JP3187293B2 - 車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法 - Google Patents

車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法

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JP3187293B2
JP3187293B2 JP20290695A JP20290695A JP3187293B2 JP 3187293 B2 JP3187293 B2 JP 3187293B2 JP 20290695 A JP20290695 A JP 20290695A JP 20290695 A JP20290695 A JP 20290695A JP 3187293 B2 JP3187293 B2 JP 3187293B2
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    • B24BMACHINES, DEVICES, OR PROCESSES FOR GRINDING OR POLISHING; DRESSING OR CONDITIONING OF ABRADING SURFACES; FEEDING OF GRINDING, POLISHING, OR LAPPING AGENTS
    • B24B13/00Machines or devices designed for grinding or polishing optical surfaces on lenses or surfaces of similar shape on other work; Accessories therefor
    • B24B13/015Machines or devices designed for grinding or polishing optical surfaces on lenses or surfaces of similar shape on other work; Accessories therefor of television picture tube viewing panels, headlight reflectors or the like
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F21LIGHTING
    • F21SNON-PORTABLE LIGHTING DEVICES; SYSTEMS THEREOF; VEHICLE LIGHTING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLE EXTERIORS
    • F21S41/00Illuminating devices specially adapted for vehicle exteriors, e.g. headlamps
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    • F21S41/32Optical layout thereof
    • F21S41/33Multi-surface reflectors, e.g. reflectors with facets or reflectors with portions of different curvature
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、自動車等の車輌
用の灯具に関するものであり、より詳細には、その反射
鏡の反射面形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車輌用灯具の反射鏡は、一般に、平行反
射光を得るため回転放物面からなる反射面を有している
が、車体構造等の制約により灯具配設スペースに余裕が
ない場合には、例えば実開昭50−76546号公報に
開示されているように、上記反射面を多重放物面で構成
して灯具反射鏡の薄型化を図り、これにより灯具配設を
可能ならしめる工夫が従来よりなされている。
【0003】しかしながら、近年の車輌においては、車
体構造のみならず車体外形形状等の意匠面からの制約も
大きくなってきているので、単に反射面を同心円状の多
重放物面にするだけでは、灯具レイアウトとして十分対
応しきれなくなってきている。
【0004】このため従来、特開平5−182505号
公報には、いわゆる自由曲面反射鏡を設定し、その反射
面に上記多重放物面の考え方を適用することにより反射
鏡の形状自由度を向上させ、これにより上記問題解決を
図るようにした灯具が提案されている。
