JP3178906B2 - 感熱転写記録用色素、感熱転写記録用インキ組成物、及び転写シート - Google Patents

感熱転写記録用色素、感熱転写記録用インキ組成物、及び転写シート

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JP3178906B2
JP3178906B2 JP21048492A JP21048492A JP3178906B2 JP 3178906 B2 JP3178906 B2 JP 3178906B2 JP 21048492 A JP21048492 A JP 21048492A JP 21048492 A JP21048492 A JP 21048492A JP 3178906 B2 JP3178906 B2 JP 3178906B2
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良平 滝口
博 江口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昇華熱転写記録方式に
よるカラーハードコピー等に使用される感熱転写記録用
色素(以下、昇華色素と略記する)、感熱転写記録用イ
ンキ組成物、及び転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】昇華色素を用いた熱転写記録方式は、厚
さが数ミクロンの薄いコンデンサー紙、またはPETフ
ィルムにインキ化した昇華性のある色素を塗布した転写
シートを用い、これを感熱記録ヘッドで選択的に加熱し
被記録材である記録紙に色素を転写する熱転写プリント
方式の一つである。現在種々の画像情報をイメージ記録
(ハードコピー)する手段として使用されてきている。
【0003】ここで用いる昇華色素は、色が豊富で、混
色性に優れ、染着力が強く、安定であることが要求され
る。上記記録方式においては、昇華する色素の量は熱エ
ネルギーに依存し、染着後の色素濃度をアナログ的に制
御できるという点で、他の印画方式にはない大きな特質
を有する。
【0004】イエロー色系の昇華色素としては、特に耐
光、堅牢度の優れたキノフタロン系の化合物(特開昭6
0−53565号、特開昭63−189289号、特開
昭63−182192号)があるが、高い昇華速度と転
写後の画像安定性を兼ね備えたものは極めて少なく、昇
華色素として最適条件を満たした色素の出現が期待され
てきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記課
題を解決するために鋭意検討した結果、一般的に感熱転
写記録用色素において、転写時の昇華速度は、同色素分
子間の相互作用、色素分子とインキ用バインダー樹脂と
の相互作用に関係しているという知見が得られた。
【0006】すなわち、昇華色素のインキ溶媒に対する
溶解性がよく、また融点も低いものがよく、さらにイン
キ用バインダー樹脂との相互作用が転写シート製作後の
保存安定性を損ねない程度に小さいものが最も良好な色
素であることが明らかとなり、後述する一般式(1)で
示される化合物が優れたイエロー系の感熱転写記録用色
素となり得ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】したがって、本発明の目的は、高い昇華速
度、転写後の画像安定性を兼ね備えた感熱転写記録色
素、感熱転写記録用インキ組成物、及び転写シートを提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、下記一般式(1)
【0009】
【化2】 〔式中、R1は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基
またはシクロアルキル基を示し、R2は水素原子、ハロ
ゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されて
もよいアルキルチオ基または置換されてもよいアリール
チオ基を示し、R3は炭素数が3〜5の分岐アルキル
基、O−置換オキシカルボニル基、N−置換基が環を形
成してもよいN−置換アミノカルボニル基、または窒素
原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1個以上の原
子を少なくとも2個以上含む置換あるいは非置換の複素
環を示す。ただし、R1が水素のとき、R3は窒素原子、
酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1個以上の原子を少
なくとも2個以上含む置換又は非置換の複素環であ
る。〕で表される化合物を感熱転写記録用色素とするも
のである。
【0010】そして、R1 が水素原子または炭素数が3
〜5の分岐アルキル基であること、R1 がイソプロピル
基であること、さらに、R1 が水素原子、または炭素数
が3〜5の分岐アルキル基の場合に、R2 が水素原子で
あること、R3 がジアルキルアミノカルボニル基または
置換オキサゾリン基であること、特に、R1 がイソプロ
ピル基で、R2 が水素原子で、R3 がジブチルアミノカ
ルボニル基であることを含む。
【0011】また本発明は、前記の一般式(1)で示さ
れる感熱転写記録用色素、バインダー樹脂並びに有機溶
剤及び/または水を含有してなることを特徴とする感熱
転写記録用インキ組成物である。
【0012】また本発明は、基材シート及び該基材シー
トの一面に形成された色素担持層からなり、該色素担持
層に含有される色素が前記の一般式(1)で示される感
熱転写記録用色素であることを特徴とする転写シートで
ある。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明においては、前記一般式(1)で示
される化合物を感熱転写記録用色素とするものである。
【0015】前記一般式(1)中で、R1 は水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、またはシクロアルキル基を
示す。
【0016】具体的には、アルキル基としては、メチ
ル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブ
チル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブ
チル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−
ヘプチル、n−オクチル等が例示できる。
【0017】シクロアルキル基としては、炭素数が5〜
6のものが好ましく、シクロペンチル、シクロヘキシル
等が例示できる。
【0018】R2 は水素原子、ハロゲン原子、置換され
てもよいアルコキシ基、置換されてもよいアルキルチオ
基、または置換されてもよいアリールチオ基を示す。
【0019】ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素
等が好ましい。
【0020】置換されてもよいアルコキシ基としては、
炭素数が1〜6のものが好ましく、メトキシ、エトキ
シ、n−プロポキシ、iso−プロポシキ、n−ブトキ
シ、iso−ブトキシ,tert−ブトキシ等が例示で
きる。
【0021】置換されてもよいアルキルチオ基として
は、アルキル基の炭素数が1〜4のものが好ましく、メ
チルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、iso−プ
ロピルチオ、n−ブチルチオ、iso−ブチルチオ等が
例示できる。
【0022】置換されてもよいアリールチオ基として
は、フェニルチオあるいはフェニルチオ基に炭素数が1
〜4のアルキルが置換されたものが好ましく、o−メチ
ルフェニルチオ、m−メチルフェニルチオ、p−メチル
フェニルチオ、p−tert−ブチルフェニルチオ等が
