JP3831808B2 - セルフレベリング形床下地形成材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非通気性床仕上げ材を施すための下地層の形成に用いられるところのセルフレベリング形床下地形成材組成物に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
貼り床仕上げや塗り床仕上げ等の非通気性の床仕上げ材(通気性を全く有しないか若しくは通気性に乏しい仕上げ材)を施す場合には被着体となる下地コンクリート内部に存在している水分の大気中への散逸が大幅に阻害されることから、これら床仕上げ材にはふくれ、剥離といった様々な機能障害の発生が常につきまとうこととなる。とりわけ近年、頓に採用が急増の傾向にある鋼製デッキ型枠工法によるコンクリート床版打設では、該コンクリートが上端面のみの1面乾燥様式となるため、従来の合板型枠工法による場合に比してその乾燥速度も必然的に大きく低下する。従って、同一硬化材令時点で該コンクリート床版面上へ貼り床、塗り床等の非通気性仕上げ材を施すとした場合、鋼製デッキ型枠工法の方が下地水分の影響を大きく蒙ることとなり、仕上げ床の故障発生率は更に増加することとなる。
【0003】
かかる問題を解決すべき有効な手段として、コンクリート下地面上へ通気性を備えた単独層を新たに打ち継ぎ、この上へ仕上げ材を施工するとして、既述の非通気性床上げ材の直下に位置する該通気層にコンクリートの通気作用を分担させ、下地コンクリート組織内部の水分はもとより、仕上げ塗膜自体からの浸出水分(床仕上げ材が特に水系材料の場合)をも散逸させることを技術思想とした提案が特開昭61−45054号並びに特公平6−21512号で既になされている。
【0004】
前者は、「内部を多孔質、しかし表層部を非透気・非透水性とされた粗粒の無機質断熱性骨材粒と、展延性付与材としての無機質細粒と、高分子系もしくは無機系結合剤との混合物から成り、コンクリート床版上に層状に塗敷硬化せられ、その上に仕上げ塗膜が塗設される層であって、この層内には前記骨材粒の粒子間々隙が、上記コンクリート床版及びもしくは仕上げ塗膜より発生する水分・蒸気の流通を許容する実質的な連続的通気路を形成して成ることを特徴とする塗膜の通気性断熱下地層。」であり、その施工法は、「骨材粒と細粒および結合剤とを混合し、粘着性を与えるために予じめ結合剤を塗布したコンクリート床版の表面に上記混合物を任意の厚みに敷きならし、鏝その他の展圧器具で平坦に押える。結合剤が硬化して形成された下地層上に塗材として防水塗膜を塗布成膜する。」とされている。
【0005】
また後者は、「コンクリート構造体と非通気性仕上げ層との間に設けるモルタル状下地層であって、骨材を結合する水硬性セメントと消泡剤を添加しないポリマーディスパージョンからなる結合部に連続的多孔性通気路を構成してなる、前記非通気性仕上げ層のふくれ防止用下地層。」であり、その施工法は、「消泡剤を添加しないポリマーディスパージョン、水硬性セメント及び骨材を含む組成物に塗布・硬化するのに適する量,すなわち流動性材料が130〜200mmの範囲のフロー値となる量の水を加えて十分に混練して塗布用の流動性材料を調整する。この材料を、連続通気路を形成して本発明の目的を達成するのに十分な厚さで、すなわち好ましくは2mm以上特に好ましくは3〜5mmの厚さで、コンクリート構造体上に塗布し硬化せしめて下地層を形成する。形成した下地層の上に通常の方法により非通気性仕上げ層を設ける。」とされている。
【0006】
なお、両通気性層の仕上げ材下地としての平滑精度の確保手段は、前者にあっては鏝押さえによるとされている。但し、硬化後の表面が粟おこし状であるがため、当該硬化物表面への仕上げ材施工に先立っては特にペースト状・その他の目止め材による塗布処置を必要とする場合もあるとされている。
また、後者の方法にあっては、適用される材料が単なる多泡系のポリマーセメントモルタル組成物としての「調整流動性材料」であるが故に前者同様必然的に金鏝などによる入念な押さえ,延展作業の必要性を余儀無くされるのである。
