JP3198633B2 - 接木苗製造機における苗寄せ装置 - Google Patents

接木苗製造機における苗寄せ装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、台木苗と穂木苗を自動
的に供給・接着して接木苗を製造する接木苗製造機の改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の接木苗製造機としては、台木苗お
よび穂木苗をそれぞれのせる苗載せ台と、その各苗載せ
台に載せられた各苗を把持してそれぞれ別に搬送する搬
送装置と、各搬送装置の搬送経路中に介在し、搬送され
る台木苗の子葉の片葉部分および穂木苗の胚軸部を切断
刃によって切断する切断装置と、両搬送装置により把持
された台木および穂木の両切断面を所定位置で対向さ
せ、クリップで接着し固定する苗接着装置とを備えたも
のが提案されている(特開平2-107125号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、台木苗および
穂木苗を接木位置まで移動し、クリップで接着しようと
しても両苗の位置がずれてしまいうまく固定できないと
いう問題点があった。
【0004】また穂木苗は脆弱であり、クリップで固定
する際に折れ曲がってしまうという欠点があった。
【0005】本発明は、これらの問題点を解決すべく成
されたものであり、多様な苗を確実に位置決めすること
により、接木の成功率・活着率の向上を可能とする接木
苗製造機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は以下のように構成した。
【0007】第1発明の苗寄せ装置は、台木苗と穂木苗
を搬送装置でそれぞれ別に搬送し、この台木苗と穂木苗
を搬送中に切断し、接木位置で切断した台木苗と穂木苗
の両切断面を接着して接木苗を製造する接木苗製造機に
おいて、前記台木苗と穂木苗のうちのいずれか一方のみ
を他方の苗が待機する位置に寄せる苗寄せ体を設けるこ
とを特徴とするものである。
【0008】第2発明の苗寄せ装置は、前記苗寄せ体
が、台木苗を穂木苗が待機する位置に寄せるものである
ことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明では、苗寄せ体が、台木苗と穂木苗のう
ちのいずれか一方を他方の苗が待機する位置に寄せる際
の微少な位置決めを行う。
【0010】ここで、第1発明に係る苗寄せ体は、台木
苗と穂木苗のいずれか一方のみを他方の苗が待機する位
置に寄せる。
【0011】また、第2発明の苗寄せ体は、台木苗を穂
木苗の待機する位置に寄せる。
【0012】
【実施例】本発明実施例につき以下に図面に従って説明
する。本発明実施例の接木苗製造機1は、図3に示すよ
うに、台木苗が一本ずつ台木苗保持具21に供給される
と、台木搬送装置31はその苗を把持して接木位置Aま
で搬送し、一方、穂木苗が一本ずつ穂木苗保持具22に
供給されると、穂木搬送装置32はその苗を把持して接
木位置Aまで搬送する。両搬送装置31,32で搬送中
の各苗を、切断位置B1,B2において、対応する切断
装置41,42の切断刃46,85の回動により所定部
をそれぞれ切断し、さらに切断した台木苗および穂木苗
が接木位置Aまでくると、苗接着装置51でクリップを
供給して両苗の切断面を接着し、接着済みの接木苗は落
下して回収するように構成したものである。
【0013】図4において、5は台木側支持体であり、
上面の水平部5a、水平部5aの後端を下向きに屈曲し
た垂直部5b、および水平部5aから前方に突設した支
持杆6,6からなる。この台木側支持体5の垂直部5b
には台木苗保持具21を装着し、また水平部5aの下面
には台木搬送装置31の基部31aを懸吊状に装着し、
また支持杆6,6の前方には台木切断装置41を装着す
る。一方、機枠を構成する中部支柱2の前面に取付板4
を固着し、この取付板4の前面に、台木側支持体5全体
をボルトにより組み付ける。
