JP3183176B2 - 自動車のドアヒンジ部におけるワイヤハーネス配索構造 - Google Patents

自動車のドアヒンジ部におけるワイヤハーネス配索構造

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の自動車のドアヒンジ
部におけるワイヤハーネス配索構造に関し、特に、ヒン
ジ部支点より室内側で、ウエザーストリップよりに内側
にワイヤハーネスを配索して、配索作業の容易化および
防水対策の簡略化を図ることができるようにするもので
ある。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体側とドア側とを開閉自在に
連結するドアヒンジ部には、ドア側からドアハーネスを
車体側へと配索して、車体側でインストルメントパネル
ハーネス(以下、インパネハーネスと略称する)と接続
しているか、あるいは車体側からインパネハーネスをド
ア側ヘ配索して、ドア側でドアハーネスと接続してい
る。従来、このドアヒンジ部に配索されるワイヤハーネ
スは、ヒンジ支点位置と略同一位置で上下高さ方向を変
えた位置に配索して、ドア開閉に伴ってワイヤハーネス
にはねじれのみが発生して、ワイヤハーネスが伸縮しな
くてもよいようにし、上記ねじれはワイヤハーネスがね
じれることにより吸収している。
【0003】上記のように、ワイヤハーネスをヒンジ支
点位置に配索する場合、図5および図6に示すように、
車体側CとドアDのヒンジHはドアパネル1の端面1a
の略中央に取り付けられるため、ドアハーネスW/H
は、ドアパネル1の内部を通して、端面1aに穿設した
貫通穴1bを通してドア外部に取り出す必要があり、ド
アパネル1の内部へのワイヤハーネスの配索および貫通
穴1bを通す作業に手数がかかる問題があった。
【0004】また、ドアDには防水を図るために、ウエ
ザーストリップ2が取り付けられており、該ウエザース
トリップ2はヒンジHよりも室内側に取り付けられてい
るため、ワイヤハーネスW/Hもウエザーストリップ2
より室外側となる。よって、ワイヤハーネスW/Hの配
索箇所はウエザーストリップ2による防水が図られない
ため、防水構造とする必要がある。よって、従来は、ド
ア側および車体側の貫通位置に防水グロメットGを取り
付けると共に、ワイヤハーネスW/Hにも防水対策を施
す必要があり、その分、コスト高になると共に手数がか
かる問題があった。
【0005】上記した問題は、ワイヤハーネスW/Hを
ウエザーストリップ2よりも室内側に配置すれば解決で
きるが、その場合には、ヒンジ支点位置とワイヤハーネ
スW/Hとの配索位置とがずれるため、ドア開閉時にワ
イヤハーネスW/Hを伸縮させる必要が生じる。即ち、
ドアヒンジ部に配索するワイヤハーネスには伸縮機能と
ねじれ吸収機能との両機能が要求されることとなる。
【0006】上記ウエザーストリップよりも室内側にワ
イヤハーネスを配索した構造のものが、特開平8−48
146号において提案されている。即ち、図7および図
8に示すように、インストルメントパネルのサイドカバ
ー3とこれに対向するドア内面1cとの間に空調用ダク
トを覆う蛇腹状ダクト4を取り付け、このダクト4の内
部にワイヤハーネスW/Hを螺旋状に巻いて余裕長を持
たせて配索している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
造では蛇腹状ダクト4の内部に蛇腹状のワイヤハーネス
W/Hを配索しているため、下記に列挙する不具合が発
生する。
【0008】ワイヤハーネスW/Hが図9(A)
(B)に示すように、蛇腹状ダクト内部の中心位置を通
る場合は、蛇腹状ダクト4および蛇腹状ワイヤハーネス
W/Hは共に正規状態で伸縮することができる。しかし
ながら、図10(A)に示すように、ワイヤハーネスW
/Hの一部Wがダクト4の蛇腹部の凹部4aに入り込む
と、ダクト4が収縮できなくなる。この状態で図10
(B)に示すようにドアDが閉じられると、ドアパネル
1とサイドカバー3に挟まれて、ダクト4およびワイヤ
ハーネスW/Hに無理は力がかかることがある。
【0009】蛇腹状のワイヤハーネスW/Hが伸縮す
る際、常時一定の形状に復元するとは限らず、蛇腹状ダ
クト4の内径よりもワイヤハーネスの外径が大きくなっ
た場合、蛇腹状ダクトが破壊され、収縮できなくなる。
【0010】蛇腹状ダクト4が室内側に露出している
ため、外力により変形する可能性があり、その場合、内
部の蛇腹状ワイヤハーネスW/Hがダクト4の凹部4a