例示できる。
【0023】R3 は炭素数が3〜5の分岐アルキル基、
O−置換オキシルカルボニル基、N−置換基が環を形成
してもよいN−置換アミノカルボニル基、または窒素原
子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる1個以上の原
子を少なくとも2個以上含む置換あるいは非置換の複素
環基を示す。
【0024】ここで、炭素数が3〜5の分岐アルキル基
としてはiso−プロピル、iso−ブチル、tert
−ブチル、iso−ペンチル等が例示できる。
【0025】O−置換オキシカルボニル基としては、ア
ルキルの炭素数が1〜6のものが好ましく、メトキシカ
ルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボ
ニル、iso−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカ
ルボニル、iso−ブトキシカルボニル、tert−ブ
トキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、n
−ヘキシルオキシカルボニル等が例示できる。
【0026】N−置換アミノカルボニル基としては、ア
ルキルの炭素数が1〜10のものが好ましく、メチルア
ミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピ
ルアミノカルボニル、iso−プロピルアミノカルボニ
ル、n−ブチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカル
ボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ−n−プロピル
アミノカルボニル、ジ−iso−プロピルアミノカルボ
ニル、ジ−n−ブチルアミノカルボニル等が例示でき
る。
【0027】また、環を形成しているN−置換アミノカ
ルボニル基としては、ピロリジニル、ピペリジノ、3,
5−ジメチルピペリジノ、モルフォリノ、ピペラジノ、
N−メチルピペラジノ、N−エチルピペラジノ、N−n
−プロピルピペラジノ、N−iso−プロピルピペラジ
ノ、N−n−ブチルピペラジノ、N−iso−ブチルピ
ペラジノ、N−tert−ブチルピペラジノ、N−メト
キシエチルピペラジノ、N−エトキシエチルピペラジ
ノ、N−n−プロポキシエチルピペラジノ、N−iso
−プロポキシエチルピペラジノ、N−n−ブトキシエチ
ルピペラジノ、N−iso−ブトキシエチルピペラジ
ノ、N−tert−ブトキシエチルピペラジノ等が置換
したカルボニル基等が例示できる。
【0028】窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ば
れる1種以上の原子を少なくとも2個以上含む置換ある
いは非置換の複素環基としては、5〜6員環の置換ある
いは非置換環状化合物が好ましい。置換基としてはメチ
ル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブ
チル、iso−ブチル、tert−ブチル等のアルキル
基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキ
シ等のアルコキシ基、メチルカルボキシメチル、エチル
カボキシメチル、n−プロピルカルボキシメチル、is
o−プロピルカルボキシメチル、n−ブチルカルボキシ
メチル等のアルキルカルボキシアルキル基、メトキシカ
ルボキシメチル、エトキシカルボキシメチル、n−プロ
ポキシカルボキシメチル、iso−プロポキシカルボキ
シメチル、n−ブトキシカルボキシメチル等のアルコキ
シカルボキシアルキル基等が好ましい。これらのものと
しては、オキサゾリン、オキサゾール、ベンゾオキサゾ
ール、チアゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、イ
ミダゾリン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキ
サジアゾール、チアジアゾール等が例示できる。
【0029】また、一般式(1)の化合物は下記
(1’)の構造の互変異性体として存在するが、この互
変異性体についても権利範囲内のものである。
【0030】
【化3】 なお、前記互変異性体(1’)においても、R1 ,R
2 ,R3 は前述と同じものである。
【0031】一般式(1)で表される色素は、例えば下
記反応式で示される常法により、3−ヒドロキシ−2−
メチル−4−シンコニン酸類と無水フタル酸類とを結合
することによって得られる。
【0032】
【化4】 得られたキノフタロンの4位に置換基を導入するには、
通常の親電子試薬で置換するか、一旦ハロゲン置換して
通常の求核試薬で置換すればよい。
【0033】本発明においては上記のような方法で製造
した色素を用いて感熱転写記録用インキ組成物を製造
し、インキの形態で供給することも可能である。
【0034】本発明の昇華色素を用いて感熱転写記録用
インキ組成物を製造する方法としては、色素を適当な樹
脂、溶剤等と混合し、該記録用インキ組成物とすればよ
い。この場合の感熱転写記録用インキ中の色素の量は通
常2〜7重量%が好ましい。
【0035】上記のインキを調製するための樹脂として
は、通常の印刷インキに使用されるものが使用でき、ロ
ジン系、フェノール系、キシレン系、石油系、ビニル
系、ポリアミド系、アルキッド系、ニトロセルロース
系、アルキルセルロース類等の油性系樹脂あるいはマレ
イン酸系、アクリル酸系、カゼイン、シェラック、ニカ
ワ等の水性系樹脂が使用できる。
【0036】また、インキ調製のための溶剤としては、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等
のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ
等のセロソルブ類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、リグロイン、シクロヘキサン、ケロシン等の炭
化水素類、ジメチルホルムアミド等が使用できるが、水
性系樹脂を使用する場合には水または水と上記の溶剤類
を混合して使用することもできる。
【0037】インキを塗布する基材シートとしては、コ
ンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリイミドのような耐熱性の良好なプ
ラスチックのフィルムが適しているが、これらの基材は
感熱記録ヘッドから色素への伝熱効率をよくするため1
〜50μm程度の厚さが適当である。
【0038】上記基材シート表面に設ける色素担持層
は、基材シートに上述のインキを塗布し作製し得る。
【0039】本発明の転写シートの色素担持層は、基本
的には上記の材料で形成するが、その他必要に応じて従
来公知の各種の添加剤をも包含し得るものである。
【0040】このようにして形成する担持層は、0.2
乃至5.0μm好ましくは0.4乃至2.0μm程度の
厚さであり、また、担持層中の前記の色素は担持層の重
量の5乃至70重量%、好ましくは10乃至60重量%
の量で存在するのが好適である。
【0041】上記の如き本発明の転写シートは、そのま
まで熱転写用として十分に有用であるが、さらにその色
素担持層表面に粘着防止層、すなわち離型層を設けても
よく、このような層を設けることにより、熱転写時にお
ける転写シートと被記録材の粘着を防止し、さらに高い
熱転写温度を使用し、一層優れた濃度の画像を形成する
ことができる。
【0042】この離型層としては、単に粘着防止性の無
機粉末を付着させたのみのものでも相当の効果を示す。
さらに、例えば、シリコーンポリマー、アクリルポリマ
ー、フッ素化ポリマーの如き離型性に優れた樹脂で0.