【0014】支持杆6,6の後端は、水平部5aの後端
よりも後方に長く形成し、組み付けの際には取付板4の
上部の通孔4a,4aを通じて後方に突出させる。そし
てC1は、取付板4に対する台木側支持体5の位置決め
をするための調整装置であって、取付板4の裏面側の上
端にコ字状の枠板8を取付け、その枠板8の左右からは
調整ネジ9,9を螺入し、通孔4a,4aに挿入された
支持杆6,6の後端に側方から当接させてなり、調整ネ
ジ9,9の回転により台木側支持体5の左右位置を正確
に位置決めする。
【0015】一方、この台木側支持体5に対して左右対
称に、穂木側支持体15を構成し、機枠に組み付ける
(図5参照)。すなわち、穂木側支持体15に穂木苗保
持具22、穂木搬送装置32、穂木切断装置42を、台
木側支持体5を取付板4に対して固定する際と同様の調
整装置C2を介して取付け、この穂木側支持体15を機
枠にボルト留めする。
【0016】台木苗保持具21は、図4に示すように、
台木苗3の子葉展開基部を懸架して保持すべきスリット
23aを有する上部保持板23と、台木苗3の胚軸部3
b(図1参照)を挿入すべきスリット24aを有する下
部保持板24、ならびにこれら上部保持板23と下部保
持板24とを結合する取付部25とからなる。そして、
台木苗保持具21は、保持した台木苗3の子葉が台木搬
送装置31の後述する台木切断ガイド37aに沿うよう
に、すなわちスリット23aの軸線の方向が、機体中央
側に傾斜するように、全体的に機体中央側に傾斜させて
設置する。
【0017】穂木苗保持具22も、台木苗保持具21と
同様に上下のスリットを有する保持板より構成するが、
その姿勢は傾斜させず直立姿勢とする(図5参照)。
【0018】台木搬送装置31は、図5に示すとおり、
回転用シリンダ31aの支軸33aの先端に取付枠33
cを介して往復動シリンダ36aを取付け、その支軸3
3aを中心に往復動シリンダ36aを180度回動可能
に構成する。また取付枠33cには、台木苗3の切断時
に切断を補助するための台木切断ガイド37aを取付け
る。
【0019】そして、その往復動シリンダ36aの突出
後退可能な台木搬送アーム34aの先端に、L字形の止
板11を介して、台木をつかむための開閉自在の一対の
フィンガー35aを装着する。止板11の端面は、台木
切断ガイド37aの平面部に常時摺接させる。
【0020】この台木搬送装置31と左右略対称位置の
穂木搬送装置32は、回転用シリンダ31bの下向きの
支軸33bの下端に取付枠33dを介してシリンダ36
bを取付け、その支軸31bを中心にシリンダ36bを
180度回動可能に構成する。そしてシリンダ36bの
穂木搬送アーム34bの先端に、L字形の止板12を介
して、穂木をつかむための左右一対のフィンガー35b
を装着する。また、取付枠33dの先端には、水平の摺
動板37bを形成し、この摺動板37bに止板12の端
面を常時摺接させる。
【0021】台木切断装置41は、台木搬送装置31の
フィンガー35aの回動経路の途中に設ける。すなわ
ち、図4に示すように、台木側支持体5の支持杆6,6
の前方位置に垂下した前後摺動自在の取付板43に、ス
テッピングモータなどのモータ44を横向きに設け、該
モータ44の回転軸には切断アーム45を軸装し、切断
アーム45の先端に切断刃46および子葉拘束用のロー
ラ47を取付けたものである。取付板43にはコマ48
を固着すると共に、コマ48には調整ボルト49を螺入
し、握り49aの回転により位置調整自在とする。切断
アーム45の回転方向は、台木苗3に対し斜め下から切
り上げる方向とする。
【0022】穂木切断装置42は、台木切断装置41と
略対称の構成であり、図6に示すように、支持杆16,
16の前方位置に垂下した前後摺動自在の取付板83
に、モータ84を固着し、モータ84の回転軸には、切
断刃85およびローラ86を有する切断アーム87を軸
装してなる。切断アーム87の回転方向は、台木切断装
置41とは逆に、穂木苗4の胚軸部4bを斜め上から切
り落とす方向とする。
【0023】回転用シリンダ31bの支軸33aは、台
