JP3187122U - 吊環 - Google Patents

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廣子 武田
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Abstract

【課題】吊り部の外周面と吊り板の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能な吊環を提供する。
【解決手段】建築物の壁、天井、床のいずれかの平面に設置される吊環1であって、一端部10aが前記平面に固定され、他端部10bに吊り孔11が穿たれた吊り板10と、前記吊り孔11の内周面に嵌合された樹脂製の円筒体12と、前記円筒体12の内周面に挿通されて溶接された略円環状の吊り部13とを備えることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本考案は、吊環に関し、詳しくは、吊り部の外周面と吊り板の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能な吊環に関する。
従来より、鋼材、鋼板等の荷重物や人を吊り下げたり、引っ張ったりするために、コンクリート製等の建築物、建設物の壁、天井、床等の平面に吊環を固定している。この吊環は、通常、平面に埋設される吊り板(フラットバー)に所定の吊り孔を穿つ(開孔)し、その吊り孔に、吊り下げ可能な吊り部を挿通することで構成される。この吊環の典型的な用途は、例えば、ビルの屋上の周縁部壁面に前記吊環を埋設固定し、これを吊元として、当該吊環の吊り部にメンテナンス用の仮設ゴンドラの吊りロープ(命綱)を引っ掛け、当該仮設ゴンドラを吊り下げる。これにより、この仮設ゴンドラに清掃員が乗り込み、ビルの窓拭きや外壁清掃をすることが可能となる。
尚、吊環単体でも耐荷重性を有するが、この吊環を複数個、前記壁面に所定間隔を空けて設け、複数の吊環の吊り部にロープを挿通することで、1000kg以上の荷重に耐えるよう構成される。
このような吊環に関して、例えば、実開平2−89135号公報(特許文献1)には、固定板(2)の前部(3)に設けた取付孔(4)に吊環(5)を回動自在に挿通し、その後方の埋込部(6)に定着スタッド(8)を固着した吊環固定金物(1)を備える吊環固定金物定着装置が開示されている。この吊環固定金物定着装置には、取付孔(4)内の吊環(5)の外縁(5a)と型枠(9)との間を所定長(W)としこの長さ(W)に等しい幅を有するL形板(11)の上下に固定板(2)の幅(W′)の間隔で挾持短片(12)を固着した定着体(13)と、L形板(11)の幅(W)に等しい厚さ(D′)を有する棧木(15)とを更に備える。これにより、前記吊環固定金物を所定位置に正確に、かつ水平ぶれ、垂直ぶれがなく確実に定着させることができるとともに、定着作業が簡単であり、効率よく作業ができるとしている。
尚、上述と異なる分野の吊環に関しては、実用新案登録第3011212号公報(特許文献2)、実用新案登録第3014471号公報(特許文献3)、実用新案登録第3090107号公報(特許文献4)、実用新案登録第3097412号公報(特許文献5)の技術が存在する。
実開平2−89135号公報 実用新案登録第3011212号公報 実用新案登録第3014471号公報 実用新案登録第3090107号公報 実用新案登録第3097412号公報
建築物の壁、天井、床等の平面に設置される吊環では、上述のように、吊り部に非常に重い荷重がかかると、前記吊り部と吊り板の吊り孔とが接触している接触面が擦れて当該吊り部の外周面と当該吊り孔の内周面とが損傷するという問題がある。特に、前記吊り部と吊り孔との損傷は、吊環全体としての耐荷重性の経時的な劣化を招くことがある。
又、前記吊環は、通常、その材質は、金属とされ、吊り部と吊り孔との間に所定の隙間(クリアランス)が設けられるが、この隙間の存在により、吊り部が搖動することで、当該吊り部の外周面と吊り孔の内周面とが擦れて、金属音が生じる。特に、上述のように、吊り部に重い荷重がかかると、前記金属音が非常に大きな音となり、騒音が生じるという問題がある。
このような問題に対して、上述した特許文献1に記載の技術では、解決することが出来ず、上述した特許文献2〜5に記載の技術では、分野が異なるため、解決出来るか否か不明である。
そこで、本考案は、前記問題を解決するためになされたものであり、吊り部の外周面と吊り板の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能な吊環を提供することを目的とする。
本考案者は、鋭意研究を重ねた結果、本考案に係る新規な吊環を完成させた。