01乃至5μm、好ましくは0.05乃至2μmの離型
層を設けることによって形成することができる。
【0043】なお、上記の如き無機粉体あるいは離型性
ポリマーは色素担持層中に包含させても十分な効果を奏
するものである。
【0044】また、被記録材としては、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマ
ー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアク
リルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エ
チレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマ
ーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジア
セテート、セルローストリアセテート等のセルロース系
樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド等
からなる繊維、織布、フィルム、シート、成形物等が挙
げられる。
【0045】特に好ましいものはポリエチレンテレフタ
レートからなる織布、シートまたはフィルムである。
【0046】また、上記被記録材として前記樹脂にシリ
カゲル等の酸性微粒子を添加したものを普通紙にコーテ
ィングしたもの、含浸したもの、あるいは樹脂のフィル
ムをラミネートしたものや、アセチル化処理した特殊な
加工紙を使用することにより高温及び高湿下の画像安定
性に優れた良好な記録ができる。また、各種樹脂のフィ
ルムあるいはそれらから作られた合成紙を使用すること
もできる。
【0047】さらに、このような転写シートの裏面に、
感熱記録ヘッドの熱による悪影響を防止するために耐熱
層を設けてもよい。
【0048】以上の如き転写シート以外にも、画像を形
成するために使用する被記録材としては、その記録面が
前記の色素に対して色素受容性を有するものであればい
かなるものでもよく、また、色素受容性を有しない紙、
金属、ガラス、合成樹脂等である場合には、その少なく
とも一方の表面に色素受容層を形成すればよい。
【0049】また熱転写方法としては、該シートを被記
録材と重ね、次いでシートの背面から感熱記録ヘッドで
加熱及び加圧する方法を例示でき、そのようにすればシ
ート上の色素が被記録材上に転写される。
【0050】上記の如き本発明の転写シート及び上記の
如き被記録材を使用して熱転写を行う際に使用する熱エ
ネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段がいずれも
使用できる。例えば、サーマルプリンダー(例えば、
(株)日立製、ビデオプリンターVY−100)等の記
録装置を用いて、記録時間をコントロールすることによ
り、5乃至100mJ/mm2 程度の熱エネルギーを付
与でき、これによって所期の目的を十分に達成すること
ができる。
【0051】さらに、転写記録後、転写記録面に例えば
ポリエステルフィルムを熱プレスしラミネートすること
により、色素の発色の改良及び記録の保存安定化を計る
ことができる。
【0052】本発明の一般式(1)で示されるイエロー
系昇華色素は熱転写時、感熱記録ヘッドに与えるエネル
ギーを変えることにより、色素の昇華転写量を制御する
ことができるので、階調記録が容易であり、フルカラー
記録に適している。
【0053】さらに、熱、光、湿気、薬品等に対して安
定であるため、転写記録中に熱分解することなく、得ら
れた記録の保存性も優れている。
【0054】また、本発明の色素は有機溶剤に対する溶
解性、及び水に対する分散性が良好であるため、均一に
溶解あるいは分解した高濃度のインキを調製することが
容易であり、その結果色濃度の良好な記録を得ることが
でき、実用上価値ある色素である。
【0055】以下、実施例にて本発明を具体的に説明す
る。実施例中の部は重量部を示す。%は重量%を示す。
【0056】
【実施例】実施例1式(C)の化合物を用いて、下記にてインキ組成物の調
製、転写シート、被記録材を作製して転写記録を行っ
た。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【化5】 (1)インキ組成物の調製方法 上記式(A)の色素 3 部 ポリビニルブチラール樹脂 4.5 部 メチルエチルケトン 46.25部 トルエン 46.25部 上記組成の色素混合物をガラスビーズを使用し、ペイン
トコンディショナーで約30分間混合処理することによ
り該インキを調製した。 (2)転写シートの作製方法 グラビア校正機(版深30μm)を用い、背面に耐熱処
理を施した6μm厚のポリエチレンテレフタレートフィ
ルムに、上記インキを乾燥塗布量が1.0g/m2にな
るように塗布、乾燥した。 (3)被記録材の作製 ポリエステル樹脂 0.8部 (Vylon 103」、東洋紡製Tg=47℃) EVA系高分子可塑剤 0.2部 (エルバイロ 741p」、三井ポリケミカル製Tg=37℃) アミノ変性シリコーン 0.04部 (KF−857」、信越化学工業製) エポキシ変性シリコーン 0.04部 (KF−103」、信越化学工業製) メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサン 9.0部 (重量比4:4:2) 以上を混合し、塗工液を調製し、合成紙(王子油化製、
ユポFPG#150)にバーコータ(RK Pri
nt Coat Instruments社製造、No
l)を用いて乾燥時4.5g/m2 になる割合で塗布
し、100℃で15分間乾燥した。 (4)転写記録 上記転写シートと上記被記録材とを、それぞれのインキ
塗布面と塗工液塗布面とを対向させて重ね合わせ、熱転
写シートの裏面から感熱記録ヘッド印加電圧11V、印
字時間16.0ミリ秒の条件で記録を行い、色濃度1.
