0031】実施例1 亜鉛ニッケル合金めっき鋼板(Ni含有率11.5%,
めっき量20g/m2,平均粗さ1.2μ)を、硝酸ナ
トリウム−リン酸混合溶液でスプレー処理することによ
って黒色無機皮膜を形成させ、電解クロメート処理を施
した後、樹脂100部に対してカーボンブラック(粒径
99nm及び164nm)を40部とコロイダルシリカ
(粒径7nm)を35部分散させたオレフィン/アクリ
ル系樹脂エマルジョンに対し、更にその中に艶消し剤と
してケイ酸アルミ(粒径50nm)、タルク(粒径3μ
m)、シリカ白(粒径60nm)をそれぞれ5〜15%
分散させてロールコーターにて乾燥膜厚2.5±0.1
μ塗装し、板温120℃に焼き付けた。表1に評価した
結果を示す。
【0032】
【表1】
【0033】No.1は、粒径99nmのカーボンブラ
ックを分散し、艶消し剤を添加しない比較例で、G値2
8の光沢外観であった。No.2〜10は、粒径99n
mのカーボンブラックで各種艶消し剤を検討したもの
で、No.8〜10に示すようにシリカ白の添加で艶消
し効果が大きく、5%以上添加することによりG値が5
以下に低下した。シリカ白の添加とともにL値は大きく
なり、No.10の比較例に示すようにシリカ白を15
%添加したものはL値20.3と黒色度を満足できなく
なった。
【0034】No.11は、粒径164nmのカーボン
ブラックを分散し、艶消し剤を添加しない比較例で、G
値22の光沢外観であった。No.12〜20は、粒径
164nmのカーボンブラックで各種艶消し剤を検討し
たもので、No.8〜10と同様に、シリカ白の添加で
艶消し効果があった。この場合も、No.20の比較例
に示すようにシリカ白を15%添加したものはL値2
1.2と黒色度を満足できなくなった。
【0035】また、No.21に従来例として冷延鋼板
に黒色電着塗装を施した後に艶消し塗装を行ったものの
特性を示した。G値は4.3、L値は18.7であっ
た。なお、塗膜厚が41μ前後の厚膜であるため、溶接
はできなかった。
【0036】No.8,9,18,19の実施例に示す
ように、艶消し剤としてシリカ白を5〜10%添加する
ことにより、G値、L値ともに従来例なみの値が得ら
れ、しかも溶接が容易に行えた。
【0037】実施例2 亜鉛ニッケル合金めっき鋼板の表面にスプレー法により
黒色無機皮膜を形成させ、電解クロメート処理を施した
後、樹脂100部に対してカーボンブラック(粒径99
nm)40部とコロイダルシリカ(粒径7nm)35部
を分散させたオレフィン/アクリル系樹脂エマルジョン
に対し、更に艶消し剤としてシリカ白を分散させ、シリ
カ白の添加量及び粒径を変化させたものをロールコータ
ーにて乾燥膜厚2.5±0.1μ塗装し、板温120℃
に焼き付けた。表2評価した結果を示す。
【0038】
【表2】
【0039】シリカ白の粒径が20nm未満の比較例
(No.2〜4)では、艶消し効果が小さくG値がN
o.22の従来例に比べ高くなった。シリカ白の粒径が
100nm超の比較例(No.17〜21)では、G値
は非常に低くなっているが、外観均一性、耐疵付性に劣
った。また、シリカ白の添加量が5%未満の比較例(N
o.8)では艶消し効果が小さく、10%超の比較例
(No.12,13)では外観均一性、耐疵付性に劣
る。No.5〜7,9〜11,14〜16の実施例に示
すように、粒径20〜100nmのシリカ白を5〜10
%添加することにより、従来例と同等の皮膜性能が得ら
れ、しかも溶接が容易に行えた。
【0040】実施例3 亜鉛ニッケル合金めっき鋼板の表面にスプレー法により
黒色無機皮膜を形成させ、電解クロメート処理を施した
後、カーボンブラックの粒径及び添加部数を変化させ
て、樹脂100部に対してカーボンブラックとコロイダ
ルシリカ(粒径7nm)35部を分散させたオレフィン
/アクリル系樹脂エマルジョンに対し、更に艶消し剤と
してシリカ白(粒径60nm)7.5%を分散させてロ
ールコーターにて乾燥膜厚を2.5±0.1μ塗装し、
板温120℃に焼き付けた。表3に評価した結果を示
す。
【0041】
【表3】
【0042】カーボンブラックの粒径が50nm未満の
比較例(No.1)では、加工部の下地隠蔽性が悪くな
った。カーボンブラックの粒径が170nm超の比較例
(No.10)では、外観均一性、耐疵付性に劣った。
また、カーボンブラックの添加量が35部未満の比較例
(No.3)では加工部の下地隠蔽性が悪く、45部超
の比較例(No.7)では外観均一性、耐疵付性に劣
る。No.2,4,5,6,8,9の実施例に示すよう
に、粒径50〜164nmのカーボンブラックを35〜
45部添加することにより、従来例と同等の皮膜性能が
得られ、しかも溶接が容易に行えた。
【0043】実施例4 亜鉛ニッケル合金めっき鋼板の表面にスプレー法により
黒色無機皮膜を形成させ、電解クロメート処理を施した
後、コロイダルシリカの粒径及び添加部数を変化させ
て、樹脂100部に対してカーボンブラック(粒径99
nm)40部とコロイダルシリカを分散させたオレフィ
ン/アクリル系樹脂エマルジョンに対し、更に艶消し剤
としてシリカ白(粒径60nm)7.5%を分散させて
ロールコーターにて乾燥膜厚2.5±0.1μ塗装し、
板温120℃に焼き付けた。表4に評価した結果を示
す。
【0044】
【表4】
【0045】コロイダルシリカの粒径が20nm超の比
較例(No.10)では、加工部の下地隠蔽性に劣っ
た。また、コロイダルシリカの添加量が25部未満の比
較例(No.2)では加工部の下地隠蔽性が悪く、40
部超の比較例(No.6)では耐疵付性に劣る。No.