木側支持体5の水平部5aより上面に突出すると共に、
この支軸33aには、台木搬送アーム34aを台木苗保
持具21、台木切断装置41および接木位置Aの各回転
位置において所定のタイミングで停止すべき旋回停止装
置20を接続する。穂木搬送アーム34aにも、同様の
旋回停止装置30を設ける。
【0024】苗接着装置51は、椀体52(図3参照)
の内面に沿って螺旋状の上昇路53を設けてなる振動型
のパーツフィーダ54の取出し部に、四角筒体の上側面
中央部を長さ方向に切欠してなる誘導レール55を接続
し、さらに誘導レール55の先端付近には、図7(a)
に示すように左右側面のなす間隔を狭めた狭窄部55
a,55aを形成してなる。狭窄部55a,55aの相
対する内側面には、クリップ62のバネ部62cを逃が
すための溝55c,55cを設ける。
【0025】誘導レール55の前端の上部には、図7
(b)に示すように、両側板および後面板からなる上面
視コ字形の取付体56bを設け、この取付体56bの背
面には、クリップ62を一個ずつ接木位置Aに供給する
ための押出シリンダ56を、前方に向けて取付ける。
【0026】押出シリンダ56の先端には、クリップ6
2の後端に係合して押し出すための押出片57を取付
け、この押出片57の先端を誘導レール55内に没入さ
せる。この押出片57は、可撓性ある板体を屈曲して構
成する。押出片57の中部には、左右に張り出した翼片
67を設ける一方、取付体56bの内面には、翼片67
の浮上を検出すべきリミットスイッチ66を設置し、そ
の作動片66a(図8(a)参照)を翼片67の一端に
常時当接させる。
【0027】図8(b)において、取付体56bのリミ
ットスイッチ66に相対する内面には、押出シリンダ5
6が後退する際に翼片67の浮上を押さえるローラ72
を設置する。
【0028】誘導レール55の狭窄部55aの前端の下
部には、開閉シリンダ65を上向きに取り付け、この開
閉シリンダ65の左右一対の作動片65a,65aに、
スペーサ69,69を介して左右の開閉板70,70を
取付け、この開閉板70,70の内側面に、左右一対の
作動子64,64をそれぞれ設ける。これら作動子6
4,64の内側面には、狭窄部55aの内側面と同様
に、クリップ62のバネ部62cを逃がすための溝64
cを設ける。
【0029】さらに、開閉板70,70の上部は機体内
方側に水平に折曲げて互いに対向させると共に、そのう
ち台木側の開閉板70の内端部には図7(b)のように
苗寄せ体71を前方に突設する。作動子64と苗寄せ体
71は開閉シリンダ65により一体的に連動し、後述す
るように、作動子64,64はクリップの開閉操作を、
また苗寄せ体71は台木苗3を接木位置Aに寄せる位置
決め操作を行うものである。
【0030】本実施例の接木苗製造機1に用いる各エア
シリンダおよび各フィンガーは、図示しないエアコンプ
レッサおよびプログラマブルコントローラに接続し、そ
の制御により後述のように所定の手順で圧縮空気を供給
して操作される。
【0031】しかして、本発明の接木苗製造機1を作動
して、台木苗3および穂木苗4を接着して接木苗10を
製造する工程を説明する。
【0032】まず作業者は、手作業により台木苗3を台
木苗保持具21のスリットに懸架する。次に、図1に示
すように、台木苗3に向け台木搬送装置31のシリンダ
36aを突出させ、フィンガー35aを閉じて台木苗3
を挟持し、搬送アーム34aを旋回して台木苗3を台木
苗保持具21より取出す。
【0033】台木苗3を取出した搬送アーム34aは、
回転用シリンダ31aの駆動で90度旋回し、切断位置
B1で一時停止する。この間に、シリンダ36aが後退
し、後退した台木苗3の残存側子葉97の裏面に台木切
断ガイド37aを沿わせる(図2参照)。
【0034】そして、台木切断装置41の切断モータ4
4により切断アーム43を一回転し、これにより台木苗
3の切断側の子葉をローラ47で持ち上げると共に、そ
の切除側の子葉102を子葉展開基部付近で台木切断刃
46により切断する。