95のイエロー色の記録を得た。
【0061】なお、色濃度は米国マクベス社製造デンシ
トメーターRD−514型(フィルター:ラッテンN
o.58)を用いて測定した。
【0062】色濃度は下記式により計算した。
【0063】色濃度=log10(I0 /I) I0 =標準白色反射板からの反射光の強さ I=試験物体からの反射光の強さ また、得られた記録の耐光性試験をキセノンフェードメ
ーター(スガ試験機株式会社製造)を用いてブラックパ
ネル温度63±2℃で実施したが、40時間の照射で殆
ど変色せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れて
いた。
【0064】また、堅牢度は得られた記録画像を50℃
の雰囲気中に48時間放置した後、画像の鮮明さ及び表
面を白紙で摩擦した際の着色により判定したところ、画
像の鮮明さは変化せず、また、白紙も着色せず記録画像
の堅牢度は良好であった。
【0065】記化合物(C)の製造法は次の通りであ
る。
【0066】スルフォラン285部にトリメリット酸無
水物21.1部を加え、185℃に加熱し、3−ヒドロ
キシ−2−メチル−6−iso−プロピルキノリン−4
−カルボン酸24.6部をさらに加え、200℃で1時
間反応させて目的物の前駆体である次式(B)の化合物
37.2部を得た。
【0067】
【化6】 式(B)の化合物3部とKI 0.1部、K2CO3
1.5部をDMF50部に加え、80℃に加熱し、さら
にn−アミルトシレート5.4部を加え、150℃で3
時間反応して、前記式(C)の化合物4.2部を得た。
この化合物のトルエン中における吸収極大波長(λma
x)は452nmであった。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】実施例2〜17 実施例1と同様の方法にしたがって表1に示すイエロー
系色素を製造し、同様にインキの調製、転写シートの作
製、被記録材の作製、及び転写記録を行い、表1に示す
各々の記録を得た。
【0072】これらの記録について全て実施例1と同様
の方法により耐光性試験を行ったところ、該記録は殆ど
変化せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れてい
た。
【0073】また、実施例1と同様に堅牢度試験を行っ
たが、画像の鮮明さは変化せず、また白紙も着色せず、
記録画像の堅牢度は良好であった。表1において耐光
性、堅牢度の各々の判定結果が良好なものについては○
で示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】比較例1〜4 表2に示す化合物を用い実施例1と同様にインキの調
製、転写シートの作製、被記録材の作製および転写記録
を行い、表2の記録を得た。これらの記録について実施
例1と同様の方法により耐光性、堅牢度を測定した。
【0081】比較例を表2に示した。
【0082】
【表8】 耐光性、堅牢度の各々の判定結果が良好なものについて
は○、不良なものについては×で示した。
【0083】実施例18、比較例5 下記組成のインキ組成物を調製し、調製後一昼夜放置し
たインキ組成物を、背面に耐熱処理を施した6μm厚の
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥塗布量が
1.0g/m2 になるように塗布及び乾燥して、転写シ
ートを得た。
【0084】 (D)または(E)の化合物(色素) 5部 ポリビニルブチラール樹脂 4.5部 メチルブチルケトン 46.25部 トルエン 46.25部
【0085】
【化8】
【0086】
【化9】 次に、基材シートとして(1)合成紙(王子油化製、ユ
ポFPG 150)または、(2)100μm厚の透明
ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この一方
の面に下記組成の塗工液を乾燥時10.0g/m2 にな
る割合で塗布し、100℃で30分間乾燥して被記録材
を得た。
【0087】 ポリエステル樹脂 11.5部 (Vylon 200、東洋紡製) 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 1000A 5.0部 (電気化学工業製) アミノ変性シリコーン KF−393 1.2部 (信越化学工業) エポキシ変性シリコーン X−22−343 1.2部 (信越化学製) メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサン 102.0部 (重量比4:4:2) 前記転写シートと上記の被記録材とを、それぞれのイン
キ塗布面と塗工液塗布面とを対向させて重ね合わせ、転
写シートの裏面から京セラ製サーマルヘッド(KMT−
85−6MPD2−HTV、抵抗値500オーム)を用
い、印加電圧を基材シート(1)の時11V、基材シー
ト(2)の時12Vで転写記録を行なった。また、イン
キの安定性、転写後の画像のザラツキを調べたところ、
表3の結果を得た。
【0088】なお、印字濃度は、透過・反射濃度計X−
Rite 310TR(X−Rite社製)を用いて測
定した。
【0089】結果を表3に示す
【0090】
【表9】 実施例19、比較例6
【0091】
【化10】
【0092】
【化11】 下記組成のインキ組成物を70℃に加温して組成物を完
全に溶解させた。そのインキを室温(25℃)で48時
間放置した後、背面に耐熱処理を施した6μm厚のポリ
エチレンテレフタレートフィルムに、乾燥塗布量が1.
