JP3205386B2 - サスペンションコンベアシステム及びその駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、サスペンションコンベ
ア機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のサスペンションコンベア
機構は、ドイツ公開公報第３０４２６８９号において周
知のものである。このサスペンションコンベア機構で
は、コン ベア手段を押出する押出装置に、レバーと、ピ
ボットピンと、スプリングとがそれぞれ複数個備えられ
ている。これらは押出装置の押出指（駆動指）をローラ
ーチェーンの板に固定するとともに、この押出指をコー
ナーリング時に横方向に回動可能な状態で確実に支持す
るためのものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
サスペンションコンベア機構では、直線ラインに沿った
搬送時には、支持手段によって押出指の横方向の回転が
起こらないようにする必要もある。さらに、必要であれ
ばコンベア手段の運搬路から押出指を除去するための計
測値もとらなければならない。

【０００４】さらに、このような周知のサスペンション
コンベア機構は、構造上極めて複雑な設計となっている
上、特に押出指を引き戻す際にはオペレータが必要とな
る。

【０００５】そこで、本発明の技術的課題は、上記欠点
に鑑み、構造が簡単で、自動運転できるサスペンション
コンベア機構を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係るサスペンシ
ョンコンベア機構は、駆動手段と、レールによって予め
定められた運搬路に沿って推進されるコンベア手段と、
を備え、前記駆動手段が細長い可撓性のコンベア要素を
有し、このコンベア要素には少なくとも１つの押出装置
が取り付けられ、この押出装置は、前記運搬路に突出
し、前記コンベア要素によって前方へ駆動されることに
より前記コンベア手段を押出するサスペンションコンベ
ア機構において、前記押出装置（１３）は、前記コンベ
ア要素（１２）に実質的に固定された取付片部（１５）
と押出指（１４）とを有するプラスチック部品であり、
該押出指（１４）は、弾性及び可撓性を有し、前記運搬
路に対して平行に移動できる。

【０００７】押出装置は、弾性がある押出指を有するプ
ラスチック部品として構成されているため、押出指の横
断面形状及び弾性のそれぞれがコンベア手段を輸送（搬
送）するために必要な力に適したものである場合には、
曲線での進行特性が良い上にジャーク（ｊｅｒｋ；ガタ
ガタと揺れながら進む動作）を招くことなく始動するこ
とができる。また、押出装置がプラスチック部品である
ため、容易に製造することができ、磨耗した場合にも容
易に交換することができる。

【０００８】そして、請求項１に係る発明では、前記押
出指（１４）が、部分的に弾性を増加させた領域（１４
ａ）を介して前記取付片部（１５）に連結されている。

【０００９】このような構成とすることによって、押出
指の弾性をさらに増加させることができる。このような
部分的に弾性を増加させた領域によって、押出指が取付
片部に連結されている箇所に対してコンベア手段の駆動
時に発生する局所的な最大応力が緩和される。

【００１０】請求項２は、特に、部分的に弾性を増加さ
せた領域を提供する簡単な方法について述べているもの
であり、弾性を増加させた領域（１４ａ）が、搬送方向
に押出指（１４）をジグザグ型に折り曲げて形成されて
いる。

【００１１】請求項３に係る発明では、前記押出指（１
４）が、断面矩形のストリップとして形成されており、
該ストリップの最も短い辺が搬送方向に向けられてい
る。すなわち請求項３に係る押出指をストリップとした
構成は、押出指自体の弾性の向上と、この押出指の機械
的強度の確保とを両立するものである。

【００１２】さらに、請求項４に示されているように押
出指が取付片部と一体に形成されている場合には、本発
明に係る押出装置を製造することは特に簡単である。

【００１３】請求項５に係る発明では、前記押出装置の
取付片部がコンベア要素の舌部に着脱可能に取り付けら
れているため、磨耗した押出装置を容易に交換すること
ができる。

【００１４】さらに好ましくは、前記取付片部は、前記
舌部にスナップロック可能であり、前記舌部に対する保
持溝とリア係止部とを有している。

【００１５】このような請求項６及び７に記載の取付片
部の構造は、押出装置とコンベア要素とを連結するもの
である。この取付片部は特に簡単に製造することができ
るものであり、取り付け及び取り外しを容易に行うこと
ができる。