【0005】この自由曲面反射鏡における多重放物面の
形成方法は、次のような手順で行われるようになってい
る。
【0006】すなわち、まず、図1に示すように、車体
側制約条件に応じた曲面として基本反射面Roを設定す
る。そして、この基本反射面Roの近傍に位置する定点
Fを焦点位置とする軸同一(軸A)で焦点距離の異なる
複数の回転放物面P1、P2、P3、・・を設定する。
これにより、上記基本反射面Roと上記各回転放物面P
1、P2、P3、・・との交線として複数の曲線C1、
C2、C3、・・が得られる。そこで、図2に示すよう
に、これら複数の曲線C1、C2、C3、・・の隣接曲
線相互間に、上記各交線Ciを形成した回転放物面Pi
を各々割り付ける。これにより、基本反射面Roに沿っ
た多重放物面として反射面Rを形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに自由曲面反射鏡に多重放物面を適用するようにした
場合には、次のような問題が新たに発生する。
【0008】すなわち、車体構造や車体外形形状等の車
体側制約条件に応じて上記基本反射面の設定がなされる
ことは上述のとおりであるが、一方、灯具本来の照明機
能上からは、大きな反射鏡立体角が得られるよう光源を
できるだけ灯具の奥まった位置に配置した状態で上記基
本反射面の設定を行うことが好ましい。
【0009】このように立体角確保を図りつつ車体側制
約条件に応じた曲面が得られるように上記基本反射面を
設定した場合には、光源が灯具の奥まった位置に配置さ
れることから基本反射面のあらゆる部位に十分な光束を
入射させることは困難であり、部位によっては入射光束
が少なくなったり、極端な場合には光源から見たとき陰
になって全く光束が入射しないといった部位が発生する
こととなる。
【0010】そして、このように基本反射面に入射光束
不十分な部位が存在する状態では、これに多重放物面を
形成しても入射光束不十分な部位からの反射平行光は輝
度が小さいものあるいは輝度零となるため、この反射面
をその光軸方向正面から観察したとき部分的に暗くなっ
てしまい十分な灯具視認性を得ることができない、とい
う問題が生じることとなる。
【0011】本願発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであって、自由曲面反射鏡に多重放物面を適用
するようにした場合において、車体側制約条件を満たし
た上で灯具視認性に優れた反射鏡を得ることができる、
光学装置車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記基本反
射面の設定にあたり、車体側制約条件のみならず基本反
射面への光線入射角分布をも考慮して上記設定を行うこ
とにより、反射鏡立体角を確保しつつ反射面における暗
部の発生を最小限に抑えるようにし、もって上記目的達
成を図るようにしたものである。
【0013】すなわち、本願発明は、車体側制約条件に
応じた曲面として基本反射面を設定するとともに、この
基本反射面の近傍に位置する定点を焦点位置とする軸同
一で焦点距離の異なる複数の回転放物面を設定し、上記
基本反射面と上記各回転放物面との交線として得られる
複数の曲線の隣接曲線相互間に、上記各交線を形成した
回転放物面を各々割り付けることにより反射面を形成す
る、車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法を前提とした
上で、本願第1の発明は、請求項1に記載したように、
上記基本反射面の設定を、異なる設定条件下で複数回予
備的に行い、これら予備的設定がなされた基本反射面の
各々について、上記焦点位置を光源とする光線の該基本
反射面の各部位への入射角を算出して該基本反射面にお
ける入射角分布を評価し、その結果、最適な入射角分布
が得られた基本反射面を最終的な基本反射面として設定
する、ことを特徴とするものであり、本願第2の発明
は、請求項2に記載したように、上記基本反射面の設定
を、ある設定条件下で予備的に行い、この予備的設定が
なされた基本反射面について、上記焦点位置を光源とす
る光線の該基本反射面の各部位への入射角を算出して該
基本反射面における入射角分布を評価し、これにより所
定基準以上の評価結果が得られたときには該基本反射面
を最終的な基本反射面として設定する一方、上記所定基
準以上の評価結果が得られなかったときには、上記所定
基準以上の評価結果が得られるまで、設定条件を変えて
上記基本反射面の予備的設定および該基本反射面につい
ての入射角分布評価を繰り返して行う、ことを特徴とす
るものである。
【0014】上記「入射角分布評価」は、基本反射面各
部位への光線入射角を算出した結果に基づくものであれ
ば、特定の評価方法に限定されるものではない。例え