0g/m2 になるように塗布及び乾燥して、転写シート
を得た。
【0093】 インキ組成 色素 D(実施例)またはE(比較例) a部 ポリビニルブチラール樹脂 4.5部 (BX−1,積水化学工業(株)製) トルエン (95.5−a)/2部 メチルエチルケトン (95.5−a)/2部 次に、基材シートとして合成紙(王子油化製、ユポFP
G 150μm)を用い、この一方の面に下記組成の塗
工液をバーコーターにより乾燥時5.0g/m 2 になる
割合で塗布、直ちにドライヤーで簡易乾燥し、さらにオ
ーブン中で80℃で5分間乾燥して被記録材を得た。
【0094】 ポリエステル(バイロン600 東洋紡製) 4.0部 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 6.0部 (#1000A 電気化学工業製) アミノ変性シリコーン 0.2部 (X−22−8050C、信越化学製) エポキシ変性シリコーン 0.2部 (X−22−8000E、信越化学製) メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 69.6部 前記転写シートと上記の被記録材とを、各々インキと塗
工液との塗布面を対向させて重ね合わせ転写シートの背
面から京セラ製サーマルヘッド(KMT−85−6MP
D−HTV抵抗値500オーム)を用い印加電圧10.
75Vで3.58,2.91及び2.01mJ/dot
の印加エネルギーで、該転写記録を行った。表4,5及
び図1,2,3に結果を示した。
【0095】
【表10】 色素(D)は、7%でもインキ中に溶解しその色素を使
用した転写シートのインキ濃度は各印加エネルギー
(3.58,2.91,2.01mJ/dot)でも飽
和することなく向上する傾向にあった。
【0096】また、転写シート表面の状態も色素がバイ
ンダー中に溶解しているため光沢があり、印字後の被記
録材は良好な印字画像を得ることができた。
【0097】
【表11】 2.8%付近よりインキ中で色素の析出が見られ、塗布
後の転写シート表面に未溶解の色素の影響による表面の
ざらつきが発生しだした。
【0098】各印加エネルギーともインキ中での色素濃
度が2.8%の時が最大印字濃度となり、2.8%以上
では印字濃度の頭うち及び低下が見られた。
【0099】印字後の被記録材は、転写シートのざらつ
きによる影響で汚れが発生した。
【0100】本比較例で明らかなように、化合物(E)
のキノリン環にイソプロピル基を導入した化合物(D)
は、インキ中での溶解性が高く、このため高い印字濃度
を得ることができた。
【0101】実施例2、比較例7 下記組成のインキ組成物を調製し、調製後一昼夜放置し
たインキ組成物を、背面に耐熱処理を施した6μm厚の
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥塗布量が
1.0g/m2になるように塗布及び乾燥して、転写シ
ートを得た。
【0102】 転写シートインキ組成 (H)または(I)の化合物(色素) 5部 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 10部 メチルエチルケトン 42.5部 トルエン 42.5部
【0103】
【化12】
【0104】
【化13】 次に、基材シートとして(1)合成紙(王子油化製、ユ
ポFPG 150)または、(2)100μm厚の透明
ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この一方
の面に下記組成の塗工液を乾燥時10.0g/m2 にな
る割合で塗布し、100℃で30分間乾燥して被記録材
を得た。
【0105】 ポリエステル樹脂(Vylon200、東洋紡製) 11.5部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 100A 5.0部 (電気化学工業製) アミノ変性シリコーン KF−393 1.2部 (信越化学工業) エポキシ変性シリコーン X−22−343 1.2部 (信越化学製) メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン (重量比4:4:2) 102.0部 前記転写シートと上記の被記録材とをそれぞれのインキ
塗布面と塗工液塗布面とを対向させて重ね合わせた。次
いで転写シートの裏面から京セラ製サーマルヘッド)K
MT−85−6MPD2−HTV、抵抗値500オー
ム)を用い、印加電圧を基材シート(1)の時11V、
基材シート(2)の時12Vで転写した。また、インキ
の安定性、転写後の画像のザラツキを調べた。表6に結
果を示した。
【0106】なお、印字濃度は、透過・反射濃度計X−
Rite 310TR(X−Rite社製)を用いて測
定した。
【0107】
【表12】 実施例2 次式(K)の化合物の製造法は、次の通りである。
【0108】スルフォラン538部にトリメリット酸無
水物53.8部と3−ヒドロキシ−2−メチルキノリン
−4−カルボン酸50.8部を加え、200℃で1時間
反応させて目的物の前駆体である次式(J)の化合物6
8部を得た。
【0109】
【化14】 式(J)の化合物10部とピリジン0.4部とをo−ジ
クロロベンゼン60部に加え、100℃に加熱し、続い
て塩化チオニル7.2部を加え、100℃で2時間反応
させた。その後、過剰の塩化チオニルを100℃で減圧
除去し、3−アミノ−2−プロパノール3.4部を加え
100℃で1時間反応させ、さらに170℃に加熱し、
7時間反応させて、式(K)の化合物9.5部を得た。
この化合物のトルエン中における吸収極大波長(λma
x)は448nmであった。
【0110】
【化15】 (1)インキの調製方法 上記式(K)の色素 3部 ポリブチラール樹脂 4.5部 メチルエチルケトン 46.25部 トルエン 46.25部 上記組成の色素混合物をガラスビーズを使用し、ペイン
トコンディショナーで約30分間混合処理することによ
り該インキを調製した。 (2)転写シートの作製方法 背面に耐熱処理を施した9μm厚のポリエチレンテレフ
タレートフィルムに、グラビア校正機(版深30μm)
を用いて上記インキを乾燥塗布量が1.0g/m2 にな
るように塗布、乾燥した。 (3)被記録材の作製 ポリエステル樹脂 0.8部 (Vylon103 東洋紡製Tg=47℃) EVA系高分子可塑剤 0.2部 (エルバイロ 741p 三井ポリケミカル製Tg=37℃) アミノ変性シリコーン 0.04部 (KF−857 信越化学工業製) エポキシ変性シリコーン 0.04部 (KF−103 信越化学工業製) メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサン 9.0部 (重量比4:4:2) 以上を混合し、塗工液を調製し、合成紙(王子油化製、
ユポFPG#150)にバーコーター(RK Prin
t Coat Instruments社製造、No.