【0035】穂木苗4に関しても台木苗3と同様に、手
作業により穂木苗4を穂木苗保持具22を穂木苗保持具
22のスリットに懸架する。この穂木苗4を穂木搬送装
置32のフィンガー35bで挟持して搬送し、90度旋
回した切断位置B2で一時停止し、穂木切断装置42に
より穂木苗4の胚軸部4bを切断する。
【0036】一方、この切断工程に並行して、苗接着装
置51では、パーツフィーダ54の振動によりクリップ
62を誘導レール55中の狭窄部55aの手前側に搬送
し、さらに押出シリンダ56で前方に押し出し、クリッ
プ62を狭窄部55a,55aで開かせて作動子64,
64の手前側で停止し、クリップ62を前方の接木位置
Aに向けて開口状態で待機させる。
【0037】切断装置41,42で切断した両苗3,4
は、誘導レール55の前端部の接木位置Aまで搬送す
る。次に開閉シリンダ65が作動して、苗寄せ体71が
機体内方側に移動し、これにより台木苗3の切断端10
3が機体中央の接木位置Aに正しく配置される。
【0038】次に、苗接着装置51の押出シリンダ56
が突出して、クリップ62を両苗3,4の切断端10
3,104に向けて押し出して停止し、さらに開閉シリ
ンダ65が作動して、クリップ62のハンドル部を保持
している作動子64,64が開くと、これによりクリッ
プ62が閉じて、両苗3,4の両切断面93,94が接
着されて接木苗10となる。
【0039】その後、台木側および穂木側のフィンガー
35a,35bを開くと共に、吹出し口73から空気を
接木苗10に吹き付けて落下させて収容し、その後、各
アーム34a,34bを回動して初期状態に復帰する。
以上の操作を繰り返すことにより、接木苗製造工程が連
続的に行われる。
【0040】このように、本実施例の接木苗製造機1に
おいては、切断の際に台木苗3の残存側の子葉97を沿
わす台木切断ガイド37aを、台木搬送アーム34aに
一体に設けると共に、この台木切断ガイド37aに向け
てスリット23aの軸線を傾斜させる構成とした。従っ
て、切断の際には台木苗3が切断ガイド37aに向けて
傾斜した姿勢になり、残存側の子葉97が切断ガイド3
7aから浮き上がることなく良く密接し、苗の太さや曲
り具合が多様であっても苗の切断部位を常に一定位置に
不動に押さえつけることができるので、台木切断刃46
による切断を高精度に行うことができる。
【0041】また本実施例では、苗接着装置51に、台
木苗3の切断端103を接木位置Aに寄せる位置決め操
作を行う苗寄せ体71を設けたので、台木苗3が曲って
いる場合にも、切断端103がクリップから外れること
はなく、接着ミスを未然に防止することができる。
【0042】なお、これに類似するものとして、台木側
の苗寄せ体71に加えて穂木側にも同様の苗寄せ体17
1を設ける構成も考えられる(図9(a)参照)。この
場合には、両切断端103,104を左右両側から中央
に寄せるため、接着が一層確実化できる利点がある。し
かし、この構成を採用する場合には、クリップ62の上
側に苗寄せ体171を設け、さらにその上に穂木フィン
ガー35bを配置しなければならないため、穂木の胚軸
長h1がみだりに長くなり、接着後に折損しやすくなる
という欠点がある。これに対して本実施例では、上述の
ように苗寄せ体71を台木側のみに設け、穂木側には設
けない構成としたので、図9(b)に示すように、クリ
ップ62のすぐ上に穂木フィンガー35bを接近させる
ことができるので、穂木の胚軸長h2を短縮でき、もっ
て接着後に折損しにくく丈夫な接木苗を製造できる。ま
た、穂木フィンガー35bから切断端104までの長さ
が短いため、胚軸部の曲りがあっても切断端104のず
れは小さくて済むので、穂木側の苗寄せを行わなくとも
接着ミスのおそれは少なく、確実に接着できる。
【0043】次に、第1実施例の台木苗保持具21に関
連する他の構成例について説明する。図10(a)およ
び(b)に示す例は、台木苗保持具121の上部保持板
122の機体内方側に、残存側の子葉97を保持すべき
子葉支持体123を設けたものである。この子葉支持体