ば、単純に算出値そのものを用いて評価するようにして
もよいし、あるいは、請求項4に記載したように、基本
反射面上に複数の等入射角曲線を描き、これら等入射角
曲線に基づいて評価するようにしてもよいし、さらに、
光線入射角の算出結果のみならず、光源と光線入射位置
との間の距離をも加味した上で、あるいは隣接する他の
灯具が存在する場合には該灯具の視認性とのバランス等
をも加味した上で、上記評価を行うようにしてもよい。
【0015】また、上記「入射角分布評価」は、入射角
の算出値あるいはその等入射角曲線を演算処理すること
により機械的(自動的)に行うようにしてもよいし、こ
れら入射角の算出値あるいはその等入射角曲線を人間
(設計者)の視覚や経験等に基づいて解釈することによ
り官能的に行うようにしてもよい。
【0016】本願第2の発明において、上記「所定基準
以上の評価結果」とは、反射鏡立体角を確保しつつその
反射面における暗部の発生を最小限に抑える、という観
点から許容できる最低レベルをクリヤした入射角分布で
あると評価された状態を意味するものである。
【0017】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願第1の
発明においては、基本反射面の設定を、異なる設定条件
下で複数回予備的に行い、これら予備的設定がなされた
基本反射面の各々について、焦点位置を光源とする光線
の該基本反射面の各部位への入射角を算出して該基本反
射面における入射角分布を評価し、その結果最適な入射
角分布が得られた基本反射面を最終的な基本反射面とし
て設定するようになっているので、上記基本反射面の設
定を単にある条件下で1回だけ行う場合に比して、反射
鏡立体角を確保しつつ反射面における暗部の発生を最小
限に抑える上で、より条件の良い入射角分布の基本反射
面を設定することができる。
【0018】また、本願第2の発明においては、基本反
射面の設定を、ある設定条件下で予備的に行い、この予
備的設定がなされた基本反射面について、焦点位置を光
源とする光線の該基本反射面の各部位への入射角を算出
して該基本反射面における入射角分布を評価し、これに
より所定基準以上の評価結果が得られたときには該基本
反射面を最終的な基本反射面として設定する一方、上記
所定基準以上の評価結果が得られなかったときには、上
記所定基準以上の評価結果が得られるまで、設定条件を
変えて上記基本反射面の予備的設定および該基本反射面
についての入射角分布評価を繰り返して行うようになっ
ているので、反射鏡立体角を確保しつつ反射面における
暗部の発生を最小限に抑える上で、優れた入射角分布を
有する基本反射面を確実に設定することができる。
【0019】したがって、本願発明によれば、自由曲面
反射鏡に多重放物面を適用するようにした場合におい
て、車体側制約条件を満たした上で灯具視認性に優れた
反射鏡を得ることができる。
【0020】しかも、本願第2の発明においては、所定
基準以上の評価結果が得られた場合には、1回目の予備
的設定で得られた基本反射面が最終的な基本反射面とし
て設定されることもあることから、無駄な基本反射面設
定を行うことなく所望の基本反射面を得ることができ
る。さらに、この場合、請求項3に記載したように、基
本反射面の予備的設定を、最初は車体側制約条件を粗く
認識して行い、所定基準以上の評価が得られなかったと
きには車体側制約条件を順次細かく認識して行うように
すれば、無駄な基本反射面設定を行うことなく所望の基
本反射面を得る可能性を高めることができる。
【0021】上記「入射角分布評価」方法としては、次
のような方法が採用可能である。
【0022】すなわち、単純に入射角算出値そのものを
用いて評価する場合には、例えば、算出された基本反射
面各部位への入射角のうちの最大値ができるだけ小さく
なる(すなわち、できるだけ垂直に近い方向から基本反
射面に入射する)ことをもって優れた入射角分布である
と評価する方法が採用可能である。
【0023】また、請求項4に記載したように、基本反
射面上に複数の等入射角曲線を描き、これら等入射角曲
線に基づいて評価する場合には、例えば、反射面領域内
に灯具視認性を確保する上で許容できる限界入射角以下
の等入射角曲線のみが存在することをもって優れた入射
角分布であると評価する方法、あるいは、各等入射角曲
線の形状が入り組んだ複雑な形状とならないことをもっ
て優れた入射角分布であると評価する方法等が採用可能
である。この場合、請求項5に記載したように、複数の
等入射角曲線の隣接曲線相互間の領域を各々異なる色で
表示するようにすれば、上記評価を目視で容易に行うこ
とが可能となる。
【0024】さらに、例えば、光源と反射鏡の光線入射
位置との間の距離が大きくなるほど反射光の輝度が小さ
