JP3172802B2 - コンクリート表面の処理工法 - Google Patents

コンクリート表面の処理工法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンクリートの表面を
硬化するため、あるいは防湿等のために行うコンクリー
ト表面の高分子材料で処理する工法に関するものであ
り、特に打設したコンクリートと該コンクリートの表面
に散布したポリマーとの間の接合を強化するための工
法、ならびに該工法に使用するための機具に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】コンクリートは、建築等の材料として非
常に便利なものであるが、その表面の硬度が低いこと
や、防湿性や防水性においてやや劣る等の欠点があるの
で、この欠点を補うために、コンクリート表面にポリマ
ーを塗布し、これによって上記欠点を除去するようにし
た工法はすでに広く行われている。
【0003】特に特開昭63−27668号に紹介した
工法は、打設したコンクリートの表面に湧出したブリー
ジング水がコンクリート類内に吸収されるまでの間に、
水溶性高分子又は高分子エマルジョンを、上記コンクリ
ート類の表面に散布するという技術思想であって、既に
硬化した後のコンクリートの表面を高分子処理する工法
に比して、コンクリート表面とポリマーとの間の接合が
強固になるという効果を有するものである。
【0004】しかるに、上記方法を用いても、結局はコ
ンクリート類の層とポリマーの層との間には歴然とした
界層が形成されることになるから、長年の間には紫外線
等によるポリマーの劣化、あるいはコンクリートとポリ
マー相互の膨張率の相違等の理由によって、次第にコン
クリートの層とポリマーの層との間の接合が劣化して、
両者の間に雨水が侵入し、あるいは露結水が溜まる等の
現象を生じ、遂にはコンクリート表面のポリマーが剥が
れ落ちる等の事態が生じてしまうという危惧が残ってい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、従来のコンクリート表面の高分子処理工法では、
長い年月の間にコンクリート表面とポリマーとの接合部
分における接合の劣化を防ぐことが未だ充分ではなかっ
た点である。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は上記問題を解
決し、打設したコンクリート類と、その表面に散布した
ポリマーとの接合を一層強化するためになされたもので
あって、コンクリート類の打設後でかつその表面が硬化
する前のフレッシュコンクリートに対して、ポリマーデ
ィスパージョン(水溶性高分子)、高分子エマルジョン
等を上記フレッシュコンクリート類の表面に散布した後
又は同時に、周囲面に多数の突起体を備えたローラをか
て、両者の間には歴然とした界層が生じないように混
合し、上記フレッシュコンクリートとその表面に散布し
たポリマー、高分子エマルジョン等との間の接合を強化
することを特徴とするコンクリート表面の処理工法であ
って、上記工法によりコンクリート粒子とポリマーの粒
子とが一層良く混合して接合することによって、充分に
上記目的を達するものであり、また上記工法に使用する
ための機具として、周囲面に多数の突起体を備えたロー
ラと定板とを組み合わせたものを提供するものである。
【0007】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。 [実施例:その1]本例の実施に当たっても、まず通常
のコンクリート建造と同様に生コンクリート類の打設を
するのであって、床スラブや道路舗装面等のようなコン
クリートを打設すべき箇所に生コンクリートを打設した
後、該生コンクリートをバイブレータ等によって、充分
に締固めた上で、必要に応じ、その表面を金鏝等によっ
て大まかに均しておく。
【0008】ところで、前記公開公報でも紹介したよう
に、生コンクリート打設後2〜3時間程度でコンクリー
トの表面にブリージング水が湧出し、その後数時間後に
該ブリージング水は再びコンクリート内に吸収されるの
で、本発明のポリマーディスパージョン等による表面処
理も上記ブリージング水が再びコンクリート内に吸収さ
れる以前に行ってもよい。しかし本発明の性質上、表面
処理は打設したコンクリートの表面が硬化する以前に行
えば充分であり、もっと具体的に言えば、打設したコン
クリートの表面に、後に述べる周囲面に多数の突起体を
備えたローラをかけたときに、該突起体によってコンク
リートの表面に凹凸を生じる程度の固さの間に本発明の
処理工法を行えばよい。以下、上記のような、生コンク
リートを打ち込んだ後で、未硬化の可塑性を有する状態
のコンクリートを、フレッシュコンクリートという。
【0009】上記のように、打設したフレッシュコンク
リートを、必要に応じて表面を大まかに均した後に、本
例においても、前記公開公報の発明と同様にポリマーデ
ィスパージョン、高分子エマルジョン等を散布するので