即ち、本考案は、建築物の壁、天井、床のいずれかの平面に設置される吊環であって、一端部が前記平面に固定され、他端部に吊り孔が穿たれた吊り板と、前記吊り孔の内周面に嵌合された樹脂製の円筒体と、前記円筒体の内周面に挿通されて溶接された略円環状の吊り部とを備えることを特徴とする。
本考案に係る吊り金具によれば、吊り部の外周面と吊り板の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能となる。
本考案に係る吊環の第一の斜視図(図1A)と、本考案に係る吊環の第二の斜視図(図1B)と、本考案に係る吊環の右側面図(図1C)と、本考案に係る吊環の左側面図(図1D)とである。 本考案に係る吊環の正面図(図2A)と、本考案に係る吊環の背面図(図2B)と、本考案に係る吊環の平面図(図2C)と、本考案に係る吊環の底面図(図2D)とである。 本考案に係る吊環の第一の斜視写真(図3A)と、本考案に係る吊環の第二の斜視写真(図3B)と、本考案に係る吊環の第一の拡大写真(図3C)と、本考案に係る吊環の第二の拡大写真(図3D)とである。 本考案に係る円筒体の斜視図(図4A)と、本考案に係る円筒体の正面図(図4B)と、本考案に係る円筒体の平面図(図4C)と、本考案に係る円筒体のA−A線断面図(図4D)とである。 本考案に係る吊環の吊り板を変更した第一の斜視図(図5A)と、本考案に係る吊環の吊り板を変更した第二の斜視図(図5B)と、本考案に係る吊環の吊り板を変更した第三の斜視図(図5C)と、本考案に係る吊環の吊り部を変更した斜視図(図5D)とである。 本考案に係る吊環を屋上の周縁部壁面に埋設した状態を示す斜視図である。
以下に、添付図面を参照して、本考案に係る吊環の実施形態について説明し、本考案の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本考案を具体化した一例であって、本考案の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<吊環>
図1は、本考案に係る吊環の第一の概略図であり、図1Aは、本考案に係る吊環の第一の斜視図であり、図1Bは、本考案に係る吊環の第二の斜視図であり、図1Cは、本考案に係る吊環の右側面図であり、図1Dは、本考案に係る吊環の左側面図である。
図2は、本考案に係る吊環の第二の概略図であり、図2Aは、本考案に係る吊環の正面図であり、図2Bは、本考案に係る吊環の背面図であり、図2Cは、本考案に係る吊環の平面図であり、図2Dは、本考案に係る吊環の底面図である。
図3は、本考案に係る吊環の写真であり、図3Aは、本考案に係る吊環の第一の斜視写真であり、図3Bは、本考案に係る吊環の第二の斜視写真であり、図3Cは、本考案に係る吊環の第一の拡大写真であり、図3Dは、本考案に係る吊環の第二の拡大写真である。
本考案は、建築物の壁、天井、床のいずれかの平面に設置される吊環1であって、図1A、図1B、図1C、図1D、図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図3C、図3Dに示すように、一端部10aが前記平面に固定され、他端部10bに吊り孔11が穿たれた吊り板10(フラットバー)と、前記吊り孔11の内周面に嵌合された樹脂製の円筒体12(リング)と、前記円筒体12の内周面に挿通されて溶接された略円環状の吊り部13(吊り環)とを備えることを特徴とする。
これにより、吊り部13の外周面と吊り板10の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能となる。
即ち、本考案では、前記吊り孔11と前記吊り部13との間の所定の隙間に樹脂製の円筒体12を設けることで、前記吊り部13に大きい荷重がかかったとしても、前記円筒体12の内周面が当該吊り部13の外周面を受けて緩衝し、前記吊り孔11の内周面と前記吊り部13の外周面との擦れを防止する。そのため、前記吊り孔11の内周面と前記吊り部13の外周面との物理的な接触を防止し、両面の損傷を確実に防止することが出来る。
更に、前記円筒体12の内周面が前記吊り部13の外周面と直接的に接触することで、前記吊り孔11の内周面と前記吊り部13の外周面との接触による金属音の発生を確実に防止することが可能となる。言い換えると、前記円筒体12により、吊環1を防音構成とすることが可能となる。
従って、本考案の円筒体12により、吊り板10の吊り孔11と吊り部13との損傷と、両者の擦れによる金属音等の騒音とを確実に防止することが可能となる。
又、本考案の円筒体12は、吊り板10の吊り孔11へ嵌合する構成とし、吊り部13に設ける構成としないことで、製造業者が吊環を製造する際に、吊り孔11に円筒体12を嵌合した後に、当該円筒体12の内空孔に吊り部13を挿通して溶接すれば良く、つまり、吊り部13に後付けで円筒体12を付ける必要が無く、本考案の吊環の製造も容易である。