1)を用いて乾燥時4.5g/m2 になる割合で塗布
し、100℃で15分間乾燥した。 (4)転写記録 上記転写シートと上記被記録材とを、それぞれのインキ
塗布面と塗工液塗布面とを対向させて重ね合わせ、転写
シートの裏面から感熱記録ヘッド印加電圧11V、印字
時間16.0ミリ秒の条件で加熱し、色濃度1.95の
イエロー色の記録を得た。
【0111】なお、色濃度は米国マクベス社製造デンシ
トメーターRD−514型(フィルター:ラッテンN
o.58)を用いて測定した。
【0112】色濃度は下記式により計算した。
【0113】色濃度=log10(I0 /I) I0 =標準白色反射板からの反射光の強さ I=試験物体からの反射光の強さ また、得られた記録の耐光性試験をキセノンフェードメ
ーター(スガ試験機株式会社製造)を用いてブラックパ
ネル温度63±2℃で実施したが、40時間の照射で殆
ど変色せず、高温及び高湿下の画像の安定性に優れてい
た。
【0114】また、堅牢度は得られた記録画像を50℃
の雰囲気中に48時間放置した後、画像の鮮明さ及び表
面を白紙で摩擦した際の着色により判定したところ、画
像の鮮明さは変化せず、また、白紙も着色せず記録画像
の堅牢度は良好であった。
【0115】実施例2 式(L)の化合物の製造は次の通りである。
【0116】式(J)の化合物10部とピリジン0.4
部とをニトロベンゼン50部に加え、100℃に加熱
し、続いて塩化チオニル7.2部を加え、100℃で2
時間反応させた。その後、過剰の塩化チオニルを100
℃で減圧除去し、iso−プロビルカルボニルヒドラジ
ン4.6部を加え1時間反応させた。さらに塩化チオニ
ル14.3部を加え、130℃に加熱し4時間反応させ
て、次式(L)の化合物7.9部を得た。この化合物の
トルエン中における吸収極大波長(λmax)は446
nmであった。
【0117】
【化16】 実施例2と同様にインキの調製、転写シート、被記録
材の作製、転写記録を行い、色濃度1.80のイエロー
色の記録を得た。
【0118】これらの記録について、全て実施例2
同様の方法により耐光性試験を行ったところ、該記録は
殆ど変化せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れ
ていた。
【0119】また、実施例2と同様に堅牢度試験を行
ったが、画像の鮮明さは変化せず、また白紙も着色せ
ず、記録画像の堅牢度は良好であった。
【0120】実施例2〜4 実施例2あるいは2と同様の方法にしたがって、表
7に示すイエロー色色素を製造し、同様にインキの調
製、転写シートの作製、被記録材の作製及び転写記録を
行い、表7に示す各々の記録を得た。
【0121】これらの記録について、全て実施例2
同様な方法により耐光性試験を行ったところ、該記録は
殆ど変化せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れ
ていた。
【0122】また、実施例2と同様に堅牢度試験を行
ったが、画像の鮮明さは変化せず、また白紙も着色せ
ず、記録画像の堅牢度は良好であった。
【0123】最大転写濃度の測定結果、耐光性、堅牢度
の判定結果を表7に示す。
【0124】
【表13】
【0125】
【表14】
【0126】
【表15】
【0127】
【表16】
【0128】
【表17】
【0129】
【表18】
【0130】
【表19】
【0131】
【表20】 耐光性、堅牢度の各々の判定結果が良好なものについて
は○で示した。
【0132】比較例8〜11 実施例2と同様な方法にしたがって表8に示すイエロ
ー色色素を使用し、インキの調製、転写シートの作製、
被記録材の作製及び転写記録を行った。また、実施例2
と同様に耐光性試験、堅牢度試験を行った。その結
果、表8に示すように最大転写濃度、耐光性及び堅牢度
の条件を同時に満足させるものは得られず、さらに、画
像が不鮮明となり白紙が著しく着色し不良であった。
【0133】
【表21】 耐光性、堅牢度の各々の判定結果が良好なものについて
は○、不良のものについては×で示した。
【0134】実施例4 次式(M)の化合物の製造法は、次の通りである。
【0135】式(B)の化合物10部とピリジン0.4
部とをo−ジクロロベンゼン60部に加え、100℃に
加熱し、続いて塩化チオニル7.2部を加え、100℃