ある。散布する高分子エマルジョンの量は1m当り3
00g程度でよいが、前記公開公報で紹介した散布量よ
りも多く散布して差支えない。
【0010】次に、上記高分子エマルジョン等の散布の
後、該高分子エマルジョン等ならびに前記フレッシュコ
ンクリートの表面が硬化する前に、すなわち前記のよう
にコンクリート表面の硬度が、後記ローラの突起体によ
って凹凸が生じる程度の固さの間に、上記高分子エマル
ジョン等を散布したフレッシュコンクリートの表面に、
周囲面に多数の突起体を有するローラを押しつけて回転
させる。これにより、上記フレッシュコンクリートの表
面と高分子エマルジョン等とを、その接合部において一
部混合させて両者の接合を強化するのである。
【0011】次に、上記周囲面に多数の突起体を有する
ローラをかけるための機具の例を図示する。図1は本例
の機具を用いて本発明の工法を実施している状態を示す
側面概念図であって、定板1は厚さ5cm程度、幅30
cm程度、長さ2mないし3m程度に構成し、定板1の
図示下面は、打設したフレッシュコンクリートの表面を
撫でて平らにするための表面部分を形成する部分であ
る。突起体としては、材質を鉄、アルミニウム等の金
属、合成樹脂、木等で構成すし、またローラとしては、
材質を木、金属、合成樹脂等で構成する。
【0012】上記定板1には図示のように、腕木2を介
して、多数の突起体3,3、…を備えたローラ4を、ロ
ーラの軸4′を介して回転自在に取り付けてある。なお
図示の実施例においては、上記腕木2は支点5によって
支えられるとともに、案内板6、案内スリット7によっ
て上記腕木2の支持角度を調節して、蝶ねじ8によって
調節した腕木2の支持角度を保持できるように構成して
あり、これによって、上記定板1と上記多数の突起体を
備えたローラとの位置関係を調節できるようにしたもの
である。ローラ4は、その直径が30〜40mmのもの
を用いる。
【0013】また、上記定板1は取り付け金具9によっ
て、柄10を取り付けてあり、該柄10を操作して本例
のローラをかける処理を行う機具である。すなわち、フ
レッシュコンクリート11の表面に前記のようにして高
分子エマルジョン等を散布することによって、該高分子
エルマジョン等の層12を生じさせ、前記のようにフレ
ッシュコンクリート11および高分子エマルジョンの層
12がともに硬化する前に、すなわち、両者ともに可塑
性を有する間に上記機具によって両者の界面において一
部混合処理加工をするのである。
【0014】上記機具の使用に当たっては、作業員が柄
10によって上記定板1を操作して、フレッシュコンク
リートの表面にこれを押し当てて摺摩するのであって、
図示左方向に摺摩すれば上記ローラ4上の多数の突起体
3,3,…によって、同図右半分に示すように、前記フ
レッシュコンクリートの表面に多数の凹凸が生じ、また
該凹凸部分において表面の高分子エマルジョン等の層1
2とフレッシュコンクリートとは、一部において混合を
生じるのである。
【0015】また上記機具を図示右方向に摺摩すれば、
定板1の表面(図示下面)によって本発明による表面処
理をされたフレッシュコンクリートの表面が均されるの
である。このように表面処理をしたフレッシュコンクリ
ートは、さらに金鏝等によって表面を平らに均したり、
又は目的に応じて波状表面或いは梨地状表面等の処理を
行ってもよい。
【0016】[その他の実施例]もちろん、本発明の高
分子処理工法を実施するためには、必ずしも上記に紹介
した機具を用いる必要はなく、単に上記周囲面に多数の
突起体3,3,…を備えたローラを何らかの方法で上記
フレッシュコンクリートの表面に圧接して回転させれば
よいのであるが、上記機具を用いた方が、上記多数の突
起体3,3,…がフレッシュコンクリートの表面に生じ
させる凹凸の深さを調節でき、かつ定板によって表面を
均す作業を同時に行える等の点で便利なのである。な
お、突起体3は円錐形状体、角錐形状体、釘状体等だけ
ではなく、板状のものであってもよく、また例えばロー
ラ4と突起体3とは、4枚又は5枚の板状突起体3・・
を水車様に周囲面に備えた両者一体構造の押出アルミニ
ウム成形品であってもよい。
【0017】また打設したコンクリートとしては、前記
のようにスラブ等の水平な表面に限らず、コンクリート
製の壁面等にも本発明を実施できる。この場合において
は、生コンクリートを打設して壁面等を建造し、該生コ
ンクリートがやや硬化し、又は充分に硬化した後に、該
コンクリートの表面にやや固く練った新たなコンクリー
ト又はモルタルを塗布し、該フレッシュコンクリート又
はフレッシュモルタルが硬化する前に本発明の高分子処
理工法を行えばよい。
【0018】さらに、本発明はコンクリートの表面に限
らず、コンクリート同様に、硬化する前に可塑性を有す
る状態にある建築素材、例えば三和土、アスファルト、
合成樹脂建材等の表面処理にも実施できるものである。
また使用する高分子の種類については、本発明の表面処
理加工に適するものであれば、多種の高分子化合物の中
から適宜選択してよい。
【0019】