図4は、本考案に係る円筒体の概念図であり、図4Aは、本考案に係る円筒体の斜視図であり、図4Bは、本考案に係る円筒体の正面図であり、図4Cは、本考案に係る円筒体の平面図であり、図4Dは、本考案に係る円筒体のA−A線断面図である。尚、円筒体の背面図、右側面図、左側面図は、正面図と同一に表れるため、省略する。
ここで、円筒体12の構成は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、図4A、図4B、図4C、図4Dに示すように、前記吊り孔11の内周面に嵌挿される胴部12aと、前記胴部12aの軸方向の一端部に設けられ、前記吊り孔11の一端部周辺の吊り板10に係合されるフランジ部12bと、前記胴部12aの軸方向の他端部に設けられ、前記吊り孔11の他端部周辺の吊り板10に係合され、外径が可撓的に拡大縮小する係合部12cとを備える。
これにより、製造業者が、吊り板10の吊り孔11に簡単に円筒体12を嵌合することが可能となる。つまり、製造業者が、吊り板10の吊り孔11の一端部から、円筒体12の係合部12cを先頭にして挿入して押し込むと、当該係合部12cの外径が縮小して、当該円筒体12全体が吊り孔11に嵌挿される。そして、前記円筒体12の係合部12cが前記吊り孔11の他端部から外部へ出ると、当該係合部12cの外径が拡大して、前記吊り孔11の他端部周辺の吊り板10に係合される。一方、前記円筒体12の一端部には、フランジ部12bが設けられているため、当該フランジ部12bが、前記係合部12cと対向する位置で、前記吊り孔11の一端部周辺の吊り板10に係合される。その結果、前記円筒体12を前記吊り板10の吊り孔11に確実に嵌合することが可能となる。
又、円筒体12の胴部12aの外周面は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、吊り板10の吊り孔11の内周面に対応するよう構成すると好ましい。尚、前記円筒体12の胴部12aの外径は、吊り板10の吊り孔11の孔径に対応して適宜設計変更される。
又、円筒体12のフランジ部12bの形状は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、図4B、図4C、図4Dに示すように、外周面が外方向を向いた略半球面とした形状や円環形状とすることが出来る。
又、円筒体12の係合部12cの形状は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、図4A、図4B、図4Dに示すように、外周面が外方向を向いた略半球面とした形状とすることが出来る。これにより、製造業者が、円筒体12の係合部12cを吊り孔11に嵌挿し易くなるため、円筒体12を吊り板10の吊り孔11に嵌合し易くなる。
又、円筒体12の係合部12cは、図4A、図4B、図4C、図4Dに示すように、係合部12cの外周面から胴部12aの内部まで胴部12aの軸方向に沿って溝部12dを更に設けても構わない。これにより、係合部12cが所定の押力によりその外径が容易に縮小するため、製造業者が、円筒体12の係合部12cを吊り孔11に嵌挿し易くなる。
ここで、係合部12cの溝部12dの数は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、図4A、図4B、図4C、図4Dに示すように、溝部12dの数は、円筒体12の中心軸に対して放射状に8個とすることが出来るが、これに限らず、2個、4個、6個等であっても構わない。
又、係合部12cの外径は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、図4A、図4B、図4C、図4Dに示すように、フランジ部12bの外径よりも小さく構成される。これにより、製造業者が、円筒体12のフランジ部12bと係合部12cとを一見して区別して取り扱うことが可能となる。
又、円筒体12の材質は、樹脂製であれば、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を採用することが出来る。
図5は、本考案に係る吊環の他の構成の斜視図であり、図5Aは、本考案に係る吊環の吊り板を変更した第一の斜視図であり、図5Bは、本考案に係る吊環の吊り板を変更した第二の斜視図であり、図5Cは、本考案に係る吊環の吊り板を変更した第三の斜視図であり、図5Dは、本考案に係る吊環の吊り部を変更した斜視図である。