【００１６】請求項８に係る発明では、前記コンベア要
素（１２）は前記舌部（１２ａ）を備えたローラチェー
ンである。

【００１７】この請求項８によれば、舌部を備えた市販
のローラーチェーンをコンベア要素として有効に利用し
ている。すなわち、請求項８は、コンベア要素の特に好
ましい構成について述べている。

【００１８】また、請求項９に係る発明では、前記サス
ペンションコンベア機構において、前記コンベア要素
（１２）は、レール（２，４）の横方向に斜め下方に配
置され、前記押出指（１４）は、前記運搬路へ向けて実
質的に水平に突出している。

【００１９】請求項１０に係る発明では、押出装置が取
付片部（１５）と弾性を有する押出指（１４）とを有す
るプラスチック部品として形成されている。

【００２０】また、前記押出指（１４）が、部分的に弾
性を増加させたジグザグ型の領域（１４ａ）を介して前
記取付片部（１５）に連結されている。

【００２１】請求項１１に係る発明では、前記取付片部
（１５）は、前記コンベア要素（１２）の舌部（１２
ａ）に対する保持溝（１８）と、前記コンベア要素（１
２）に弾性的にスナップされるリア係止部（２０，２
１）とを備えている。

【００２２】これらの請求項１０及び１１は、本発明に
係るサスペンションコンベア機構に用いられる押出装置
に関するものである。

【００２３】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００２４】図１は、サスペンションコンベアシステム
（サスペンションコンベア機構）を示す概略図である。
サスペンションコンベアシステム１は、キャリア３から
下方に延在しているレール２を備えている。レール２
は、屋根型踏面形４を有しており、この踏面形の上面に
はコンベア手段５がローラ６によって支持されている。

【００２５】このときコンベア手段５は、踏面形の上面
で図１に示す投影面に対して垂直方向に移動できるよう
に支持されている。ローラ６はＵ型またはＶ型の弓形７
によって相互に連結されている。さらに、クロスウェブ
８を用いて弓形の安定を保っている。

【００２６】輸送（搬送）対象物は、弓形７から直接ま
たは他の構成部品を用いて間接的に吊り下げる。プラス
チックレールの上部にある連結ロッド９によって、キャ
リア３からプラスチックレール１０が吊されている。こ
のプラスチックレールは上部が開いた逃げ１１を有し、
キャリア３と対向している。

【００２７】市販されているローラチェーン１２のよう
な細長い可撓性のコンベア要素は、板（舌部）１２ａを
有するローラチェーンの上部が逃げの上に突出するよう
に逃げ１１に備えられている。プラスチックレール１０
は、踏面形４に対して横方向の斜め下方に位置してお
り、例えばモータ駆動ギアのような図示しない駆動機構
によって駆動される時、最低でも輸送領域内ではローラ
チェーン１２が踏面形４に対して平行に移動するように
配置されている。

【００２８】ローラチェーン１２には、踏面形４上のコ
ンベア手段５の運搬路に対し、側面から水平方向に突出
する押出装置１３が固定されている。プラスチックレー
ル１０の部分は、コンベア手段５が踏面形４上を移動す
るときに押出装置１３がクロスウェブ８と係合するよう
に、適当な方法によってコンベア手段５に適合させてお
く。

【００２９】図２から図４において示されるように、押
出装置１３は駆動指（押出指）１４と保持部材（取付片
部）１５とを有している。駆動指と保持部材とは、射出
成形によって得られる一体的な部品として、プラスチッ
ク材料から製造される。駆動指１４は、断面矩形かつ輸
送方向における寸法が最小限の水平ウェブとして構成さ
れている。

【００３０】駆動指１４は極めて幅が狭いため、それ自
体が弾性かつ可撓性であって、輸送方向すなわち図１に
示す投影面に対して垂直方向に移動可能である。弾性を
さらに増すためには、駆動指１４の一部の領域１４ａを
輸送方向にジグザグ型の形状とする。領域１４ａの他方
の端は、駆動指１４の断面領域を介して、保持部材１５
の垂直保持ウェブ１６に連結されている（図３参照）。

【００３１】指の断面すなわち寸法を変化させるか、ま
たは領域１４ａを変化させることで、利用者の希望に応
じて押出装置１３の弾性を簡単に変化させることがで
き、様々な輸送目的に適応することができる。