【発明の効果】 本発明は前記のように、打設したコン
クリートの表面が硬化する前に、ポリマーディスパージ
ョン、高分子エマルジョン等を、上記コンクリート類の
表面に散布した上で、周囲面に多数の突起体を備えたロ
ーラをかけて、両者の間には歴然とした界層が生じない
ように混合し、上記フレッシュコンクリートとその表面
に散布したポリマー、高分子エマルジョン等との間の接
合を強化するコンクリート表面の処理工法であるから、
フレッシュコンクリートの表面に多数の突起体の圧接痕
による凹凸を生じることにより、ポリマーディスパージ
ョン等とコンクリートとの接合面積が大きくなること、
および上記コンクリートの表面の凹凸が両者の噛合要素
となること、さらには、ポリマーディスパージョン等と
コンクリートの粒子とが一部において混合すること等の
多くの作用が相俟って、コンクリートと重合高分子との
接合は非常に強固になり、経年劣化等の影響にも係わら
ずコンクリートの寿命にほぼ匹敵する程度の長年月の
間、上記結合が保たれるのである。
【0020】そのため、コンクリート建造物の表面の硬
度を高めたり、あるいは防水・防湿等の性能を高めると
いう、コンクリート表面処理の目的を、長年月の間忠実
に達成するコンクリート建造物が得られるのである。
【0021】次に、柄を具えた定板に、周囲面に多数の
突起体を備えたローラを取り付けた本発明の機具は、該
ローラによって本発明方法を実施するのに便利であり、
またローラは柄を具えた定板に取り付けられているた
め、突起体を備えたローラをコンクリート類の表面に圧
接するときに、該定板の表面(図示下面)がフレッシュ
コンクリートの表面を摺摩することになり、該フレッシ
ュコンクリートの表面を均すと同時に、突起体を備えた
ローラの圧接の程度を適当に保つのに役立つ。
【0022】また、上記ローラを定板に取り付ける箇所
に、調節ねじ等を用いて該ローラと定板の表面(図示下
面)との位置関係を調節可能に構成した本発明の機具
は、該調節機構によって、フレッシュコンクリートの硬
さに応じて多数の突起体を備えたローラを圧接する程
度、ないしは深さを調節することができ、フレッシュコ
ンクリート表面に生じさせる凹凸の程度や、フレッシュ
コンクリートとポリマーディスパージョン等とを混合さ
せる程度が調節できることになり、極めて便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機具を使用して、打設した未硬化コン
クリート表面に高分子処理を行っている状態を示す側面
概念図である。
【符号の説明】
1 定板 2 腕木 3,3,…多数の突起体 4 ローラ 5 支点 6 案内板 7 案内スリット 8 蝶ねじ 9 取り付け金具 10 柄 11 フレッシュコンクリート 12 高分子エマルジョン等の層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−233180(JP,A) 特開 昭54−108834(JP,A) 特開 平2−99162(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B05C 17/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート類の打設後でかつその表面
    が硬化する前のフレッシュコンクリートに対して、ポリ
    マーディスパージョン、高分子エマルジョン等を上記フ
    レッシュコンクリート類の表面に散布した後、周囲面に
    多数の突起体を備えたローラをかけて、両者の間には歴
    然とした界層が生じないように混合し、上記フレッシュ
    コンクリートとその表面に散布したポリマー、高分子エ
    マルジョン等との間の接合を強化することを特徴とする
    コンクリート表面の処理工法。
  2. 【請求項2】 コンクリート類の打設後でかつその表面
    が硬化する前のフレッシュコンクリートに対して、ポリ
    マーディスパージョン、高分子エマルジョン等を上記フ
    レッシュコンクリート類の表面に散布すると同時に、周
    囲面に多数の突起体を備えたローラをかけて、両者の間
    には歴然とした界層が生じないように混合し、上記フレ
    ッシュコンクリートとその表面に散布したポリマー、高
    分子エマルジョン等との間の接合を強化することを特徴
    とするコンクリート表面の処理工法。
  3. 【請求項3】 柄を具えた定板に、周囲面に多数の突起
    体を備えたローラを取り付けて成ることを特徴とする、
    請求項1又は2記載の工法に使用するための機具。
  4. 【請求項4】 周囲面に多数の突起体を備えたローラ
    を、柄を具えた定板に取り付ける箇所には、調節ねじ等
    を用いて上記定板の表面と上記ローラとの位置関係を調
    節可能に構成したことを特徴とする、請求項記載の機
    具。
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