くなることから距離が大きくなるほど限界入射角の基準
を厳しくする、あるいは、隣接する他の灯具が存在する
場合には該灯具と接する側の端部近傍に位置する反射面
部位の視認性を隣接灯具のそれに近づける、といった光
線入射角の算出結果以外の評価要素をも加味して評価を
行うことが可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明に
係る車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法の実施の形態
について説明する。
【0026】図3は、本願発明の一実施形態の概要を示
すフローチャートであり、図4は、その主要部を示すフ
ローチャートである。
【0027】まず、図3に示すフローチャートに沿っ
て、本実施形態に係る反射面形成方法の概要について説
明する。この反射面形成方法は、すでに「従来の技術」
の欄で図1および2を用いて説明したように、基本反射
面Roに沿った多重放物面として反射面Rを形成する方
法であって、次のような手順で行われる。
【0028】すなわち、まず、車体側制約条件に応じた
曲面として基本反射面Roを設定し(ステップS1)、
次に、この基本反射面Roの近傍に位置する定点Fを焦
点位置とする軸同一(軸A)で焦点距離の異なる複数の
回転放物面P1、P2、P3、・・を設定し(ステップ
S2)、そして、上記基本反射面Roと上記各回転放物
面P1、P2、P3、・・との交線として複数の曲線C
1、C2、C3、・・を算出し(ステップS3)、最後
に、これら複数の曲線C1、C2、C3、・・の隣接曲
線相互間に、上記各交線Ciを形成した回転放物面Pi
を各々割り付ける(ステップS4)ことにより行われ
る。
【0029】この場合において、上記基本反射面Roは
車体側制約条件に応じた曲面として設定されるのである
が、その際、灯具の照明機能上できるだけ大きな反射鏡
立体角を確保し、しかも、灯具視認性をできるだけ優れ
たものとするため基本反射面Roのあらゆる部位に十分
な光束を入射させて反射面における暗部の発生を最小限
に抑えることが望まれる。
【0030】そこで、本実施形態においては、車体側制
約条件のみならず基本反射面Roの立体角および基本反
射面Roへの光線入射角分布をも考慮して基本反射面R
oを設定するようになっている。
【0031】この基本反射面Roの設定手順について、
図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0032】まず、カウンタをリセット状態(C=0)
にした後、基本反射面Roの設定に必要な種々のデータ
の読込みを行う(ステップS1、S2)。この読込み対
象となる設定条件データは、反射鏡の反射面の輪郭、光
源の位置(大きな反射鏡立体角が得られるよう灯具の奥
まった位置に設定される。)および車体側制約条件(車
体構造、車体外形形状)等の各データである。
【0033】次に、上記種々の設定条件データに基づい
て、基本反射面Ro′を予備的に設定する(ステップS
3)、そして、この予備的設定がなされた基本反射面R
o′について、上記焦点位置Fを光源とする光線の該基
本反射面Ro′の各部位への入射角θを算出し(ステッ
プS4)、さらに、この算出された入射角θのデータに
基づいて、図5に示すように、基本反射面Ro′上に複
数の等入射角曲線Iθiを描く(ステップS5)。これ
ら等入射角曲線Iθiは、図5において2点鎖線の台形
枠で示すように、基本反射面Ro′として実際に用いら
れる反射面対象領域(実線で示す台形枠)より一まわり
大きな領域について描かれる。これは、等入射角曲線I
θiに基づく基本反射面Ro′における入射角分布評価
(これについては後述する)を容易ならしめるためであ
る。
【0034】上記等入射角曲線Iθiは、図6に示すよ
うに、θ=40゜、60゜、80゜、90゜の4種類の
入射角について設定されている。図6において、入射角
が0゜≦θ≦40゜となる反射面領域を、40゜<θ
≦60゜となる反射面領域を、60゜<θ≦80゜と
なる反射面領域を、80゜<θ≦90゜となる反射面
領域を、90゜<θとなる反射面領域(光線が入射し
ない領域)をとすると、図5の基本反射面Ro′に
は、、、、の反射面領域が現れているが、の
反射面領域は、基本反射面Ro′における実際の反射面
対象領域からは外れているので、基本反射面Ro′のう
ち実際に反射面として用いられる領域内には、光源から
の光線は80゜以上の入射角では入射しないことが分か
る。
【0035】図4のフローチャートにおいて、次に、上
記複数の等入射角曲線Iθiに基づいて、基本反射面R
o′における入射角分布を評価する(ステップS6)。
この入射角分布評価は、反射鏡立体角を確保しつつその
反射面における暗部の発生を最小限に抑えるという観点