【0007】
叙上の如く、従来の通気性下地層にあっては、その形成過程で極めて煩雑且つ非能率な鏝押さえ作業が必要不可欠であり、そのため施工工期、施工コストの両面での不都合からは未だ脱しきれていない現状にある。このような事情に鑑み本願発明者等は、別出願にて短工期,低コスト化を具現化しうる通気性下地層の形成方法に関する提案をした。その要趣は、コンクリート下地へ打ち継ぐべく材料として、打設段階ではセルフレベリング性を有しながら、かつ、硬化時点にあっては確実に透気・透湿層を備えた多孔質組織体を形成しうるように工夫したセルフレベリング性材料を用いて透気・透湿層を構成した点にある。そして、その作用効果は、以下の通りである。
【0008】
平滑精度が確保された短工期,低廉形の床仕上げ材下地の提供は、鏝押さえ作業の不要なセルフレベリング材の適用によってのみはじめて達成され得る。汎用のセメント系あるいは石膏系のセルフレベリング材では、併用される流動化剤によって混練物系内へもたらされる混入気泡を消滅させるとともにその打設時における表面平滑度と硬化時点での発現強度とを併せて確保する目的で消泡剤が添加されるのが常套であるが、当提案ではこれに敢えて微細発泡剤を更に添加することとし、以って鏝作業工程を省略しうることによって大幅な短工期化、それに伴う低廉化が図れるようにした。
【0009】
即ち、微細発泡剤として炭酸塩,アンモニウム塩,金属などの無機質系化合物と、アゾ化合物に代表される有機質系化合物などの適用を盛り込んでいる。これら微細発泡剤によって発生した気泡はセルフレベリング材硬化体マトリックス中に均一かつ微細な独立あるいは連通状の形態で残留し、その結果として下地コンクリートの実用上での通気作用を確保するに足る程度の透気・透湿機能が付与され得るのである。いま、床仕上げ材下地層に必要な通気性状について考えるに当該層の直下に位置する下地コンクリートの通気性状が透気係数値表示で通常×10-18(m2)オーダーであることを勘案すれば、少なくとも当該値よりも大きな値としなければならない。硬化した床仕上げ材下地層の上へ貼り床、塗り床を施すに当たり、これら床仕上げ材に浮き、剥離といったトラブルを発生させないために必要な床仕上げ材下地層の透気係数は概ね×10-14 〜10-12(m2)オーダー、望ましくは×10-13(m2)オーダーであることが判明しているが、同出願では、微細発泡剤の種類と各添加割合を適宜にコントロールすることで所望の透気係数を随意に確保しうるようにしている。勿論、この透気性能のほかに、例えば(社)日本建築学会、建築工事標準仕様書・同解説JASS15 M−103「セルフレベリング材の品質基準」で定めるフロー値、凝結時間、圧縮強度、下地接着強度、表面接着強度、衝撃に係わる各品質基準をも併せて満足しうるようにしている。
【0010】
しかし、上記した微細発泡剤併用によるセルフレベリング形下地形成材組生物を適用した透気・透湿層構成手法であってさえ1)微細発泡剤の分散が均等でない混練系の場合では均等な気泡分布の硬化物層が得難いこと、2)発泡密度が施工時の雰囲気温度に左右され易いこと、の実用上での難点を持ち合わせる一面もある。即ち、これらの難点は、「常温施工環境下で、セルフレベリング材中の水硬性セメント質共存系のアルカリメディアにおいてすみやかに発泡現象を量する物質を見出すこと」で解消されうるのである。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、既述の本発明者等がなした別出願の通気性下地層に用いるセルフレベリング材としての施工上で最適なセルフレベリング形床下地形成材組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のセルフレベリング形床下地形成材組成物は、汎用セルフレベリング材へ該セルフレベリング材中の水硬性セメント質100重量部当たり0.1〜2.0重量部相当量のアゾジカルボン酸エステル化合物を添加し、混合して得るとした。即ち、本発明者等は有機質系発泡剤の1種であるアゾジカルボン酸エステル(本発明において解決の鍵になる材料として適用するアゾジカルボン酸エステル化合物は、一般式R1 OOCNNCOOR2 (但し、R1 R2 は同種若しくは異種の有機基)で示される一群の化合物である。)がアルカリ性雰囲気のもと、常温域で速やかに分解して微細気泡を多量に副生することに着目し、選択の対象としたものである。