に入り込み、上記の問題が発生しやすい。
【0011】ドアを開閉する際に、ドアを開閉操作す
る力のほか、蛇腹状ダクト4を伸縮させる操作力が必要
となり、乗員にとってドア開閉が重く感じられる不具合
が生じる。
【0012】本発明は上記した不具合を解消し、ヒンジ
部支点より室内側で且つウエザーストリップより内側位
置で、ワイヤハーネスにねじれ吸収機能と伸縮機能の両
機能を持たせて配索し、配索作業の容易化および防水対
策の簡略化を図ることを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、請求項1で、車体とドアとの間に配索す
るワイヤハーネスを、車体とドアとを連結するヒンジの
取付位置およびウエザーストリップより室内側に配索す
るものであって、ハーネス配索方向に延在させる固定筒
部と該固定筒部に対してL状にヒンジ結合される可動筒
部とを備えた一対のガイド部材を設け、これらガイド部
材の一方の固定筒部から可動筒部へワイヤハーネスを通
した後に、他方のガイド部材の可動筒部から固定筒部へ
とワイヤハーネスを通して、ハーネス配索方向に対して
余長部を持たせておき、上記一方の固定筒部の先端をド
ア側に、他方の固定筒部の先端を車体側に取り付け、ド
ア開閉作動に応じて可動筒部を回転させてワイヤハーネ
スをドア開閉作動に追従させる構成としていることを特
徴とする自動車のドアヒンジ部におけるワイヤハーネス
配索構造を提供している。
【0014】上記各ガイド部材は、樹脂の一体成形品か
らなり、固定筒部と可動筒部とを薄肉ヒンジを介して連
結している。(請求項2)なお、各ガイド部材は樹脂の
一体成型品とせずに、各筒部を別個に設けてヒンジ金具
を介して接続しても良いが、一体成形の方が組立が不要
で、部品点数が減少できるため好ましい。
【0015】上記ガイド部材は、ドア側および車体側に
それぞれ固定した固定筒部に対して、その間にハーネス
配索方向とは直交する方向に突出する可動筒部をヒンジ
結合して介在させ、これら可動筒部の間にワイヤハーネ
スを挿通させ、可動部材をハーネス配索方向と直交させ
ていることにより、ドアの開閉動作に追従できる余長部
をワイヤハーネスに予め持たせている。ドア開放時には
固定筒部が互いに離れる方向となり、ヒンジ結合した可
動筒部をハーネス配索方向へと回転させて、余長部をワ
イヤハーネス配索方向へと延ばして、ドア開放作動に追
従する。其の際、各ガイド部材は固定筒部と可動筒部と
をヒンジ結合しているため、これらヒンジ結合部におけ
る開閉角度により、ドア回転支点を支点とした円周上で
ガイド部材を伸縮するように作動できる。よって、ガイ
ド部材に挿通したワイヤハーネスはドア開閉作動に応じ
てねじれることはなく、伸縮すれば良いだけであるた
め、ドア開閉作動にスムーズに追従させることができ
る。
【0016】上記ガイド部材の一方は対向するドア端面
に、他方は車体端面と取り付けることが好ましい。(請
求項3)
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1乃至図4に示
す実施形態を参照して詳細に説明する。
【0018】ドアハーネスD・W/Hをドアパネル1の
前側端面1aより車体側へと延ばして、ドアDと車体C
との間のドアヒンジ部に配索し、このドアヒンジ部の配
索部分のドアハーネスD・W/Hを図2に示す形状の一
対のガイド部材10、11に通している。
【0019】上記ガイド部材10、11は左右対称で、
樹脂の一体成形品からなり、ガイド部材10はドア端面
1aに固定するドア側部材とする一方、ガイド部材11
はドア端面1aと対向する車体端面20aに固定する車
体側部材としている。ガイド部材10、11は夫々ドア
ハーネスD・W/Hの配索方向に配置する固定筒10
a、11aと、これら固定筒部に薄肉ヒンジ部10b、
11bを介してL状に連結する可動筒部10c、11c
とからなる。両ガイド部材10、11の筒部10a〜1
1cはドアハーネスD・W/Hが挿通する中空部を備え
る両端開口の角筒部形状としている。各部材の固定筒部
10aと可動筒部10c、11aと11cとはテーパ状
の突き合わせとし、図中上端をヒンジ部10b、11b
で回転可に結合している。
【0020】各ガイド部材10、11の固定筒部10
a、11aの先端には、上下開口端縁より係止爪10
d、11dを横向きに突設すると共に、後側開口端縁よ
りハーネス固定片10e、11eを突設している。さら
に、ガイド部材10の上側開口端縁よりドア固定片10
fを上向きに突設する一方、ガイド部材11の上下開口