123は、金属の棒材を屈曲し、その基部を上部保持板
122の基部付近の裏面に溶接してなり、その支持部1
24をスリット125に対して平行にする。
【0044】さらに、これに類似の構成としては、図1
1に示すように、台木苗保持具126の上部保持板12
7の側端部から斜め上向きに、板状の子葉支持体128
を突設する構成としてもよい。
【0045】これらの構成においては、傾斜した台木苗
保持具121(,126)に保持した台木苗3の残存側
の子葉97が子葉支持体123(,128)により保持
されるので、台木苗保持具121(,126)から台木
搬送アーム34(図5参照)への台木苗3の受け渡しに
際しては、残存側の子葉97が台木搬送アームの移動経
路に干渉せず、子葉97が垂れ下がっている苗の場合に
も子葉97を安全に台木切断ガイド37a(図5参照)
上に配置できて、切断工程や接着工程に支障を来すおそ
れが全くない。さらに、苗保持具121,126の傾斜
角度を充分に大きくできるので、子葉97と台木切断ガ
イド37aとを一層良く密接させることができ、もって
切断精度の一層の向上を図ることができる。
【0046】さらに加えて、図10の棒状の子葉支持体
123では、子葉97との摺動摩擦が少ないので苗3の
取出しが円滑に行える利点があり、また図11の板状の
子葉支持体128では上部保持板127と子葉支持体1
28とが連続しているので作業者が苗をセットしやすい
という利点がある。
【0047】次に、第2発明に相当する第2実施例につ
いて説明する。第2実施例は、上記第1実施例における
台木苗保持具21の改良に関し、その保持姿勢の安定化
と切断・接着の一層の高精度化を目的とするものであ
る。
【0048】図12において、131は第2実施例の台
木苗保持具であり、厚さ10mm程度の板体より構成す
る。132は台木苗3の子葉展開基部を懸架すべきスリ
ットであり、その先端の開口部133の巾を広く(F
1)、また奥端部134の巾を狭く(F2)することに
より、開口部133から奥端部134に向けてスリット
132の巾を狭く形成する。また、スリット132を挟
む一組の保持片135,136は、図に示すとおり、作
業者側135を短く(G1)、機体内方側136を長く
形成する(G2)。
【0049】さらに、この台木苗保持具131は、図1
3(a)のように先端側が低くなり、かつ、図13
(b)のように機体内方側が低くなるように、二方向に
傾斜させて機枠に設置する。
【0050】このように構成した第2実施例では、作業
者は機体外方側から台木苗3を手で供給するが、供給す
る際には台木苗3の胚軸部をスリット132の奥まで圧
入し、その奥端部134に当接させることにより、スリ
ット132の長さ方向の位置決めを容易に行うことがで
きる。
【0051】また、スリット132の開口部133を広
く形成したので、苗3の挿入が円滑に行える一方、奥端
部134を狭く形成したので、苗の胚軸部を奥端部13
4に圧入すれば、台木苗がスリット132間をみだりに
移動することはなく、切断・接着を高精度に行える。
【0052】さらに、一組の保持片135,136のう
ち、作業者側135を短く、機体内方側を長く形成した
結果、作業者は苗供給の際に一旦機体内方側の保持片1
36に胚軸部を当て、次に胚軸部をスリット132の奥
まで移動させるという手順により、ごく簡単に苗をセッ
トすることができるので、作業時間の短縮および作業能
率の向上を実現でき、さらにはセットした苗の姿勢を匡
正する余裕も生ずるので接着精度および接木成効率の向
上をも図ることができる。
【0053】また本実施例は、上述した第1実施例のよ
うに上下2枚の保持板を使用せず、一枚の厚板のみで構
成したので、苗を供給する際に上下2箇所のスリットの
位置を考慮する余地がなく、苗を容易に挿入できる。
【0054】さらに、台木苗保持具131を機枠に対し
前傾させて設置したので、台木搬送アームによる苗3の
取出しの際に、台木苗保持具131の上面と子葉の裏面
との摩擦が小さく、円滑に取り出すことができる。
【0055】さらに、苗の胚軸部をスリットの奥端部1