から行う。すなわち、基本反射面Ro′の反射面対象領
域内に灯具視認性を確保する上で許容できる限界入射角
(例えば80゜)以下の等入射角曲線のみが存在する場
合にはOK、そうではない場合にはNGとの評価結果を
出力させる。図5の場合には、、、の反射面領域
のみが反射面対象領域内に現れるので、入射角分布の評
価結果はOKということになる。
【0036】このように、上記評価結果がOKのときに
は、基本反射面Ro′をそのまま用いても全く問題ない
ので、これを最終的な基本反射面Roとして設定する
(ステップS7、S8)。
【0037】上記評価結果がNGのときには、基本反射
面Ro′をそのまま用いることは好ましくないので、適
切な基本反射面Roが得られるよう何回かリトライを行
う。すなわち、カウンタをインクリメント(C+1→
C)した後、C=Nになったか否か(すなわち上記評価
結果NGが所定回数N回繰り返されたか否か)の判定を
行う(ステップS9、S10)。C<Nであれば、基本
反射面Ro′の改善余地がまだあるとして基本反射面R
oの設定条件データのうちのいくつかを変更する(ステ
ップS10、S11)。例えば、より詳細な車体外形形
状データを採用する。そして、これら変更された設定条
件データに基づいて、再度基本反射面Ro′の予備的設
定から入射角分布評価までの処理を行う(ステップS3
〜S6)。この処理は、上記評価結果がOKになるまで
行われるが、C=Nになったときには、これ以上リトラ
イを行うことは時間的に困難である、あるいはこれ以上
の改善は見込めないとして、NG信号を出力するととも
に、これまでN回行った入射角分布評価のうちその評価
結果が最も良かったときの基本反射面Ro′を選択し、
これを最終的な基本反射面Roとして設定する(ステッ
プS10、S12、S13、S8)。上記NG信号を出
力するのは、そのとき得られた最終的な基本反射面Ro
が当初期待していた基本反射面ではないことを設計者に
知らせるためである。これにより、設計者は、上記NG
信号出力に対し、基本反射面Roの設定条件データのう
ちまだ変更していないデータ(例えば、灯具光源位置デ
ータ)を変更してリトライを行うことも可能である。
【0038】図7は、図5に示す基本反射面Roに沿っ
て多重放物面が形成された反射面Rを示す図である。こ
のように形成された反射面Rから反射された光は、ムラ
の無い略均一な平行光として照射されることとなる。さ
らに、実際の灯具では、反射鏡の照射方向前方にいわゆ
る魚眼ステップ等が形成されたレンズが装着されるの
で、このようなレンズ付灯具としての見え方は全く光り
ムラの無いものとなる。
【0039】次に、本実施形態において、入射角分布評
価結果がNGの場合に行われる、設定条件の変更および
これに基づく基本反射面Ro′の再度の予備的設定の具
体例について説明する。
【0040】図8に示すように、基本反射面Ro′の反
射面対象領域内に、入射角θが上記限界入射角80゜を
超える反射面領域、さらには光線が入射しない入射角
90゜を超える反射面領域が存在する入射角分布が得
られた場合を想定する。
【0041】このような場合には、基本反射面Ro′を
田の字型に4つの領域(Z1、Z2、Z3、Z4)に分
け、反射面領域、が存在する領域Z1、Z2に対し
ては、次のような面修正を施す。
【0042】すなわち、領域Z1においては、対角線D
1に沿った面が最も入射角条件が厳しいことから、この
対角線D1の断面ラインを考える。この断面ラインは、
図9に示す破線のようになっているので、これを、図9
において実線で示すように、基本反射面Ro′と軸Aと
の交点Oから接線方向に延びて該交点Oと領域Z1の外
周コーナの点aとを結ぶ曲線を、例えばタンジェントス
プラインによって形成する。これにより形成される曲線
は反射鏡後方に向かって凸形状となるので、対角線D1
の断面ラインに沿った面への入射角θは上記限界入射角
80゜より十分小さい値とすることができる。
【0043】次に、図8において、上記外周コーナの点
aと、領域Z1と領域Z4との外周境界点bとの間に2
〜8個の点a1、a2、・・を取り、これら各点aiに
ついて、該点aiと交点Oとの間で上記外周コーナの点
aの場合と同様のタンジェントスプラインで各曲線を生
成し、これらの曲線によって1つの曲面を形成する。
【0044】上記各曲線生成過程で、車体構造上の制約
から該曲線をそのまま用いることができない場合には、
さらにその修正を行う。例えば、図10に示すように、
点aiについての曲線が反射鏡取付用ボスと干渉してし
まう場合には、該ボスの突出コーナ点cを交点Oと点a
iとの間に設定し、交点Oと点cとの間および点cと点
aiとの間で各々曲線(図中2点鎖線で示す)を生成す
る。
【0045】上記外周コーナの点aと領域Z1と領域Z