又、吊り板10の一端部10aの形状は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、図4A、図4B、図4C、図4Dに示すように、吊り板10の一端部10aの形状を、吊り板10の長手方向に対して所定の角度(例えば、45度)に折り曲げた構成とすることが出来る。又、図5Aに示すように、吊り板10の一端部10aの形状を、吊り板10の長手方向に単に延出させた構成としても、図5Bに示すように、吊り板10の長手方向に直角な方向に板部10a1を設けて、全体をT字状の構成としても構わない。尚、図5A、図5C、図5Dに示す吊環1は、建築物の平面(壁面)の内部に埋め込むことで固定する埋め込みタイプであり、図5Bに示す吊環1は、既に既設の建築物の平面に対して板部10a1を当接して、当該板部10a1の挿通孔10dにボルト留めすることで固定する後付けタイプである。
又、吊り板10は、図5Cに示すように、L字状の固定部10c(アングル)の一面に、所定のピン(例えば、ボルト、タッピングネジ等)を挿通可能なピン孔10c1を設け、当該固定部10cの他面を、吊り板10の長手方向中央近傍の左右側面にそれぞれ設けても構わない。これにより、建築物の平面に吊環1を埋設してコンクリートを流し込む際に、前記固定部10cの一面を当該平面に当てることで、吊環1全体が動かないように位置決めして固定することが可能となる。即ち、吊環1の取り付け対象の建築物の平面にコンクリート打設する際に、当該平面に対応してコンクリートパネルを設置し、当該コンクリートパネルに穴を開けて、吊環1の吊り板10の一端部10aを当該穴に挿入し、前記吊り板10の固定部10cの一面をコンクリートパネルに当接して、ピン孔10c1に釘打ちして固定する。これにより、吊環1を所定の位置に仮止めすることが可能となる。そして、コンクリート打ちを行い、その後に、前記コンクリートパネルを外し、これにより突出する釘を切り落として、吊環1の埋設を完了することになる。
又、吊り部13の形状は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、図1A、図1B、図2A、図2Bに示すように、真円環の形状や、図5Dに示すように、楕円環の形状とすることが可能である。
図6は、本考案に係る吊環を屋上の周縁部壁面に埋設した状態を示す斜視図である。
又、吊り板10は、図1A、図1B、図1C、図1D、図5A、図5B、図5C、図5Dに示すように、建築物の平面に埋設又は固定される吊り板10の一端部10aに、当該建築物の平面の内部に設けられた鉄筋(かんざし筋)を挿通可能な挿通孔10dを更に備える。これにより、図6に示すように、前記一端部10aの挿通孔10dに鉄筋10eを挿通した状態で、吊り板10の一端部10aを屋上の壁面に埋設することで、吊環1の位置決めを確実にするとともに、当該吊環1の使用時の強度を補強して、吊環1に更に耐荷重性を付加することが可能となる。
又、吊り板10、吊り部13の材質は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、耐荷重性に優れる金属、ステンレス鋼を採用することが出来る。
又、吊環1は、吊り部13に、ワイヤーロープ、チェーン、シャックル、フックの引っ掛け部が引っ掛けられることで使用される。
又、吊環1が適用される建築物は、本考案の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、上述のように、ビルの屋上、工場、事務所、住宅、家屋等を挙げることが出来る。
このように、本考案は、建築物の壁、天井、床のいずれかの平面に設置される吊環1であって、一端部10aが前記平面に固定され、他端部10bに吊り孔11が穿たれた吊り板10と、前記吊り孔11の内周面に嵌合された樹脂製の円筒体12と、前記円筒体12の内周面に挿通されて溶接された略円環状の吊り部13とを備えることを特徴とする。
これにより、吊り部13の外周面と吊り板10の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能となる。
以上のように、本発明に係る吊環は、建築分野、建設分野、設計分野、施工分野、保守分野等の吊環として有用であり、吊り部の外周面と吊り板の吊り孔の内周面との擦れによる損傷及び騒音を防止することが可能な吊環として有効である。
1 吊環
10 吊り板
11 吊り孔
12 円筒体
13 吊り部

Claims (1)

  1. 建築物の壁、天井、床のいずれかの平面に設置される吊環であって、
    一端部が前記平面に固定され、他端部に吊り孔が穿たれた吊り板と、
    前記吊り孔の内周面に嵌合された樹脂製の円筒体と、
    前記円筒体の内周面に挿通されて溶接された略円環状の吊り部と
    を備えることを特徴とする吊環。
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