34まで圧入する使用法に代えて、図14に示すよう
に、胚軸部の太さに応じた位置まで苗を挿入するように
使用法を採用する場合には、台木苗保持具131が前傾
していることにより、図14に示すように、胚軸部の細
い苗ほどスリット132の奥まで入るので高い位置(D
2)に保持され、また逆に胚軸の太い苗はスリット13
2の開口部133付近の低い位置(D1)に保持され
る。
【0056】従って、苗の太さに応じて高さ位置が変化
するが、その結果、切断の際には、図15に示すよう
に、太い苗ほど浅切り(E1)になって切断面の面積が
小さく、細い苗ほど深切り(E2)となって切断面の面
積が大きくなる。このように、第2実施例の台木苗保持
具131をこの方法に従って使用する場合には、苗の太
さに応じて切断深さが変化することとなり、細い苗でも
大きな切断面積を確保できるという効果を奏する。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は以下の効
果を奏する。第1発明では、台木苗と穂木苗のうちのい
ずれか一方のみを他方の苗が待機する位置に寄せる苗寄
せ体を設けてなる。従って、台木苗や穂木苗を接木位置
に確実に寄せることができ、台木苗と穂木苗の胚軸が上
下一直線状となって、苗の接合が安定する。
【0058】また第2発明では、台木苗を穂木苗が待機
する位置に寄せる苗寄せ体を設けてなる。従って、苗寄
せ体が穂木苗を寄せないので、穂木苗の胚軸上に苗寄せ
体と接する部分を設けなくてよく、よって、穂木苗の胚
軸長を短縮できる。穂木苗は台木苗と比べ脆弱であるの
で、穂木苗の胚軸長を短縮することにより、接木苗が折
損しにくく丈夫になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の接木苗製造機における台木苗保持
具および台木搬送装置を示す正面図である。
【図2】台木苗切断時における台木搬送装置を示す右側
面図である。
【図3】接木苗製造機の概略を示す平面図である。
【図4】接木苗製造機の台木側を示す斜視図である。
【図5】接木苗製造機を示す正面図である。
【図6】穂木切断装置を示す左側面図である。
【図7】苗接着装置の要部であり、(a)はその一部切
欠平面図、(b)は平面図である。
【図8】苗接着装置の要部であり、(a)はその一部切
欠側面図、(b)は正面図である。
【図9】苗接着装置の作用を示す正面図であり、(a)
は他の構成例、(b)は第1実施例の苗接着装置であ
る。
【図10】台木苗保持具の他の構成例であり、(a)は
その右側面図、(b)はその正面図である。
【図11】台木苗保持具の別の構成例であり、(a)は
その右側面図、(b)はその正面図である。
【図12】第2実施例の台木苗保持具を示す平面図であ
る。
【図13】第2実施例の台木苗保持具であり、(a)は
その右側面図、(b)はその正面図である。
【図14】第2実施例の台木苗保持具の作用を示す右側
面図である。
【図15】第2実施例の台木苗保持具を使用した場合の
切断作用を示す右側面図である。
【符号の説明】
3 台木苗 4 穂木苗 10 接木苗 21 台木苗保持具 22 穂木苗保持具 23a スリット 51 苗接着装置 62 クリップ A 接木位置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台木苗と穂木苗を搬送装置でそれぞれ別
    に搬送し、この台木苗と穂木苗を搬送中に切断し、接木
    位置で切断した台木苗と穂木苗の両切断面を接着して接
    木苗を製造する接木苗製造機において、 前記台木苗と穂木苗のうちのいずれか一方のみを他方の
    苗が待機する位置に寄せる苗寄せ体を設けることを特徴
    とする苗寄せ装置。
  2. 【請求項2】 前記苗寄せ体が、台木苗を穂木苗が待機
    する位置に寄せるものであることを特徴とする請求項1
    に記載の苗寄せ装置。
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