【００３２】さらに、保持ウェブ１６は、保持部材１５
が有する矩形の保持板１７の上側にこれと一体に連結さ
れている。保持板１７は、駆動指１４の下方で駆動指と
は離間した状態で保持ウェブ１６から駆動指の自由端の
方へ延在している。保持板の保持ウェブ１６に対向する
側はロックウェブ１９の形となっており、ロックウェブ
の三側面によってロック溝（保持溝）１８が規定されて
いる。保持板１７と一体に形成されている弾性ウェブ
（リア係止部）２０は、保持ウェブ１６の側面から駆動
指と反対方向に延在している。このウェブ２０は下方に
面した係止用突起２１を有している。係止用突起はカウ
ンタフックとして働く。

【００３３】図２において最もよく示されるように、ロ
ーラチェーン１２には板１２ａが備えられており、この
板はローラチェーンの一方の側面に備えられて図１に示
すような上側を形成している。さらに板１２ａは、各チ
ェーンリンクまたはチェーンリンクの中のいずれかのカ
バープレートによって一体に形成された片側突起として
構成されている。ローラチェーン１２は、板１２ａがコ
ンベア手段５の方向に延在するようにプラスチックレー
ル１０に係合している。保持部材１５の寸法は、板１２
ａがロック溝１８に収まるように押出装置１３を前方か
ら板１２ａに押し込むことができるような状態で板１２
ａの寸法に合うようにしておく。

【００３４】このとき、係止部２１は若干上方に曲げて
おく。さらに、係止用突起２１は、逃げとなっている部
分１２ｂの位置においてスナップする。この逃げ部分
は、ローラチェーンの板１２ａとは反対の端に位置して
いる。逃げ部分は、係止部２１が逃げ部分１２ｂに適合
するためにこの位置にきており、ポジティブエンゲージ
メントが得られるようになっている。それぞれの輸送目
的に応じて、すべての板１２ａまたは板１２ａから選択
した一部の板を押出装置１３に取り付けることも可能で
ある。

【００３５】コンベア手段５を輸送するために、チェー
ン１２を駆動する駆動機構を起動させる。ローラチェー
ン１２の移動経路内では、駆動指１４はいずれか１つの
コンベア手段５のクロスウェブと係合してコンベア手段
５を搬送する。駆動指１４、特に領域１４ａの部分に弾
性があるため、コンベア手段５を押す際にジャーク（ガ
タガタと揺れながら動く動作）を招くことはない。

【００３６】さらに、チェーン１２は動いているのにコ
ンベア手段５が停止した場合、コンベア手段５との係合
が解除される程度に駆動指の向きが変わる。すなわち駆
動機構が連結されていない状態となるのである。このよ
うなことに鑑みて、向きが変化する時に駆動指は基本的
にラインに沿って接触しているのみの状態となるので、
摩擦力も極めて小さくてすむ。

【００３７】上述した実施例の変形例として、駆動指を
コンベアチェーンの他の点で動作させることも可能であ
る。連結されたコンベア手段の列における各コンベアチ
ェーンに別個の押出装置を適用することも可能である。
しかしながら、限られた押出装置でコンベア手段の列を
動作させることもできる。一体のものとして構成された
押出装置を設計することが好ましい。一方、駆動指は、
例えば保持ウェブに備えられたあり溝に押入れるように
してもよいし、他の方法で固定してもよい。

【００３８】さらに、細長いコンベア要素としては、押
出装置が取り付けられる板または他の固定要素を備えて
いれば、ローラチェーンの代わりとして例えばリンクチ
ェーン、ロープ、ベルトやこれに類するものなどの可撓
性で細長い他のコンベア要素を使用することも可能であ
る。また、クリップまたはこれに類するものを用いて、
押出装置をコンベア要素に取り付けることも可能であ
る。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、構造が簡
単で自動運転できるサスペンションコンベア機構を提供
することができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】サスペンションコンベア機構の一部を示す概略
図である。