1,3〜5,7〜9の実施例に示すように、粒径3〜2
0nmのコロイダルシリカを30〜40部添加すること
により、従来例(No.11)と同等の皮膜性能が得ら
れ、しかも溶接が容易に行えた。
【0046】実施例5 亜鉛ニッケル合金めっき鋼板の表面にスプレー法により
黒色無機皮膜を形成させ、電解クロメート処理を施した
後、樹脂100部に対してカーボンブラック(粒径99
nm)40部とコロイダルシリカ(粒径7nm)35部
を分散させたオレフィン/アクリル系樹脂エマルジョン
に対し、更に艶消し剤としてシリカ白(粒径60nm)
7.5%を分散させてロールコーターにて乾燥膜厚を
1.1〜3.9μと変えて塗装し、板温120℃に焼き
付けた。表5に評価した結果を示す。
【0047】
【表5】
【0048】L値は膜厚により変化しないが、G値は膜
厚とともに低下する傾向を示す。膜厚が2μ未満のN
o.1,2の比較例では、No.8の従来例に比べG値
が高く、かつ加工部の下地隠蔽性に劣り、また、膜厚が
3μ超のNo.6,7の比較例では、皮膜の耐疵付性が
劣化するとともに溶接しにくくなった。膜厚が2〜3μ
のNo.3〜4の実施例では、No.8の従来例と同等
もしくはそれ以上の皮膜性能を示すとともに容易に溶接
が行えた。
【0049】
【発明の効果】本発明の艶消し黒色表面処理鋼板は、品
質的に光沢が低く、加工性、耐食性に優れ、耐疵付性、
耐指紋性等を有する新しい鋼板として従来の艶消し塗装
鋼板分野に使用でき、製品の高級化、低コスト化に大き
く寄与するものである。
【0050】また、製造的にも、ロールコーター塗布性
等は従来の塗装技術による操業範囲で容易に適用でき、
高速短時間処理が可能なため、従来の電気めっきライン
内での処理が可能であり、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の艶消し黒色表面処理鋼板の断面模式
図。
【図2】L値(明度)、G値(光沢度)、表面外観と艶
消し黒色樹脂皮膜中のシリカ白の粒径との関係を示す
図。
【図3】L値、G値、表面外観と艶消し黒色樹脂皮膜中
のシリカ白の添加量との関係を示す図。
【図4】L値、G値、表面外観と艶消し黒色樹脂皮膜中
のカーボンブラックの粒径との関係を示す図。
【図5】加工性、耐疵付性と艶消し黒色樹脂皮膜中のカ
ーボンブラックの添加量との関係を示す図。
【図6】加工性と艶消し黒色樹脂皮膜中のコロイダルシ
リカの粒径との関係を示す図。
【図7】加工性、耐疵付性と艶消し黒色樹脂皮膜中のコ
ロイダルシリカの添加量との関係を示す図。
【図8】加工性、溶接性と艶消し黒色樹脂皮膜の膜厚と
の関係を示す図。
【符号の説明】
a…Zn系合金めっき鋼板 b…黒色無機皮膜 c…クロメート皮膜 d…艶消し剤、黒色微粒子等を分散させた樹脂皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 15/08 B32B 15/08 G 27/18 9349−4F 27/18 A

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn系合金めっき鋼板上に、黒色無機皮
    膜層とクロム水和酸化物皮膜層を有し、更に樹脂100
    部に対してカーボンブラックを35〜45部とコロイダ
    ルシリカを30〜40部分散させた樹脂組成物に対し
    て、さらにシリカ白を5〜10%分散させた厚さ2〜3
    μの水溶性または水分散性の樹脂被覆層を有することを
    特徴とする艶消し黒色表面処理鋼板。
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