2との外周境界点dとの間についても、複数の点を設定
し、これら各点について上記と同様タンジェントスプラ
インにより交点Oとの間で曲線を各々生成し、これらの
曲線によって1つの曲面を形成する。
【0046】さらに、領域Z2に関しても、その対角線
D2の断面ラインをタンジェントスプラインにより交点
Oと領域Z2の外周コーナの点eとを結ぶ曲線に変更し
た後、上記外周コーナの点eと領域Z2と領域Z3との
外周境界点fとの間、および上記外周コーナの点eと領
域Z2と領域Z1との外周境界点dとの間についても、
複数の点を設定し、これら各点について上記と同様タン
ジェントスプラインにより交点Oとの間で曲線を各々生
成し、これらの曲線によって1つの曲面を形成する。
【0047】以上の操作により、当初と異なる設定条件
で基本反射面Ro′の予備的設定が行われたこととな
る。
【0048】以上詳述したように、本実施形態において
は、基本反射面Roの設定を、ある設定条件下で予備的
に行い、この予備的設定がなされた基本反射面Ro′に
ついて、焦点位置を光源とする光線の該基本反射面R
o′の各部位への入射角θを算出して該基本反射面R
o′における入射角分布を評価し、これにより所定基準
以上の評価結果が得られたときには該基本反射面Ro′
を最終的な基本反射面Roとして設定する一方、上記所
定基準以上の評価結果が得られなかったときには、上記
所定基準以上の評価結果が得られるまで、設定条件を変
えて上記基本反射面Ro′の予備的設定および該基本反
射面Ro′についての入射角分布評価をある程度繰り返
して行うようになっているので、反射鏡立体角を確保し
つつ反射面における暗部の発生を最小限に抑える上で、
優れた入射角分布を有する基本反射面Roを確実に設定
することができる。
【0049】したがって、本実施形態によれば、自由曲
面反射鏡に多重放物面を適用するようにした場合におい
て、車体側制約条件を満たした上で灯具視認性に優れた
反射鏡を得ることができる。
【0050】しかも、本実施形態においては、所定基準
以上の評価結果が得られた場合には、1回目の予備的設
定で得られた基本反射面Ro′が最終的な基本反射面R
oとして設定されることもあることから、無駄な基本反
射面設定を行うことなく所望の基本反射面Roを得るこ
とができる。しかも、その際、基本反射面Roの予備的
設定を、最初は車体側制約条件を粗く認識して行い、所
定基準以上の評価が得られなかったときには車体側制約
条件を順次細かく認識して行うことにより、無駄な基本
反射面設定を行うことなく所望の基本反射面Roを得る
可能性を高めることができる。
【0051】また、本実施形態においては、上記リトラ
イを無制限に行うのではなく、N回リトライを行った後
は、それまでのリトライにより得られた入射角分布のう
ち最適な入射角分布の基本反射面Ro′を最終的な基本
反射面Roとして設定するようになっているので、上記
所定基準以上の評価結果が得られなかったとしても、そ
の中で最良の入射角分布の基本反射面Roを設定するこ
とができる。
【0052】なお、本実施形態に係る反射鏡の反射面形
成方法を適用することが特に効果的な車輌用灯具は、最
も灯具視認性が重要視される灯具である尾灯であるが、
灯具視認性の良否が問題とされる灯具であれば、車幅灯
その他の灯具にも適用可能である。
【0053】上記実施形態においては、基本反射面Ro
の設定を自動的に行う場合について説明したが、設計者
の判断に基づいて基本反射面Roの設定を行ってもよい
ことはもちろんである。この場合、例えば、図4のフロ
ーチャートに対応して考えると、ステップS6、S1
0,S11の処理に設計者の判断が強くあわられること
となる。すなわち、ステップS6における入射角分布評
価は、設計者の視覚や経験等により官能的に行われ、ス
テップS10におけるリトライ回数の設定も、入射角分
布改善の見込みを設計者の直感や経験等に基づいて判断
することにより行われ、ステップS11における設定条
件データの変更内容等についても、設計者の直感や経験
等により行われるものと考えられる。なお、この場合、
複数の等入射角曲線Iθiの隣接曲線相互間の領域を各
々異なる色で表示するようにすれば、設計者は上記入射
角分布評価を目視で容易に行うことが可能となる。
【0054】また、上記実施形態においては、所定基準
以上の入射角分布評価結果が得られなかったときにの
み、何回かリトライを行うようになっているが、入射角
分布評価結果の良否にかかわらず、異なる設定条件下で
基本反射面Ro′の予備的設定を複数回行い、これらに
対する入射角分布評価を行った結果、最適な入射角分布
が得られた基本反射面Ro′を、最終的な基本反射面R
oとして設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の前提となる、自由曲面反射鏡におけ