で2時間反応させた。その後、過剰の塩化チオニルを1
00℃で減圧除去し、モルフォリン10.4部を加え1
00℃で2時間反応させ、次式(M)の化合物10.5
部を得た。この化合物のトルエン中における吸収極大波
長(λmax)は446nmであった。
【0136】
【化17】 (1)インキの調製方法 上記式(M)の色素 3部 ポリブチラール樹脂 4.5部 メチルエチルケトン 46.25部 トルエン 46.25部 上記組成の色素混合物をガラスビーズを使用し、ペイン
トコンディショナーで約30分間混合処理することによ
り該インキを調製した。 (2)転写シートの作製方法 背面に耐熱処理を施した9μm厚のポリエチレンテレフ
タレートフィルムに、グラビア校正機(版深30μm)
を用いて上記インキを乾燥塗布量が1.0g/m2 にな
るように塗布、乾燥した。 (3)被記録材の作製 ポリエステル樹脂 0.8部 (Vylon 103 東洋紡製Tg=47℃) EVA系高分子可塑剤 0.2部 (エルバイロ 741p 三井ポリケミカル製Tg=37℃) アミノ変性シリコーン 0.04部 (KF−857 信越化学工業製) エポキシ変性シリコーン 0.04部 (KF−103 信越化学工業製) メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサン 9.0部 (重量比4:4:2) 以上を混合し、塗工液を調製し、合成紙(王子油化製、
ユポFPG#150)にバーコーター(RK Prin
t Coat Instruments社製造、No.
1)を用いて乾燥時4.5g/m2 になる割合で塗布
し、100℃で15分間乾燥した。 (4)転写記録 上記転写シートと上記被記録材とを、それぞれのインキ
塗布面と塗工液塗布面とを対向させて重ね合わせ、転写
シートの裏面から感熱記録ヘッド印加電圧11V、印字
時間16.0ミリ秒の条件で加熱し、色濃度1.95の
イエロー色の記録を得た。
【0137】なお、色濃度は米国マクベス社製造デンシ
トメーターRD−514型(フィルター:ラッテンN
o.58)を用いて測定した。
【0138】色濃度は下記式により計算した。
【0139】色濃度=log10(I0 /I) I0 =標準白色反射板からの反射光の強さ I=試験物体からの反射光の強さ また、得られた記録の耐光性試験をキセノンフェードメ
ーター(スガ試験機株式会社製造)を用いてブラックパ
ネル温度63±2℃で実施したが、40時間の照射で殆
ど変色せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れて
いた。
【0140】また、堅牢度は得られた記録画像を50℃
の雰囲気中に48時間放置した後、画像の鮮明さ及び表
面を白紙で摩擦した際の着色により判定したところ、画
像の鮮明さは変化せず、また、白紙も着色せず記録画像
の堅牢度は良好であった。
【0141】実施例46 式(O)の化合物の製造法は、次の通りである。
【0142】式(B)の化合物10部とピリジン0.4
部とをo−ジクロロベンゼン60部に加え、100℃に
加熱し、続いて塩化チオニル7.2部を加え、100℃
で2時間反応させた。その後、過剰の塩化チオニルを1
00℃で減圧除去して、目的物(O)の前駆体である次
式(N)の化合物10部を得た。
【0143】
【化18】 ピベラジン7.7部をピリジン40部に加え、80℃に
加熱し、式(N)の化合物10部を加えて80℃で3時
間反応し、次式(O)の化合物11部を得た。この化合
物のトルエン中における吸収極大波長(λmax)は4
45nmであった。
【0144】
【化19】 実施例4と同様にインキの調製、転写シート、被記録
材の作製、転写記録を行い、色濃度1.80のイエロー
色の記録を得た。
【0145】これらの記録について、全て実施例4
同様な方法により耐光性試験を行ったところ、該記録は
殆ど変化せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れ
ていた。
【0146】また、実施例4と同様に堅牢度試験を行
ったが、画像の鮮明さは変化せず、また白紙も着色せ
ず、記録画像の堅牢度は良好であった。
【0147】実施例47 式(P)の化合物の製造法は次の通りである。
【0148】式(O)の化合物5部と炭酸カリウム0.