端縁より車体固定片11fを上下に突設している。これ
ら固定片10f、11fには取付孔10g、11gを設
けビスでドアおよび車体に固定するようにしている。
【0021】一対のガイド部材10、11には、ドアハ
ーネスD・W/Hをガイド部材10の固定筒部10aか
ら可動筒部10cに通した後、ガイド部材11の可動筒
部11cから固定筒部11aへと通し、それぞれハーネ
ス固定片10e、11eにテープでドアハーネスを固定
している。
【0022】ドアハーネスD・W/Hを挿通固定したガ
イド部材10は、図1に示すように、ドアパネル1の端
面1aより内板1cの内面にかけて切り欠いた開口1f
に対向する位置に取り付け、係止爪10dを内板1cの
開口端縁に係止すると共に、ドア固定片10fをドア端
面1aにビスで固定している。ガイド部材10よりドア
ハーネスを介して連結したガイド部材11は、車体端面
20aに形成した開口20bに係止爪11dを係止し、
車体固定片11fを車体端面10aにビスで固定してい
る。
【0023】ガイド部材10、11を上記のようにドア
ヒンジ部分に取り付けた状態で、固定筒部10a、11
aとはハーネス配索方向となり、可動筒部10c、11
cはハーネス配索方向に対して直交する方向の室内側に
向かって水平に突出している。よって、この可動筒部1
0c、11cの内部を挿通するハーネス部分は余長部分
21となる。
【0024】ドアDのドアパネル1には、車体Cとのヒ
ンジ結合部より、室外側にウエザーストリップ2が取り
付けられており、上記ガイド部材10を取り付けた開口
1fは上記ウエザーストリップ2の取付位置より室内側
に位置する。よって、ガイド部材10を取り付けるドア
ハーネスD・W/Hには特別に防水対策を施す必要はな
い。一方、ドアハーネスD・W・Hの配索位置を、ヒン
ジ結合部よりも室内側として位置ずれさせているため、
上記水平面内で、ドア開放角度に応じてドア回転支点を
支点として円弧状に伸縮させる必要がある。
【0025】ドア開閉作動時には、図4(A)(B)
(C)に示すように、ガイド部材10、11は作動す
る。即ち、ドア開放時には、図1および図3(B)
(C)に示すように、固定筒部10aと11aとは離反
する方向に離れ、可動筒部10c、11cはヒンジ部1
0b、11bを支点として、その先端が互いに近接する
方向に回転する。よって、ハーネス配索方向と直交方向
に伸びていた開閉筒部13と14およびその内部のハー
ネスが、ハーネス配索方向へと移行し、ドアハーネスD
・W/Hはドア開放作動に追従して伸びることができ
る。
【0026】一方、ドアの閉鎖時には、固定筒部10a
と11aとが近接し、可動筒部10cと11cとはハー
ネス配索方向と直交方向へと回転し、伸びていた余長分
21をハーネス配索方向から直交方向へと引き戻し、ハ
ーネス配索方向でみてハーネスが縮むこととなる。
【0027】また、ガイド部材10、11の各筒部10
aと10c、11aと11cはヒンジ結合しているた
め、これら各ヒンジ部における開閉角度により、ガイド
部材10、11および内部のハーネスは、ドアDの回転
支点を支点とした円周上で、図4(A)⇔(B)⇔
(C)の状態で開閉作動する。よって、ガイド部材1
0、11の内部のハーネスにねじれを発生させる必要は
なく、伸縮だけでよく、ドアの開閉作動にスムーズに追
従させることができる。
【0028】このように、ガイド部材10、11は、そ
の可動筒部10c、11cに通すハーネス部分を余長部
分21としてハーネス配索方向と直交する方向に弛ませ
ているため、この余長部分21がハーネス配索方向とな
ることによりハーネスを配索方向に伸ばすことができる
一方、ハーネス配索方向と直交方向に伸ばすことにより
ハーネスを配索方向に縮めることができ、この作動で、
ドア開閉作動にワイヤハーネスを追従させることができ
る。
【0029】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
の自動車のドアヒンジ部におけるワイヤハーネス配索構
造では、ヒンジ位置と同一位置ではなく室内側の内部位
置にワイヤハーネスを配索しているため、ドア開閉時に
ワイヤハーネスには伸縮機能とねじれ機能の両機能が要
求されるが、ドア回転支点を支点とした円周上でハーネ
ス配索方向に対してワイヤハーネスを伸縮できるガイド
部材を設け、該ガイド部材にワイヤハーネスを通してい
るため、ドア開閉時にワイヤハーネスをガイド部材と共
にスムーズに追従させることができる。
【0030】また、上記ガイド部材はワイヤハーネスを