る多重放物面の形成方法を説明するための斜視図
【図2】上記多重放物面形成方法を説明するための正面
図(a)および断面図(b)
【図3】本願発明に係る車輌用灯具の反射鏡の反射面形
成方法の一実施形態の概要を示すフローチャート
【図4】上記実施形態の主要部を示すフローチャート
【図5】上記実施形態において得られる等入射角曲線の
具体例を示す正面図
【図6】上記等入射角曲線を形成する際の領域分けの基
準を示す説明図
【図7】図5の基本反射面に沿って多重放物面が形成さ
れてなる反射面を示す図
【図8】上記実施形態において、入射角分布評価結果が
NGの場合に行われる、設定条件の変更およびこれに基
づく基本反射面の再度の予備的設定の具体例を説明する
正面図
【図9】図8の具体例における面形成方法を説明する図
【図10】図8の具体例における面形成方法を説明する
【符号の説明】
Ro 基本反射面 F 焦点位置(光源位置) Pi(P1、P2、P3、・・) 回転放物面 Ci(C1、C2、C3、・・) 交線 Ro′ 予備的設定がなされた基本反射面 θ 入射角 Iθi 等入射角曲線

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側制約条件に応じた曲面として基本
    反射面を設定するとともに、この基本反射面の近傍に位
    置する定点を焦点位置とする軸同一で焦点距離の異なる
    複数の回転放物面を設定し、上記基本反射面と上記各回
    転放物面との交線として得られる複数の曲線の隣接曲線
    相互間に、上記各交線を形成した回転放物面を各々割り
    付けることにより反射面を形成する、車輌用灯具の反射
    鏡の反射面形成方法において、 上記基本反射面の設定を、異なる設定条件下で複数回予
    備的に行い、 これら予備的設定がなされた基本反射面の各々につい
    て、上記焦点位置を光源とする光線の該基本反射面の各
    部位への入射角を算出して該基本反射面における入射角
    分布を評価し、 その結果、最適な入射角分布が得られた基本反射面を最
    終的な基本反射面として設定する、ことを特徴とする車
    輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法。
  2. 【請求項2】 車体側制約条件に応じた曲面として基本
    反射面を設定するとともに、この基本反射面の近傍に位
    置する定点を焦点位置とする軸同一で焦点距離の異なる
    複数の回転放物面を設定し、上記基本反射面と上記各回
    転放物面との交線として得られる複数の曲線の隣接曲線
    相互間に、上記各交線を形成した回転放物面を各々割り
    付けることにより反射面を形成する、車輌用灯具の反射
    鏡の反射面形成方法において、 上記基本反射面の設定を、ある設定条件下で予備的に行
    い、 この予備的設定がなされた基本反射面について、上記焦
    点位置を光源とする光線の該基本反射面の各部位への入
    射角を算出して該基本反射面における入射角分布を評価
    し、 これにより所定基準以上の評価結果が得られたときには
    該基本反射面を最終的な基本反射面として設定する一
    方、上記所定基準以上の評価結果が得られなかったとき
    には、上記所定基準以上の評価結果が得られるまで、設
    定条件を変えて上記基本反射面の予備的設定および該基
    本反射面についての入射角分布評価を繰り返して行う、
    ことを特徴とする車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方
    法。
  3. 【請求項3】 上記基本反射面の予備的設定を、最初は
    車体側制約条件を粗く認識して行い、上記所定基準以上
    の評価結果が得られなかったときには車体側制約条件を
    順次細かく認識して行う、ことを特徴とする請求項2記
    載の車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法。
  4. 【請求項4】 上記入射角分布評価を、該評価の対象と
    なる基本反射面上に複数の等入射角曲線を描き、これら
    等入射角曲線に基づいて行う、ことを特徴とする請求項
    1〜3いずれか記載の車輌用灯具の反射鏡の反射面形成
    方法。
  5. 【請求項5】 上記複数の等入射角曲線の隣接曲線相互
    間の領域を各々異なる色で表示する、ことを特徴とする
    請求項4記載の車輌用灯具の反射鏡の反射面形成方法。
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