【図２】図１における駆動機構の平面図である。

【図３】図２に示す押出装置の線ＩＩＩ−ＩＩＩ部分の
断面図である。

【図４】押出装置を下から見た図である。

【符号の説明】

１…サスペンションコンベア機構 ２…レール ３…キャリア ４…屋根形踏面形 ５…コンベア手段 ６…ローラ ７…弓形 ８…クロスウェブ ９…連結ロッド １０…プラスチックレール １１…逃げ １２…ローラチェーン（コンベア要素） １３…押出装置 １４…駆動指（押出指） １５…保持部材（取付片部） １６…保持ウェブ １７…保持板 １８…ロック溝（保持溝） １９…ロックウェブ ２０…弾性ウェブ（リア係止部） ２１…係止用突起

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 西独国特許出願公開3042689（ＤＥ, Ａ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B61B 10/00

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動手段と、レールによって予め定めら
   れた運搬路に沿って推進されるコンベア手段と、を備
   え、前記駆動手段が細長い可撓性のコンベア要素を有
   し、このコンベア要素には少なくとも１つの押出装置が
   取り付けられ、この押出装置は、前記運搬路に突出し、
   前記コンベア要素によって前方へ駆動されることにより
   前記コンベア手段を押出するサスペンションコンベア機
   構において、 前記押出装置（１３）は、前記コンベア要素（１２）に
   実質的に固定された取付片部（１５）と押出指（１４）
   とを有するプラスチック部品であり、 該押出指（１４）は、弾性及び可撓性を有し、前記運搬
   路に対して平行移動可能であり、かつ、部分的に弾性を
   増加させた領域（１４ａ）を介して前記取付片部（１
   ５）に連結されていることを特徴とするサスペンション
   コンベア機構。
2. 【請求項２】 前記部分的に弾性を増加させた領域（１
   ４ａ）は、前記押出指（１４）を搬送方向にジグザグ型
   に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項１
   に記載のサスペンションコンベア機構。
3. 【請求項３】 前記押出指（１４）は、断面矩形のスト
   リップとして形成され、該ストリップの最も短い辺が搬
   送方向に向けられていることを特徴とする請求項１又は
   ２に記載のサスペンションコンベア機構。
4. 【請求項４】 前記押出指（１４）は、前記取付片部
   （１５）と一体に形成されていることを特徴とする請求
   項１〜３のいずれかに記載のサスペンションコンベア機
   構。
5. 【請求項５】 前記コンベア要素（１２）が舌部（１２
   ａ）を備え、前記取付片部（１５）が前記舌部（１２
   ａ）に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする
   請求項１〜４のいずれかに記載のサスペンションコンベ
   ア機構。
6. 【請求項６】 前記取付片部（１５）は、前記舌部（１
   ２ａ）にスナップロック可能であることを特徴とする請
   求項５に記載のサスペンションコンベア機構。
7. 【請求項７】 前記取付片部（１５）は、前記舌部（１
   ２ａ）に対する保持溝（１８）とリア係止部（２０，２
   １）とを有することを特徴とする請求項５又は６に記載
   のサスペンションコンベア機構。
8. 【請求項８】 前記コンベア要素（１２）は、前記舌部
   （１２ａ）を備えたローラチェーンであることを特徴と
   する請求項１〜７のいずれかに記載のサスペンションコ
   ンベア機構。
9. 【請求項９】 前記コンベア要素（１２）は、レール
   （２，４）の横方向に斜め下方に配置され、 前記押出指（１４）は、前記運搬路へ向けて実質的に水
   平に突出していることを特徴とする請求項１〜８のいず
   れかに記載のサスペンションコンベア機構。
10. 【請求項１０】 請求項１〜９のいずれかに記載のサス
    ペンションコンベア機構の押出装置であって、取付片部
    （１５）と、弾性を有する押出指（１４）と、を有する
    プラスチック部品として形成され、 前記押出指（１４）が、前記取付片部（１５）に一体的
    に連結されるとともに、部分的に弾性を増加させたジグ
    ザグ型の領域（１４ａ）を介して前記取付片部（１５）
    に連結されていることを特徴とするサスペンションコン
    ベア機構の押出装置。
11. 【請求項１１】 前記取付片部（１５）は、前記コンベ
    ア要素（１２）の舌部（１２ａ）に対する保持溝（１
    ８）と、前記コンベア要素（１２）に弾性的にスナップ
    可能なリア係止部（２０，２１）と、を備えることを特
    徴とする請求項１０に記載のサスペンションコンベア機
    構の押出装置。