挿通するだけの筒部をヒンジ結合した簡単かつ小型の形
状であるため、ドアと車体の間にスペースを取らずに取
り付けることが出来ると共に、軽量であるため、ガイド
枠を取り付けたことにより、ドアの開閉操作力が大きく
なることはなく、ドアの開閉が重くならない。
【0031】さらに、ワイヤハーネスをヒンジ位置より
も内部位置で、かつ、ウエザーストリップより内部位置
に配索しているため、ワイヤハーネスには防水対策を施
す必要はなく、従来用いられていたグロメット等を不要
とできる。さらに、ワイヤハーネスをトアパネ内面側に
配索することができ、よって、従来必要とされたドアパ
ネル内部ヘワイヤハーネスを配索して、ドアパネル先端
面に設けた貫通穴よりワイヤハーネスを取り出す作業を
無くすことができ、ドアパネルへのワイヤハーネスの配
索作業を従来と比較して格段に容易とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の斜視図である。
【図2】 上記実施形態に用いるガイド部材の斜視図で
ある。
【図3】 上記ガイド部材を示し、(A)は平面図、
(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図4】 (A)(B)(C)は実施形態のガイド部材
の作動状態を示す概略図である。
【図5】 従来例を示すドアヒンジ部の分解斜視図であ
る。
【図6】 ヒンジの位置とウエザーストリップの位置関
係を示す平面図である。
【図7】 他の従来例の斜視図である。
【図8】 図7の従来例の要部拡大断面図である。
【図9】 (A)(B)は図8の従来例の正常状態を示
す概略図である。
【図10】 (A)(B)は図8の従来例の異常状態を
示す概略図である。
【符号の説明】
C 車体 D ドア D・W/H ドアハーネス H ヒンジ位置 1 ドアパネル 1f 開口 2 ウエザーストリップ 10、11 ガイド部材 10a、11a 固定筒部 10b、11b ヒンジ部 10c、11c 可動筒部 20a 車体端面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝本 徹也 三重県四日市市西末広町1番14号 住友 電装株式会社内 (72)発明者 鈴木 将久 三重県四日市市西末広町1番14号 住友 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−40155(JP,A) 特開 平8−58491(JP,A) 実開 平4−133958(JP,U) 実開 昭58−54959(JP,U) 実開 昭58−113566(JP,U) 実開 昭58−108722(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 16/02 B60J 5/04 E05D 11/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体とドアとの間に配索するワイヤハー
    ネスを、車体とドアとを連結するヒンジの取付位置およ
    びウエザーストリップより室内側に配索するものであっ
    て、 ハーネス配索方向に延在させる固定筒部と該固定筒部に
    対してL状にヒンジ結合される可動筒部とを備えた一対
    のガイド部材を設け、これらガイド部材の一方のガイド
    部材の固定筒部から可動筒部へワイヤハーネスを通した
    後に、他方のガイド部材の可動筒部から固定筒部へとワ
    イヤハーネスを通して、ハーネス配索方向に対して余長
    部を持たせておき、 上記一方の固定筒部の先端をドア側に、他方の固定筒部
    の先端を車体側に取り付け、ドア開閉作動に応じて可動
    筒部を回転させてワイヤハーネスをドア開閉作動に追従
    させる構成としていることを特徴とする自動車のドアヒ
    ンジ部におけるワイヤハーネス配索構造。
  2. 【請求項2】 上記各ガイド部材は、樹脂の一体成形品
    からなり、固定筒部と可動筒部とを薄肉ヒンジを介して
    連結している請求項1に記載の自動車のドアヒンジ部に
    おけるワイヤハーネス配索構造。
  3. 【請求項3】 上記ガイド部材の一方は対向するドア端
    面に、他方は車体端面と取り付けている請求項1または
    請求項2に記載の自動車のドアヒンジ部におけるワイヤ
    ハーネス配索構造。
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