9部をN,N−ジメチルホルムアミド40部に加え、7
0℃に加熱した。次にn−ブチルトシレート5.7部を
加え、70℃で3時間反応させて次式(P)の化合物
5.5部を得た。この化合物のトルエン中における吸収
極大波長(λmax)は448nmであった。
【0149】
【化20】 実施例4と同様にインキの調製、転写シート、被記録
材の作製、転写記録を行い、色濃度1.95のイエロー
色の記録を得た。
【0150】これらの記録について、全て実施例4
同様な方法により耐光性試験を行ったところ、該記録は
殆ど変化せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れ
ていた。
【0151】また、実施例4と同様に堅牢度試験を行
ったが、画像の鮮明さは変化せず、また白紙も着色せ
ず、記録画像の堅牢度は良好であった。
【0152】実施例48〜6 実施例446あるいは47と同様な方法にしたがっ
て、表9に示すイエロー色色素を製造し、同様にインキ
の調製、転写シートの作製、被記録材の作製及び転写記
録を行い、表9に示す各々の記録を得た。
【0153】これらの記録について、全て実施例4
同様な方法により耐光性試験を行ったところ、該記録は
殆ど変化せず、高温及び高湿下の画像の安定性にも優れ
ていた。
【0154】また、実施例4と同様に堅牢度試験を行
ったが、画像の鮮明さは変化せず、また白紙も着色せ
ず、記録画像の堅牢度は良好であった。
【0155】
【表22】
【0156】
【表23】
【0157】
【表24】
【0158】
【表25】
【0159】
【表26】
【0160】
【表27】 耐光性、堅牢度の各々の判定結果が良好なものについて
は○で示した。
【0161】比較例12〜14 実施例4と同様な方法にしたがって、表10に示すイ
エロー色色素を使用し、インキの調製、転写シートの作
製、被記録材の作製及び転写記録を行った。また、実施
例4と同様に耐光性試験、堅牢度試験を行った。その
結果、表10に示すように最大転写濃度、耐光性及び堅
牢度の条件を同時に満足させるものは得られず、さら
に、画像が不鮮明となり、白紙が著しく着色し不良であ
った。
【0162】
【表28】 耐光性、堅牢度の各々の判定結果が良好なものについて
は○、不良のものについては×で示した。
【0163】
【発明の効果】本発明の一般式(1)で示されるイエロ
ー色色素は熱転写時、感熱記録ヘッドに与えるエネルギ
ーを変えることにより、色素の昇華転写量を制御するこ
とができるので、階調記録が容易であり、フルカラー記
録に適している。
【0164】さらに、熱、光、湿気、薬品等に対して安
定であるため、転写記録中に熱分解することなく、得ら
れた記録の保存性も優れている。
【0165】また。本発明の色素は有機溶剤に対する溶
解性、及び水に対する分散性が良好であるため、均一に
溶解あるいは分散した高濃度のインキを調製することが
容易であり、その結果色濃度の良好な記録を得ることが
でき、実用上価値ある色素である。
【図面の簡単な説明】
【図1】感熱記録ヘッドの印加エネルギーを3.58m
J/dotとして転写記録をした場合の、記録された印
字の反射濃度とインキ中の色素濃度との関係を示すグラ
フである。
【図2】感熱記録ヘッドの印加エネルギーを2.91m
J/dotとして転写記録をした場合の、記録された印
字の反射濃度とインキ中の色素濃度との関係を示すグラ
フである。
【図3】感熱記録ヘッドの印加エネルギーを2.01m
J/dotとして転写記録をした場合の、記録された印
字の反射濃度とインキ中の色素濃度との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大山 司 福岡県大牟田市上白川町2−308 (72)発明者 合田 勇 兵庫県神戸市兵庫区笠松通7丁目3−30 (72)発明者 越田 均 兵庫県西宮市甲子園口北町12−5−510 (72)発明者 滝口 良平 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 江口 博 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 加福 公明 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 中村 正之 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−275186(JP,A) 特開 平3−243389(JP,A) 特開 平6−8641(JP,A) 特開 平5−169854(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 〔式中、R1は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基
    またはシクロアルキル基を示し、R2は水素原子、ハロ
    ゲン原子、置換されてもよいアルコキシ基、置換されて
    もよいアルキルチオ基または置換されてもよいアリール
    チオ基を示し、R3は炭素数が3〜5の分岐アルキル
    基、O−置換オキシカルボニル基、N−置換基が環を形
    成してもよいN−置換アミノカルボニル基、または窒素
    原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1個以上の原
    子を少なくとも2個以上含む置換あるいは非置換の複素
    環を示す。ただし、R1が水素のとき、R3は窒素原子、
    酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1個以上の原子を少
    なくとも2個以上含む置換又は非置換の複素環であ
    る。〕で表される感熱転写記録用色素。
  2. 【請求項2】 R1 が水素原子または炭素数が3〜5の
    分岐アルキル基である請求項1に記載の感熱転写記録用
    色素。
  3. 【請求項3】 R1 がイソプロピル基である請求項1に
    記載の感熱転写記録用色素。
  4. 【請求項4】 R2 が水素原子である請求項2記載の感
    熱転写記録用色素。
  5. 【請求項5】 R3 がアルキルオキシカルボニル基であ
    る請求項2記載の感熱転写記録用色素。
  6. 【請求項6】 R3 がジアルキルアミノカルボニル基で
    ある請求項2記載の感熱転写記録用色素。
  7. 【請求項7】 R3 が置換オキサゾリン基である請求項
    2記載の感熱転写記録用色素。
  8. 【請求項8】 R1 がイソプロピル基で、R2 が水素原
    子で、R3 がジブチルアミノカルボニル基である請求項
    1記載の感熱転写記録用色素。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の一般式(1)で示され
    る感熱転写記録用色素、バインダー樹脂並びに有機溶剤
    及び/または水を含有してなることを特徴とする感熱転
    写記録用インキ組成物。
  10. 【請求項10】 基材シート及び該基材シートの一面に
    形成された色素担持層からなり、該色素担持層に含有さ
    れる色素が請求項1に記載の一般式(1)で示される感
    熱転写記録用色素であることを特徴とする転写シート。
JP21048492A 1991-08-06 1992-08-06 感熱転写記録用色素、感熱転写記録用インキ組成物、及び転写シート Expired - Lifetime JP3178906B2 (ja)

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