【0013】
【作用】
アゾジカルボン酸エステル化合物は、前記したごとく、水硬性セメント質と共存したアルカリ性雰囲気下では常温域にて容易なる気体放出性状を示す。ここで、放出気体量は水硬性セメント質に対する当該物質の添加割合の増加と相まって増加し、従って、硬化物の単位容積質量が減少するとともに機械的強度も併せて低減する傾向を示すことは言うまでもない。
【0014】
本発明者らは、水硬性セメント共存系のアルカリメディアにおけるこの特異な気体放散性が連気性多泡構造組織、即ち、透気・透湿性層の形成に好適に応用されることを幾多に亘る繰返し実験の結果から知見した。そして、硬化した床下地形成材の圧縮・耐衝撃強度性能と透気・透湿性能の2つをも満たすべくアゾジカルボン酸エステル化合物の使用量は、セルフレベリング材中に存在する水硬性セメント質100重量部当たり0.1〜2.0重量部が実用上での最適範囲であることを知り得た。水硬性セメント質に対するアゾジカルボン酸エステル化合物の添加量比がこの範囲を逸脱するともはや実質的に実用に供し得ないものとなる。
【0015】
即ち、アゾジカルボン酸エステル化合物の水硬性セメント質100重量部に対する添加量比が0.1重量部を下まわる場合に得られる硬化物では、当該量比の減少とともに透気係数も×10-15(m2) オーダーから×10-16(m2) オーダーへと著減の傾向を示し、従って所望の透気・透湿性能が得られなくなる。
一方、水硬性セメント質100重量部当たりのアゾジカルボン酸エステル化合物添加量比が2.0重量部を超過する場合に得られる硬化物では、当該量比の増加に伴って内蔵気泡量が増加するため、透気係数は×10-11(m2) オーダー以上を示し、透気・透湿性能が向上する反面、圧縮強度が激減する傾向を示し、床上げ下地材として強度上での妥当性を欠くことになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。汎用SL材としてのライオンハイフロー(住友大阪セメント(株)製)をベース材料とし、これへ所定量の水を加えて攪拌して得られる均質なスラリー系へ該セルフレベリング材中の水硬性セメント質100重量部当たり0(比較)〜5重量部のアゾジカルボン酸エステル化合物であるユニフォームAZAE300(大塚化学(株)製)を添加、攪拌してセルフレベリング形床下地形成材組成物を得た。これを常温下にて既設コンクリート下地に打ち継ぎして、養生・硬化させ、床仕上げ用としての通気性を備えた下地層を得た。帰するところ、汎用のSL材打設と全く同一要領施工のもとで所望する床仕上げ用の通気性下地層が得られた。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上の如く、本発明者等が別出願にてなした非通気性床仕上げ材用の通気性下地層における最適なセルフレベリング材としてのセルフレベリング形床下地形成材組成物を提供することができ、その汎用化の促進に寄することができる。
Claims (1)
- 汎用セルフレベリング材へ該セルフレベリング材中の水硬性セメント質100重量部当たり0.1〜2.0重量部相当量のアゾジカルボン酸エステル化合物を添加して成ることを特徴とするセルフレベリング形床下地形成材組成物。
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JP12529697A JP3831808B2 (ja) | 1997-05-15 | 1997-05-15 | セルフレベリング形床下地形成材組成物 |
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1997
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